説明

金融市場情報を管理するための強化されたシステム及び方法

金融市場情報を管理するシステム及び方法が提供される。実施例によると、システムは、メモリ、プロセッサ及びディスプレイを有するコンピュータを有する。プロセッサは、ディスプレイ上に金融市場情報のグラフィカル表示を生成可能である。グラフィカル表示は、少なくとも2つの金融商品の広範な市場情報の多次元表示を有する。グラフィカル表示は、ディスプレイ上の単一のウィンドウに設けられる。金融商品は、国債や先物などの複数の金融商品クラスを含むかもしれない。異なる商品が選択可能であり、選択された商品に関連するベーシス情報を含む情報が、第2ウィンドウに表示可能である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、一般に金融市場情報システムに関し、より詳細には、金融市場情報を提供、操作、閲覧及びそれに従って動作するシステム及び方法に関する。
【0002】
[背景]
近年、電子金融情報及び取引システムが広く支持されてきている。例えば、株式、債券、通貨、先物又は他の適切な金融商品などの金融商品の取引を実現する電子取引システムが構築されてきた。これら電子取引システムの多くは、ビッド及びオファーがパッシブ(passive)サイドによってシステムに提供されるビッド/オファープロセスを利用する。これらのビット及びオファーは、アグレッシブ(aggressive)サイドによりヒット及びリフト(又はテーク)される。例えば、パッシブトレーダーは、所与の価格によりある数量の30年物米国国債を購入するため、“ビッド”を提供する。このようなビッドに応答して、アグレッシブトレーダーは、当該価格により第1トレーダーに債券を売却しようとする意向を示すため、“ヒット(hit)”を提供する。あるいは、パッシブサイドトレーダーは、当該価格によりこの債券のある数量を売却するため、“オファー”を提供し、その後、アグレッシブサイドトレーダーが、当該価格によりパッシブサイドトレーダーから債券を購入しようとする意向を示すため、当該オファーに応答して“リフト(lift)”又は“テーク(take)”を提供する。このような取引システムでは、ビッド、オファー、ヒット及びリフト(又はテーク)は、まとめて“注文(order)”として知られている。トレーダーがビットを提供するとき、トレーダーは注文を提供していると言われる。
【0003】
一般に、金融市場情報システムは、典型的には、ある金融市場に関する各種情報を表示する。これらの情報は、通常はモニタ上の各ウィンドウズ(登録商標)又はスクリーンに表示される。比較情報が、それが提供される程度まで、1次元又は2次元により提供される。例えば、金融情報システムは、1つの金融商品について市場に関連する情報の2次元グラフを表示することが一般的である。さらに、システムのユーザが当該情報に基づき電子取引を実行することを所望する場合、取引活動は、典型的には、取引アプリケーションが金融市場情報を提供することとは別に、取引アプリケーションにおいて開始される。
【0004】
[概要]
本発明は、一般に金融市場システムに関し、より詳細には金融市場情報を提供、操作、閲覧及びそれに従って動作するシステム及び方法に関する。一部の実施例は、ユーザが市場情報に基づき取引を行うことを可能にする選択肢及び市場情報を表示するためのシステム、ソフトウェア及び/又はグラフィカルユーザインタフェースに関する。
【0005】
少なくとも1つの実施例では、金融市場情報を表示するシステムが提供される。本システムは、金融市場情報を受付及び格納するためのメモリを有するコンピュータを含む。コンピュータはまた、金融市場情報を処理し、ディスプレイ上に金融市場情報のグラフィカル表示を生成するためのソフトウェアを実行するよう動作可能なプロセッサとディスプレイとを有する。グラフィカル表示は、少なくとも2つの金融商品の市場情報の少なくとも3次元以上の多次元表示を有する。グラフィカル表示は、ディスプレイ上で1つのウィンドウに設けられ、表示された金融市場情報の少なくとも一部がリアルタイムにより動的に更新される。
【0006】
他の実施例では、プロセッサにより実行可能であり、ディスプレイ上に金融市場情報のグラフィカル表示を生成するよう動作可能なソフトウェアが提供される。グラフィカル表示は、少なくとも2つの金融商品の市場情報の少なくとも3次元以上の多次元表示を有する。グラフィカル表示は、ディスプレイ上の1つのウィンドウに設けられ、表示された金融市場情報の少なくとも一部が、リアルタイムにより動的に更新される。
【0007】
他の実施例では、プロセッサにより実行可能であり、ディスプレイ上に金融市場情報のグラフィカル表示を生成するよう動作可能なソフトウェアが提供される。グラフィカル表示は、少なくとも2つの金融商品の市場情報の3次元表示を含む。グラフィカル表示は、第1次元に動的でリアルタイムな市場情報の第1コンポーネントと、第2次元に市場情報の第2コンポーネントとを有する。少なくとも2つの金融商品の表示が、第3次元に配置される。
【0008】
本発明は、複数の重要な技術的効果を有する。本発明の各種実施例は、これらの効果の一部又はすべてを有しているかもしれず、又は何れも有していないかもしれない。特に、本発明の実施例は、ディスプレイの閲覧者が現在の更新された価格、イールド、取引タイプ及びサイズ、ビッド及びオファー価格、市場方向、購入及び売却利子率の普及、価格トレンド並びにキーセキュリティ関係及び相関関係の統合及び容易に理解される閲覧を受け付けるような方法及び表示によって、金融商品(確定利付き証券など)のリアルタイム情報を提供する。閲覧者には、集計した指標に着目し、それの固有の基礎となる多数のコンポーネントを抽出する機能を提供する。これは、単一のディスプレイが多数の隣接したディスプレイウィンドウを要求する広範な情報アレイへのアクセスを提供するように、単一のディスプレイ又はウィンドウにより実現される。以前には利用不可であった追加的な情報が、包括的なグラフィカルフォーマットにより提供される。これは、各証券を購入するためのビッド若しくは売却するためのオファーを提供するための機能、又はそれに関する取引を実行するための機能を同時に実現する。本発明はまた、同時的な数学的計算、高度な定量的解析考察及び24時間の世界中での取引機能による生の市場情報の表示をサポートする。本発明は、ユーザへの金融市場情報を提供し、ユーザが既知のシステムと比較して当該情報を理解するレベル及びスピードを向上させることを可能にする。本発明はまた、金融市場情報の管理効率と共に、情報に係る金融商品に関する取引活動のスピード及び効率を向上させる。
【0009】
包括的かつインタラクティブな視覚表示により金融商品群のリアルタイム特性を閲覧することは、市場参加者が金融商品の1つの市場内における関係、金融商品の2以上の市場間における関係及び金融商品群全体の包括的な関係を含む、多数の可変的かつ定量的市場ダイナミクスを瞬時かつ正確に理解することを可能にする。本システムは、市場参加者が市場情報を示す同一ディスプレイとのやりとりを通じて、何れかの商品における取引をより効果的に実行することを可能にする。定量的情報の読み取りを実現することに加えて、ディスプレイフォーマット及び他のツールは、キーとなる市場ダイナミクスを要約及び特徴付けし、各商品の取引を電子的に実行することを可能にすると同時に、リアルタイムの市場特性及びコンプレクシティの把握を実質的に強化するための簡単化されたフレームワークを提供する。
【0010】
ある実施例は、使用が容易かつ効率的なユーザインタフェースを提供する。ある実施例は、単一のウィンドウに金融商品の市場情報のグラフィカルな多次元表示を提供することによって、情報の迅速な選択及び抽出を実現する。ある実施例は、ユーザが多次元表示によって表される金融商品に係る情報を実行することを可能にするグラフィカルユーザインタフェースを提供する。このような実施例は、新たな入力ツールを提供する。本発明のある実施例は、2以上の金融商品の市場情報のグラフィカル多次元表示を有するディスプレイ又はレポートなどのディスプレイ又はレポートの製造及び/又は生産に関する。当該レポートは、印刷された文書又は電子文書であるかもしれないプロダクトである。
【0011】
ある実施例では、完了した取引活動を表す第1部分と、潜在的な市場行動などの現在の市場状態を表す第2部分とを含むグラフィカル表示が提供される。このようなグラフィカル表示を単一のウィンドウに表示することによって、ユーザは完了した市場状態と現在の市場状態の両方を同時に閲覧することができる。これは、ユーザがさらなるアクション(さらなるウィンドウを開くなど)をとることなく実現される。このようにして、ユーザの精神上及び操作上の負担が軽減され、ユーザは、求める情報を閲覧するのにより少数のステップしかとることが要求されないため、より迅速に動作することが可能となる。
【0012】
ある実施例では、本発明は、少なくとも2つの金融商品の市場情報の多次元表示のディスプレイを提供する。そうすることによって、本発明は、従来技術と比較して技術的により信頼性の高いシステムを提供する。これは、ユーザにより必要なクエリ数とシステムにより提供される以降のリプライ数が低下するためである。データが多次元表示として提供されるため、単一のディスプレイにおいてユーザに利用可能なデータがより多くなり、ユーザ及びシステムが要求されるデータを取得し、又は注文を完了させるためのさらなる処理を実行する必要性を少なくする。必要とされる処理が少なくなることにより、処理における失敗又は遅延のリスクが低下することとなる。このような失敗又は遅延は、ネットワーク上のデータトラフィックのピークにより引き起こされるかもしれない。
【0013】
