説明

鉛筆芯及びその製造方法

【課題】書き味、濃度、強度を損なわずに、黒鉛を色材として用いた場合にも、「テカリ」を生じさせずに、描線が鮮やかな黒色となるシャープペンシル用鉛筆芯、木軸用鉛筆芯などに好適な鉛筆芯及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 黒鉛粒子のa−b面の面積が8μmを超え、500μm未満であって、該黒鉛粒子のa−b面に、下記A群から選ばれる黒色粒子を含むカーボンナノ粒子が接着している黒色粒子を含有することを特徴とする鉛筆芯。
A群:カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤ、黒鉛化カーボンブラック、誘導場燃焼黒鉛化カーボンブラック

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャープペンシル用鉛筆芯、木軸用鉛筆芯などの鉛筆芯に関し、更に詳しくは、黒鉛を色材として用いた鉛筆芯の場合における「テカリ」を生じさせることなく、描線が鮮やかな黒色となる鉛筆芯及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、黒鉛を色材として用いる鉛筆芯は、黒鉛表面(平板状の面)は光を反射しやすいので、いわゆる「テカリ」が生じ、その描線は灰色の発色となってしまうという問題があった。
【0003】
これに対応するための手段としては、例えば、カーボンブラックを含有させることが考えられているが、この場合は書き味が非常に悪くなるという欠点がある。また、黒色染料を用いて鉛筆芯を製造した場合、発色が鮮やかになるが、描線の耐光性、耐候性に問題が生じることとなる。これらの問題は、黒鉛と併用する等の処置を施しても、併せて起るだけで上記問題の解決にならないのが現状である。
【0004】
一方、本願発明の近接技術としては、例えば、1)廃黒鉛ブラシ(黒鉛化カーボンブラック)を微粉砕してなるカーボン粉末を体質材とした鉛筆芯(例えば、特許文献1参照)、2)カーボンナノチューブなどの粒子を鉛筆芯用配合組成物に添加し、消去性が良いにも関わらず耐擦過性に優れた描線が描ける鉛筆芯(例えば、特許文献2参照)、3)メタクリル酸エステルを黒鉛表面に重合して着色剤として使用した鉛筆芯の製造方法(例えば、特許文献3参照)、4)タルク等の板状体質材表面に平均粒径100nm以下のフラーレン、微粒子酸化チタン、シリカ微粒子などを付着させて微粒子付着板状体質材としてから芯体材料と混合し、混練した後、押出成形により成形する鉛筆芯の製造方法(例えば、特許文献4参照)が知られている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1は、廃カーボンブラシをリサイクル使用する点からの技術であり、上記特許文献2は、消去性が良いにも関わらず耐擦過性に優れた描線が描ける鉛筆芯の技術であり、上記特許文献3は、濃度、書味を損なわずに強度を向上せしめる技術であり、上記特許文献4は、平均粒径100nm以下のフラーレンなどの微粒子を鉛筆芯用の材料として用いた場合に、不均一な凝集体が分散している状態を解消し、十分な強度を発揮せしめる鉛筆芯とするために、タルク等の平板状の粒子に、フラーレンなどのより小さな微粒子を単に付着(接着でない)させ、曲げ強度、塗膜厚みなどを強化する技術であり、これらの特許文献1〜4は、本願発明の黒鉛を色材として用いた鉛筆芯の場合における「テカリ」を生じさせることなく、描線が鮮やかな黒色となる鉛筆芯を提供するものとは、その技術的課題、その技術思想(構成及びその作用効果)が相違するものである。
【特許文献1】特開2005−60666号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】特開2007−138031号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】特開昭61−95084号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献4】特開2008−115211号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、黒鉛を色材として用いた鉛筆芯の場合における「テカリ」を生じさせることなく、描線が鮮やかな黒色となるシャープペンシル用鉛筆芯、木軸用鉛筆芯などに好適な鉛筆芯及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記従来の課題等を解決するために、鋭意研究を行った結果、「テカリ」の原因となる黒鉛表面に何らかの処置を施した顔料を用いることによって描線の「テカリ」を排除できないかと考え、種々の検討を行ったが、意外なことに黒鉛表面と同様の「テカリ」を生じる恐れのあるカーボンの結晶構造を持つ特定の素材を黒鉛表面に接着させた粒子等を用いることによって、描線の「テカリ」防止に効果があることが見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(7)に存する。
