釣竿
【課題】魚の当たりを待つ時には竿を支持する支脚を竿から突出させないようにすることができ、したがって、穂先を下げて魚の当たりを待つことができ、一方、魚の当たりがあった時に竿を持ち上げると支脚によって穂先を持ち上げた状態に簡単に置き直すことができる釣竿を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の釣竿1は、釣竿1を支持するための支脚12,12が回動可能に取り付けられて成り、支脚12,12は、釣竿1から突出される位置と、釣竿に沿った位置との間で回動できるとともに、付勢体によって釣竿1から突出される位置へ向けて付勢されている。
【解決手段】本発明の釣竿1は、釣竿1を支持するための支脚12,12が回動可能に取り付けられて成り、支脚12,12は、釣竿1から突出される位置と、釣竿に沿った位置との間で回動できるとともに、付勢体によって釣竿1から突出される位置へ向けて付勢されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿に関し、特に釣竿を支持する支脚を備える釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、釣り人は、釣りの最中に釣竿から手を離して釣り或いは釣りとは別の作業を行なうときなどにあっては、釣竿を竿掛けに係止させたり、あるいは、釣竿を地面に置くなどしている。
【0003】
しかしながら、釣り場に竿掛けを持参すると、装備が大掛かりになり易く、一方、竿掛けを使用することなく釣竿を地面に載置すると、釣竿に傷が付いてしまったり、誤って釣竿を足で踏み付けてしまう虞もある。
【0004】
そのため、従来においては、簡単な装備で釣りを行なうことができ、釣竿を地面に置いても傷が付かないように、クリップ等を用いて釣竿にワンタッチで装着されて釣竿を支持できる竿立てが提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、釣竿に取り付けるための切り欠きを有する筒状体に脚立部材(支脚)を取り付けて成る釣竿用竿立て器が開示されている。また、特許文献2には、クリップによって釣竿を挟持して支持する竿立てが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平4−82967号
【特許文献2】実開平5−7078号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような竿立てを用いて釣りを行なうと、釣竿の穂先側が持ち上がった状態になるため、釣竿の穂先から延びる釣糸が宙に浮いた状態になる。したがって、風がある時には、釣糸が風で引かれてしまい、魚が警戒してしまうという問題がある。
【0008】
また、実際の釣りにおいては、魚の当たりを待つ際に、釣竿の穂先を下げて風の抵抗を受けないようにしたり、更には、穂先を水に浸けて釣糸が水中にある状態にして魚に警戒されないようにすることが行なわれており、また、その場合、小さな魚の当たりがあった時に、ゆっくりと穂先を持ち上げて釣糸と穂先の動きが見えるようにした状態で待機し、魚が十分に餌を食い込んで大きな当たりが確認された段階でその当たりに合わせるといった一連の操作が行なわれるが、前述した各特許文献では、竿立てによって釣竿の穂先側が持ち上がった状態で維持されてしまうため、このような一連の操作を行なうことが難しかった。
【0009】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、魚の当たりを待つ時には竿を支持する支脚を竿から突出させないようにすることができ、したがって、穂先を下げて魚の当たりを待つことができ、一方、魚の当たりがあった時に竿を持ち上げると支脚によって穂先を持ち上げた状態に簡単に置き直すことができる釣竿を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の釣竿は、釣竿を支持するための支脚が回動可能に取り付けられて成り、前記支脚は、釣竿から突出される位置と、釣竿に沿った位置との間で回動できるとともに、付勢体によって釣竿から突出される位置へ向けて付勢されていることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、魚の当たりを待つ時には、付勢体の付勢力に抗するように支脚を釣竿に沿った位置に位置させることにより、支脚を竿から突出させないようにすることができ、したがって、穂先を下げて魚の当たりを待つことができ、一方、魚の当たりがあった時に竿を持ち上げると、付勢体によって釣竿から突出される位置へ向けて付勢される支脚により穂先を持ち上げた状態に簡単に置き直すことができる。この場合、付勢体の付勢力に抗して支脚を釣竿に沿った位置に位置させた状態で釣竿を地面に置いた時には、釣竿の自重によって支脚が釣竿から突出される位置へと回動しないことが好ましい。また、この場合、支脚は、少なくとも一対の支脚から成り、釣竿から突出される位置では、釣竿に沿った位置にあるときよりもその先端側が釣竿の左右に広がることが好ましい。
【0012】
また、上記構成では、支脚を釣竿に沿った位置で保持する回動規制体が設けられても良い。この場合、回動規制体は、釣竿に設けられて支脚と係合する係合部材であっても良く、あるいは、支脚に設けられて釣竿と係合する係合部材であっても良い。係合部材が釣竿に設けられる場合、係合部材は釣竿のリール取り付け部の近傍に設けられることが好ましい。また、支脚が基体に回動可能に支持され、前記基体に回動規制体が設けられても良い。
【0013】
また、上記構成では、回動規制体の規制を解除する操作体が前記係合部材または前記基体に設けられても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、魚の当たりを待つ時には竿を支持する支脚を竿から突出させないようにすることができ、したがって、穂先を下げて魚の当たりを待つことができ、一方、魚の当たりがあった時に竿を持ち上げると支脚によって穂先を持ち上げた状態に簡単に置き直すことができる釣竿を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】付勢体の付勢力に抗して支脚を釣竿に沿った位置に位置させて地面に沿わせて置いた状態の本発明の第1の実施形態に係る釣竿の全体側面図である。
【図2】図1の釣竿の支脚を突出させた状態で該釣竿を地面に置いた状態を示す側面図である。
【図3】図1の釣竿の脚部およびその近傍の拡大側面図である。
【図4】図3の脚部の拡大平面図である。
【図5】図1の釣竿の脚部の拡大断面図である。
【図6】図1の釣竿の係合部材の拡大断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る釣竿の脚部および係合部材の拡大平面図である。
【図8】図7の係合部材の拡大断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る釣竿の脚部の拡大側面図である。
【図10】図9の脚部を釣竿の元部側から見た拡大背面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る釣竿の脚部および係合部材の拡大側面図である。
【図12】図11の係合部材の断面を含む拡大側面図である。
【図13】付勢体の付勢力に抗して支脚を釣竿に沿った位置に位置させて地面に沿わせて置いた状態の本発明の第5の実施形態に係る釣竿の全体側面図である。
【図14】図13の釣竿の支脚を突出させた状態で該釣竿を地面に置いた状態を示す側面図である。
【図15】図13の釣竿の脚部およびその近傍の拡大側面図である。
【図16】図13の釣竿の係合部材の拡大断面図である。
【図17】付勢体の付勢力に抗して支脚を釣竿に沿った位置に位置させて地面に沿わせて置いた状態の本発明の第6の実施形態に係る釣竿の全体側面図である。
【図18】図17の釣竿の支脚を突出させた状態で該釣竿を地面に置いた状態を示す側面図である。
【図19】図17の釣竿の脚部の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る釣竿の実施形態について説明する。
【0017】
図1ないし図6は本発明の第1の実施形態を示している。図1に示されるように、本実施形態の釣竿1は、例えば磯や防波堤で使用される外ガイド付きの振り出し竿であり、穂先側の複数の竿杆が元竿側の竿杆内に順次収納可能に形成されている。具体的には、釣竿1は、穂先2を有する先竿(竿杆)4と、元竿(竿杆)5とから成っており、これらの竿杆にはそれぞれ穂先も含めて必要な数の釣糸ガイド3が設けられている。また、元竿5には釣用リール9を装着可能なリールシート(リール取り付け部)7が設けられており、その後端側には握持部としてのハンドル8が設けられている。
