説明

金属被膜用ポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属材料

【課題】本発明は、従来よりも耐剥離性、耐候性、耐腐食性が優れ、かつ既存の装置でも困難無く工業生産が可能で、かつ表面コート剤無しで耐疵付性が優れた金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属材料を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂(A)、層状無機物(B)、極性を持つ官能基を含有するオレフィン系オリゴマー(C)及びゴム状弾性体(D)を少なくとも含有することを特徴とする金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物、及びこれを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属材料に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼材をはじめとした金属材料にポリオレフィン系樹脂を被覆して、耐水性、耐薬品性を保持させた複合材料は、建材、家電、家具等、広範に使用されている。特に、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を表面に被覆した有機複合金属材料は、その防食性能が優れていることから、海水中、温熱水中等の過酷な環境下で長期間にわたる防食性が要求される分野に広く応用されてきた。
【0003】
しかし、ポリオレフィン系樹脂は、分子構造中に極性官能基を有しておらず、さらに結晶性が高いために金属材料との接着性が極めて悪いと言う課題があり、この課題に対し従来種々の方法が検討されてきた。特に鋼材においては、ポリオレフィン系樹脂と鋼材間の密着強度を向上させる手段として、クロメート処理やリン酸処理と言った表面処理技術、酸無水物基やカルボキシル基に代表される極性の強い官能基で変性したポリオレフィン樹脂層を接着剤として使用する技術等が知られている。しかしながら、当該技術でも密着力が不十分であったり、工程が煩雑になったり、コスト高になる等の課題があった。例えば、重防食鋼材に代表されるようなポリオレフィン樹脂ラミネート金属材料において、以下の課題があった。
(a) 長期暴露した場合、端面からポリオレフィン樹脂の剥離が進行し易い(端面剥離)。
(b) 水中環境での耐水密着性が不十分であったり、電気防食時にカソード部(被覆加工疵部)での剥離(陰極剥離)が進行し易い。
(c) 接着温度から室温まで冷却したり、高温で使用する場合に、ポリオレフィン樹脂が収縮して剥離し易い(収縮剥離)。
【0004】
この結果、これら剥離部分から金属基材や鋼材の腐食が進行する場合があった。
【0005】
これらの課題を解決する手段として、クロメート処理した鋼板表面に、さらにシランカップリング、チタンカップリング、エポキシプライマー等で処理をし、その上に、変性ポリオレフィン樹脂とポリオレフィン樹脂を順次積層被覆する技術が開示されている(特許文献1、特許文献2)。これらの技術により、接着剤−鋼材間の密着力がさらに増加し、初期密着に大幅な改善が認められた。しかし、これらの対策でも、高温、多湿下の過酷な環境下で長期間使用した場合は、密着力が低下してきて、上記の剥離を発生する場合があった。
【0006】
この課題を解決する手段として、鋼板−樹脂シート間の化学的な結合力を増加することにのみ着目するのではなく、樹脂シート内の残留応力を積極的に低減することにより密着性を確保し、上記剥離を防止することを考慮した技術が開示された(特許文献3)。具体的には、ポリオレフィン樹脂にゴムを添加し、かつゴム相を雲母状に分散し、残留応力の低減を図る技術であるが、この技術では、射出成形等で非常に強いせん断力を樹脂に加えなければ、当該構造を実現できないため、シート製造が困難であると言う問題があった。
【0007】
また、ポリオレフィン樹脂は表面硬度が低いため、ポリオレフィン樹脂被覆金属材料は、耐疵付き性、耐磨耗性が悪く、建材、家電、家具等の意匠性を求められる用途において、使用が制限される場合があると言った課題があった。この課題を解決する手段として、ポリメタクリル酸等でポリオレフィン樹脂被覆表面をコートする技術等が知られている(特許文献4)が、工程が煩雑になったり、コート層がポリオレフィン樹脂から剥離すると言う課題があった。
【0008】
また、上記のように、金属材料への応用において多くの課題を抱えるポリオレフィン樹脂を改質する手段として、ポリオレフィン樹脂中に層状の無機物をナノメートルのスケールで極微細に分散させるポリマーナノコンポジット技術が知られている。ポリマーナノコンポジット技術によって、腐食原因物質バリア性の向上や、弾性率の向上、線膨張係数の低減、熱変形温度の向上等の改善効果が知られている(非特許文献1)。
【0009】
上記のように、マトリックスポリマー中に、層状の無機物をナノメータースケールで微細に分散させて、樹脂組成物の物性改善を行なう技術は、特許文献5や特許文献6等で既に公開されている。しかし、これらの技術では、当該樹脂組成物が著しく脆化する(非特許文献2)と言う課題があり、特に、加工性の良さが絶対条件である金属材料の被覆への適用は、困難であった。また、脆化を改善するために、当該樹脂組成物にゴムを添加したり、ゴム自体に有機化層状粘土鉱物をナノメータースケールで微細に分散する手法があるが、ゴムの分散径や分散構造や添加量が不適切であると、上述の物性改善を損なったり、金属材料への被覆が困難になったりすると言う課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭61−44439号公報
【特許文献2】特開昭62−255141号公報
【特許文献3】特開2003−12826号公報
【特許文献4】特開2000−15759号公報
【特許文献5】特開平8−333114号公報
【特許文献6】特開平10−182892号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】中條澄、ポリマー系ナノコンポジットの最新技術と応用、10頁、シーエムシー、2001年
【非特許文献2】中條澄、ナノコンポジットの世界、43頁、工業調査会、2000年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、従来よりも耐剥離性、耐候性、耐腐食性に優れ、かつ既存の装置でも困難無く工業生産が可能で、かつ耐疵付性に優れた金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、高温、多湿下の過酷な環境下で発生した上記の剥離状態を解析した結果、これらの剥離では、酸素や水蒸気等の腐食原因物質が被覆樹脂を透過し、金属材料-樹脂シート間へ侵入することで剥離が進行し、さらに、これらの剥離は、シート内の残留応力(特にせん断方向)が大きいほど、大きくなると言う知見から、本発明に至った。即ち、本発明は、金属材料-樹脂シート間の化学的な結合力を増加させることにのみ着目するのではなく、腐食原因物質の透過と、樹脂シート内の残留応力を積極的に低減することにより、密着性を確保し、上記剥離を防止することを実現し、かつ既存の装置でも困難無く工業生産が可能な技術である。本発明は、層状の無機物がナノメートルスケールで極微細に分散したポリオレフィンナノコンポジットに、ゴム成分を適正に添加、分散させて金属材料へ応用可能となるよう独自に改良したポリオレフィン系樹脂組成物、及びこれを用いた各種材料を要旨とする。