(1) 黒鉛粒子のa−b面の面積が8μmを超え、500μm未満であって、該黒鉛粒子のa−b面に、下記A群から選ばれる黒色粒子を含むカーボンナノ粒子が接着している黒色粒子を含有することを特徴とする鉛筆芯。
A群:カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤ、黒鉛化カーボンブラック
(2) 前記カーボンナノ粒子の平均一次粒子径が5nm以上、200nm以下である黒色粒子を含むことを特徴とする上記(1)に記載の鉛筆芯。
(3) 前記カーボンナノ粒子の平均一次粒子径が5nm以上、50nm以下である黒色粒子を含むことを特徴とする上記(2)に記載の鉛筆芯。
(4) 前記黒鉛粒子のアスペクト比が3以上、200以下である黒色粒子を含むことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の鉛筆芯。
(5) 前記カーボンナノ粒子と前記黒鉛粒子の配合比が1:1〜1:100の範囲内であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の鉛筆芯。
(6) 下記A群から選ばれる黒色粒子を含むカーボンナノ粒子が接着された黒色粒子と、下記B群およびC群から選ばれる樹脂とを混合し、成形後、150℃以上、300℃以下の温度で低温硬化または耐炎化させた後、1000℃以上、2200℃以下の温度で焼成することを特徴とする鉛筆芯の製造方法。
A群:カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤ、黒鉛化カーボンブラック
B群:ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルポリ塩化ビニル共重合体、ピッチ、ビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂
C群:フラン系樹脂、フェノール系樹脂、セルロース系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、イミド系樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ユリア・メラニン樹脂、エポキシ樹脂
(7) 黒色粒子と下記A群から選ばれるカーボンナノ粒子を下記B群およびC群から選ばれる樹脂と混合し、成形後、150℃以上、300℃以下の温度でC群の樹脂を硬化しつつB群の樹脂を融解、相分離したのち、B群の樹脂を低温硬化させた後、1000℃以上、2200℃以下の温度で焼成することを特徴とする鉛筆芯の製造方法。
A群:カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤ、黒鉛化カーボンブラック
B群:ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルポリ塩化ビニル共重合体、ピッチ、ビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂
C群:フラン系樹脂、フェノール系樹脂、セルロース系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、イミド系樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ユリア・メラニン樹脂、エポキシ樹脂
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、書き味、強度を損なわずに、黒鉛を色材として用いた場合にも、「テカリ」を生じさせずに、描線が鮮やかな黒色となるシャープペンシル用鉛筆芯、木軸用鉛筆芯などに好適な鉛筆芯及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の鉛筆芯は、黒鉛粒子のa−b面の面積が8μmを超え、500μm未満であって、該黒鉛粒子のa−b面に、下記A群から選ばれる黒色粒子を含むカーボンナノ粒子が接着している黒色粒子を含有することを特徴とするものである。
A群:カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤ、黒鉛化カーボンブラック
図1は、本発明の鉛筆芯に用いる黒色粒子を示す概略図面であり、(a)は概略側面図、(b)は概略平面図であり、図示符号Aが黒色粒子、10が黒鉛粒子、11がカーボンナノ粒子である。なお、図中では、明確化の点から区別化しているが、接着焼成後は実際上区別化は困難となるものである。
【0011】
本発明に用いる黒鉛粒子は、黒鉛粒子のa−b面の面積が8μmを超え、500μm未満のものであって、該黒鉛粒子のa−b面に、上記A群から選ばれる黒色粒子を含むカーボンナノ粒子が接着しているものである。
