説明

金属製識別プレートレットを有する熱可塑性材料

本発明は、最大長寸法が200μm未満であり、かつ、厚さが2〜10μmである、円形もしくはn角形(n≧4)の本質的にフラットな金属製識別プレートレットを0.0001〜2wt.%含有する透明熱可塑性材料であって、金属製識別プレートレットがくぼみを有さないかまたは本質的に金属製識別プレートレットの中央にあり、金属製識別プレートレットを取り囲む外縁に対して20μmよりも近くなく、かつ、金属製識別プレートレットの表面の30%よりも多くを占めないくぼみを有することを特徴とする透明熱可塑性材料、並びにその製造並びにカード層コンポジットのパーソナライゼーション用保護フィルムおよびカードの形態のデータキャリア、特にスマートカード、磁気ストライプカード、識別カードなどへのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最大長寸法が200μm未満であり、かつ、厚さが2〜10μmであり、円形またはn角形(n≧4)である実質的に平面の金属製識別プレートレットであって、くぼみを有さないかまたは実質的に金属製識別プレートレットの中央に存在し、金属製識別プレートレットの周囲の外縁に20μmより近くなく、かつ、金属製識別プレートレットの表面の30%よりも多くを形成しないくぼみを有することを特徴とする金属製識別プレートレットを0.0001〜2wt.%を含む透明熱可塑性材料に関し、かつ、更にその製造並びにカード層コンポジットのパーソナライジング用フィルムおよびカード型データキャリア、特にスマートカード、磁気ストライプカード、身分証明書などの製造への使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
データキャリアおよび特に有益な情報を含むドキュメントは、原則として、保護のためにセキュリティ機能を備え、このことがデータキャリアの有効性のチェックを可能にし、かつ、同時に、データキャリアの無許可コピーに対する保護の役割を果たす。多くの場合、光学的に変わりやすいエレメントがセキュリティ機能として使用され、このことが観測者が有益な情報を含むドキュメントの有効性を様々な方法、例えばIRまたはUV分光法並びに光学顕微鏡法、によってチェックすることを可能にしている。
【0003】
金属製識別プレートレットは、セキュリティ機能の役割を果たし、原理的に知られており、かつ、例えばWO 2005/078530に記述されている。
【0004】
そのような識別プレートレットの使用は、例えば、欧州特許EP−A−1216758に記述されている。
【0005】
製品の識別用マイクロドットは英国特許GB 2346583で知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明がベースとする目的は、金属製識別プレートレットをセキュリティ機能として熱可塑性ラミネート材の少なくとも1つの層に導入してデータキャリア用の有効な保護を提供することである。特に、保護データキャリアを修正したりコピーしたりすることは困難であるべきであり、かつ、更に、専門家がそれらの有効性または完全性をチェックすることが可能であるべきである。更に、金属製識別プレートレットの特性、例えば、形状、プリンティング、ホログラムおよび穿孔形状、が様々な熱可塑性処理工程中および形成工程中に変わらないことが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、最大長寸法が200μm未満であり、かつ、厚さが2〜10μmであり、円形またはn角形(n≧4)である実質的に平面の金属製識別プレートレットであって、くぼみを有さないかまたは実質的に金属製識別プレートレットの中央に存在し、金属製識別プレートレット周囲の外縁に20μmよりも近くなく、かつ、金属製識別プレートレットの表面の30%より多くを形成しないくぼみを有することを特徴とする金属製識別プレートレット0.0001〜2wt.%を含む透明熱可塑性材料によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1で得たグラニュール状材料の円筒状粒子の光学顕微鏡画像である。
【図2】実施例2で得たグラニュール状材料の粒子の光学顕微鏡画像である。
【図3】実施例3で得たフィルムの光学顕微鏡画像である。
