説明

金属顔料組成物

【課題】本発明の目的は、塗料組成物もしくはインキ組成物、特に水性塗料もしくは水性インキに使用可能で貯蔵安定性に優れており、なおかつ塗膜にしたときの光輝性や隠蔽性、フリップフロップ感などの低下が少ない金属顔料組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を少なくとも一種以上と、酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩類と、金属顔料とを含有する、金属顔料組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物もしくはインキ組成物、特に水性塗料もしくは水性インキに適する金属顔料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塗料分野においては、省資源、無公害化対策として、有機溶剤の使用量の少ない水性塗料への転換の必要性が高まっているが、アルミニウム顔料を含むメタリック塗料においては、未だ、実用可能な水性塗料の例は少ない。
その理由として、アルミニウム顔料が水性塗料中で腐食されて水素ガスを発生しやすいことが挙げられる。これは塗料メーカーにおける塗料化工程や、自動車、家電メーカーにおける塗装工程において、安全上極めて重大な問題である。なお、以下では水性塗料中におけるアルミニウム顔料の腐食に対する安定性を、「貯蔵安定性」と定義する。
【0003】
特許文献1では、モリブデン酸、タングステン酸およびそれらの塩からなる酸化剤と、リン酸イオンと、アルカリ土類金属イオンとを含有する処理液によって処理されたアルミニウム顔料が開示された。特許文献2では、リンモリブデン酸、リンタングステン酸などのヘテロポリアニオンで金属顔料粒子を処理した金属顔料含有ペーストが開示された。また、特許文献3では、ホスホモリブデン酸塩ピグメントを用いて処理された金属粒子を含んで成る、金属粒子ペーストが開示された。しかしながら、これらの先行文献に記載の方法によれば、金属顔料の色調低下は避けられない。また、特許文献4では、混合配位型へテロポリ酸を含有する金属顔料組成物が開示されているが、貯蔵安定性が不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−318181号公報
【特許文献2】特表平8−502317号公報
【特許文献3】特開2000−7939号公報
【特許文献4】特開2008−120932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の欠点を克服した金属顔料組成物を提供すること、すなわち、塗料組成物もしくはインキ組成物、特に水性塗料もしくは水性インキに使用可能で貯蔵安定性に優れており、なおかつ塗膜にしたときの光輝性や隠蔽性、フリップフロップ感などの低下が少ない金属顔料組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を少なくとも一種以上と、酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩類と、金属顔料とを含有する金属顔料組成物を用いることにより、優れた貯蔵安定性と、優れた色調を両立し得る金属顔料組成物を得ることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。なお、本願における酸性有機(亜)リン酸エステルとは、後述する通り、酸性有機リン酸エステル又は酸性有機亜リン酸エステルのことである。
【0007】
即ち、本発明は下記の通りである。
(1)ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を少なくとも一種以上と、酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩類と、金属顔料とを含有する金属顔料組成物。
(2)金属顔料がアルミニウムフレークである(1)に記載の金属顔料組成物。
(3)ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を構成するヘテロ原子が、IIIB、IVB、VB族の元素から選ばれる少なくとも一種である、(1)または(2)に記載の金属顔料組成物。
(4)IIIB、IVB、VB族の元素がそれぞれ、B、Si、Pである(3)に記載の金属顔料組成物。
(5)ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を構成するポリ原子が遷移金属から選ばれる、(1)から(4)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
(6)遷移金属がTi、Zr、V、Nb、Mo、Wである、(5)に記載の金属顔料組成物。
(7)ヘテロポリアニオン化合物が、HPMo1240・nHO(リンモリブデン酸・n水和物)、HPW1240・nHO(リンタングステン酸・n水和物)、HSiMo1240・nHO(ケイモリブデン酸・n水和物)及びHSiW1240・nHO(ケイタングステン酸・n水和物)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)または(2)に記載の金属顔料組成物。
(8)混合配位型ヘテロポリアニオン化合物が、HPWMo12−x40・nHO(リン(タングスト)モリブデン酸・n水和物)、H3+xPVMo12−x40・nHO(リン(バナド)モリブデン酸・n水和物)、HSiWMo12−x40・nHO(ケイ(タングスト)モリブデン酸・n水和物)及びH4+xSiVMo12−x40・nHO(ケイ(バナド)モリブデン酸・n水和物)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)または(2)に記載の金属顔料組成物。(但し、1≦x≦11、n≧0)
(9)ヘテロポリアニオン化合物が、ヘテロポリアニオン化合物を構成するヘテロポリアニオンと、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアよりなる群から選ばれる1種との塩である、(1)から(7)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
(10)混合配位型ヘテロポリアニオン化合物が、混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を構成する混合配位型ヘテロポリアニオンと、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアよりなる群から選ばれる1種との塩である、(1)から(8)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
【0008】
(11)ヘテロポリアニオン化合物が、ヘテロポリアニオン化合物を構成するヘテロポリアニオンと、下記一般式(1)で表されるアミン化合物から選ばれる少なくとも一種との塩である、(1)から(7)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
【化1】


(式中、R1、R2およびR3は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR1とR2は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR1とR2は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素もしくは酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成するか、または任意にR1、R2およびR3は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環組成物を形成する。R1、R2およびR3は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
【0009】
(12)混合配位型ヘテロポリアニオン化合物が、混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を構成する混合配位型ヘテロポリアニオンと、下記一般式(2)で表されるアミン化合物から選ばれる少なくとも一種の塩である(1)から(8)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
【化2】


(式中、R1、R2およびR3は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR1とR2は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR1とR2は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素もしくは酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成するか、または任意にR1、R2およびR3は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環組成物を形成する。R1、R2およびR3は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
【0010】
(13)酸性有機(亜)リン酸エステルが、下記一般式(3)で示される化合物の中から選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の金属顔料組成物。
【化3】