用いる黒鉛粒子としては、例えば、燐片状黒鉛、鱗状(塊状)黒鉛、土状黒鉛、球状化黒鉛、薄片化黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、膨張黒鉛、膨張化黒鉛などの黒鉛粒子を挙げることができる。
【0012】
本発明では、芯の強度、摩耗、摩擦の点から、黒鉛粒子のa−b面の面積が8μmを超え500μm未満のものを用いることが必要であり、更なる芯の強度、摩耗、摩擦の点から、9μm以上100μm以下のものが望ましい。
これらの黒鉛粒子のa−b面の面積が8μm以下であると、芯の強度、滑らかさが低下する結果となり、一方、500μm以上であると、やはり芯の強度が低下し、摩耗も増えすぎる結果となり、好ましくない。
また、黒鉛粒子のアスペクト比は、書き味と強度を更に向上させる点、成形性の点から、好ましくは、2以上、220以下であるもの、更に好ましくは、5以上100以下であるものが望ましい。
【0013】
本発明では、上記黒鉛粒子のa−b面に、上記A群から選ばれる黒色粒子を含むカーボンナノ粒子を接着したものを用いるものである。
用いる上記A群から選ばれる黒色粒子を含むカーボンナノ粒子は、更なる強度及び濃度の向上の点、黒鉛粒子の接着の点から、好ましくは、その平均一次粒子径が5nm以上、200nm以下である黒色粒子を含むもの、更に好ましくは、5nm以上、50nm以下である黒色粒子を含むものが望ましい。
本発明において、「平均一次粒子径」は、SEM画像を株式会社マウンテック製ソフトMac−View ver.4で測定した値を意味するものであり、以下において、例えば、平均一次粒子径が5nmの場合、D50=5nmとして表示する。
【0014】
上記黒鉛粒子のa−b面に接着する、上記A群から選ばれる黒色粒子を含むカーボンナノ粒子を以下に、具体的に詳述する。
用いるカーボンナノファイバーとしては、チューブ径の外径で示されることが多く、ナノファイバーであれば50〜200nmとなるものが挙げられ、カーボンナノチューブとしては、5nm〜50nmとなるものが挙げられ、フラーレンとしては、C60,C70などを用いることができ、この場合一次粒径は0.7〜10nm程度と非常に小さく、が凝集力が大きいため通常30〜70μmとなるものが挙げられ、ナノダイヤとしては、クラスターダイヤ、多結晶ダイヤ、単結晶ダイヤのいずれも用いることが可能で、粒径は10nm〜200nmとなるものが挙げられる。
また、黒鉛化カーボンブラックとしては、東海カーボン社製トーカブラック、誘導場燃焼黒鉛化カーボンブラックなどが挙げられ、また、ファーネス法等によって得られるカーボンブラックを黒鉛粒子のa−b面に接着した後、黒色粒子の製造(焼成)の際や、鉛筆芯の製造(焼成)の際に、当該カーボンブラックを黒鉛化(黒鉛化カーボンブラック)としてもよいものである。なお、カーボンナノ粒子が黒鉛化していないと、強度がでないわりに摩耗せず、カーボンナノ粒子が大きすぎると黒鉛の配向を阻害し、強度が下がるわりに、黒鉛との密着性が低下し、濃度が上がらないものとなる。黒鉛化せしめる温度として、1400〜3000℃程度で黒鉛化せしめることができる。
【0015】
本発明において、黒鉛粒子のa−b面に上記A群から選ばれる黒色粒子を含むカーボンナノ粒子を接着する方法としては、例えば、黒鉛表面に熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等のバインダー成分をすり鉢などによって塗って、上記A群から選ばれる黒色粒子を含むカーボンナノ粒子を接着させた後、非酸化性雰囲気中で焼成することにより、または、黒鉛表面にバインダー成分となる金属被膜を鍍金によって作製し、次いで、上記A群から選ばれる黒色粒子を含むカーボンナノ粒子と金属被膜とを非酸化性雰囲気中で焼成(溶接)することにより行うことができる。
好ましくは、カーボンナノ粒子と黒鉛粒子の配合比は、強度及び書き味を更に向上させる点から、1:1〜1:100の範囲内、更に好ましくは、1:1〜1:50の範囲内であることが望ましい。
【0016】
具体的に用いることができる黒鉛粒子は、例えば、下記1)〜4)などの製法により得ることができる。
1)黒鉛表面にフェノール樹脂、フラン樹脂などの熱硬化性樹脂を上記手段により塗って、上記A群のカーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤ、黒鉛化カーボンブラックなどのカーボンナノ粒子を黒鉛表面に接着させ、窒素ガス雰囲気中などで焼成する。
2)黒鉛表面に塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニルポリ塩化ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂を上記手段により塗って、上記A群のカーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤ、黒鉛化カーボンブラックなどのカーボンナノ粒子を黒鉛表面に接着させ、窒素ガス雰囲気中などで焼成する。
