説明

鉄筋の配列装置およびその配列方法

【課題】所定の場所に順次搬送されてくる鉄筋を、連続して自動溶接機の配列位置に配列することができる鉄筋の配列装置および配列方法を提供する。
【解決手段】水平方向に平行に配置された2本の回転軸14a,14bと、該回転軸の軸方向に所定間隔で下方に伸長するように固定され、該回転軸を中心として旋回可能な複数の揺動プレート12a,12bとを備え、該回転軸の軸方向から見た場合に、前記回転軸の一方に固定された揺動プレート12aと、前記回転軸の他方に固定された揺動プレート12bの間には、鉄筋の通路が形成されており、該両方の回転軸に固定された揺動プレートを、該通路の形成を保持したまま、旋回させることにより、幅方向の異なる位置23a-hに鉄筋を供給可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋の配列装置およびその配列方法、特に、ALCパネル(軽量気泡コンクリートパネル)に使用される縦筋を配列するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ALCパネル、鉄筋コンクリートパネルなどの建築資材においては、補強材として鉄筋マットが用いられている。ALCパネルの場合、パネルの必要強度に応じて、長手方向に配された複数の縦筋と、この縦筋に直交して溶接固着された複数の横筋とで構成した鉄筋マットが、2枚平行に組み合わされて埋設されている。
【0003】
このような鉄筋マットを製造する場合、縦筋と横筋のそれぞれの自動供給装置から自動スポット溶接機などの溶接機に、供給して、交差する箇所を溶接している。通常、縦筋の自動供給装置から複数本の縦筋を平行に保持した状態で、長手方向に順次送り、横筋との溶接位置で移動を停止し、その上に横筋の自動供給装置から横筋を1本ずつ溶接機に供給し、溶接個所を溶接し、その後、縦筋を長手方向に順次送りつつ、横筋を必要個所に溶接している。この場合、横筋は1本ずつ供給されるが、縦筋に関しては、予め所定の間隔に複数本配列しておく必要がある。
【0004】
図3は、従来の縦筋供給装置の一例について、その一部を拡大して示す背面図である。この装置では、機台(32)の上に、幅方向に複数の縦筋を支持するスリットが複数個所に形成され、スリット形成板(33)が間隔を隔てて複数列配設されている。各スリット形成板(33)の背面側には、流体圧シリンダなどで縦筋(30)に対して直角方向に前後移動する可動台(35)と、該可動台上に突設されたストッパ(36)とからなるストッパ装置が隣接して設置されている。また、各スリット形成板(33)に近接して、縦筋(30)を送給するマグネットローラ装置が配置されている。このような構成の縦筋供給装置(31)の場合、予めストッパ装置の可動台(35)を前進させて、図3に示すように、ストッパ(36)を、各スリット形成板(33)のそれぞれのスリット(34)を横断する位置に配置させた状態で、各スリット(34)に所定長さの縦筋(30)を複数本落とし込む。スリット(34)内に落とし込まれた縦筋(30)は、図示のように縦方向に重なった状態で整列され、その後ストッパ(36)を後退させて適当本数をスリット下部へ落とし込む。スリット下部へ落とし込まれた縦筋(30)は、マグネットローラ装置により1本ずつ溶接機へ送給される。
【0005】
特許文献1には、このような装置の改良として、ストッパを各スリットの縦方向複数個所に設けて、製造ロットごとに長さや径の異なる場合に、それぞれの区分にロットごとの複数本の縦筋を供給し、かつ、最も下の区分において、水平方向に前後動する整列装置で、スリットの大きさと縦筋の径が合わない場合でも縦筋を各スリット内に1列に整列することを可能とし、縦筋の供給を的確に行わせる装置が開示されている。
【0006】