【図4】実施例5で得たラミネートカード中の金属製識別プレートレットの光学顕微鏡画像である。
【図5】例6で得た様々なサイズの四角形金属製識別プレートレットと六角形金属製識別プレートレットとの混合物の光学顕微鏡画像である。
【図6】例6で得たグラニュール材料の粒子の光学顕微鏡画像である。
【図7】例7で得たフィルムの光学顕微鏡画像である。
【図8】実施例8で得たグラニュール材料の粒子の光学顕微鏡画像である。
【図9】実施例9で得たフィルムの光学顕微鏡画像である。
【0009】
本発明において好ましく使用される金属製識別プレートレットは、プレートレット上の識別コードとしてのホログラムによって、識別プレートレットの両側から見える任意に造形された貫通穿孔によって、プリントされ、かつ/または、特徴付けられうる。加えて、識別プレートレットは、プレートレットの外部形状によって規定される。好ましい態様において、識別プレートレットはn角形(n≧4)であり、特に好ましくは六角形である。
【0010】
識別プレートレットの端から端までの直径は、例えば、5〜200μm、好ましくは10〜150μm、特に好ましくは10〜120μmである。
【0011】
ホログラムまたは他の形状が識別プレートレットの表面にプリントされうる。識別プレートレットは、1以上の英数字を包含する造形穿孔を含みうる。
【0012】
識別プレートレットは、金属、好ましくはニッケル、からなり、例えば厚さ1〜15μm、好ましくは1〜10μm、特に好ましくは3〜8μmである。
【0013】
識別プレートレットは、好ましくは、熱可塑性材料、特に透明熱可塑性材料に組み込まれる。従って、ラミネート、例えばフィルムまたはシート、並びにそのようなラミネート材の多層コンポジットは、熱可塑性材料から製造されうる。
【0014】
好適な熱可塑性材料は、ジフェノールベースのポリカーボネートもしくはコポリカーボネート、ポリアクリレートもしくはコポリアクリレートおよびポリメタクリレートもしくはコポリメタクリレート、例えば、好ましくは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、スチレンを有するポリマーもしくはコポリマー、例えば、好ましくは、透明ポリスチレン(PS)もしくはポリスチレン−アクリロニトリル(SAN)、透明熱可塑性ポリウレタン、並びにポリオレフィン、例えば、好ましくは透明タイプのポリプロピレン、または環状オレフィンベースのポリオレフィン(例えばTOPAS(登録商標)、Topas Advanced polymers)、テレフタル酸の重縮合物もしくは共重縮合物、例えば、好ましくはポリエチレンテレフタレートもしくはコポリエチレンテレフタレート(PETもしくはCoPET)もしくはグリコール変性PET(PETG)、ポリエチレングリコールナフテネート(polyethylene glycol naphthenate)(PEN)、および透明ポリスルホン(PSU)である。
【0015】
この層に好適な熱可塑性ポリメチルメタクリレートは、例えば市販のPlexiglas(登録商標)タイプである。
【0016】
本発明によると、好適な熱可塑性材料のシートは、例えば、重量平均分子量Mw25000〜200000、好ましくは30000〜120000、特に30000〜80000(Mwは、ジクロロメタン中20℃かつ0.5g/100mlの濃度におけるηrelから決定される。)の既知の熱可塑性芳香族ポリカーボネートから形成されるシート、および既知の熱可塑性ポリアリールスルホンであって、直鎖であっても(DE−OS 27 35 144参照。)分枝されていても(DE−OS 27 35 092またはDE−OS 23 05 413参照。)よい熱可塑性ポリアリールスルホンから形成されるシートである。
【0017】
好適な直鎖ポリアリールスルホンは、Mw(例えば光散乱によって測定される重量平均分子量)約15000〜約55000、好ましくは約20000〜約40000のあらゆる既知の芳香族ポリスルホンまたはポリエーテルスルホンである。そのようなポリアリールスルホンは、例えば、DE−OS 17 19 244およびUS−PS 33 65 517に記述されている。
【0018】
好適な分枝ポリアリールスルホンは、特にDE−OS 23 05 413またはUS−PS 39 60 815による分枝ポリアリールエーテルスルホンであって、Mw(重量平均分子量、例えば光散乱によって測定される。)が約15000〜約50000、好ましくは約20000〜40000である分枝ポリアリールエーテルスルホンである(より詳細にはDE−AS 30 10 143参照。)。
