説明

金属製触媒担体の製造装置

【課題】 プレス機の加工効率を向上でき、ひいては金属製触媒担体の生産効率を向上できる金属製触媒担体の製造装置の提供。
【解決手段】 スリット穴3aが形成された帯状の波板11aと平板21aを重ねた状態で巻回してロール状に形成してなる金属製触媒担体の製造装置において、帯状の波板用箔材11と平板用箔材21を幅方向に並列に配置した状態で同時にパンチング加工して帯状の波板用箔材11と平板用箔材21にスリット穴3aをそれぞれ形成するプレス機3を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製触媒担体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、波板用箔材と平板用箔材を重ねた状態で巻回してロール状に形成した金属製触媒担体の製造装置の技術が公知になっている(特許文献1〜4参照)。
また、近年、触媒作用の向上を目的として前述した両箔材にそれぞれスリット穴を形成することが提案されている(特許文献5参照)。
両箔材にスリット穴を形成する場合には、例えば公知の巻き取り機で巻回される各箔材の供給元であるアンコイラの箔材に予め別工程でスリット穴を形成して巻回しておく、或いは、各箔材をそれぞれ対応するアンコイラから引き出した後、巻き取り機へ移送するまでの途中工程でスリット穴を形成するようにしている。
【特許文献1】特開平06−91175号公報
【特許文献2】特開平08−103665号公報
【特許文献3】特開平09−117672号公報
【特許文献4】特開2005−262315号公報
【特許文献5】特開2005−313082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、アンコイラの箔材に予め別工程でスリット穴を形成しておく場合には、1つのプレス機で1つの箔材にスリット穴を形成していたため、スリット穴の加工効率が悪く、ひいては金属製触媒担体の生産効率の低下に繋がると共に、工程間の搬送が発生し、また、仕掛り在庫が発生する等のロスのある工程となるという問題点があった。
【0004】
一方、各箔材をそれぞれ対応するアンコイラから引き出した後、巻き取り機へ移送するまでの途中工程でスリット穴を形成する場合には、プレス機が2つ必要になるため、設備コストが高く付く上、製造ラインが長くなって設備設置スペースが大きくなるという問題点があった。
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、プレス機の加工効率を向上でき、ひいては金属製触媒担体の生産効率を向上できる金属製触媒担体の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1記載の金属製触媒担体の製造装置は、スリット穴が形成された帯状の波板と平板を重ねた状態で巻回してロール状に形成してなる金属製触媒担体の製造装置において、帯状の波板用箔材と平板用箔材を該箔材の幅方向に並列に配置した状態で同時にパンチング加工して前記帯状の波板用箔材と平板用箔材に前記スリット穴をそれぞれ形成するプレス機を備えることを特徴とする手段とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の金属製触媒担体の製造装置では、上述のように、帯状の波板用箔材と平板用箔材を並列に配置した状態で同時にパンチング加工して帯状の波板用箔材と平板用箔材にスリット穴をそれぞれ形成するプレス機を備えることで、2枚の箔材へのスリット穴加工を1台のプレス機で同時に行えるようになる。
【0008】
従って、プレス機の加工効率を向上でき、ひいては金属製触媒担体の生産効率を向上できるようになるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
この実施例の金属製触媒担体の製造装置は、請求項1〜8に記載の発明に対応する。
【0011】
まず、この実施例の金属製触媒担体の製造装置を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1はこの実施例の金属製触媒担体の製造装置を示す側面図、図2は実施例の金属製触媒担体の製造装置を示す平面図、図3はパンチング加工停止機構を備えたプレス機の詳細を示す断面図、図4はプレス機におけるパンチング加工停止機構の作動を示す断面図、図5はプレス機におけるパンチング加工停止機構の作動を示す断面図、図6は波板の波の形状を示す図、図7はスリット穴が形成された箔材の一部を示す平面図、図8は金属製触媒担体を示す斜視図である。
【0013】