【0014】
本発明は、
(1) ポリオレフィン系樹脂(A)、層状無機物(B)、極性を持つ官能基を含有するオレフィン系オリゴマー(C)及びゴム状弾性体(D)を少なくとも含有することを特徴とする金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物であり、
(2) 前記樹脂組成物の組成が、ポリオレフィン系樹脂(A)を10質量%以上、層状無機物(B)を0.01〜50質量%、極性を持つ官能基を含有するオレフィン系オリゴマー(C)を0.3〜90質量%及びゴム状弾性体(D)を0.01〜50質量%である(1)記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物であり、
(3) 極性を持つ官能基を含有するポリオレフィン系樹脂(A’)、層状無機物(B)及びゴム状弾性体(D)を少なくとも含有することを特徴とする金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物であり、
(4) 前記樹脂組成物の組成が、極性を持つ官能基を含有するポリオレフィン系樹脂(A)を10質量%以上、層状無機物(B)を0.01〜50質量%、及びゴム状弾性体(D)を0.01〜50質量%である(3)記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物であり、
(5) 前記樹脂組成物が、ポリオレフィン系樹脂(A)又は極性を持つ官能基を含有するポリオレフィン系樹脂(A’)内に、層状無機物(B)及びゴム状弾性体(D)が分散している構造である(1)〜(4)のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物であり、
(6) 前記ゴム状弾性体(D)の長径が10μm以下である(1)〜(5)のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物であり、
(7) 前記ゴム状弾性体(D)の長径と短径との比が1以上40以下である(6)に記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物であり、
(8) 前記ゴム状弾性体(D)がオレフィン系ゴム状弾性体である(1)〜(7)のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物であり、
(9) 前記ポリオレフィン系樹脂(A)の流動指標(MFR(A))又は極性を持つ官能基を含有するポリオレフィン系樹脂(A’) の流動指標(MFR(A’))と前記ゴム状弾性体(D)の流動指標(MFR(D))との比(MFR(A)/MFR(D)又はMFR(A’)/MFR(D))が、0.005以上である(1)〜(8)のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物であり、
(10) 前記層状無機物(B)の長径が1μm以下である(1)〜(5)のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物であり、
(11) 前記層状無機物(B)の長辺と厚みの比(長辺/厚み)が10以上である(1)〜(5)又は(10)のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物であり、
(12) 前記層状無機物(B)が粘土鉱物である(1)〜(5)、(10)又は(11)のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物であり、
(13) 前記粘土鉱物がモンモリロナイトである(12)に記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物であり、
(14) (1)〜(13)のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物をフィルム成形してなる金属被覆用ポリオレフィン系樹脂フィルムであり、
(15) 金属材料の少なくとも一部に、少なくとも(1)〜(13)のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物を被覆してなる樹脂被覆金属材料であり、
(16) 金属材料の少なくとも一部に、少なくとも(14)に記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂フィルムを被覆してなる樹脂被覆金属材料であり、
(17) 前記金属材料が金属板である(15)又は(16)に記載の樹脂被覆金属材料である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物は、従来の樹脂組成物よりも、耐腐食性、耐疵つき性、被覆樹脂の耐剥離性が格段に向上しており、その結果、耐薬品性、耐候性等が要求される環境でも、従来以上に長寿命な材料を提供することができる。また、本発明の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物をフィルム成形することにより、層状無機物(B)がフィルムの面と平行な方位に配向するため、腐食原因物質のバリア性や弾性率がさらに向上したり、線膨張係数がさらに低減するため、さらに耐腐食性、耐疵つき性、被覆樹脂の耐剥離性がさらに向上しており、その結果、耐薬品性、耐候性等が要求される環境でも、さらに長寿命な材料を提供することができる。
【0016】
また、本発明の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物で被覆した金属材料は、下記の理由から、コスト的にも優れている。
1. 製造の際、被覆樹脂と金属材料を密着させる工程において、金属材料の表面処理や接着剤層の形成を行なわなくとも、熱プレスのみで密着させることが可能である。
2. 当該被覆ポリオレフィン樹脂はガスバリア性に優れているため、被覆ポリオレフィン樹脂を薄肉化しても十分腐食原因物質バリア性がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1のフィルム断面のTEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
本発明に使用するポリオレフィン系樹脂(A)及び極性を持つ官能基を含有するポリオレフィン系樹脂(A’)は、下記(式1)の繰り返し単位を有する樹脂を主成分にする樹脂である。主成分とは、(式1)の繰り返し単位を有する樹脂が、ポリオレフィン系樹脂(A)及び極性を持つ官能基を含有するポリオレフィン系樹脂(A’)の50質量%以上を構成することである。
【0020】
-CR1H-CR2R3- (式1)
(式中、R1、R2は各々独立に炭素数1〜12のアルキル基又は水素を、R3は炭素数1〜12のアルキル基、アリール基又は水素を示す)