【0018】
また、図1および図2に示されるように、元竿5の中程には、釣竿1の自立構造を実現するための脚部10が設けられている。この脚部10は釣竿1の外方に突設されており、釣竿1の元部(本実施形態では、ハンドル8の手元側端部)を地面50に置いたときにこの脚部10によって釣竿1の穂先2側を立ち上げて支持することが可能になっている(図2参照)。具体的に、脚部10は、元竿(竿杆)5に一体的に固定される基体としての釣竿装着部14と、釣竿装着部14に回動可能に支持される一対の支脚12,12とから成り、支脚12,12は、一対で一組の支脚を形成し、以下で詳しく説明するように、釣竿1の竿杆から外方へ突出される位置(図2の位置;突出状態)と、竿杆に沿って添設される(釣竿に沿った)位置(図1に実線で示される位置;倒伏状態または収納状態)との間で回動できるようになっている。なお、脚部10は、リールシート7にリール9を取り付けて支脚12,12を立ち上げた突出状態としたときは、リール9が地面50に接地されないように且つリール9から延びる釣糸6が一対の支脚12,12間を通過するように釣竿1を支持する。なお、支脚12,12は、釣竿1を支持できる突出される位置よりも釣竿の長手方向に延設方向が近づいて通常の釣竿の使用を邪魔しない程度であれば釣竿1に沿った位置とする。
【0019】
また、本実施形態において、脚部10は、釣竿1(釣りができるように釣竿1を伸ばした状態)の重心Gの位置(リール9などが装着されていない釣竿1単体での重心位置;図2参照)よりも穂先2側に設けられる。これにより、釣竿1の元部を地面に置いたときに、脚部10の先端部が地面に当接して釣竿1を支持することによって釣竿1の穂先2側を立ち上げた状態で支持することができる。つまり、脚部10の設置位置を釣竿1の重心Gの位置よりも穂先2側にすることにより、釣竿1をそのまま地面50に載置しても、釣竿1を安定して支持することができ、更に、リールシート7にリール9等を取り付ければ、その重さによって釣竿1の重心Gの位置が釣竿1の元部側へと更に移行するため、釣竿1を更に安定して支持することが可能になる。なお、脚部10を釣竿1の重心Gよりも元部側に設けても良く、このようにした時は、釣竿1を地面に置いた時に、より穂先を下げやすくなる。
【0020】
図3ないし図5に示されるように、脚部10の釣竿装着部14は、元竿5を上下から挟み込むことにより釣竿1に一体に取り付いている。具体的には、釣竿装着部14は、上側挟持体11と下側挟持体13とから成り、上側挟持体11と下側挟持体13との間で元竿5が挟持される。上側挟持体11および下側挟持体13の挟持状態は、これらの挟持体11,13をネジ部材15によって互いに結合することにより、あるいは、挟持体11,13同士を接着結合することにより保持される。これにより、脚部10全体が竿杆の長手方向へ移動することなく且つ竿杆に対して回動することなく釣竿1に一体的に固定される。
【0021】
脚部10の基体としての釣竿装着部14から延びる支脚12,12は、左右一対形成されており、下側挟持体13と一体に形成されて左右に延びる回動軸16に対して回動可能に枢着されている(図5参照)。この場合、回動軸16は、その中心軸O(および、その先端)が上方(図5参照)および後方(図4参照)を向くように傾斜している。したがって、一対の支脚12,12は、図4に示される収納状態から図2に示される状態へと突出すると、図4に矢印で示されるようにその先端が互いに離れるようにそれぞれ左右方向に開き(支脚12,12の先端は、収納(倒伏)状態よりも突出状態の方が左右に広がる)、逆に収納状態へと回動すると、釣竿の左右側面に沿うようになる。
【0022】
なお、図5に明確に示されるように、脚部10には、支脚12,12を突出状態(左右に開く方向)へと付勢する付勢体19が設けられている。本実施形態において、この付勢体19は、バネ部材で、具体的には回動軸16の外周に巻回装着されるコイルバネであり、各支脚12を回動軸16の先端へ向けて付勢している。そのため、回動軸16の各先端には、付勢される支脚12の回動軸16からの抜けを防止するために抜け止め部材17が設けられている。なお、付勢体19の付勢力は、付勢体19の付勢力に抗して支脚12,12を釣竿1に沿った位置或いはほぼ沿った位置に位置させた状態で釣竿1を地面に置いた時(例えば図1参照)に釣竿1の自重によって支脚12,12が釣竿1から突出される位置へと回動しないような大きさに設定される。
【0023】
また、本実施形態において、釣竿1は、竿杆に沿って添設される支脚12,12の倒伏(収納)状態(図3および図4に実線で示される位置)を保持する、すなわち、この倒伏(収納)状態からの支脚12,12の回動を規制する回動規制体としての係合部材20を備えている。この係合部材20は、ハンドル8の前方側であってリールシート7の前端近傍の元竿5に設けられており、図6に詳しく示されるように、元竿5の外周に嵌着固定される取付筒体20bと、取付筒体20bの両側に一体に形成される係合部としての逆U字形状の可撓性ホルダ部20aとから成る。可撓性ホルダ部20aは、下向きに開放する開口22と、凹状の保持部18とを有している。
【0024】
したがって、この構成では、突出状態にある支脚12,12は、図6に示されるように(二点鎖線および実線参照)、下方を向いたホルダ部20aの開口22を通じて下側からホルダ部20aの可撓性を利用して保持部18内に嵌め込まれる(押し込まれる)ことにより、元竿5の左右側面に沿って添設される(突出状態から折り畳まれる)収納状態に保持される(図4および図6の実線参照)。このような収納は、釣竿1(リール9)を握持する手100もしくはリール9を手で握持しながらもう一方の手で行なうことができる。一方、支脚12,12のこの収納状態から突出状態への移行は、係合部材20の弾性的な係合作用と前述した付勢体19による付勢作用とによってスムーズに行なわれる。すなわち、図3に示されるように、収納状態にある支脚12,12の先端を、釣竿1を握持する手100の例えば親指100aで下向きに押圧すると、可撓性を有するホルダ部20aが拡径し、係合部材20に対する支脚12,12の係合状態が解除される。このとき、解除された支脚12,12は、付勢体19の付勢作用によって自動的に左右に開いて立ち上がった状態に突出する。なお、リールを握持する手100の指100aによるこのような支脚12,12の回動規制(収納状態)の容易な解除は、リールを握持する手100が収納状態の支脚12,12に届くように釣竿1に脚部10を設けたこと、すなわち、係合部材20がハンドル8の前方側であってリールシート7の前端近傍の元竿5に設けられているために実現できるものである。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の釣竿1によれば、釣竿1を支持するための少なくとも一対の支脚12,12が回動可能に取り付けられて成り、支脚12,12が、釣竿1から突出される位置と、釣竿1に沿った位置との間で回動できるとともに、付勢体19によって釣竿1から突出される位置へ向けて付勢されているため、魚の当たりを待つ時には、係合部材20との係合が解除された支脚12,12を図1に示されるべく付勢体19の付勢力に抗するように釣竿1にほぼ沿った位置に倒伏させることにより、支脚12,12を竿から突出させないようにする(図1では、突出方向に付勢された支脚12,12が地面50でつっかえている)ことができ、したがって、穂先2を下げて魚の当たりを待つことができる。すなわち、釣竿1の穂先2を下げて風の抵抗を受けないようにしたり、更には、穂先を水に浸けて釣糸6が水中51にある状態にして魚に警戒されないようにすることができる。このような釣竿1の設置形態は、付勢体19の付勢力に抗して支脚12,12を釣竿1に沿った位置或いはほぼ沿った位置に位置させた状態で釣竿1を地面に置いた時に釣竿1の自重によって支脚12,12が釣竿1から突出される位置へと回動しないようになっているからこそ実現できるものである。
【0026】
一方、図1の状態から魚の当たりがあって釣竿1を持ち上げると、支脚12,12が地面50との拘束を解かれて付勢体19の付勢力により釣竿1から突出される位置へ向けて左右に開いて立ち上がるため、穂先2を持ち上げた状態に簡単に置き直すことができる。すなわち、小さな魚の当たりがあった時に、ゆっくりと穂先2を持ち上げて釣糸6と穂先2の動きが見えるようにした状態で待機し、魚が十分に餌を食い込んで大きな魚の当たりが確認された段階でその当たりに合わせるといった一連の操作を容易に行なうことができる。なお、図1および図2に示されるようにリール9を下向きにした場合には、釣竿1をバランス良く支持することができ、釣竿1を持ち上げたその態勢でそのままリール9の巻き取り操作を行なうことができ好都合である。