(式中、R4、R5およびR6は同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル基、エステル基、水酸基、カルボニル基、およびハロゲン基を含んでもよい炭化水素基、または任意に環構造もしくは不飽和結合を含んでよい炭化水素基であり、R4、R5、R6のうち1つもしくは2つは水素原子であり、かつR4、R5、R6の炭素原子数の合計は4以上である。mは0または1の数を示す。)
【0011】
(14)酸性有機(亜)リン酸エステル塩が、下記一般式(4)で表されるリン酸エステルと、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、下記一般式(5)で表されるアミンから選ばれる少なくとも1種との塩である(1)または(2)に記載の金属顔料組成物。
【化4】


(式中、R4、R5およびR6は同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル基、エステル基、水酸基、カルボニル基、およびハロゲン基を含んでもよい炭化水素基、または任意に環構造もしくは不飽和結合を含んでよい炭化水素基であり、R4、R5、R6のうち1つもしくは2つは水素原子であり、かつR4、R5、R6の炭素原子数の合計は4以上である。mは0または1の数を示す。)
【化5】


(式中、R1、R2およびR3は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR1とR2は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR1とR2は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素もしくは酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成するか、または任意にR1、R2およびR3は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環組成物を形成する。R1、R2およびR3は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
【0012】
(15)酸性有機(亜)リン酸エステルが下記一般式(6)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種である(13)記載の金属顔料組成物。
【化6】


(式中、R7、R8およびR9は同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル基、エステル基、水酸基、カルボニル基、およびハロゲン基を含んでもよい炭化水素基、または任意に環構造もしくは不飽和結合を含んでよい炭化水素基、または下記一般式(7)、(8)で示される基であり、R7、R8、R9のうち1つもしくは2つは水素原子であり、かつR7、R8、R9の炭素原子数の合計は4以上である。mは0または1の数を示す。)
【化7】


(式中、R10、R13は水素原子もしくはメチル基を示し、R11は炭素数2から8で任意に酸素原子を含んでいてもよい2価の有機基であり、R12は水素原子、もしくは下記一般式(8)を示す。hは0または1の数を示し、iは0から10の数を示す。)
【化8】


