説明

金属被覆鉄ストリップ

ストリップの少なくとも片面上に金属合金の被覆を有する鉄ストリップが開示される。この金属合金は主要元素としてアルミニウム、亜鉛、ケイ素、及びマグネシウムを含む。この金属合金は、ストロンチウム及び/又はカルシウム及び不可避的な不純物及び要すれば意図的な合金化元素として存在するその他の元素をも含む。マグネシウムの濃度は少なくとも1重量%であり、(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度は50ppmを上回る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はストリップを金属合金の溶融浴中で熱浸漬被覆することによりストリップの上に形成される耐腐食性金属被覆を有する鉄ストリップに関する。
【0002】
本発明は、具体的に、合金中の主要元素としてアルミニウム−亜鉛−ケイ素−マグネシウムを含有する耐腐食性金属合金被覆に関する。この合金は、それゆえこれ以降「Al−Zn−Si−Mg合金」と称される。そしてこれはストロンチウム及び/又はカルシウム及び不可避的な不純物及び要すれば意図的な合金化元素として存在するその他の元素をも含む。
【0003】
本発明は、排他的ではなく具体的に、上述のAl−Zn−Si−Mg合金で被覆されて、冷間形成により(例えば、ロール形成(roll forming)により)屋根葺き材のような末端使用製品に形成可能な金属被覆鉄ストリップに関する。
【0004】
本発明は、排他的ではなくより具体的に、小さいスパンコール(spangles)を有する耐腐食性被覆、すなわち0.5mm未満のオーダーの平均スパンコール寸法を有する被覆を有する上記段落に記載したタイプのAl−Zn−Si−Mg合金被覆鉄ストリップに関する。
【背景技術】
【0005】
典型的には、Al−Zn−Si−Mg合金は重量%における以下の範囲のアルミニウム、亜鉛、ケイ素、及びマグネシウムの元素を含有する:
【0006】
アルミニウム: 40〜60重量%;
亜鉛: 40〜60重量%;
ケイ素: 0.3〜3重量%;及び
マグネシウム: 0.3〜10重量%。
【0007】
従来の熱浸漬金属被覆法では、鉄ストリップは一つ以上の熱処理炉を通過し、その後被覆ポットに含まれるアルミニウム−亜鉛−ケイ素合金のような溶融金属合金の浴に入り通過する。熱処理炉は、ストリップが炉の中を水平に移動するように配置される。また、熱処理炉は、ストリップが炉の中を垂直に移動し、一連の上部及び下部ガイドローラーをめぐって通過する。被覆ポットに隣接した熱処理炉は浴の上側表面より下の位置に下方向に延びる突出ノーズを有する。通常、金属合金は加熱インダクタを用いて被覆ポット中に溶融して維持される。通常は、ストリップは浴の中に漬かっている伸長された炉の排出シュート又はノーズの形状における排出最終区域を通って熱処理炉を出る。浴の内部でストリップは一つ以上の浸漬ロールの周囲を通過し、上方向に浴の外部に引き取られて、浴を通過するにつれてそれは金属合金で被覆される。被覆浴を出た後に金属合金被覆ストリップは、ガスナイフ又はガス拭き取りステーションのような被覆厚さ制御ステーションを通過し、そこで被覆表面が拭き取りガスのジェットで処理されて、被覆の厚さが制御される。次いで、金属合金被覆ストリップは冷却区画を通過し強制的に冷却される。その後、冷却された金属合金被覆ストリップは、要すれば、その被覆されたストリップを引き続いてスキンパス圧延区画(skin pass rolling section)(焼きなまし(temper)圧延区画としても知られている。)及び張力均等化区画を通過させることにより調整される。調整されたストリップは巻き取りステーションで巻き取られる。
【0008】
一般的な意味で、本発明は、被覆の耐腐食性、延性、美的外観、表面欠陥を組み合わせた特性の観点から、現在入手可能な製品と比較した場合に改良されている製品である、金属合金被覆鉄ストリップを提供することを目的とする。
【0009】
ここで「表面欠陥」という用語は、出願人が「粗被覆」及び「ピンホール−無被覆」の欠陥と記載した被覆の表面上の欠陥を意味する。
【0010】
典型的には、「粗被覆」の欠陥は、1mm以上の長さのストリップにわたって、被覆中に厚さ10ミクロメートル及び厚さ40ミクロメートルの間で厚さが変化するという実質的な変動を有する領域をいう。
【0011】
典型的には、「ピンホール−無被覆」の欠陥は、被覆されていない非常に小さい領域(直径0.5mm未満)をいう。
【0012】
本出願人名義の国際出願PCT/AU2004/000345(WO2004/083480)には、アルミニウム−亜鉛−ケイ素合金、これはマグネシウムをも含んでよい、で被覆された鉄ストリップ上の上述のタイプの表面欠陥を制御する方法が記載されており、その方法は、引き続いて鉄ストリップを熱処理炉及び溶融したアルミニウム−亜鉛−ケイ素合金の浴に通過させ、そして:
(a)熱処理炉中で鉄ストリップを熱処理する工程;及び
(b)溶融浴中でそのストリップを熱浸漬被覆し、そのことにより鉄ストリップの上に合金の被覆を形成する工程;
