説明

鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の構造およびその製造方法

【課題】 鉄筋コンクリート構造物を接地極として使用する際における接地線の取出し部を、取出し易くするとともに、取出す前は、構造物の表面から外部に突出することがなく、構造物の移動時または埋め戻し時等における外的損傷を防止しうるとともに、海水その他による腐食から確実に防護しうるようにした鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の構造、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】鉄筋コンクリート構造物1における接地線取出し部6に、構造物の表面に開口する画室8を設け、この画室8内に、構造物の内部の鉄筋3に接続した接地線5の端末部5aを挿入し、画室8の開口を、着脱可能または開閉可能の蓋板9をもって閉塞する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の構造およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート構造物を接地極として使用する場合、一般的には、その構造物を移動させることがなく、また周囲の水分に配慮する必要がないことが多いため、接地極の接続部分である接地線の端末等を、剥き出し状態のままとしてあることが多い(例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
また、建造物の躯体表面に、埋設側接地線と立上側接地線との接続部を設けたものもある(例えば特許文献4〜6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−124608号公報
【特許文献2】特開平7−235338号公報
【特許文献3】特開2008−269791号公報
【特許文献4】特開2005−203105号公報
【特許文献5】特開平8−273716号公報
【特許文献6】特開平10−312840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、臨海地域や埋立地、または海岸線等における鉄筋コンクリート構造物を接地極として使用する場合に、従来のように、接地極の接続部分を剥き出し状態のままとしておくと、接続部分が海水や地下水等により浸食されるだけでなく、接続部分から侵入した海水等により、構造体の内部まで浸食されるおそれがある。
【0006】
また、鉄筋コンクリート構造物の一部または全部を搬送する際、またはコンクリート構造物周辺を埋め戻す際、その外面より突出している接地線の端末等の接続部分が、他物に衝突して、他物や接続部分、さらには鉄筋コンクリート構造物自体に損傷を与えるおそれがある。
【0007】
特許文献4に記載されているものにおいては、埋設側接地線と立上側接地線との接続部が外部に露呈しているため、その接触面に錆が発生したり、埃等が付着して、接触不良を生じたり、早期に劣化し易い等のおそれがある。
特許文献5に記載されているものにおいては、金属ケースと保護キャップとの隙間から侵入した雨水等が金属ケース内に溜まり、金属ケース内に収容した埋設側接地線の端末のボルトの雄ねじ部に錆が発生し、立上側接地線のナットとの螺合が不円滑になり、接続作業に支障を来すおそれがある。
特許文献6に記載されているものにおいては、特許文献5に記載されているもの同様に、中継用めねじコネクタ内に雨水が溜まり、そのねじ孔に錆が発生し、立上側接地線のナットとの螺合が不円滑になり、接続作業に支障を来すおそれがある。
【0008】
さらに、特許文献4〜6に記載されているものは、いずれも、ねじをもって埋設側接地線と立上側接地線との端末同士を接続するようにしているので、その螺合作業が煩雑であるとともに、弛み止めの対策を図らなければならず、特に、特許文献5に記載されているものにおいては、目視できない金属ケース内において、ボルトとナットを螺合させなければならず、しかも回り止めピンも打たなければならず、接続作業が煩雑であるという問題がある。
【0009】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑みてなされたもので、鉄筋コンクリート構造物を接地極として使用する際における接地線の取出し部において、接地線を取出し易くするとともに、取出す前は、構造物の表面から外部に突出することがなく、構造物の移動時等における外的損傷を防止しうるとともに、海水や地下水等による腐食から確実に防護しうるようにした鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の構造を提供することを目的としている。