(式中、Xは水素原子もしくは塩素原子を示す。)
【0013】
(16)酸性有機(亜)リン酸エステル塩が、モノもしくはジトリデシルアシッドホスフェートのモルフォリン塩、もしくはN,N−ジメチルエタノールアミン塩である(14)に記載の金属顔料組成物。
(17)ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物が、金属顔料100重量部に対し、0.01から10重量部存在する(1)から(12)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
(18)酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩類が、金属顔料100重量部に対し、0.01から20重量部存在する(1)から(16)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
(19)更に酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤の中から選ばれる少なくとも1種を金属顔料100重量部に対し、0.01から5重量部含有する(1)から(18)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
【0014】
(20)更に界面活性剤を金属顔料100重量部に対し、0.01から30重量部含有する(1)から(19)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
(21)金属顔料を、任意に水を含む溶媒中で、ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物と、酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩類とによって、別工程もしくは同一工程で混合処理する、(1)から(18)のいずれかに記載の金属顔料組成物の製造方法。
(22)(1)から(20)のいずれかに記載の金属顔料組成物を含む塗料組成物。
(23)(1)から(20)のいずれかに記載の金属顔料組成物を含むインキ組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明の金属顔料組成物を塗料組成物もしくはインキ組成物、特に水性塗料もしくは水性インキに用いた場合、良好な貯蔵安定性と、光輝性、隠蔽性、およびフリップフロップの優れた塗膜を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について、特にその好ましい態様を中心に、詳細に説明する。
本発明に用いる金属顔料としては、アルミニウム、亜鉛、鉄、マグネシウム、銅、ニッケルのような卑金属のフレーク、及びそれらの合金のフレークを好ましく用いることができる。特に好適なのはメタリック用顔料として多用されているアルミニウムフレークである。本発明に用いるアルミニウムフレークとしては、表面光沢性、白度、光輝性等メタリック用顔料に要求される表面性状、粒径、形状を有するものが適している。
【0017】
形状としては、鱗片状のものが好ましい。アルミニウムフレークについて例示すると、平均粒径(d50)が2から40μmであり、平均厚み(t)が0.01から2μmの範囲であることが好ましく、平均アスペクト比が10から2500の範囲であることが好ましい。ここで、平均アスペクト比は、アルミニウムフレークの平均粒径(d50)を平均厚み(t)で割った値である。アルミニウムフレークは、通常ペースト状態で市販されており、これを用いてもよいし、予め有機溶剤等で表面の脂肪酸を除去して用いてもよい。また、平均粒径(d50)が3から30μm、平均厚み(t)が5から50nmのいわゆるアルミニウム蒸着箔も使用可能である。
【0018】
本発明に用いるヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物は、IIIB、IVB、VB族の元素と、一種類もしくは二種類の遷移金属元素から構成される。ヘテロポリアニオンとは、2種以上の中心イオンを含むオキソ酸アニオンであり、中心イオンが1種類から成るイソポリアニオンと区別される。ヘテロポリアニオンのヘテロ原子としては、周期律表の大部分の元素がなり得ることがわかっている。
ヘテロポリアニオンの最も一般的な構造の一つを例にとって説明すると、通常一種類の遷移金属元素から成るヘテロポリアニオンは[Xa+b+122−40(80−a−12b)−で表され、二種類の遷移金属からなる混合配位型ヘテロポリアニオンは[Xa+b+c+12−x2−40{80−a−bx−c(12−x)}−で表される(ただしXはB,Si,Ge,P,As等のIIIB、IVB、VB族の元素を表し、M、NはTi,Zr,V,Nb,Ta,Mo,W等の遷移金属を表している。)。
【0019】
ヘテロポリアニオン化合物は数多くの構造を持ち得るが、代表的なヘテロポリアニオン化合物としては、HPMo1240・nHO(リンモリブデン酸・n水和物)、HPW1240・nHO(リンタングステン酸・n水和物)、HSiMo1240・nHO(ケイモリブデン酸・n水和物)、HSiW1240・nHO(ケイタングステン酸・n水和物)等が例示される。また、混合配位型ヘテロポリアニオン化合物としては、HPWMo12−x40・nHO(リン(タングスト)モリブデン酸・n水和物)、H3+xPVMo12−x40・nHO(リン(バナド)モリブデン酸・n水和物)、HSiWMo12−x40・nHO(ケイ(タングスト)モリブデン酸・n水和物)、H4+xSiVMo12−x40・nHO(ケイ(バナド)モリブデン酸・n水和物)等が例示される。(ただし1≦x≦11、n≧0)
【0020】
また、本発明に用いるヘテロポリアニオンのカチオンとしては、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、マンガンなどの金属、アンモニア、アミン化合物などが挙げられる。アミン化合物としては、下記一般式(9)で表され、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、トリデシルアミン、ステアリルアミンのような直鎖一級アミン;イソプロピルアミン、イソブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、分岐トリデシルアミンのような分岐一級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジラウリルアミン、ジトリデシルアミン、ジステアリルアミンのような直鎖二級アミン;ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、分岐ジトリデシルアミンのような分岐二級アミン;メチル・ブチルアミン、エチル・ブチルアミン、エチル・ヘキシルアミン、エチル・ラウリルアミン、エチル・ステアリルアミン、イソプロピル・オクチルアミン、イソブチル・2−エチルヘキシルアミンのような非対称二級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、トリトリデシルアミン、トリステアリルアミンのような直鎖三級アミン;トリイソプロピルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−2−エチルヘキシルアミン、分岐トリトリデシルアミンのような分岐三級アミン;ジメチルオクチルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジエチルラウリルアミンのような混合炭化水素基を有する三級アミンなどの他に、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミンなどアルケニル基をもつアミン、シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミンのような脂環一級アミン;ベンジルアミン、4−メチルベンジルアミンのような芳香環置換基を持つ一級アミン;ジシクロヘキシルアミン、ジ−2−メチルシクロヘキシルアミンのような脂環二級アミン;ジベンジルアミン、ジ−4−メチルベンジルアミンのような芳香環置換基を持つ二級アミン;シクロヘキシル・2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシル・ベンジルアミン、ステアリル・ベンジルアミン、2−エチルヘキシル・ベンジルアミンのような非対称二級アミン;ジメチルベンジルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミンのような脂環三級アミン;トリベンジルアミン、トリ−4−メチルベンジルアミンのような芳香環置換基を持つ三級アミン;モルホリン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−デシルオキシプロピルアミン、3−ラウリルオキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノプロパノールアミン、ブタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−イソプロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−シクロヘキシル−N−メチルアミノエタノール、N−ベンジル−N−プロピルアミノエタノール、またはN−ヒドロキシエチルピロリジン、N−ヒドロキシエチルピペラジン、N−ヒドロキシエチルモルホリン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N−シクロヘキシル−1,3−プロパンジアミン、N−デシル−1,3−プロパンジアミン、N−イソトリデシル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メトキシフェニルピペラジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、キヌクリジン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン等もしくはこれらの混合物が例示される。
【0021】
これらの中で特に好ましい例としては、ステアリルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ジオクチルアミン、直鎖または分岐ジトリデシルアミン、ジステアリルアミン、直鎖または分岐トリトリデシルアミン、トリステアリルアミン、モルホリン、3−エトキシプロピルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【化9】


(式中、R1、R2およびR3は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR1とR2は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR1とR2は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素もしくは酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成するか、または任意にR1、R2およびR3は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環組成物を形成する。R1、R2およびR3は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
【0022】
本発明に用いる酸性有機リン酸エステル又は酸性有機亜リン酸エステル(以下、「酸性有機(亜)リン酸エステル」と呼ぶ。)としては、下記一般式(10)で表され、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアシッドホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアシッドホスフェート、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、ジエチルハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト等のそれぞれのモノエステル、ジエステルまたはそれらの混合物が例示される。これら酸性有機(亜)リン酸エステルの中に、非置換無機リン酸及び/または酸性を示さないトリエステルが一部含まれていてもよい。これらの中で特に好ましい例としては、オクチルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、ジラウリルハイドロゲンホスファイトのモノエステル、ジエステルまたはそれらの混合物が例示される。
【化10】


(式中、R4、R5およびR6は同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル基、エステル基、水酸基、カルボニル基、およびハロゲン基を含んでもよい炭化水素基、または任意に環構造もしくは不飽和結合を含んでよい炭化水素基であり、R4、R5、R6のうち1つもしくは2つは水素原子であり、かつR4、R5、R6の炭素原子数の合計は4以上である。mは0または1の数を示す。)
【0023】
本発明に用いる酸性有機(亜)リン酸エステル塩の塩を構成する物質としては、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、マンガンなどの金属、アンモニウム、下記一般式(11)で表されるアミンなどが挙げられる。これらのアミンの中で特に好ましい例としては、モルホリン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【化11】