【0027】
また、本実施形態では、自立構造を実現するための脚部10が釣竿1に突設されているため、装着の手間がかからない操作性の良好な釣竿自立作業操作が実現可能になるとともに、釣竿1の元部を地面50に置いたときに脚部10が穂先側を立ち上げた状態で釣竿を支持するようになっているため、脚部が釣りの邪魔にならず、また、釣竿1を傷付けずに地面に設置することが可能になる。また、脚部10が釣竿1の重心Gの位置よりも穂先2側に設けられているため、釣竿1の元部を地面50に置いたときに、穂先2側を立ち上げた状態で釣竿を安定して地面に設置することができ、釣竿1の倒れを防止することができる。更に、支脚12,12を釣竿1の竿杆(元竿5)の左右側面に沿って添設させることができるため、その添設状態では、支脚12,12が実釣時の釣竿1の撓りを邪魔せず、また、キャスティングなど釣りを行なっている最中に支脚12,12が邪魔になることもない。
【0028】
図7および図8は本発明の第2の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、回動規制体としての係合部材20Aが釣竿1側ではなく脚部10側に設けられている。具体的には、本実施形態の係合部材20Aは、支脚12,12の先端部に設けられており、支脚12,12の外周に嵌着固定される取付筒体25と、取付筒体25の片側に一体に形成される係合部としての略U字形状の可撓性ホルダ部23とから成る。可撓性ホルダ部23は、上向きに開放する開口26と、凹状の保持部24とを有している。
【0029】
したがって、このような構成では、突出状態にある支脚12,12は、図8に示されるように(二点鎖線および実線参照)、ホルダ部23の可撓性を利用して保持部24内に元竿5が嵌め込まれる(押し込まれる)ように釣竿1の下側からホルダ部23を元竿5の外周に嵌め付けることにより、元竿5の左右側面に沿って添設される(突出状態から折り畳まれる)収納状態に保持される(図7の実線参照)。つまり、脚部10に設けられた係合部材20Aは、リールシート7の前端近傍で釣竿1に係合される。したがって、第1の実施形態と同様、支脚12,12の回動規制(収納状態)を手の指によって容易に解除できる。
【0030】
図9および図10は本発明の第3の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、支脚12,12の収納状態からの回動を規制する回動規制体が脚部10の基体である釣竿装着部14に設けられている。また、特に、本実施形態では、支脚12,12の突出状態を保持する、すなわち、所定の突出位置からの支脚12,12の更なる突出回動を規制する第2の回動規制体も釣竿装着部14に設けられている。具体的には、支脚12,12の収納状態からの回動を規制する第1の回動規制体は、釣竿装着部14の下側挟持体13から下方に延びる延出部39の両側で左右に向けて突出する係合突部32によって形成される。この係合突部32は、収納状態の支脚12,12を下側から支持してその収納状態を保持する(図9の二点鎖線参照)。一方、支脚12,12の突出状態を保持する第2の回動規制体は、釣竿装着部14の下側挟持体13に設けられ且つ支脚12,12の所定の突出位置で支脚12,12と当接する当接面30として形成される。突出状態の支脚12,12は、当接面30がストッパとなって回動を阻止し、支脚12,12の突出状態が維持されるようになっている。なお、本実施形態において、支脚12,12は、係合突部32を乗り越えて収納状態と突出状態との間で移行するようになっている。そのため、係合突部32が弾性変形可能に形成され、あるいは、付勢体19の付勢力に抗して支脚12,12が偏移することにより係合突部32を乗り越えても良い。なお、本構成では、回動規制体(係合突部32)による回動規制を解除できる操作体(図示せず)を基体である釣竿装着部14に設けても良い。
【0031】
図11および図12は本発明の第4の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、第1の実施形態と同様に支脚12,12の収納状態からの回動を規制する回動規制体が係合部材20Bとして釣竿1側に設けられるとともに、回動規制体(係合部材20B)による回動規制をそのスイッチ操作によって解除できるようになっている。
【0032】
具体的には、係合部材20Bは、ハンドル8の前方側であってリールシート7の前端近傍の元竿5に設けられており、図12に明確に示されるように、元竿5の外周に嵌着固定される取付筒体41と、取付筒体41の下側に一体に突設された突設部59に設けられる係脱機構とによって構成される。前記係脱機構は、突設部59に形成された軸孔57(釣竿1の長手方向に延びている)内で進退可能な係合突部42と、軸孔57内に設けられ且つ係合突部42を軸孔57から突出させる方向(係合突部42を支脚12,12と係合させる方向)に付勢する付勢部材(本実施形態では、バネ)45と、係合突部42からこれに対して直交する方向に延出形成され且つ突設部59の下面に形成された長溝59aを通じて外部(下方)に突出する操作体としてのスイッチ43とを含んでいる。
【0033】
したがって、この構成では、図示のように係合突部42によって収納状態の支脚12,12を下側から支持してその収納状態を保持することができる。一方、図12に矢印で示されるようにリール9を握持した手100の例えば人差し指100bでスイッチ43を後方に引き寄せると、係合突部42と支脚12,12との係合状態を解除することができ、解除された支脚12,12は、第1の実施形態と同様、付勢体19の付勢作用により自動的に左右に開いて突出する。なお、スイッチ43は、スライド式の他、押しボタン式としても良く、また、リールシート7のリール装着側(下側)の他、リール装着側と反対の側(上側)に設けても良く、本実施形態に限定されない。
【0034】
図13ないし図16は本発明の第5の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、脚部12,12の配置形態が第1の実施形態と逆になっており、図13および図14に示されるようにリール9を上向きにした状態で釣竿1を支持できるようになっている。すなわち、第1の実施形態では、支脚12,12が釣竿1に沿った位置から釣竿1の釣糸ガイド3側(リール9側)で回動するようになっていたが、本実施形態では、支脚12,12が釣竿1に沿った位置から釣竿1の釣糸ガイド3側(リール9側)と反対側で回動するように脚部10が釣竿1に対して設けられている。具体的には、本実施形態の脚部10は、その釣竿装着部14が第1の実施形態の取り付け方向に対して180°回転された方向で釣竿1に装着されており、その構造自体は第1の実施形態と同じである。
【0035】
一方、本実施形態では、支脚12,12を釣竿1に沿った位置に保持するための回動規制体の構成が第1の実施形態と異なる。すなわち、本実施形態の回動規制体は係合部材20Cとして釣竿1側に設けられるとともに、回動規制体(係合部材20C)による回動規制をスライドカバー操作体82によって解除できるようになっている。
【0036】
具体的には、係合部材20Cは、ハンドル8の前方側であってリールシート7の前端近傍の元竿5に設けられており、図16に明確に示されるように、元竿5の外周に嵌着固定される取付筒体81と、取付筒体81の上側に一体に突設された突設部89に設けられる係脱機構とによって構成される。前記係脱機構は、突設部89に形成された軸孔87(釣竿1の長手方向に延びている)内で進退可能な軸部82aを有する円筒状のスライドカバー操作体82と、軸孔87内に設けられ且つ軸部82aを軸孔87から突出させる方向(カバー操作体82を支脚12,12と係合させる方向)に付勢する付勢部材(本実施形態では、バネ)85とを含んでいる。なお、スライドカバー操作体82の内孔82bは、支脚12,12を受け入れ挿入できる内径に設定されている。
【0037】