この金属製触媒担体の製造装置は、図1、2に示すように、並列に配置された波板用アンコイラ1と平板用アンコイラ2と、波板用アンコイラ1に巻かれた帯状の波板用箔材11と、平板用アンコイラ2に巻かれた平板用箔材21と、プレス機3と、バックテンションローラ4と、波板用箔材のフィードローラ5と、波加工機6と、調整機7と、平板用フィードローラ8と、パンチング加工停止機構9と、巻き取り機10と、を備えている。
【0014】
さらに詳述すると、上記波板用アンコイラ1は巻回された帯状の波板用箔材11をプレス機3へ供給するものであり、また、上記平板用アンコイラ2はこれに巻かれた帯状の平板用箔材21をプレス機3へ供給するものである。
【0015】
また、この実施例では、上記両箔材11、21の材質をステンレスとアルミの合金とし、その厚みを30ミクロン程度としているが、この限りではない。
【0016】
上記プレス機3は、図6に示すように、幅方向に並列に配置された両箔材11、21をパンチング加工してスリット穴3aをそれぞれ個別に形成するものであり、両箔材21、11を板厚方向から挟むように離間して配置される可動上型(可動型)32及び固定下型(固定型)31を備える。
【0017】
固定下型31は、図3に示すように、スリット穴3aと同形状の長穴形状の貫通穴を有する複数(図中2つのみ図示)パンチング用ダイス31aがそれぞれ設けられている。
【0018】
一方、可動上型32は、各ダイス31aの貫通穴と対応する位置に下端部が後述するスリット穴3aと同形状の長穴形状の外形を有する複数(図中2つのみ図示)のパンチング用ポンチ32aをそれぞれ備えている。
また、図示を省略したが各ポンチ32aと対応する位置にポンチ32aの下端部と同形状の貫通穴を有するストリッパと、このストリッパに下向きの付勢力を作用させるスプリングを備えている。
【0019】
また、上記可動上型32には、プレス機3における平板用箔材21のパンチング加工だけを停止させるパンチング加工停止機構9を備えている。
このパンチング加工停止機構9は、1台のプレス機3を用いた1つのライン工程の中でのスリット穴加工では、使用量の多い波板用箔材11と使用量の少ない平板用箔材21との使用量の差異を吸収する役目をなすものである。
【0020】
このパンチング加工停止機構9は、バックキー91と、空気圧シリンダ92と、ポンチホルダ93とを備えている。
【0021】
バックキー91は、平板用箔材21のパンチング用ポンチ32aをパンチング加工位置とパンチング加工停止位置に切り換える役目をなすもので、可動上型32の下面に対し摺動自在に設けられている。
【0022】
また、ポンチホルダ93は、可動上型32に設けられ、バックキー91の下方で可動上型32と一体に上下可動するように備えられている。
【0023】
空気圧シリンダ92は、バックキー91を駆動させることで平板用箔材12のパンチング用ポンチ32aをパンチング加工位置とパンチング加工停止位置に切り換え駆動する駆動手段を構成するもので、可動上型32に固定され、シリンダロッド92aがバックキー91に接続されている。
【0024】
そして、平板用箔材12のパンチング用ポンチ32aがポンチホルダ93に対し上下移動可能に備えられている。
【0025】
また、バックキー91の下面にはバックキーカム面(加工カム部)91aと、凹部(加工停止カム部)91bが交互に設けられている。
バックキーカム面91aは、バックキー91がパンチング加工位置にある時に平板用箔材12のパンチング用ポンチ32aの上端面であるポンチカム面(ポンチカム部)32bに当接してその上昇を停止させる役目をなす。
また、凹部91bは、バックキー91がパンチング加工停止位置にある時に平板用箔材12のパンチング用ポンチ32aの上昇可能にすることにより、平板用箔材12のパンチング加工を停止させる役目をなす。
【0026】
また、ポンチホルダ93には平板用箔材12のパンチング用ポンチ32aを上昇する方向に付勢する付勢手段を構成するコイルスプリング93aが備えられている。
【0027】
図1、2に戻り、上記バックテンションローラ4は、プレス機3の前に配置されるもので、平板用箔材12のバックテンションローラ4aと波板用箔材11のバックテンションローラ4bとで構成されている。そして、それぞれにあわせ独自に作用し両箔材11、21にテンションを付与している。
【0028】
上記波板用箔材のフィードローラ5は、プレス機3の後に備えられていて、図7に示すように、バックテンションローラ4bでテンションが付与された波板用箔材11をスリット穴3aの配列によって決められる送りピッチでプレス機3内に供給する役目をなす。
【0029】