本発明のポリオレフィン樹脂(A)及び極性を持つ官能基を含有するポリオレフィン系樹脂(A’)は、これらの構成単位の単独重合体でも、2種類以上の共重合体であってもよい。繰り返し単位は、5個以上化学的に結合していることが好ましい。5個未満では高分子効果が発揮し難い。繰り返し単位を例示すると、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン等の末端オレフィンを付加重合した時に現われる繰り返し単位、イソブテンを付加したときの繰り返し単位等の脂肪族オレフィンや、スチレンモノマーの他にo-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、o-エチルスチレン、o-t-ブチルスチレン、m-t-ブチルスチレン、p-t-ブチルスチレン等のアルキル化スチレン、モノクロロスチレン等のハロゲン化スチレン、末端メチルスチレン等のスチレン系モノマー付加重合体単位等の芳香族オレフィン等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂(A)を例示すると、末端オレフィンの単独重合体である低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、架橋型ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリへキセン、ポリオクテニレン等が挙げられる。上記単位の共重合体を例示すると、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-ヘキサジエン共重合体、エチレン-プロピレン-5-エチリデン-2-ノルボーネン共重合体等の脂肪族ポリオレフィンや、スチレン系共重合体等の芳香族ポリオレフィン等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、上記の繰り返し単位を満足していればよい。また、ブロック共重合体でもランダム共重合体でもよい。また、これらの樹脂は単独もしくは2種類以上混合して使用してもよい。
【0021】
取扱性、腐食原因物質のバリア性から最も好ましいのは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、架橋型ポリエチレン、ポリプロピレンもしくはこれらの2種類以上の混合物である。
【0022】
また、ポリオレフィン系樹脂(A)は、上記のオレフィン単位が主成分であればよく、上記の単位の置換体であるビニルモノマー、極性ビニルモノマー、ジエンモノマーがモノマー単位もしくは樹脂単位で共重合されていてもよい。共重合組成としては、上記単位に対して50質量%、好ましくは30質量%以下である。50質量%超では腐食原因物質に対するバリア性等のオレフィン系樹脂としての特性が低下する。極性ビニルモノマーの例としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸誘導体、アクリロニトリル、無水マレイン酸、無水マレイン酸のイミド誘導体、塩化ビニル等が挙げられる。
【0023】
また、ポリオレフィン系樹脂(A')の極性を持つ官能基の含有量は、本発明の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物のバルク物性に悪影響を与えないために、0.5μmol/g以上、10mmol/g以下が好ましく、より好ましくは1μmol/g以上、1mmol/g以下である。
【0024】
本発明に使用する層状無機物(B)とは、板状の無機物が積層したものである。マトリックスポリマー中に分散することによる物性改善の効果を高めるために、無機物結晶一層の厚さに対する長辺のアスペクト比は10〜100000、好ましくは50〜5000、さらに好ましくは100〜500である。無機物結晶は、天然物でも人工的に合成したものでもよい。天然物としては粘土鉱物が広く例示される。粘土鉱物は、イオン交換性、非イオン交換性のいずれでもよく、イオン交換性においては、カチオン交換性、アニオン交換性のいずれでもよい。カチオン交換性層状粘土鉱物は、スメクタイト系粘土鉱物等であり、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ボルコンスコアイト、サポナイト、鉄サポナイト、ソーコライト、ヘクトライト、スティブンライト等が挙げられる。アニオン交換性粘土鉱物としてはハイドロタルサイトが挙げられる。また、イオン交換性ではない粘土鉱物として、雲母、カオリナイト、緑泥石、バーミキュライト、パイロフィライト、ブルサイト等が挙げられる。ただし、本発明においては板状の無機物結晶であればよいので、これらに限定はされない。イオン交換性の粘土鉱物において、マトリックスポリマーとの親和性を高め、ナノメートルのオーダーの微細な分散を容易にするために、層間のNa+やMg2+等の金属カチオン又はアニオンを、有機カチオン又は有機アニオンと交換することで、有機化(親油化)した方が好ましい。有機化すると、マトリックスポリマーとの親和性向上に加え、層状粘土鉱物の層間距離が拡大するので、マトリックスポリマー中に分散させる際、層間にポリオレフィン系樹脂(A)や官能基を有するオレフィン系オリゴマー(C)が侵入し易くなり、分散性がより向上する。有機カチオン又は有機アニオンとしては、炭素数が2以上30以下、好ましくは6以上24以下のアルキル基を有するカチオン又はアニオンが好ましい。また、アリール基を含んでいてもよい。炭素数が2未満であると、有機カチオン又は有機アニオンの親水性が高まるために、ポリオレフィン系樹脂(A)やオレフィン系オリゴマー(C)に対する相溶性が低下する恐れがある。また、層状粘土鉱物のイオン交換容量は50〜200ミリ当量/100gであることが好ましい。イオン交換容量が50ミリ当量/100g未満だと有機カチオン又は有機アニオンのイオン交換による層状粘土鉱物の有機化が不十分になり易く、オレフィン系オリゴマーやポリオレフィン樹脂との相溶性を悪化させる恐れがある。また、200ミリ当量/100gを超える場合には、層状粘土鉱物の層間結合力が強固であるために、有機イオン交換による有機化が不十分になり易く、ポリマーの層間への介入が困難になり、ポリオレフィン系樹脂(A)やオレフィン系オリゴマー(C)との相溶性を悪化させる恐れがある。有機カチオンとして、アンモニウム、イミダゾリウム、ピリジニウム、フォスフォニウム等が挙げられる。具体例として、アンモニウムでは、ジメチルジステアリルアンモニウム、ジステアリルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、オクチルアンモニウム、2-ヘキシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、トリオクチルアンモニウム等、イミダゾリウムでは、メチルステアリルイミダゾリウム、ジステアリルイミダゾリウム、メチルヘキシルイミダゾリウム、ジヘキシルイミダゾリウム、メチルオクチルイミダゾリウム、ジオクチルイミダゾリウム、メチルドデシルイミダゾリウム、ジドデシルイミダゾリウム等、ピリジニウムでは、ステアリルピリジニウム、ヘキシルピリジニウム、オクチルピリジニウム、ドデシルピリジニウム等、フォスフォニウムでは、ジメチルジステアリルフォスフォニウム、ジステアリルフォスフォニウム、オクタデシルフォスフォニウム、ヘキシルフォスフォニウム、オクチルフォスフォニウム、2-ヘキシルフォスフォニウム、ドデシルフォスフォニウム、トリオクチルフォスフォニウム等を挙げることができる。これらは、単独で用いても、混合して用いてもよい。また、イオン交換量としては、粘土鉱物のイオン交換容量に対して、0.1〜4.0倍のイオン交換量が好ましく、特に好ましくは0.5〜2.0倍のイオン交換量である。イオン交換は、以下の方法によって行なう。カチオン交換性又はアニオン交換性粘土鉱物を良溶媒中で分散又は溶解させ、溶液(X)を得る。続いて、有機カチオン又は有機アニオンを良溶媒中で分散又は溶解させ、溶液(Y)を得る。上記の溶液(X)と溶液(Y)とを混合し、好ましくは十分に攪拌させ、溶媒をろ過や乾燥等の手段により取り除くことで、有機化した層状無機物(B)を得る。また、溶媒を取り除く手段は、ろ過や乾燥に限らず、他の手段であってもよい。
