説明

鉄道車両

【課題】本発明は、車体に衝突した野生動物を線路外へ案内することで、運行を円滑に行うことができる鉄道車両を提供すること。
【解決手段】
車体3の幅方向一側に配置されるエアバッグ5及び第1側方エアバッグ部52に配置されるエアバッグ5は、膨出された状態における鉄道車両100の進行方向前側を指向する面が、車体3の幅方向中心から幅方向一側に向け車体3の進行方向後側へ傾斜し、車体3の幅方向他側に配置されるエアバッグ5及び第2側方エアバッグ部53に配置されるエアバッグ5は、膨出された状態における鉄道車両100の進行方向前側を指向する面が、車体3の幅方向中心から幅方向他側に向け車体3の進行方向後側へ傾斜する。よって、線路上に侵入した野生動物に対し、エアバッグ5のいずれかの部分を衝突させることで、衝突による野生動物への衝撃を緩和しつつ、野生動物を線路の側方へ跳ね飛ばすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に関し、特に、車体に衝突した野生動物を線路外へ案内することで、運行を円滑に行うことができる鉄道車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道車両において、車体の妻面側に、ガスの送入により膨出される袋状のエアバッグが装着されているものがある。鉄道車両の運転士が、線路内に侵入した人に車体が衝突すると判断した場合に、エアバッグを膨出させることで、車体に衝突した人への衝撃を吸収することができる。
【0003】
例えば、特開2003−341513号公報には、車両2に衝突した人に加わる衝撃力をエアバッグ装置7a〜7dにより吸収し緩和すると共に、エアバッグ装置7a〜7dの膨張により押し出される案内部8により人を救い上げつつ、車両2の幅方向両側に展開される転落防止部9,10により線路外へ人が転落することを防止することで人を救助する緊急救助装置が開示されている。
【0004】
また、実開平02−068264号公報には、車体1の妻面1aに沿って3個のエアバッグ2を水平方向1列に並べて配置した鉄道車両用衝突緩和装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−341513(例えば、段落[0027]など)
【特許文献2】実開平02−068264(例えば、第3B図など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の緊急救助装置は、エアバッグ装置を作動させた後、鉄道車両を停止させて保護された人を救助することを想定している。ここで、地域によっては、頻繁に野生動物が線路内に侵入する事例があり、上述の緊急救助装置を野生動物に対して使用した場合には、鉄道車両の運行の遅延が頻繁に生じるという問題点があった。
【0007】
一方、従来の緊急救助装置を作動させずに車体と野生動物とが衝突すると、衝突により突き飛ばされた野生動物が、線路上に横たわった状態で死亡することがある。この場合、線路上に横たわる野生動物を線路外へ移動させる必要があり、鉄道車両の運行に遅延が発生するという問題点があった。
【0008】
また、上述した従来の鉄道車両用衝突緩和装置は、水平方向1列に並べて配置された3個のエアバッグのうち、水平方向の中央に配置されるエアバッグは、鉄道車両の進行方向前側を指向する面が、鉄道車両の進行方向正面に向けられた状態で配置されている。よって、水平方向の中央に配置されるエアバッグに衝突する野生動物は、線路上に突き飛ばされるので、野生動物を線路外へ移動させたり、野生動物が自力で線路外へ移動するまで待機する必要があり、鉄道車両の運行に遅延が発生するという問題点があった。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、車体に衝突した野生動物を線路外へ案内することで、運行を円滑に行うことができる鉄道車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0010】
請求項1記載の鉄道車両によれば、エアバッグが膨出された状態において、進行方向前側を指向する面のうち、所定の基準位置よりも車体の幅方向一側に位置する部分が所定の基準位置から幅方向一側へ向け進行方向後側へ傾斜し、所定の基準位置よりも車体の幅方向他側に位置する部分が所定の基準位置から幅方向他側へ向け進行方向後側へ傾斜しているので、エアバッグの進行方向前側を指向する面のいずれかの部分に野生動物を衝突させることで、野生動物に対する衝撃を緩和しつつ、残存した衝撃力により野生動物を線路の側方へ跳ね飛ばすことができる。これにより、鉄道車両を停止させることなく、野生動物の死亡を回避しやすくできると共に、野生動物を線路外へ案内できるので、野生動物が鉄道車両の通行の妨げになることを防止して、鉄道車両の運行を円滑に行うことができるという効果がある。
【0011】