【0010】
また、本発明は、上記鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の効率のよい製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部に、構造物の表面に開口する画室を設け、この画室内に、構造物の内部の鉄筋に接続した接地線の端末部を挿入し、この画室内に挿入した接地線の端末部を可撓性のものとすることにより、この端末部を撓ませて、先端を前記画室の開口部より外部に引出すことができるとともに、前記画室内に収めることができるようにし、さらに、前記画室内に接地線の端末部を収容した状態で、前記画室の開口部を、着脱可能または開閉可能の蓋板をもって閉塞する。
【0012】
このような構成とすると、蓋板を外すか、または開くことにより、接地線の端末部を撓ませて、外部に引き出すことができ、この端末部を簡単に外部の接地線等と接続することができる。
また、接地線の端末部は、可撓性を有しているため、箱体内からの出し入れが簡単である。
この接地線の端末部を箱体内に収容した状態で、画室の開口を、蓋板をもって閉塞しておくため、接地線の端末部が構造物の表面から外部に突出することがなく、構造物の移動時等における他物との衝突等による外的損傷を確実に防止することができ、さらに、海水や地下水等による腐食から、接地線の端末部や構造物自体を確実に防護することができる。
【0013】
(2)上記(1)項において、画室を、一面が構造物の表面に開口する箱体をもって構成し、前記箱体の一部に設けた導入孔より接地線を箱体内に引き入れ、前記箱体の開口を、着脱可能または開閉可能の蓋板をもって閉塞する。
【0014】
このような構成とすると、箱体により、画室を簡単に形成することができるとともに、画室内面の気密性および水密性を高めることができる。
また、蓋板の取付けが容易になるとともに、蓋板周縁の気密性および水密性を高めることができる。
【0015】
(3)上記(1)または(2)項において、画室内における接地線のまわりの空隙に、コーキング材を充填する。
【0016】
このような構成とすると、接地線の端末部の防食性をより高めることができるとともに、海水や地下水等が、接地線を伝って、構造物の内部に浸透するのを確実に防止することができ、さらに、蓋板が外部から押圧されたときの蓋板の強度を高めることができる。
【0017】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、接地線における画室内への引き入れ部分に、隔壁付ジャンパースリーブを設ける。
【0018】
このような構成とすると、万一画室内に海水や地下水等が侵入し、それが接地線を伝って、構造物の内部に侵入しようとしても、隔壁付ジャンパースリーブにおいてそれ以上の侵入が阻止されるので、構造物内部の腐食を未然に防止することができる。
【0019】
(5)上記(2)項、またはそれに従属する(3)もしくは(4)項のいずれかにおいて、箱体の少なくとも一部の開口からの奥行きを大とし、その部分を、格子状に配設した複数の鉄筋間に嵌合する。
【0020】
このような構成とすると、箱体内における接地線の端末部の撓曲可能範囲を大とし、作業性を向上しうるとともに、コンクリートかぶり厚さが薄い場合でも、箱体の奥行きの大きい部分を、格子状に配設した複数の鉄筋間に嵌合することにより、箱体と鉄筋との干渉を避けることができ、しかも、箱体が鉄筋によって保持されるので、箱体の支持が安定する。
【0021】
(6)鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の製造方法において、型枠内に鉄筋を組み付けるとともに、接地線を鉄筋に接続し、接地線取出し部に対応する部分の型枠の内面に、開口を着脱可能または開閉可能の蓋板をもって閉塞した箱体を、前記蓋板が型枠の内面に接するようにして取付け、前記鉄筋に接続した接地線の端末部を、前記箱体の一部に設けた導入孔より箱体内に差し込み、前記型枠内にコンクリートを打設して、硬化させた後、脱型し、前記型枠の撤去後の鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部に、前記蓋板を着脱可能または開閉可能なように露呈させる。
【0022】