を包含し、この方法は、溶融浴中の(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムの濃度が少なくとも2ppmに制御することにより特徴付けられる。
【0013】
この国際出願は次のように述べている。(a)出願人は溶融浴の表面上の酸化物が上述の表面欠陥の一つの主要な理由と考えている。(b)表面の酸化物は、溶融浴の金属合金と隣接する熱処理炉の突出ノーズ(snout)中の溶融浴上部の水蒸気との間の反応の結果溶融浴中の金属から形成される固体酸化物である。(c)表面酸化物は、ストリップが溶融浴に侵入して酸化物の層を通過する際にストリップによって拾われる。
【0014】
この国際出願は、少量のストロンチウム及びカルシウムが別々に及び組合せにおいて溶融浴中でノーズ中の溶融表面上に形成される酸化物を抑制するかその性質を改善し、そのことにより鉄ストリップ上の表面欠陥の数が減少することの発見に基づいている。
【0015】
この国際出願の一般的な教示では、ストロンチウム及び/又はカルシウムの量は2ppmの最小値から150ppmの最大値が好ましいと言及されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
この国際出願を行って以降の追加の業務において、出願人は、溶融浴中のマグネシウムが溶融表面上に形成される酸化物に対して予想されていたよりも悪い影響を与えることに気付いた。マグネシウムは被覆ストリップに耐腐食性を付与するためにマグネシウムは金属合金において重要な元素であり、これは重大な問題である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の事項を考慮して、出願人は、Al−Zn−Si−Mg合金、特にマグネシウム濃度が1%を超えるようなAl−Zn−Si−Mg合金では、Al−Zn−Si合金に要求されるよりも高濃度のストロンチウム及び/又はカルシウムを用いることが重要であることを認識した。
【0018】
また、出願人は、隣接する熱処理炉の突出ノーズ外部の浴表面上の酸化物ドロス形成に関し、溶融浴中の濃度レベルを維持する問題−ストロンチウム及びカルシウム自身の酸化により過多損失が発生するために、Al−Zn−Si−Mg合金を含有する溶融金属合金浴中のストロンチウム及び/又はカルシウムの量に上限があることを認識した。
【0019】
かかる状況で、出願人は、1〜5重量%のMgを含有するAl−Zn−Si−Mg合金については、典型的には50ppmより多く100ppm未満の(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度が必要と考えている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の方法によるAl−Zn−Si−Mg合金で被覆された鉄ストリップを製造するための連続製造ラインの一つの実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一般的には、本発明は、ストリップの少なくとも片面上に金属合金の被覆を有する鉄ストリップであって、該金属合金は主要元素としてアルミニウム、亜鉛、ケイ素、及びマグネシウム(「Al−Zn−Si−Mg」)を含み、ストロンチウム及び/又はカルシウム及び不可避的な不純物及び要すれば意図的な合金化元素として存在するその他の元素をも含み、マグネシウムの濃度は少なくとも1重量%であり、(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度が50ppmを上回る、鉄ストリップを提供する。
【0022】
ストロンチウム及びカルシウムは別々に又は組み合わせて添加されうる。
【0023】
好ましくは、(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度は60ppmを上回る。
【0024】
好ましくは、(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度は0.2重量%未満である。
【0025】
より好ましくは、(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度は150ppm未満である。
【0026】
典型的には、(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度は100ppm未満である。
【0027】
好ましくは、マグネシウムの濃度は10重量%未満である。
【0028】
好ましくは、マグネシウムの濃度は5重量%未満である。
【0029】
好ましくは、マグネシウムの濃度は3重量%未満である。
【0030】
好ましくは、マグネシウムの濃度は少なくとも0.5重量%である。
【0031】
好ましくは、マグネシウムの濃度は少なくとも1重量%及び5重量%未満である。
【0032】
好ましくは、マグネシウムの濃度は1.5重量%及び3重量%の間である。
【0033】