さらに、エアバッグを複数備えているので、送入されるガスの総容量が同一であるエアバッグを一つ備える場合と比べて、エアバッグの破損時には、破損した一のエアバッグのみを交換すればよいので、部品コストを抑制できるという効果がある。また、送入されるガスの総容量の合計が同一であるエアバッグを一つ備える場合と比べて、各々のエアバッグを小さく形成することで、膨出されたエアバッグを委縮させて収納する際の作業性を向上させることができるという効果がある。
【0012】
請求項2記載の鉄道車両によれば、請求項1記載の鉄道車両の奏する効果に加え、複数のエアバッグは、車体同士を連結する連結器の上方または下方に配設される中央エアバッグ部と、連結部に対して車体の幅方向一側に配設される第1側方エアバッグ部と、連結器に対して車体の幅方向他側に配設される第2側方エアバッグ部とを備え、上面視において、エアバッグが膨出された状態における中央エアバッグ部の車体の幅方向一側がエアバッグが膨出された状態における第1側方エアバッグ部の車体における幅方向中心側と、エアバッグが膨出された状態における中央エアバッグ部の車体における幅方向他側がエアバッグが膨出された状態における第2側方エアバッグ部の車体の幅方向中心側と、それぞれ互いに重なり合っているので、連結器が配設される位置を避けてエアバッグを配置できると共に、エアバッグが膨出された状態では、車体の幅方向において、中央エアバッグ部のエアバッグと第1側方エアバッグ部のエアバッグ及び第2側方エアバッグ部のエアバッグとの間に隙間が形成されることを防止できる。これにより、野生動物がエアバッグに衝突する際に、野生動物が中央エアバッグ部のエアバッグと第1側方エアバッグ部のエアバッグ及び第2側方エアバッグ部のエアバッグとの間の隙間に挟まることを防止して、エアバッグに衝突した野生動物を確実に線路の側方へ案内できるという効果がある。
【0013】
請求項3記載の鉄道車両によれば、請求項2記載の鉄道車両の奏する効果に加え、中央エアバッグ部には、複数のエアバッグが車体の幅方向に沿って並設されているので、エアバッグを所定位置に対して車体における幅方向一側または他側に配置することができる。これにより、中央エアバッグ部に配置されるエアバッグのうち、所定位置よりも車体の幅方向一側に配設されるエアバッグは、進行方向前側を指向する面を車体の幅方向一側へ向けて配置し、所定位置よりも車体の幅方向他側に配設されるエアバッグは、進行方向前側を指向する面を車体の幅方向他側へ向けて配置することができる。よって、中央エアバッグ部に配置されるエアバッグの形状を単純化できるので、エアバッグの製造コストを抑制できるという効果がある。
【0014】
また、エアバッグが膨出された状態において、隣接する中央エアバッグ部のエアバッグが車体の幅方向で互いに接触しているので、車体の幅方向において、中央エアバッグ部に並設される各々のエアバッグの間に隙間が形成されることを防止できる。よって、
中央エアバッグ部に複数のエアバッグを配置した場合であっても、車体に衝突した野生動物が並設される各エアバッグの隙間に挟まることを防止できるので、野生動物との衝突時において中央エアバッグ部に衝突した野生動物を線路の側方へ確実に案内できるという効果がある。
【0015】
請求項4記載の鉄道車両によれば、請求項2又は3に記載の鉄道車両の奏する効果に加え、中央エアバッグ部は、上面視において、進行方向前側を指向する面のうち、少なくとも連結器の幅方向一側から他側までの範囲内では、連結器よりも進行方向前側へ突出しているので、上面視における連結器の幅方向一側から他側までの範囲内で、野生動物が車体に衝突した場合であっても、中央エアバッグ部のエアバッグに野生動物を衝突させることができる。よって、野生動物が連結器に衝突することを防止して、野生動物を線路の側方へ確実に案内することができるという効果がある。
【0016】
請求項5記載の鉄道車両によれば、請求項1から4のいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、複数のエアバッグは、それぞれ同一形状に形成されているので、エアバッグの部品を共通にすることで、製品コストを抑制できるという効果がある。さらに、複数のエアバッグのいずれのエアバッグが破損した場合であっても、予備のエアバッグを少なくとも1つ搭載しておけば、いずれのエアバッグとも交換できる。従って、予備のエアバッグとして各々のエアバッグを搭載する場合と比べて、予備のエアバッグを配置するためのスペースを小さくできるという効果がある。
【0017】
請求項6記載の鉄道車両によれば、請求項1から5のいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、エアバッグが収容されると共に一面側に略長方形状の開口を有する箱状の収容部と、その収容部の一面側を被覆すると共に正面視略長方形状に形成される板状の蓋部とを備え、蓋部は、一側の長辺の側端がヒンジにより収容部に揺動自在に取着されているので、蓋部の短辺の側端がヒンジにより取着される場合と比べて、蓋部が開放方向へ揺動した際に蓋部が進行方向前側へ突出する寸法を小さくすることができる。よって、車体に衝突した野生動物が蓋部に接触することを回避しやすくできるという効果がある。