上記波加工機6は、プレス機3から移送された波板用箔材11を波板状に形成して巻き取り機10へ移送するものであり、その構成は公知(特許文献4参照)のものと同様であるので詳細な説明は省略する。
【0030】
上記調整機7は、平板用箔材21における波板用箔材11との材料使用量の差異を吸収する役目をなす。
即ち、この実施例では、図6に示すように、波加工機6で波板用箔材11に形成される波が高さH1=1.5mm、ピッチW1=1.2mmとなっており、波板用箔材11は平板用箔材21に比べて3倍の材料使用量となっているため、その差分が吸収される。
【0031】
図1、2に戻り、この調整機7は、プレス機3から出た平板用箔材21を上向きに方向転換させるガイドローラ71と、平板用箔材21が掛けられた一対の入口ループガイドローラ72と出口ループガイドローラ73と、両ループガイドローラ72、73間における平板用箔材21にその自重でテンションをかけるループウエイトローラ74と、ガイドローラ75と、を備えている。
また、一対のガイドローラ72、73間における平板用箔材21の撓みを計測するセンサ76(例えば光電管センサ)を備えている。
【0032】
また、両箔材21、11の幅方向に並列に配置された平板用箔材21と波板用箔材11を入口側のループガイドローラ72と出口側のループガイドローラ73の間で該両箔材21、11の板幅方向に並列に配置させるようにしている。
【0033】
上記平板用フィードローラ8は、ガイドローラ71と入口側ループガイドローラ72との間に備えられていて、バックテンションローラ4aでテンションが付与された平板用箔材21をスリット穴3aの配列によって決められる送りピッチでプレス機3内に供給する役目をなす。
【0034】
上記巻き取り機10は、波加工機6と調整機7からそれぞれ移送された波板11aと平板21aを巻回用アンコイラ10aに重ねた状態で巻回することにより、図8に示す金属製触媒担体A1を形作るものであり、その構成は公知(特許文献1参照)のものと同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0035】
次に、この実施例の作用を説明する。
【0036】
この実施例の金属製触媒担体の製造装置では上述のように構成されるため、バックテンションローラ4a、4bでそれぞれテンションを付与された平板用箔材21と波板用箔材11は、フィードロール8、5の動作によりプレス機3のスリット穴3aの配列によって決められる送りピッチでそれぞれの箔材21、11をプレス機3内に供給する。
【0037】
この時、プレス機3では、図3に示すように、バックキー91がパンチング加工位置にセットされている。
即ち、空気圧シリンダ92が前進してバックキー91を図面右側に押し込むように作動し、これにより、バックキーカム面91aがポンチカム面32bをコイルスプリング93aの付勢力に抗して押し下げ、平板用箔材21側のポンチ32aが波板用箔材11側のポンチ32aと同様にパンチング加工位置にセットされた状態になっている。
【0038】
従って、この状態で可動上型32を下降させると、プレス機3の1サイクル運転によりパンチングダイス31aとポンチ32aとの間で両箔材21、11に同時にスリット穴3aがパンチング加工される。
この動作の連続により、それぞれの箔材21、11は順次連続的にスリット加工が施されることとなる。
【0039】
スリット穴3aが加工された波板用箔材11は、波加工機6に送られ波加工が行われ、次いで、この波加工された波板11aは巻き取り機10へ巻き上げられる。
【0040】
一方、スリット穴3aの加工が完了した平板用箔材21はガイドローラ71により、上方へ導かれる。
そして、入口側ループガイドローラ72と出口側ループガイドローラ73との間における平板用箔材21にループウエイトローラ74がその自重でテンションをかける。
これにより、ガイドロール71を出た平板用箔材21は、入口側ループガイドローラ72と出口側ループガイドローラ73でループが形成され、さらには巻き取り機10の巻き上げ力により移動する。
【0041】
ここで、出口側ループガイドローラ72の位置を、平面視(図2)で平板用箔材21が波板用箔材11と重なるように入口側のガイドローラ72の配置位置とはオフセットして配置させることによって、入口側のループガイドローラ72と出口側のループガイドローラ2との間で該両箔材21、11の板厚方向に並列に配置させるようにしたことで、ループのなかで両箔材21、11を幅方向に並列に並べたことから生じている巻き取り機10に対する芯ズレが補正される。
【0042】
ループを出た平板21aはガイドローラ75の案内により、巻き取り機10へと送られ、波板11aと重ね合わされながら巻き上げ加工が行われる。