したがって、この構成では、図15および図16に示されるようにスライドカバー操作体82によって支脚12,12を上側から支持してその収納状態を保持することができる(図15の実線および図16の二点鎖線参照)。すなわち、例えばリール(スピニングリール)9を下向きにした通常の釣り態勢(図15および図16参照)では、付勢体19の付勢力により支脚12,12が(釣竿1から突出される位置へ向けて)上向きに回動しようとするが、その回動は、支脚12,12がスライドカバー操作体82の内孔82b内に挿入されて係合されることにより阻止される。すなわち、釣竿1に沿った支脚12,12の収納状態が保持される。一方、図16に矢印で示されるようにリール9を握持した手100の例えば親指100cでスライドカバー操作体82を後方(釣竿の軸方向)に引き寄せると、スライドカバー操作体82と支脚12,12との係合状態を解除することができ、解除された支脚12,12は、付勢体19の付勢作用により自動的に回動し左右に開いて突出する(図15および図16の釣り態勢では、支脚12,12が上向きに回動する)。この時、支脚12,12のそれぞれの先端は、釣竿1に沿った位置にある時よりも釣竿1の左右に距離をおいて(開いて)位置するため、釣竿1を安定して支持できる。なお、スライドカバー操作体82の取り付け位置は、リールを把持する手の指で操作できる位置であることが好ましいが、そのような位置に設置されていない場合にはスライドカバー操作体82を他方の手で操作すれば良い。
【0038】
以上のように、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、魚の当たりを待つ時には、係合部材20Cとの係合が解除された支脚12,12を図13に示されるべく付勢体19の付勢力に抗するように釣竿1にほぼ沿った位置に倒伏させることにより、支脚12,12を竿から突出させないようにする(図13では、突出方向に付勢された支脚12,12が地面50でつっかえている)ことができ、したがって、穂先2を下げて魚の当たりを待つことができる。すなわち、釣竿1の穂先2を下げて風の抵抗を受けないようにしたり、更には、穂先を水に浸けて釣糸6が水中51にある状態にして魚に警戒されないようにすることができる。このような釣竿1の設置形態も、付勢体19の付勢力に抗して支脚12,12を釣竿1に沿った位置或いはほぼ沿った位置に位置させた状態で釣竿1を地面に置いた時に釣竿1の自重によって支脚12,12が釣竿1から突出される位置へと回動しないようになっているからこそ実現できるものである。一方、図13の状態から魚の当たりがあって釣竿1を持ち上げると、支脚12,12が地面50との拘束を解かれて付勢体19の付勢力により釣竿1から突出される位置へ向けて左右に開いて立ち上がるため、穂先2を持ち上げた状態に簡単に置き直すことができる。すなわち、小さな魚の当たりがあった時に、ゆっくりと穂先2を持ち上げて釣糸6と穂先2の動きが見えるようにした状態で待機し、魚が十分に餌を食い込んで大きな当たりが確認された段階でその当たりに合わせるといった一連の操作を容易に行なうことができる。なお、本実施形態のように、リール9を上向きにした状態で脚部10により釣竿1を支持できるようになっていると、魚の当たりが分かり易い。すなわち、釣糸6の動きやリールのスプールの逆転などの変化によって魚の当たりを容易に認識できる。また、リール操作に不慣れな初心者等は、リールのハンドル位置などを目で確認してから操作できるため都合が良い。
【0039】
図17ないし図19は本発明の第6の実施形態を示している。図示のように、本実施形態は、前述した実施形態よりも脚部構造が更に簡略化された実施形態を示している。本実施形態の釣竿1Aは、振り出し式の延べ竿(外ガイドが無い)であり、穂先2と、中間竿4A,4Bと、元竿5とから成る。簡略的な構造を有する脚部10Aは、筒状の基体14Aと、基体14Aに対して回動可能に取り付けられる左右一対の支脚12,12とを有している。なお、この釣竿1Aはリールシートを有しておらず、このようにリールを取り付けない釣竿においても本発明を実施することができる。
【0040】
具体的には、基体14Aは、元竿5の先端側に取り付け固定されており、左右に突出する回動軸16を有する。左右それぞれの回動軸16には、回動可能な支脚12,12が抜け止め(回動軸16の先端が大径になっているため、支脚12,12が抜け止めされる)されて支持されている(図19には、支脚12,12の収納状態が二点鎖線で、突出状態が実線でそれぞれ示されている)。基体14Aと支脚12,12とにはそれぞれ、支脚12,12の突出状態と収納状態とをそれぞれ保持する回動規制体としての凹凸部63a,63bが設けられている。本実施形態では、例えば、突出位置および収納位置のそれぞれに対応して基体14Aの左右の両側面に凸部63aが設けられ、また、基体14Aの側面と対向する支脚12の側面部位に凸部63aと係脱自在に係合可能な凹部63bが設けられる。
【0041】
なお、凹凸部63a,63bの係脱は、それが形成される材料の可撓性によってなされることが好ましい。なお、回動軸16は、前述した各実施形態と同様、その先端(中心軸)が元竿の後端を向くように傾斜して設けられており、したがって、支脚12,12を突出させると支脚12,12が左右に開き、一方、支脚12,12を収納すると該支脚が釣竿1に沿うようになる。また、本実施形態では、釣竿1の元部を地面50に置いたときに釣竿1が安定して転がらないように、脚部10Aが突出する側に対応する元部、例えば元竿5の手元端に取り付けられる尻栓60の側面部位に、平面状の接地部60aが形成されている。
【0042】
また、脚部10Aには、支脚12,12を突出状態(左右に開く方向)へと付勢する付勢体19Aが設けられている。本実施形態において、この付勢体19Aは、バネ部材で、具体的には回動軸16の外周に巻回装着されるコイルバネであり、各支脚12を回動軸16の先端へ向けて付勢している。
【0043】
このような構成でも、第1の実施形態と同様、魚の当たりを待つ時には、凹凸部63a,63bの係合が解除された支脚12,12を図17に示されるべく付勢体19Aの付勢力に抗するように釣竿1にほぼ沿った位置に倒伏させることにより、支脚12,12を竿から突出させないようにする(図17では、突出方向に付勢された支脚12,12が地面50でつっかえている)ことができ、したがって、穂先2を下げて魚の当たりを待つことができる。一方、図17の状態から魚の当たりがあって釣竿1を持ち上げると、支脚12,12が地面50との拘束を解かれて付勢体19Aの付勢力により釣竿1から突出される位置へ向けて左右に開いて立ち上がるため、穂先2を持ち上げた状態に簡単に置き直すことができる。すなわち、小さな魚の当たりがあった時に、ゆっくりと穂先2を持ち上げて釣糸6と穂先2の動きが見えるようにした状態で待機し、魚が十分に餌を食い込んで大きな魚の当たりが確認された段階でその当たりに合わせるといった一連の操作を容易に行なうことができる。
【0044】
以上、本発明の様々な実施形態を説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは言うまでもない。例えば、係合部材、脚部の形状は前述した実施形態のそれに限定されず、他の形状を有することができる。また、支脚は2本(一対)に限らず、3本以上であっても良く、1個(1本)で形成しても良い。また、支脚は、先端が元部側を向いて収納されるように回動する構成に限定されず、例えば穂先側を向いて収納されるように回動する構成でも良い。
【符号の説明】
【0045】
1 釣竿
2 穂先
7 リール取り付け部
10,10A 脚部
12 支脚
14 釣竿装着部(基体)
19,19A 付勢体
20,20A,20B,20C 係合部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿に関し、特に釣竿を支持する支脚を備える釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、釣り人は、釣りの最中に釣竿から手を離して釣り或いは釣りとは別の作業を行なうときなどにあっては、釣竿を竿掛けに係止させたり、あるいは、釣竿を地面に置くなどしている。
【0003】
しかしながら、釣り場に竿掛けを持参すると、装備が大掛かりになり易く、一方、竿掛けを使用することなく釣竿を地面に載置すると、釣竿に傷が付いてしまったり、誤って釣竿を足で踏み付けてしまう虞もある。
【0004】
そのため、従来においては、簡単な装備で釣りを行なうことができ、釣竿を地面に置いても傷が付かないように、クリップ等を用いて釣竿にワンタッチで装着されて釣竿を支持できる竿立てが提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、釣竿に取り付けるための切り欠きを有する筒状体に脚立部材(支脚)を取り付けて成る釣竿用竿立て器が開示されている。また、特許文献2には、クリップによって釣竿を挟持して支持する竿立てが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平4−82967号
【特許文献2】実開平5−7078号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような竿立てを用いて釣りを行なうと、釣竿の穂先側が持ち上がった状態になるため、釣竿の穂先から延びる釣糸が宙に浮いた状態になる。したがって、風がある時には、釣糸が風で引かれてしまい、魚が警戒してしまうという問題がある。