【0018】
また、収容部が、一面側を進行方向前側へ向けつつヒンジを上方に配置させた状態で車体に装着されているので、蓋部を収容部に固定する手段が破損した際において、蓋部が揺動して不用意に収容部の開口が開放されることを抑制できる。さらに、蓋部を収容部に固定する手段が破損した後において、蓋部が進行方向前側へ揺動しようとする動きに対し、蓋部自体の重力を蓋部の進行方向前側への揺動を抑制する方向へ作用させることができる。よって、鉄道車両の走行時において、蓋部が進行方向前側へ揺動しようとする動きを抑制できるので、少なくとも収容部の開口が開放された状態と比べて、収容部に収容されたエアバッグが収容部の外部へ飛び出すことを抑制できるという効果がある。
【0019】
さらに、蓋部を揺動させる際に支点となるヒンジから蓋部の重心位置までの距離を小さくできる分、蓋部に作用する慣性力を小さくできる。よって、エアバッグを膨出させて蓋部を揺動させるために必要なエアバッグの押圧力を小さくできるので、収容部に収容されたエアバッグを円滑に膨出させることができる。その結果、線路内に侵入した野生動物を発見した運転士が、エアバッグを始動させてからエアバッグが膨出するまでの時間を短縮できるという効果がある。
【0020】
請求項7記載の鉄道車両によれば、請求項1から6のいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、エアバッグに送入されるガスが充填される複数のガスボンベと、それらガスボンベ及びエアバッグを連通させる管状の連結管とを備え、一のガスボンベに連通されるエアバッグ及び他のエアバッグに連通されるエアバッグが連結管により互いに連結されているので、一のエアバッグに作用する圧力を他のエアバッグに分散できる。即ち、野生動物が一のエアバッグに衝突した場合、その一のエアバッグの内部圧力が上昇すると共に一のエアバッグ内の空気が連結管を通って他のエアバッグへ案内される。これにより、一のエアバッグに作用する圧力を他のエアバッグに分散できるので、一のエアバッグの内部圧力の上昇による一のエアバッグの破裂を防止できるという効果がある。
【0021】
さらに、複数のガスボンベを備えているので、故障等の理由により一のガスボンベからエアバッグへガスが送入されない場合であっても、他のガスボンベから一のガスボンベに連通されるエアバッグにガスを送入できる。よって、一のガスボンベに不具合があった場合でも、すべてのエアバッグを膨出させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は、本発明の一実施の形態における鉄道車両の正面図であり、(b)は、車体の部分拡大上面図である。
【図2】鉄道車両の部分拡大側面図である。
【図3】ガスボンベとエアバッグとの連結形態を模式的に表した配管図である。
【図4】鉄道車両の部分拡大側面図である。
【図5】(a)は、鉄道車両の正面図であり、(b)は、鉄道車両の部分拡大上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、鉄道車両100の構成について説明する。図1(a)は、本発明の一実施の形態における鉄道車両100の正面図であり、図1(b)は、鉄道車両100の部分拡大上面図である。図2は、鉄道車両100の部分拡大側面図である。なお、図2では、図面を簡素化して説明を分かりやすくするため、エアバッグ5を模式的に図示すると共に、第1側方エアバッグ部52に配置される収容部6の一面側の面に対して垂直な方向から視た状態を図示している。
【0024】
図1及び図2に示すように、鉄道車両100は、車輪2と、その車輪2の上方(図1(a)上側)に配設される車体3と、車体3の妻面側に設けられる連結器4と、その連結器4の下方(図1(a)下側)および車体3における幅方向(図1(a)左右方向)両側に装着される4つのエアバッグ5と、それらエアバッグ5が個々に収容される4つの収容部6と、それら収容部6に揺動自在に取着される蓋部7とを主に備えて構成されている。連結器4は、車体3同士を互いに連結するための部位であり、鋼で構成されている。
【0025】
エアバッグ5は、線路内に侵入した野生動物に衝突させることで、衝突による野生動物への衝撃を緩和するための部材であり、ガスの送入により鉄道車両100の進行方向前側へ向けて膨出される袋状に形成され、内部にガスが充填されることで略直方体形状になる部材である。また、エアバッグ5は、連結器4の下方に配設される中央エアバッグ部51と、連結器4に対して車体3の幅方向一側(図1(a)左側)に配設される第1側方エアバッグ部52と、連結器4に対して車体3の幅方向他側(図1(a)右側)に配設される第2側方エアバッグ53とを備えている。なお、中央エアバッグ部51には、2つのエアバッグ5が車体3の幅方向に沿って並設されている。
【0026】