好ましくは、アルミニウム、亜鉛、ケイ素、及びマグネシウムの合金は、はベツレヘム・スチール・コーポレーション名義の国際出願PCT/US00/23164(WO01/27343号公報)に記載されているような、二ホウ化チタン変性合金である。この国際出願の明細書の開示はここに相互参照として組み込まれる。この国際出願には、二ホウ化チタンがアルミニウム−亜鉛−ケイ素合金のスパンコール(spangle)寸法を最少にすることが開示されている。
【0034】
アルミニウム、亜鉛、ケイ素、及びマグネシウム合金はその他の元素を含有しうる。例示の目的で、その他の元素には、インジウム、スズ、ベリリウム、チタン、銅、ニッケル、コバルト、及びマンガンのいずれか一種以上が含まれる。
【0035】
好ましくは、アルミニウム、亜鉛、ケイ素、及びマグネシウムの合金は、例えば溶融浴中における汚染による痕跡量にて存在するものとは異なる、意図的な合金の要素としてバナジウム及び/又はクロムを含有しない。
【0036】
ここで「不可避的な不純物」の用語は、それら元素を具体的に添加したことの結果としてではなく通常の製造の結果として、典型的には比較的少量存在する元素を意味するものと理解される。
【0037】
例示の目的で、ストリップが被覆浴及びポット装置を通過する際に分解することから、鉄は不可避的な不純物である。
【0038】
好ましくは、鉄の濃度は1重量%未満である。
【0039】
アルミニウム、亜鉛、ケイ素、及びマグネシウムの被覆合金で被覆されたストリップは小さいスパンコールを有しうる。
【0040】
ここでいう「小さいスパンコール」という用語は、豪州標準AS1733に記載のような平均遮断間隔(average intercept distance)を用いて測定された、0.5mm未満、好ましくは0.2mm未満のスパンコールを有する平均的な(mean)金属被覆ストリップを意味することが理解される。
【0041】
このストリップはその片面又は表面に被覆されうる。
【0042】
好ましくは、ストリップは、ストリップのその面又は各面上に80g/m未満の金属被覆質量の金属合金を有する。
【0043】
より好ましくは、ストリップは、ストリップのその面又は各面上に60g/m未満の金属被覆質量の金属合金を有する。
【0044】
好ましくは、ストリップのその面又は各面上の平均金属被覆厚さは20ミクロメートル未満である。
【0045】
また、本発明は、鉄ストリップの少なくとも片面上に金属合金の被覆を形成する方法であって、該金属合金は主要元素としてアルミニウム、亜鉛、ケイ素、及びマグネシウムを含み、ストロンチウム及び/又はカルシウム及び不可避的な不純物及び要すれば意図的な合金化元素として存在するその他の元素をも含み、マグネシウムの濃度は少なくとも0.5重量%であり、(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度が50ppmを上回り、該方法は引き続いて鉄ストリップを熱処理炉及び金属合金を含む溶融浴に通過させ、そして:
(a)熱処理炉中で鉄ストリップを熱処理する工程;及び
(b)溶融浴中でそのストリップを熱浸漬被覆し、鉄ストリップの上に金属合金の被覆を形成する工程;
を包含する方法を提供する。
【0046】
好ましくは、金属合金中の(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度は60ppmを上回る。
【0047】
好ましくは、金属合金中の(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度は0.2重量%未満である。
【0048】
より好ましくは、(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度は150ppm未満である。
【0049】
典型的には、(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度は100ppm未満である。
【0050】
金属合金中にストロンチウム及び/又はカルシウムを提供するための一つの選択肢は、溶融浴のためにアルミニウム、亜鉛、ケイ素、及びマグネシウム被覆合金を形成するために供給されるアルミニウム、亜鉛又はプレミックスされたアルミニウム−亜鉛合金インゴット中のストロンチウム及び/又はカルシウムの最低濃度を特定することである。
【0051】
ただ一つではないその他の選択肢は、必要な濃度における濃度を維持するために必要なストロンチウム及び/又はカルシウムの量を溶融浴に定期的に投与することである。
【0052】
好ましくは、ストリップは、ストリップのその面又は各面上に80g/m未満の被覆質量の金属被覆を有する。
【0053】
より好ましくは、ストリップは、ストリップのその面又は各面上に60g/m未満の被覆質量の金属被覆を有する。
【0054】
好ましくは、ストリップは、ストリップのその面又は各面上に20ミクロメートル未満の平均被覆厚を有する。
【0055】
要すれば、被覆は小さいスパンコール、すなわち、豪州標準AS1733に記載されているような平均遮断間隔を用いて測定された、0.5mm未満、好ましくは0.2mm未満のスパンコールを有する。
【0056】
