説明

釣用ウェア

【課題】高い防水機能を有し、風雨下でも快適な釣りを行うことができる釣用ウェアの提供。
【解決手段】この釣用ウェア10は、釣人の上半身を包むウェア本体11と、ウェア本体11に設けられ、釣人の首周りを包む襟12とを有する。襟12の内側にフード13が収容されている。襟口14を絞るための襟口絞り機構15が設けられている。フード13の開口周縁部32を絞るためのフード絞り機構29が設けられている。襟12の高さ寸法Hは、50mm〜200mmに設定されている。襟口絞り機構15は、ゴム紐35と紐固定具36とを有する。フード絞り機構29は、ゴム紐30と紐固定具31とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りに使用されるアウターウェアの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外レジャーである魚釣りは、天候の影響を直接に受ける。たとえば磯釣りでは、釣人は風雨の影響を直接に受けるし、また、船釣りでは、釣人は波飛沫の影響も受ける。そのため釣人は、悪天候での釣りにおいてレインウェア等のアウターウェアを着用することが多い。アウターウェアは、釣人が受ける雨の影響を最小限に抑えるためにフードを装備しているものが多く、また、風雨下でも雨水が身体まで浸透しないように種々の工夫がなされている(たとえば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
たとえば、特開2001−20126公報には、釣用ウェアに装着され得るフードが開示されている。このフードは、釣人の頭部を覆うと共にマスク片が釣人の顔面(口、鼻の周辺部)を覆う。これにより、釣人は、顔面の大部分がフードによって覆われ、実釣中の雨、風を凌ぐことができる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−20126公報
【特許文献2】特開2002−30503公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特に船釣りでは、海上の風の強さとその向きによっては釣人に波飛沫が激しく衝突することがあり、その場合には、海水がアウターウェアを通過して釣人の身体まで到達してしまうことがある。これでは、釣人にとって快適な釣りを行うことはできない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、激しい風雨下でもこれを確実に防ぎ、快適な釣りを行うことができる釣用ウェアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 上記目的が達成されるため、本発明に係る釣用ウェアは、襟口を絞るための襟口絞り機構が設けられていることを特徴とするものである。この構成によれば、襟口が絞られることによって、当該襟は、この釣用ウェアの着用者の顔面を押圧しながら覆うことができる。すなわち、当該襟は、着用者の顔面に隙間なく当接する。したがって、雨水等が襟と顔面との間から着用者の身体に進入することが抑制される。
【0008】
(2) この釣用ウェアは、ウェア本体と、ウェア本体に設けられ、着用者の首及び顔面の少なくとも一部を囲繞し得る襟と、襟に出入自在に収容され、着用者の頭部を囲繞するフードとを備える。そして、上記襟口絞り機構は、上記襟に設けられている。この構成では、ウェア本体は、この釣用ウェアの着用者の身体を包む。襟は、着用者の首を囲繞し且つ顔面の少なくとも一部を囲繞すると共に、襟から取り出されたフードは、着用者の頭部を囲繞する。襟口絞り機構によって襟口が絞られることによって、当該襟は、着用者の顔面を押圧しながら首及び顔面を覆う。すなわち、当該襟は、着用者の顔面に隙間なく当接する。したがって、雨水等が襟と顔面との間から着用者の身体に進入することが抑制される。
【0009】
(3) 上記襟口絞り機構は、襟の上縁に沿って内装され且つ端部が襟の外部に引き出されたゴム紐と、襟に取り付けられ、ゴム紐を挟持し得る紐固定具とを有して構成され得る。ゴム紐は、その端部が引っ張られることによって襟から外部に引き出される。この引き出されたゴム紐は、紐固定具によって挟持され、当該引き出された状態が維持される。これにより、襟口が絞られ、襟は、着用者の顔面に隙間なく当接する。しかも、襟口は、ゴム紐によって絞られるから、ゴム紐の弾性力によって襟が着用者の顔面に当接する。したがって、襟は、着用者の顔面に常時確実に当接する。
【0010】