【0019】
熱可塑性セルロースエステル、熱可塑性ポリビニル塩化物、熱可塑性スチレン−アクリロニトリルコポリマーおよび熱可塑性ポリウレタンのフィルムもまた好適である。
【0020】
好適なセルロースエステルは、常套の方法によって、脂肪族モノカルボン酸無水物、好ましくは無水酢酸および無水酪酸または無水酢酸および無水プロピオン酸、を用いるセルロースのエステル化によって得られる。
【0021】
アセトン中の20wt.%溶液として測定されるセルロースエステルの粘度は、0.3〜0.5ポアズであるべきである。好ましく使用されるセルロースエステルは、アセトブチレートの場合、酢酸含量17〜23wt.%かつ酪酸含量45〜50wt.%であり、かつ、アセトプロピオネートの場合、プロピオン酸含量61〜69wt.%かつ酢酸含量2〜7wt.%である。OH価は、通常、4〜25である。重量平均分子量Mwは、10000〜1000000、好ましくは100000〜500000である。
【0022】
好適な熱可塑性ポリビニル塩化物は、例えば市販のPVCタイプである。
【0023】
好適な熱可塑性スチレン−アクリロニトリルコポリマーは、触媒の存在下においてモノマーまたはモノマー混合物から、例えば懸濁重合によって得られた、Mw10000〜600000(MwはDMF中C=5g/lかつ20℃において測定される。)の、スチレンの、好ましくはアクリロニトリルとの、コポリマーである。関連文献に関しては、Beilsteins Handbuch der organischen Chemie,第4版,Duttes Ergaenzungswerk 第1.5巻,1163〜1169ページ,Springer Verlag 1964年,H.Ohlinger,Polystyrene,第1部,Production Methods and Properties of the Products,Springer Verlag(1955年)参照。
【0024】
熱可塑性樹脂、例えばスチレン−アクリロニトリルまたはα−メチルスチレン−アクリロニトリルコポリマーは、既知の方法によって、例えばバルク重合、溶液重合、懸濁重合およびエマルジョン重合によって、製造されうる。
【0025】
シクロオレフィンコポリマーは、三井化学株式会社の特許明細書US 5 912 070およびTicona GmbH社の特許明細書EP 765 909に記述されている。
【0026】
熱可塑性ポリウレタンが本発明による層の製造に使用されうる。
【0027】
ラミネート材、特にフィルム、の製造に関しては、DE−OS 25 17 033およびDE−OS 25 31 240参照。
【0028】
フィルムは、片側がマットであっても片側が構造化されていてもよい。このことは、熱可塑性材料の溶融物をスロットダイを通して押し出し、かつ、溶融ストランドをマットであるかまたは構造化された冷却ローラー上に引き込むことによって達成される。
【0029】
ラミネート材は、更に、片側が磨かれており、片側がマットであってもよい。
【0030】
ラミネート材の厚さは、好ましくは0.05〜0.8mmである。
【0031】
ポリウレタンが結合しているコンポジットフィルムは既知である(DE−OS 25 17 032およびDE−AS 30 10 143)。
【0032】
熱可塑性層は、これらのプラスチック材料のシングル−プライ層であっても、それぞれ厚さ0.050〜0.8mmの、異なるプラスチックの個々のプライから形成されるマルチ−プライプラスチック層であってもよい。
【実施例】
【0033】
実施例1および2:コンパウンドの製造
実施例1:(本発明による)
出発原料
ニッケル製の、厚さ5μm、かつ、対向する辺同士の距離が100μmである、名称「OV Dot B」の六角形金属製識別プレートレットを使用した。このプレートレットは関連段落において判読可能な文字「OVDot」がプリントされていた。貫通穿孔の形態の大きな「B」がプレートレットの中央に配置されていた。穿孔から辺までの距離は25μmであり、かつ、穿孔が金属製識別プレートレットの全表面積の12.5%を占めていた。
【0034】
金属製識別プレートレットの直径、貫通穿孔から辺までの距離、および金属製識別プレートレットの全表面積のフラクションとしての穿孔のサイズは、本発明による。