【0017】
3)黒鉛表面にニッケル被膜、銅被膜、銀被膜などの金属被膜を上記手段により形成し、上記A群のカーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤ、黒鉛化カーボンブラックなどのカーボンナノ粒子を金属被膜に溶接させる。
4)黒鉛表面にフェノール樹脂、フラン樹脂などの熱硬化性樹脂を上記手段により塗って、カーボンブラックを黒鉛表面に接着させ、窒素ガス雰囲気中などで焼成する。
なお、焼成雰囲気下としては、上記窒素ガス雰囲気下の他、アルゴン(Ar)やヘリウム(He)、及び真空などの非酸化性雰囲気下で行うことができる。また、焼成温度・時間は、用いる接着手段等により変動するが、800〜1700℃であり、30〜720分間が好ましい。
【0018】
本発明の鉛筆芯は、上記で得られた特性の黒鉛粒子を含有するものであり、その含有量は、鉛筆芯全量中に1〜50質量%であることが好ましく、更に好ましくは、2〜50質量%であるものが望ましい。
この黒鉛粒子の含有量が1質量%未満であると、効果が小さく、50質量%を超えると、強度、書き味が著しく劣る。
【0019】
本発明の鉛筆芯は、上記A群から選ばれる黒色粒子を含むカーボンナノ粒子が接着された黒色粒子と、下記B群およびC群から選ばれる樹脂とを混合し、成形後、150℃以上、300℃以下の温度で低温硬化または耐炎化させた後、1000℃以上、2200℃以下、好ましくは、1000℃以上、2000℃以下の温度で焼成することにより製造することができる。
B群:ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルポリ塩化ビニル共重合体、ピッチ、ビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂
C群:フラン系樹脂、フェノール系樹脂、セルロース系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、イミド系樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ユリア・メラニン樹脂、エポキシ樹脂
【0020】
上記製法において、成形後に低温硬化させる温度が150℃未満であると、可塑剤が気化しきらなかったり、熱効果が起こらなかったりし、一方、300℃を越える温度であると、分解や酸化が急激に進行し、好ましくない。
また、焼成温度が1000℃未満であると、強度が弱く、材料としても安定しない。一方、2200℃を越える温度であると、黒鉛化が急激に進行し、強度がやはり弱くなり、好ましくない。
【0021】
上記特性の黒色粒子と、上記B群から選ばれる樹脂との混合物中には、有機溶剤、安定剤、潤滑剤(成形助剤)などの各成分を適宜選択して混合することができ、また、焼成後、α−オレフィンオリゴマー、脂肪酸エステル、スピンドル油、ワックス類などの含浸油などを含浸させてもよいものである。
【0022】
具体的な製造法として、シャープペンシル用の鉛筆芯を製造する場合、強度、書き味の点から、上記特性の黒色粒子20〜70質量%と、上記BおよびC群から選ばれる樹脂20〜70質量%と、ステアリン酸ナトリウム5〜30質量%等をヘンシェルミキサーで分散混合し、加圧ニーダー、二本ロールで混練し、押出成型機により所定の形状・大きさ等に成型した後、電気炉で150℃以上、300℃以下で低温硬化または耐炎化させ、次いで、非酸化性雰囲気下(窒素ガス雰囲気下、不活性ガス雰囲気下等)で1000℃以上、2200℃以下の温度で焼成し、該焼成芯体の気孔内にα−オレフィンオリゴマー、シリコーンオイル、エステルオイル等の合成油、ヒマシオイル等の植物油、グリース等の潤滑剤を含浸などにより充填することにより鉛筆芯を製造することができる。
【0023】
このように構成される本発明の鉛筆芯及びその製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。
例えば、黒色粒子と上記A群から選ばれるカーボンナノ粒子を上記B群とC群から選ばれる樹脂を混合し、成形後、150℃以上、300℃以下の温度でC群の樹脂を硬化しつつB群の樹脂を融解、相分離したのち、B群の樹脂を低温硬化させた後、1000℃以上、2200℃以下の温度で焼成することにより製造することもできる。即ち、黒鉛表面に上記A群のカーボンナノ粒子を予め接着させた粒子から製造するのではなく、黒鉛粒子と上記A群のカーボンナノ粒子を混合し、鉛筆芯製造時、黒鉛表面に上記A群のカーボンナノ粒子を接着させた状態とすることによっても、上記の製造方法により製造した鉛筆芯と同じ効果を得ることができる。