【0025】
本発明の樹脂組成物に含有する層状無機物(B)の分散径は、特に規定するものではないが、分散層状無機物(B)の粒子径が小さく、長辺と厚みのアスペクト比が大きいほど、樹脂相との界面面積が増加するので、少量の層状無機物(B)の添加でも剛性や機械強度の改善効果が大きくなる。具体的には1μm以下の粒径となって分散していることが好ましい。層状無機物(B)の粒径が1μm超では、樹脂との界面強度が不十分で、脆性破壊する場合がある。さらに好ましい無機層状物(B)の分散径は200nm以下であり、より好ましくは、100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、最も好ましくは、層状無機物(B)の層間に樹脂分子がインターカレートし、層状無機物(B)が単位層厚みの粒径となって樹脂相内に分散することが好ましい。長辺と厚みのアスペクト比は10〜100000、好ましくは50〜5000、さらに好ましくは100〜500である。この結果、金属材料の腐食原因物質がマトリックスポリマー中を透過する際に、層状無機物(B)が障害物となって、透過率が減少したり(迂回効果)、層状無機物(B)がマトリックスポリマーの運動の障害物となって、運動性を拘束して部材の線膨張係数を低減(寸法精度向上)、引張り強度や弾性率を向上させたり、耐クリープ性が向上したりする。
【0026】
さらに、本発明の樹脂組成物には層状無機物(B)が含有されていればよく、層状無機物(B)の分散状態は、特に規定するものではない。即ち、層状無機物(B)が全樹脂中に分散していても、マトリックス相や分散相のいずれか1部に分散していてもよいし、分散が偏在していてもよい。しかし、最も好ましいのは、マトリックス樹脂に層状無機物(B)が均一分散している構造である。連続相がバルクの機械特性を支配している場合が多く、マトリックス相に層状無機化合物を均一分散することにより、剛性や機械強度向上効果を発現し易い。
【0027】
層状無機物(B)の分散径や分散状態を確認する方法としては、電子顕微鏡で直接観察する方法と広角X線回折による特定結晶面のピークにより面間距離を算出する方法等が挙げられる。広角X線回折では、樹脂分子が層状無機物(B)の層間にインターカレーションすれば、結晶面ピークが低角側にシフトしたり、ブロードになるので、インターカレーションの程度が分かり、分散状態が予測できる。特に、結晶ピークが消滅した場合は、樹脂分子による層状無機物(B)の層間へのインターカレーションが進行して、層が剥離したことを意味し、層状無機物(B)が単位層厚みで樹脂内に分散している構造に対応する。
【0028】
本発明に使用する極性を持つ官能基を含有するオレフィン系オリゴマー(C)に含有される官能基は、オレフィン系オリゴマーに共有結合でグラフトした極性の高い化学構造を有する化学修飾基のことである。極性を持つ官能基(ポリオレフィン系樹脂が有する場合の極性を持つ官能基も同じ)としては、炭素原子と水素原子との間の共有結合は極性を有していないと考えられるのに対して、これら以外の原子を含む官能基は極性を有すると考えられ、それらを広く一般的に極性を持つ官能基と指称するが、特にポーリングの電気陰性度の差が0.39(eV)0.5以上ある元素が結合した官能基が好適である。極性を持つ官能基の例としては、酸無水物基、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、ウレタン基、エステル基、イミド基、マレイミド基、ハロゲン基、エーテル基、チオール基、エポキシ基等が挙げられる。前記官能基がオレフィン系オリゴマーに共有結合している部位は、オリゴマー分子の末端でも、分子鎖の途中であっても良い。層状粘土鉱物(B)との相溶性を考えると、上記の各種の官能基の内、水素結合性や高い極性相互作用を有する官能基である酸無水物基、水酸基、カルボキシル基、アミド基、ウレタン基、イミド基、マレイミド基、チオール基等が好ましく、中でも無水マレイン酸基が特に好ましい。官能基の含有量は、本発明の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物のバルク物性に悪影響を与えないために、オレフィン系オリゴマーに対し、0.5μmol/g以上、10mmol/g以下が好ましく、より好ましくは1μmol/g以上、1mmol/g以下である。オレフィン系オリゴマーとは、殆ど炭素及び水素のみの原子の組み合わせからなり、直鎖状あるいは分岐状の重合体を言う。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレンの共重合体等が、例として挙げられる。オレフィン系オリゴマーの内、特に好ましいのは、前述のポリオレフィン系樹脂(A)と同一の繰り返し単位を有するオレフィン系オリゴマーである。このようなオレフィン系オリゴマーは、ポリオレフィン樹脂に対して最も高い相溶性を示すからである。例えば、ポリオレフィン系樹脂(A)としてポリプロピレンを使用する場合には、オレフィン系オリゴマーとしてプロピレンオリゴマーを用いることが好ましい。オリゴマーの分子量は1000〜500000程度が好ましい。この範囲を逸脱したオリゴマーは、低分子量側では樹脂シートの物性を低下させたり、ポリオレフィン系樹脂(A)と層状粘土鉱物(B)の相溶性を悪化させたり、高分子量側ではオリゴマーと層状粘土鉱物との相溶性が悪化したりする恐れがある。
【0029】
本発明に使用するゴム状弾性体(D)は、ヤング率が10-1〜103MPaの範囲の有機化合物であればよく、具体的に例示すると、固形ゴム、熱可塑性エラストマー、液状ゴム、粉末ゴム等が挙げられる。中でもシート加工性から最も好ましいのが、固形ゴムと熱可塑性エラストストマーであり、ポリオレフィン系樹脂(A)との相溶性の観点から最も好ましいのが、前述の(式1)のユニットを主成分(50質量%以上)とするオレフィン系ゴム状弾性体である。具体的に好ましいオレフィン系ゴム状弾性体を例示すると、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ペンテン共重合体、エチレン-3-エチルペンテン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体等のエチレンと炭素数3以上のα-オレフィンの共重合体、もしくは、前記2元共重合体にブタジエン、イソプレン、5-メチリデン-2-ノルボーネン、5-エチリデン-2-ノルボーネン、シクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン等を共重合したエチレン、炭素数3以上のα-オレフィン及び非共役ジエンからなる3元共重合体である。その中でも、エチレン-プロピレン共重合体やエチレン-1-ブテン共重合体の2元共重合体、若しくは、エチレン-プロピレン共重合体やエチレン-1-ブテン共重合体に、非共役ジエンとして5-メチリデン-2-ノルボーネン、5-エチリデン-2-ノルボーネン、シクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエンを使用し、α-オレフィン量を20〜60モル%、非共役ジエンを0.5〜10モル%共重合した樹脂が、シート加工性から最も好ましい。