【0043】
ここで、先に述べた、波板用箔材21と平板用箔材11の使用量の差異を吸収する方法を説明する。波形状によって使用量の差異は異なるが、おおよそ波板用箔材11の使用量は平板用箔材21の2から3倍使用する。
【0044】
そこで、この使用量の差異を吸収するため、平板用箔材21側には調整機7を備えるが、調整機7における平板用箔材21のループが満杯状態になると、まず、センサ76がこれを検知する。
すると、このセンサ76からの信号で、図4に示すように、空気圧シリンダ92が後退し、バックキー91が図面左方向に移動することで、平板用箔材21側のポンチ32aがコイルスプリング93aの付勢力でバックキー91の凹部91b内に押し上げられ、パンチング加工停止の位置に移動する。
【0045】
また、センサ76からの信号で、平板用箔材21のフィードローラ8が停止する。
【0046】
そこで、この状態でプレス機3の可動上型32が上下運動すると、図5に示すように、波板用箔材11へのパンチング加工は行われるが、平板用箔材21へのパンチング加工は行われない。
【0047】
その後、調整機7における平板用箔材21のループの不足をセンサ76が検知すると、このセンサ76からの信号で、図3に示すように、空気圧シリンダ92が前進し、平板用箔材21のフィードロール8が再起動することで平板用箔材21へのパンチング加工が再開される。
【0048】
次に、この実施例の効果を説明する。
【0049】
この実施例の金属製触媒担体の製造装置では、上述のように、帯状の波板用箔材11と平板用箔材21を幅方向に並列に配置した状態で同時にパンチング加工して帯状の波板用箔材11と平板用箔材21にスリット穴3aをそれぞれ形成するプレス機3を備えることで、2枚の箔材11、21へのスリット穴3aの加工を1台のプレス機3で同時に行えるようになる。
【0050】
従って、プレス機3の加工効率を向上でき、ひいては金属製触媒担体A1の生産効率を向上できるようになるという効果が得られる。
【0051】
また、プレス機3から移送された波板用箔材11を波板状に形成する波加工機6と、プレス機3から移送された平板用箔材21における波板用箔材11との材料使用量の差異を調整する調整機7と、波加工機6と調整機7からそれぞれ移送された波板11aと平板21aを重ねた状態で巻回する巻き取り機10を備えた構成としたことで、1つのライン工程の中でスリット穴加工が可能となり、在庫レス、工程間搬送などロット生産でのロスが解消できるようになる。
【0052】
また、調整機7を、平板用箔材21が掛けられた一対の入口側ループガイドローラ72と出口側ループガイドローラ73と、一対のループガイドローラ72、73間における平板用箔材21の撓みを計測するセンサ75と、プレス機3から一対のループガイドローラ72、73へ平板用箔材21を移送する平板用フィードローラ8と、プレス機3から波加工機6へ波板用箔材11を移送する波板用フィードローラ5で構成し、センサ76で計測された撓みが所定値となった際に、平板用フィードローラ8が平板用箔材21の移送を一時的に停止し、その間プレス機3における平板用箔材11のパンチング加工だけを停止させるパンチング加工停止機構9を備えることで、1台のプレス機3の可動を止めることなしに、調整機7における平板用箔材21の撓み量を修正することができるようになる。
【0053】
また、調整機7を、平板用箔材21が掛けられた一対の入口側ループガイドローラ72と出口側ループガイドローラ73との間にその自重で平板用箔材21にテンションをかけるループウエイトローラ74を備えることで、入口側ループガイドローラ72と出口側ループガイドローラ73との間に弛みなくループを形成できるようになる。
【0054】
また、両箔材21、11の幅方向に並列に配置された平板用箔材21と波板用箔材11を入口側のループガイドローラ72と出口側のループガイドローラ3との間で該両箔材21、11の板厚方向に並列に配置させるようにしたことで、オフセットによって波板用箔材11にかかる応力がループ部分で分散され、これにより、波板用箔材11の変形を防止できるようになる。
【0055】
また、プレス機3は両箔材21、11を板厚方向から挟むように離間して配置される可動上型32及び固定下型31を備え、固定下型31には、平板用箔材21と波板用箔材11のパンチング用ダイス31aをそれぞれ備え、可動上型32には、パンチング用ダイス31aとの間でパンチング加工してスリット穴3aを形成する平板用箔材21と波板用箔材11のパンチング用ポンチ32aをそれぞれ備え、平板用箔材21のパンチング用ポンチ32aはパンチング加工停止機構9を介して平板用箔材21のパンチング加工を停止可能に構成したことで、簡単な構成でプレス機3における波板用箔材11のパンチング加工だけを停止させることができるようになる。