本発明の実施例は、現在の価格、ボリュームなど、ユーザのすべての直接的な質問に回答するよう設計された表示のデフォルトの基本となる組み合わせを提供する。ユーザの質問を予測するこのようなデフォルトの提供は、いくつかの技術的効果を有している。デフォルトは、GUI上で利用可能な表示スペースを効率的に利用する(いわゆる“エリア”表示と呼ばれる)。最も可能性の高い質問に対する回答がすぐに利用可能とされるため、ユーザは自らが必要とする回答を取得するためシステムにあまり頻繁に質問することが要求されず、利用可能な通信帯域幅の使用が低下する。
【0014】
本発明の他の技術的効果が、当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0015】
[詳細な説明]
一般に、本発明の実施例は金融市場情報を市場参加者に提供することに関する。一部の実施例によると、本発明は、特に生データ、付加価値計算データ、リアルタイム解析値、グラフィカルディスプレイ及び取引機能の組み合わせを連続的に統合し、迅速な把握及び関連する意志決定、市場行動並びに市場参加者により要求される意志決定サポートを可能にする電子ディスプレイを提供する。システムは、ポートフォリオに現在保持されている証券の価値決定のため、トレーダー又は他の市場参加者が購入、売却又は価格割当てに関心がある証券の現在の市場状態及びダイナミックの表示を提供する各種視覚表示技術を利用したフレームワーク内において、現時点のベストな利用可能な生市場データ、信頼できる付加価値計算、解析的及び統計的指標を閲覧する手段を提供する。一部の実施例では、システムはさらに、市場情報を提供するディスプレイとのインタラクティブに、ユーザがこのような証券による取引を直接的かつ瞬時に実行することを可能にする。
【0016】
本発明の実施例は、特に1以上の金融商品の現在価格及びイールドを示す情報セット及び取引ディスプレイを市場参加者に提供するシステムを提供する。好ましくは、少なくとも2つの金融商品が示されるかもしれない。金融商品は、取引可能な任意の商品を含む。ここに記載される実施例は証券について言及するが、本発明はこれに限定されるものでない。単なる例示であるが、金融商品は、市場状態に応答して変化する価値を有する証券、債券、通貨、先物、確定利付き資産又は他の同様の金融商品若しくは資産を含むものであってもよい。市場参加者は、上記情報を閲覧するトレーダー、マーケットメーカー、アナリスト、投資家又は他の何れかのユーザを含むものであってもよい。システムはまた、ベストビッド価格及びベストオファー価格としてそれぞれ記載される現在最も高いビッド価格と現在最も低いオファー価格により売買するのに現在利用可能な証券の総ボリュームを構成する個別に集計された売買注文を含む売買注文のボリュームを示す。好ましくは、当該情報は、複数の証券のアクティブなビッド及びオファーを集計するセキュアでワールドワイドなリアルタイム電子取引ネットワークにより提供され、このような証券の現在の取引価格と共に、直近の頻繁に更新されたベストビッド価格及びベストオファー価格の表示を実現する。
【0017】
各証券の情報を簡潔に特定することは、ディスプレイ内のそれの位置の各出現において当該証券を特定する。好ましくは、当該証券について表示されるすべての情報は、インタラクティブ取引照会、提供及び実行ダイアログウィンドウとのユーザのやりとりを通じて、リアルタイム、同時的かつ実行可能である。
【0018】
集計された現在のベストビッド注文とベストオファー注文は、アクティブマーケットスタック(Active Market StackTM)又は単に注文スタックと総称されるかもしれない。注文スタックは、現在アクティブな市場又はベストな価格において実行されるスタックされた注文を示す。注文スタックを構成する各注文は、好ましくは、コンピュータのモニタなどの電子ディスプレイ上のウィンドウの多次元(好ましくは、3次元)グラフィカル表示における各レイヤに陰影を付け及びハイライトすることによって明らかにされる。グラフィカル表示は、例えば、垂直バーの形式によるものであってもよい。ここに記載される実施例は特定のタイプ及びコンフィギュレーションのグラフィカル表示について言及するが、本発明はこれに限定されるものでない。何れか適切なタイプの表示が、限定することなく、パイチャート、バーチャート、グラフ、ボックス、カラー、グレイスケール、ポイント、曲線、直線又は他の何れかのジオメトリック、テキスト又は画像による情報の表示を含む対象となる金融市場情報を伝えるのに利用される。さらに、ある実施例は複数次元(少なくとも2次元など)により市場情報を提供し、他の実施例は、3次元、4次元若しくはそれ以上の次元により市場情報を提供する。
【0019】
参照される垂直バーに関して、累積した高さはスタック内のレイヤの合計サイズを反映している。好ましくは、同様の垂直バーが水平方向に配列され、現在のベストビッド価格以下と現在のベストオファー価格以上の特定のインクリメントによる現在の売買注文の集計されたボリュームを示す。このコレクションはリミットオーダーブック(limit order book)と呼ばれる。個別にかつまとめて、水平に配列された垂直バーは、好ましくは、現在のアクティブな市場価格とその周辺におけるリアルタイムの連続的な売買利子率の普及の直接的な印象を与える。
【0020】
また、各垂直バーについてキャプションが提供され、垂直バーの各水平線についてリアルタイムデータを示す累積タグが提供される。好ましくは、現在の市場価格、取引価格、イールド及びボリューム並びにリミットオーダーブックの各インクリメントにおける基礎となる価格が、視覚的に提供されるすべての市場特性が明確にラベル付けされ、数値により規定されるように提供される。
【0021】
また、現在の市場レベルについて継続的に更新されたコンテクストと、各金融商品における所定数の取引についての価格方向を示す視覚表示とを提供するため、所与の期間(好ましくは、取引日)における価格履歴を示すチャートが、水平方向の配列により提供される。一実施例では、チャート及び取引方向履歴は、セクタ又は満期により分割されているか否かに関係なく、各証券の情報を明確に分割するため、段々に表示される。
【0022】
特定の証券情報を提供するインタラクティブな視覚表示は、実行価格、計算されたイールド、時間と係るイールドとを含む高低の取引価格及びグラフィカル形式によりイールドカーブのリアルタイムの更新された表示のタブ及びグラフィカル表示サマリによりさらに取り囲まれ、以前の履歴に重ね合わされる。
【0023】
これらの表示のデフォルトの基本となる組み合わせは、現在の価格、ボリューム、売買利子率の普及、所与の期間内のコンテクスト各満期及びグループとしてのすべての証券の現在の価格方向、並びに次の短期の市場方向の価格方向及び意味に関する市場参加者の直接的なすべての質問に回答するよう設計される。さらに、各視覚表示要素はさらに、各要素上にカーソルをスクロールすることによって抽出可能な基礎となる値についての集計されたコンテナとして構成される。これが実行されるとき、各要素の個々の特性は、コンポーネントそれの現在の状態のサマリに関係なく、情報が動的に更新されるときに閲覧することができる。
【0024】
さらに、ディスプレイの各証券コンポーネントの各ディスプレイは、市場参加者が特定の証券又は満期セクタのダイナミクスに着目することを可能にするため、利用可能とされる。これら従属的な各証券ディスプレイでは、視覚要素は、好ましくは、詳細な数値又は状態サマリ形式によりそれらの基礎となるコンポーネントを明らかにするため、同様にハイライトされる。
【0025】
好ましくは、ディスプレイの何れかの要素は、当該要素をより詳細にハイライトするため拡大することができる。また、ディスプレイ全体は、多次元要素の最適な閲覧を可能にするため回転可能とされる。何れかの時点において、回転及び拡大されたディスプレイは、それらのオリジナルのデフォルトポジションに切替可能である。
【0026】
所与の証券についてリストされた価格、イールド又はボリュームの何れかの部分をクリックすることによって、トレーダー又は他の権限のあるユーザが既存のビッド又はオファーの1つを受け入れることによって、又は他のトレーダー若しくは金融取引プラットフォームの他の権限のある及び適格なユーザの購入するためのビッド又は売却するためのオファーと、確定利付き取引ネットワークにトレーダーによって提供されたビッド又はオファーとの電子マッチングを通じて、トレーダー又は他の適格なユーザが当該証券を購入するためのビッド若しくは売却するためのオファーを提供し、又は当該証券の取引を実行することを可能にする取引ウィンドウが開かれる。
【0027】
また、関連するセキュアな加入サービス、金融クレジット管理サービス及び取引管理サービスへのアクセスを取得及び維持するのに必要なセキュリティ及び認証ツールが提供される。
【0028】
1以上のディスプレイを含む市場情報管理システム100を示すブロック図である図1において、一例となる実施例が示される。ハイレベルでは、システム100は、好ましくは、少なくとも1つのクライアント102、サーバ104及び1以上のデータプロバイダ106を有するクライアント/サーバ環境として提供される。このコンフィギュレーションは一例として与えられているが、所望の機能を実行する何れか適切な電子コンフィギュレーションが利用可能である。一般に、システム100は、クライアント102を使用する市場参加者に1以上の金融商品の金融市場情報のグラフィカル表示を閲覧する機能を提供するシステムから構成される。好ましくは、このグラフィカル表示は、ディスプレイ116の単一のウィンドウにより提供及び閲覧可能とされる。市場情報118は、データプロバイダ106から受付され、サーバ104上の中央レポジトリ110に格納されてもよい。
【0029】