【0035】
コンパウンドを、金属製識別プレートレットと共に製造した。
【0036】
上記金属製識別プレートレット150gを強力ミキサーにおいてMakrolon 3108 550115パウダー(平均粒径800μm)2.35kgと混合した。Makrolon(登録商標)3108 550115は、EU/FDA品質であり、紫外線吸収剤を含まない。ISO 1133によるメルトボリュームフローレート(MVR)は、300℃かつ1.2kg負荷において6.0cm/(10分)である。
【0037】
押出機の処理量50kg/時間において、Makrolon 3108 550115円筒状グラニュール47.5kgを、ZSK二軸押出機のコンパートメント1に押し出した。金属製識別プレートレット/Makrolonパウダー混合物をサイド押出機(side extruder)を通じて計量添加した。透明の粒子含有溶融物を6穴ダイプレートの下流で得て、ウォーターバスにおける冷却およびストランドのペレット化後に金属製識別プレートレット0.3wt.%を含む円筒状グラニュール50kgを生じた。
【0038】
グラニュール状材料の円筒状粒子の光学顕微鏡画像(図1)は、金属製識別プレートレットが小さい輝く反射性六角形であることを示した。曲がったか、ダメージを受けたか、または破壊されたプレートレットは認識されなかった。剪断力および温度ストレスにもかかわらず、「B」の形態の貫通穿孔はダメージを受けないままであった。更に、プレートレットにおけるプリンティングは、容易に読み取られ、ポリカーボネート溶融物における処理温度300℃によって影響を受けなかった。
【0039】
実施例2(本発明による)
出発原料
ニッケル製の、厚さ5μm、かつ、対向する辺同士の距離が100μmである、名称「OV Dot O」の六角形金属製識別プレートレットを使用した。このプレートレットは関連段落において判読可能な文字「OV Dot」がプリントされていた。貫通穿孔として大きな「O」がプレートレットの中央に配置されていた。穿孔から辺までの距離は25μmであり、かつ、穿孔が金属製識別プレートレットの全表面積の11.5%を占めていた。
【0040】
金属製識別プレートレットの直径、貫通穿孔から辺までの距離、および金属製識別プレートレットの全表面積のフラクションとしての穿孔のサイズは、本発明による。
【0041】
コンパウンドを、金属製識別プレートレットと共に製造した。
【0042】
上記金属製識別プレートレット150gを強力ミキサーにおいてMakrolon 3108 550115パウダー(平均粒径800μm)2.35kgと混合した。押出機の処理量50kg/時間において、Makrolon 3108 550115円筒状グラニュール47.5kgをZSK二軸押出機のコンパートメント1に押し出した。サイド押出機を通じて金属製識別プレートレット/Makrolonパウダー混合物を計量添加した。6穴ダイプレートの下流で透明の粒子含有溶融物を得て、ウォーターバスにおける冷却およびストランドペレット化後に「OV Dot O」金属製識別プレートレット0.3wt.%を含む円筒状グラニュール50kgを生じた。
【0043】
グラニュール状材料の粒子の光学顕微鏡画像(図2)は、金属製識別プレートレットが小さい輝く反射性六角形であることを示した。曲がったか、ダメージを受けたか、または破壊されたプレートレットは認識されなかった。剪断力および温度ストレスにもかかわらず、「O」の形態の貫通穿孔はダメージを受けないままであった。更に、プレートレットにおけるプリンティングは、容易に読み取られ、ポリカーボネート溶融物における処理温度300℃によって影響を受けなかった。
【0044】
実施例3および4:フィルムへの押出
実施例3(本発明による)
実施例1のコンパウンドからフィルムを押し出した。
【0045】
フィルムの製造に使用した装置は以下のものからなる:
・直径(D)105mmかつ長さ41×Dのスクリューを有し、スクリューが脱ガスゾーンを含む主押出機;
・アダプタ;
・幅1500mmのスロットダイ
・水平ローラー配置の3本ローラー平滑カレンダー(three−roller smoothing calender)であって、第3のローラーが水平に対して±45°旋回可能な3本ローラー平滑カレンダー;
・ローラーコンベア;
・保護フィルム両面適用デバイス;