(4) 上記襟の高さは、50mm〜200mmに設定されているのが好ましい。襟の高さがこのように設定されることにより、雨水等の侵入が確実に防止されると共に、着用者は、この釣用ウェアを違和感なく着用することができる。
【0011】
(5) 上記ゴム紐が引き出された部分及び上記紐固定具を覆うフラップが設けられていてもよい。このフラップが設けられることにより、ゴム紐が引き出された部分から襟の内部に雨水等が侵入することが防止されるし、紐固定具が露出することがないので、紐固定具にたとえば釣糸等が引っ掛かることも防止される。
【0012】
(6) 上記フードの開口周縁部を絞るフード絞り機構が備えられていてもよい。着用者の顔面は、フードの開口部から露出する。このフードの開口周縁部が絞られることによって、フードの開口周縁部も着用者の顔面に隙間なく当接する。これにより、フードの開口周縁部から雨水等が侵入することも防止される。
【0013】
(7) 上記フード絞り機構は、上記開口周縁部に内装され且つ一部が露出されたゴム紐と、上記フードに取り付けられ、上記露出したゴム紐を挟持し得る紐固定具とを有して構成され得る。ゴム紐は、上記露出した部分が引っ張られることによって上記開口周縁部から外部に引き出される。この引き出されたゴム紐は、紐固定具によって挟持され、当該引き出された状態が維持される。これにより、上記開口周縁部が絞られ、着用者の顔面に隙間なく当接する。しかも、上記開口周縁部は、ゴム紐によって絞られるから、ゴム紐の弾性力によってフードが着用者の顔面に当接する。したがって、フードは、着用者の顔面に常時確実に当接する。
【0014】
(8) 上記フードの開口周縁部の下部を上記襟に着脱自在に取り付ける取付機構が設けられていてもよい。この取付機構により、フードの開口周縁部が上記襟に取り付けられる。これにより、フードは、より確実に着用者の顔面に当接し、強い風が吹いてもフードと着用者の顔面との間に隙間が生じることはない。
【0015】
(9) 上記取付機構は、上記開口周縁部の下部と襟との間に設けられたスナップを備えているのが好ましい。上記開口周縁部の下部は、スナップを介して襟に着脱自在に取り付けられる。スナップが採用されることにより、取付機構が簡単且つ安価に構成される。
【0016】
(10)さらに、上記開口周縁部の下部が上記襟に取り付けられた状態で当該開口周縁部の下部を覆うフラップが設けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、釣人がこの釣用ウェアを着用すると、所要時に襟口が絞られるので、激しい風雨下でも雨水や波飛沫が確実に遮られ、快適な釣りを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係る釣用ウェアの正面図であり、図2は要部背面図である。この釣用ウェア10は、釣人が実釣時にアウターウェアとして着用するものであって、特に船釣りや磯釣りに使用される。釣用ウェア10は、釣人の上半身を包むウェア本体11と、ウェア本体11に設けられ、釣人の首周りを包む襟12と、襟12の内側に収容されたフード(13)と、襟口14を絞るための襟口絞り機構15とを備えている。本実施形態に係る釣用ウェア10の特徴とするところは、この襟口絞り機構15が設けられている点であり、これにより、襟12が釣人の首及び顔面の少なくとも一部を確実に囲繞し、強い風雨下であっても雨水等が身体まで浸透せず、釣人は、快適な釣りを行うことができるようになっている。以下、釣用ウェア10の構造についてさらに詳述される。
【0020】
ウェア本体11は、防水性及び透湿性が確保されるために透湿性防水生地から構成されているのが好ましい。本実施形態では、ウェア本体11は、複数の生地16〜20により縫製されている。ただし、ウェア本体11を構成する生地の数は、特に限定されるものではないし、生地の種類も透湿性防水生地に限定されるものではない。
【0021】
このウェア本体11は、前面中央部にスライドファスナー(図示せず)が設けられており、前面が開閉自在となっている。釣人は、スライドファスナーを解放してこの釣用ウェア10を着用し、その状態でスライドファスナーを閉じる。これにより、ウェア本体11は、当該釣人の上半身を確実に包み込む。図1が示すように、ウェア本体11の前面の中央部に前立て21が設けられている。上記スライドファスナーが閉じられた状態で前立て21が生地16に重ね合わされることによって効果的な防水機能が発揮され、水が上記スライドファスナーから侵入することが防止される。本実施形態では、上記前立て21は二重構造を有している。すなわち、左右の生地16にそれぞれ前立て21が設けられており、前後方向(紙面に垂直な方向)に重ね合わせられるようになっている。各前立て21は、面ファスナー22を介して接着固定され、これにより、より効果的な防水機能が発揮される。
