金属部材の損傷評価方法及び装置
【課題】高Cr鋼からなる金属部材のクリープ損傷の早期検出を実現し、保守管理に必要な時間を確保する。
【解決手段】火力発電所用ボイラの蒸気配管Pの外表面に、溶接部Wを挟んで複数の計測用突起10が形成されている。クリープ損傷評価装置12は、過去の計測値に基づいて作成され、蒸気配管Pの溶接熱影響部HAZの歪と寿命消費率との相関関係を示す相関マップ14が記憶された記憶部16と、計測用突起10間の間隔2Lの計測値が入力され、蒸気配管Pの外表面のクリープ歪を算出するクリープ歪計測部18と、有限要素法(FEM)を用い、間隔2L間のクリープ歪から溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部のクリープ歪を算出する第1推定部20と、前記クリープ歪及び相関マップ14から、溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部の寿命消費率を推定する第2推定部22とからなる。
【解決手段】火力発電所用ボイラの蒸気配管Pの外表面に、溶接部Wを挟んで複数の計測用突起10が形成されている。クリープ損傷評価装置12は、過去の計測値に基づいて作成され、蒸気配管Pの溶接熱影響部HAZの歪と寿命消費率との相関関係を示す相関マップ14が記憶された記憶部16と、計測用突起10間の間隔2Lの計測値が入力され、蒸気配管Pの外表面のクリープ歪を算出するクリープ歪計測部18と、有限要素法(FEM)を用い、間隔2L間のクリープ歪から溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部のクリープ歪を算出する第1推定部20と、前記クリープ歪及び相関マップ14から、溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部の寿命消費率を推定する第2推定部22とからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、火力発電プラント用ボイラの蒸気配管の溶接部等に発生するクリープ損傷を評価し、クリープ破断に至るまでの余寿命を推定するのに好適なクリープ損傷の評価方法及び評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電プラント用ボイラの蒸気配管には、優れた高温特性をもち、高温高圧下で長時間使用できるフェライト系高Cr耐熱鋼が使用されている。かかる高温高圧下で使用される配管では、クリープ現象に起因した破断が問題となる。そこで、クリープ破断に対する保守管理が必要となる。クリープ損傷の進行速度は、特に溶接箇所の溶接熱影響部において大きくなる。クリープ破断は、溶接熱影響部等で発生したクリープボイド(空孔)が成長及び合体を繰り返し、微視き裂に成長し、その後、巨視き裂が進展して配管の肉厚を貫通し、破断に至るものである。
【0003】
図12は、2Cr鋼からなるボイラの蒸気配管の溶接部Wに発生したき裂cを示している。図12に示すように、溶接金属wと蒸気配管の母材m間に形成される溶接熱影響部HAZにき裂cが発生し、破断に到っている。また、蒸気配管の表面より内部でクリープボイド数が多く発生し、き裂cの起点となる傾向がある。
【0004】
金属部材表面のクリープボイドの有無を検出する方法として、レプリカ法がある。レプリカ法は、検査対象面を鏡面に研磨し、該鏡面をエッチングにより選択除去し、エッチング面にレプリカ用プラスチック膜を押貼し、エッチング面の凹凸をプラスチック膜に転写する。次に、走査型電子顕微鏡を用いてクリープボイドの有無及びその分布状況を観察する。
【0005】
また、金属部材の成分分析からクリープ損傷の進行速度の影響を判定する方法もある。この方法は、金属部材表面の酸化被膜を除去した後、露出した金属部材を研削して切粉を採取する。この切粉を用いて成分分析を行い、不純物量からクリープ脆化指数(CEF)を求め、クリープ脆化指数とクリープ損傷の進行速度との相関から、今後の保守管理要領に反映するものである。
【0006】
金属部材内部の傷を検出する方法として、超音波を用いた非破壊検査方法がある。この方法は、金属部材の内部に超音波を発信し、欠陥で反射する反射波を検出することで、欠陥を検出するものである。超音波を用いた方法として、複数の振動素子から意図する方向に走る単一波面を形成するように複数の超音波を発信し、欠陥で反射する反射波を検出することで、欠陥の「位置」の測定精度が高いフェーズドアレイ法がある。また、金属部材の表面に超音波を発信する振動素子と、金属部材内部の傷からの反射波を受信素子とを備え、金属部材表面で反射する反射波と欠陥で反射する反射波との時間差から、欠陥の「深さ」を精度良く検出できるTOFD法等の方法がある。
【0007】
特許文献1には、超音波探傷法では、金属部材内部の傷が経年変化により生じたクリープ損傷によるものか、製造時に既に生じていたものかを判定できないために、金属部材の余寿命を予測できないという課題を解決する手段が開示されている。この手段は、超音波探傷法と、金属部材表面のクリープボイドの分布状態を観察するレプリカ法や成分分析法等とを併用することで、クリープ損傷による傷かどうかを判定するものである。
【0008】
特許文献2には、ボイラ配管のベンド部のクリープ損傷を評価し、該ベンド部の余寿命を正確かつ簡便に予測可能なクリープ損傷評価方法が開示されている。この方法は、ボイラ運転前後のベンド部の変形量を測定し、この変形量の差から運転後にベンド部に働く曲げモーメントを算出し、予め求めてあるベンド部の曲げモーメントとクリープ損傷との相関関係から、該ベンド部のクリープ損傷を予測するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−153865号公報
【特許文献2】特開2003−232719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ボイラの蒸気配管に適用される高Cr鋼のうち、9〜12Cr鋼は、2Cr鋼と比べて高いクリープ破断強度をもつ。しかし、9〜12Cr鋼は、2Cr鋼と比べ、クリープ損傷を受けたときの組織変化が少なく、寿命末期にならないと、金属部材内部でき裂伸展が見られず、かつ外表面にクリープボイドが生じない。そのため、特許文献1に開示された超音波による評価方法では、寿命末期にならないと、金属部材内部のクリープ損傷を見つけることができない。また、金属部材表面でも、レプリカ法や成分分析法を用いた場合、寿命末期にならないと、クリープボイドを検出できない。
【0011】
例えば、クリープ破断までの時間を100%とするクリープ寿命消費率で言えば、2Cr鋼では、クリープ寿命消費率が60%程度で、密集したクリープボイドや微視き裂を検出可能であるが、9〜12Cr鋼では、クリープ寿命消費率が80%程度にならないと、密集したクリープボイドや微視き裂を検出できない。そのため、クリープ損傷の検出からクリープ破断までの時間が短く、保守管理に十分な時間を確保できず、十分な保守管理ができないという問題がある。