・引取デバイス(draw−off device);
・巻き取りステーション(winding station)
【0046】
実施例1のコンパウンドを押出機のフィードホッパーに添加した。押出機のそれぞれの可塑化システムシリンダー/スクリューにおいてそれぞれの材料の溶融および運搬を行った。次に、アダプタを通じて材料の溶融物を平滑カレンダーに供給した。平滑カレンダーのローラーは表1に示す温度であった。フィルムの最終形成および冷却を、(3本のローラーからなる)平滑カレンダーにおいて行った。ゴムローラー(微細マット第2表面)およびスチールローラー(マット第6表面)をフィルム表面の構造化に使用した。フィルム表面の構造化に使用されるゴムローラーは、米国のNauta Roll Corporation名義のUS 4,368,240に開示されている。次に、引取デバイスによってフィルムを運び出した。これに続いて、ポリエチレンの保護フィルムを両面に適用し、このフィルムを巻き取りうる。
【0047】
【表1】

【0048】
完成フィルムをレーザープリントに関する特性に関しても調べられるように、更にレーザー添加剤をフィルムに組み込んだ。
【0049】
金属製識別プレートレットおよびカーボンブラックを含む下記組成物を押出機に供給した:
Makrolon(登録商標)3108 550115(Bayer MaterialScience AG製のPC)、68.6wt.%
実施例1からのマスターバッチ(金属製識別プレートレットOV Dot 「B」を0.3wt.%有する。)、20.0wt.%
Makrolon(登録商標)3108 751006(Bayer MaterialScience AG製のカーボンブラック含有PC)、11.4wt.%
【0050】
金属製識別プレートレット含量0.06wt.%かつ厚さ100μmのマット/微細マット(6−2)表面を有する透明灰色(レーザープリント可能)押出フィルムをそれらから得た。
【0051】
金属製識別プレートレットは、フィルムの光学顕微鏡画像において小さい輝く暗い六角形としてはっきりと認識可能であった(図3)。金属製識別プレートレットをフィルム表面全体にわたって均一に分配した。集合/凝集プレートレットは識別されなかった。更に、ダメージを受けたり破壊されたりしたプレートレットは認識されなかった。フィルム押出における剪断力および温度ストレスにもかかわらず、貫通穿孔「B」はダメージを受けないままであった。
【0052】
実施例4(本発明による)
フィルムを実施例2のコンパウンドから押し出した。
【0053】
フィルムの製造に使用される装置は以下のものからなる:
・ 直径(D)105mmかつ長さ41×Dのスクリューを有し、スクリューが脱ガスゾーンを含む主押出機;
・アダプタ;
・幅1500mmのスロットダイ;
・水平ローラー配置の3本ローラー平滑カレンダーであって、第3のローラーが水平に対して±45°旋回可能である3本ローラー平滑カレンダー;
・ローラーコンベア
・保護フィルム両面適用デバイス;
・引取デバイス;
・巻き取りステーション
【0054】
実施例2のコンパウンドを押出機のフィードホッパーに添加した。それぞれの材料の溶融および運搬を、押出機のそれぞれの可塑化システムシリンダー/スクリューにおいて行った。次に、アダプタを通じて平滑カレンダーであって、そのローラーが表2に挙げられる温度である平滑カレンダーに材料溶融物を供給した。フィルムの最終形成および冷却を(3本ロールからなる)平滑カレンダーにおいて行った。ゴムローラー(微細マット第2表面)およびスチールローラー(マット第6表面)をフィルム表面の構造化に使用した。フィルム表面の構造化に使用されるゴムローラーは、米国のNauta Roll Corporation名義のUS 4,368,240に開示されている。次にフィルムを引取デバイスによって運び出した。これに続いて、ポリカーボネートの保護フィルムを両側に適用し、フィルムを巻き取りうる。
【0055】
【表2】

【0056】
完成品を更にそのレーザープリンティングに関する性質に関しても調べられるように、レーザー添加剤を更にフィルムに組み込んだ。
【0057】
金属製識別プレートレットおよびカーボンブラックを含む下記組成物を押出機に供給した:
Makrolon(登録商標)3108 550115(Bayer MaterialScience AG製のPC)、68.6wt.%