【0022】
なお、ウェア本体11は、ポケット23を備えている。これにより、釣人は、実釣時に適宜小物を携帯しておくことができる。また、このウェア本体11は、図示されていない通気孔を備えている。この通気孔は、生地16の上方(生地16と生地19との境界部分)に設けられており、生地19がこの通気口を覆っている。これにより、ウェア本体11は、きわめて高い透湿性を備えることになる。加えて、ウェア本体11の袖口24には、ゴムバンド25が設けられている。このゴムバンド25は、面ファスナー等により束ねることができるようになっている。これにより、上記袖口24は、釣人の手首に隙間なく当接することができ、袖口24からの浸水が確実に防止される。
【0023】
襟12は、ウェア本体11の首部に連続して設けられている。襟12もウェア本体11と同様に、透湿性防水生地から構成されているのが好ましい。図1及び図2が示すように、襟12は、ウェア本体11から上方に起立するように形成されている。したがって、釣人がこの釣用ウェア10を着用したときは、襟12は、釣人の首及び顔面を囲繞する。本実施形態では、この襟12の高さ寸法Hは、50mm〜200mmに設定されている。このように高さ寸法Hが設定されることにより、襟12は、釣人の首及び顔面の目から下の部分を有効に覆うことができる。
【0024】
襟12の後部では生地が二重に配置されており、袋状に形成されている。外側の生地26は、内側の生地に着脱自在に取り付けられている。本実施形態では、両生地の間にスナップ27が設けられている。上記フード(13)は、この襟12の後部に収容されており、上記スナップ27が外されることによってフード(13)が襟12から引き出されるようになっている。
【0025】
図3及び図4は、フード13が襟12から取り出された状態を示している。これらの図が示すように、フード13は、開口28を備えた袋状に形成されており、開口28の下縁部が襟12の後部下縁に沿って取り付けられている。フード13も襟12を構成する生地と同様に透湿性防水生地からなる。この袋状のフード13は、常時は折りたたまれた状態で襟12の内部に収容されているが、図3が示すように、襟12から取り出され展開されることによって、釣人の頭部に被せられる。
【0026】
フード13は、フード絞り機構29を備えている。フード絞り機構29は、ゴム紐30と紐固定具31とを有する。フード13の開口周縁部32は、細長のチューブ状に形成されており、ゴム紐30は、この開口周縁部32に沿って内装されている。このゴム紐30は、図3及び図4が示すように、その一部がフード13の左右の端部に露出している。そして、この部分に上記紐固定具31が配置されている。紐固定具31は既知の構造であり、所要時にゴム紐30を固定することができるようになっている。したがって、釣人は、フード13を被った状態でゴム紐30を引っ張ることによって、フード13の開口周縁部32が絞られ、フード13が釣人の顔面に確実に当接する。
【0027】
図3及び図4が示すように、フード13の下部には一対の舌片33が左右対称に設けられている。この舌片33は、フード13と一体的に形成されている。この舌片33は、フード13を襟12に取り付けるための取付機構34を構成している。この取付機構34については、後述される。
【0028】
図5は、襟12が開かれた状態での拡大図である。図1及び図5が示すように、前述の襟口絞り機構15は、ゴム紐35と一対の紐固定具36とを備えている。ゴム紐35は、襟口14の上縁37に沿って配置されている。この襟口14は、細長のチューブ状に形成されており、ゴム紐35は、この襟口14に内装されている。ゴム紐35は、その両端部が襟12の外部に引き出されている。すなわち、ゴム紐35は、襟12の上縁37に沿って環状に配置され、襟12の前部から外側に引き出されて垂下している。
【0029】
本実施形態では、襟12の前部に紐挿通ベルト38が設けられており、ゴム紐35は、この紐挿通ベルト38に挿通支持されている。これにより、風が吹いてもゴム紐35がふらふらすることはない。なお、ゴム紐35の両端に抜止部材39が設けられている。これにより、ゴム紐35が襟口14から容易に抜脱されることはないし、釣人は、抜止部材39を持ってゴム紐35を容易に引っ張ることができる。
【0030】