鉄道車両100にエアバッグ5を複数配置することで、エアバッグ5が破損した際には、破損した一のエアバッグ5のみを交換し、他のエアバッグ5は継続して使用することができる。よって、4つのエアバッグ5に送入されるガスの総容量が同一であるエアバッグを1つ配置する場合と比べて、部品を交換する際におけるコストを抑制できる。また、各々のエアバッグ5の形状を小さくすることができるので、膨出されたエアバッグ5を委縮させて収容部6に収納する際の作業性を向上させることができる。
【0027】
なお、中央エアバッグ部51、第1側方エアバッグ部52及び第2側方エアバッグ部53に設けられる各エアバッグ5、各収容部6及び各蓋部7は、すべて同一形状で同一に構成されている。よって、4つのエアバッグ5、収容部6及び蓋部7に使用される部品を共通化できるので、製品コストを削減できる。さらに、予備としてのエアバッグ5、収容部6及び蓋部7を鉄道車両100に少なくとも1つずつ搭載しておくことで、4つのエアバッグ5、収容部6又は蓋部7のうちのいずれか1つのみが損傷した場合であっても、予備のエアバッグ5、収容部6又は蓋部7と交換することができる。よって、予備のエアバッグ5、収容部6及び蓋部7として、4つのエアバッグ5、収容部6及び蓋部7を搭載する場合と比べて、予備のエアバッグ5、収容部6及び蓋部7を配置するためのスペースを小さくできる。
【0028】
収容部6は、一面側(図1(a)紙面手前側)に略長方形状の開口が形成される箱状の部材であり、開口の長手方向を車体3の幅方向に向けつつ、一面側を鉄道車両100の進行方向前側へ向けた状態で装着されている。また、収容部6のうち、車体3の幅方向中心よりも幅方向一側(図1(b)左側)に配設される収容部6は一面側を車体3の幅方向一側へ向けて配置され、車体3の幅方向中心よりも幅方向他側(図1(b)右側)に配設される収容部6は一面側を車体3の幅方向他側(図1(b)右側)へ向けて配置されている。
【0029】
さらに、上面視において、中央エアバッグ部51のうち、車体3の幅方向一側に配置される収容部6の幅方向一側(図1(b)左側)が、第1側方エアバッグ部52に配置される収容部6の車体3における幅方向中心側(図1(b)右側)と互いに重なり合う位置に配置されている。同様に、上面視において、中央エアバッグ部51のうち、車体3の幅方向他側に配置される収容部6の幅方向他側(図1(b)右側)が、第2側方エアバッグ部53に配置される収容部6の車体3における幅方向中心側(図1(b)左側)と互いに重なり合う位置に配置されている。
【0030】
また、各収容部6は、中央エアバッグ部51に配置される収容部6の一面側が、第1側方エアバッグ部52又は第2側方エアバッグ部53に配置される収容部6の一面側と面一状になる位置に配置されている。
【0031】
蓋部7は、収容部6の一面側の開口を被覆する部材であり、一側(図1(a)上側)の長辺の側端がヒンジ8により収容部6に揺動自在に取着されている。また、蓋部7には、収容部6の開口に対向する面側の他側の長辺の周縁部分に所定の磁力を有するマグネット71が取着されている。さらに、収容部6には、蓋部7により開口が閉鎖された状態におけるマグネット71に対応する位置に、マグネット71が磁着可能なマグネット受け61が取着されている。これにより、エアバッグ5が収容部6に収容されている状態では、マグネット71がマグネット受け61に磁着されるので、鉄道車両100の走行時に、蓋部7が揺動することを抑制できると共に、蓋部7がガタつくことを防止できる。
【0032】
ここで、収容部6は、ヒンジ8を上方(図1(a)上側)に配置させた状態で車体3に装着されているので、マグネット71又はマグネット受け61が破損した際において、蓋部7が揺動して不用意に収容部6の開口が開放されることを抑制できる。さらに、マグネット71又はマグネット受け61が破損した後においても、蓋部7の揺動を抑制できる。即ち、収容部6がヒンジ8を下方に配置させた状態で車体3に装着される場合、蓋部7が鉄道車両100の進行方向前側へ揺動しようとする動きに対し、蓋部7自体の重力が蓋部8の鉄道車両100における進行方向前側への揺動を助長する方向へ作用する。これに対し、収容部6がヒンジ8を上方に配置させた状態で車体8に装着される場合では、蓋部7が鉄道車両100の進行方向前側へ揺動しようとする動きに対し、蓋部7自体の重力を蓋部7の鉄道車両100における進行方向前側への揺動を抑制する方向へ作用させることができる。よって、鉄道車両100の走行時において、蓋部7が鉄道車両100の進行方向前側へ揺動する動きを抑制できるので、少なくとも収容部6の一面側が開放された状態と比べて、収容部6に収容されたエアバッグ5が、収容部6の開口から外部へ飛び出すことを防止できる。
【0033】
なお、中央エアバッグ部51に配置される収容部6と、第1側方エアバッグ部52及び第2側方エアバッグ部53との高さ方向における隙間寸法は、少なくとも蓋部7の短辺の寸法よりも大きな寸法に設定されている。これにより、中央エアバッグ部51に配置される蓋部7が鉄道車両100の進行方向前側へ揺動する際に、蓋部7が第1側方エアバッグ部52及び第2側方エアバッグ部53に配置される収容部6に接触することを回避できると共に、収容部6に接触することで揺動可能な範囲が制限されることを防止できる。よって、蓋部7が損傷することを防止できると共に、揺動可能な範囲が制限された蓋部7がエアバッグ5の膨出を阻害することを防止できる。