実施例2からのマスターバッチ(OV Dot 「O」金属製識別プレートレット0.3wt.%を有する。)、20.0wt.%
Makrolon(登録商標)3108 751006(Bayer MaterialScience AG製のカーボンブラック含有PC)、11.4wt.%
【0058】
マット/微細マット(6−2)表面を有し、金属製識別プレートレット含量0.06wt.%かつ厚さ100μmの透明灰色(レーザープリント可能)押出フィルムをそれらから得た。
【0059】
金属製識別プレートレットは、フィルムの光学顕微鏡画像において小さい輝く暗い六角形としてはっきりと認識可能であった。金属製識別プレートレットは、全フィルム表面にわたって均一に分配されていた。集合/凝集プレートレットは識別されなかった。更に、ダメージを受けたり破壊されたりしたプレートレットは認識されなかった。フィルム押出における剪断力および温度ストレスにもかかわらず、貫通穿孔「O」はダメージを受けないままであった。
【0060】
実施例5(本発明による)
カードを下記フィルムからラミネートした:
コアフィルム Makrofol ID 6-4カラー010207(白色)375μm
本発明によるフィルムの
上下のプライ: 実施例3からのフィルム、6-2、100μm
オーバーレイフィルム Makrofol ID 6-2、カラー000000(ナチュラル)100μm
【0061】
Buerkleプレスにおいて10barかつ180℃においてフィルムをラミネートした。次に、金属製識別プレートレットを、それらの外見に関して光学顕微鏡によって調べた。
【0062】
金属製識別プレートレットの光学顕微鏡画像(図4)において、ラミネートプロセスによって金属製識別プレートレットがダメージを受けたり破壊されたりしていないことがわかった。ラミネートにおける圧力および温度ストレスにもかかわらず、貫通穿孔「B」はダメージを受けないままであった。プレートレットにおけるプリンティングは、はっきりと判読可能であった。フィルムのもとの表面構造は、ラミネートプレス中に平滑にプレスされた。
【0063】
例6(本発明によらない)
出発混合物
ニッケル製の、厚さ5μm、かつ、対向する辺同士の距離が50〜500μmである、名称「OV Dot Mix」の、様々なサイズの四角形金属製識別プレートレットと六角形金属製識別プレートレットとの混合物を使用した。このプレートレットは、関連段落において判読可能な文字「OVDot」がプリントされていた。貫通穿孔の形態の様々な文字の組み合わせがプレートレットの中央に配置されていた。
【0064】
図5は、様々なサイズの四角形金属製識別プレートレットと六角形金属製識別プレートレットとの混合物の光学顕微鏡画像を示す。
【0065】
四角形は貫通穿孔として大文字G、H、I、J、KおよびLを有しており、辺の長さは500μmであり、文字の辺からの距離は32μmであった。貫通穿孔の面積は、全表面積の12.2%を占めている。
【0066】
貫通穿孔としてM3を有する六角形プレートレットにおいて、穿孔は全表面積の18%を占めており、貫通穿孔から辺までの距離は16μmである。端から端までの直径は200μmであった。
【0067】
コンパウンドを金属製識別プレートレット「OV Dot Mix」と共に製造した。
【0068】
金属製識別プレートレット「OV Dot Mix」30gを強力ミキサーにおいてMakrolon 3108 550115パウダー(平均粒径800μm)418gと混合した。押出機の処理量3kg/時間において、Makrolon 3108 550115円筒状グラニュール2kgをBrabender ZSK二軸押出機のコンパートメント1において押し出した。透明の粒子含有溶融物を得て、これを水/空気浴において冷却し、ストランドペレット化した後、金属製識別プレートレットを1.23wt.%含む円筒状グラニュール材料を生じた。
【0069】
グラニュール材料の粒子の光学顕微鏡画像(図6)において、約500μmの大きな金属製識別プレートレットが曲がった六角形として存在し、本発明の要求を満たさないことがわかった。これらの正方形は貫通穿孔と間の間隔との面積割合に関する2つの要求を満たすが、それにもかかわらず、プレートレットは大きすぎ、押出機において機械的に曲げられるかまたは破壊される。
【0070】