例えば、システム100は、米国国債ベンチマーク及び非ベンチマーク商品データを編集し、編集された商品データをディスプレイ116を介しトレーダーに自動提供し、市場情報118の何れか適切な変動を動的に処理する市場システムから構成されるかもしれない。ここで使用される“自動的”という用語は、一般に適切な処理がシステム100の少なくとも一部により実質的に実行されることを意味する。“自動的”とはさらに、本開示の範囲から逸脱することなく、システム100との何れか適切なユーザのやりとりを想定することが理解されるべきである。ここで使用される“動的”という用語は、一般に1以上の変数に基づき少なくとも部分的に実行時にある処理が決定されることを意味する。
【0030】
サーバ104は、中央レポジトリ110を有する何れかのコンピュータから構成され、少なくとも1つのクライアント102及び/又は1つのデータプロバイダ106に通信可能に接続される。例えば、サーバ104は、汎用パーソナルコンピュータ(PC)、Macintosh、ワークステーション、Unix(登録商標)ベースコンピュータ、サーバコンピュータ又は他の何れか適切な装置であるかもしれない。図1は、利用可能なコンピュータの一例を与えているに過ぎない。例えば、図1は1つのサーバ104を示しているが、システム100は、サーバプールと共にサーバ以外のコンピュータを用いて実現可能である。本開示は、従来のオペレーティングシステムのないコンピュータと共に、汎用コンピュータ以外のコンピュータを想定している。ここで使用される“コンピュータ”という用語は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ネットワークコンピュータ又は他の何れか適切な処理装置を含むことが意図されている。コンピュータサーバ104は、サーバ104がクライアント102に通信可能に接続されている限り、UNIX(登録商標)、Windows(登録商標)、又は他の何れか適切なオペレーティングシステムを含む何れかのオペレーティングシステムを実行するよう構成される。一実施例によると、サーバ104はリモートウェブサーバであってもよい。すなわち、サーバ104は、クライアント102に市場情報を提供するのに適した何れかの組み合わせによりソフトウェア及び/又はハードウェアを有する何れかのコンピュータから構成される。
【0031】
中央レポジトリ110は、1以上のデータプロバイダ106からの各種市場情報118を有する。中央レポジトリ110は、外部的に実現されるコードにより規定、処理又は抽出されるよう動作可能なデータストレージの何れかの物理的又は論理的記述を有する。例えば、中央レポジトリ110は、1以上のXML(eXtensible Marup Language)テーブル又はドキュメントを有するかもしれない。他の例では、中央レポジトリ110は、SQLステートメント若しくはスクリプトに関して記述されたリレーショナルデータベース、フラットファイル、Btrieveファイル又はCSV(Comma−Separated―Value)ファイルから構成されてもよい。中央レポジトリ110は、1つのサーバ104又は複数のサーバ104に格納される複数のテーブルを有する。さらに、中央レポジトリ110は、本開示の範囲から逸脱することなくローカル又はリモートであるかもしれない。すなわち、中央レポジトリ110は、少なくとも1つのクライアント102に通信可能に接続される市場データ118の少なくとも一部を有する何れかのデータストレージである。
【0032】
さらに、本発明は、市場情報を格納するための何れか適切なコンフィギュレーションを想定している。例えば、図1は中央レポジトリ110を示しているが、市場情報118はクライアント102上など何れか適切な位置に格納可能である。
【0033】
各クライアント102は、好ましくは、GUI(Graphical User Interface)を介し市場参加者にディスプレイ116を提供するよう動作可能な取引ワークステーション又は装置である。ハイレベルでは、図示されたクライアント102は、GUI112、メモリ120及びプロセッサ125を有し、システム100に係る何れか適切なデータを受付、送信、処理及び格納するよう動作可能な電子計算装置から構成される。クライアント102a及びクライアント102bにより示されるように、サーバ104に接続される何れかの個数のクライアント102があってもよいということは理解されるであろう。さらに、“クライアント102”及び“クライアント102のユーザ”は、本開示の範囲から逸脱することなく互換的に使用可能である。ここで使用されるクライアント102は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ネットワークコンピュータ、キオスク、ワイヤレスデータポート、携帯情報端末(PDA)、上記又は他の装置内の1以上のプロセッサ又は他の何れか適切な処理装置を含むことが意図される。例えば、クライアント102は、情報を受付可能なキーパッド、タッチ画面、マウス又は他の装置などの入力装置と、デジタルデータ、視覚情報又はディスプレイ116を含むサーバ104又はクライアント102の処理に係る情報を伝える出力装置とを有するコンピュータから構成されるかもしれない。さらに、クライアント102は、各キーがディスプレイ116の特定のコンポーネント、ビュー又は機能にマップされているディスプレイ116にマッチするようカスタマイズされたキーボードを有してもよい。入力装置と出力装置は共に、GUIなどを介しディスプレイ116を通じてクライアント102のユーザから入力を受け付け、出力を提供する磁気コンピュータディスク、CD−ROM又は他の適切な媒体などの固定又は着脱可能な記憶媒体を有してもよい。
【0034】
GUIは、クライアント102のユーザがデータプロバイダ106から1以上の市場情報セットを受信するためシステム100とやりとりすることを可能にするよう動作可能なグラフィカルユーザインタフェースから構成される。一般に、GUIアクセスは、クライアント102のユーザにシステム100により提供されるデータの効率的でユーザフレンドリーなデータ表現を提供する。GUIは、ユーザにより操作されるインタラクティブフィールド、プルダウンリスト及びボタンを有する複数のフレーム又はビューを有するかもしれない。一実施例では、GUIは、単一のウィンドウにおいて各種市場情報118のグラフィカル表示を提供し、入力装置の1つを介しクライアント102のユーザからコマンドを受け付ける。図2Aにより詳細に示され、以下で詳細に説明されるように、実施例によると、ディスプレイ116は、複数の金融商品の完了した取引情報とリミットオーダーブック系列のグラフィカル表示を含む。
【0035】
ディスプレイ116はまた、様々な動的に設定可能又は選択可能なオプション及びパラメータを格納するよう動作可能なコンフィギュレーションファイル、モジュール又はDLL(Dynamic Link Library)に関連付けされるかもしれない。このコンフィギュレーションコンポーネントは、アドミニストレータ又はマネージャにより管理される分散ファイルであってもよく、このため、複数の市場参加者の中央化され一貫したコンフィギュレーションを提供する。ここに使用される“アドミニストレータ”は、ディスプレイ116のオプションを動的に設定するためのパーミッション又は権利を有する何れかのユーザである。すなわち、各市場参加者はまた、本開示の範囲から逸脱することなくアドミニストレータであるかもしれない。これらのパラメータは、取引、規制又は他の産業状態の変更に対する迅速な応答を可能にするため、実行時間中に設定可能である。すなわち、ディスプレイ116は、システム100において情報を処理し、当該情報をユーザに効率的に提供する汎用ウェブブラウザなどの何れかのグラフィカルユーザインタフェースを想定している。サーバ104は、ウェブブラウザ(Microsoft Internet ExplorerやNetscape Navigatorなど)を介しクライアント102からデータを受け付け、ネットワーク108を利用して適切なHTML又はXMLレスポンスを返すことができる。
【0036】
ネットワーク108は、コンピュータサーバ104と他の何れかのコンピュータとの間の無線又は有線通信を実現する。ネットワーク108は、例えば、IP(Internet Protocl)パケット、Frame Relayフレーム、ATM(Asynchronous Transfer Mode)セル、音声、映像、データ及び他の何れか適切な情報をネットワークアドレス間において通信する。ネットワーク108は、1以上のLAN(Local Area Network)、RAN(Radio Access Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットとして知られているグローバルコンピュータネットワークのすべて又は一部、及び/又は1以上の位置における他の何れかの通信システムを含むかもしれない。クライアント102は、クライアント・サーバ又は他の分散環境においてネットワーク108を介しサーバ104などの他のコンピュータシステムと通信するためのインタフェース112を有する。実施例では、クライアント102は、メモリ120への格納のため、ネットワーク108から市場情報118を受け付ける。一般に、インタフェース112は、適切な組み合わせによるソフトウェア及び/又はハードウェアにおいて符号化され、リンク114を介しネットワーク108と通信するよう動作可能なロジックを有する。より詳細には、インタフェース112は、通信ネットワーク108に係る1以上の通信プロトコルをサポートするソフトウェア又は物理信号を通信するよう動作可能なハードウェアを有する。
【0037】