(式中、R1、R2およびR3は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR1とR2は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR1とR2は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素もしくは酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成するか、または任意にR1、R2およびR3は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環組成物を形成する。R1、R2およびR3は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
【0024】
また、本発明に用いられる酸化防止剤としては、フェノール系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物に代表される。好適な化合物としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチル−フェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−s−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ3’5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、プロピルガレート、オクチルガレート、ラウリルガレート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、2,2’−ジメチレン−ビス−(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[2−t−ブチル−4−メチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタラート、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジおよびトリ−チオビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ3’,5’−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、カルシウム(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルモノエチルホスフォネート)、アルキル化ビスフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアネート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ブチル酸,3,3−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチレンエステル、トリフェニルホスファイト、ジフェニルノニルフェニルホスファイト、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス−(モノおよびジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)フルオロホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジブチルハイドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールアルキル(C12〜C15)ホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジ−トリデシルホスファイト、ジステアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、環状ネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニルホスファイト、フェニル−ビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)、3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサホスファン−2−オキシド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスファイト−ジエチルエステル、水素添加ビスフェノールAホスファイトポリマー、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル(DLTTDP)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル(DMTDP)、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル(DSTDP)、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリル−チオプロピオネート)エステル、ステアリルチオプロピオンアミド、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキル(C12〜C14)チオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド、ジオクタデシルジスルフィド、2−メルカプトンベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)等が例示される。
【0025】
光安定剤としては、先述した酸化防止剤として使用されるものもあるが、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチレート系化合物、シアノアクリレート系、蓚酸誘導体、ヒンダードアミン系化合物(HALS)、ヒンダードフェノール系化合物に代表される。好適な化合物としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、3’’,4’’,2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−t−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、4−(2−アクリロイロキシエトキシ)−2−ヒドロキシベンゾフェノンのポリマー、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンと他の4置換ベンゾフェノンとの混合品、フェニルサリチレート、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸−n−ヘキサデシルエステル、4−t−ブチルフェニルサリチレート、4−t−オクチルフェニルサリチレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、エチル(β,β−ジフェニル)シアノアクリレート、2−エチルヘキシル(β,β−ジフェニル)シアノアクリレート、2−エトキシ−2’−エチル蓚酸ビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチル蓚酸ビスアニリド、蓚酸アニリド誘導体、インドール系、アゾメチン系、フェニル−4−ピペリジニルカーボネート、[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニル]−N−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジンオン)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−[N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1,2,3,4−ブタンカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]]、ポリ[6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジルイミノ−ヘキサメチレン][2,2,6,6−テトラメチルピペリジルイミノ]]、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、1,6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン−ジ−p−フェニレン)ジセミカルバジド等が挙げられる。
【0026】
重合禁止剤としては、フェノール類、キノン類、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、アミン類、スルフィド類に代表される。好適な化合物としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、モノ−tert−ブチルヒドロキノン、カテコール、p−tert−ブチルカテコール、p−メトキシフェノール、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−m−クレゾール、ピロガロール、β−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール等のフェノール類;ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、p−トルキノン、p−キシロキノンなどのキノン類;ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロブタン、ニトロベンゼン、ニトロベンゼンスルホン酸化合物、m−ジニトロベンゼン、2−メチル−2−ニトロソプロパン、α−フェニル−tert−ブチルニトロン、5,5−ジメチル−1−ピロリン−1−オキシドなどのニトロ化合物又はニトロソ化合物;クロラニル−アミン、ジフェニルアミン、ジフェニルピクリルヒドラジン、フェノール−α−ナフチルアミン、ピリジン、フェノチアジンなどのアミン類;ジチオベンゾイルスルフィド、ジベンジルテトラスルフィドなどのスルフィド類等が挙げられる。
【0027】
本発明に使用される界面活性剤は、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレートなどのポリアルキレングリコール脂肪酸エステル;ラウリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、オレイン酸モノグリセライドなどのグリセリン脂肪酸エステルに代表される非イオン性界面活性剤が挙げられ、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどの硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホン酸塩;アルキルリン酸カリウムなどのリン酸エステル塩に代表される陰イオン性界面活性剤が挙げられ、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩に代表される陽イオン性界面活性剤などが挙げられ、これらから選ばれた1種もしくは2種以上が使用できる。これらの中で特に好ましい例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルまたはそれらの混合物が例示される。
【0028】
本発明に使用されるヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物は、原料金属粉をボールミルで粉砕する時に添加してもよいし、金属顔料に溶媒を加えたスラリー状態で混合してもよいし、溶媒の量を少なくしたペースト状態で混練してもよい。また、ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物は、金属顔料にそのまま加えてもよいし、溶媒で希釈して加えてもよい。均一な混合状態を得るためには、溶媒であらかじめ希釈して加える方が好ましい。希釈に用いる溶媒等は、例えば、水や、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ類;ヘキサン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン等の炭化水素溶剤;ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の工業用ガソリン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類;鉱物油等が挙げられる。
【0029】
本発明に使用される酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩類は、原料金属粉をボールミルで粉砕する時に添加してもよいし、金属顔料に溶媒を加えたスラリー状態で混合してもよいし、溶媒の量を少なくしたペースト状態で混練してもよい。これらは金属顔料をヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物で処理した後に添加してもよいし、ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物と同時に添加してもよいが、ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物で処理した後に添加する方が好ましい。また、均一な混合状態を得るためには、溶媒であらかじめ希釈して加える方が好ましい。希釈に用いる溶媒等は、例えば、水、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ類;ヘキサン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン等の炭化水素溶剤;ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の工業用ガソリン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類;鉱物油等が挙げられる。