【0030】
本発明の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物のゴム状弾性体(D)の分散径を10μm以下、好ましくは3μm以下に制御し、ゴム状弾性体(D)の分散径の長軸と短軸との比を1以上40以下に制御、好ましくは20以下に制御することで、効果的に脆化を改善する。ゴム状弾性体(D)の分散径が10μm以下の範囲でマトリックスポリマー中に微細に分散させるには、ポリオレフィン系樹脂(A)と相溶性の良いゴム状弾性体(D)を選ぶことが好ましい。また、分散径の長軸と短軸の比を1以上40以下に制御するためには、ポリオレフィン系樹脂(A)の流動指標(MFR: Melt Flow Ratio)(230℃、2.16kg加重を加えた際にノズルから10分間で流出する樹脂質量(ASTM D 1238))(MFR(A))又は極性を持つ官能基を含有するポリオレフィン系樹脂(A’)の流動指標(MFR(A’))とゴム状弾性体(D)の流動指標(MFR(D))との比(MFR(A)/MFR(D)又は(MFR(A’)/MFR(D))が0.005以上20以下、好ましくは0.1以上10以下であるゴム状弾性体(D)を使用する。
【0031】
ゴム状弾性体(D)の分散径及び分散径の長軸と短軸の比は、以下の方法で測定される。シート断面を任意の方向に切り出し、ポリオレフィン系樹脂(A)相、ゴム状弾性体(D)相をそれぞれ識別可能な方法により識別観察し、分散径を測定する。具体的には、ゴム状弾性体(D)相のみを染色する溶媒で染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、ゴム状弾性体(D)相の分散径を測定する。測定する際に観察するゴム状弾性体(D)相の数は、特に規定しないが、統計上の有意性から20個以上が好ましく、より好ましくは30個以上の相を抽出して判別することが望ましい。分散径が粗大な場合、具体的には10μm以上では、添加量を増やさないと、衝撃や変形等を吸収できず、脆化する可能性がある。長軸と短軸の比が40超になると、樹脂組成物に異方性が発現し、金属材料に被覆した際、加工性に著しい悪影響をもたらす可能性がある。具体的には、ゴム状弾性体(D)の分散径の長軸と短軸の比が40超になると、長軸方向の破断伸びが著しく低下する。本樹脂組成物のゴム状弾性体(D)が5質量%において、分散径の長軸と短軸の比が1の場合、引張り破断伸びは500%程度であるが、この比が40超になると、長軸方向の破断伸びは100%以下になり、金属材料に被覆して加工を施すのに耐えられない場合がある。
【0032】
本発明の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物では、前記の成分(A)、(B)、(C)、(D)を使用目的に応じて任意の比率にすることができ、特に限定するものではない。具体的にはガスバリア性や剛性を向上させたい場合は層状無機物(B)を多く、柔軟性を向上させたい場合はゴム状弾性体(D)を多くさせる等が挙げられる。ただし、ポリオレフィン系樹脂(A)及び極性を持つ官能基を含有するポリオレフィン樹脂(A’)の特徴である耐水性、耐薬品性を活かすためには、ポリオレフィン系樹脂(A)又は極性を持つ官能基を含有するポリオレフィン樹脂(A’)を10質量%以上含有していることが好ましく、特に好ましい範囲は20〜99.6質量%である。また、金属材料に被覆することを考慮すると、脆化を防ぐために、層状無機物(B)は0.01〜50質量%が好ましく、特に好ましい範囲は0.01〜30質量%である。また、層状無機物(B)としては、モンモリロナイトが好ましい。また、ポリオレフィン樹脂(A)のマトリックスポリマー中にナノスケールで微細に分散させるには、層状無機物(B)と極性を持つ官能基を含有するオレフィン系オリゴマー(C)の質量比、(B)成分/(C)成分が1.6以下であることが好ましい。これが1.6超であるとマトリックスポリマー中に良好に分散しなくなる恐れがある。また、極性を持つ官能基を含有するオレフィン系オリゴマー(C)は、バルク物性に悪影響を与えないために、0.3〜90質量%であることが好ましく、特に好ましくは3〜60質量%である。また、ゴム状弾性体(D)は、添加し過ぎるとガスバリア性等に悪影響を与えるため、0.01〜50質量%であることが好ましく、特に好ましくは1〜30質量%である。
【0033】
本発明の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法を述べる。
【0034】
前記(A)〜(D)の成分を一括して2軸混練押出し機等で溶融混練し、金属材料を被覆する樹脂組成物を製造することができる。溶融混練後、マトリックスポリマー中に層状無機物(B)が単層又は数層単位で微細に分散した樹脂組成物を得られ、このとき、混練条件が不適切だと、層状無機物(B)がナノスケールでマトリックスポリマー中に微細に分散せずに、凝集したり、マトリックスポリマーの熱分解が進行したりする可能性があり、十分効果を発揮する樹脂組成物を得辛い。混練時間は2分〜20分、混練温度は150℃〜270℃、平均せん断速度は20/s〜1000/sの条件で混練することが好ましい。ここで言う混練時間とは、樹脂が混練機により溶融、攪拌、混合されている合計時間を指す。混練時間が2分未満だと、層状無機物(B)が分散するための時間が不十分なので、凝集した粒子(粒径100〜300μm)のままであり、ナノスケールでマトリックスポリマー中に微分散することによる物性改善の効果を得辛い。混練時間が20分より長いと、層状無機物(B)を有機化する有機カチオンや有機アニオンの熱分解が進行して、層状無機物(B)が凝集し易くなり、また、マトリックスポリマーの熱分解も進行するため、物性改善の効果を得辛い。また、混練温度が150℃未満だと、層状無機物(B)が分散するための種々分子の熱振動エネルギーが不十分で、凝集した粒子(粒径100〜300μm)のままであり、ナノスケールでマトリックスポリマー中に微分散することによる物性改善の効果を得辛い。混練温度が270℃より高いと、層状無機物(B)を有機化する有機カチオン又は有機アニオンの熱分解が進行して、層状無機物(B)が凝集し易くなり、また、マトリックスポリマーの熱分解も進行するため、物性改善の効果を得辛い。平均せん断速度が20/s未満だと、層状無機物(B)の凝集状態を崩してナノスケールの微分散状態へ進行させるのに必要なエネルギーが不十分であり、物性改善の効果を得辛い。平均せん断速度が1000/sより大きいと、層状無機物(B)一層一層の板状構造が壊されて、アスペクト比が低下する可能性があり、物性改善の効果を得辛い。混練時間が6分〜10分、混練温度が235℃〜250℃、平均せん断速度が50/s〜500/sの条件で混練することが、さらに好ましい。