【0034】
次に、図3を参照して、エアバッグ5とガスボンベ91との連結形態について説明する。図3は、エアバッグ5とガスボンベ91との連結形態を模式的に表した配管図であり、エアバッグ5が連結管92及びリリーフバルブ94から取り外された状態が図示されている。
【0035】
図3に示すように、鉄道車両100は、エアバッグ5に送入されるガスが充填されたガスボンベ91と、そのガスボンベ91及びエアバッグ5を連結させる管状の連結管92とを備えている。連結管92は、エアバッグ5とガスボンベ91とを連通させることで、ガスボンベ91に充填されたガスをエアバッグ5へ送入させるための部材であり、複数のホースを継手で連結させることにより構成されている。
【0036】
エアバッグ5を作動させる際は、鉄道車両100の運転士が作動スイッチ(図示せず)を操作することで、ガスボンベ91の容器弁が開放され、ガスボンベ91に充填されたガスが連結管92を通ってエアバッグへ送入される。なお、エアバッグ5を作動させる手段としては、上述した作動スイッチに限られるものではなく、例えば、鉄道車両100に装備される非常ブレーキの操作に連動させてエアバッグ5を作動させてもよい。
【0037】
ここで、4つの各エアバッグ5は、それぞれが連結管92により互いに連結されているので、一のエアバッグ5に作用する圧力を他のエアバッグ5に分散できる。即ち、野生動物が一のエアバッグ5に衝突した場合、その一のエアバッグ5の内部圧力が上昇すると共に一のエアバッグ5内の空気が連結管92を通って他のエアバッグ5へ案内される。これにより、一のエアバッグ5に作用する内部圧力を他のエアバッグ5に分散できるので、一のエアバッグ5の内部圧力の上昇による一のエアバッグ5の破裂を防止できる。
【0038】
また、2つのガスボンベ91が装着されているので、故障等の理由により一のガスボンベ91からエアバッグ5へガスが送入されない場合であっても、4つのエアバッグ5のすべてにガスを送入できる。よって、一のガスボンベ91に不具合があった場合でも、4つのエアバッグ5のすべてを膨出させることができる。
【0039】
なお、各エアバッグ5と連結管92とは、エアバッグ5及び連結管92に取着されると共に着脱自在に接続される一対のクイックカプラ93を介して連結されており、連結管92に対してエアバッグ5が着脱可能に装着されている。これにより、例えば、エアバッグ5が破損した際において、エアバッグ5を容易に着脱できるので、エアバッグ5を交換する際の作業性を向上させることができる。
【0040】
また、各エアバッグ5には、エアバッグ5の内部圧力の上昇または下降により開閉する弁を有するリリーフバルブ94がクイックカプラ93を介して装着されている。これにより、エアバッグ5の内部圧力が一定以上に到達した場合に、エアバッグ5内部のガスを外部へ逃がすことができ、その結果、エアバッグ5の内部圧力を低下させることができる。なお、本実施の形態では、エアバッグ5が膨出された状態における内部圧力が20kPa(大気圧を0kPaとしたゲージ圧)に設定され、リリーフバルブ94は、エアバッグ5の内部圧力が25kPa以上になると開放され、20kPa以下になると閉鎖される。
【0041】
次に、図4及び図5を参照して、エアバッグ5が膨出された状態における鉄道車両100の構成について説明する。図4は、鉄道車両100の部分拡大側面図である。図5(a)は、鉄道車両100の正面図であり、図5(b)は、鉄道車両100の部分拡大上面図である。なお、図4では、図面を簡素化して説明を分かりやすくするため、エアバッグ5を模式的に図示すると共に、第1側方エアバッグ部52に配置される収容部6の一面側の面に対して垂直な方向から視た状態を図示している。また、図5(b)では、蓋部7及びマグネット71の図示を省略している。
【0042】
図4に示すように、ガスボンベ91(図3参照)からエアバッグ5の内部にガスが送入されると、エアバッグ5が膨張すると共に蓋部7がエアバッグ5に押圧される。そのエアバッグ5の押圧力により、マグネット71とマグネット受け61との磁着が解除され、蓋部7は、膨張するエアバッグ5に押圧されつつ鉄道車両100の進行方向前側(図4右側)へ向けて揺動する。これにより、収容部6の開口が開放され、収容部6に収容されたエアバッグ5が鉄道車両100の進行方向前側へ向けて膨出する。
【0043】
ここで、蓋部7は、一側の長辺の側端が2つのヒンジ8により、収容部6に揺動可能に取着されているので、蓋部7が揺動する際に支点となるヒンジ8から蓋部7の重心位置までの距離を小さくできる分、蓋部7に作用する慣性力を小さくできる。よって、エアバッグ5を膨出させて蓋部7を揺動させるために必要なエアバッグ5の押圧力を小さくできる。よって、収容部6に収容されたエアバッグ5を円滑に膨出させることができ、その結果、線路内に野生動物が侵入したことを発見した運転士が、エアバッグ5を作動させ始めてからエアバッグ5を膨出させるまでの時間を短縮できる。