【0030】
本発明に使用される酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤は、原料金属粉をボールミルで粉砕する時に添加してもよいし、金属顔料に溶媒を加えたスラリー状態で混合してもよいし、溶媒の量を少なくしたペースト状態で混練してもよい。これらは金属顔料をヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物で処理した後に添加してもよいし、ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物と同時に添加してもよいが、ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物で処理した後に添加する方が好ましい。また、金属顔料組成物を、水を主とする媒体中に塗膜形成成分である樹脂類が溶解または分散している水性塗料、水性インキに配合する際に添加してもよい。また、均一な混合状態を得るためには、溶媒であらかじめ希釈して加える方が好ましい。希釈に用いる溶媒等は、例えば、水、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ類;ヘキサン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン等の炭化水素溶剤;ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の工業用ガソリン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類;鉱物油等が挙げられる。
【0031】
本発明に使用される界面活性剤は、原料金属粉をボールミルで粉砕する時に添加してもよいし、金属顔料に溶媒を加えたスラリー状態で混合してもよいし、溶媒の量を少なくしたペースト状態で混練してもよい。これらは金属顔料をヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物で処理した後に添加してもよいし、ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物と同時に添加してもよいが、ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物で処理した後に添加する方が好ましい。また、金属顔料組成物を、水を主とする媒体中に塗膜形成成分である樹脂類が溶解または分散している水性塗料、水性インキに配合する際に添加してもよい。また、均一な混合状態を得るためには、溶媒であらかじめ希釈して加える方が好ましい。希釈に用いる溶媒等は、例えば、水、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ類、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン等の炭化水素溶剤、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の工業用ガソリン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、鉱物油等が挙げられる。
【0032】
本発明の金属顔料組成物調製の際に用いられる溶剤は、親水性溶剤でも疎水性溶剤でもよい。親水性溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、オクタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ類、及びそのエステル類、プロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、エチレンプロピレングリコールのグリコール類などが挙げられる。また、疎水性溶剤としては、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、LAWS(Low Aromatic White Spirit)、HAWS(High Aromatic White Spirit)、トルエン、キシレン等が挙げられる。更には酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類も使用可能である。これらを単独または混合して使用することができる。
【0033】
スラリー状態で調製する場合は、金属顔料のスラリー中濃度は1から50重量%、好ましくは10から30重量%の状態で行い、ペースト状態で混練する場合は、金属顔料の濃度は50から95重量%、好ましくは60から85重量%の状態で行う。
【0034】
ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物は、金属顔料中の金属成分100重量部に対し、0.01から10重量部、好ましくは0.01から5重量部添加する。これらは予め溶媒に溶解または分散させておいてから添加するのが好ましい。
【0035】
酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩類は、金属顔料中の金属成分100重量部に対し、0.01から20重量部、好ましくは0.01から10重量部添加する。これらは予め溶媒に溶解または分散させておいてから添加するのが好ましい。
【0036】
酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤は、金属顔料中の金属成分100重量部に対し、0.01から10重量部、好ましくは0.01から5重量部添加する。これらは予め溶媒に溶解または分散させておいてから添加するのが好ましい。
【0037】
界面活性剤は、金属顔料中の金属成分100重量部に対し、0.01から30重量部、好ましくは0.01から20重量部添加する。これらは予め溶媒に溶解または分散させておいてから添加するのが好ましい。
【0038】
これらを添加する順序に特に制限は無いが、金属顔料をヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物で処理すると同時またはその後に、酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩類を添加し、最後に酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤、界面活性剤を添加することが好ましい。酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤と界面活性剤は、金属顔料組成物を、水を主とする媒体中に塗膜形成成分である樹脂類が溶解または分散している水性塗料、水性インキに配合する際に添加してもよい。
この混合物は10から160℃、好ましくは20から120℃の温度で10分から72時間、好ましくは20分から48時間の範囲で攪拌混合する。溶剤が多い場合は除去し、最終の金属顔料含量を所望の40から90%とする。得られた金属顔料組成物は40℃から120℃、好ましくは50℃から110℃で6時間から3ヶ月間、好ましくは1日から30日間の間エージングさせてもよい。
【0039】
本発明によって得られる金属顔料組成物は、水を主とする媒体中に塗膜形成成分である樹脂類が溶解または分散している水性塗料もしくは水性インキに加えることにより、メタリック水性塗料もしくはメタリック水性インキとすることができる。金属顔料組成物は、そのまま水性塗料、水性インキに加えてもよいが、予め溶媒に分散させてから加える方が好ましい。使用する溶媒としては、水や、テキサノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。また、これらの樹脂類としては例えば、アクリル樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリエーテル樹脂類、エポキシ樹脂類、フッ素樹脂類、ロジン樹脂類などが挙げられる。
【0040】
アクリル樹脂類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つ(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド類;及びメタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル、p−スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸等のその他の重合性モノマー類等から選ばれた単独または混合物を重合させて得られるアクリル樹脂類が挙げられる。
その重合方法としては、乳化重合が一般的であるが、懸濁重合、分散重合、溶液重合でも製造できる。乳化重合では段階的に重合することもできる。
【0041】
ポリエステル樹脂類としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のカルボン酸の群から選ばれた単独または混合物と、低分子量ポリオール、ジオール類としては例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、2−エチル−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどがあり、トリオール類としては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなどがあり、テトラオール類としては、例えばジグリセリン、ジメチロールプロパン、ペンタエリトリトールなどの群から選ばれた多価アルコールの単独または混合物との縮合反応によって得られるポリエステル樹脂類及び例えば低分子量ポリオールの水酸基にε−カプロラクトンを開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等が挙げられる。
【0042】
ポリエーテル樹脂類としては、多価ヒドロキシ化合物の単独または混合物に、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒を使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独または混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール類、更にエチレンジアミン類等の多官能化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類及び、これらポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類等が含まれる。
【0043】
これらの樹脂類は水に乳化、分散あるいは溶解することが好ましい。そのために、樹脂類に含まれるカルボキシル基、スルホン基などを中和することができる。
【0044】
カルボキシル基、スルホン基などの中和するための中和剤としては、例えばアンモニア、水溶性アミノ化合物である例えばモノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリンなどから選択される1種以上を用いることができる。好ましくは、第三級アミンであるトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等が挙げられる。
【0045】
好ましい樹脂類は、アクリル樹脂類、ポリエステル樹脂類である。
必要に応じて、メラミン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ウレタンディスパージョンなどの樹脂を併用することができる。更には一般的に塗料に加えられる無機顔料、有機顔料、体質顔料、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、分散剤、沈降防止剤、レべリング剤、増粘剤、消泡剤と組み合わせてもよい。塗料への分散性を良くするために、更に界面活性剤を添加してもよいし、塗料の保存安定性を良くするために、更に酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤を添加してもよい。
【実施例】
【0046】
以下に、本発明の実施例を示す。
[実施例1]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gにプロピレングリコールモノメチルエーテルを465g加えて分散したスラリーを攪拌しながら、リンモリブデン酸(HPMo1240)の水和物0.2gを水30gに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を70℃に保ちながら2時間攪拌した。その後更にブチルアシッドホスフェート(城北化学工業株式会社製、商品名「JP−504」)5.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテル30gに溶解した液を徐々に加え、4時間攪拌した。その後濾過し、不揮発分78%のアルミニウム顔料組成物を得た。
【0047】
[実施例2]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gにエチレングリコールモノブチルエーテルを465g加えて分散したスラリーを攪拌しながら、リンバナドモリブデン酸(HPVMo1140)の水和物0.5gをエチレングリコールモノブチルエーテル30gに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を40℃に保ちながら2時間攪拌した。その後更に2−エチルヘキシルアシッドホスフェート(城北化学工業株式会社製、商品名「JP−508」)5.0gをエチレングリコールモノブチルエーテル30gに溶解した液を徐々に加え、2時間攪拌した。その後濾過し、不揮発分76%のアルミニウム顔料組成物を得た。更に、該アルミニウム顔料組成物のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.5重量部の2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを添加し、混練した。得られたアルミニウム顔料組成物は、50℃で1週間エージングを行った。
