説明

金属製廃材などの切断装置

【課題】本発明は、切断装置を構成する固定刃と可動刃の少くとも一方を擦り合せ方向に付勢する付勢部材としてコイルバネを採択し、その組付け作業や交換作業を容易に行うことが出来るのみならず、被切断物の種類や性状などに応じて付勢力を適正に調整せしめ、切断作業をスム−ズに能率よく行うことが出来る、金属製廃材などの切断装置を提供するにある。
【解決手段】パワ−ショベル17などに装着自在とされた方形体状のケ−シング2に所要の刃物ホルダ−4・13を介して固定刃5と可動刃15とが擦り合せ自在に取付けられ、該固定刃5と可動刃15の少くとも一方は所要数のコイルバネ10を介して常時擦り合せ方向に付勢されると共に、該各コイルバネ10は調整ボルト12を介してその付勢力が調整自在とされいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、船舶、あるいはビルディングなどの構造物を切断して解体処理する
さいに好適な金属製廃材などの切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の金属製廃材などの切断装置としては、本発明者が先に開示した金属製廃
材などの切断装置(実開昭60−91311号公報、実開昭60−134512号公報、
特開平9−248711号公報参照)が知られている。かかる従来の切断装置は、略方形
体状のケ−シングに所要の刃物ホルダ−を介して固定刃と可動刃とが擦り合せ自在に取付
けられ、該固定刃と可動刃の一方は重ね板バネを介して常時擦り合せ方向に付勢された基
本構成よりなるものである。
そして、上述の如く構成された切断装置は、固定刃と可動刃の少くとも一方を重ね板バ
ネにより付勢せしめつつ、可動刃を擦り合せ方向に可動せしめて固定刃に擦り合せ、自動
車のシャシや形鋼など比較的大型の金属製廃材を切断して解体せしめるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−91311号公報
【特許文献2】実開昭60−134512号公報
【特許文献3】特開平9−248711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の切断装置を構成する重ね板バネは、長さの少しづつ異なる平板バ
ネを順次重ね合せて略弓形状に形成され、所要のバネボックスに装填状に組付けられるも
のとされている。このため、重ね板バネの重量と弾性力とが相まって組付け作業が非常に
面倒で手間がかかるのみならず、損傷時における交換作業にも難渋するものである。また
、重ね板バネは、単にバネボックスに装填して付勢せしめるものであるから、その付勢力
は常に一定であって、特定の被切断物の切断には好適である反面、重ね板バネの付勢力を調整することが出来ないため、種類や性状の異なる多種多様の被切断物の切断には適用せしめずらいものである。
【0005】
本発明は従来の課題を解決しようとするもので、切断装置を構成する固定刃と可動刃の
少くとも一方を擦り合せ方向に付勢する付勢部材としてコイルバネを採択し、その組付け
作業や交換作業を容易に行うことが出来るのみならず、被切断物の種類や性状などに応じ
て付勢力を適正に調整せしめ、切断作業をスム−ズに能率よく行うことが出来る、金属製
廃材などの切断装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1記載の発明は、パワ−ショベルなどに装
着自在とされた方形体状のケ−シングに所要の刃物ホルダ−を介して固定刃と可動刃とが
擦り合せ自在に取付けられ、該固定刃と可動刃の少くとも一方は所要数のコイルバネを介
して常時擦り合せ方向に付勢されると共に、該各コイルバネは調整ボルトを介してその付
勢力が調整自在とされてなることを特徴とする、金属製廃材などの切断装置を要旨とする
ものである。
【0007】
本発明の請求項2記載の発明は、固定刃と可動刃の少くとも一方を付勢せしめるコイル
バネは、少くともその基端部と先端部を付勢せしめるべく構成されてなることを特徴とす
る、請求項1記載の金属製廃材などの切断装置を要旨とするものである。
【0008】
本発明の請求項3記載の発明は、コイルバネが圧縮コイルバネであることを特徴とする
、請求項1又は2記載の金属製廃材などの切断装置を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1記載の発明は、上述のように構成されているから、被切断物の種類や
性状などに応じて各コイルバネの付勢力を調整ボルトにより適正に調整せしめることが出
来るものであって、常に固定刃と可動刃との擦り合わせを適正に保持せしめつつ切断作業
をスム−ズに能率よく行うことが出来るものである。また、従来の重ね板バネに比して小
型軽量のコイルバネを付勢部材として採択使用するものであるから、その組付け作業や損
傷時における交換作業などを極めて容易に行うことが出来るものである。
【0010】
本発明の請求項2記載の発明は、上述のように構成されているから、被切断物の種類や
性状に応じて固定刃と可動刃の少くとも一方の基端部および先端部を各々調整ボルトでも
って調整せしめつつコイルバネにより全長にわたって適正に、しかもバランスよく付勢せ
しめ、常に切断作業をスム−ズに能率よく行うことが出来るものである。
【0011】
本発明の請求項3記載の発明は、上述のように構成されているから、従来の重ね板バネ
に比して小型軽量であり、その組付け作業や損傷時における交換作業を極めて容易に行う
ことが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例を示す右側面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す左側面図である。
【図3】実施例の固定刃5を示す一部拡大平面図である。
【図4】図1のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図5】実施例をパワ−ショベル17に装着せしめた状態を示す側面図である。
【図6】実施例の固定刃5の作動状態を示す一部拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態を図面に示す一実施例に基づいて詳細に説明する