これらの装置により、鉄筋マットの自動的な製造が可能となっているが、この装置に対して、さまざまな長さや径の鉄筋が順次供給されるため、この装置がある場所において、搬送されてきた鉄筋を、その長さや径ごとに別々に保管し、使用時に必要とする長さおよび径を有する縦筋を縦筋供給装置のスリットに落とし込む必要があり、作業効率を妨げる要因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4450923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、切断後、所定の場所に順次搬送されてくる鉄筋を、そのまま自動溶接機の配列位置に配列することができる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の鉄筋配列装置は、水平方向に平行に配置された2本の回転軸と、該回転軸の軸方向に所定間隔で下方に伸長するように固定され、該回転軸を中心として旋回可能な複数の揺動プレートとを備え、該回転軸の軸方向から見た場合に、前記回転軸の一方に固定された揺動プレートと、前記回転軸の他方に固定された揺動プレートの間には、鉄筋の通路が形成されており、該両方の回転軸に固定された揺動プレートを、該通路の形成を保持したまま、旋回させることにより、該通路を通じて、幅方向の異なる位置に鉄筋を供給可能としている。
【0010】
前記一方の回転軸に固定された揺動プレートと、前記他方の回転軸に固定された揺動プレートが、それぞれ該回転軸の軸方向において近傍に配置されて2枚1組となっており、該揺動プレートが該回転軸の軸方向に少なくとも2組配されている構成を採ることが好ましい。
【0011】
追加的に、前記揺動プレートの下方側に載置され、幅方向に複数のスリットを備える配列ガイドをさらに備え、前記揺動プレート間に形成される前記鉄筋の通路が該配列ガイドの各スリットに対応する位置において、前記揺動プレートが停止可能となっていることが好ましい。
【0012】
さらに追加的に、順次搬送されてくる鉄筋を、前記回転軸の軸方向に平行に停止させ、該停止位置に配置された鉄筋を前記揺動プレート間の前記鉄筋の通路に上方から供給する手段をさらに備えることが好ましい。
【0013】
この供給手段としては、前記搬送されてくる鉄筋を支持する手段と、該鉄筋を停止させるストッパと、該停止した鉄筋を横方向に押し出す押出プレートとを備えるコンベアと、該コンベアから押し出された鉄筋を保持し、前記揺動プレートの旋回が停止した状態で、前記鉄筋の通路へ該鉄筋を開放して案内するシュートとにより構成されるものを用いることができる。
【0014】
前記鉄筋を前記配列ガイドの各スリットに選択的に案内することによって、該鉄筋を多列に順次配列するようにすることが好ましい。
【0015】
また、本発明の鉄筋配列方法は、切断後に順次搬送されてくる鉄筋を配列するための方法に係り、
コンベアによって搬送されてきた該鉄筋を停止位置に停止させる工程と、
該停止位置にある鉄筋を、該鉄筋を横方向に押し出すことにより、シュートの保持位置へ案内する工程と、
水平方向に平行に配置された2本の回転軸と、該回転軸の軸方向に所定間隔で下方に伸長するように固定され、該回転軸を中心として旋回可能な複数の揺動プレートとを備え、該回転軸の軸方向から見た場合に、前記回転軸の一方に固定された揺動プレートと、前記回転軸の他方に固定された揺動プレートの間には、鉄筋の通路が形成されている鉄筋配列装置における、該通路に前記保持位置から前記シュートにより該鉄筋を供給し、前記揺動プレートの下方側に載置され、幅方向に複数のスリットを備える配列ガイドの該スリットの1つに、該鉄筋を案内する工程と、
前記揺動プレートを、前記回転軸を中心として旋回させ、前記鉄筋の通路を前記配列ガイドの次のスリットに対応する位置に移動させる工程と、
を備える。
【0016】
この方法を達成するためには、上記の本発明の鉄筋配列装置を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、切断後に搬送されてくる鉄筋を、そのまま配列位置に配列することが可能となる。このため、鉄筋を一時保管する必要がなく、作業の効率の改善が図られ、生産タクトを短縮することを可能としている。また。上流に鉄筋切断機を、下流に自動溶接機を配置することによって、切断から溶接までの工程を連続して行うことが可能となる。また、本発明では、このような手段を、簡易かつ低コストの装置により提供できる点にも特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施例を示す鉄筋配列装置の斜視図である。
【図2】図2は、図1の鉄筋配列装置を前後方向から見た一部の概略平面図である。
【図3】図3は、従来の鉄筋供給装置の一部を示す概略背面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明について図面を参照しながら、その実施形態について具体的に説明を行うが、本発明はこの実施形態に限定されるわけではない。また、以下の説明においては、ALCパネルに用いられる、長さ1〜8m、外径4〜8mmの範囲のサイズの鉄筋の配列に適用されることを前提に説明するが、鉄筋コンクリートパネルなどの他のサイズの鉄筋を用いる用途にも、本発明を適用することは可能である。