図6は、図5における要部拡大図であり、紐固定具36の構造が示されている。紐固定具36は、外筒部40と、外筒部40に嵌め込まれた内筒部41とを備えている。この外筒部40は、図示されていない紐により襟12に固定されている。外筒部40及び内筒部41には、同図が示すような貫通孔が設けられている。ゴム紐35は、前述のように襟口14に沿って内装されており、襟12に設けられた孔57から外部に引き出されている。この孔57にはリング58が嵌め込まれており、鳩目が形成されている。ゴム紐35は、上記外筒部40及び内筒部41に設けられた貫通孔に挿通されている。内筒部41は、外筒部40に対して常時突出する方向に弾性伏勢されている。したがって、常時においてゴム紐35は、外筒部40と内筒部41との間に挟み込まれて一定の保持力で保持されている。
【0031】
所要時に内筒部材41が外筒部材40の内部に押し込まれることによって、両者に設けられた貫通孔の位置が一致し、これによりゴム紐35は、当該貫通孔を自由に挿通することができる。したがって、釣人が襟口14を絞ろうとするときは、内筒部材41を外筒部材40の内部に押し込んだ状態でゴム紐35を引っ張ればよい。ただし、内筒部材41が外筒部材40の内部に押し込まれなくても、ゴム紐35が上記保持力に抗して引っ張られることにより、ゴム紐35が襟口14から引き出され、襟口14が絞られる。
【0032】
図4及び図6が示すように、紐固定具36は、フラップ42によって覆われている。このフラップ42は、襟12に設けられ、襟12の上縁37から下方に延びている。フラップ42も襟12を構成する生地と同様の生地からなる。紐固定具36は、このフラップ42の内側において襟12に固定されている。フラップ42が設けられることにより、ゴム紐35が引き出された部分及び紐固定具36が被覆されており、これにより、雨水等が上記ゴム紐35が引き出された部分に侵入することはない。なお、本実施形態では、フラップ42は台形状に形成されており、襟12の上縁37及び前立て21に沿って縫いつけられている。ただし、フラップ42の形状は種々の設計変更が可能であることは勿論である。
【0033】
図7は、図4における要部拡大図であり、上記取付機構34の構造が示されている。取付構造34は、前述の舌片33と、スナップ43とを備えている。スナップ43は、スタッド44及びソケット45を有し、スタッド44は襟12側に設けられ、ソケット45は舌片33側に設けられている。もっとも、スタッド44が舌片33側に設けられ、ソケット45が襟12側に設けられていてもよい。
【0034】
襟12は、フラップ46を備えている。このフラップ46は、上記フラップ42の下側(襟12により近い側)に設けられている。フラップ46も襟12を構成する生地と同様の生地からなる。フラップ46は、襟12の前部を覆うように配置され、襟12の上縁37、下縁及び上記前立て21に沿って縫いつけられている。フラップ46は、襟12に設けられたスタッド44を覆っている。
【0035】
上記舌片33は、襟12に固定される。具体的には、舌片33に設けられたソケット45が襟12に設けられたスタッド44に嵌め込まれる。両者の嵌合が解除されると、舌片33は襟12から取り外される。上記フラップ46が設けられていることから、舌片33が襟12に取り付けられた状態で、上記フラップ46によって舌片33(フードの開口周縁部の下部)が覆われる。これにより、舌片33がフラップ46により保護されるから、舌片33が他の障害物に引っ掛かる等により容易に襟12から外れてしまうことはない。
【0036】
このフラップ46と襟12との間に面ファスナー47が設けられている。この面ファスナー47は、襟12側に設けられたループテープ(雌型)とフラップ46側に設けられたフックテープ(雄型)とを備える。もっとも、襟12側にフックテープが設けられ、フラップ46側にループテープが設けられていてもよい。これにより、上記舌片33が襟12に取り付けられないときは、フラップ46は、面ファスナー47によって襟12に固定されている。
【0037】
また、本実施形態では、上記舌片33に面ファスナー55が設けられている。この面ファスナー55は、ループテープからなり、舌片33の裏面(図8において現れている舌片33の裏面)に取り付けられている。したがって、上記舌片33が襟12に取り付けられた状態で、舌片33側の面ファスナー55と襟12側の面ファスナー47(フックテープ)とが係合し、舌片33は確実に襟12側に固定される。もっとも、舌片33の面ファスナー55は省略されてもよい。
【0038】
図8は、釣用ウェア10の要部拡大正面図である。図9はフード13が使用されている状態での釣用ウェア10の要部拡大正面図、図10は、斜視図である。
【0039】
釣人がこの釣用ウェア10を着用したときには、ウェア本体11が当該釣人の上半身を包む。襟12は、釣人の首を囲繞し且つ顔面の一部(特に目から顎に至る領域)を囲繞する。風雨の場合には、釣人は襟12からフード13を取り出して被る。これにより、釣人の頭部は、フード13によって囲繞される。