【0048】
[実施例3]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gにエチレングリコールモノブチルエーテルを465g加えて分散したスラリーを攪拌しながら、リンタングストモリブデン酸(HPWMo40)の水和物0.5gをイソプロパノール30gに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を70℃に保ちながらエチレングリコールアシッドホスフェート(城北化学工業株式会社製、商品名「EGAP」)2.0gをイソプロパノール30gに溶解した液を徐々に加え、2時間攪拌した。その後濾過し、不揮発分74%のアルミニウム顔料組成物を得た。
【0049】
[実施例4]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gにプロピレングリコールモノメチルエーテルを465g加えて分散したスラリーを攪拌しながら、ケイモリブデン酸(HSiMo1240)の水和物1.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテル30gに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を40℃に保ちながら2時間攪拌した。その後更にリン酸エステルのアミン塩(楠本化成株式会社製、商品名「ディスパロンDA−325」)2.5gをプロピレングリコールモノメチルエーテル30gに溶解した液を徐々に加え、2時間攪拌した。その後濾過し、不揮発分76%のアルミニウム顔料組成物を得た。
【0050】
[実施例5]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gにミネラルスピリットを465g加えて分散したスラリーを攪拌しながら、リンバナドモリブデン酸(HPVMo1140)の水和物0.1gをイソプロパノール30gに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を40℃に保ちながら2時間攪拌した。その後更にトリデシルアシッドホスフェート(東邦化学工業株式会社製、商品名「GF−185」)1.0gをミネラルスピリット30gに溶解した液を徐々に加え、2時間攪拌した。その後濾過し、不揮発分77%のアルミニウム顔料組成物を得た。更に、該アルミニウム顔料組成物のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.5重量部のオレイン酸を添加し、混練した。得られたアルミニウム顔料組成物は、50℃で1週間エージングを行った。
【0051】
[実施例6]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gにプロピレングリコールモノメチルエーテルを465g加えて分散したスラリーを攪拌しながら、ケイバナドモリブデン酸(HSiVMo1140)の水和物0.2gをプロピレングリコールモノメチルエーテル30gに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を70℃に保ちながら2時間攪拌した。その後更にアシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート(ユニケミカル株式会社製、商品名「ホスマーPP」)2.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテル30gに溶解した液を徐々に加え、4時間攪拌した。その後濾過し、不揮発分72%のアルミニウム顔料組成物を得た。更に、該アルミニウム顔料組成物のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.5重量部の2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを添加し、混練した。得られたアルミニウム顔料組成物は、50℃で1週間エージングを行った。
【0052】
[実施例7]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gにミネラルスピリットを465g加えて分散したスラリーを攪拌しながら、リンタングストモリブデン酸(HPWMo40)の水和物0.2gをイソプロパノール30gに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を70℃に保ちながら2時間攪拌した。その後更にトリデシルアシッドホスフェートのモルフォリン塩3.0gをミネラルスピリット30gに溶解した液を徐々に加え、4時間攪拌した。その後濾過し、不揮発分76%のアルミニウム顔料組成物を得た。
【0053】
[製造例1]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gに、リンタングステン酸モノオクチルアミン塩とオレイン酸を、該アルミペースト中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、それぞれ0.3重量部、0.5重量部となるように添加し、70℃で6時間攪拌した。
【0054】
[製造例2]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gに、リンタングストモリブデン酸(HPWMo40)ジトリデシルアミン塩と2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを、該アルミペースト中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、それぞれ0.5重量部ずつとなるように添加し、70℃で6時間攪拌した。
【0055】
[実施例8]
製造例1で得られたアルミニウム顔料組成物135gにエチレングリコールモノブチルエーテルを465g加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、10.0重量部のトリデシルアシッドホスフェートのモルフォリン塩を添加し、70℃で4時間攪拌した。その後濾過し、不揮発分70%のアルミニウム顔料組成物を得た。
【0056】
[実施例9]
製造例2で得られたアルミニウム顔料組成物135gにプロピレングリコールモノメチルエーテルを465g加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、5.0重量部のジエチルベンジルホスホネート(城北化学工業株式会社製、商品名「JC−228」)を添加し、70℃で4時間攪拌した。その後濾過し、不揮発分73%のアルミニウム顔料組成物を得た。
【0057】
[比較例1]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gにプロピレングリコールモノメチルエーテルを465g加えて分散したスラリーを攪拌しながら、リンモリブデン酸(HPMo1240)の水和物0.2gをプロピレングリコールモノメチルエーテル30gに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を70℃に保ちながら2時間攪拌した。その後濾過し、不揮発分75%のアルミニウム顔料組成物を得た。
【0058】
[実施例10から18、比較例2]
実施例1から9、および比較例1で得られたアルミニウム顔料組成物に対し、下記の組成で水性メタリック塗料を作製した。
【0059】
[水性メタリック塗料の調整]
アルミニウム顔料組成物:アルミニウム分として10.5g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル:6.8g
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(非イオン性界面活性剤)
(松本油脂製薬株式会社製、商品名「アクチノールL5」):2.1g
精製水:42g
水溶性アクリル樹脂
(オリジン電気株式会社製、商品名「水性プラミーズ#300」):175g
増粘剤(共栄社化学株式会社製、商品名「チクゾールK−130B」):5.0g
作製した水性メタリック塗料を用いて、以下の評価を行った。
【0060】
[評価1(貯蔵安定性評価)]
水性メタリック塗料200gをフラスコに採取し、40℃の恒温水槽で240時間まで水素ガス累積発生量を観察した。ガスの発生量に応じて下記のように評価し、塗料中の貯蔵安定性の指標とした。
○:1.0ml未満
△:1.0以上5.0ml未満
×:5.0ml以上
【0061】
[評価2(塗膜の色調評価)]
上記の塗料を用いて塗膜を作製し、輝度、フリップフロップ感、隠蔽性、粒子感の評価を行った。
輝度は、関西ペイント株式会社製のレーザー式メタリック感測定装置アルコープLMR−200を用いて評価した。光学的条件は、入射角45度のレーザー光源と受光角0度と−35度に受光器をもつ。測定値としては、レーザーの反射光のうち、塗膜表面で反射する鏡面反射領域の光を除いて最大光強度が得られる受光角−35度でIV値を求めた。IV値は塗膜からの正反射光強度に比例するパラメーターであり、光輝度の大小を表す。判定方法は以下の通りである。
◎:比較例2より10以上高いもの
○:比較例2との差異が10未満のもの
×:比較例2より10以上低いもの
フリップフロップ感は、スガ試験機株式会社製の変角測色計を用いて評価した。入射角45度の光源に対して観察角度(受光角)30度と80度における反射光強度(L値)の対数の傾きからF/F値を求めた。F/F値は、金属顔料の配向度合いに比例するパラメーターであり、顔料のフリップフロップ感の大小を表す。判定方法は以下の通りである。
◎:比較例2より0.05以上高いもの
○:比較例2との差異が0.05未満のもの
×:比較例2より0.05以上低いもの
隠蔽性は、目視で観察した。判定方法は以下の通りである。
○:比較例2より良好なもの
×:比較例2より劣るもの
評価1、2の結果を表1に示す。
【0062】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、塗料組成物もしくはインキ組成物、特に水性塗料もしくは水性インキ水性塗料に使用可能で塗料の貯蔵安定性に優れており、なおかつ塗膜にしたときの光輝性や隠蔽性、フリップフロップ感などの低下が少ない金属顔料組成物を提供することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を少なくとも一種以上と、酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩類と、金属顔料とを含有する、金属顔料組成物。
【請求項2】
金属顔料がアルミニウムフレークである、請求項1に記載の金属顔料組成物。
【請求項3】
ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を構成するヘテロ原子が、IIIB、IVB、VB族の元素から選ばれる少なくとも一種である、請求項1または2に記載の金属顔料組成物。
【請求項4】
IIIB、IVB、VB族の元素がそれぞれ、B、Si、Pである、請求項3に記載の金属顔料組成物。
【請求項5】
ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を構成するポリ原子が遷移金属から選ばれる、請求項1から4のいずれかに記載の金属顔料組成物。
【請求項6】
遷移金属がTi、Zr、V、Nb、Mo、Wである、請求項5に記載の金属顔料組成物。
【請求項7】
ヘテロポリアニオン化合物が、HPMo1240・nHO(リンモリブデン酸・n水和物)、HPW1240・nHO(リンタングステン酸・n水和物)、HSiMo1240・nHO(ケイモリブデン酸・n水和物)及びHSiW1240・nHO(ケイタングステン酸・n水和物)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の金属顔料組成物。
【請求項8】
混合配位型ヘテロポリアニオン化合物が、HPWMo12−x40・nHO(リン(タングスト)モリブデン酸・n水和物)、H3+xPVMo12−x40・nHO(リン(バナド)モリブデン酸・n水和物)、HSiWMo12−x40・nHO(ケイ(タングスト)モリブデン酸・n水和物)及びH4+xSiVMo12−x40・nHO(ケイ(バナド)モリブデン酸・n水和物)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の金属顔料組成物。(但し、1≦x≦11、n≧0)
【請求項9】
ヘテロポリアニオン化合物が、ヘテロポリアニオン化合物を構成するヘテロポリアニオンと、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアよりなる群から選ばれる1種との塩である請求項1から7のいずれか一項に記載の金属顔料組成物。
【請求項10】
混合配位型ヘテロポリアニオン化合物が、混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を構成する混合配位型ヘテロポリアニオンと、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアよりなる群から選ばれる1種との塩である、請求項1から8のいずれか一項に記載の金属顔料組成物。
【請求項11】
ヘテロポリアニオン化合物が、ヘテロポリアニオン化合物を構成するヘテロポリアニオンと、下記一般式(1)で表されるアミン化合物から選ばれる少なくとも一種との塩である、請求項1から7のいずれか一項に記載の金属顔料組成物。
【化1】