【0012】
特許文献2に開示された評価方法は、曲げモーメントを顕著に受ける金属部材だけに適用可能であり、適用範囲が限定される。
【0013】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、9〜12Cr鋼等の高Cr鋼においても、クリープ損傷の早期検出を可能にし、保守管理に十分な時間を確保できるクリープ損傷評価方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するため、本発明の金属部材の損傷評価方法は、過去の計測値から、金属部材のクリープ歪とクリープ損傷による寿命消費率との相関関係を示す相関マップを予め作成しておくマップ作成工程と、金属部材の表面に発生する変位を計測し、該変位から金属部材の表面に発生するクリープ歪を算出するクリープ歪計測工程と、該クリープ歪計測工程で計測したクリープ歪から、解析的手法により金属部材内部のクリープ歪を推定する第1推定工程と、歪計測工程で計測した金属部材表面のクリープ歪及び第1推定工程で推定した金属部材内部のクリープ歪から、相関マップに基づいて金属部材のクリープ損傷による寿命消費率を推定する第2推定工程と、からなるものである。
【0015】
本発明方法では、金属部材の表面に発生したクリープ歪から、例えば有限要素法(FEM)等の解析的手法を用いて、金属部材内部のクリープ歪を推定する。そして、金属部材の表面及び内部のクリープ歪から、相関マップに基づいて、金属部材の表面及び内部のクリープ寿命消費率を推定する。このように、金属部材に発生するクリープ歪に基づいて、クリープ損傷を推定しているので、9〜12Cr鋼においても、早期にクリープ損傷度を把握できる。これによって、金属部材の保守管理に十分な時間を確保できるので、保守管理が容易になる。
【0016】
本発明方法において、クリープ歪計測工程が、金属部材の表面に予め2個以上の計測用突起を形成しておき、クリープ歪発生前後に計測した計測用突起間の距離から計測用突起間のクリープ歪を算出するものであるとよい。このように、予め計測用突起を設けておくことで、金属部材表面のクリープ歪を計測するのが容易になる。計測用突起は、クリープ損傷の進行速度が速く、クリープ損傷度を特に監視すべき領域に配置するとよい。
【0017】
本発明方法において、金属部材に引張り荷重が付加されるとき、クリープ歪計測工程が、金属部材の表面に発生した凹部の深さを計測し、この計測値を金属部材の表面に発生するクリープ歪の指標とするとよい。金属部材が引張り荷重を受けるとき、特にクリープ損傷の進行速度が大きい領域、例えば溶接熱影響部等で金属部材の表面に凹部が発生する。そこで、この凹部の深さを金属部材の表面に発生する変位として捉え、これからクリープ歪を算出することで、この領域のクリープ寿命消費率を簡便に求めることができる。
【0018】
また、計測用突起を形成するクリープ歪算出方法と、金属部材表面の凹部の深さを検出するクリープ歪算出方法とを併用することで、さらに正確なクリープ寿命消費率を推定できる。
【0019】
さらに、前記クリープ損傷評価方法に加えて、金属部材表面の組織検査を行い、この組織検査の結果に基づき金属部材表面のクリープ損傷の有無を判定し、この判定結果と前記クリープ損傷評価方法で推定した寿命消費率とから、金属部材の寿命消費率を総合的に推定するとよい。これによって、金属部材のクリープ寿命消費率をさらに正確に推定できる。
【0020】
前記本発明方法の実施に直接使用可能な本発明の金属部材の損傷評価装置は、過去の計測値に基づいて作成され、金属部材のクリープ歪とクリープ損傷による寿命消費率との相関関係を示す相関マップ及び該相関マップを記憶する記憶手段と、金属部材の表面に発生する変位が入力され、該変位から金属部材の表面に発生するクリープ歪を算出するクリープ歪計測手段と、クリープ歪計測手段で計測されたクリープ歪から、解析的手法により金属部材内部のクリープ歪を推定する第1推定手段と、クリープ歪計測手段で計測された金属部材表面のクリープ歪及び第1推定手段で推定した金属部材内部のクリープ歪から、相関マップに基づいて金属部材のクリープ損傷による寿命消費率を推定する第2推定手段と、からなるものである。
【0021】
本発明装置では、金属部材の表面に発生したクリープ歪を算出し、該クリープ歪から、例えば有限要素法(FEM)等の解析的手法を用いて、金属部材内部のクリープ歪を推定する。そして、金属部材の表面及び内部のクリープ歪から、相関マップに基づいて、金属部材の表面及び内部のクリープ寿命消費率を推定する。このように、金属部材に発生するクリープ歪に基づいて、クリープ損傷を推定しているので、9〜12Cr鋼においても、早期にクリープ損傷度を把握できる。これによって、金属部材の保守管理が容易になる。
【0022】
本発明装置において、金属部材の表面に予め形成された2個以上の計測用突起を備え、歪計測手段に歪発生前後に計測された計測用突起間の距離が入力され、該歪計測手段で計測用突起間のクリープ歪を算出するものであるとよい。このように、金属部材の表面に計測用突起を形成することで、金属部材表面のクリープ歪を計測するのが容易になる。計測用突起は、クリープ損傷の進行速度が速く、クリープ損傷度を特に監視すべき領域に配置するとよい。
【0023】
本発明装置において、計測用突起が金属部材の溶接線の両側に配置され、溶接線の熱影響部のクリープ損傷による寿命消費率を推定するようにするとよい。溶接部のクリープ損傷の進行速度は、金属部材の母材及び溶接金属は同等であるが、溶接熱影響部のクリープ損傷の進行速度はこれらの領域より大きい。そこで、特に、溶接熱影響部のクリープ寿命消費率を推定することで、金属部材のクリープ破断時期を正確に推定できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明方法によれば、過去の計測値から、金属部材のクリープ歪とクリープ損傷による寿命消費率との相関関係を示す相関マップを予め作成しておくマップ作成工程と、金属部材の表面に発生する変位を計測し、該変位から金属部材の表面に発生するクリープ歪を算出するクリープ歪計測工程と、該クリープ歪計測工程で計測したクリープ歪から、解析的手法により金属部材内部のクリープ歪を推定する第1推定工程と、クリープ歪計測工程で計測した金属部材表面のクリープ歪及び第1推定工程で推定した金属部材内部のクリープ歪から、相関マップに基づいて金属部材のクリープ損傷による寿命消費率を推定する第2推定工程と、からなり、金属部材に発生するクリープ歪に基づいて、クリープ損傷を推定しているので、9〜12Cr鋼においても、早期にクリープ損傷度を把握できる。これによって、金属部材の保守管理のための十分な時間的余裕を得ることができる。
【0025】