【0008】
また、実際の釣りにおいては、魚の当たりを待つ際に、釣竿の穂先を下げて風の抵抗を受けないようにしたり、更には、穂先を水に浸けて釣糸が水中にある状態にして魚に警戒されないようにすることが行なわれており、また、その場合、小さな魚の当たりがあった時に、ゆっくりと穂先を持ち上げて釣糸と穂先の動きが見えるようにした状態で待機し、魚が十分に餌を食い込んで大きな当たりが確認された段階でその当たりに合わせるといった一連の操作が行なわれるが、前述した各特許文献では、竿立てによって釣竿の穂先側が持ち上がった状態で維持されてしまうため、このような一連の操作を行なうことが難しかった。
【0009】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、魚の当たりを待つ時には竿を支持する支脚を竿から突出させないようにすることができ、したがって、穂先を下げて魚の当たりを待つことができ、一方、魚の当たりがあった時に竿を持ち上げると支脚によって穂先を持ち上げた状態に簡単に置き直すことができる釣竿を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の釣竿は、釣竿を支持するための支脚が回動可能に取り付けられて成り、前記支脚は、釣竿から突出される位置と、釣竿に沿った位置との間で回動できるとともに、付勢体によって釣竿から突出される位置へ向けて付勢されていることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、魚の当たりを待つ時には、付勢体の付勢力に抗するように支脚を釣竿に沿った位置に位置させることにより、支脚を竿から突出させないようにすることができ、したがって、穂先を下げて魚の当たりを待つことができ、一方、魚の当たりがあった時に竿を持ち上げると、付勢体によって釣竿から突出される位置へ向けて付勢される支脚により穂先を持ち上げた状態に簡単に置き直すことができる。この場合、付勢体の付勢力に抗して支脚を釣竿に沿った位置に位置させた状態で釣竿を地面に置いた時には、釣竿の自重によって支脚が釣竿から突出される位置へと回動しないことが好ましい。また、この場合、支脚は、少なくとも一対の支脚から成り、釣竿から突出される位置では、釣竿に沿った位置にあるときよりもその先端側が釣竿の左右に広がることが好ましい。
【0012】
また、上記構成では、支脚を釣竿に沿った位置で保持する回動規制体が設けられても良い。この場合、回動規制体は、釣竿に設けられて支脚と係合する係合部材であっても良く、あるいは、支脚に設けられて釣竿と係合する係合部材であっても良い。係合部材が釣竿に設けられる場合、係合部材は釣竿のリール取り付け部の近傍に設けられることが好ましい。また、支脚が基体に回動可能に支持され、前記基体に回動規制体が設けられても良い。
【0013】
また、上記構成では、回動規制体の規制を解除する操作体が前記係合部材または前記基体に設けられても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、魚の当たりを待つ時には竿を支持する支脚を竿から突出させないようにすることができ、したがって、穂先を下げて魚の当たりを待つことができ、一方、魚の当たりがあった時に竿を持ち上げると支脚によって穂先を持ち上げた状態に簡単に置き直すことができる釣竿を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】付勢体の付勢力に抗して支脚を釣竿に沿った位置に位置させて地面に沿わせて置いた状態の本発明の第1の実施形態に係る釣竿の全体側面図である。
【図2】図1の釣竿の支脚を突出させた状態で該釣竿を地面に置いた状態を示す側面図である。
【図3】図1の釣竿の脚部およびその近傍の拡大側面図である。
【図4】図3の脚部の拡大平面図である。
【図5】図1の釣竿の脚部の拡大断面図である。
【図6】図1の釣竿の係合部材の拡大断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る釣竿の脚部および係合部材の拡大平面図である。
【図8】図7の係合部材の拡大断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る釣竿の脚部の拡大側面図である。
【図10】図9の脚部を釣竿の元部側から見た拡大背面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る釣竿の脚部および係合部材の拡大側面図である。
【図12】図11の係合部材の断面を含む拡大側面図である。
【図13】付勢体の付勢力に抗して支脚を釣竿に沿った位置に位置させて地面に沿わせて置いた状態の本発明の第5の実施形態に係る釣竿の全体側面図である。
【図14】図13の釣竿の支脚を突出させた状態で該釣竿を地面に置いた状態を示す側面図である。
【図15】図13の釣竿の脚部およびその近傍の拡大側面図である。
【図16】図13の釣竿の係合部材の拡大断面図である。
【図17】付勢体の付勢力に抗して支脚を釣竿に沿った位置に位置させて地面に沿わせて置いた状態の本発明の第6の実施形態に係る釣竿の全体側面図である。
【図18】図17の釣竿の支脚を突出させた状態で該釣竿を地面に置いた状態を示す側面図である。
【図19】図17の釣竿の脚部の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る釣竿の実施形態について説明する。
【0017】
図1ないし図6は本発明の第1の実施形態を示している。図1に示されるように、本実施形態の釣竿1は、例えば磯や防波堤で使用される外ガイド付きの振り出し竿であり、穂先側の複数の竿杆が元竿側の竿杆内に順次収納可能に形成されている。具体的には、釣竿1は、穂先2を有する先竿(竿杆)4と、元竿(竿杆)5とから成っており、これらの竿杆にはそれぞれ穂先も含めて必要な数の釣糸ガイド3が設けられている。また、元竿5には釣用リール9を装着可能なリールシート(リール取り付け部)7が設けられており、その後端側には握持部としてのハンドル8が設けられている。
【0018】
また、図1および図2に示されるように、元竿5の中程には、釣竿1の自立構造を実現するための脚部10が設けられている。この脚部10は釣竿1の外方に突設されており、釣竿1の元部(本実施形態では、ハンドル8の手元側端部)を地面50に置いたときにこの脚部10によって釣竿1の穂先2側を立ち上げて支持することが可能になっている(図2参照)。具体的に、脚部10は、元竿(竿杆)5に一体的に固定される基体としての釣竿装着部14と、釣竿装着部14に回動可能に支持される一対の支脚12,12とから成り、支脚12,12は、一対で一組の支脚を形成し、以下で詳しく説明するように、釣竿1の竿杆から外方へ突出される位置(図2の位置;突出状態)と、竿杆に沿って添設される(釣竿に沿った)位置(図1に実線で示される位置;倒伏状態または収納状態)との間で回動できるようになっている。なお、脚部10は、リールシート7にリール9を取り付けて支脚12,12を立ち上げた突出状態としたときは、リール9が地面50に接地されないように且つリール9から延びる釣糸6が一対の支脚12,12間を通過するように釣竿1を支持する。なお、支脚12,12は、釣竿1を支持できる突出される位置よりも釣竿の長手方向に延設方向が近づいて通常の釣竿の使用を邪魔しない程度であれば釣竿1に沿った位置とする。
【0019】
また、本実施形態において、脚部10は、釣竿1(釣りができるように釣竿1を伸ばした状態)の重心Gの位置(リール9などが装着されていない釣竿1単体での重心位置;図2参照)よりも穂先2側に設けられる。これにより、釣竿1の元部を地面に置いたときに、脚部10の先端部が地面に当接して釣竿1を支持することによって釣竿1の穂先2側を立ち上げた状態で支持することができる。つまり、脚部10の設置位置を釣竿1の重心Gの位置よりも穂先2側にすることにより、釣竿1をそのまま地面50に載置しても、釣竿1を安定して支持することができ、更に、リールシート7にリール9等を取り付ければ、その重さによって釣竿1の重心Gの位置が釣竿1の元部側へと更に移行するため、釣竿1を更に安定して支持することが可能になる。なお、脚部10を釣竿1の重心Gよりも元部側に設けても良く、このようにした時は、釣竿1を地面に置いた時に、より穂先を下げやすくなる。
【0020】