【0056】
また、パンチング加工停止機構9が、平板用箔材21のパンチング用ポンチ32aをパンチング加工位置とパンチング加工停止位置に空気圧シリンダ92による駆動動作で切り換え可能なバックキー91と、可動上型32に設けられ、平板用箔材21のパンチング用ポンチ32aを上方向けにコイルスプリング93aにより付勢された状態で移動可能に保持するポンチホルダ93とを備え、バックキー91の下面側には、コイルスプリング93aの付勢力に反して平板用箔材21のパンチング用ポンチ32aのポンチカム面32bに当接して上方への移動を停止させて、平板用箔材21のパンチング用ポンチ32aをパンチング加工位置とするバックキーカム面91aと、平板用箔材21のパンチング用ポンチ32aをコイルスプリング93aにより上方へ移動させて、平板用箔材21のパンチング用ポンチ32aをパンチング加工停止位置とする凹部91bが備えられている構成としたことで、空気圧シリンダ92を駆動させるだけでプレス機3における波板用箔材11のパンチング加工だけを停止させることができるようになる。
【0057】
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0058】
例えば、実施例では、プレス機3から移送された波板用箔材11を波板状に形成する波加工機6と、プレス機3から移送された平板用箔材21における波板用箔材11との材料使用量の差異を調整する調整機7と、波加工機6と調整機7からそれぞれ移送された波板11aと平板21aを重ねた状態で巻回する巻き取り機10を備えた構成としたが、1台のプレス機3で2枚の箔材11、21へのスリット穴3aの加工をした後、一端それぞれアンコイラに巻き取るようにしてもよい。
【0059】
また、実施例では、平板用箔材21が掛けられた一対の入口側ループガイドローラ72と出口側ループガイドローラ73との間にその自重で平板用箔材21にテンションをかけるループウエイトローラ74を備えたが、このループウエイトローラ74を省略し、平板用箔材21の自重のみでテンションをかけるようにしてもよい。
【0060】
また、実施例では、一対のループガイドローラ72、43のうち出口側のループガイドローラ73の位置を、平面視で波板用箔材11と重なるように入口側のループガイドローラ72の配置位置とはオフセットして配置させたが、別の場所でオフセットさせるようにしてもよい。
【0061】
また、実施例では、駆動手段として空気圧シリンダ92を用いたが、油圧シリンダや油圧モータ、或いは電動モータまたはソレノイド等の電動駆動手段を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施例の金属製触媒担体の製造装置を示す側面図である。
【図2】実施例の金属製触媒担体の製造装置を示す平面図である。
【図3】パンチング加工停止機構を備えたプレス機の詳細を示す断面図である。
【図4】プレス機におけるパンチング加工停止機構の作動を示す断面図である。
【図5】プレス機におけるパンチング加工停止機構の作動を示す断面図である。
【図6】波板の波の形状を示す図である。
【図7】スリット穴が形成された箔材の一部を示す平面図である。
【図8】金属製触媒担体を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
A1 金属製触媒担体
1 波板用アンコイラ
11 波板用箔材
11a 波板
2 平板用アンコイラ
21 平板用箔材
21a 平板
3 プレス機
3a スリット穴
31 固定下型(固定型)
31a パンチング用ダイス
32 可動上型(可動型)
32a ポンチ
32b ポンチカム面(ポンチカム部)
4 バックテンションローラ
4a 平板用箔材のバックテンションローラ
4b 波板用箔材のバックテンションローラ
5 波板用箔材のフィードローラ
6 波加工機
7 調整機
71 ガイドローラ
72 入口側ループガイドローラ
73 出口側ループガイドローラ
74 ループウエイトローラ
75 ガイドローラ
76 センサ
8 平板用フィードローラ
9 パンチング加工停止機構
91 バックキー
91a バックキーカム面(加工カム部)
91b 凹部(加工停止カム部)
92 空気圧シリンダ(駆動手段)
92a シリンダロッド
93 ポンチホルダ
93a コイルスプリング(付勢手段)
10 巻き取り機
10a 巻回用アンコイラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリット穴が形成された帯状の波板と平板を重ねた状態で巻回してロール状に形成してなる金属製触媒担体の製造装置において、