【0035】
本発明の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂(A)と層状無機物(B)とオレフィン系オリゴマー(C)とゴム状弾性体(D)を含有、又は、極性を持つ官能基を含有するポリオレフィン系樹脂(A’)と層状無機物(B)とゴム状弾性体(D)を含有していればよく、本発明の樹脂組成物の特性を阻害しない範囲で他の樹脂、もしくは2種以上の他の樹脂と混合して使用してもよい。
【0036】
上記の手段により製造した樹脂組成物をTダイス付きの押し出し機等で溶融混練して、シート又はフィルムに成形する。この場合は1軸もしくは2軸方向に延伸してもよく、特に限定されるものではない。当該シートやフィルムを熱圧着又は熱プレス等により金属材料に被覆する。本樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂(A’)やオレフィン系オリゴマー(C)に含有される極性を持つ官能基が鋼材表面と相互作用して密着力を発生させ、さらに層状無機物を添加してナノスケールで分散させることにより線膨張係数が低減し、結果として残留応力が低減、樹脂シートと鋼材は良好に密着するので、耐剥離性が劇的に向上する。
【0037】
また、上述のシートやフィルムの上層又は下層の一方又は双方に、他のシートやフィルムが単層又は複層で積層してもよい。具体的には、上層には、アクリルフィルム等を積層して耐候性を向上したり、ポリエステル系のフィルムを積層して表面硬度を向上したり、また、印刷層を設けて意匠性を向上したり、あるいは、難燃、可塑、帯電防止、抗菌抗カビ層を積層することもできる。また、下層には、接着力を増加するために公知の接着材層を積層することもできる。
【0038】
本発明の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルムやシートは、広く金属材料の表面の全部又は一部の被覆材として使用することができる。本発明の金属材料被覆用樹脂組成物の形態は、金属材料に被覆した際に層状に被覆されていればよく、特に厚みや被覆前の形状を規定するものではない。しかし、一般的に好ましい本樹脂シートの厚みの範囲は0.5μm以上50mm以下である。0.5μm未満では十分な耐腐食性が発現できない場合があり、50mm超では経済メリットが発現し難い。
【0039】
また、被覆前の形状も金属材料の最終加工形状に応じて選択でき、管である場合はパイプ形状の成形物を、矢板の場合はシート形状の成形物を選択して被覆することも可能である。適用する金属種も特に限定するものではないが、特に鋼材では具体的には、型鋼、線材等の条鋼、UO鋼管、スパイラル鋼管、シームレス鋼管、電縫管、たん接管等の鋼・配管、厚板鋼板、熱・冷延鋼板等の圧延材、ブリキ、薄錫めっき鋼板、電解クロム酸処理鋼板(ティンフリースチール)、ニッケルめっき鋼板等の缶用鋼板や、溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛-鉄合金めっき鋼板、溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板、溶融アルミニウム-シリコン合金めっき鋼板、溶融鉛-錫合金めっき鋼板等の溶融めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛-ニッケルめっき鋼板、電気亜鉛-鉄合金めっき鋼板、電気亜鉛-クロム合金めっき鋼板等の電気めっき鋼板等の表面処理鋼板、電磁鋼板、ステンレス鋼板等の機能鋼板等が挙げられる。
【0040】
本発明の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物を金属材料に被覆する際には、公知の方法が使用できる。具体的には、(1)本樹脂組成物をTダイス付きの押し出し機で溶融混練してフィルム状にし、押し出し直後に金属材料に熱圧着する方法、(2)事前に押し出しもしくは成形したフィルム(この場合は1軸もしくは2軸方向に延伸してもよい)を熱圧着する方法、(3)樹脂組成物を溶融してバーコーターやロールでコーティングする方法、(4)溶融した樹脂組成物に金属材料を漬ける方法、(5)組成物を溶媒に溶解してスピンコートする方法等により、金属材料に被覆することが可能であり、被覆方法は特に限定されるものではない。中でも、作業能率から金属材料への被覆方法として最も好ましいのは、上記(1)及び(2)の方法である。さらに、フィルムの表面は、フィルム表面粗度を任意に1mm長粗度測定した結果が、rmaxで1μm以下、好ましくは500nm以下であることが好ましい。1μm超では、熱圧着で被覆する際に、気泡を巻き込む場合がある。
【0041】
また、金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物を鋼材に被覆する際には、鋼材を下地処理しておくのが好ましい。下地処理をすることにより、本発明の樹脂シートと鋼材との化学的な密着力を増加でき、本樹脂シートによる残留応力低減効果と相乗して、一層の接着力増強効果が発現できる。具体的には、必要に応じて鋼材表面の油分、スケール除去処理をした後、化成処理する方法が、鋼材下地処理として挙げられる。スケール除去処理法を例示すると、酸洗、サンドブラスト処理、グリッドブラスト処理等、化成処理法を例示するとクロメート処理、Cr+6を使用しないノンクロメート処理、エポキシプライマー処理、シランカップリング処理、チタンカップリング処理等が挙げられる。中でも酸洗、サンドブラスト処理後、クロメート処理又はノンクロメート処理、エポキシプライマー処理を併用した下地処理が、樹脂シートと鋼板との化学的な密着力を強化する観点から最も好ましい。
【0042】
さらに、鋼材と本発明の樹脂シートとの化学的な密着力を一層増加するために、鋼材表面上、より好ましくは、上記の下地処理をした鋼材表面上に接着剤層を設け、その上層に樹脂シートを積層することが好ましい。接着剤層には公知の接着剤を広く使用できるが、好適に使用できる接着剤を例示すると、前記の極性ビニルモノマー等により極性基を導入したポリオレフィン系樹脂が挙げられる。オレフィン成分により本発明の樹脂組成物中のポリオレフィン系樹脂(A)との相溶性、従って本発明の樹脂組成物/接着剤間の密着力を確保し、極性基と鋼材との化学的な相互作用により鋼材/接着剤間の密着力を増加できる。具体的な樹脂系は、鋼材の表面性状や本発明の樹脂フィルムの成分系に応じて決定されるが、極性基としてカルボキシル基、カルボキシル基の金属塩、酸無水物基、アミド基、アミノ基、エポキシ基、アルコール基の中の1種もしくは複数を含有するポリオレフィン系樹脂が、好適に接着剤として使用できる。鋼材表面上に、接着剤層、本発明の樹脂フィルムの順で積層する方法を具体的に例示すると、2層押し出し等の方法で下層に接着剤樹脂、上層に本樹脂フィルムの積層フィルムを作製し、鋼材表面に積層する方法、接着剤樹脂及び本樹脂シートを単独で成形し、鋼材表面ラミネートする際に積層する方法等が挙げられ、効率から前者が好ましい。積層時には、接着剤層樹脂を可塑化して十分なアンカー効果を発現したり、鋼材/接着剤間の化学的な相互作用を増強するために、接着剤樹脂の融点以上に鋼材を加熱することが好ましい。
【実施例】
【0043】
(実施例1〜10)