図3ないし図5に示されるように、脚部10の釣竿装着部14は、元竿5を上下から挟み込むことにより釣竿1に一体に取り付いている。具体的には、釣竿装着部14は、上側挟持体11と下側挟持体13とから成り、上側挟持体11と下側挟持体13との間で元竿5が挟持される。上側挟持体11および下側挟持体13の挟持状態は、これらの挟持体11,13をネジ部材15によって互いに結合することにより、あるいは、挟持体11,13同士を接着結合することにより保持される。これにより、脚部10全体が竿杆の長手方向へ移動することなく且つ竿杆に対して回動することなく釣竿1に一体的に固定される。
【0021】
脚部10の基体としての釣竿装着部14から延びる支脚12,12は、左右一対形成されており、下側挟持体13と一体に形成されて左右に延びる回動軸16に対して回動可能に枢着されている(図5参照)。この場合、回動軸16は、その中心軸O(および、その先端)が上方(図5参照)および後方(図4参照)を向くように傾斜している。したがって、一対の支脚12,12は、図4に示される収納状態から図2に示される状態へと突出すると、図4に矢印で示されるようにその先端が互いに離れるようにそれぞれ左右方向に開き(支脚12,12の先端は、収納(倒伏)状態よりも突出状態の方が左右に広がる)、逆に収納状態へと回動すると、釣竿の左右側面に沿うようになる。
【0022】
なお、図5に明確に示されるように、脚部10には、支脚12,12を突出状態(左右に開く方向)へと付勢する付勢体19が設けられている。本実施形態において、この付勢体19は、バネ部材で、具体的には回動軸16の外周に巻回装着されるコイルバネであり、各支脚12を回動軸16の先端へ向けて付勢している。そのため、回動軸16の各先端には、付勢される支脚12の回動軸16からの抜けを防止するために抜け止め部材17が設けられている。なお、付勢体19の付勢力は、付勢体19の付勢力に抗して支脚12,12を釣竿1に沿った位置或いはほぼ沿った位置に位置させた状態で釣竿1を地面に置いた時(例えば図1参照)に釣竿1の自重によって支脚12,12が釣竿1から突出される位置へと回動しないような大きさに設定される。
【0023】
また、本実施形態において、釣竿1は、竿杆に沿って添設される支脚12,12の倒伏(収納)状態(図3および図4に実線で示される位置)を保持する、すなわち、この倒伏(収納)状態からの支脚12,12の回動を規制する回動規制体としての係合部材20を備えている。この係合部材20は、ハンドル8の前方側であってリールシート7の前端近傍の元竿5に設けられており、図6に詳しく示されるように、元竿5の外周に嵌着固定される取付筒体20bと、取付筒体20bの両側に一体に形成される係合部としての逆U字形状の可撓性ホルダ部20aとから成る。可撓性ホルダ部20aは、下向きに開放する開口22と、凹状の保持部18とを有している。
【0024】
したがって、この構成では、突出状態にある支脚12,12は、図6に示されるように(二点鎖線および実線参照)、下方を向いたホルダ部20aの開口22を通じて下側からホルダ部20aの可撓性を利用して保持部18内に嵌め込まれる(押し込まれる)ことにより、元竿5の左右側面に沿って添設される(突出状態から折り畳まれる)収納状態に保持される(図4および図6の実線参照)。このような収納は、釣竿1(リール9)を握持する手100もしくはリール9を手で握持しながらもう一方の手で行なうことができる。一方、支脚12,12のこの収納状態から突出状態への移行は、係合部材20の弾性的な係合作用と前述した付勢体19による付勢作用とによってスムーズに行なわれる。すなわち、図3に示されるように、収納状態にある支脚12,12の先端を、釣竿1を握持する手100の例えば親指100aで下向きに押圧すると、可撓性を有するホルダ部20aが拡径し、係合部材20に対する支脚12,12の係合状態が解除される。このとき、解除された支脚12,12は、付勢体19の付勢作用によって自動的に左右に開いて立ち上がった状態に突出する。なお、リールを握持する手100の指100aによるこのような支脚12,12の回動規制(収納状態)の容易な解除は、リールを握持する手100が収納状態の支脚12,12に届くように釣竿1に脚部10を設けたこと、すなわち、係合部材20がハンドル8の前方側であってリールシート7の前端近傍の元竿5に設けられているために実現できるものである。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の釣竿1によれば、釣竿1を支持するための少なくとも一対の支脚12,12が回動可能に取り付けられて成り、支脚12,12が、釣竿1から突出される位置と、釣竿1に沿った位置との間で回動できるとともに、付勢体19によって釣竿1から突出される位置へ向けて付勢されているため、魚の当たりを待つ時には、係合部材20との係合が解除された支脚12,12を図1に示されるべく付勢体19の付勢力に抗するように釣竿1にほぼ沿った位置に倒伏させることにより、支脚12,12を竿から突出させないようにする(図1では、突出方向に付勢された支脚12,12が地面50でつっかえている)ことができ、したがって、穂先2を下げて魚の当たりを待つことができる。すなわち、釣竿1の穂先2を下げて風の抵抗を受けないようにしたり、更には、穂先を水に浸けて釣糸6が水中51にある状態にして魚に警戒されないようにすることができる。このような釣竿1の設置形態は、付勢体19の付勢力に抗して支脚12,12を釣竿1に沿った位置或いはほぼ沿った位置に位置させた状態で釣竿1を地面に置いた時に釣竿1の自重によって支脚12,12が釣竿1から突出される位置へと回動しないようになっているからこそ実現できるものである。
【0026】
一方、図1の状態から魚の当たりがあって釣竿1を持ち上げると、支脚12,12が地面50との拘束を解かれて付勢体19の付勢力により釣竿1から突出される位置へ向けて左右に開いて立ち上がるため、穂先2を持ち上げた状態に簡単に置き直すことができる。すなわち、小さな魚の当たりがあった時に、ゆっくりと穂先2を持ち上げて釣糸6と穂先2の動きが見えるようにした状態で待機し、魚が十分に餌を食い込んで大きな魚の当たりが確認された段階でその当たりに合わせるといった一連の操作を容易に行なうことができる。なお、図1および図2に示されるようにリール9を下向きにした場合には、釣竿1をバランス良く支持することができ、釣竿1を持ち上げたその態勢でそのままリール9の巻き取り操作を行なうことができ好都合である。
【0027】
また、本実施形態では、自立構造を実現するための脚部10が釣竿1に突設されているため、装着の手間がかからない操作性の良好な釣竿自立作業操作が実現可能になるとともに、釣竿1の元部を地面50に置いたときに脚部10が穂先側を立ち上げた状態で釣竿を支持するようになっているため、脚部が釣りの邪魔にならず、また、釣竿1を傷付けずに地面に設置することが可能になる。また、脚部10が釣竿1の重心Gの位置よりも穂先2側に設けられているため、釣竿1の元部を地面50に置いたときに、穂先2側を立ち上げた状態で釣竿を安定して地面に設置することができ、釣竿1の倒れを防止することができる。更に、支脚12,12を釣竿1の竿杆(元竿5)の左右側面に沿って添設させることができるため、その添設状態では、支脚12,12が実釣時の釣竿1の撓りを邪魔せず、また、キャスティングなど釣りを行なっている最中に支脚12,12が邪魔になることもない。
【0028】
図7および図8は本発明の第2の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、回動規制体としての係合部材20Aが釣竿1側ではなく脚部10側に設けられている。具体的には、本実施形態の係合部材20Aは、支脚12,12の先端部に設けられており、支脚12,12の外周に嵌着固定される取付筒体25と、取付筒体25の片側に一体に形成される係合部としての略U字形状の可撓性ホルダ部23とから成る。可撓性ホルダ部23は、上向きに開放する開口26と、凹状の保持部24とを有している。
【0029】
したがって、このような構成では、突出状態にある支脚12,12は、図8に示されるように(二点鎖線および実線参照)、ホルダ部23の可撓性を利用して保持部24内に元竿5が嵌め込まれる(押し込まれる)ように釣竿1の下側からホルダ部23を元竿5の外周に嵌め付けることにより、元竿5の左右側面に沿って添設される(突出状態から折り畳まれる)収納状態に保持される(図7の実線参照)。つまり、脚部10に設けられた係合部材20Aは、リールシート7の前端近傍で釣竿1に係合される。したがって、第1の実施形態と同様、支脚12,12の回動規制(収納状態)を手の指によって容易に解除できる。
【0030】