(式中、R1、R2およびR3は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にR1とR2は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR1とR2は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素もしくは酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成するか、または任意にR1、R2およびR3は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環組成物を形成する。R1、R2およびR3は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
【請求項12】
混合配位型ヘテロポリアニオン化合物が、混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を構成する混合配位型ヘテロポリアニオンと、下記一般式(2)で表されるアミン化合物から選ばれる少なくとも一種の塩である請求項1から8のいずれか一項に記載の金属顔料組成物。
【化2】


(式中、R1、R2およびR3は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR1とR2は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR1とR2は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素もしくは酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成するか、または任意にR1、R2およびR3は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環組成物を形成する。R1、R2およびR3は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
【請求項13】
酸性有機(亜)リン酸エステルが、下記一般式(3)で示される化合物の中から選ばれた少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属顔料組成物。
【化3】


(式中、R4、R5およびR6は同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル基、エステル基、水酸基、カルボニル基、およびハロゲン基を含んでもよい炭化水素基、または任意に環構造もしくは不飽和結合を含んでよい炭化水素基であり、R4、R5、R6のうち1つもしくは2つは水素原子であり、かつR4、R5、R6の炭素原子数の合計は4以上である。mは0または1の数を示す。)
【請求項14】
酸性有機(亜)リン酸エステル塩が、下記一般式(4)で表されるリン酸エステルと、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、下記一般式(5)で表されるアミンから選ばれる少なくとも1種との塩である請求項1または2に記載の金属顔料組成物。
【化4】