ポリオレフィン系樹脂(A)、層状無機物(B)、極性を持つ官能基を含有するオレフィン系オリゴマー(C)及びゴム状弾性体(D)として、それぞれ表1及び表2の原料を使用した。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
表3の組成比で、日本製鋼所(株)製2軸混練押出機TEXを使用して、当該樹脂組成物を作製した(混練時間:6分、混練温度:245℃、平均せん断速度:50/s)。次に、当該樹脂組成物ペレットを使用して、Tダイスを装着した押出し成形機(溶融温度:250℃)により、フィルム(幅300mm、厚み50μm)を成形した。
【0047】
ミクロトーム及びRuO4染色超薄切片法にて、フィルムの成形方向に対し垂直な方向断面の超薄切片(50nm厚)を作製し、透過型顕微鏡(TEM)で観察した。
【0048】
【表3】

【0049】
本発明の樹脂組成物から得られたいずれのフィルムにおいても、マトリックスポリマー中にMMT(有機変性モンモリロナイト)とEBM(エチレン−ブテンゴム)とがナノスケールで微細に分散し(MMTは50〜300nm、EBMは1〜100nm)、EBMの分散径の長軸と短軸の比は2以下であった。代表例として、実施例1のフィルム断面のTEM観察結果を図1に示す。黒い筋状に見えるのがMMT、黒い球状に見えるのがEBMである。
【0050】
上記フィルムを304ステンレス箔(50μm厚)に200℃、10kg/cm2で熱圧着した。熱圧着後、室温で冷却して、1cm×8cmの短冊状に切り出し、ステンレス箔の反りの大きさによりフィルムの残留応力を評価した。ステンレス箔の反りは、いずれも9mm以下であり、端部剥離等の剥離は確認されなかった。
【0051】
また、上記のフィルムの密着強度をピール試験(23℃、180°ピール、引張り速度20mm/min)で測定した(表3)。
【0052】
(比較例1〜12)
表3の組成比で、実施例1〜10と同様にフィルム成形し、酸素透過度と水蒸気透過度を測定した。同一の樹脂系で実施例と比較した場合(実施例1〜5と比較例1〜6、実施例6〜10と比較例7〜12)、いずれも酸素透過度と水蒸気透過度が大きく、ガスバリア性が劣った。また、当該フィルムを、実施例1〜10と同様に、304ステンレス箔に熱圧着し、残留応力の評価と密着強度の測定を行なった。市販品のPP(EA7A)のみではステンレス箔に全く密着せず、その他のいずれも実施例1〜10と比較してステンレス箔の反りが大きく(残留応力が大きく)、端部剥離が確認された。また、いずれも実施例1〜10と比較して、密着強度が小さく、本発明のフィルムよりも鋼材密着性が劣った。
【0053】
(実施例11〜20)
実施例1〜10の樹脂組成物のペレットを使用して、射出成形機(溶融温度:230℃、最大せん断速度:1000/s)及び丸ダイスを使用した押し出し成形機(溶融温度:230℃、最大せん断速度100/s)により、シート(150×150×2.5mm)を成形した。次に、脱脂、グリットブラスト処理した鋼板(75×150×6mm)表面にクロメート処理剤を塗布し、160℃で加熱処理した。その後、鋼板を200℃に加熱し、表面にエポキシプライマーを塗布した。さらに、200℃で加熱しながら、形成したシートを積層、圧着して、鋼板表面に本シートを接着した。接着後、シート面から水冷し、室温まで鋼板を冷却した。
【0054】
本樹脂被覆鋼板を60℃の3質量%食塩水に60日間浸漬した後、ハンマーにてシートを強制剥離し、鋼板表面から剥離した接着剤層の面積を定量化し、剥離度合いを評価した。本実施例の剥離表面は、いずれも20%以下で、端部からの剥離は殆ど進行していなかった(表4)。さらに、本鋼板を使用して、ASTM G8に準拠した陰極剥離試験を実施し(3質量%食塩水を使用、浸漬温度100℃、ホリディ:6mmφ、鋼板電位:-1.38V vs Ag/AgCl)、14日間浸漬した後の剥離状況を、ホリディ中心から最も遠い剥離点までの距離で定量評価した。いずれの鋼板でも、剥離長はホリディ半径の4倍以下であった(表4)。
【0055】
(比較例13〜24)
比較例1〜12の樹脂組成物のペレットを使用して、実施例11〜20と同様にシートを成形し、鋼板表面に接着して、端部、陰極剥離を評価した。実施例11〜20に比較して、いずれの剥離も大きく、実施例の樹脂シートよりも鋼材密着性が劣った(表4)。
【0056】
【表4】

【0057】
(実施例21)
ポリオレフィン系樹脂(A)、層状無機物(B)、極性を持つ官能基を含有するオレフィン系オリゴマー(C)及びゴム状弾性体(D)として、それぞれ表5の原料を使用した。
【0058】
【表5】

【0059】
表5のハイドロタルサイト100gを80℃の水5000mLに分散させた。次いで、ステアリン酸ナトリウム28gを80℃の水2500mLに溶解し、この溶液を先のハイドロタルサイト分散液中に加えたところ、沈殿物を得た。この沈殿物をろ過し、80℃の水で3回洗浄した後に乾燥することにより、有機化したハイドロタルサイトを得た。表5のポリオレフィン系樹脂(A)を75質量%、前記の有機化したハイドロタルサイトを層状無機物(B)として5質量%、表5の極性を持つ官能基を含有するオレフィン系オリゴマー(C)及びゴム状弾性体(D)をそれぞれ15質量%、5質量%の組成比で、日本製鋼所(株)製2軸混練押出機TEXを使用して、当該樹脂組成物を作製した(混練時間:6分、混練温度:245℃、平均せん断速度:50/s)。次に、当該樹脂組成物ペレットを使用して、Tダイスを装着した押出し成形機(溶融温度:250℃)により、フィルム(幅300mm、厚み50μm)を成形した。
【0060】
ミクロトーム及びRuO4染色超薄切片法にて、フィルムの成形方向に対し垂直な方向断面の超薄切片(50nm厚)を作製し、透過型顕微鏡(TEM)で観察した。マトリックスポリマー中に、ハイドロタルサイトとEBMとがナノスケールで微細に分散し(ハイドロタルサイトは50〜300nm、EBMは1〜100nm)、EBMの分散径の長軸と短軸の比は2以下であった。
【0061】
上記フィルムを304ステンレス箔(50μm厚)に200℃、10kg/cm2で熱圧着した。熱圧着後、室温で冷却して、1cm×8cmの短冊状に切り出し、ステンレス箔の反りの大きさにより、フィルムの残留応力を評価した。ステンレス箔の反りは8.5mmであり、端部剥離等の剥離は確認されなかった。
【0062】
また、上記のフィルムの密着強度をピール試験(23℃、180°ピール、引張り速度20mm/min)で測定した(表7)。比較例1〜6と比較して密着強度が大きく、鋼材密着性が優れた。
【0063】
(実施例22)
ポリオレフィン系樹脂(A)、層状無機物(B)、極性を持つ官能基を含有するオレフィン系オリゴマー(C)及びゴム状弾性体(D)として、それぞれ表6の原料を使用した。
【0064】
【表6】

【0065】