【0044】
さらに、蓋部7は一側の長辺がヒンジ8により収容部6に取着されているので、蓋部7の短辺がヒンジ8により収容部6に取着されている場合と比べて、蓋部7が揺動する際に、蓋部7の他側の長辺が鉄道車両100の進行方向前側に突出する寸法を小さくすることができる。よって、エアバッグ5に衝突する野生動物が蓋部7に接触することを回避しやすくできる。
【0045】
図5(a)又は図5(b)に示すように、上面視した場合、車体3の幅方向(図5(b)左右方向)において、中央エアバッグ部51に配置される収容部6が、第1側方エアバッグ部52又は第2側方エアバッグ部53に配置される収容部6と互いに重なり合う位置に配置されているので、エアバッグ5が膨出された状態では、中央エアバッグ部51のうち、車体3の幅方向一側(図5(b)左側)に配置されるエアバッグ5の幅方向一側が、第1側方エアバッグ部52に配置されるエアバッグ5の車体3における幅方向中心側(図5(b)右側)と互いに重なり合う位置に配置される。同様に、エアバッグ5が膨出された状態では、中央エアバッグ部51のうち、車体3の幅方向他側(図5(a)右側)に配置されるエアバッグ5の幅方向他側が、第2側方エアバッグ部53に配置されるエアバッグ5の車体3における幅方向中心側(図5(a)右側)と互いに重なり合う位置に配置される。よって、車体3の幅方向において、中央エアバッグ部51に配置されるエアバッグ5と、第1側方エアバッグ部52又は第2側方エアバッグ部53に配置されるエアバッグ5との間に隙間が形成されることを防止できる。
【0046】
なお、中央エアバッグ部51に2つのエアバッグ5を並設することで、一のエアバッグ5を車体3の幅方向中心よりも幅方向一側へ、他のエアバッグ5を車体3の幅方向中心よりも幅方向他側へ配置できる。これにより、中央エアバッグ部5に配置されるエアバッグ5のうち、車体3の幅方向中心よりも幅方向一側へ配設されるエアバッグ5は、鉄道車両100の進行方向前側を指向する面を車体3の進行方向一側へ向けて配置し、車体3の幅方向中心よりも幅方向他側へ配設されるエアバッグ5は、鉄道車両100の進行方向前側を指向する面を車体3の進行方向他側へ向けて配置することができる。よって、中央エアバッグ部51に配設されるエアバッグ5の形状を単純化することができるので、エアバッグ5の製造コストを抑制できる。
【0047】
また、中央エアバッグ部51に並設される2つのエアバッグ5は、膨出された状態では、車体3の幅方向(図5(a)左右方向)で互いに接触する位置に配置される。これにより、中央エアバッグ部51に配置される2つのエアバッグ5の間に隙間が形成されることを防止できる。よって、エアバッグ5を車体3の幅方向全体に配置することができるので、隣接するエアバッグ5の間に野生動物が挟まることを防止できる。
【0048】
さらに、中央エアバッグ部51に配置されるエアバッグ5は、上面視において、鉄道車両100の進行方向前側(図5(b)下側)を指向する面が連結器4よりも進行方向前側へ突出する位置に配置されているので、鉄道車両100の走行に伴い連結器4が移動する軌跡上にいる野生動物に対して、連結器4よりも先にエアバッグ5を衝突させることができるので、野生動物が連結器4に接触することを防止できる。
【0049】
従って、線路上に侵入した野生動物に対して、エアバッグ5を確実に衝突させることができるので、衝突する際における野生動物への衝撃力を緩和することができ、その結果、野生動物が死亡することを回避しやすくできる。
【0050】
また、収容部6のうち、車体3の幅方向中心よりも幅方向一側(図5(b)左側)に配設される収容部6は一面側を車体3の幅方向一側へ向けて配置されているので、中央エアバッグ部51のうち、車体3の幅方向一側に配置されるエアバッグ5及び第1側方エアバッグ部52に配置されるエアバッグ5は、上面視において、膨出された状態における鉄道車両100の進行方向前側(図5(b)下側)を指向する面が、車体3の幅方向中心から幅方向一側に向け車体3の進行方向後側(図5(b)上側)へ傾斜する。
【0051】
同様に、収容部6のうち、車体3の幅方向中心よりも幅方向他側(図5(b)右側)に配設される収容部6は一面側を車体3の幅方向他側へ向けて配置されているので、中央エアバッグ部51のうち、車体3の幅方向他側に配置されるエアバッグ5及び第2側方エアバッグ部53に配置されるエアバッグ5は、上面視において、膨出された状態における鉄道車両100の進行方向前側を指向する面が、車体3の幅方向中心から幅方向他側に向け車体3の進行方向後側へ傾斜している。
【0052】
よって、線路上に侵入した野生動物に対し、鉄道車両100を走行させつつ、エアバッグ5を膨出させた状態で、エアバッグ5のいずれかの部分に野生動物を衝突させることで、衝突による野生動物への衝撃を緩和しつつ、残存した衝撃力により野生動物を線路の側方へ跳ね飛ばすことができる。
【0053】