本発明装置によれば、過去の計測値に基づいて作成され、金属部材のクリープ歪とクリープ損傷による寿命消費率との相関関係を示す相関マップ及び該相関マップを記憶する記憶手段と、金属部材の表面に発生する変位が入力され、該変位から金属部材の表面に発生するクリープ歪を算出するクリープ歪計測手段と、クリープ歪計測手段で計測されたクリープ歪から、解析的手法により金属部材内部のクリープ歪を推定する第1推定手段と、クリープ歪計測手段で計測された金属部材表面のクリープ歪及び第1推定手段で推定した金属部材内部のクリープ歪から、相関マップに基づいて金属部材のクリープ損傷による寿命消費率を推定する第2推定手段と、からなるので、前記本発明方法と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係り、寿命予測対象となる蒸気配管の斜視図である。
【図2】前記蒸気配管に形成された計測用突起の拡大図である。
【図3】前記蒸気配管の溶接部の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るクリープ損傷評価装置のブロック線図である。
【図5】前記第1実施形態に係り、(A)は溶接熱影響部のクリープ歪を示す線図であり、(B)は溶接熱影響部のクリープ歪から寿命消費率を予測する線図である。
【図6】第1実施形態で実際に計測用突起間のクリープ歪から予測した溶接熱影響部のクリープ歪を示す線図である。
【図7】第1実施形態で実際に溶接熱影響部のクリープ歪から予測した寿命消費率を示す線図である。
【図8】第1実施形態で、本発明及び他の手法を併用して蒸気配管の寿命消費率を総合的に予測した線図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る蒸気配管の断面図である。
【図10】前記第2実施形態に係り、(A)は溶接熱影響部のクリープ歪を示す線図であり、(B)は溶接熱影響部のクリープ歪から寿命消費率を予測する線図である。
【図11】第2実施形態で、実際に予測した溶接熱影響部のくぼみ量から予測した寿命消費率を示す線図である。
【図12】蒸気配管の溶接部に発生したき裂と、蒸気配管に発生したクリープボイド面密度を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0028】
(実施形態1)
本発明を火力発電所用ボイラの、9〜12Cr鋼からなる蒸気配管に適用した第1実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。図1はクリープ損傷を評価しその余寿命を予測する蒸気配管Pを示す。蒸気配管Pは、例えば、ボイラと蒸気タービン間に配設され、高圧蒸気Sをボイラから蒸気タービンに供給する、直径が400〜700mmの大口径管である。蒸気配管Pは、管の周方向に溶接部Wが存在する。溶接部Wに形成される溶接熱影響部が最もクリープ損傷の進行速度が大きいため、本実施形態では溶接部Wの周辺の溶接熱影響部のクリープ損傷を評価する。そのため、蒸気配管Pの外周面に、溶接部Wを挟んで計測用突起10が形成されている。
【0029】
蒸気配管Pには、蒸気配管Pの内部を流れる高圧蒸気Sによって半径方向、周方向、及び軸方向の応力が発生する。また、蒸気配管Pには、蒸気配管Pの自重及び配管系の熱伸びによって、又は支持部材等外部から付加される荷重によって、曲げモーメントによる軸方向応力が発生する。計測用突起10は、これらの荷重が最も大きくなると予想される箇所、及び該箇所と90°の位相差を有する蒸気配管Pの外表面に予め形成されている。計測用突起10は、溶接部Wを挟み、溶接部Wから等間隔Lに配置され、かつ周方向に4箇所、90°間隔で配置されている。
【0030】
図2に示すように、計測用突起10の形状は、円筒形、又は下部が円筒形をなし、上部が截頭円錐形をなしている。火力発電所の運転開始前又は定期点検時に、オペレータが、マイクロメータ等を用いて、溶接部Wを挟んで相対する計測用突起間の間隔2Lを計測する。また、運転開始後、定期点検以外でも定期的に間隔2Lを計測する。
【0031】
図3は、蒸気配管Pの溶接部Wの拡大断面図である。蒸気配管Pの母材mと溶接金属wとの間に、溶接熱影響部HAZが形成される。溶接熱影響部HAZは、溶接金属w側に形成される粗粒域rと、母材m側に形成される細粒域fとからなる。通常、細粒域f中の線ABに沿ってクリープボイドが発生し、それがき裂cに伸展し、破断に至る。図3に示すように、線AB上では、蒸気配管Pの表面より内部のほうが大きいクリープ歪が発生する。そのため、表面より内部のほうがクリープ損傷度が大きくなる。
【0032】
図4に、本実施形態に係るクリープ損傷評価装置12を示す。過去の計測値に基づいて、蒸気配管Pの溶接熱影響部HAZのクリープ歪と寿命消費率との相関関係を示す相関マップ14が予め作成されている。相関マップ14は記憶部16に記憶されている。また、記憶部16には、ボイラの運転開始前又は定期点検時に計測された間隔2Lの計測値が記憶されている。相関マップ14の一例を図5(B)に示す。クリープ歪計測部18には、ボイラの運転開始後定期的に計測される間隔2Lの計測値が入力される。クリープ歪計測部18では、記憶部16からボイラの運転開始前又は定期点検時に計測された間隔2Lの計測値が送られ、運転中の間隔2Lのクリープ歪を算出する。
【0033】
第1推定部20では、有限要素法(FEM)を用い、間隔2L間のクリープ歪から溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部のクリープ歪を算出する。こうして求めた溶接熱影響部HAZの外表面及び板厚内部のクリープ歪と間隔2L間のクリープ歪をグラフ化したものの一例を図5(A)に示す。第2推定部22には、第1推定部20で求めた溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部の歪が入力されると共に、記憶部16から相関マップ14が入力される。第2推定部22では、これらの入力値から、溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部の寿命消費率を推定する。こうして、求めた寿命消費率は表示部24に表示される。
【0034】
ボイラ用蒸気配管の溶接製エルボ(材質:改良9Cr鋼、外径/肉厚:φ568.8mm×t30mm、曲げ部の曲率半径:R840mm、蒸気温度:650℃、蒸気圧:7.5MPa)について、第1実施形態の手法で求めた実験結果を図6及び図7に示す。図6は、第1推定部20で求めた間隔2L間のクリープ歪と、溶接熱影響部HAZの板厚内部及び外表面のクリープ歪との関係を示し、図7は、溶接熱影響部HAZのクリープ歪と、溶接熱影響部HAZの寿命消費率との関係を示す線図である。
【0035】
第1実施形態では、本発明方法により蒸気配管Pの寿命消費率を推定したほかに、従来のレプリカ法及び超音波探傷法(TOFD法)を併用している。図8に示すように、定期的にレプリカ法によって、蒸気配管Pの外表面のクリープボイドの分布状態を観察し、蒸気配管外表面のクリープ損傷度を判定し、蒸気配管外表面の寿命消費率を予測した。また、ボイラの運転開始前又は定期点検時及びその後定期的に、TOFD法によって蒸気配管Pの板厚内部のクリープ損傷度を判定し、板厚内部の寿命消費率を予測した。これらの手法により寿命予測した結果を図8の線図に示す。
【0036】