メモリ120は、何れかのメモリ又はデータベースモジュールを有し、限定することなく、磁気媒体、光媒体、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read−Only Memory)、着脱可能媒体、又は他の何れか適切なローカル若しくはリモートメモリコンポーネントを含む揮発性又は不揮発性メモリの形式をとりうる。図示された実施例では、メモリ120は、少なくとも市場情報管理アプリケーション130、ローカル市場データ132及び取引アプリケーション134を有するが、またディスプレイ116及びアプリケーション130と134により使用するコンフィギュレーションファイルなどの他の何れか適切なアプリケーション及びデータを有するかもしれない。
【0038】
アプリケーション130及び134は、市場情報118を受付及び処理し、それをディスプレイ116を介し市場参加者に提供し、ユーザがディスプレイ116上に提供される情報により表される金融商品に係る取引を実行することを可能にするよう動作可能な何れかのハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又は上記の組み合わせを含むかもしれない。ディスプレイ116をロード又は設定するとき、アプリケーション130は、例えば、ローカル又はリモートに関係なく、ディスプレイ116上に提供されるグラフィカル表示の初期又はデフォルトパラメータを決定するため、コンフィギュレーションファイルをまず処理する。さらに、アプリケーション130は、ディスプレイ116を介しクライアント102を使用する市場参加者からのリクエストを受付及び処理する。取引アプリケーション130は、コンフィギュレーションファイルに基づき、リクエストに応答してエラーを拒絶、無視又は通信する。アプリケーション130及び134はシングルマルチタスクモジュールとして示されているが、これらのアプリケーションにより実行される機能及び特徴は、データ抽出モジュール及び提供エンジンなどの複数のモジュールにより実行可能であるということが理解される。さらに、アプリケーション130及び134は、本開示の範囲から逸脱することなく、他のソフトウェアモジュールのチャイルド又はサブモジュールから構成される。すなわち、アプリケーション130及び134は、ここに記載されるような市場情報118を提供、操作及びそれに従って動作する何れか適切な処理を提供するよう動作可能な1以上のソフトウェアモジュールから構成される。
【0039】
ローカル市場データ132は、ベンチマーク及び非ベンチマーク商品などのリモート市場データ118の1以上のサブセットを格納する。ローカル市場データ132は、必要に応じてクライアント102上に実行される他のプロセスから、又はインタフェース112を介し市場データ118のコピーを受け付ける。必要に応じて、ローカル市場データ132は、何れか適切な時点において中央レポジトリ110から市場データ118を自動的、動的又は手動により抽出又は受け付けるようにしてもよい。例えば、管理アプリケーション130は、初期的な実行によって、中央レポジトリ110の市場データ118のコピーを自動抽出する。さらに、ローカル市場データ132は、少なくとも1つの市場データ118のサブセットを格納するよう処理可能なXMLドキュメント、フラットファイル、CSVファイル、SQLテーブル、リレーショナルデータベーステーブル及び他の何れかのフォーマットを有してもよい。ローカル市場データ132は、それがアプリケーション130及び134により処理可能であり、ディスプレイ116と互換性を有する限り、中央レポジトリ110のデータと異なるフォーマットによるものであってもよく、又は通信される市場データと異なるフォーマットであってもよい。
【0040】
ディスプレイ116は、必要に応じて、市場情報をユーザに提供するウィンドウを有する。一実施例では、市場情報は、1つのウィンドウに表示されるグラフィカル表示によりユーザに提供される。他の実施例では、ユーザは、市場情報のグラフィカル表示の各コンポーネントとのやりとりを含む、市場情報と同じウィンドウに表示される要素又はオブジェクトとやりとりすることによって、図示された金融商品の取引を実行するかもしれない。しかしながら、本発明はこれに限定されるものでなく、市場情報を表示し、及び/又は当該情報に対応する又は基づく取引を実行するための複数のウィンドウの使用を想定している。
【0041】
クライアント102はまた、プロセッサ125を有する。プロセッサ125は、中央処理ユニット(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)又はFPGA(Field−Programmable Gate Array)などのクライアント102の各処理を実行するため、命令を実行し、データを操作する。図1はクライアント102内に1つのプロセッサ125しか示していないが、複数のプロセッサ125が必要に応じて利用可能であり、プロセッサ125という表現は、必要に応じて複数のプロセッサ125を含むことを意味する。実施例では、プロセッサ125は、データプロバイダ106を介し中央レポジトリ110から通信される市場データ118を提供し、ユーザが市場データ118により表される金融商品の取引を実行することを可能にするため、アプリケーション130及び134に係る1以上のプロセスを実行する。
【0042】
データプロバイダ106は、典型的には、中央レポジトリ110に格納するための市場データ118の少なくとも一部を通信するよう動作可能なマシーンにある第3者ウェブサーバ又は企業エージェントから構成される。データプロバイダ106がリモート又はローカルであってもよいということは理解されるであろう。さらに、データプロバイダ106は、本開示の範囲から逸脱することなく、サーバ104又はクライアント102上で実行される独立したプロセスを表す。一般に、データプロバイダ106は、何れか適切な市場データ118の少なくとも一部をシステム100に提供するよう動作可能な何れかのハードウェア、ソフトウェア又はロジックである。システム100は、データプロバイダ106a及び106bにより示されるような任意数のデータプロバイダ106から構成される。例えば、複数のデータプロバイダ106が、マスタプロバイダ106から通信可能にデイジーチェーンされるかもしれない。マスタデータプロバイダ106は、実質的にすべての市場データ118を編集及び検証し、リクエストに応じて又はスケジュールされた時間に編集された市場データ118をサーバ104に通信する。
【0043】
動作の一特徴では、アプリケーション130及び134は、クライアント102の起動時などに自動的に、又はユーザからのコマンドに応答などして、実行及び初期化される。アプリケーション130及び134は、ディスプレイ116のデフォルトコンフィギュレーション及びレイアウトを決定し、中央レポジトリ110からのベンチマーク及び非ベンチマークの適切な市場データ及び/又はローカル市場データ132を抽出し、デフォルトコンフィギュレーション及び抽出されたデータに基づき、ディスプレイ116に提供されるグラフィカル表示を生成する。アプリケーション130及び134は、必要に応じて、ディスプレイ116に提供される情報及び/又はユーザにより開始されるアクションを処理する。
【0044】
図2に示されるように、単なる一例として、本発明の実施例はクライアント102のユーザに市場情報表示200を提供する。表示200の各コンポーネントは、好ましくは、ディスプレイ116上の単一のウィンドウにより表示される。しかしながら、表示200の各コンポーネントは、本開示の範囲から逸脱することなく、複数のウィンドウ及び/又は複数のディスプレイにより表示可能である。
【0045】
より詳細には、市場表示200は、好ましくは、第1部分210と第2部分220とを有するグラフィカル表示201を有する。第1部分210は、完了した取引、ビッド、オファー又は表示される市場に関する他の何れかの活動に関する情報を表示する。図2に示されるように、第1部分210は、日中の取引活動を表す。第2部分220は、利用可能な取引機会など、現在の市場状態と潜在的な市場行動とを表す。集約すると、第1部分210と第2部分220は、少なくとも2つの金融商品の市場情報の多次元表示を提供する。好ましくは、グラフィカル表示201の全体は、電子ディスプレイの1つのウィンドウにある(すなわち、閲覧可能である)。好ましくは、少なくとも1つの第1部分210と第2部分220が単一のウィンドウにおいて閲覧可能である。単一のウィンドウ表示が好ましいが、本開示は、複数の異なるウィンドウにグラフィカル表示200の一部を表示するなど、他の何れか適切なウィンドウを想定している。
【0046】
第1部分210は、完了した、日中の取引活動を表す多次元オブジェクトを有する。第1部分210は、段々の又はステップ状の3次元オブジェクトとして表示される。各ステップ211は、異なる金融商品を表す。図2に示される例では、2年物、3年物、5年物、10年物及び30年物国債をそれぞれ含む5つの異なる米国ベンチマーク国債を表す5つのステップ211がある。上述されるように、当該表示201(及びステップ211など)は、電子取引所において取引可能な何れかの金融商品、何れかの資産又はアイテムを表すかもしれないということに留意すべきである。各ステップ211は、水平方向セクション212と垂直方向セクション213とを有する。好ましくは、水平方向セクション212は、x及びz方向の次元を有する水平方向の平面である。好ましくは、垂直方向セクション213は、x及びy方向の次元を有する垂直方向の平面である。各種金融商品が、z方向の連続する各ステップ211により表される。すなわち、異なる金融商品がz次元に沿って配置されている。
【0047】
水平方向の各セクション212は、グリッド215上に重ねられたグラフ214の形式により表示される各種情報を有する、グリッド215は、z方向に取引価格を表し、x方向に時間を表す。グラフ214は、ある期間におけるグリッド上の接続された各データポイントを表示する。図2の例は、期間として取引日の一部を使用する。例えば、図2は、午前9時前から午後3時過ぎの期間を示す。しかしながら、数分、数時間、数日、数年などを含む何れかの期間が表示可能である。また、1日の一部や他の日の一部など、複数の期間が表示可能である。複数のグラフ(明示的には図示せず)が何れか与えられた水平方向のセクション212に含まれてもよい。各グラフは、市場参加者に提供するのに好ましい異なる期間又は他の何れか適切な情報を提供するかもしれない。グラフ214の表示又は他の何れかの2次元グラフは、さらに多くの情報(グラフ214の場合のサイズ又はボリュームなど)を表示するため、3次元(又はさらなる多次元)とされてもよいということに留意すべきである。
【0048】
垂直方向の各セクション213はまた、完了した取引情報を表している。図2において、垂直方向の各セクション213は、所定数の取引に対する価格方向の指標となるチックストリップ(tick strip)216を有し、各取引に対する価格方向は、インジケータ217により表される。図示されるチックストリップは、10個の取引についての価格方向を表示しているが、何れか適切な個数の取引が利用可能である。好ましくは、チックストリップにより表される取引数は、5〜15の範囲内とされる。これは、閲覧されているチックストリップに係る証券を売買する決定について最近の価格方向がどのような影響を及ぼすかに関する結論を導き出す管理可能かつ有用な個数の過去の価格方向を市場参加者に提供する。より好ましくは、インジケータ又はチックの個数は、8〜12の範囲内である。価格方向は、各インジケータ217について異なるカラーを使用することにより示される。図2には明示的には示されていないが、これらのカラーは、“変化なし”については黄色、“上昇方向”の価格方向については緑色、及び“下落方向”の価格方向については赤色を含むかもしれない。しかしながら、任意のグラフィカル表示が利用可能である。例えば、価格方向は、上昇方向及び下落方向の矢印により示され、“変化なし”についてはフラットバーにより示されるかもしれない。他の例では、価格方向は、カラーと対照的にグレイスケールにより示されるかもしれない。あるいは、価格方向情報は、テキスト又は数値情報により示されるかもしれない。
【0049】
従って、図示されるように、グラフ214は第1期間における完了した取引情報を表し、チックストリップ216は第2期間における完了した取引情報を表す。第2期間は第1期間より短く、第1期間のサブセットとなる。また、上述されるように、グラフ214は価格・金額情報を表し、チックストリップ216は価格・方向情報を表す。このため、グラフ及びチックストリップは、異なる期間における異なる情報を表す。
【0050】
第2部分220は、5つのベンチマークとなる国債の現在の市場全体を表す複数の多次元オブジェクトを含む。第2部分220は、複数の商品スラブ(instrumental slab)221を有する。各スラブ221は、金融商品を表す。図2に示されるように、5つのベンチマークとなる国債を表す5つのスラブ221がある。好ましくは、各スラブ221はステップ211に対応する。すなわち、ステップ211と対応するスラブ221は共に、同一の金融商品を表す。
【0051】
各スラブ221は、3次元垂直バー22の系列を配置している。各垂直バーはスタックとして知られている。スタックは、所与の価格における(売却用又は購入用)証券注文のボリュームを表す。所与のスラブ上のスタックの系列は、当該証券のリミットオーダーブックとして知られている。各スラブは中心ポイント223を有する。中心ポイントの一方のサイドに接するスタック(スタック224など)は、ベストビッド価格又はユーザが当該証券について支払う意向を有するベスト価格を表す。中心ポイント223の他方のサイドに接するスタック(スタック225など)は、ベストアスク価格又はユーザが当該証券を売却する意向を有するベスト価格を表す。中心ポイントは、ベストビッド/アスク又はBBAポイントとして知られている。BBAポイントにまたがるスタックのペアは、BBAスタックとして知られている。好ましくは、BBAスタックは、レイヤ形式による追加的情報を示す。これらのレイヤは、それぞれベストビッド/アスク価格におけるキューの異なる注文ボリュームを示す。しかしながら、何れかの垂直バー222がこのように構成されてもよい。
【0052】
第2部分220は複数のスラブ221を有し、各スラブは、所与の次元に配置された複数の垂直バー又はスタック222を有する。図2において、所与のスラブ221のスタック222が、x次元に沿って配置されている。第1部分210と同様に、各種金融商品がz方向の連続するスラブ221により表される。すなわち、各金融商品がz次元に沿って配置される。スタック222により表されるように、価格情報がx方向に与えられ、ボリューム情報がy方向に与えられる。図2に示されるように、各スタック222の価格情報は、各スタック222の下方の各スラブ221上に数値的に重ねられて与えられる。
【0053】
市場表示201はまた、特定の付随情報を有しているかもしれない。図2に示されるように、表示201は、イールドカーブインジケータ202、取引状態インジケータ203及び価格ボード204を有する。イールドカーブインジケータ202は、複数の金融商品のイールドカーブ情報を示す。図2に示されるように、5つのベンチマークとなる国債のイールドカーブ情報が示される。1つのカーブしか示されていないが、インジケータ202は複数の期間を表す複数のカーブを示してもよい。
【0054】
取引状態インジケータは、取引状態インジケータ205とBBA商品価格206とを有する。取引状態インジケータ205は、当該証券が取引状態にあるとき表示される。取引状態インジケータは、価格情報、ボリューム情報及びヒット/テーク情報などの情報を提供する。ヒット/テーク情報は、取引がヒット又はテーク(すなわち、ベストオファー価格での売却又はベストビッド価格での購入)であったか示す。
【0055】
価格ボード204は、現在の市場価格情報を表示する。すなわち、ボード204は、商品タイプ情報(2年物又は3年物国債など)、直近価格情報(ヒット/テーク指標を含む)、価格変動情報、イールド情報、高値/イールド/時間情報及び安値/イールド/時間情報を表示する。
【0056】
図3及び4は、本発明の各種実施例により想定されるグラフィカル表示のさらなる特徴を示す。例えば、図3及び4に示されるように、グラフィカル表示301には隠された情報が埋め込まれている。この情報は、好ましくは、ダイアログボックスを表示させるため、あるオブジェクト上をカーソルでスクロールすることによって閲覧可能となる。例えば、図3に示されるように、スタックをカーソル(明示的には図示されず)でスクロールすることによって、ボックス302を表示させるかもしれない。ボックス302は、商品タイプ、ビッド価格、イールド及びボリュームなどの情報を含む。ボックス302の情報は、好ましくは、非ベストビッド/アスクスタックについて利用可能な情報のタイプである。同様の情報が、アスク価格がビッド価格の代わりに提供される点を除いて、アスクスタック(すなわち、購入用に提示される証券を表すスタック)について利用可能とされる。
【0057】
ベストビッド/アスクスタック上でカーソルをスクロールすることにより、ボックス303などのボックスが生成される。ボックス303は、商品タイプ、オファー価格、イールド、集計ボリューム、及びインクリメンタルボリューム(incremental volume)などの情報を含む。インクリメンタルボリュームは、1つの価格に対するスタックのキュー内の各注文のボリュームを表す。例えば、ボックス303において、インクリメンタルボリュームはそれぞれ、10、8、5、5及び2である。集計ボリュームは、インクリメンタルボリュームの合計である。例えば、ボックス303では、集計ボリュームは30である。同様の情報が、オファー又はアスクの代わりのビッド価格が表示されるという点を除いて、ベストビッドスタックに対応するボックスにより表示される。
【0058】
情報ボックスの他の例は、商品が取引状態にある間のスタックに対応するボックス304である。ボックス304は、商品タイプ、ヒット/テーク、価格、イールド、ボリューム及び価格方向などの情報を表示する。同様の情報が、ヒット/テーク指標が“テーク”であるという点を除いてボックス305に表示される。なぜなら、ボックス305に対応する取引状態スタックは、ビッド注文と対照的に各自のリミットオーダーブックのオファー注文の中にあるためである。
【0059】
隠された情報が所望されるような可変的レベルにより提供可能であるということに留意すべきである。複数のレイヤが、例えば、ますます多くの詳細なレイヤ等への“ドリルダウン(drilling down)によりアクセスされるかもしれない。隠された情報は、図示されるボックスなどの任意数のコンフィギュレーションにより閲覧されるかもしれない。他の可能なコンフィギュレーションは、ポップアップウィンドウ、スクロールバー(画面の下部などに)及びオーディオファイルなどを含む。アクセスされると、隠された情報は、肯定的に再び隠されるまで画面上に残されるか、所定の期間残されるか、又はカーソルが隠された情報とオブジェクトとを関連付けしたままであるとき、隠された状態に戻るかもしれない。本開示は、隠された情報に少なくとも初期的には閲覧可能となるようアクセスするための何れかのルーチンと、当該情報を隠された状態に戻す何れかのルーチンとを想定する。
【0060】
図4において、ベースとなるグラフィカル表示(グラフィカル表示201又は301など)から抽出される情報の一例が示される。例えば、スラブ421とそれに係るリミットオーダーブックが、抽出され、図4に示されている。図4に示される市場表示400はまた、イールドカーブ402、価格ボード404、商品価格406及び取引インジケータ412を含む。インジケータ412は、グラフィカル表示の第1部分の各ステップの1つの水平セクション(水平セクション212など)のトップダウンビューに対応する。
【0061】
市場表示に示されるグラフィカル表示及び付随情報の何れの部分も、各市場表示に示される各情報部分の各種ビューをユーザに提供するため、ズーム、拡大、抽出、回転又は他の操作がされるかもしれない。
【0062】
実施例のある特徴によると、金融商品の取引が可能となる。図1に示される取引アプリケーション134を実行するのに適したステップを実行することによって、取引が実現される。取引アプリケーションを実行するためのトリガーは、アイコンのクリック、テキストコマンドのタイプ、所定のキー又はキーの組み合わせの押下、及び口頭によるコマンドのシステム100への発信など、何れか適切なトリガーとすることが可能である。少なくとも1つの実施例では、市場表示又はグラフィカル表示(市場表示200又は201など)は、インタラクティブな取引機能を提供する。従って、ユーザは、市場表示ディスプレイウィンドウから直接的に取引を実行するかもしれない。これは、カーソルをベストビッド/アスクスタックにスクロールし、マウスをクリックなどすることによって、実現されるかもしれない。その後、アプリケーション134は、取引に関する追加的情報を完成させるため、ユーザの取引ダイアログボックスを提供する。確認ウィンドウが、ヒット又はテークを確認する機会をユーザに提供する。他の特徴によると、アプリケーション134及びインタラクティブディスプレイウィンドウは、ユーザがビッド又はアスク注文を行うことを可能にするよう協調する。
【0063】
図5は、ディスプレイ上の1つのウィンドウにおける5つの金融商品の市場情報のグラフィカル表示を示す画面ショットから構成される。図5は、5つのベンチマークとなる国債の複数のカーブによるイールドカーブインジケータを有する。各カーブは、今日、1週間前、1月前及び1年前などの各種期間を表す。しかしながら、本発明は、これら4つの期間に限定されない。その代わりに、ユーザは自らのニーズに従ってこれらの期間をカスタマイズするようにしてもよい。
【0064】
他の実施例では、ディスプレイはまた、先物の市場情報を示すかもしれない。先物情報は、図2〜4の実施例として示されたものと同様の方法によりグラフィカル表示されるかもしれない。先物情報は、複数の先物又は先物と国債との組み合わせ(又は他の金商品の組み合わせ)について示されるかもしれない。
【0065】
図2を参照するに、グラフィカル表示は、ステップ211とスラブ221を有する。これらステップ及びスラブの1以上は、図2に示される国債の代わりに先物を表す同様のステップ及びスラブと置換されてもよい。先物商品の情報は、先物市場を解析し、先物市場における取引を行うのに所望される何れかの情報を含むことが可能である。図6において、これの一例が示される。5つの金融商品を示す代わりに、同一のクラスのすべてである2年物、3年物及び5年物国債のグラフィカル表示が先物と置換されている。このため、ユーザは、各種金融商品の日中の価格/イールド推移を同時にかつ同一のウィンドウにおいて解析することができる。
【0066】
システムはまた、ベーシス情報などの比較情報を表示可能である。ベーシス情報は、現物(国債など)商品と先物商品との間の関係を示す情報を含むことが可能である。比較情報はまた、カーブスワップ情報を含むことが可能である。カーブスワップ情報は、同一タイプであるが、異なる満期を有する少なくとも2つの商品の間の関係を示す情報を含む。比較情報はまた、取引差分情報及び合計ネット変動情報とを有することが可能である。
【0067】
実施例の他の特徴によると、グラフィカル表示は、表示された特定の情報を“抽出”し、当該情報を異なるフォーマットにより提供するよう操作可能である。例えば、ユーザは、特定のリミットオーダーブック(スラブ及び関連する市場スタックとにより表される)を選択し、この選択された商品のみを表示する。他の例として、ユーザは、ユーザに関心がある商品をより容易に閲覧及び比較することが可能となるように、図示される商品の構成を変更可能である。図7及び8において、日中の推移に関する市場データは1つのウィンドウに限定されない。先物及び現物データの3次元グラフィカル表示が1つのウィンドウに便宜上表示され、それぞれが独立してクローズされ、又は手動によりオフすることが可能な価格ボード及びイールドカーブが、それぞれ各自のウィンドウに表示される。さらに、図7及び8の両方に示されるように、より詳細な市場情報を表示するため、さらなるウィンドウを開くことができる。例えば、図7は、10F先物と10Y国債のグラフがどのようにしてユーザにより個別に選択可能であるか示し、それらが同一期間において並行して解析されることを可能にする。
【0068】
他の例として、ユーザは、複数の商品を選択し、当該商品に関連する情報を、2次元フォーマットなど異なるフォーマットにより表示することが可能である。この可能な情報の表示の具体例が、図9に示されている。当該画面ショットでは、10F先物と10Y国債の日中の取引ライングラフが示されている。また、選択された先物と選択された国債とを比較した日中の取引ライングラフが示されている。また、先物と国債の価格トレンドインジケータ(チックストリップなど)と、関連する市場スタックの2次元表示が示されている。また、ベーシス情報の2次元図式的、数値的及び棒グラフ状のインジケータが示されている。
【0069】
3次元表示により提供された市場データを示す図1〜9と対照的に、図10は市場データを2次元により示す。表示される情報は、例えば、ユーザがここに記載された3次元表示の1つの内部の特定のセクション又はエリアを選択することから得られるかもしれない。例えば、3次元表示から1以上のスタックを選択することによって、ユーザはこれらのスタックに関するさらなる詳細を閲覧可能となる。
【0070】
他の特徴がまた以下に含まれるかもしれない。例えば、他の実施例では、本発明は、市場表示により提供されるデータコンテンツ及び特徴の全範囲を確認するため、ユーザが認証されることを要求することができる。各特徴には許可セットを与えることが可能であり、これにより、各ユーザに許可される許可数が各ユーザのログイン又は他のアクセスコード若しくは情報に関連付けされる。これらの許可セットは、ユーザによって各ログインに対してチェックすることが可能である。異なるユーザがシステムにログインすると、前の特徴をクリアすることが可能となり、システムがアクセスすることが許可された特徴について新たなユーザをチェックすることが可能となる。ユーザのアクセス情報は、ユーザの電子メールアドレスなどを含む何れかの情報であるかもしれない。このアクセス情報は、さらなるユーザ情報に接続可能であり、その一部として、名前、電子メールアドレス、電話番号、アカウント番号及び企業名が含まれる。他の実施例は、ユーザがサマリレポートを生成し、各クライアント又はクライアントグループを強制的にオフすることを可能にする。
【0071】
本発明の他の実施例では、アプリケーションの各種特徴が、個別のウィンドウに表示され、又は1つのウィンドウに添付されるかもしれない。このため、ユーザには完全なフレキシビリティが提供され、画面のエリアを最大化することが可能となる。ユーザは、画面レイアウトをカスタマイズするため、それを調整することが可能である。少なくとも6つの表示オブジェクトが、本実施例により利用可能である。これら表示オブジェクトは、ナビゲーションコントロールウィンドウ、価格ボード、イールドカーブ、FIS及びCVPにより利用可能な情報を表示するためのHTMLウィンドウ、及び履歴グラフィック及び関連する情報を含むリミットオーダーブックの2つのインスタンスを含む。これらのオブジェクトは、個別ウィンドウとして分離及びフロート可能であり、これにより、ユーザは所望するように画面上にウィンドウを調整することが可能となる。ユーザはまた、各ウィンドウを表示/隠蔽又はオープン/クローズするかもしれない。さらに、本発明は、画面上に表示されるウィンドウ構成のユーザ選好を保存する。これは、ユーザがプログラムにログインしたとき、デフォルトウィンドウ構成が表示されることを可能にする。
【0072】
本実施例の他のバージョンでは、上述した6つの表示オブジェクトが添付され、それらが1つのウィンドウに表示可能となる。本実施例では、ユーザはウィンドウ内のオブジェクトの配置を変更できないかもしれない。しかしながら、それらは当該ウィンドウ内の角オブジェクトを表示/隠蔽又はオープン/クローズすることが可能である。さらに、各ウィンドウは、最小化、復元及びクローズするためのウィンドウズ(登録商標)コントロールを有している。
【0073】
さらなる実施例は、デフォルト設定を可能にする。ユーザが国債と先物の両商品の許可を有している場合、システムは、5Y、5F、10Y及び10F商品を含む2×2市場ビューを1つのウィンドウが表示することにより自動的にオープンする。第2ウィンドウは、10Y及び10Fのフォーカスビューとベーシス情報を表示する。対照的に、ユーザが米国国債を閲覧する権限しか有しない場合、本発明は、米国国債を含む5つの商品の市場ビューを表示することにより自動的にオープンする。第2ウィンドウは、2Y及び10Y国債のフォーカスビューを表示することによりオープンする。価格ボードは5つの米国国債ベンチマークを表示し、イールドカーブはイールドカーブ変動を表示する。
【0074】
本発明の一実施例では、ユーザは、ナビゲーションコントロールウィンドウを介して、すべての特徴にアクセスし、ウィンドウ配置及び商品選択を制御することが可能となる。商品選択を通じて、ユーザはリミットオーダーボードを構成することが可能となり、何れかの商品を変更することを可能にする。これは、ユーザが各商品を個別に選択し、又は国債及び/又は先物の標準的な設定を選択することを可能にする。標準的な国債設定を選択することによって、システムは、ユーザ選好に応じて、5つの米国国債ベンチマーク、4つの国債(2Y、5Y、10Y及び30Y)又は他の国債の組み合わせを自動選択可能となる。先物設定を選択することによって、本発明は、4つの先物契約を自動的に選択するかもしれない。この商品選択はまた、ユーザがウィンドウのサイズを含むビューを構成することを可能にする。さらに、この表示は、3×3若しくは2×3のビュー又は他の導出されるコンフィギュレーションにより表示可能となる。
【0075】
さらなる実施例は、ユーザがイールドカーブ又はイールドカーブ変動のディスプレイを選択することを可能にする。イールドカーブディスプレイについて、ユーザは、表示すべき履歴カーブの個数を選択するようにしてもよい。さらに、ユーザは、タイプ(現物、先物)又は満期(10Y現物、10Y先物)の何れかによって商品をグループ化するようにしてもよい。
【0076】
他の実施例では、ユーザは、各先物についての限月を選択し、各市場データの価格フォーマット化を操作することができる。他の実施例では、取引が実行されるとき、各価格カラムのカラーは所定の取引状態カラーに変更可能である。取引状態カラーは、他の取引がタイマーの終了前に実行されない場合、その長さがユーザ選好となるタイマーに基づくものとされてもよい。
【0077】
他の実施例では、日中の取引データについて、本発明は取引履歴を格納し、取引グラフにより表示価格データのみを表示し、価格ボードにより始値、高値、安値及び終値を表示することが可能となる。さらに、各契約は、第1通知日(first notice day)に先行する日にアクティブな付きに自動的にロールすべきである。本実施例は、ユーザが直近の2限月を閲覧し、カレンダー契約(calendar contract)、すなわち、2つのカレンダー月を取引する契約を閲覧することを可能にする。さらなる実施例は、取引状態の詳細が表示されることを可能にし、取引実行に続く価格推移の確率をユーザに通信する。取引は、手持ちサイズ及び超過売買注文を示すスタックを介し視覚的に表示可能である。この特徴は、市場が取引状態に入る前にベストビッド/アスク(BBA)カラムの利用可能なボリュームの概要(ワイヤフレーム)として示される。これは、ユーザがテーク中にベストオファーに又はヒット中にベストビッドに残っている利用可能な合計数量を理解することを可能にする。取引ボリュームが増大するに従って、オリジナルのベストビッド/オファーを表すボリュームフレームは、取引状態を表すのに使用されるより暗いカラーにより充填されてもよい。買い又は売り注文ボリュームが、取引状態前に利用可能なBBAボリュームを上回る場合、テーク/アスクカラムの実行済みボリュームの上のビッドのカラーによるレイヤが、買い注文超過を示すため表示され、又はヒット/ビッドカラムの実行済みボリュームの上のアスクのカラーによるレイヤが、売り注文超過を示すため表示される。さらなる実施例は、ユーザは、取引に含まれるすべての価格レベルについて、すべてのビッド/アスクボリュームカラムのカラーをヒット/テークカラーに変更することが許可される。スタックを介した取引は、(例えば)3つのレベルまで、すなわち、BBAの上下の2つのビッド/アスク価格インクリメントまで可能とされるかもしれない。
【0078】
他の実施例では、システムは、ベーシス情報を表示することが可能である。実施例では、情報は現物と先物の商品間の関係である。ベーシスタイプは、換算率入力及び画面表示の点で異なる。換算率は、取引所により設定され、システムのデータ供給に対して実行される公表された値に等しいかもしれない。市場取引毎に求められるベーシスの特徴は、取引差分、合計されたネット変動グラフ、現物のネットの変動と先物のネットの変動との間の差分とを含むかもしれない。取引差分は、市場が事前の変動を有する毎に計算するようスロットル可能である。合計されたネット変動グラフについて、当該変動は同一のクロージング時間に基づくものであるが、ユーザは、ネット変動に換算率ウェートを適用することが可能である。他の実施例では、商品名は、直近の先物契約がロールすると、年毎に4回変更される。これは、契約の満了の約20日前に行われる。一部の実施例は32分法及び2/4/6により市場を表示するかもしれないが、一実施例は10進数フォーマットにより表示する(すなわち、32.25/32.50/32.75/32.00)。価格ボードは、ユーザが何れの商品を表示することを所望するか選択可能な4つのベーシス商品を含むかもしれない。
【0079】
他の実施例は、現物及び/又は先物が3次元ビューにより表示されることを可能にする。ディスプレイは、6つまでの商品の閲覧を可能にする(3×3ビュー)。ユーザは、様々なテンプレートから選択可能であり、これによりそれらのディスプレイのカスタマイズを可能にする。これらのテンプレートの一部は、スペースにより区切られた履歴グラフと2つのリミットオーダーブックスラブの2つのグループの3×3ビュー、又はスペースにより区切られた履歴グラフと3つのリミットオーダーブックの2つのグループの2×2ビューを表示する機能を含む。テンプレートはまた、デフォルト3×3ビュー(2Y、5Y、10Yの現物と2F、5F、10Fの先物)と、デフォルト2×2ビュー(5Y、10Yの現物と5F、10Fの先物)とを含む。ユーザにはまた、注文スラブをリバースする選択肢が与えられる。
【0080】
他の実施例は、ユーザがビューを変更することを可能にする。リミットオーダーブックは、垂直方向に表示可能であり、日中のチックグラフ又はリミットオーダーブックが同時に表示可能である。これは、ユーザがフォーカスビューにより表示する2つの市場を選択することを可能にする。さらに、少なくとも2つのチックストリップが垂直方向に表示可能であり、BBAタグがリミットオーダーブックの右側に配置可能であり、商品ラベルがリミットオーダーブックスラブの上部に配置可能である。他のビューは、ベーシス及びカーブスワップ(T−スワップ)により規定されるような2つの商品の間のスプレッドがディスプレイチャートにおいて閲覧可能とされる。
【0081】
他の実施例は、ユーザがイールドカーブ又はイールドカーブ変動グラフを選択及び閲覧することを可能にする。イールドカーブ変動グラフは、ある期間(昨日、1週間前、1ヶ月前、1年前など)におけるカーブと現在値との間の差分を示す。各カーブは、当該カーブが表す期間に該当する調整されたカラーとすることが可能である。イールドカーブ変動グラフは、レジェンド(legend)を有し、ユーザが各カラーが何れの期間を表しているか確認することを可能にする。イールドカーブ変動グラフは、比例カーブを有し、軸状のベンチマーク間の距離が比例的なものとなることを保証する。さらに、変動なしを洗わすゼロラインが、明確にマークされる。ユーザは、イールドカーブ変動グラフ又はイールドカーブグラフを閲覧し、又はグラフを隠すことが可能である。グラフカラーは、現在のイールドカーブに使用されるカラーに対応する。単なる値でなくカーブのネットの変動を示すことによって、ユーザはカーブの動きを明確に確認することができる。さらに、それは過去の値を通知するため、手動によるプロセスを削除する。さらなる実施例では、ユーザは、オーバーレイ(overlay)、T−1デイ、T−1マンスグラフなど、示される時間比較カーブを選択することが可能とされる。
【0082】
他の実施例では、価格ボードは、完全な価格情報を提供し、ユーザが当該アプリケーションにのみ依存することを可能にし、別のアプリケーションがユーザが精通しているフォーマットにより価格ページを表示することを要求しない。このため、先物、ベーシス及び市場ビューデータが、既存の価格ボードに追加される。価格ボードでは、ユーザは1つ又は複数のカラムによりデータをグループ化するかもしれない。価格ボードは、ユーザの嗜好に適合するよう構成可能である。価格ボードは、それ自体のウィンドウコントロールにより着脱可能である。さらに、ユーザがセッション先行を変更すると、始値、高値、安値及び終値並びにネット変動値のすべてが、選択されたセッションに変更されるべきである。さらなる実施例は、ユーザがすべての商品のリミットオーダーブックを正規化することを可能にする。さらに、ユーザは、各注文についてリミットオーダーブックを正規化することが可能である(例えば、他の導出された基準に従って、又は1つのベンチマークのみについて)。
【0083】
他の実施例は、ユーザがユーザ嗜好ダイアログメニューへのユーザのより直感的なアクセスを可能にする。これは、マウスクリックによりアクセスされてもよい。嗜好ダイアログメニューは、ユーザが限月を選択するためドロップダウンリストを起動することを可能にするフォントコントロールであるビュー選択タブと(これにより、すべての先物商品が同一の限月を使用するよう指示する)、先物の取引状態のカラー化のため時間又は期間を設定するためのリミットオーダーブックタブとを可能にする。さらなる実施例は、ディスプレイのウィンドウの何れかをクリックすることによって、ショートカットメニューがアクセスされることを可能にする。これは、特定の要素の嗜好へのシンプルなアクセスを可能にすることによって、システムの使用を簡単化する。
【0084】
さらに、本発明のさらなる実施例は、本発明の2つのインスタンスが同時にアクセスされることを可能にする。さらに、本発明は、頻度の低い取引に与えられるベーシス履歴を求め、特定のマークされた取引所内における金融商品の取引履歴を提供する。
【0085】
本発明の実施例及びその効果が詳細に説明されたが、当業者は、添付した請求項により規定されるような本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、各種変更、追加及び省略が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、本発明の実施例による金融市場情報を管理するシステムを示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施例による金融市場情報を表示する市場表示及び係るグラフィカル表示の一例である。
【図3A】図3Aは、本発明の実施例による金融市場情報を表示する市場表示及び係るグラフィカル表示の一例である。
【図3B】図3Bは、本発明の実施例による金融市場情報を表示する市場表示及び係るグラフィカル表示の一例である。
【図4】図4は、本発明の実施例による金融市場情報を表示する市場表示及び係るグラフィカル表示の一例である。
【図5】図5は、本発明の実施例による金融市場情報を表示する市場表示及び係るグラフィカル表示の一例である。
【図6】図6は、本発明の実施例による金融市場情報を表示する市場表示及び係るグラフィカル表示の一例である。
【図7A】図7Aは、本発明の実施例による金融市場情報を表示する市場表示及び係るグラフィカル表示の一例である。
【図7B】図7Bは、本発明の実施例による金融市場情報を表示する市場表示及び係るグラフィカル表示の一例である。
【図7C】図7Cは、本発明の実施例による金融市場情報を表示する市場表示及び係るグラフィカル表示の一例である。
【図8A】図8Aは、本発明の実施例による金融市場情報を表示する市場表示及び係るグラフィカル表示の一例である。
【図8B】図8Bは、本発明の実施例による金融市場情報を表示する市場表示及び係るグラフィカル表示の一例である。
【図8C】図8Cは、本発明の実施例による金融市場情報を表示する市場表示及び係るグラフィカル表示の一例である。
【図9】図9は、本発明の実施例による金融市場情報を表示する市場表示及び係るグラフィカル表示の一例である。
【図10】図10は、金融市場情報の従来のテキストベースの表示の一例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融市場情報を表示するシステムであって、
当該システムは、金融市場情報を受付及び格納するメモリと、ディスプレイと、前記金融市場情報を処理し、前記ディスプレイ上に前記金融市場情報のグラフィカル表示を生成するためのソフトウェアを実行するよう動作可能なプロセッサとを有するコンピュータを有し、
前記グラフィカル表示は、少なくとも2つの金融商品の市場情報の少なくとも3次元の多次元表示から構成され、前記ディスプレイ上の単一の第1ウィンドウに設けられ、
前記表示される金融市場情報の少なくとも一部は、リアルタイムに動的に更新され、
前記少なくとも2つの金融商品は、少なくとも2つの金融商品のクラスからの金融商品を含むシステム。
【請求項2】
前記金融商品のクラスの1つは国債であり、他のクラスは先物である、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも2つの金融商品は、多次元表示として表示されるようユーザにより選択可能である、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも2つの金融商品の構成は、ユーザにより変更可能である、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも2つの金融商品の第1の金融商品が選択可能であり、
前記第1の金融商品に係る情報が、第2ウィンドウに表示される、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも2つの金融商品の第2の金融商品が選択可能であり、
前記第2の金融商品に係る情報が、前記第2ウィンドウに表示される、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の金融商品は先物であり、前記第2の金融商品は国債であり、
前記第1の金融商品と前記第2の金融商品とを比較するベーシス情報がまた、前記第2ウィンドウに表示される、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記ディスプレイ上の1以上のウィンドウに、比較情報が表示される、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
比較情報は、ベーシス情報から構成される、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
比較情報は、カーブスワップ情報から構成される、請求項8記載のシステム。
【請求項11】
比較情報は、取引差分情報から構成される、請求項8記載のシステム。
【請求項12】
比較情報は、合計されたネット変動情報から構成される、請求項8記載のシステム。
【請求項13】
前記ディスプレイ上の1以上のウィンドウに、ベーシス情報、カーブスワップ情報、取引差分情報又は合計されたネット変動情報の少なくとも1つが表示される、請求項1記載のシステム。
【請求項14】
ベーシス情報、カーブスワップ情報、取引差分情報又は合計されたネット変動情報の少なくとも2つが重ねられる、請求項1記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも2つの金融商品の第1の金融商品が選択可能であり、
前記第1の金融商品に係る情報が、前記グラフィカル表示と独立に前記第1ウィンドウに表示される、請求項1記載のシステム。
【請求項16】
金融市場情報を表示するシステムであって、
当該システムは、金融市場情報を受付及び格納するメモリと、ディスプレイと、前記金融市場情報を処理し、前記ディスプレイ上に前記金融市場情報の第1及び第2グラフィカル表示を生成するためのソフトウェアを実行するよう動作可能なプロセッサとを有するコンピュータを有し、
前記第1及び第2グラフィカル表示の少なくとも1つは、少なくとも2つの異なる金融商品クラスの市場情報の少なくとも3次元の多次元表示から構成されるシステム。
【請求項17】
前記第1及び第2グラフィカル表示のそれぞれは、少なくとも2つの異なる金融商品クラスの市場情報の少なくとも3次元の多次元表示から構成される、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
プロセッサにより実行可能であって、ディスプレイ上に金融商品情報のグラフィカル表示を生成するよう処理可能なソフトウェアであって、
前記グラフィカル表示は、少なくとも2つの金融商品の市場情報の少なくとも3次元の多次元表示から構成され、前記ディスプレイ上の単一の第1ウィンドウに設けられ、
前記表示される金融市場情報の少なくとも一部は、リアルタイムに動的に更新され、
前記少なくとも2つの金融商品は、少なくとも2つの金融商品のクラスからの金融商品を含むソフトウェア。
【請求項19】
前記金融商品のクラスの1つは国債であり、他のクラスは先物である、請求項18記載のソフトウェア。
【請求項20】
前記少なくとも2つの金融商品は、多次元表示として表示されるようユーザにより選択可能である、請求項18記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも2つの金融商品の構成は、ユーザにより変更可能である、請求項18記載のソフトウェア。
【請求項22】
前記少なくとも2つの金融商品の第1の金融商品が選択可能であり、
前記第1の金融商品に係る情報が、第2ウィンドウに表示される、請求項18記載のソフトウェア。
【請求項23】
前記少なくとも2つの金融商品の第2の金融商品が選択可能であり、
前記第2の金融商品に係る情報が、前記第2ウィンドウに表示される、請求項22記載のソフトウェア。
【請求項24】
前記第1の金融商品は先物であり、前記第2の金融商品は国債であり、
前記第1の金融商品と前記第2の金融商品とを比較するベーシス情報がまた、前記第2ウィンドウに表示される、請求項23記載のソフトウェア。
【請求項25】
前記ディスプレイ上の1以上のウィンドウに、比較情報が表示される、請求項18記載のソフトウェア。
【請求項26】
比較情報は、ベーシス情報から構成される、請求項25記載のソフトウェア。
【請求項27】
比較情報は、カーブスワップ情報から構成される、請求項25記載のソフトウェア。
【請求項28】
比較情報は、取引差分情報から構成される、請求項25記載のソフトウェア。
【請求項29】
比較情報は、合計されたネット変動情報から構成される、請求項25記載のソフトウェア。
【請求項30】
前記ディスプレイ上の1以上のウィンドウに、ベーシス情報、カーブスワップ情報、取引差分情報又は合計されたネット変動情報の少なくとも1つが表示される、請求項18記載のソフトウェア。
【請求項31】
ベーシス情報、カーブスワップ情報、取引差分情報又は合計されたネット変動情報の少なくとも2つが重ねられる、請求項18記載のソフトウェア。
【請求項32】
前記少なくとも2つの金融商品の第1の金融商品が選択可能であり、
前記第1の金融商品に係る情報が、前記グラフィカル表示と独立に前記第1ウィンドウに表示される、請求項18記載のソフトウェア。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−547121(P2008−547121A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518358(P2008−518358)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/024170
【国際公開番号】WO2007/002212
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(506361856)シーエフピーエイチ, エル.エル.シー. (75)
【Fターム(参考)】