【0014】
図1乃至図6は本発明の一実施例を示すもので、同図中、1は金属製廃材などを切断せ
しめる切断装置、2は該切断装置1を構成する略方形体状のケ−シング、3は後記するパ
ワ−ショベル17の多関節ア−ム18先端に装着せしめるべく該ケ−シング2の基端側に
連結されたブラケット、4は同ケ−シング2の先端側に一体に突設された所要の幅と長さ
を有する固定刃用ホルダ−、5は後記する可動刃15に擦り合わせるべく該固定刃用ホル
ダ−4の内側に両側一対の掛止片6を介して傾動自在に掛止保持された所要長の直刃状固
定刃、7は該固定刃5の傾動量を規制せしめるべくその上端部に側方へ向けて突設された
所要数のストッパ−片で、該ストッパ−片7は固定刃用ホルダ−4に閉塞板8を介して区
画形成されたストッパ−孔9に挿入して摺接せしめつつ固定刃5の傾動量を規制せしめる
ものとされている。10は上記固定刃5を擦り合せ方向に付勢せしめるべく固定刃用ホル
ダ−4の基端側と先端側にバネ室11を介して各々内設された圧縮コイルバネ、12は該
各圧縮コイルバネ10の付勢力を調整せしめるべく固定刃用ホルダ−4に螺動自在に螺設
された調整ボルトである。
【0015】
13は上記固定刃用ホルダ−4に対応すべくケ−シング2の先端側に軸14を介して可
動自在に軸着された可動刃用ホルダ−、15は上記固定刃5に擦り合せるべく該可動刃用
ホルダ−13に取付けられた所要長の直刃状可動刃、16は該可動刃15を擦り合せ方向
に可動せしめるべくケ−シング2に内設された油圧シリンダである。
その他、17はパワ−ショベル、18は該パワ−ショベル17を構成する旋回・屈曲自
在な多関節ア−ムを示す。
【0016】
次に、上述の如く構成された切断装置1の作動について説明する。
先ず、予め被切断物の種類や性状などに応じて固定刃5の傾動量を調整せしめ、可動刃
15との擦り合せを適正に行わしめる。即ち、図4及び図6に示すように、自動車、船舶
、あるいはビルディングの構造物など所要の被切断物に応じて適宜所要の調整ボルト12
を前後に螺動せしめ、圧縮コイルバネ10の付勢力を調整しつつ固定刃5の傾動量を全長
にわたってバランスよく調整し、可動刃15に擦り合わせる。固定刃5の傾動調整が完了
すると、図5に示すように、切断装置1をパワ−ショベル17の多関節ア−ム18先端に
ブラケット3を介して取付ける。しかるのち、油圧シリンダ16を作動せしめつつ可動刃
15を可動せしめ、固定刃5に擦り合わせて所要の被切断物を切断し、解体作業を行う。
このさい,被切断物のスム−ズな切断がしずらい場合には、ストッパ−片7により規制せ
しめつつ、被切断物の種類や性状に応じて調整ボルト12を擦り合せ方向に対して適宜前
後に螺動せしめ、圧縮コイルバネ10の付勢力を全長にわたってバランスよく調整して固
定刃5の傾動を適正に調整せしめるとよい(図4、及び図6参照)。
【0017】
なお、固定刃5に損傷などが生じた場合には、調整ボルト12を螺戻して後退作動せし
め、圧縮コイルバネ10の付勢力を解除して固定刃5を交換せしめるとよい。このさい、
圧縮コイルバネ10は従来の重ね板バネに比して小型軽量であるから、固定刃5の交換作
業を極めて容易に行うことが出来るものである。また、切断装置1の組立て時においても
、固定刃5の組立て作業を容易に行うことが出来るものであること、勿論である。
【0018】
なお、上記実施例において、固定刃5は圧縮コイルバネ10により付勢せしめつつ傾動
自在とされているが、これに限定されるものでなく、固定刃5に変えて可動刃15を、あ
るいは両者を各々圧縮コイルバネ10により付勢せしめつつ傾動自在に構成してもよいも
のである。また、圧縮コイルバネ10は固定刃5の基端部と先端部を各々付勢するものと
されているが、必要に応じて中間部など所要の個所を付勢せしめるべくバネ室11を介し
て内設せしめると共に、これに対応して調整ボルト12を付設せしめるとよい。さらに、可動刃15を可動せしめるべくケ−シング2に油圧シリンダ16が内蔵されているが、これに限定されるものではなく、パワ−ショベル17のバケットシリンダの動力など所要の動力を採択して可動せしめるべく構成せしめてもよいものである。
【符号の説明】
【0019】
1 切断装置
2 ケ−シング
4 固定刃用ホルダ−
5 固定刃
10 圧縮コイルバネ
12 調整ボルト
13 可動刃用ホルダ−
15 可動刃
17 パワ−ショベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワ−ショベルなどに装着自在とされた方形体状のケ−シングに所要の刃物ホルダ−を
介して固定刃と可動刃とが擦り合せ自在に取付けられ、該固定刃と可動刃の少くとも一方
は所要数のコイルバネを介して常時擦り合せ方向に付勢されると共に、該各コイルバネは
調整ボルトを介してその付勢力が調整自在とされてなることを特徴とする、金属製廃材な
どの切断装置。
【請求項2】
固定刃と可動刃の少くとも一方を付勢せしめるコイルバネは、少くともその基端部と先
端部を付勢せしめるべく構成されてなることを特徴とする、請求項1記載の金属製廃材な
どの切断装置。
【請求項3】
コイルバネが圧縮コイルバネであることを特徴とする、請求項1又は2記載の金属製廃
材などの切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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