貫通穿孔としてM3を有する、もともと六角形のプレートレットは、同様に、本発明の要求を満たさない。18%の貫通穿孔の表面積割合は本発明の範囲内にあるが、貫通穿孔から辺までの距離16μmは小さすぎ、端から端までの直径200μmは大きすぎる。従って、配合において、「M3」プレートレットは、剪断力および/または熱ストレスによって大部分が破壊された。グラニュール材料中に多くの破片が見えた。
【0071】
金属製識別プレートレットの直径および貫通穿孔の関連距離は本発明によらない。金属製識別プレートレットの全表面積の一部としての貫通穿孔の表面積は本発明による。
【0072】
例7(本発明によらない)
冷却ロール(chill−roll)法によって例6のコンパウンドからフィルムを押し出した。
【0073】
フィルムの製造に使用した装置は以下のものからなる:
・直径(D)30mmかつ長さ27×Dのスクリューを有する主押出機;
・幅300mmのスロットダイ;
・平滑ローラー;
・引取デバイス;
・巻き取りステーション
【0074】
例6のコンパウンドを押出機のフィードホッパーに供給した。それぞれの材料の溶融および運搬を押出機のそれぞれの可塑化システムシリンダー/スクリューにおいて行った。材料の溶融物をスロットダイに通し、平滑カレンダーに挿入した。フィルムの最終形成および冷却を平滑カレンダーにおいて行った。
【0075】
フィルムの光学顕微鏡画像(図7)において、約500μmの大きい金属製識別プレートレットが曲がった六角形の形態で存在し、本発明の要求に対応しないことがわかった。これらの正方形は、貫通穿孔によって示される面積の割合および距離に関する2つの要求を満たすが、それにもかかわらず、プレートレットは大きすぎ、押出機において機械的に曲げられるかまたは破壊される。
【0076】
貫通穿孔としてM3を有する、もともと六角形のプレートレットは、同様に本発明の要求を満たさない。貫通穿孔の面積割合18%が本発明による範囲内にあっても、貫通穿孔から辺までの距離16μmは小さすぎ、端から端までの直径200μmは大きすぎる。従って、フィルム押出において、別の「M3」プレートレットが剪断力および/または温度ストレスによって破壊された。多くの破片もまた見られる。
【0077】
約100μmの大きな金属製識別プレートレットのみがダメージを受けなかった。
【0078】
実施例8(本発明による)
出発原料
ニッケル製の、厚さ5μm、かつ、対向する辺同士の距離が100μmである、名称「OV Dot S」の六角形金属製識別プレートレットを使用した。このプレートレットは、関連段落において判読可能な文字「OV Dot」がプリントされていた。大きな「S」が貫通穿孔としてプレートレットの中央に形成されていた。貫通穿孔から辺までの距離は24μmであり、かつ、穿孔が金属製識別プレートレットの全表面積の26.2%を占めている。
【0079】
この金属製識別プレートレットを使用してコンパウンドを製造した。
【0080】
金属製識別プレートレット「OV Dot S」150gを強力ミキサーにおいてMakrolon 3108 550115パウダー(平均粒径800μm)1.35kgと混合した。押出機の処理量50kg/時間において、Makrolon 3108 550115円筒状グラニュール48.5kgをZSK 53二軸押出機のコンパートメント1に押し出した。サイド押出機を通じて金属製識別プレートレット/Makrolonパウダー混合物を計量添加した。3穴ダイプレートの下流において透明の粒子含有溶融物が得られ、これはウォーターバスにおける冷却およびストランドペレット化後に金属製識別プレートレット「OV Dot S」を0.3wt.%含む円筒状グラニュール50kgを生じた。
【0081】
【表3】

【0082】
グラニュール材料の粒子の光学顕微鏡画像(図8)において、金属製識別プレートレットは六角形として認識された。ダメージを受けていないかまたは破壊されていないプレートレットが見られる。シート押出における剪断力および温度ストレスにもかかわらず、貫通穿孔「S」はダメージを受けないままであった。
【0083】
金属製識別プレートレットの直径、貫通穿孔から辺までの距離、および金属製識別プレートレットの全表面積に関する貫通穿孔の割合は、本発明による。
【0084】
実施例9(本発明による)
実施例8に記述されているポリカーボネートを幅350mmのポリカーボネートフィルムの押し出しに使用した。
【0085】