このような製造方法によると、鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部を、複雑な作業を行うことなく、簡単に、効率よく製造することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、鉄筋コンクリート構造物を接地極として使用する際における接地線の取出し部において、接地線を取出し易くするとともに、取出す前は、構造物の表面から外部に突出することがなく、構造物の移動時等における外的損傷を防止しうるとともに、海水や地下水等による腐食から確実に防護しうるようにした鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の構造を提供することができる。
また、上記鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の構造の、効率のよい製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態における鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の横断平面図である。
【図2】図1のII−II線拡大縦断正面図である。
【図3】図2におけるのと同様の部分の製造途中の状態を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、鉄筋コンクリート構造物(以下、単に構造物という)1の外壁2は、基本的には、多数の鉄筋3を縦横に組んで、その周りにコンクリート4を打設して、硬化させたものよりなっている。
【0026】
構造物1の適宜の高さにおける外壁2内には、1本または複数本の接地線5が、その各端末が、外壁2の外側面2aの一部に設けた接地線取出し部6に位置するようにしてほぼ水平に配設され、その適所がテルミット溶接により鉄筋3に溶接されている。
【0027】
接地線5の水平部分の高さは、構造物1の設置後に、地表より下位となるように定めておくのが好ましい。
【0028】
図1に示す例では、構造物1における一外側面2aの中央寄りに、接地線5の端末を外部に取出すための1個の接地線取出し部6が設けられている。
【0029】
外壁2における接地線取出し部6には、図1および図2に示すように、外面が外壁2の外側面2aに開口するようにした箱体7が埋設され、この箱体7により、外側面2aに開口する扁平縦型の画室8が形成されている。
この箱体7の下半部は、図2に示すように、下方に向かって扇形に拡開する形状とし、下方に行くほど、開口からの奥行きが大となるようにしてある。
【0030】
箱体7の開口縁には、蓋板9が、着脱可能または開閉可能に装着されている。
蓋板9を、箱体7の開口に着脱可能に装着するには、例えば、蓋板9の上下縁、または両側縁に設けた係止爪(図示略)を、箱体7の周縁に設けた突縁または係合孔(いずれも図示略)に弾性係合させるのがよい。
【0031】
蓋板9を、箱体7の開口に開閉可能に装着するには、例えば、蓋板9の上下いずれか一方の縁を、水平軸(図示略)をもって箱体7の開口縁部に枢着し、上下いずれかの他方の縁に設けた係止爪(図示略)を、箱体7の周縁に設けた突縁または係合孔(いずれも図示略)に弾性係合させるのがよい。または、蓋板9のいずれか一方の側縁を、垂直軸(図示略)をもって箱体7の開口縁部に枢支し、いずれか他方の側縁に設けた係止爪(図示略)を、箱体7の周縁に設けた突縁または係合孔(いずれも図示略)に弾性係合させるようにしてもよい。
また、箱体7の開口と蓋板9との間の気密性および水密性を高めるため、それらの間に、弾性パッキン(図示略)を介在させるのが好ましい。
【0032】
箱体7の底壁7aには、導入孔10が設けられ、この導入孔10を通して、上記鉄筋3に接続された接地線5の端末部が箱体7内に挿入されている。
【0033】
接地線5における箱体7内への引き入れ部分、またはその外側には、隔壁付ジャンパースリーブ11が設けられている。
この隔壁付ジャンパースリーブ11は、筒体11aの長手方向の中間部に隔壁11bを設けたもので、筒体11aの一方の端部より、接地線5の端末部5aの基端を嵌合して、筒体11aをかしめることにより、端末部5aと筒体11aとを固着し、筒体11aの他方の端部より、接地線5の他部5bの先端部を嵌合して、筒体11aをかしめることにより、接地線5の他部5bと筒体11aとを固着してある。
【0034】
このような隔壁付ジャンパースリーブ11を設けたことにより、万一箱体7内に海水や地下水等が侵入し、それが接地線5の端末部5aを伝って、構造物1の内部に侵入しようとしても、隔壁付ジャンパースリーブにおいてそれ以上の侵入が阻止され、構造物1の内部の腐食を未然に防止することができる。
【0035】