図9および図10は本発明の第3の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、支脚12,12の収納状態からの回動を規制する回動規制体が脚部10の基体である釣竿装着部14に設けられている。また、特に、本実施形態では、支脚12,12の突出状態を保持する、すなわち、所定の突出位置からの支脚12,12の更なる突出回動を規制する第2の回動規制体も釣竿装着部14に設けられている。具体的には、支脚12,12の収納状態からの回動を規制する第1の回動規制体は、釣竿装着部14の下側挟持体13から下方に延びる延出部39の両側で左右に向けて突出する係合突部32によって形成される。この係合突部32は、収納状態の支脚12,12を下側から支持してその収納状態を保持する(図9の二点鎖線参照)。一方、支脚12,12の突出状態を保持する第2の回動規制体は、釣竿装着部14の下側挟持体13に設けられ且つ支脚12,12の所定の突出位置で支脚12,12と当接する当接面30として形成される。突出状態の支脚12,12は、当接面30がストッパとなって回動を阻止し、支脚12,12の突出状態が維持されるようになっている。なお、本実施形態において、支脚12,12は、係合突部32を乗り越えて収納状態と突出状態との間で移行するようになっている。そのため、係合突部32が弾性変形可能に形成され、あるいは、付勢体19の付勢力に抗して支脚12,12が偏移することにより係合突部32を乗り越えても良い。なお、本構成では、回動規制体(係合突部32)による回動規制を解除できる操作体(図示せず)を基体である釣竿装着部14に設けても良い。
【0031】
図11および図12は本発明の第4の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、第1の実施形態と同様に支脚12,12の収納状態からの回動を規制する回動規制体が係合部材20Bとして釣竿1側に設けられるとともに、回動規制体(係合部材20B)による回動規制をそのスイッチ操作によって解除できるようになっている。
【0032】
具体的には、係合部材20Bは、ハンドル8の前方側であってリールシート7の前端近傍の元竿5に設けられており、図12に明確に示されるように、元竿5の外周に嵌着固定される取付筒体41と、取付筒体41の下側に一体に突設された突設部59に設けられる係脱機構とによって構成される。前記係脱機構は、突設部59に形成された軸孔57(釣竿1の長手方向に延びている)内で進退可能な係合突部42と、軸孔57内に設けられ且つ係合突部42を軸孔57から突出させる方向(係合突部42を支脚12,12と係合させる方向)に付勢する付勢部材(本実施形態では、バネ)45と、係合突部42からこれに対して直交する方向に延出形成され且つ突設部59の下面に形成された長溝59aを通じて外部(下方)に突出する操作体としてのスイッチ43とを含んでいる。
【0033】
したがって、この構成では、図示のように係合突部42によって収納状態の支脚12,12を下側から支持してその収納状態を保持することができる。一方、図12に矢印で示されるようにリール9を握持した手100の例えば人差し指100bでスイッチ43を後方に引き寄せると、係合突部42と支脚12,12との係合状態を解除することができ、解除された支脚12,12は、第1の実施形態と同様、付勢体19の付勢作用により自動的に左右に開いて突出する。なお、スイッチ43は、スライド式の他、押しボタン式としても良く、また、リールシート7のリール装着側(下側)の他、リール装着側と反対の側(上側)に設けても良く、本実施形態に限定されない。
【0034】
図13ないし図16は本発明の第5の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、脚部12,12の配置形態が第1の実施形態と逆になっており、図13および図14に示されるようにリール9を上向きにした状態で釣竿1を支持できるようになっている。すなわち、第1の実施形態では、支脚12,12が釣竿1に沿った位置から釣竿1の釣糸ガイド3側(リール9側)で回動するようになっていたが、本実施形態では、支脚12,12が釣竿1に沿った位置から釣竿1の釣糸ガイド3側(リール9側)と反対側で回動するように脚部10が釣竿1に対して設けられている。具体的には、本実施形態の脚部10は、その釣竿装着部14が第1の実施形態の取り付け方向に対して180°回転された方向で釣竿1に装着されており、その構造自体は第1の実施形態と同じである。
【0035】
一方、本実施形態では、支脚12,12を釣竿1に沿った位置に保持するための回動規制体の構成が第1の実施形態と異なる。すなわち、本実施形態の回動規制体は係合部材20Cとして釣竿1側に設けられるとともに、回動規制体(係合部材20C)による回動規制をスライドカバー操作体82によって解除できるようになっている。
【0036】
具体的には、係合部材20Cは、ハンドル8の前方側であってリールシート7の前端近傍の元竿5に設けられており、図16に明確に示されるように、元竿5の外周に嵌着固定される取付筒体81と、取付筒体81の上側に一体に突設された突設部89に設けられる係脱機構とによって構成される。前記係脱機構は、突設部89に形成された軸孔87(釣竿1の長手方向に延びている)内で進退可能な軸部82aを有する円筒状のスライドカバー操作体82と、軸孔87内に設けられ且つ軸部82aを軸孔87から突出させる方向(カバー操作体82を支脚12,12と係合させる方向)に付勢する付勢部材(本実施形態では、バネ)85とを含んでいる。なお、スライドカバー操作体82の内孔82bは、支脚12,12を受け入れ挿入できる内径に設定されている。
【0037】
したがって、この構成では、図15および図16に示されるようにスライドカバー操作体82によって支脚12,12を上側から支持してその収納状態を保持することができる(図15の実線および図16の二点鎖線参照)。すなわち、例えばリール(スピニングリール)9を下向きにした通常の釣り態勢(図15および図16参照)では、付勢体19の付勢力により支脚12,12が(釣竿1から突出される位置へ向けて)上向きに回動しようとするが、その回動は、支脚12,12がスライドカバー操作体82の内孔82b内に挿入されて係合されることにより阻止される。すなわち、釣竿1に沿った支脚12,12の収納状態が保持される。一方、図16に矢印で示されるようにリール9を握持した手100の例えば親指100cでスライドカバー操作体82を後方(釣竿の軸方向)に引き寄せると、スライドカバー操作体82と支脚12,12との係合状態を解除することができ、解除された支脚12,12は、付勢体19の付勢作用により自動的に回動し左右に開いて突出する(図15および図16の釣り態勢では、支脚12,12が上向きに回動する)。この時、支脚12,12のそれぞれの先端は、釣竿1に沿った位置にある時よりも釣竿1の左右に距離をおいて(開いて)位置するため、釣竿1を安定して支持できる。なお、スライドカバー操作体82の取り付け位置は、リールを把持する手の指で操作できる位置であることが好ましいが、そのような位置に設置されていない場合にはスライドカバー操作体82を他方の手で操作すれば良い。
【0038】
以上のように、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、魚の当たりを待つ時には、係合部材20Cとの係合が解除された支脚12,12を図13に示されるべく付勢体19の付勢力に抗するように釣竿1にほぼ沿った位置に倒伏させることにより、支脚12,12を竿から突出させないようにする(図13では、突出方向に付勢された支脚12,12が地面50でつっかえている)ことができ、したがって、穂先2を下げて魚の当たりを待つことができる。すなわち、釣竿1の穂先2を下げて風の抵抗を受けないようにしたり、更には、穂先を水に浸けて釣糸6が水中51にある状態にして魚に警戒されないようにすることができる。このような釣竿1の設置形態も、付勢体19の付勢力に抗して支脚12,12を釣竿1に沿った位置或いはほぼ沿った位置に位置させた状態で釣竿1を地面に置いた時に釣竿1の自重によって支脚12,12が釣竿1から突出される位置へと回動しないようになっているからこそ実現できるものである。一方、図13の状態から魚の当たりがあって釣竿1を持ち上げると、支脚12,12が地面50との拘束を解かれて付勢体19の付勢力により釣竿1から突出される位置へ向けて左右に開いて立ち上がるため、穂先2を持ち上げた状態に簡単に置き直すことができる。すなわち、小さな魚の当たりがあった時に、ゆっくりと穂先2を持ち上げて釣糸6と穂先2の動きが見えるようにした状態で待機し、魚が十分に餌を食い込んで大きな当たりが確認された段階でその当たりに合わせるといった一連の操作を容易に行なうことができる。なお、本実施形態のように、リール9を上向きにした状態で脚部10により釣竿1を支持できるようになっていると、魚の当たりが分かり易い。すなわち、釣糸6の動きやリールのスプールの逆転などの変化によって魚の当たりを容易に認識できる。また、リール操作に不慣れな初心者等は、リールのハンドル位置などを目で確認してから操作できるため都合が良い。