【0020】
本発明の鉄筋配列装置(1)は、水平方向に平行に配置された2本の回転軸(14a、14b)と、該回転軸(14a、14b)の軸方向に所定間隔で下方に伸長するように固定され、該回転軸(14a、14b)を中心として旋回可能な複数の揺動プレート(12a、12b)とを備え、該回転軸(14a、14b)の軸方向から見た場合(図2参照)に、前記回転軸の一方(14a)に固定された揺動プレート(12a)と、前記回転軸の他方(14b)に固定された揺動プレート(12b)の間には、鉄筋の通路(13)が形成されており、該両方の回転軸(14a、14b)に固定された揺動プレート(12a、12b)を、該通路(13)の形成を保持したまま、旋回させることにより、該通路(13)を通じて、幅方向の異なる位置に鉄筋(20)を供給可能としている。
【0021】
本発明の鉄筋配列装置(1)は、その他、揺動プレート(12a、12b)の下方側に載置され、幅方向に複数のスリット(19a〜19h)を備える配列ガイド(18)、および、順次搬送されてくる鉄筋(20)を、回転軸(14a、14b)の軸方向に平行に停止させ、該停止位置に配置された鉄筋(20)を揺動プレート(12a、12b)間の前記通路(13)に上方から供給する手段を備えることができる。
【0022】
まず、上記の鉄筋供給手段は、コンベア(2)とシュート(8)とから基本的に構成される。このうち、コンベア(2)は、搬送された鉄筋(20)を受け入れて、所定位置に停止させるものであって、コンベアフレーム(3)と、複数の送りローラ(4)と、コンベアストッパ(5)から構成される。各送りローラ(4)は、コンベアフレーム(3)に回転自在に支持されており、鉄筋(20)を該鉄筋(20)の軸方向に搬送可能としている。また、コンベア(2)の終端にはストッパ(5)が設けられており、搬送されてきた鉄筋(20)は、該ストッパ(5)に衝突し、停止する。
【0023】
前記ストッパ(5)は、鉄筋(20)との衝突時の衝撃を吸収し、該鉄筋(20)を停止位置(21)に安定して停止させる機能が求められるため、ゴムなどの緩衝材を用いることが好ましい。また、前記送りローラ(4)は、幅15〜30mm、直径50〜150mm程度であり、コンベアフレーム(3)の長手方向に40cm程度の間隔を隔てて配置される。なお、送りローラの代替として、複数のニードルからなる搬送手段や、鉄筋(20)が移動可能な軌道なども適用できる。
【0024】
その他、コンベア(2)に、ストッパ(5)への鉄筋(20)の衝突から停止までを安定して行わせるための公知の手段をさらに備えるようにしてもよい。
【0025】
コンベアフレーム(3)の一方の側壁上部には、複数の押出しシリンダ(6)が平行に配置されており、各押出しシリンダ(6)のピストン端部には、押出しプレート(7)が前後移動可能に設置されている。押出しプレート(7)の位相はすべて同位相となるように構成されている。各押出しプレート(7)は、鉄筋(20)のコンベア(2)による搬送時には後退しており、該鉄筋(20)が停止位置(21)に停止後、前進し、該鉄筋(20)を進行方向と直交する方向に押出すことができるように構成されている。
【0026】
各押出しシリンダ(6)と対向するコンベアフレーム(3)の他方の側壁上端には、複数のシュート(8)が平行に配置されている。各シュート(8)は、鉄筋(20)を受ける上面部と該上面部から斜め下方に伸長し、前記回転軸(14a、14b)の間の上方で終端する斜板部とからなる鋼材製の部材であり、長さが200〜250mm、傾斜角度が50〜60゜となるように形成され、各シュート(8)はそれぞれガイド(9)を備える。
【0027】
なお、前記他方の側壁の高さは、前記一方の側壁の高さよりも低く、シュート(8)の上面部は、送りローラ(4)の高さよりも低くなっている。
【0028】
各ガイド(9)は、各シュート(8)の上方側に一定の間隔を隔てて配置される。各シュート(8)とそれぞれのガイド(9)の間隔は、押出しプレート(7)から前方に押出された鉄筋(20)を案内し通過させることができる程度の間隔であり、18〜22mm程度である。
【0029】