箱体7内には、接地線5の端末部5aのまわりの空隙を埋めるコーキング材12が充填されている。
このコーキング材12を充填することによって、接地線5の端末部5aの保持と防食性は高められ、かつ海水や地下水等が、接地線5を伝って、構造物1の内部に浸透するのが確実に防止され、さらに、蓋板9が外部から押圧されたときの蓋板9の強度を高めることができる。
【0036】
図1〜図3に示す構造物1によると、画室8の開口部を、蓋板9をもって閉塞しておくと、接地線5の端末部5aが構造物1の表面から外部に突出することはなく、また構造物1の製造場所から設置場所への移動時または埋め戻し時等における他物との衝突による外的損傷を防止することができ、さらに、地下水や海水等による腐食から、接地線5の端末部5aや構造物1自体を確実に防護することができる。
【0037】
接地線取出し部6が埋設される際には、蓋板9を開くか、または取り外し、接地線5の端末部5aを、図2に2点鎖線で示すように、外方下向きに折り曲げて、箱体7から外部に取出し、構造物1の土壌側側面に添設する網目状または垂直棒状等の外部の接地線や接続線(いずれも図示略)等と接続する。
したがって、接地線5の端末部5aと外部の接地線等との接続作業を、簡単かつ迅速に行うことができる。
【0038】
また、構造物1に箱体7を設けたことにより、画室8を簡単に形成することができるとともに、画室8内面の気密性および水密性を高めることができる。しかも、蓋板9の取付けが容易になるとともに、蓋板9の周縁の気密性および水密性を高めることができる。
【0039】
次に、構造物1、特にその接地線取出し部6の具体的な製造方法について説明する。
構造物1を製造するには、まず、縦横の多数の鉄筋3を、形成しようとする構造物1の構造に合わせて組み付け、その周囲を鋼製(または木製でもよい)の型枠13(図3参照)で囲む。
【0040】
次いで、または鉄筋3の組立て途中において、接地線5を、外壁2を形成するための鉄筋3の組立体に沿って、ほぼ水平に配設し、適所を鉄筋3にテルミット溶接により溶接する。
【0041】
各接地線5の端末部5aは、一旦他部5bから切断した後、図2に示すように、隔壁付ジャンパースリーブ11をもって、再度他部5bに接続しておき、その端末部5aを、まだ固定されていない箱体7内に、導入孔10より挿入し、さらに、箱体7内の端末部5a以外の空隙内に、コーキング材12を充填して、箱体7の開口を、蓋板9をもって閉塞する。
【0042】
図3に示すように、接地線取出し部6に対応する部分の型枠13の内面には、上記のようにして接地線5の端末部5aに接続し、かつ開口を蓋板9をもって閉塞しておいた箱体7を、蓋板9が型枠13の内面に接するようにして取付ける。
【0043】
その取付けに際しては、型枠13の対応部分に複数の貫通孔14を設けておき、そこに結束バンド15を通して、結束バンド15により、型枠13の内外に当接させた箱体7と当て木16とを結束して、箱体7を型枠13に仮止めする。
なお、箱体7を型枠13に仮止めした後に、接地線5の端末部5aを、箱体7の導入孔10に挿入して、接地線5と箱体7とを接続してもよい。
【0044】
箱体7は、その上下部に設けた取付孔17、17に挿通したワイヤ18をもって、近くの鉄筋3にもワイヤ掛けしておくのが好ましい。これは、コンクリート構造物製作段階で、箱体7がコンクリート7表面から脱落するのを防止するためである。
【0045】
次いで、型枠13内にコンクリート7を打設して、硬化させた後、結束バンド15および当て木16を型枠13から外し、その後、脱型する。
【0046】
脱型後の各接地線取出し部6には、蓋板9が、着脱可能または開閉可能なように露呈する。
したがって、適時にこの蓋板9を箱体7から離脱させるか、または開くことにより、上述したように、接地線5の端末部5aを、箱体7から外部に取出し、外部の接続線等と簡単に接続することができる。
【0047】
この製造方法によると、構造物1における接地線取出し部6を、複雑な作業を行うことなく、簡単に、効率よく形成することができる。
【0048】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、例えば次のような変形した態様での実施が可能である。
(1) 導入孔10を、箱体7の底壁7aに設ける代わりに、箱体7の上壁または側壁に設け、そこから接地線5の端末部5aを、下向き、または水平方向に箱体7内に引き込む。そのようにすると、万一箱体7内に海水や地下水等が侵入したとしても、それが接地線5を伝って、構造物の内部に侵入し難くなり、構造物内部の腐食を未然に防止することができる。