表6のカオリナイトは、岐阜県多治見市産の蛙目粘土を重液法により分離して得た。重液法の手順を次に示す。40mgの粘土鉱物に対し、20〜30mLの1mol/Lの塩化マンガンの溶液を加え、よく振ってろ過し、さらに新しく塩化マンガンの溶液を加えて分散させた。この操作を5回繰り返し、十分に粘土粒子を塩化マンガン溶液と接しさせた。次に、過剰の電解質を除くため、20mLのメタノール(無水)で洗い、さらに新しいメタノールで繰り返し洗い、この洗浄を5回繰り返した後、余分のメタノールを流し出し、メタノールで湿ったままの粘土を重液中に入れた。重液はテトラブロムエタンとニトロベンゼンの混合液を使用した。重液は比重2.46〜2.50の間を0.04間隔でつくり、各々を遠心分離管の中に入れ、2000回転/分で12〜14時間分離した。カオリナイトの比重は2.48であり、当該粘土に含まれる他の粘土鉱物ではカオリナイト以外存在しないので、当該比重で分離された粘土鉱物をカオリナイトとして使用した。カオリナイトの有機化を行なうにあたっては、水1000gに分散させたカオリナイト100gにヘキシルトリエトキシシラン30gを加えた後、希塩酸10mLを加え、80℃で2時間攪拌した。ろ過後、乾燥した。表6のポリオレフィン系樹脂(A)を75質量%、前記の有機化したカオリナイトを層状無機物(B)として5質量%、表6の極性を持つ官能基を含有するオレフィン系オリゴマー(C)及びゴム状弾性体(D)をそれぞれ15質量%、5質量%の組成比で、日本製鋼所(株)製2軸混練押出機TEXを使用して、当該樹脂組成物を作製した(混練時間:6分、混練温度:245℃、平均せん断速度:50/s)。次に、当該樹脂組成物ペレットを使用して、Tダイスを装着した押出し成形機(溶融温度:250℃)により、フィルム(幅300mm、厚み50μm)を成形した。
【0066】
ミクロトーム及びRuO4染色超薄切片法にて、フィルムの成形方向に対し垂直な方向断面の超薄切片(50nm厚)を作成し、透過型顕微鏡(TEM)で観察した。マトリックスポリマー中に、カオリナイトとEBMとがナノスケールで微細に分散し(カオリナイトは50〜300nm、EBMは1〜100nm)、EBMの分散径の長軸と短軸の比は2以下であった。
【0067】
上記フィルムを304ステンレス箔(50μm厚)に、200℃、10kg/cm2で熱圧着した。熱圧着後、室温で冷却して、1cm×8cmの短冊状に切り出し、ステンレス箔の反りの大きさにより、フィルムの残留応力を評価した。ステンレス箔の反りは8.5mmであり、端部剥離等の剥離は確認されなかった。
【0068】
また、上記のフィルムの密着強度をピール試験(23℃、180°ピール、引張り速度20mm/min)で測定した(表7)。比較例1〜6と比較して、密着強度が大きく、鋼材密着性が優れた。
【0069】
【表7】

【0070】
以上、実施例1〜22と比較例1〜24の比較により、本発明のフィルムは、従来のポリオレフィンフィルムよりも、残留応力が低減可能であり、従って、端部剥離を低減する、即ち、フィルムと金属材料との密着力を増加できることを確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂(A)、層状無機物(B)、極性を持つ官能基を含有するオレフィン系オリゴマー(C)及びゴム状弾性体(D)を少なくとも含有することを特徴とする金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項2】
前記樹脂組成物の組成が、ポリオレフィン系樹脂(A)を10質量%以上、層状無機物(B)を0.01〜50質量%、極性を持つ官能基を含有するオレフィン系オリゴマー(C)を0.3〜90質量%及びゴム状弾性体(D)を0.01〜50質量%である請求項1記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項3】
極性を持つ官能基を含有するポリオレフィン系樹脂(A’)、層状無機物(B)及びゴム状弾性体(D)を少なくとも含有することを特徴とする金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項4】
前記樹脂組成物の組成が、極性を持つ官能基を含有するポリオレフィン系樹脂(A)を10質量%以上、層状無機物(B)を0.01〜50質量%、及びゴム状弾性体(D)を0.01〜50質量%である請求項3記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項5】
前記樹脂組成物が、ポリオレフィン系樹脂(A)又は極性を持つ官能基を含有するポリオレフィン系樹脂(A’)内に、層状無機物(B)及びゴム状弾性体(D)が分散している構造である請求項1〜4のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項6】
前記ゴム状弾性体(D)の長径が10μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項7】
前記ゴム状弾性体(D)の長径と短径との比が1以上40以下である前記請求項6記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項8】
前記ゴム状弾性体(D)がオレフィン系ゴム状弾性体である請求項1〜7のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項9】
前記ポリオレフィン系樹脂(A)の流動指標(MFR(A))又は極性を持つ官能基を含有するポリオレフィン系樹脂(A’) の流動指標(MFR(A’))と前記ゴム状弾性体(D)の流動指標(MFR(D))との比(MFR(A)/MFR(D)又はMFR(A’)/MFR(D))が、0.005以上である請求項1〜8のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項10】
前記層状無機物(B)の長辺が1μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項11】
前記層状無機物(B)の長辺と厚みの比(長辺/厚み)が10以上である請求項1〜5又は10のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項12】
前記層状無機物(B)が粘土鉱物である請求項1〜5、10又は11のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項13】
前記粘土鉱物がモンモリロナイトである請求項12に記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物をフィルム成形してなる金属被覆用ポリオレフィン系樹脂フィルム。
【請求項15】
金属材料の少なくとも一部に、少なくとも請求項1〜13のいずれかに記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂組成物を被覆してなる樹脂被覆金属材料。
【請求項16】
金属材料の少なくとも一部に、少なくとも請求項14記載の金属被覆用ポリオレフィン系樹脂フィルムを被覆してなる樹脂被覆金属材料。
【請求項17】
前記金属材料が金属板である請求項15又は16に記載の樹脂被覆金属材料。

【図1】
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【公開番号】特開2012−52144(P2012−52144A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−271273(P2011−271273)
【出願日】平成23年12月12日(2011.12.12)
【分割の表示】特願2004−275111(P2004−275111)の分割
【原出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】