本発明において、何故、書き味、強度を損なわずに、黒鉛を色材として用いた場合にも、従来における「テカリ」を生じさせずに、描線が鮮やかな黒色となる鉛筆芯が得られる理由は、下記によるものと推察される。
すなわち、本発明では、黒鉛粒子のa−b面の面積が8μmを超え、500μm未満であって、該黒鉛粒子のa−b面に、上記A群から選ばれる黒色粒子を含むカーボンナノ粒子が接着している黒色粒子を含有する鉛筆芯では、黒鉛表面が黒色粒子で覆われる事で黒鉛a−b面の反射を抑え、その部分に存在する黒色粒子が入射光を吸収し、正反射を抑えるためである。
【実施例】
【0024】
次に、黒色粒子の製造例、並びに、鉛筆芯の実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0025】
〔製造例1〜6〕
黒鉛として天然燐片状黒鉛を用いた。また、黒鉛粒子のa−b面の面積、アスペクト比は、下記方法により測定したものである。
(黒鉛粒子のa−b面の面積の測定法)
黒鉛粒子をアルコールで分散させ、アルミニウムのSEM試料台に塗布、乾燥させることにより試料台表面にa−b軸配向させ、SEMの計測機能で各長さ測定を行い面積を計算する。
(アスペクト比の測定法)
カーボン粘着シートに黒鉛を振り掛け、SEMで直角に張り付いている黒鉛粒子を探し、10粒の厚さを計測し、平均値を計算。以下の式でアスペクト比を計算する。
アスペクト比=(a−b面の面積)1/2/c軸長
これらの測定結果を下記表1に示す。
【0026】
(製造例1)
黒鉛表面にエチルアルコールで溶かしたフェノール樹脂をミキサーで混合しながらエチルアルコールを気化させつつコーティングし、黒鉛化カーボンブラック粒子(D50=8nm)をすり鉢により黒鉛表面に接着させ、1200℃の窒素ガス雰囲気中で30分間焼成した。なお、黒鉛:フェノール樹脂:黒鉛化カーボンブラック粒子=12:1:3(質量比、以下同様)
【0027】
(製造例2)
黒鉛と塩化ビニル樹脂とカーボンナノチューブ粒子(チューブ外径D50=50nm)を二本ロールで強力に混練することによって密着させ、1200℃の窒素ガス雰囲気中で30分間焼成した。(黒鉛:塩化ビニル樹脂:黒鉛化カーボンブラック粒子=12:1:3)
【0028】
(製造例3)
日本黒鉛製ニッケル表面処理黒鉛を強力に混練することによって、黒鉛化カーボンブラック粒子(D50=8nm)を密着させ、ニッケル被膜によって黒鉛と溶接させた。(黒鉛:ニッケル:黒鉛化カーボンブラック粒子=12:3:3)、溶接(焼成)温度:窒素ガス雰囲気中1500℃、溶接(焼成)時間:30分間
【0029】
(製造例4)
黒鉛表面にエチルアルコールで溶かしたフェノール樹脂をミキサーで混合しながらエチルアルコールを気化させつつコーティングし、黒鉛化カーボンブラック粒子(D50=100nm)をすり鉢により黒鉛表面に接着させ、窒素ガス雰囲気中、1200℃で焼成した。(黒鉛:フェノール樹脂:黒鉛化カーボンブラック粒子=12:1:3)
【0030】
(製造例5)
黒鉛表面にエチルアルコールで溶かしたフェノール樹脂をミキサーで混合しながらエチルアルコールを気化させつつコーティングし、ファーネス法カーボンブラック粒子(D50=8nm)をすり鉢により黒鉛表面に接着させ、窒素ガス雰囲気中、2000℃で焼成した。(黒鉛:フェノール樹脂:ファーネス法カーボンブラック粒子=12:1:3)
【0031】
(製造例6)
黒鉛表面にエチルアルコールで溶かしたフェノール樹脂をミキサーで混合しながらエチルアルコールを気化させつつコーティングし、ファーネス法カーボンブラック粒子(D50=8 nm)をすり鉢により黒鉛表面に接着させ、窒素ガス雰囲気中、1200℃で焼成した。(黒鉛:フェノール樹脂:ファーネス法カーボンブラック粒子=12:1:3)この時点ではファーネス法カーボンブラック粒子は黒鉛化していない。
【0032】
〔実施例1〜9及び比較例1〜4〕
下記に示す各配合組成、各製造法で各鉛筆芯を得た。なお、低温熱処理温度(低温硬化温度)は、いずれも200℃−8時間で処理した。また、用いたステアリン酸ナトリウムは塩化ビニルの安定剤であり、ジオクチルフタレートは塩化ビニルの可塑剤である。
得られた実施例1〜9及び比較例1〜4の鉛筆芯について、下記方法により、曲げ強度、摩耗性、濃度、分光側色計濃度、動摩擦係数(書き味の代用)について評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
【0033】
(実施例1:鉛筆芯1)
製造例1の黒色粒子を用いて、下記配合組成、製造法で鉛筆芯を得た。
製造例1の黒色粒子 40質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 19質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、二本ロールで混練、粉砕し、線状に押出成形した後、窒素気流中2000℃で焼成し、φ0.565mmの黒鉛化カーボンブラック含有鉛筆芯を得た。これにα−オレフィンオリゴマーを含浸し、φ0.565mmの黒色鉛筆芯を得た。