複数のガイド(9)の下端には、ストッパシリンダ(10)が設置されているものもあり、各ストッパシリンダ(10)のピストン端部には、それぞれ保持ストッパ(11)が、シュート(8)の斜板の表面に向けて前後移動可能に取り付けられている。該保持ストッパ(11)の位相は、すべて同位相となるように構成されている。保持ストッパ(11)が前進している場合には、シュート(8)の斜板上を滑り落ちてきた鉄筋(20)が保持位置(22)に保持される。また、保持ストッパ(11)が後退した場合には、鉄筋(20)は保持位置(22)から揺動プレート(12a、12b)の通路(13)に案内される。
【0030】
押出しシリンダ(6)、シュート(8)およびガイド(9)の設置数や設置間隔は、溶接する鉄筋の長さや質量に応じて、該鉄筋の撓みや捻れが生じないように構成する必要がある。
【0031】
回転軸(14a、14b)は、長さ2〜8m、直径30〜50mm程度の鋼材製の棒材からなる。回転軸(14a、14b)は、250〜350mm程度の間隔をおいて平行に配置される。各回転軸(14a、14b)は、それぞれの減速機(15a、15b)を介して、サーボモータ(16)に連結している。また、減速機(15a、15b)とサーボモータ(16)は、カップリング(17a、17b)によって連結している。図示の例では、2つの回転軸(14a、14b)を1つのサーボモータ(16)に連結し、その回転を互いに連動させているが、それぞれ独立した2つのサーボモータ(16)に連結して、独立して動作させるように構成してもよい。
【0032】
揺動プレート(12a、12b)は、回転軸(14a、14b)の軸方向から見て(図2参照)、楔形状を有する鋼材製の部材からなる。基部は一部に中心から伸長する開口を有する円盤状となっており、下方から回転軸(14a、14b)に外嵌して、その状態で、ボルトとナットを用いた螺着などの公知の手段で、それぞれの回転軸に固定可能となっている。基部から、プレート部が下方に伸長し、プレート部は、回転軸(14a、14b)に固定された際に、互いに平行に、または、基部側から先端側に向けて間隔が狭まるように配置される内側面と、基部の反対側から内側面側に斜めに伸長する外側面を備える。それぞれの揺動プレートは鋼材製であり、基部は、直径60〜90mm、内側面の長さが400〜550mmであり、プレート部の基部側の幅が10〜30mm、先端側の幅が5〜15mmであって、厚さは10〜30mmである。
【0033】
揺動プレート(12a、12b)を回転軸(14a、14b)に固定した際、プレート部の内側面が垂直方向に伸長する場合、これらの揺動プレート(12a、12b)間の間隔、すなわち、鉄筋の通路(13)の大きさは、両揺動プレート(12a、12b)の内側面が垂直方向に伸長する(通路が鉛直方向に伸長する)状態において、先端部で40〜60mm程度とし、30°の角度(最大旋回位置;図2に実線で示される状態)まで揺動プレートを旋回させた場合に、通路(13)の大きさは、先端部で15〜25mm程度となる。
【0034】
このように構成された装置では、揺動プレート(12a、12b)は回転軸(14a、14b)を中心として旋回自在であり、サーボモータ(16)を制御することにより、後述する配列ガイド(18)の各スリット(19a〜19h)に対応した位置で停止させることができる。
【0035】
揺動プレート(12a、12b)は、それぞれの回転軸(14a、14b)に対して、その軸方向に400〜600mmの間隔で、少なくとも2個ずつ備える必要がある。ただし、鉄筋(20)の撓みや捻れを防止する観点から、鉄筋(20)の長さや質量に応じて、適宜3個以上設けることが好ましい。
【0036】
また、それぞれの回転軸(14a、14b)への揺動プレート(12a、12b)の取付位置は、相互に一致している必要はなく、回転軸の軸方向から見た場合(図2参照)に、両揺動プレート(12a、12b)の内側面同士の間に鉄筋(20)の通路(13)が形成されるように配置されていればよい。ただし、回転軸の軸方向に関して相互に同じ位置に取り付け、揺動プレート(12a、12b)の内側面同士が互いに対向するようにすることが、鉄筋(20)の撓みや捻れを防止する観点からは、好ましい。
【0037】
なお、各回転軸(14a、14b)に固定する複数の揺動プレート(12a、12b)間の位相については、すべて等しくなるように、各揺動プレートを固定する必要がある。
【0038】
配列ガイド(18)は、幅500〜600mm、高さ250〜400mm、厚さ10〜20mmの矩形上の板状部材であり、それぞれに複数のスリット(19a〜19h)が設けてあり、該スリット(19a〜19h)によって鉄筋(20)の配列位置(23a〜23h)が決められる。最狭部における該スリットの幅はそれぞれ8〜12mm程度とする。配列ガイド(18)の上端部は、鉄筋(20)を各スリット(19a〜19h)に案内できるように、傾斜面を設けておくことが好ましい。
【0039】
また、鉄筋がスリット(19a〜19h)内を落下し、その底面と衝突した際に、該鉄筋の撓みや捻れが生じることを防止するため、該スリット(19a〜19h)の底面にはゴムなどの緩衝材を用いることが好ましい。
【0040】
図1および図2には、8本のスリット(19a〜19h)からなる配列ガイド(18)が示されているが、スリットの数や各スリット間の間隔などについては、作製する溶接金網に応じた構成を採ることができる。
【0041】
配列ガイド(18)は、揺動プレート(12a、12b)と同様に、鉄筋(20)の撓みや捻れを防止する観点から、該鉄筋(20)の長さや質量に応じて、回転軸の軸方向に500〜1000mmの間隔で、複数個設けることが好ましい。
【0042】
前記シュート(8)と、前記揺動プレート(12a、12b)と、前記配列ガイド(18)との位置関係は、前記保持ストッパ(11)が後退した場合に、前記鉄筋が保持位置(22)から前記揺動プレート(12a、12b)および前記スリット(19a〜19h)を連続して通過し、前記配列位置(23a〜23h)に到達できるように構成されている。
【0043】
また、前記揺動プレート(12a、12b)と前記配列ガイド(18)の位置関係は、前記揺動プレート(12a、12b)と前記配列ガイド(18)が互いに干渉しないような位置関係となっている。すなわち、前記配列ガイド(18)と前記揺動プレート(12a、12b)は、回転軸(13a、13b)の軸方向に任意の間隔、通常50〜500mmの範囲内の所定間隔で、配置されている。
【0044】
次に、本発明の鉄筋配列方法について説明する。鉄筋(20)は、所定の長さに切断後、コンベアフレーム(3)および送りローラ(4)によって搬送され、コンベアストッパ(5)に衝突後、所定の停止位置(21)で停止する。このとき、押出しシリンダ(6)に取り付けられた押出しプレート(7)は後退している。停止後、押出しプレート(7)が前進し、鉄筋(20)をその進行方向と直交する方向に押し出す。
【0045】
押出された前記鉄筋(20)は、ガイド(9)に案内されてシュート(8)上を滑り落ちる。このとき、ストッパシリンダ(10)の保持ストッパ(11)は前進しており、前記鉄筋(20)は、該保持ストッパ(11)との衝突後に停止し、保持位置(22)に保持される。
【0046】
その後、揺動プレート(12a、12b)が配列位置(23a〜23h)に対応する位置の1つまで旋回した後、保持ストッパ(11)が後退し、鉄筋(20)は保持位置(22)から揺動プレート(12a、12b)間の隙間である経路(13)へと滑り落ち、該経路(13)を通過した後、配列ガイド(18)のスリット(19a〜19h)の1つを通過し、配列位置(23a〜23h)の1つに到達する。
【0047】
揺動プレート(12a、12b)は、鉄筋が配列位置(23a〜23h)の1つに配列したことを、図示しないセンサーによって確認した後、次の配列位置に対応する位置まで旋回する。このようなセンサーは、揺動プレート(12a、12b)や押出しシリンダ(6)などの誤動作を防止するため、必要と認められる、すべての位置に設けることが好ましい。
【0048】
以上の動作を繰り返して、必要な本数の鉄筋(20)を配列位置(23a〜23h)に順次配列した後、配列した鉄筋(20)は、マグネットローラ装置などの公知の手段により、自動溶接機へ搬送される。
【0049】
なお、本発明を特許文献1に記載される縦筋供給装置に配列供給するようにすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の鉄筋配列装置および配列方法を利用することによって、溶接マットの製造において、鉄筋の切断から溶接までを連続した工程で行なうことができ、切断後の鉄筋を保管するスペースも不要となるため、作業効率を改善することができる。このように、本発明は、ALCパネルや鉄筋コンクリートパネルなどの鉄筋マットを利用する建築資材を製造する分野に対して大きく貢献するものである。
【符号の説明】
【0051】
1 鉄筋配列装置
2 コンベア
3 コンベアフレーム
4 送りローラ
5 コンベアストッパ
6 押出しシリンダ
7 押出しプレート
8 シュート
9 ガイド
10 ストッパシリンダ
11 保持ストッパ
12a、12b 揺動プレート
13 通路
14a、14b 回転軸
15a、15b 減速機
16 サーボモータ
17a、17b カップリング
18 配列ガイド
19a〜19h スリット
20 鉄筋
21 停止位置
22 保持位置
23a〜23h 配列位置
30 縦筋
31 縦筋供給装置
32 機台
33 スリット形成板
34 スリット
35 可動台
36 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に平行に配置された2本の回転軸と、該回転軸の軸方向に所定間隔で下方に伸長するように固定され、該回転軸を中心として旋回可能な複数の揺動プレートとを備え、該回転軸の軸方向から見た場合に、前記回転軸の一方に固定された揺動プレートと、前記回転軸の他方に固定された揺動プレートの間には、鉄筋の通路が形成されており、該両方の回転軸に固定された揺動プレートを、該通路の形成を保持したまま、旋回させることにより、該通路を通じて、幅方向の異なる位置に鉄筋を供給可能としている、鉄筋配列装置。
【請求項2】
前記一方の回転軸に固定された揺動プレートと、前記他方の回転軸に固定された揺動プレートが、それぞれ該回転軸の軸方向において近傍に配置されて2枚1組となっており、該揺動プレートが該回転軸の軸方向に少なくとも2組配されている、請求項1に記載の鉄筋配列装置。
【請求項3】
前記揺動プレートの下方側に載置され、幅方向に複数のスリットを備える配列ガイドをさらに備え、前記揺動プレート間に形成される前記鉄筋の通路が該配列ガイドの各スリットに対応する位置において、前記揺動プレートが停止可能となっている、請求項1に記載の鉄筋配列装置。
【請求項4】
順次搬送されてくる鉄筋を、前記回転軸の軸方向に平行に停止させ、該停止位置に配置された鉄筋を前記揺動プレート間の前記鉄筋の通路に上方から供給する手段をさらに備える、請求項1に記載の鉄筋配列装置。
【請求項5】
前記供給手段が、前記搬送されてくる鉄筋を支持する手段と、該鉄筋を停止させるストッパと、該停止した鉄筋を横方向に押し出す押出プレートとを備えるコンベアと、該コンベアから押し出された鉄筋を保持し、前記揺動プレートの旋回が停止した状態で、前記鉄筋の通路へ該鉄筋を開放して案内するシュートからなる、請求項4に記載の鉄筋配列装置。
【請求項6】
前記鉄筋を前記配列ガイドの各スリットに選択的に案内することによって、該鉄筋を多列に順次配列する、請求項3に記載の鉄筋配列装置。
【請求項7】
切断後に順次搬送されてくる鉄筋を配列するための方法であって、
コンベアによって搬送されてきた該鉄筋を停止位置に停止させる工程と、
該停止位置にある鉄筋を、該鉄筋を横方向に押し出すことにより、シュートの保持位置へ案内する工程と、
水平方向に平行に配置された2本の回転軸と、該回転軸の軸方向に所定間隔で下方に伸長するように固定され、該回転軸を中心として旋回可能な複数の揺動プレートとを備え、該回転軸の軸方向から見た場合に、前記回転軸の一方に固定された揺動プレートと、前記回転軸の他方に固定された揺動プレートの間には、鉄筋の通路が形成されている鉄筋配列装置における、該通路に前記保持位置から前記シュートにより該鉄筋を供給し、前記揺動プレートの下方側に載置され、幅方向に複数のスリットを備える配列ガイドの該スリットの1つに、該鉄筋を案内する工程と、
前記揺動プレートを、前記回転軸を中心として旋回させ、前記鉄筋の通路を前記配列ガイドの次のスリットに対応する位置に移動させる工程と、
を備える、鉄筋の配列方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−148303(P2012−148303A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8125(P2011−8125)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(399117730)住友金属鉱山シポレックス株式会社 (195)
【出願人】(398069447)株式会社キャダック (14)
【Fターム(参考)】