さらに、中央エアバッグ部51、第1側方エアバッグ部52及び第2側方エアバッグ部53に設けられる各エアバッグ5がすべて同一形状で同一に構成されると共に、各収容部6は、中央エアバッグ部51に配置される収容部6の一面側が、第1側方エアバッグ部52又は第2側方エアバッグ部53に配置される収容部6の一面側と面一状になる位置に配置されているので、中央エアバッグ部51に配置されるエアバッグ5における鉄道車両100の進行方向前側を指向する面と、第1側方エアバッグ部52又は第2側方エアバッグ部53に配置されるエアバッグ5における鉄道車両100の進行方向前側を指向する面とが面一状になる。よって、エアバッグ5に衝突した野生動物を一定の方向に跳ね飛ばすことができる。
【0054】
以上のように、鉄道車両100を停車させることなく、野生動物の死亡を回避しやすくできると共に、野生動物を線路外へ案内できるので、野生動物が鉄道車両100の運行の妨げになることを防止して、鉄道車両100の運行を円滑に行うことができる。
【0055】
なお、本実施の形態では、鉄道車両1の進行方向に対するエアバッグ5の進行方向前側を指向する面の傾斜角度が5度に設定されているが、傾斜角度が3度以上15度以下の範囲内に設定されることが好ましい。傾斜角度が3度未満に設定される場合、エアバッグ5に衝突した野生動物が線路上に跳ね飛ばされるため、跳ね飛ばされた野生動物を線路外へ移動させる作業が必要になる。一方、傾斜角度が15度を超える角度に設定される場合、野生動物が鉄道車両100の進行方向後側へ弾き飛ばされ、鉄道車両100に巻き込まれる恐れがある。これに対し、傾斜角度が3度以上15度以下に設定されることで、エアバッグ5に衝突する野生動物を線路外へ跳ね飛ばすことができる。
【0056】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0057】
また、上記実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。例えば、上記実施の形態では、ガスボンベ91を2つ備える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ガスボンベ91を1つ、又は3つ以上備えていてもよい。
【0058】
上記実施の形態では、エアバッグ5を4つ備える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、エアバッグ5を2つ以上備えていればよい。例えば、正面視略L字形状のエアバッグを2つ備え、それら2つのエアバッグを正面視略略コ字状に配置することで、連結器4が配置される位置を避けつつ、膨出させた状態において、エアバッグを広域に配置することができる。また、中央エアバッグ部にエアバッグを3つ以上配置し、中央エアバッグ部のエアバッグが膨出された状態において、中央エアバッグ部のエアバッグを車体3の幅方向一端側から他端側まで隙間なく配置できるようにエアバッグ5を装着することで、膨出した状態において、エアバッグを広域に配置することができる。
【0059】
上記各実施の形態では、エアバッグ5の内部圧力が25kPa以上になると開放され、20kPaになると閉鎖されるリリーフバルブ94を備えている場合を説明したが、必ずしもこれに限られものではなく、リリーフバルブ94の代わりに、又はリリーフバルブ94と共に、エアバッグ5の内部圧力が所定の閾値(例えば20kPa)を上回った場合に開放され、その所定の閾値を下回った場合に閉鎖されるバルブを使用してもよい。
【0060】
上記実施の形態では、2つのガスボンベ91を備え、4つの各エアバッグ5は、それぞれが連結管92により互いに連結されている場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、一のガスボンベ91には2つのエアバッグ5が連結管92により連結され、他のガスボンベ91には残りの2つのエアバッグ5が連結管92に連結され、一のガスボンベ91に連結される2つのエアバッグ5と、他のガスボンベ91に連結される2つのエアバッグ5とが分断されていてもよい。これにより、エアバッグ5の配置位置に関する自由度を上昇させることができる。
【0061】
上記実施の形態では、中央エアバッグ部51、第1側方エアバッグ部52及び第2側方エアバッグ部53に設けられる各エアバッグ5、各収容部6及び各蓋部7は、すべて同一形状で同一に構成されている場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、中央エアバッグ部51、第1側方エアバッグ部52及び第2側方エアバッグ部53に設けられる各エアバッグ5、各収容部6及び各蓋部7をそれぞれ異なる形状に形成してもよい。これにより、エアバッグ5の配置位置に関する自由度を上昇させることができる。
【0062】
上記実施の形態では、中央エアバッグ部51に配置されるエアバッグ5が、上面視において、鉄道車両100の進行方向前側を指向する面が連結器4よりも進行方向前側へ突出する位置に配置されている場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、上面視において、少なくとも、鉄道車両100の走行に伴い連結器4が移動する軌跡上(上面視における連結器4の幅方向一側から他側までの範囲内)において、鉄道車両100の進行方向前側を指向する面が連結器4よりも進行方向前側へ突出する位置に配置されていればよい。