【0034】
(実施例2:鉛筆芯2)
製造例2の黒色粒子を用いて、下記配合組成、製造法で鉛筆芯を得た。
製造例2の黒色粒子 40質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 19質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、二本ロールで混練、粉砕し、線状に押出成形した後、窒素気流中1000℃で焼成し、φ0.565mmのカーボンナノチューブ含有鉛筆芯を得た。これにα−オレフィンオリゴマーを含浸し、φ0.565の黒色鉛筆芯を得た。
【0035】
(実施例3:鉛筆芯3)
製造例3の黒色粒子を用いて、下記配合組成、製造法で鉛筆芯を得た。
製造例3の黒色粒子 40質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 19質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、二本ロールで混練、粉砕し、線状に押出成形した後、窒素気流中1000℃で焼成し、φ0.565mmの黒鉛化カーボンブラック含有鉛筆芯を得た。これにα−オレフィンオリゴマーを含浸し、φ0.565mmの黒色鉛筆芯を得た。
【0036】
(実施例4:鉛筆芯4)
製造例4の黒色粒子を用いて、下記配合組成、製造法で鉛筆芯を得た。
製造例4の黒色粒子 40質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 19質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、二本ロールで混練、粉砕し、線状に押出成形した後、窒素気流中1000℃で焼成し、φ0.565mmの黒鉛化カーボンブラック含有鉛筆芯を得た。これにα−オレフィンオリゴマーを含浸し、φ0.565mmの黒色鉛筆芯を得た。
【0037】
(実施例5:鉛筆芯5)
製造例5の黒色粒子を用いて、下記配合組成、製造法で鉛筆芯を得た。
製造例5の黒色粒子 40質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 19質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、二本ロールで混練、粉砕し、線状に押出成形した後、窒素気流中1000℃で焼成し、φ0.565mmの黒鉛化カーボンブラック含有鉛筆芯を得た。これにα−オレフィンオリゴマーを含浸し、φ0.565mmの黒色鉛筆芯を得た。
【0038】
(実施例6:鉛筆芯6)
製造例6の黒色粒子を用いて、下記配合組成、製造法で鉛筆芯を得た。なお、製造例6は、最初の段階でカーボンブラックが黒鉛化していないものであり、鉛筆芯にした場合に、焼成黒鉛化したものである。
製造例6の黒色粒子 40質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 19質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、二本ロールで混練、粉砕し、線状に押出成形した後、窒素気流中2000℃で焼成し、φ0.565mmの黒鉛化カーボンブラック含有鉛筆芯を得た。これにα−オレフィンオリゴマーを含浸し、φ0.565mmの黒色鉛筆芯を得た。
【0039】
(実施例7:鉛筆芯7)
製造例1に準拠する(カーボンナノ粒子の平均粒径が200nm以上となる)黒色粒子を用いて、下記配合組成、製造法で鉛筆芯を得た。
製造例1で黒鉛化カーボンブラック粒子の粒径が200nmの黒色粒子 40質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 19質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、二本ロールで混練、粉砕し、線状に押出成形した後、窒素気流中1000℃で焼成し、φ0.565mmの鉛筆芯を得た。これにα−オレフィンオリゴマーを含浸し、φ0.565mmの黒色鉛筆芯を得た。
【0040】
(実施例8、鉛筆芯8)
製造例1に準拠する(a−b面の面積が100μmでc軸長が5μmの場合の)黒色粒子を用いて、下記配合組成、製造法で鉛筆芯を得た。
製造例1(a−b面の面積が100μmでc軸長が5μmの場合の)黒鉛粒子
40質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 19質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、二本ロールで混練、粉砕し、線状に押出成形した後、窒素気流中1000℃で焼成し、φ0.565mmの鉛筆芯を得た。これにα−オレフィンオリゴマーを含浸し、φ0.565mmの黒色鉛筆芯を得た。
【0041】