使用される装置は以下のものからなる:
・直径(D)37mmかつ長さ24×Dのスクリューを有するストーク押出機(Stork extruder)。スクリューは脱ガスゾーンを含む;
・溶融ポンプ
・幅350mmのスロットダイ;
・ダイオリフィス:0.8mm
・引取デバイス;
・巻き取りステーション
【0086】
溶融物はダイからキャスティングローラーに通り、次に冷却ローラーに通る。これらのローラーは表4に示される温度である。次にフィルムを引取デバイスに通し、最後に巻き取る。
【0087】
【表4】

【0088】
下記金属製識別プレートレット含有組成物を押出機に供給した:
実施例8からのコンパウンド(金属製識別プレートレットOV Dot 「S」を0.3wt.%含む。)100.0wt.%
【0089】
それから平滑/マット(1−4)表面を有し、金属製識別プレートレット含量が0.3wt.%であり、かつ、厚さ100μmの透明押出フィルムを得た。
【0090】
フィルムの光学顕微鏡画像(図9)において、金属製識別プレートレットは、小さい輝く暗い六角形として見える。ダメージを受けたり破壊されたりしたプレートレットは見られない。フィルム押出における剪断力および温度ストレスにかかわらず、貫通穿孔「S」はダメージを受けないままであった。
【0091】
金属製識別プレートレットの直径、貫通穿孔から辺までの距離、および金属製識別プレートレットの全表面積に関する貫通穿孔の割合は、本発明による。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大長寸法が200μm未満であり、かつ、厚さが2〜10μmであり、円形かまたはn角形(n≧4)である実質的にフラットな金属製識別プレートレットであって、くぼみを有さないかまたは実質的に該金属製識別プレートレットの中央に存在し、該金属製識別プレートレット周囲の外縁に20μmよりも近くなく、かつ、該金属性識別プレートレットの表面積の30%よりも多くを占めないくぼみを有することを特徴とする金属製識別プレートレット0.0001〜2wt.%を含む透明熱可塑性材料。
【請求項2】
該金属製識別プレートレットが四角形、五角形、六角形、七角形または円形であることを特徴とする、請求項1に記載の透明熱可塑性材料。
【請求項3】
該透明熱可塑性材料がポリカーボネートであることを特徴とする、請求項1に記載の透明熱可塑性材料。
【請求項4】
該金属製識別プレートレットがニッケル製であることを特徴とする、請求項1に記載の透明熱可塑性材料。
【請求項5】
該くぼみの形状が文字または数字、特にS、X、ドットまたは円であることを特徴とする、請求項1に記載の透明熱可塑性材料。
【請求項6】
金属製識別プレートレットを0.01〜0.1wt.%、好ましくは0.06wt.%含む、透明熱可塑性材料。
【請求項7】
請求項1に記載の透明熱可塑性材料を含むフィルム。
【請求項8】
請求項1に記載の透明熱可塑性材料または請求項7に記載のフィルムを含む多層製品。
【請求項9】
該製品がカードである、請求項8に記載の多層製品。
【請求項10】
請求項1に記載の透明熱可塑性材料または請求項7に記載のフィルムのカードの製造への使用。
【請求項11】
a)請求項1に記載の透明熱可塑性材料を配合してコンパウンドを形成し、
b)工程a)からのコンパウンドをフィルムに押し出す、
請求項7に記載のフィルムの製造方法。
【請求項12】
a)請求項1に記載の透明熱可塑性材料を配合してコンパウンドを形成し、
b)工程a)からのコンパウンドをフィルムに押し出し、かつ、
c)工程b)からのフィルムをカードに加工する、
請求項9に記載のカードの製造方法。
【請求項13】
工程c)においてフィルムを基材上にラミネートすることを特徴とする、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−539260(P2010−539260A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524378(P2010−524378)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007140
【国際公開番号】WO2009/036878
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】