【0040】
図8が示すように、襟口絞り機構15によって襟口14が絞られる。これにより、襟12は、釣人の顔面を押圧しながら首及び顔面の一部を覆う。すなわち、襟12は、釣人の顔面に隙間なく当接する。したがって、実釣中に風雨が激しくなった場合であっても、雨水等が襟12と顔面との間から侵入することが抑制される。
【0041】
前述のように、襟口14が絞られる際には、ゴム紐35の端部が引っ張られることによって襟12から外部に引き出される。この引き出されたゴム紐35は、上記紐固定具36によって挟持されるので、襟口14が確実に絞られ、襟12は、釣人の顔面に隙間なく当接する。本実施形態では、襟口14はゴム紐35によって絞られるから、ゴム紐35の弾性力によって襟12が釣人の顔面に当接する。したがって、襟12は、釣人の顔面に常時確実に当接し、雨水等の侵入が確実に阻止される。
【0042】
また、上記フラップ42が設けられているので、ゴム紐35が引き出された部分から襟12の内部に雨水等が侵入することが防止されるし、紐固定具36が露出することがないので、紐固定具36にたとえば釣糸等が引っ掛かることも防止される。さらに、フード13の舌片33は、図9、図10が示すように襟12の内側に固定されるから、前述のように、実釣時にフード13が容易に襟12から外れてしまうことが防止される。
【0043】
釣人は、必要に応じてフード絞り機構29を操作して上記フード13の開口周縁部32を絞ることができる。釣人の顔面は、フード13の開口28から露出するが、この開口周縁部32が絞られることによって、当該開口周縁部32が釣人の顔面に隙間なく当接する。したがって、フード13の開口周縁部32から雨水等が侵入することも防止される。
【0044】
図11は、フード絞り機構29の構造を示す拡大図である。前述のように、フード13の開口周縁部32が絞られるときは、ゴム紐30が引っ張られ、その状態で紐固定具31に係合固定される。この紐固定具31は、ゴム紐30が自由に挿通される挿通孔48と、ゴム紐30が固定される係合孔49とを備えている。挿通孔48と係合孔49とは、連続されている。紐固定具31は、弾性部材(典型的にはゴム)からなり、係合孔49の内径寸法は、ゴム紐30の外径寸法よりも小さく設定されている。したがって、挿通孔48から係合孔49にゴム紐30が移動されると、ゴム紐30は、係合孔49を区画する壁面によって締め付けられ、固定される。これにより、上記開口周縁部32が絞られ、釣人の顔面に隙間なく当接する。しかも、この開口周縁部32は、ゴム紐30によって絞られるから、ゴム紐30の弾性力によってフード13が釣人の顔面に確実に当接する。
【0045】
前述のように、襟12の高さが50mm〜200mmに設定されているから(図1参照)、襟12は、釣人の首及び顔面の目から下の部分を有効に覆うことができる。したがって、釣人がフード13を被ることによって頭部及び顔面の大部分が覆われるので、雨水等の侵入が確実に防止されるという利点がある。
【0046】
さらに、上記取付機構34(図7参照)により、フード13の舌片33が襟12に固定される。これにより、フード13は、より確実に釣人の顔面に当接し、強い風が吹いてもフード13と釣人の顔面との間に隙間が生じることはない。したがって、特に風雨の影響を受けやすい船釣りにおいても、釣人は快適な釣りを行うことができる。
【0047】
図12は、本実施形態の変形例に係る釣用ウェアの要部背面図である。本実施形態では、襟口絞り機構15は、図1が示すように襟12の前側に配置されていたが、本変形例では、襟口絞り機構15は、図12が示すように襟12の後側に配置されている。この襟口絞り機構15は、ゴム紐35と紐固定具36とを備えている。ゴム紐35は、襟口14の上縁37に沿って配置されている。この襟口14は、細長のチューブ状に形成されており、ゴム紐35は、この襟口14に内装されている。ゴム紐35は、その中間部が襟12の外部に引き出されている。
【0048】