小さいスパンコールは、ベツレヘム・スチール・コーポレーションの名義による国際出願PCT/US00/23164(WO01/27343)に記載されているように、溶融浴に二ホウ化チタン粒子(この用語には粉体も含まれる。)を添加することによるような、いずれかの適当な方法によって形成されうる。
【0057】
好ましくは、熱処理炉は浴の内部に延びる伸長した排炉シュート又はノーズを有する。
【0058】
本発明によれば、上述の金属被覆鉄ストリップから形成される冷間形成製品も提供される。
【0059】
本発明の方法によるAl−Zn−Si−Mg合金で被覆された鉄ストリップを製造するための連続製造ラインの一つの実施形態の模式図である添付図面を参照して、本発明を実施例によって更に説明する。
【実施例】
【0060】
図面を参照して、使用において、冷延鋼板ストリップのコイルが巻き戻しステーション1において巻き戻され、引き続き巻き戻された長いストリップが溶接機2によって端と端で溶接されて、連続した長さのストリップが形成される。
【0061】
次いで、このストリップは蓄積装置3、ストリップ清浄化区画4及び炉アセンブリ5を引き続き通過する。
【0062】
典型的には、炉アセンブリ5は、プレヒーター、プレヒート還元炉、及び還元炉を含む。
【0063】
ストリップは、炉アセンブリ5の中で、(i)炉における温度プロファイル、(ii)炉における還元ガス濃度、(iii)炉を通過するガスの流速、及び(iv)炉におけるストリップの滞留時間(すなわちライン速度)を含む工程変数を注意深く制御することにより熱処理される。
【0064】
炉アセンブリ5中の工程変数は、ストリップの表面から酸化鉄の残留物が除去され、ストリップの表面から残留油及び鉄の微小物が除去されるように制御される。
【0065】
次いで、熱処理されたストリップは排出ノーズを下方向に通過して被覆ポット6内に保持された溶融された金属合金を有する浴に導入され、金属合金で被覆される。
【0066】
金属合金は、
(a)被覆の耐腐食性に貢献する少なくとも0.5重量%及び10重量%未満のマグネシウム、
(b)被覆のスパンコール寸法を最小にする二ホウ化チタン、及び
(c)上述の表面欠陥の数を最小にする50ppmを上回り0.2重量%未満のストロンチウム及びカルシウムを併せた量、
を含むAl−Zn−Si−Mg被覆合金である。
【0067】
好ましくは、金属合金はバナジウム及び/又はクロムを含有しない。
【0068】
典型的には、金属合金は、鉄のような偶発的な不純物を含有する。
【0069】
金属合金は、加熱インダクタ(非表示)を使用することにより被覆ポット中に溶融状態に維持される。
【0070】
浴の内部でストリップは浸漬ロールの周囲を通過し、上方向に浴の外部に引き取られる。ストリップの両方の表面は、浴を通過するにつれて浴中の金属合金で被覆される。
【0071】
溶融浴中でストリップ上に形成される被覆は金属合金の形態である。
【0072】
ストロンチウム及びカルシウムの作用により、被覆が有する上述のような表面欠陥は比較的少数である。
【0073】
二ホウ化チタンの作用により、被覆は小さいスパンコールを有する。
【0074】
溶融浴6を出た後に、被覆ストリップはガス拭き取りステーション(非表示)を垂直に通過し、ここで被覆表面が拭き取りガスのジェットに当てられて被覆の厚さが制御される。
【0075】
次いで、被覆されたストリップは冷却区画7を通過して、強制冷却に供される。
【0076】
次いで、冷却された被覆ストリップは圧延区画8を通過して、被覆ストリップの表面が調整される。
【0077】
その後、被覆ストリップは巻き取りステーション10において巻き取られる。
【0078】
本発明の思想及び範囲から逸脱することなく上述の好ましい実施形態に対し多くの変形をすることが許容される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリップの少なくとも片面上に金属合金の被覆を有する鉄ストリップであって、該金属合金は主要元素としてアルミニウム、亜鉛、ケイ素、及びマグネシウムを含み、ストロンチウム及び/又はカルシウム及び不可避的な不純物及び要すれば意図的な合金化元素として存在するその他の元素をも含み、マグネシウムの濃度は少なくとも1重量%であり、(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度が50ppmを上回る、鉄ストリップ。
【請求項2】
前記(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度が0.2重量%未満である請求項1記載の鉄ストリップ。
【請求項3】
前記(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度が150ppm未満である請求項1又は2記載の鉄ストリップ。
【請求項4】
前記(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度が100ppm未満である先行請求項のいずれか記載の鉄ストリップ。
【請求項5】
前記マグネシウムの濃度が10重量%未満である先行請求項のいずれか記載の鉄ストリップ。
【請求項6】