(式中、R4、R5およびR6は同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル基、エステル基、水酸基、カルボニル基、およびハロゲン基を含んでもよい炭化水素基、または任意に環構造もしくは不飽和結合を含んでよい炭化水素基であり、R4、R5、R6のうち1つもしくは2つは水素原子であり、かつR4、R5、R6の炭素原子数の合計は4以上である。mは0または1の数を示す。)
【化5】


(式中、R1、R2およびR3は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR1とR2は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR1とR2は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素または酸素原子を含むことができる5員または6員環を形成するか、または任意にR1、R2およびR3は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる、多員の多重環組成物を形成する。R1、R2およびR3は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
【請求項15】
酸性有機(亜)リン酸エステルが下記一般式(6)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項13記載の金属顔料組成物。
【化6】


(式中、R7、R8およびR9は同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル基、エステル基、水酸基、カルボニル基、およびハロゲン基を含んでもよい炭化水素基、または任意に環構造もしくは不飽和結合を含んでよい炭化水素基、または下記一般式(7)、(8)で示される基、もしくは下記一般式(7)、(8)で示される基であり、R7、R8、R9のうち1つもしくは2つは水素原子であり、かつR7、R8、R9の炭素原子数の合計は4以上である。mは0または1の数を示す。)
【化7】


(式中、R10、R13は水素原子もしくはメチル基を示し、R11は炭素数2から8で任意に酸素原子を含んでいてもよい2価の有機基であり、R12は水素原子、もしくは下記一般式(8)を示す。hは0または1の数を示し、iは0から10の数を示す。)
【化8】


(式中、Xは水素原子もしくは塩素原子を示す。)
【請求項16】
酸性有機(亜)リン酸エステル塩が、モノもしくはジトリデシルアシッドホスフェートのモルフォリン塩、もしくはN,N−ジメチルエタノールアミン塩である請求項14に記載の金属顔料組成物。
【請求項17】
ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物が、金属顔料100重量部に対し、0.01から10重量部存在する請求項1から12のいずれかに記載の金属顔料組成物。
【請求項18】
酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩類が、金属顔料100重量部に対し、0.01から20重量部存在する請求項1から16のいずれかに記載の金属顔料組成物。
【請求項19】
更に酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤の中から選ばれる少なくとも1種を金属顔料100重量部に対し、0.01から5重量部含有する請求項1から18のいずれかに記載の金属顔料組成物。
【請求項20】
更に界面活性剤を金属顔料100重量部に対し、0.01から30重量部含有する請求項1から19のいずれかに記載の金属顔料組成物。
【請求項21】
金属顔料を、任意に水を含む溶媒中で、ヘテロポリアニオン化合物もしくは混合配位型ヘテロポリアニオン化合物と、酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩類とによって、別工程もしくは同一工程で混合処理する、請求項1から18のいずれかに記載の金属顔料組成物の製造方法。
【請求項22】
請求項1から20のいずれかに記載の金属顔料組成物を含む塗料組成物。
【請求項23】
請求項1から20のいずれかに記載の金属顔料組成物を含むインキ組成物。

【公開番号】特開2011−208038(P2011−208038A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77640(P2010−77640)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】