【0039】
図17ないし図19は本発明の第6の実施形態を示している。図示のように、本実施形態は、前述した実施形態よりも脚部構造が更に簡略化された実施形態を示している。本実施形態の釣竿1Aは、振り出し式の延べ竿(外ガイドが無い)であり、穂先2と、中間竿4A,4Bと、元竿5とから成る。簡略的な構造を有する脚部10Aは、筒状の基体14Aと、基体14Aに対して回動可能に取り付けられる左右一対の支脚12,12とを有している。なお、この釣竿1Aはリールシートを有しておらず、このようにリールを取り付けない釣竿においても本発明を実施することができる。
【0040】
具体的には、基体14Aは、元竿5の先端側に取り付け固定されており、左右に突出する回動軸16を有する。左右それぞれの回動軸16には、回動可能な支脚12,12が抜け止め(回動軸16の先端が大径になっているため、支脚12,12が抜け止めされる)されて支持されている(図19には、支脚12,12の収納状態が二点鎖線で、突出状態が実線でそれぞれ示されている)。基体14Aと支脚12,12とにはそれぞれ、支脚12,12の突出状態と収納状態とをそれぞれ保持する回動規制体としての凹凸部63a,63bが設けられている。本実施形態では、例えば、突出位置および収納位置のそれぞれに対応して基体14Aの左右の両側面に凸部63aが設けられ、また、基体14Aの側面と対向する支脚12の側面部位に凸部63aと係脱自在に係合可能な凹部63bが設けられる。
【0041】
なお、凹凸部63a,63bの係脱は、それが形成される材料の可撓性によってなされることが好ましい。なお、回動軸16は、前述した各実施形態と同様、その先端(中心軸)が元竿の後端を向くように傾斜して設けられており、したがって、支脚12,12を突出させると支脚12,12が左右に開き、一方、支脚12,12を収納すると該支脚が釣竿1に沿うようになる。また、本実施形態では、釣竿1の元部を地面50に置いたときに釣竿1が安定して転がらないように、脚部10Aが突出する側に対応する元部、例えば元竿5の手元端に取り付けられる尻栓60の側面部位に、平面状の接地部60aが形成されている。
【0042】
また、脚部10Aには、支脚12,12を突出状態(左右に開く方向)へと付勢する付勢体19Aが設けられている。本実施形態において、この付勢体19Aは、バネ部材で、具体的には回動軸16の外周に巻回装着されるコイルバネであり、各支脚12を回動軸16の先端へ向けて付勢している。
【0043】
このような構成でも、第1の実施形態と同様、魚の当たりを待つ時には、凹凸部63a,63bの係合が解除された支脚12,12を図17に示されるべく付勢体19Aの付勢力に抗するように釣竿1にほぼ沿った位置に倒伏させることにより、支脚12,12を竿から突出させないようにする(図17では、突出方向に付勢された支脚12,12が地面50でつっかえている)ことができ、したがって、穂先2を下げて魚の当たりを待つことができる。一方、図17の状態から魚の当たりがあって釣竿1を持ち上げると、支脚12,12が地面50との拘束を解かれて付勢体19Aの付勢力により釣竿1から突出される位置へ向けて左右に開いて立ち上がるため、穂先2を持ち上げた状態に簡単に置き直すことができる。すなわち、小さな魚の当たりがあった時に、ゆっくりと穂先2を持ち上げて釣糸6と穂先2の動きが見えるようにした状態で待機し、魚が十分に餌を食い込んで大きな魚の当たりが確認された段階でその当たりに合わせるといった一連の操作を容易に行なうことができる。
【0044】
以上、本発明の様々な実施形態を説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは言うまでもない。例えば、係合部材、脚部の形状は前述した実施形態のそれに限定されず、他の形状を有することができる。また、支脚は2本(一対)に限らず、3本以上であっても良く、1個(1本)で形成しても良い。また、支脚は、先端が元部側を向いて収納されるように回動する構成に限定されず、例えば穂先側を向いて収納されるように回動する構成でも良い。
【符号の説明】
【0045】
1 釣竿
2 穂先
7 リール取り付け部
10,10A 脚部
12 支脚
14 釣竿装着部(基体)
19,19A 付勢体
20,20A,20B,20C 係合部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿を支持するための支脚が回動可能に取り付けられて成り、前記支脚は、釣竿から突出される位置と、釣竿に沿った位置との間で回動できるとともに、付勢体によって釣竿から突出される位置へ向けて付勢されていることを特徴とする釣竿。
【請求項2】
前記付勢体の付勢力に抗して前記支脚を釣竿に沿った位置に位置させた状態で釣竿を地面に置いた時には、釣竿の自重によって前記支脚が釣竿から突出される位置へと回動しないことを特徴とする請求項1に記載の釣竿。
【請求項3】
前記支脚は、少なくとも一対の支脚から成り、釣竿から突出される位置では、釣竿に沿った位置にあるときよりもその先端側が釣竿の左右に広がっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の釣竿。
【請求項4】
前記支脚を釣竿に沿った位置で保持する回動規制体を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の釣竿。
【請求項5】
前記回動規制体は、釣竿に設けられて前記支脚と係合する係合部材であることを特徴とする請求項4に記載の釣竿。
【請求項6】
前記回動規制体は、前記支脚に設けられて釣竿と係合する係合部材であることを特徴とする請求項4に記載の釣竿。
【請求項7】
前記支脚が基体に回動可能に支持され、前記基体に前記回動規制体が設けられることを特徴とする請求項4に記載の釣竿。
【請求項8】
前記回動規制体の規制を解除する操作体が前記係合部材に設けられることを特徴とする請求項5に記載の釣竿。
【請求項9】
前記回動規制体の規制を解除する操作体が前記基体に設けられることを特徴とする請求項7に記載の釣竿。
【請求項10】
前記係合部材が釣竿のリール取り付け部の近傍に設けられることを特徴とする請求項8に記載の釣竿。
【請求項1】
釣竿を支持するための支脚が回動可能に取り付けられて成り、前記支脚は、釣竿から突出される位置と、釣竿に沿った位置との間で回動できるとともに、付勢体によって釣竿から突出される位置へ向けて付勢されていることを特徴とする釣竿。
【請求項2】
前記付勢体の付勢力に抗して前記支脚を釣竿に沿った位置に位置させた状態で釣竿を地面に置いた時には、釣竿の自重によって前記支脚が釣竿から突出される位置へと回動しないことを特徴とする請求項1に記載の釣竿。
【請求項3】
前記支脚は、少なくとも一対の支脚から成り、釣竿から突出される位置では、釣竿に沿った位置にあるときよりもその先端側が釣竿の左右に広がっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の釣竿。
【請求項4】
前記支脚を釣竿に沿った位置で保持する回動規制体を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の釣竿。
【請求項5】
前記回動規制体は、釣竿に設けられて前記支脚と係合する係合部材であることを特徴とする請求項4に記載の釣竿。
【請求項6】
前記回動規制体は、前記支脚に設けられて釣竿と係合する係合部材であることを特徴とする請求項4に記載の釣竿。
【請求項7】
前記支脚が基体に回動可能に支持され、前記基体に前記回動規制体が設けられることを特徴とする請求項4に記載の釣竿。
【請求項8】
前記回動規制体の規制を解除する操作体が前記係合部材に設けられることを特徴とする請求項5に記載の釣竿。
【請求項9】
前記回動規制体の規制を解除する操作体が前記基体に設けられることを特徴とする請求項7に記載の釣竿。
【請求項10】
前記係合部材が釣竿のリール取り付け部の近傍に設けられることを特徴とする請求項8に記載の釣竿。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−90588(P2012−90588A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241810(P2010−241810)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
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