(2) 箱体7を省略し、コンクリートの表面に画室のみを形成し、その画室の開口を着脱可能または開閉可能の蓋板により閉塞する。
(3) コンクリートかぶり厚さが薄い場合は、箱体7における下方に向かって扇形に拡がる下半部、または開口からの奥行きを大とした箱体7の一部または全部を、格子状に配設した複数の鉄筋3、3間に嵌合する。
このような構成とすると、箱体7内における接地線5の端末部5aの撓曲可能範囲を大とし、作業性を向上しうるとともに、箱体と鉄筋との干渉を避けることができ、しかも、箱体が鉄筋によって保持されるので、箱体の支持が安定する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、例えば、接地極として使用するビルその他の鉄筋コンクリート構造物、およびその製造方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 鉄筋コンクリート構造物
2 外壁
2a外側面
3 鉄筋
4 コンクリート
5 接地線
5a端末部
5b他部
6 接地線取出し部
7 箱体
7a底壁
8 画室
9 蓋板
10 導入孔
11 隔壁付ジャンパースリーブ
11a筒体
11b隔壁
12 コーキング材
13 型枠
14 貫通孔
15 結束バンド
16 当て木
17 取付孔
18 ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部に、構造物の表面に開口する画室を設け、この画室内に、構造物の内部の鉄筋に接続した接地線の端末部を挿入し、この画室内に挿入した接地線の端末部を可撓性のものとすることにより、この端末部を撓ませて、先端を前記画室の開口部より外部に引出すことができるとともに、前記画室内に収めることができるようにし、さらに、前記画室内に接地線の端末部を収容した状態で、前記画室の開口部を、着脱可能または開閉可能の蓋板をもって閉塞したことを特徴とする鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の構造。
【請求項2】
画室を、一面が構造物の表面に開口する箱体をもって構成し、前記箱体の一部に設けた導入孔より接地線を箱体内に引き入れ、前記箱体の開口を、着脱可能または開閉可能の蓋板をもって閉塞した請求項1記載の鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の構造。
【請求項3】
画室内における接地線のまわりの空隙に、コーキング材を充填した請求項1または2記載の鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の構造。
【請求項4】
接地線における画室内への引き入れ部分に、隔壁付ジャンパースリーブを設けた請求項1または2記載の鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の構造。
【請求項5】
箱体の少なくとも一部の開口からの奥行きを大とし、その部分を、格子状に配設した複数の鉄筋間に嵌合した請求項2、またはそれに従属する請求項3もしくは4記載の鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の構造。
【請求項6】
鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の製造方法において、型枠内に鉄筋を組み付けるとともに、接地線を鉄筋に接続し、接地線取出し部に対応する部分の型枠の内面に、開口を着脱可能または開閉可能の蓋板をもって閉塞した箱体を、前記蓋板が型枠の内面に接するようにして取付け、前記鉄筋に接続した接地線の端末部を、前記箱体の一部に設けた導入孔より箱体内に差し込み、前記型枠内にコンクリートを打設して、硬化させた後、脱型し、前記型枠の撤去後の鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部に、前記蓋板を着脱可能または開閉可能なように露呈させることを特徴とする鉄筋コンクリート構造物における接地線取出し部の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−73772(P2013−73772A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211823(P2011−211823)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(500054329)原電事業株式会社 (11)
【出願人】(000230940)日本原子力発電株式会社 (130)