【0063】
上記実施の形態では、エアバッグ5のうち、車体3の幅方向中心よりも幅方向一側に配設されるエアバッグ5が、膨出した状態におけるエアバッグ5の鉄道車両100の進行方向前側を指向する面を車体3の幅方向一側へ向けて配置され、車体3の幅方向中心よりも幅方向他側に配設されるエアバッグ5が、収容部6の他面側および膨出した状態におけるエアバッグ5の鉄道車両100の進行方向前側を指向する面を車体3の幅方向他側へ向けて配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、エアバッグ5が膨出された状態において、鉄道車両100の進行方向前側を指向する面のうち、所定の基準位置によりも車体3の幅方向一側に位置する部分が、所定の基準位置から幅方向一側へ向け鉄道車両100の進行方向後側へ傾斜し、所定の基準位置よりも車体3の幅方向他側に位置する部分が所定の基準位置から幅方向他側へ向け進行方向後側へ傾斜していればよい。
【符号の説明】
【0064】
100 鉄道車両
3 車体
4 連結器
5 エアバッグ
51 中央エアバッグ部
52 第1側方エアバッグ部
53 第2側方エアバッグ部
6 収容部
7 蓋部
8 ヒンジ
91 ガスボンベ
92 連結管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の妻面下方に設置されると共にガスの送入により進行方向前側へ向けて膨出される袋状のエアバッグを備える鉄道車両において、
前記エアバッグを複数備え、
前記エアバッグは、膨出された状態において、進行方向前側を指向する面のうち、所定の基準位置よりも前記車体の幅方向一側に位置する部分が前記所定の基準位置から幅方向一側へ向け進行方向後側へ傾斜し、前記所定の基準位置よりも前記車体の幅方向他側に位置する部分が前記所定の基準位置から幅方向他側へ向け進行方向後側へ傾斜していることを特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
前記複数のエアバッグは、
前記車体同士を互いに連結する連結器の上方または下方に配設される中央エアバッグ部と、
前記連結器に対して前記車体の幅方向一側に配設される第1側方エアバッグ部と、
前記連結器に対して前記車体の幅方向他側に配設される第2側方エアバッグ部とを備え、
上面視において、前記エアバッグが膨出された状態における前記中央エアバッグ部の前記車体の幅方向一側が前記エアバッグが膨出された状態における前記第1側方エアバッグ部の前記車体における幅方向中心側と、前記エアバッグが膨出された状態における前記中央エアバッグ部の前記車体における幅方向他側が前記エアバッグが膨出された状態における前記第2側方エアバッグ部の前記車体の幅方向中心側と、それぞれ互いに重なり合っていることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両。
【請求項3】
前記中央エアバッグ部には、前記複数のエアバッグが前記車体の幅方向に沿って並設され、
前記エアバッグが膨出された状態において、隣接する前記中央エアバッグ部の前記エアバッグが、前記車体の幅方向で互いに接触していることを特徴とする請求項2記載の鉄道車両。
【請求項4】
前記中央エアバッグ部は、上面視において、進行方向前側を指向する面のうち、少なくとも前記連結器の幅方向一側から他側までの範囲内では、前記連結器よりも進行方向前側へ突出していることを特徴とする請求項2又は3に記載の鉄道車両。
【請求項5】
前記複数のエアバッグは、それぞれ同一形状に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鉄道車両。
【請求項6】
前記エアバッグが収容されると共に一面側に略長方形状の開口を有する箱状の収容部と、
その収容部の一面側を被覆すると共に正面視略長方形状に形成される板状の蓋部とを備え、
前記蓋部は、一側の長辺の側端がヒンジにより前記収容部に揺動自在に取着され、
前記収容部が、一面側を進行方向前側へ向けつつ前記ヒンジを上方に配置させた状態で前記車体に装着されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の鉄道車両。
【請求項7】
前記エアバッグに送入されるガスが充填される複数のガスボンベと、それらガスボンベ及び前記エアバッグを連通させる管状の連結管とを備え、
一の前記ガスボンベに連通される前記エアバッグ及び他の前記ガスボンベに連通される前記エアバッグが前記連結管により互いに連通されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の鉄道車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate