説明

鉄道輸送用防振マット

【課題】 輸送する貨物の特性に合せて最大の効果が得られるように、防振材を取換え自在に設けるとともに、その形態をコンパクトなものとし、荷役性を損なわないようにする鉄道輸送用防振マットを提供する。
【解決手段】 貨物列車の荷台上に載置するための防振用マットであって、貨物を積載するための平板状の荷台2と、前記荷台2を支承するための扁平なベース部材3と、前記ベース部材3の裏面に配置される防振材が、直接又はアタッチメントを介して間接的に着脱自在に取付け可能な防振材固定用の取付け具4から構成され、種類の異なる防振材を、直接又はアタッチメントを用いて、貨物に相応する防振材に取換え可能に構成して鉄道輸送用防振マット1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、列車の走行中に発生する振動によって、積載した貨物などの物品が損傷することを防止するための鉄道輸送用防振マットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化が社会的問題となり、省エネの重要性が高まるなか、他の輸送モードに比較してCOの排出量が少ない鉄道輸送は、環境負荷の小さな輸送手段として、大きな脚光を浴びている。
特に、近年では、エネルギーの使用の合理化に関する法律の施行や、少子高齢化に伴う長距離トラックドライバー不足などの理由によって、産業界からも、効率的に大量の貨物を輸送する手段として、鉄道輸送、鉄道コンテナ輸送が担う役割に大きな期待が寄せられている。
【0003】
そのため、例えば、貨物駅の着発線荷役方式(E&S方式)への転換が推進され、入替え作業や連結作業をなくすことで、貨物事故の一つの要因である振動・衝撃の低減化が図られている。
また、走行中の振動・騒音の原因とされるフラット化対策でも、レールと車輪との間で発生する振動の低減を図るなど、貨物事故防止に向けた対策が進められている。
同様に、鉄道利用運送業者(通運事業者ともいう。)においても、養生対策の徹底などによって、貨物事故防止に向けた取り組みがなされ、鉄道輸送の拡大を推進する努力がなされている。
【0004】
前記鉄道輸送における貨物事故は、大きく分けると「擦り傷」「破裂」および「荷崩れ」であると言われている。
前記擦り傷は、商品を包装している外箱(ダンボールなどからなる包装用容器)同士が擦れ合って生ずるもので、外箱の印字面が不鮮明となって、表面に印刷された商品名やバーコードなどに損傷が生ずると商品価値が消失し、クレームの対象となる。
破裂は、商品自体を収容している容器そのものが破れ、商品の中身が逸散するものである。また、荷崩れは、積み上げた外箱が整列状態から崩れることである。
【0005】
かかる貨物事故の最大の原因は、列車の走行に伴って生じる振動で、加速度が増加するにしたがって細かい振動、すなわち、鉄道輸送特有の高い周波数(60〜100Hz)が生じる。
この振動は、コンテナ積載用のコキ台車が有する緩衝系では、完全に抑制することができない、とされている。
そこで、鉄道輸送中における貨物事故を軽減させるため、公知の防振パレットの利用などが提案されている。
【0006】
一方、例えば、特開2002−308379号公報(特許文献1)では、振動に弱い物品を損傷させることなく、確実に輸送することができる鉄道貨物輸送用収容体が提案されている。
この鉄道貨物輸送用収容体は、四方を囲繞させた側壁部材と天井部材とによって底部を開放するように形成させた箱状の外框体と、この外框体の下部に設けて該外框体へ一体的に取付けて前記貨物列車における荷台へ固着される支持体と、この支持体において吸振手段を介して、前記外框体内を浮動状態に取付けられた物品を載置する床体とを有し、前記吸振手段は、前記支持体に固着する第一取付体と、前記床体へ固着する第二取付体と、これら第一取付体と第二取付体とに介在させた吸振体とを備えさせたものである。
【0007】
なお、前記吸振手段は、その第一取付体と第二取付体とが、支持体と床体とに対してほぼ水平状態と斜めの角度をもった取付けとによって併設させたもので、前期床体と外框体の側壁部材内周部とに、弾性部材を介在させることも提案されている。
【0008】
他方、トラック輸送に際し、フォークリフトによって搬送されるパレットにおいて、パレットに作用する衝撃や振動を軽減するため、衝撃吸収部材や防振部材などをパレットに着脱自在に設けることが、実用新案登録第3001601号公報、特許第2818748号公報、特許第3615631号公報、特開2007−297056号公報において開示されている。
【特許文献1】特開2002−308379号公報(特許請求の範囲、段落0016、段落0027)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先に述べた現在実用化されている防振パレットは、1台当たり平均100Kg前後と、いずれも自重が重いので、積載量に制限のある貨車に搭載する際、防振パレットの自重分の輸送対象貨物(製品)の積載量を減らす必要性があるので、効率的な鉄道輸送が難しいのが現状である。
【0010】
また、公知の防振パレットは、一機当たりの価格が高価であるので、運賃負担力の無い製品では、導入コストが嵩むとともに、防振パレットの高さ分だけ貨物の積載高さが制限されるなどの問題がある。
【0011】
また、これら防振パレットは、基本的に自動車輸送によって生じる振動(5〜20Hz)を対象としているので、鉄道輸送で発生する振動に対しては、必ずしも効果的なものではない。
さらに、防振パレットにおける防振機材の性能は、主に使用する防振材の性能に左右されるため、輸送できる貨物が特定される。
特に、現状の防振パレットの構造は、作り付けでパレット脚部の防振材を設置しているので、汎用性が少なく、防振効果は、設置した防振材の効果しか得られない。
【0012】
さらにまた、特許文献1に記載の鉄道貨物輸送用収容体は、貨物列車の走行中や発車・停止時に発生する様々な方向からの振動に対し、前記吸振手段により吸収して、床体には伝達しないものであるから、この床体上に据え付けた物品には何ら前記振動の悪影響を与えることがない、と述べられている。
しかしながら、公知の防振パレットと同様に、吸振手段は、特定の部位に固定されるものであるので、収容する貨物の種類が特定され、汎用性がないなど解決すべき課題を有するものである。
【0013】
この発明はかかる現状に鑑み、鉄道輸送に際して生ずる、高周波数振動に対する高い防振効果を奏するとともに、構成が簡単で、しかも取扱いの容易な鉄道輸送用防振マットの提供を目的とするものである。
【0014】
また、この発明の他の目的は、鉄道輸送用防振マットに組み込む防振材を、輸送する貨物の特性に合せて最大の効果が得られるように、防振材を取換え自在に設けるとともに、その形態をコンパクトなものとし、荷役性を損なわないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するため、この発明の請求項1に記載の鉄道輸送用防振マットは、
貨物列車の荷台上に載置するための防振用マットであって、
貨物を積載するための平板状の荷台と、
前記荷台を支承するための扁平なベース部材と、
前記ベース部材の裏面に配置される防振材が、直接又はアタッチメントを介して間接的に着脱自在に取付け可能な防振材固定用の取付け具から構成され、
種類の異なる防振材を、直接又はアタッチメントを用いて、貨物に相応する防振材に取換え可能に構成されていること
を特徴とするものである。
【0016】
また、この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の鉄道輸送用防振マットにおいて、
前記平板状の荷台は、
表面が平滑性素材で構成されたものであること
を特徴とするものである。
【0017】
また、この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1に記載の鉄道輸送用防振マットにおいて、
前記扁平なベース部材は、
所要の幅と長さとを有する、断面がチャンネル状又はリップみぞ状で、扁平な複数のベース材が、長手方向に沿う開口部を下方にして、所要間隔を存して並列配置されるとともに、並列配置された各ベース材が、両端の短手方向の開口部に沿って取付けた断面L型の一対の連結材によって一体的に連結されていること
を特徴とするものである。
【0018】
また、この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項3に記載の鉄道輸送用防振マットにおいて、
前記扁平なベース部材は、
裏面のほぼ中央部に、一対の中空体からなる補強材が、前記ベース材と直交する状態で所要間隔を存して配置固定され、補強されていること
を特徴とするものである。
【0019】
また、この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項1に記載の鉄道輸送用防振マットにおいて、
前記防振材固定用の取付け具は、
基材の表面中央部に所要長さの係止用ボルトが立設されたもので、前記基材が、前記ベース部材を形成するベース材の長手方向に沿う開口部に、リップ表面と面一に設けられていること
を特徴とするものである。
【0020】
また、この発明の請求項6に記載の発明は、
請求項5に記載の鉄道輸送用防振マットにおいて、
前記防振材固定用の取付け具は、
前記ベース部材の、少なくとも4隅および中央部に位置するベース材の長手方向に沿う開口部に、前記係止用ボルトが立設された基材がリップ表面と面一に設けられていること
を特徴とするものである。
【0021】
また、この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項5又は6に記載の鉄道輸送用防振マットにおいて、
前記係止用ボルトには、
リングマウントが、ナットによって直接的に着脱自在に装着されていること
を特徴とするものである。
【0022】
また、この発明の請求項8に記載の発明は、
請求項5又は6に記載の鉄道輸送用防振マットにおいて、
前記基材は、
断面がチャンネル状であって、表面中央部に所要長さの係止用ボルトが立設されたもので、左右の側壁が前記リップ間に形成された開口部内に嵌め込まれ、表面が前記リップ表面と面一に設けられていること
を特徴とするものである。
【0023】
また、この発明の請求項9に記載の発明は、
請求項1に記載の鉄道輸送用防振マットにおいて、
前記アタッチメントは、
所要の大きさを有する板状のアタッチメント主体の中央部に、前記防振材固定用の取付け具に設けられた係止用ボルトを挿通させるためのボルト挿通孔を有するとともに、下面にスプリングマットタイプの防振材の、スプリングを内蔵した円筒体に挿通させるための係止ピンが、前記円筒体に対応して突設されていること
を特徴とするものである。
【0024】
また、この発明の請求項10に記載の発明は、
請求項1に記載の鉄道輸送用防振マットにおいて、
前記アタッチメントは、
中空の扁平なアタッチメント主体で構成され、裏面側には、前記防振材固定用の取付け具に設けられた係止用ボルトを挿通させるためのボルト挿通孔を有するとともに、前記ボルト挿通孔と相対する表面側には締付け工具を挿入するための透孔が形成され、前記表面部の一部又は全部が防振パッドの装着部とされていること
を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
この発明にかかる鉄道輸送用防振マットは、貨物を積載するための荷台の裏面に防振材を装着させるためのベース部材を取付けるとともに、このベース部材の裏面に複数の種類の異なる防振材を、直接又はアタッチメントを用いて、貨物に相応する防振材に取換え可能に構成されているので、貨車で搬送しようとする貨物に応じて、最適な防振材を選択して使用することができるものである。
したがって、列車輸送に伴う特有の貨物事故の発生を減少させ、貨物を安全に搬送することができる。
【0026】
特に、この発明の鉄道輸送用防振マットは、荷台を含めベース部材も扁平なものを使用することによって、鉄道輸送用防振マット自体の嵩高さを解消しているので、従来の搬送用パレットの使用に比較し、より多くの貨物の積載が可能となっている。
また、全体が扁平であるため、荷役性が損われることがなく、コンテナ底面と同様にフラットな構造であるので、パレット貨物にもバラ積み貨物にも対応が可能なものである。
【0027】
また、使用する防振材を含め、鉄道輸送用防振マット自体の重さを軽減させることができるので、列車への貨物の積載量を増加させることができ、鉄道輸送用防振マットの列車への搭載や持ち運びを容易にしている。
【0028】
また、ベース部材への防振材の装着は、積載しようとする貨物の種類に応じて、当該貨物の列車輸送に最適なものを選択することができるので、貨物を安全に搬送することができるとともに、防振材を直接又はアタッチメントを使用して間接的に、簡単かつ容易に装着することが可能であるため、防振材の取換えを効率的に行なうことができるなど、実用性の高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明にかかる鉄道輸送用防振マットの実施の形態を添付の図面に基づいて具体的に説明するが、この発明は図示されたものに限定されるものではなく、この発明の要旨を変更しない範囲内において種々変更を加えることができるものである。
【0030】
この発明の鉄道輸送用防振マット1は、特に図3で明らかなように、所要の大きさを有する平板状の荷台2と、前記荷台2を支承するベース部材3と、前記ベース部材3の裏面に配置される、複数の防振材固定用の取付け具4から構成されるものである。
【0031】
前記平板状の荷台2は、貨物の積載や積み下ろし作業を迅速に行なうため、表面が平滑性を有するものであれば、その材質に特段の制限はないものであるが、重量を軽減し、コストを引き下げるためには、合板材を使用することが好ましい。
この荷台2の大きさは、実施例においては、1,100×1,100mm、厚さ5.5mmとし、前記ベース部材3を含めて総重量を30Kg以下に抑えるように構成しているが、この大きさや厚さは、積載しようとする貨物によって変更可能なものである。
【0032】
前記ベース部材3は、断面がリップみぞ状の鋼材からなる複数のベース材31,31……と、これらベース材31,31……を一体的に連結する、断面がL字状の一対の連結材32,32と、2本の中空の角パイプからなる補強材33,33とで構成されるものである。
【0033】
前記断面がリップみぞ状のベース材31,31……は、それぞれリップ31a,31a間に形成される開口部Aを下方にして、複数(実施例においては5本)を、所要の間隔を存して並行に配置するとともに、左右の開口部Bに沿って前記L字状の連結材32,32が配置され、両者を溶接などの手段によって一体的に連結させて、マット状に構成したものである。
また、その下面中央部には、2本の中空の角パイプからなる補強材33,33が所要間隔を存して並行に、かつ各ベース材31,31……と直交させて配置され、各補強材33と各ベース材31とを溶着手段によって固着して一体化させている。
【0034】
この実施例におけるベース材31は、幅120mm×長さ1,100mm×高さ20mmのものを使用し、前記補強材33は、幅50mm×長さ1,100mm×高さ20mmのものを使用し、高さを抑えかつ強度を向上させているが、積載する貨物の重量に合せて適宜選択して使用される。
【0035】
前記荷台2とベース部材3の結合手段についても特段の制限はないが、損傷するおそれのある荷台2の取換えを考慮すると、荷台2とベース部材3とを連結用ボルト(図示せず)を利用して一体化させることが好ましい。
その場合には、表面の平滑性を維持するため、前記連結用ボルトの頭部が荷台2の表面に顕出させないことが望ましい。
なお、荷台2の表面を平滑状態に保持するには、接着手段も利用することができる。
【0036】
前記取付け具4は、図1に示すように、少なくとも前記ベース部材3の下面の中央部と4隅に配置されるものである。
この取付け具4は、図5に示すように、幅が前記鋼材31の開口部Aの幅と同幅で、断面がチャンネル状の基材41の表面中央部に、裏面側から係止用ボルト42を貫通させ、当係止用ボルト42の頭部43を基材41の裏面に固着して形成したものである。
なお、チャンネル状の基材41に代えて、前記ベース材31と同様の断面がリップみぞ状の基材を使用することもできる。
【0037】
かかる取付け具4は、前記ベース材31の開口部A内に、各側壁44,44をリップ31aに直交させて嵌め込み、基材41の表面と各リップ31aの表面とが面一になるようにしてベース材31に固着させることによって、荷重がかかる取付け具4とその周囲の強度を補強している。
【0038】
かくしてベース部材3の裏面に固着された取付け具4には、例えば図5に示すように、防振材5として、中心部に前記係止用ボルト42を挿通させるためのボルト挿通孔5cを有する円形のプレート5aの下面に、リング状のゴム部材5bを一体的に設けたリングマウントを、ナット10を利用して各取付け具4に装着し、鉄道輸送用防振マット1とするものである。(取付け状態は図3参照)
【0039】
図6は、他の防振材6の取付け例を示すものであって、装着する防振材6は、前記取付け具4の基材とほぼ同形のプレート6aに、内部にスプリングを内装した、複数の円筒体6b,6bを上下方向に貫通させて配置したスプリングマットである。
【0040】
このスプリングマットからなる防振材6を、前記取付け具4に装着するには、中心部にボルト挿通孔7cを有するプレート状のアタッチメント主体7aの下面に、前記円筒状の各円筒体6bに相対させて係止ピン7b,7b……を立設したアタッチメント7を使用するものである。
【0041】
すなわち、前記アタッチメント7のボルト挿通孔7cに、係止ピン7bを下方に向けた状態で係止用ボルト42を挿通させたのち、ボルト挿通孔7cから突出した係止用ボルト42にナット10を係合させて、アタッチメント7を取付け具4に固定する。
ついで、アタッチメント7の各係止ピン7bを、スプリングマットからなる防振材6の対応する円筒体6bに圧入させることによって両者を係合させ、前記取付け具4に防振材6を装着して、鉄道輸送用防振マット1とするものである。(取付け状態は図4参照)
【0042】
図7は、さらに他の防振材8の取付け例を示すものであって、装着する防振材8は、ナイフなどによって容易に切断可能な防振パッドである。
【0043】
この防振パッドからなる防振材8を、前記取付け具4に装着するに際しては、図7に示すようなアタッチメント9を利用して行なうものである。
【0044】
前記アタッチメント9は、全体が扁平な中空体からなるアタッチメント主体9aで形成され、裏面側の中央部には、前記取付け具4に立設された係止用ボルト42のボルト挿通孔9bが形成されるとともに、このボルト挿通孔9bと相対する表面側には、レンチなどの締付け工具を挿入することが可能な程度の大きさの透孔9cが形成されている。
また、前記アタッチメント主体9aの表面には、その一部に、あるいは全面を覆って前記防振パッドからなる防振材8が着脱自在に装着されるものである。
【0045】
したがって、前記防振パッドからなる防振材8を前記取付け具4に装着するには、前記取付け具4の係止用ボルト42に、アタッチメント主体9aの裏面側に形成されたボルト挿通孔9bを係合させたのち、アタッチメント主体9a内に突出した係止用ボルト42の先端部にナット(図示せず)を係合させ、前記表面側に形成された透孔9cからレンチ(図示せず)をアタッチメント主体9a内に挿入してナットを締付け、アタッチメント9をベース部材3に固定する。
【0046】
しかるのち、積載物に最適な防振ゴムからなるシート状の防振材8を、図7に示すようにアタッチメント主体9aの表面の一部に貼着固定するものである。
なお、防振材8は、必要に応じて前記大きな透孔9cを覆って、アタッチメント主体9aの表面全域に貼着してもよいものである。
【0047】
以上述べたように、ベース部材3の取付け具4への防振材(5,6,8)の装着は、前記防振材を直接、又はアタッチメント7又は9を介して間接的に取付け具4に設けるものであるが、直接的に防振材5を装着する場合も、アタッチメント7又は9を使用して間接的に防振材6又は8を装着する場合も、防振材6又は8やアタッチメント7又は9のベース部材3への着脱がきわめて簡単かつ容易であるので、積載せんとする貨物の種類に応じて、最適な防振材を利用することができる。
【0048】
また、使用するリングマウントタイプの防振材5は、この実施例においては、一枚のプレートと、その裏面に固着されたリング状のゴム部材で構成されているが、ゴム部材の厚さをコントロールすることによって、あるいは一枚のプレートと、その裏面に固着されたリング状のゴム部材の複数を上下方向に積層することによって、最適の防振効果を挙げることができる。
【0049】
スプリングマットタイプの防振材6においては、スプリングを内蔵する円筒体の、アタッチメント7への取付け数や高さ、円筒体の素材などを選択することによって、最適の防振効果を挙げることができる。
また、同様に防振パッドタイプの防振材8の場合においても、その素材や厚み、さらにはアタッチメント9への貼着面積などを選択することによって、最適の防振効果を挙げることができる。
【0050】
さらに、ベース部材3への取付け具4の配置や、取付け個数などをコントロールすることによっても、最適な防振効果を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
この発明の鉄道輸送用防振マットは、列車走行時に発生する鉄道特数の周波数の高い振動に対応させるため、防振材の装着を荷台に対して着脱自在とし、簡単かつ容易に着脱できるよう構成しているが、自動車輸送に使用されるパレットにも適用可能なもので、防振効果を求める広い分野での利用が可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明にかかる鉄道輸送用防振マットの一例を示す一部切欠き平面図である。
【図2】この発明の鉄道輸送用防振マットを構成するベース部材の一例を示す側面図である。
【図3】リングマウントタイプの防振材を装着した鉄道輸送用防振マットの要部の一部切欠き側面図である。
【図4】スプリングマットタイプの防振材を装着した鉄道輸送用防振マットの要部の一部切欠き側面図である。
【図5】リングマウントタイプの防振材と取付け具との関係を示す一部切欠き斜視図である。
【図6】スプリングマットタイプの防振材と取付け具との関係を示す一部切欠き斜視図である。
【図7】防振パッドタイプの防振材を装着するための取付け具の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 鉄道輸送用防振マット
2 荷台
3 ベース部材
31 ベース材
32 連結材
33 補強材
4 取付け具
41 基材
42 係止用ボルト
43 頭部
44 側板
5 リングマウントタイプの防振材
5a プレート
5b ゴム部材
5c ボルト挿通孔
6 スプリングマットタイプの防振材
6a プレート
6b 円筒体
7 アタッチメント
7a アタッチメント主体
7b 係止ピン
7c ボルト挿通孔
8 防振パッドタイプの防振材
9 アタッチメント
9a アタッチメント主体
9b ボルト挿通孔
9c 透孔
10 ナット
A,B 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物列車の荷台上に載置するための防振用マットであって、
貨物を積載するための平板状の荷台と、
前記荷台を支承するための扁平なベース部材と、
前記ベース部材の裏面に配置される防振材が、直接又はアタッチメントを介して間接的に着脱自在に取付け可能な防振材固定用の取付け具から構成され、
種類の異なる防振材を、直接又はアタッチメントを用いて、貨物に相応する防振材に取換え可能に構成されていること
を特徴とする鉄道輸送用防振マット。
【請求項2】
前記平板状の荷台は、
表面が平滑性素材で構成されたものであること
を特徴とする請求項1に記載の鉄道輸送用防振マット。
【請求項3】
前記扁平なベース部材は、
所要の幅と長さとを有する、断面がチャンネル状又はリップみぞ状で、扁平な複数のベース材が、長手方向に沿う開口部を下方にして、所要間隔を存して並列配置されるとともに、並列配置された各ベース材が、両端の短手方向の開口部に沿って取付けた断面L型の一対の連結材によって一体的に連結されていること
を特徴とする請求項1に記載の鉄道輸送用防振マット。
【請求項4】
前記扁平なベース部材は、
裏面のほぼ中央部に、一対の中空体からなる補強材が、前記ベース材と直交する状態で所要間隔を存して配置固定され、補強されていること
を特徴とする請求項3に記載の鉄道輸送用防振マット。
【請求項5】
前記防振材固定用の取付け具は、
基材の表面中央部に所要長さの係止用ボルトが立設されたもので、前記基材が、前記ベース部材を形成するベース材の長手方向に沿う開口部に、リップ表面と面一に設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の鉄道輸送用防振マット。
【請求項6】
前記防振材固定用の取付け具は、
前記ベース部材の、少なくとも4隅および中央部に位置するベース材の長手方向に沿う開口部に、前記係止用ボルトが立設された基材がリップ表面と面一に設けられていること
を特徴とする請求項5に記載の鉄道輸送用防振マット。
【請求項7】
前記係止用ボルトには、
リングマウントが、ナットによって直接的に着脱自在に装着されていること
を特徴とする請求項5又は6に記載の鉄道輸送用防振マット。
【請求項8】
前記基材は、
断面がチャンネル状であって、表面中央部に所要長さの係止用ボルトが立設されたもので、左右の側壁が前記リップ間に形成された開口部内に嵌め込まれ、表面が前記リップ表面と面一に設けられていること
を特徴とする請求項5又は6に記載の鉄道輸送用防振マット。
【請求項9】
前記アタッチメントは、
所要の大きさを有する板状のアタッチメント主体の中央部に、前記防振材固定用の取付け具に設けられた係止用ボルトを挿通させるためのボルト挿通孔を有するとともに、下面にスプリングマットタイプの防振材の、スプリングを内蔵した円筒体に挿通させるための係止ピンが、前記円筒体に対応して突設されていること
を特徴とする請求項1に記載の鉄道輸送用防振マット。
【請求項10】
前記アタッチメントは、
中空の扁平なアタッチメント主体で構成され、裏面側には、前記防振材固定用の取付け具に設けられた係止用ボルトを挿通させるためのボルト挿通孔を有するとともに、前記ボルト挿通孔と相対する表面側には締付け工具を挿入するための透孔が形成され、前記表面部の一部又は全部が防振パッドの装着部とされていること
を特徴とする請求項1に記載の鉄道輸送用防振マット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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