すなわち、ゴム紐35は、襟12の上縁37に沿って環状に配置され、襟12の後部から外側に引き出されている。紐固定具36は、上記実施形態に係る紐固定具36と同様の構成であり、襟12の後部に取り付けられている。上記ゴム紐35の中間部は、この紐固定具36によって挟持されている。ゴム紐35が図中手前側に引っ張られることによって、上記実施形態と同様に襟口14が絞られるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、船釣りや磯釣りの際に使用される釣用ウェアに適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る釣用ウェアの正面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る釣用ウェアの要部背面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る釣用ウェアの襟の拡大図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る釣用ウェアの襟の拡大図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る釣用ウェアの襟の拡大図であり、襟が開かれた状態が示されている。
【図6】図6は、図5における要部拡大図である。
【図7】図7は、図4における要部拡大図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に係る釣用ウェアの要部拡大正面図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に係る釣用ウェアの要部拡大正面図であり、フードが使用されている状態が示されている。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に係る釣用ウェアの斜視図であり、フードが使用されている状態が示されている。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に係る釣用ウェアのフード絞り機構の構造を示す拡大図である。
【図12】図12は、本発明の一実施形態の変形例に係る釣用ウェアの要部背面図である。
【符号の説明】
【0051】
10・・・釣用ウェア
11・・・ウェア本体
12・・・襟
13・・・フード
14・・・襟口
15・・・襟口絞り機構
21・・・前立て
22・・・面ファスナー
23・・・ポケット
26・・・外側の生地
27・・・スナップ
28・・・開口
29・・・フード絞り機構
30・・・ゴム紐
31・・・紐固定具
32・・・開口周縁部
33・・・舌片
34・・・取付機構
35・・・ゴム紐
36・・・紐固定具
37・・・上縁
38・・・紐挿通ベルト
42・・・フラップ
43・・・スナップ
46・・・フラップ
47・・・面ファスナー
55・・・面ファスナー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
襟口を絞るための襟口絞り機構が設けられている釣用ウェア。
【請求項2】
ウェア本体と、
ウェア本体に設けられ、着用者の首及び顔面の少なくとも一部を囲繞し得る襟と、
襟に出入自在に収容され、着用者の頭部を囲繞するフードとを備え、
上記襟口絞り機構は、上記襟に設けられている請求項1に記載の釣用ウェア。
【請求項3】
上記襟口絞り機構は、
襟の上縁に沿って内装され且つ端部が襟の外部に引き出されたゴム紐と、
襟に取り付けられ、ゴム紐を挟持し得る紐固定具とを有する請求項1又は2に記載の釣用ウェア。
【請求項4】
上記襟の高さは、50mm〜200mmに設定されている請求項2又は3に記載の釣用ウェア。
【請求項5】
上記ゴム紐が引き出された部分及び上記紐固定具を覆うフラップが設けられている請求項3又は4に記載の釣用ウェア。
【請求項6】
上記フードの開口周縁部を絞るフード絞り機構が備えられている請求項2から5のいずれかに記載の釣用ウェア。
【請求項7】
上記フード絞り機構は、
上記開口周縁部に内装され且つ一部が露出されたゴム紐と、
上記フードに取り付けられ、上記露出したゴム紐を挟持し得る紐固定具とを有する請求項6に記載の釣用ウェア。
【請求項8】
上記フードの開口周縁部の下部を上記襟に着脱自在に取り付ける取付機構が設けられている請求項2から7のいずれかに記載の釣用ウェア。
【請求項9】
上記取付機構は、
上記開口周縁部の下部と襟との間に設けられたスナップを備えている請求項8に記載の釣用ウェア。
【請求項10】
上記開口周縁部の下部が上記襟に取り付けられた状態で当該開口周縁部の下部を覆うフラップが設けられている請求項8又は9に記載の釣用ウェア。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−169670(P2006−169670A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−364333(P2004−364333)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】