前記マグネシウムの濃度が5重量%未満である先行請求項のいずれか記載の鉄ストリップ。
【請求項7】
前記マグネシウムの濃度が3重量%未満である先行請求項のいずれか記載の鉄ストリップ。
【請求項8】
前記マグネシウムの濃度が少なくとも0.5重量%である先行請求項のいずれか記載の鉄ストリップ。
【請求項9】
前記マグネシウムの濃度が少なくとも1重量%及び5重量%未満である先行請求項のいずれか記載の鉄ストリップ。
【請求項10】
前記マグネシウムの濃度が1.5重量%及び3重量%の間である先行請求項のいずれか記載の鉄ストリップ。
【請求項11】
前記アルミニウム、亜鉛、ケイ素、及びマグネシウムの合金がここに定義される二ホウ化チタン変性合金である先行請求項のいずれか記載の鉄ストリップ。
【請求項12】
前記アルミニウム、亜鉛、ケイ素、及びマグネシウムの合金がインジウム、スズ、ベリリウム、チタン、銅、ニッケル、コバルト、及びマンガンのいずれか一種以上を含有する先行請求項のいずれか記載の鉄ストリップ。
【請求項13】
前記アルミニウム、亜鉛、ケイ素、及びマグネシウムの合金が、例えば溶融浴中における汚染によるような痕跡量にて存在するものとは異なる、意図的な合金の要素としてバナジウム及び/又はクロムを含有しない先行請求項のいずれか記載の鉄ストリップ。
【請求項14】
前記鉄の濃度が1重量%未満である先行請求項のいずれか記載の鉄ストリップ。
【請求項15】
前記被覆が、ここで定義される小さいスパンコールを有する先行請求項のいずれか記載の鉄ストリップ。
【請求項16】
前記ストリップがその片面又は両面に被覆されている先行請求項のいずれか記載の鉄ストリップ。
【請求項17】
前記被覆がストリップのその面又は各面上に80g/m未満の被覆質量の金属合金を有する先行請求項のいずれか記載の鉄ストリップ。
【請求項18】
前記被覆がストリップのその面又は各面上に20ミクロメートル未満の平均被覆厚さを有する先行請求項のいずれか記載の鉄ストリップ。
【請求項19】
鉄ストリップの少なくとも片面上に金属合金の被覆を形成する方法であって、該金属合金は主要元素としてアルミニウム、亜鉛、ケイ素、及びマグネシウムを含み、ストロンチウム及び/又はカルシウム及び不可避的な不純物及び要すれば意図的な合金化元素として存在するその他の元素をも含み、マグネシウムの濃度は少なくとも0.5重量%であり、(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度が50ppmを上回り、該方法は引き続いて鉄ストリップを熱処理炉及び金属合金を含む溶融浴に通過させ、そして:
(a)熱処理炉中で鉄ストリップを熱処理する工程;及び
(b)溶融浴中でそのストリップを熱浸漬被覆し、鉄ストリップの上に金属合金の被覆を形成する工程;
を包含する方法。
【請求項20】
前記(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度が0.2重量%未満である請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度が150ppm未満である請求項19又は20記載の方法。
【請求項22】
前記(i)ストロンチウム又は(ii)カルシウム又は(iii)ストロンチウム及びカルシウムを併せた濃度が100ppm未満である請求項19〜21のいずれか記載の方法。
【請求項23】
前記工程(b)が、ストリップのその面又は各面上に80g/m未満の被覆質量の被覆を形成する工程を包含する請求項19〜22のいずれか記載の方法。
【請求項24】
前記工程(b)が、ストリップのその面又は各面上に20ミクロメートル未満の平均被覆厚の被覆を形成する工程を包含する請求項19〜23のいずれか記載の方法。
【請求項25】
前記工程(b)が、ここで定義される小さいスパンコールを有する被覆を形成する工程を包含する請求項19〜23のいずれか記載の方法。
【請求項26】
請求項1〜18のいずれか一つに定義された金属合金被覆鉄ストリップから作成された冷間形成された製品。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−501731(P2010−501731A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525855(P2009−525855)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【国際出願番号】PCT/AU2007/001240
【国際公開番号】WO2008/025066
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(505132312)ブルースコープ・スティール・リミテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】BLUESCOPE STEEL LIMITED
【住所又は居所原語表記】Level 11, 120 Collins Street, Melbourne, Victoria 3000, Australia
【Fターム(参考)】