前述のように、金属部材のクリープ損傷は、表面より内部で速く進行する。図8に示すように、蒸気配管Pの板厚内部のクリープ損傷度を判定可能な本発明方法及びTOFD法では、蒸気配管Pの表面のクリープ損傷度を判定可能なレプリカ法と比べて、判定された余寿命は短くなる傾向にある。
【0037】
本実施形態によれば、蒸気配管Pの外表面の歪を計測し、この計測値から蒸気配管Pの寿命消費率を推定するので、クリープ損傷による組織変化が少ない9〜12Cr鋼からなる蒸気配管Pでも、ボイラの運転開始の初期から、蒸気配管Pの余寿命を正確に推定できる。また、板厚内部のクリープ損傷も推定できるので、表面のみの観測しかできないレプリカ法等と比べて、正確に寿命消費率を判定できる。そのため、保守管理の時間を十分確保できるので、適切な保守管理を実施できる。
【0038】
一方、TOFD法等の超音波探傷法は、図8に示すように、クリープ損傷が進行した末期からしかクリープ損傷度を判定できないので、保守管理に時間的余裕がなく、適切な保守管理ができないという問題がある。
【0039】
(実施形態2)
本発明方法及び本発明装置を、第1実施形態と同様の火力発電所用ボイラの、9〜12Cr鋼からなる蒸気配管に適用した第2実施形態を図9〜図11に基づいて説明する。本実施形態のクリープ損傷評価装置は、第1実施形態のクリープ損傷評価装置12と同一である。蒸気配管Pには、内部を流れる高圧蒸気Sにより引張り荷重Fが働く。蒸気配管Pのクリープ損傷の進行速度は、母材m及び溶接金属wはほぼ同等であり、溶接熱影響部HAZはこれらより大きい。そのため、運転時間が長くなるにつれて、溶接熱影響部HAZの変形が大きくなり、寿命後半では溶接熱影響部HAZにくぼみδが発生する。
【0040】
オペレータがこのくぼみδを計測し、計測値を歪計測部18に入力する。くぼみδの計測方法には、例えば、粘土による型取りしたものをマイクロメータ等によって計測するか、あるいはレーザ顕微鏡による計測方法がある。クリープ歪計測部18では、くぼみδのくぼみ量の計測値から、溶接熱影響部HAZの内外表面のクリープ歪(くぼみ量/蒸気配管Pの板厚t)を算出する。第1推定部20では、有限要素法(FEM)を用い、クリープ歪計測部18で算出したクリープ歪から溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部のクリープ歪を算出する。溶接熱影響部HAZのくぼみδと、溶接熱影響部HAZの外表面及び板厚内部のクリープ歪との関係をグラフ化したものの一例を図10(A)に示す。
【0041】
第2推定部22には、第1推定部20で求めた溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部のクリープ歪が入力されると共に、記憶部16から、過去の計測値に基づいて作成された、蒸気配管Pの溶接熱影響部HAZのクリープ歪と寿命消費率との相関関係を示す相関マップ14が予め入力されている。図10(B)に相関マップ14の一例を示す。第2推定部22では、これらの入力値から、溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部の寿命消費率を推定する。こうして、求めた寿命消費率は表示部24に表示される。
【0042】
ボイラ用蒸気配管の前記溶接製エルボについて、第2実施形態の手法で求めた実験結果を図11に示す。図11は、実験で得られた溶接熱影響部HAZのくぼみ量と寿命消費率との関係を示す。この寿命消費率は、第2実施形態の前記手法で予測されたものである。
【0043】
本実施形態によれば、蒸気配管Pの溶接熱影響部HAZの外表面のくぼみ量を計測し、この計測値から蒸気配管Pの寿命消費率を推定するので、クリープ損傷による組織変化が少ない9〜12Cr鋼からなる蒸気配管Pでも、ボイラの運転開始の初期から、蒸気配管Pの余寿命を正確に推定できる。そのため、保守管理の時間を十分確保できるので、適切な保守管理を実施できる。
【0044】
なお、本発明は、2Cr鋼等の比較的Cr含有量が少ないCr鋼からなる金属部材のクリープ損傷評価にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、9〜12Cr鋼等の高Cr鋼からなる金属部材のクリープ損傷の早期検出を可能とし、保守管理に十分な時間を確保できる。
【符号の説明】
【0046】
10 計測用突起
12 クリープ損傷評価装置
14 相関マップ
16 記憶部
18 歪計測部
20 第1推定部
22 第2推定部
24 表示部
F 引張り荷重
HAZ 溶接熱影響部
P 蒸気配管
S 高圧蒸気
W 溶接部
c き裂
f 細粒域
m 母材
r 粗粒域
t 板厚
w 溶接金属
δ くぼみ
ε クリープ歪
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、火力発電プラント用ボイラの蒸気配管の溶接部等に発生するクリープ損傷を評価し、クリープ破断に至るまでの余寿命を推定するのに好適なクリープ損傷の評価方法及び評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電プラント用ボイラの蒸気配管には、優れた高温特性をもち、高温高圧下で長時間使用できるフェライト系高Cr耐熱鋼が使用されている。かかる高温高圧下で使用される配管では、クリープ現象に起因した破断が問題となる。そこで、クリープ破断に対する保守管理が必要となる。クリープ損傷の進行速度は、特に溶接箇所の溶接熱影響部において大きくなる。クリープ破断は、溶接熱影響部等で発生したクリープボイド(空孔)が成長及び合体を繰り返し、微視き裂に成長し、その後、巨視き裂が進展して配管の肉厚を貫通し、破断に至るものである。
【0003】
図12は、2Cr鋼からなるボイラの蒸気配管の溶接部Wに発生したき裂cを示している。図12に示すように、溶接金属wと蒸気配管の母材m間に形成される溶接熱影響部HAZにき裂cが発生し、破断に到っている。また、蒸気配管の表面より内部でクリープボイド数が多く発生し、き裂cの起点となる傾向がある。
【0004】
金属部材表面のクリープボイドの有無を検出する方法として、レプリカ法がある。レプリカ法は、検査対象面を鏡面に研磨し、該鏡面をエッチングにより選択除去し、エッチング面にレプリカ用プラスチック膜を押貼し、エッチング面の凹凸をプラスチック膜に転写する。次に、走査型電子顕微鏡を用いてクリープボイドの有無及びその分布状況を観察する。
【0005】
また、金属部材の成分分析からクリープ損傷の進行速度の影響を判定する方法もある。この方法は、金属部材表面の酸化被膜を除去した後、露出した金属部材を研削して切粉を採取する。この切粉を用いて成分分析を行い、不純物量からクリープ脆化指数(CEF)を求め、クリープ脆化指数とクリープ損傷の進行速度との相関から、今後の保守管理要領に反映するものである。
【0006】
金属部材内部の傷を検出する方法として、超音波を用いた非破壊検査方法がある。この方法は、金属部材の内部に超音波を発信し、欠陥で反射する反射波を検出することで、欠陥を検出するものである。超音波を用いた方法として、複数の振動素子から意図する方向に走る単一波面を形成するように複数の超音波を発信し、欠陥で反射する反射波を検出することで、欠陥の「位置」の測定精度が高いフェーズドアレイ法がある。また、金属部材の表面に超音波を発信する振動素子と、金属部材内部の傷からの反射波を受信素子とを備え、金属部材表面で反射する反射波と欠陥で反射する反射波との時間差から、欠陥の「深さ」を精度良く検出できるTOFD法等の方法がある。
【0007】
特許文献1には、超音波探傷法では、金属部材内部の傷が経年変化により生じたクリープ損傷によるものか、製造時に既に生じていたものかを判定できないために、金属部材の余寿命を予測できないという課題を解決する手段が開示されている。この手段は、超音波探傷法と、金属部材表面のクリープボイドの分布状態を観察するレプリカ法や成分分析法等とを併用することで、クリープ損傷による傷かどうかを判定するものである。
【0008】
特許文献2には、ボイラ配管のベンド部のクリープ損傷を評価し、該ベンド部の余寿命を正確かつ簡便に予測可能なクリープ損傷評価方法が開示されている。この方法は、ボイラ運転前後のベンド部の変形量を測定し、この変形量の差から運転後にベンド部に働く曲げモーメントを算出し、予め求めてあるベンド部の曲げモーメントとクリープ損傷との相関関係から、該ベンド部のクリープ損傷を予測するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−153865号公報
【特許文献2】特開2003−232719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ボイラの蒸気配管に適用される高Cr鋼のうち、9〜12Cr鋼は、2Cr鋼と比べて高いクリープ破断強度をもつ。しかし、9〜12Cr鋼は、2Cr鋼と比べ、クリープ損傷を受けたときの組織変化が少なく、寿命末期にならないと、金属部材内部でき裂伸展が見られず、かつ外表面にクリープボイドが生じない。そのため、特許文献1に開示された超音波による評価方法では、寿命末期にならないと、金属部材内部のクリープ損傷を見つけることができない。また、金属部材表面でも、レプリカ法や成分分析法を用いた場合、寿命末期にならないと、クリープボイドを検出できない。
【0011】
例えば、クリープ破断までの時間を100%とするクリープ寿命消費率で言えば、2Cr鋼では、クリープ寿命消費率が60%程度で、密集したクリープボイドや微視き裂を検出可能であるが、9〜12Cr鋼では、クリープ寿命消費率が80%程度にならないと、密集したクリープボイドや微視き裂を検出できない。そのため、クリープ損傷の検出からクリープ破断までの時間が短く、保守管理に十分な時間を確保できず、十分な保守管理ができないという問題がある。
【0012】
特許文献2に開示された評価方法は、曲げモーメントを顕著に受ける金属部材だけに適用可能であり、適用範囲が限定される。
【0013】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、9〜12Cr鋼等の高Cr鋼においても、クリープ損傷の早期検出を可能にし、保守管理に十分な時間を確保できるクリープ損傷評価方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するため、本発明の金属部材の損傷評価方法は、過去の計測値から、金属部材のクリープ歪とクリープ損傷による寿命消費率との相関関係を示す相関マップを予め作成しておくマップ作成工程と、金属部材の表面に発生する変位を計測し、該変位から金属部材の表面に発生するクリープ歪を算出するクリープ歪計測工程と、該クリープ歪計測工程で計測したクリープ歪から、解析的手法により金属部材内部のクリープ歪を推定する第1推定工程と、歪計測工程で計測した金属部材表面のクリープ歪及び第1推定工程で推定した金属部材内部のクリープ歪から、相関マップに基づいて金属部材のクリープ損傷による寿命消費率を推定する第2推定工程と、からなるものである。
【0015】
本発明方法では、金属部材の表面に発生したクリープ歪から、例えば有限要素法(FEM)等の解析的手法を用いて、金属部材内部のクリープ歪を推定する。そして、金属部材の表面及び内部のクリープ歪から、相関マップに基づいて、金属部材の表面及び内部のクリープ寿命消費率を推定する。このように、金属部材に発生するクリープ歪に基づいて、クリープ損傷を推定しているので、9〜12Cr鋼においても、早期にクリープ損傷度を把握できる。これによって、金属部材の保守管理に十分な時間を確保できるので、保守管理が容易になる。
【0016】
本発明方法において、クリープ歪計測工程が、金属部材の表面に予め2個以上の計測用突起を形成しておき、クリープ歪発生前後に計測した計測用突起間の距離から計測用突起間のクリープ歪を算出するものであるとよい。このように、予め計測用突起を設けておくことで、金属部材表面のクリープ歪を計測するのが容易になる。計測用突起は、クリープ損傷の進行速度が速く、クリープ損傷度を特に監視すべき領域に配置するとよい。
【0017】
本発明方法において、金属部材に引張り荷重が付加されるとき、クリープ歪計測工程が、金属部材の表面に発生した凹部の深さを計測し、この計測値を金属部材の表面に発生するクリープ歪の指標とするとよい。金属部材が引張り荷重を受けるとき、特にクリープ損傷の進行速度が大きい領域、例えば溶接熱影響部等で金属部材の表面に凹部が発生する。そこで、この凹部の深さを金属部材の表面に発生する変位として捉え、これからクリープ歪を算出することで、この領域のクリープ寿命消費率を簡便に求めることができる。
【0018】
また、計測用突起を形成するクリープ歪算出方法と、金属部材表面の凹部の深さを検出するクリープ歪算出方法とを併用することで、さらに正確なクリープ寿命消費率を推定できる。
【0019】
さらに、前記クリープ損傷評価方法に加えて、金属部材表面の組織検査を行い、この組織検査の結果に基づき金属部材表面のクリープ損傷の有無を判定し、この判定結果と前記クリープ損傷評価方法で推定した寿命消費率とから、金属部材の寿命消費率を総合的に推定するとよい。これによって、金属部材のクリープ寿命消費率をさらに正確に推定できる。
【0020】
前記本発明方法の実施に直接使用可能な本発明の金属部材の損傷評価装置は、過去の計測値に基づいて作成され、金属部材のクリープ歪とクリープ損傷による寿命消費率との相関関係を示す相関マップ及び該相関マップを記憶する記憶手段と、金属部材の表面に発生する変位が入力され、該変位から金属部材の表面に発生するクリープ歪を算出するクリープ歪計測手段と、クリープ歪計測手段で計測されたクリープ歪から、解析的手法により金属部材内部のクリープ歪を推定する第1推定手段と、クリープ歪計測手段で計測された金属部材表面のクリープ歪及び第1推定手段で推定した金属部材内部のクリープ歪から、相関マップに基づいて金属部材のクリープ損傷による寿命消費率を推定する第2推定手段と、からなるものである。
【0021】
本発明装置では、金属部材の表面に発生したクリープ歪を算出し、該クリープ歪から、例えば有限要素法(FEM)等の解析的手法を用いて、金属部材内部のクリープ歪を推定する。そして、金属部材の表面及び内部のクリープ歪から、相関マップに基づいて、金属部材の表面及び内部のクリープ寿命消費率を推定する。このように、金属部材に発生するクリープ歪に基づいて、クリープ損傷を推定しているので、9〜12Cr鋼においても、早期にクリープ損傷度を把握できる。これによって、金属部材の保守管理が容易になる。
【0022】
本発明装置において、金属部材の表面に予め形成された2個以上の計測用突起を備え、歪計測手段に歪発生前後に計測された計測用突起間の距離が入力され、該歪計測手段で計測用突起間のクリープ歪を算出するものであるとよい。このように、金属部材の表面に計測用突起を形成することで、金属部材表面のクリープ歪を計測するのが容易になる。計測用突起は、クリープ損傷の進行速度が速く、クリープ損傷度を特に監視すべき領域に配置するとよい。
【0023】
本発明装置において、計測用突起が金属部材の溶接線の両側に配置され、溶接線の熱影響部のクリープ損傷による寿命消費率を推定するようにするとよい。溶接部のクリープ損傷の進行速度は、金属部材の母材及び溶接金属は同等であるが、溶接熱影響部のクリープ損傷の進行速度はこれらの領域より大きい。そこで、特に、溶接熱影響部のクリープ寿命消費率を推定することで、金属部材のクリープ破断時期を正確に推定できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明方法によれば、過去の計測値から、金属部材のクリープ歪とクリープ損傷による寿命消費率との相関関係を示す相関マップを予め作成しておくマップ作成工程と、金属部材の表面に発生する変位を計測し、該変位から金属部材の表面に発生するクリープ歪を算出するクリープ歪計測工程と、該クリープ歪計測工程で計測したクリープ歪から、解析的手法により金属部材内部のクリープ歪を推定する第1推定工程と、クリープ歪計測工程で計測した金属部材表面のクリープ歪及び第1推定工程で推定した金属部材内部のクリープ歪から、相関マップに基づいて金属部材のクリープ損傷による寿命消費率を推定する第2推定工程と、からなり、金属部材に発生するクリープ歪に基づいて、クリープ損傷を推定しているので、9〜12Cr鋼においても、早期にクリープ損傷度を把握できる。これによって、金属部材の保守管理のための十分な時間的余裕を得ることができる。
【0025】
本発明装置によれば、過去の計測値に基づいて作成され、金属部材のクリープ歪とクリープ損傷による寿命消費率との相関関係を示す相関マップ及び該相関マップを記憶する記憶手段と、金属部材の表面に発生する変位が入力され、該変位から金属部材の表面に発生するクリープ歪を算出するクリープ歪計測手段と、クリープ歪計測手段で計測されたクリープ歪から、解析的手法により金属部材内部のクリープ歪を推定する第1推定手段と、クリープ歪計測手段で計測された金属部材表面のクリープ歪及び第1推定手段で推定した金属部材内部のクリープ歪から、相関マップに基づいて金属部材のクリープ損傷による寿命消費率を推定する第2推定手段と、からなるので、前記本発明方法と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係り、寿命予測対象となる蒸気配管の斜視図である。
【図2】前記蒸気配管に形成された計測用突起の拡大図である。
【図3】前記蒸気配管の溶接部の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るクリープ損傷評価装置のブロック線図である。
【図5】前記第1実施形態に係り、(A)は溶接熱影響部のクリープ歪を示す線図であり、(B)は溶接熱影響部のクリープ歪から寿命消費率を予測する線図である。
【図6】第1実施形態で実際に計測用突起間のクリープ歪から予測した溶接熱影響部のクリープ歪を示す線図である。
【図7】第1実施形態で実際に溶接熱影響部のクリープ歪から予測した寿命消費率を示す線図である。
【図8】第1実施形態で、本発明及び他の手法を併用して蒸気配管の寿命消費率を総合的に予測した線図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る蒸気配管の断面図である。
【図10】前記第2実施形態に係り、(A)は溶接熱影響部のクリープ歪を示す線図であり、(B)は溶接熱影響部のクリープ歪から寿命消費率を予測する線図である。
【図11】第2実施形態で、実際に予測した溶接熱影響部のくぼみ量から予測した寿命消費率を示す線図である。
【図12】蒸気配管の溶接部に発生したき裂と、蒸気配管に発生したクリープボイド面密度を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0028】
(実施形態1)
本発明を火力発電所用ボイラの、9〜12Cr鋼からなる蒸気配管に適用した第1実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。図1はクリープ損傷を評価しその余寿命を予測する蒸気配管Pを示す。蒸気配管Pは、例えば、ボイラと蒸気タービン間に配設され、高圧蒸気Sをボイラから蒸気タービンに供給する、直径が400〜700mmの大口径管である。蒸気配管Pは、管の周方向に溶接部Wが存在する。溶接部Wに形成される溶接熱影響部が最もクリープ損傷の進行速度が大きいため、本実施形態では溶接部Wの周辺の溶接熱影響部のクリープ損傷を評価する。そのため、蒸気配管Pの外周面に、溶接部Wを挟んで計測用突起10が形成されている。
【0029】
蒸気配管Pには、蒸気配管Pの内部を流れる高圧蒸気Sによって半径方向、周方向、及び軸方向の応力が発生する。また、蒸気配管Pには、蒸気配管Pの自重及び配管系の熱伸びによって、又は支持部材等外部から付加される荷重によって、曲げモーメントによる軸方向応力が発生する。計測用突起10は、これらの荷重が最も大きくなると予想される箇所、及び該箇所と90°の位相差を有する蒸気配管Pの外表面に予め形成されている。計測用突起10は、溶接部Wを挟み、溶接部Wから等間隔Lに配置され、かつ周方向に4箇所、90°間隔で配置されている。
【0030】
図2に示すように、計測用突起10の形状は、円筒形、又は下部が円筒形をなし、上部が截頭円錐形をなしている。火力発電所の運転開始前又は定期点検時に、オペレータが、マイクロメータ等を用いて、溶接部Wを挟んで相対する計測用突起間の間隔2Lを計測する。また、運転開始後、定期点検以外でも定期的に間隔2Lを計測する。
【0031】
図3は、蒸気配管Pの溶接部Wの拡大断面図である。蒸気配管Pの母材mと溶接金属wとの間に、溶接熱影響部HAZが形成される。溶接熱影響部HAZは、溶接金属w側に形成される粗粒域rと、母材m側に形成される細粒域fとからなる。通常、細粒域f中の線ABに沿ってクリープボイドが発生し、それがき裂cに伸展し、破断に至る。図3に示すように、線AB上では、蒸気配管Pの表面より内部のほうが大きいクリープ歪が発生する。そのため、表面より内部のほうがクリープ損傷度が大きくなる。
【0032】
図4に、本実施形態に係るクリープ損傷評価装置12を示す。過去の計測値に基づいて、蒸気配管Pの溶接熱影響部HAZのクリープ歪と寿命消費率との相関関係を示す相関マップ14が予め作成されている。相関マップ14は記憶部16に記憶されている。また、記憶部16には、ボイラの運転開始前又は定期点検時に計測された間隔2Lの計測値が記憶されている。相関マップ14の一例を図5(B)に示す。クリープ歪計測部18には、ボイラの運転開始後定期的に計測される間隔2Lの計測値が入力される。クリープ歪計測部18では、記憶部16からボイラの運転開始前又は定期点検時に計測された間隔2Lの計測値が送られ、運転中の間隔2Lのクリープ歪を算出する。
【0033】
第1推定部20では、有限要素法(FEM)を用い、間隔2L間のクリープ歪から溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部のクリープ歪を算出する。こうして求めた溶接熱影響部HAZの外表面及び板厚内部のクリープ歪と間隔2L間のクリープ歪をグラフ化したものの一例を図5(A)に示す。第2推定部22には、第1推定部20で求めた溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部の歪が入力されると共に、記憶部16から相関マップ14が入力される。第2推定部22では、これらの入力値から、溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部の寿命消費率を推定する。こうして、求めた寿命消費率は表示部24に表示される。
【0034】
ボイラ用蒸気配管の溶接製エルボ(材質:改良9Cr鋼、外径/肉厚:φ568.8mm×t30mm、曲げ部の曲率半径:R840mm、蒸気温度:650℃、蒸気圧:7.5MPa)について、第1実施形態の手法で求めた実験結果を図6及び図7に示す。図6は、第1推定部20で求めた間隔2L間のクリープ歪と、溶接熱影響部HAZの板厚内部及び外表面のクリープ歪との関係を示し、図7は、溶接熱影響部HAZのクリープ歪と、溶接熱影響部HAZの寿命消費率との関係を示す線図である。
【0035】
第1実施形態では、本発明方法により蒸気配管Pの寿命消費率を推定したほかに、従来のレプリカ法及び超音波探傷法(TOFD法)を併用している。図8に示すように、定期的にレプリカ法によって、蒸気配管Pの外表面のクリープボイドの分布状態を観察し、蒸気配管外表面のクリープ損傷度を判定し、蒸気配管外表面の寿命消費率を予測した。また、ボイラの運転開始前又は定期点検時及びその後定期的に、TOFD法によって蒸気配管Pの板厚内部のクリープ損傷度を判定し、板厚内部の寿命消費率を予測した。これらの手法により寿命予測した結果を図8の線図に示す。
【0036】
前述のように、金属部材のクリープ損傷は、表面より内部で速く進行する。図8に示すように、蒸気配管Pの板厚内部のクリープ損傷度を判定可能な本発明方法及びTOFD法では、蒸気配管Pの表面のクリープ損傷度を判定可能なレプリカ法と比べて、判定された余寿命は短くなる傾向にある。
【0037】
本実施形態によれば、蒸気配管Pの外表面の歪を計測し、この計測値から蒸気配管Pの寿命消費率を推定するので、クリープ損傷による組織変化が少ない9〜12Cr鋼からなる蒸気配管Pでも、ボイラの運転開始の初期から、蒸気配管Pの余寿命を正確に推定できる。また、板厚内部のクリープ損傷も推定できるので、表面のみの観測しかできないレプリカ法等と比べて、正確に寿命消費率を判定できる。そのため、保守管理の時間を十分確保できるので、適切な保守管理を実施できる。
【0038】
一方、TOFD法等の超音波探傷法は、図8に示すように、クリープ損傷が進行した末期からしかクリープ損傷度を判定できないので、保守管理に時間的余裕がなく、適切な保守管理ができないという問題がある。
【0039】
(実施形態2)
本発明方法及び本発明装置を、第1実施形態と同様の火力発電所用ボイラの、9〜12Cr鋼からなる蒸気配管に適用した第2実施形態を図9〜図11に基づいて説明する。本実施形態のクリープ損傷評価装置は、第1実施形態のクリープ損傷評価装置12と同一である。蒸気配管Pには、内部を流れる高圧蒸気Sにより引張り荷重Fが働く。蒸気配管Pのクリープ損傷の進行速度は、母材m及び溶接金属wはほぼ同等であり、溶接熱影響部HAZはこれらより大きい。そのため、運転時間が長くなるにつれて、溶接熱影響部HAZの変形が大きくなり、寿命後半では溶接熱影響部HAZにくぼみδが発生する。
【0040】
オペレータがこのくぼみδを計測し、計測値を歪計測部18に入力する。くぼみδの計測方法には、例えば、粘土による型取りしたものをマイクロメータ等によって計測するか、あるいはレーザ顕微鏡による計測方法がある。クリープ歪計測部18では、くぼみδのくぼみ量の計測値から、溶接熱影響部HAZの内外表面のクリープ歪(くぼみ量/蒸気配管Pの板厚t)を算出する。第1推定部20では、有限要素法(FEM)を用い、クリープ歪計測部18で算出したクリープ歪から溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部のクリープ歪を算出する。溶接熱影響部HAZのくぼみδと、溶接熱影響部HAZの外表面及び板厚内部のクリープ歪との関係をグラフ化したものの一例を図10(A)に示す。
【0041】
第2推定部22には、第1推定部20で求めた溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部のクリープ歪が入力されると共に、記憶部16から、過去の計測値に基づいて作成された、蒸気配管Pの溶接熱影響部HAZのクリープ歪と寿命消費率との相関関係を示す相関マップ14が予め入力されている。図10(B)に相関マップ14の一例を示す。第2推定部22では、これらの入力値から、溶接熱影響部HAZの内外表面及び板厚内部の寿命消費率を推定する。こうして、求めた寿命消費率は表示部24に表示される。
【0042】
ボイラ用蒸気配管の前記溶接製エルボについて、第2実施形態の手法で求めた実験結果を図11に示す。図11は、実験で得られた溶接熱影響部HAZのくぼみ量と寿命消費率との関係を示す。この寿命消費率は、第2実施形態の前記手法で予測されたものである。
【0043】
本実施形態によれば、蒸気配管Pの溶接熱影響部HAZの外表面のくぼみ量を計測し、この計測値から蒸気配管Pの寿命消費率を推定するので、クリープ損傷による組織変化が少ない9〜12Cr鋼からなる蒸気配管Pでも、ボイラの運転開始の初期から、蒸気配管Pの余寿命を正確に推定できる。そのため、保守管理の時間を十分確保できるので、適切な保守管理を実施できる。
【0044】
なお、本発明は、2Cr鋼等の比較的Cr含有量が少ないCr鋼からなる金属部材のクリープ損傷評価にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、9〜12Cr鋼等の高Cr鋼からなる金属部材のクリープ損傷の早期検出を可能とし、保守管理に十分な時間を確保できる。
【符号の説明】
【0046】
10 計測用突起
12 クリープ損傷評価装置
14 相関マップ
16 記憶部
18 歪計測部
20 第1推定部
22 第2推定部
24 表示部
F 引張り荷重
HAZ 溶接熱影響部
P 蒸気配管
S 高圧蒸気
W 溶接部
c き裂
f 細粒域
m 母材
r 粗粒域
t 板厚
w 溶接金属
δ くぼみ
ε クリープ歪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去の計測値から、金属部材のクリープ歪とクリープ損傷による寿命消費率との相関関係を示す相関マップを予め作成しておくマップ作成工程と、
金属部材の表面に発生する変位を計測し、該変位から金属部材の表面に発生したクリープ歪を算出するクリープ歪計測工程と、
該クリープ歪計測工程で計測したクリープ歪から、解析的手法により金属部材内部のクリープ歪を推定する第1推定工程と、
前記クリープ歪計測工程で計測した金属部材表面のクリープ歪及び前記第1推定工程で推定した金属部材内部のクリープ歪から、前記相関マップに基づいて金属部材のクリープ損傷による寿命消費率を推定する第2推定工程と、からなることを特徴とする金属部材の損傷評価方法。
【請求項2】
前記クリープ歪計測工程が、金属部材の表面に予め2個以上の計測用突起を形成しておき、クリープ歪発生前後に計測した計測用突起間の距離から計測用突起間のクリープ歪を算出するものであることを特徴とする請求項1に記載の金属部材の損傷評価方法。
【請求項3】
前記金属部材に引張り荷重が付加されるとき、前記クリープ歪計測工程が、金属部材の表面に発生した凹部の深さを計測し、この計測値を金属部材の表面に発生するクリープ歪の指標とすることを特徴とする請求項1に記載の金属部材の損傷評価方法。
【請求項4】
請求項2及び請求項3に記載の金属部材の損傷評価方法を併用することを特徴とする金属部材の損傷評価方法。
【請求項5】
請求項1に記載の金属部材の損傷評価方法に加えて、金属部材表面の組織検査を行い、この組織検査の結果に基づき金属部材表面のクリープ損傷の有無を判定し、この判定結果と請求項1に記載の損傷評価方法で推定した寿命消費率とから、金属部材の寿命消費率を推定することを特徴とする金属部材の損傷評価方法。
【請求項6】
過去の計測値に基づいて作成され、金属部材のクリープ歪とクリープ損傷による寿命消費率との相関関係を示す相関マップ及び該相関マップを記憶する記憶手段と、
金属部材の表面に発生する変位が入力され、該変位から金属部材の表面に発生するクリープ歪を算出するクリープ歪計測手段と、
該クリープ歪計測手段で計測されたクリープ歪から、解析的手法により金属部材内部のクリープ歪を推定する第1推定手段と、
前記クリープ歪計測手段で計測された金属部材表面のクリープ歪及び前記第1推定手段で推定した金属部材内部のクリープ歪から、前記相関マップに基づいて金属部材のクリープ損傷による寿命消費率を推定する第2推定手段と、からなることを特徴とする金属部材の損傷評価装置。
【請求項7】
金属部材の表面に予め形成された2個以上の計測用突起を備え、前記歪計測手段に歪発生前後に計測された計測用突起間の距離が入力され、該歪計測手段で計測用突起間のクリープ歪を算出するものであることを特徴とする請求項6に記載の金属部材の損傷評価装置。
【請求項8】
前記計測用突起が金属部材の溶接線の両側に配置され、該溶接線の熱影響部のクリープ損傷による寿命消費率を推定するようにしたことを特徴とする請求項6又は7に記載の金属部材の損傷評価装置。
【請求項1】
過去の計測値から、金属部材のクリープ歪とクリープ損傷による寿命消費率との相関関係を示す相関マップを予め作成しておくマップ作成工程と、
金属部材の表面に発生する変位を計測し、該変位から金属部材の表面に発生したクリープ歪を算出するクリープ歪計測工程と、
該クリープ歪計測工程で計測したクリープ歪から、解析的手法により金属部材内部のクリープ歪を推定する第1推定工程と、
前記クリープ歪計測工程で計測した金属部材表面のクリープ歪及び前記第1推定工程で推定した金属部材内部のクリープ歪から、前記相関マップに基づいて金属部材のクリープ損傷による寿命消費率を推定する第2推定工程と、からなることを特徴とする金属部材の損傷評価方法。
【請求項2】
前記クリープ歪計測工程が、金属部材の表面に予め2個以上の計測用突起を形成しておき、クリープ歪発生前後に計測した計測用突起間の距離から計測用突起間のクリープ歪を算出するものであることを特徴とする請求項1に記載の金属部材の損傷評価方法。
【請求項3】
前記金属部材に引張り荷重が付加されるとき、前記クリープ歪計測工程が、金属部材の表面に発生した凹部の深さを計測し、この計測値を金属部材の表面に発生するクリープ歪の指標とすることを特徴とする請求項1に記載の金属部材の損傷評価方法。
【請求項4】
請求項2及び請求項3に記載の金属部材の損傷評価方法を併用することを特徴とする金属部材の損傷評価方法。
【請求項5】
請求項1に記載の金属部材の損傷評価方法に加えて、金属部材表面の組織検査を行い、この組織検査の結果に基づき金属部材表面のクリープ損傷の有無を判定し、この判定結果と請求項1に記載の損傷評価方法で推定した寿命消費率とから、金属部材の寿命消費率を推定することを特徴とする金属部材の損傷評価方法。
【請求項6】
過去の計測値に基づいて作成され、金属部材のクリープ歪とクリープ損傷による寿命消費率との相関関係を示す相関マップ及び該相関マップを記憶する記憶手段と、
金属部材の表面に発生する変位が入力され、該変位から金属部材の表面に発生するクリープ歪を算出するクリープ歪計測手段と、
該クリープ歪計測手段で計測されたクリープ歪から、解析的手法により金属部材内部のクリープ歪を推定する第1推定手段と、
前記クリープ歪計測手段で計測された金属部材表面のクリープ歪及び前記第1推定手段で推定した金属部材内部のクリープ歪から、前記相関マップに基づいて金属部材のクリープ損傷による寿命消費率を推定する第2推定手段と、からなることを特徴とする金属部材の損傷評価装置。
【請求項7】
金属部材の表面に予め形成された2個以上の計測用突起を備え、前記歪計測手段に歪発生前後に計測された計測用突起間の距離が入力され、該歪計測手段で計測用突起間のクリープ歪を算出するものであることを特徴とする請求項6に記載の金属部材の損傷評価装置。
【請求項8】
前記計測用突起が金属部材の溶接線の両側に配置され、該溶接線の熱影響部のクリープ損傷による寿命消費率を推定するようにしたことを特徴とする請求項6又は7に記載の金属部材の損傷評価装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−19758(P2013−19758A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153254(P2011−153254)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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