帯状の波板用箔材と平板用箔材を該箔材の幅方向に並列に配置した状態で同時にパンチング加工して前記帯状の波板用箔材と平板用箔材に前記スリット穴をそれぞれ形成するプレス機を備えることを特徴とする金属製触媒担体の製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の金属製触媒担体の製造装置において、
前記プレス機から移送された波板用箔材を波板状に形成する波加工機と、
前記プレス機から移送された平板用箔材における波板用箔材との材料使用量の差異を調整する調整機と、
前記波加工機と調整機からそれぞれ移送された波板と平板を重ねた状態で巻回する巻き取り機を備えることを特徴とする金属製触媒担体の製造装置。
【請求項3】
請求項2記載の金属製触媒担体の製造装置において、
前記調整機を、前記平板用箔材が掛けられた一対の入口側ループガイドローラと出口側ループガイドローラとで構成したことを特徴とする金属製触媒担体の製造装置。
【請求項4】
請求項2記載の金属製触媒担体の製造装置において、
前記調整機を、前記平板用箔材が掛けられた一対の入口側ループガイドローラと出口側ループガイドローラと、
前記一対のループガイドローラ間における平板用箔材の撓みを計測するセンサと、
前記プレス機から一対のループガイドローラへ平板用箔材を移送する平板用フィードローラと、
前記プレス機から波加工機へ波板用箔材を移送する波板用フィードローラで構成し、
前記センサで計測された撓みが所定値となった際に、平板用フィードローラが平板用箔材の移送を一時的に停止し、その間前記プレス機における平板用箔材のパンチング加工だけを停止させるパンチング加工停止機構を備えることを特徴とする金属製触媒担体の製造装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の金属製触媒担体の製造装置において、
前記調整機を、前記平板用箔材が掛けられた一対の入口側ループガイドローラと出口側ループガイドローラとの間にその自重で平板にテンションをかけるループウエイトローラを備えたことを特徴とする金属製触媒担体の製造装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の金属製触媒担体の製造装置において、
前記両箔材の幅方向に並列に配置された平板用箔材と波板用箔材を入口側のループガイドローラと出口側のループガイドローラの間で該両箔材の板幅方向に並列に配置させることを特徴とする金属製触媒担体の製造装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属製触媒担体の製造装置において、
前記プレス機は両箔材を板厚方向から挟むように離間して配置される可動型及び固定型を備え、
前記固定型には、平板用箔材と波板用箔材のパンチング用ダイスをそれぞれ備え、
前記可動型には、前記パンチング用ダイスとの間でパンチング加工してスリット穴を形成する平板用箔材と波板用箔材のパンチング用ポンチをそれぞれ備え、
前記平板用箔材のパンチング用ポンチは前記パンチング加工停止機構を介して平板用箔材のパンチング加工を停止可能に構成されていることを特徴とする金属製触媒担体の製造装置。
【請求項8】
請求項7記載の金属製触媒担体の製造装置において、
前記パンチング加工停止機構が、前記平板用箔材のパンチング用ポンチをパンチング加工位置とパンチング加工停止位置に駆動手段による駆動動作で切り換え可能なバックキーと、
前記可動型に設けられ、前記平板用箔材のパンチング用ポンチを前記可動型側に付勢手段により付勢された状態で移動可能に保持するポンチホルダとを備え、
前記バックキーの固定型側には、前記付勢手段の付勢力に反して前記平板用箔材のパンチング用ポンチのポンチカム部に当接して可動型側への移動を停止させて、平板用箔材のパンチング用ポンチをパンチング加工位置とする加工カム部と、
前記平板用箔材のパンチング用ポンチを付勢手段により可動型側へ移動させて、平板用箔材のパンチング用ポンチをパンチング加工停止位置とする加工停止カム部が備えられていることを特徴とする金属製触媒担体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−165946(P2009−165946A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6109(P2008−6109)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】