(実施例9:鉛筆芯9)
製造例1に準拠する(a−b面の面積が400μmでc軸長が0.09μmの場合の)黒色粒子を用いて、下記配合組成、製造法で鉛筆芯を得た。
製造例1(a−b面の面積が400μmでc軸長が0.09μm)の黒鉛粒子
40質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 19質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、二本ロールで混練、粉砕し、線状に押出成形した後、窒素気流中1000℃で焼成し、φ0.565mmの鉛筆芯を得た。これにα−オレフィンオリゴマーを含浸し、φ0.565mmの黒色鉛筆芯を得た。
【0042】
(比較例1、比較芯1:通常の鉛筆芯)
下記配合組成、製造法で鉛筆芯を得た。
天然燐片状黒鉛(7μm) 40質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 19質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、二本ロールで混練、粉砕し、線状に押出成形した後、窒素気流中1000℃で焼成し、φ0.565mmの鉛筆芯を得た。これにα−オレフィンオリゴマーを含浸し、φ0.565mmの鉛筆芯を得た。
【0043】
(比較例2、比較芯2)
下記配合組成、製造法で鉛筆芯を得た。
製造例1準拠(a−b面の面積が500μm)の黒色粒子 40質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 19質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、二本ロールで混練、粉砕し、線状に押出成形した後、窒素気流中1000℃で焼成し、φ0.565mmの鉛筆芯を得た。これにα−オレフィンオリゴマーを含浸し、φ0.565mmの黒色鉛筆芯を得た。
【0044】
(比較例3、比較芯3)
製造例6の黒色粒子 40質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 19質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、二本ロールで混練、粉砕し、線状に押出成形した後、窒素気流中1000℃で焼成し、φ0.565mmの鉛筆芯を得た。これにα−オレフィンオリゴマーを含浸し、φ0.565mmの黒色鉛筆芯を得た。なお、本件工程中、どこにもファーネス法カーボンブラック粒子が黒鉛化する工程がない比較例である。
【0045】
(比較例4、比較芯4)
下記配合組成、製造法で鉛筆芯を得た。
製造例1準拠(a−b面の面積が8μm)の黒色粒子 40質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 19質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、二本ロールで混練、粉砕し、線状に押出成形した後、窒素気流中1000℃で焼成し、φ0.565mmの鉛筆芯を得た。これにα−オレフィンオリゴマーを含浸し、φ0.565mmの黒色鉛筆芯を得た。
【0046】
(曲げ強度の測定方法)
JIS S 6005−2000に規定されている強度試験(支点間40mm、20mm/min)でテンシロン(ORIENTEC RTC−1150A)を用いて三点曲げ試験により鉛筆芯の曲げ強度を測定した(n=100)。
【0047】
(鉛筆芯の摩耗量の試験方法)
JIS S 6005:2007に規定されている濃度試験で(但し、筆記角度90°、荷重100gf、筆記距離6m、摩耗促進のため、トレーシングペーパーを画線紙に用いて)筆記した際の鉛筆芯の摩耗長さの変化量(mm)を測定した(n=10)。
【0048】
(濃度の測定方法)
JIS S 6005:2007に規定されている濃度試験で筆記した鉛筆芯の描線を濃度計(コニカミノルタ社製 DENSITOMETER PDA65)で測定した値である(n=10×4ヵ所)。
【0049】
(分光側色計濃度の測定方法)
D=log1/R
D=濃度
R=反射率(但し、画線用紙の反射率を1とする)
反射率は、積分球を備えた「CM−3600d(コニカミノルタ社製)」で測定したY値を用いる。
【0050】
(動摩擦係数の測定方法)
JIS S 6005:2007に規定されている画線機を用いた画線方法における画線中の全動摩擦力の平均値を筆記荷重で割った値。(n=10)。
【0051】
【表1】

【0052】
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲の1〜9の鉛筆芯は、本発明の範囲外となる比較例1〜4に較べて、曲げ強度、摩耗性、書き味を損なわずに、黒鉛を色材として用いた場合にも、「テカリ」を生じさせずに、描線が鮮やかな黒色となる鉛筆芯が得られることが判明した。
特に好ましい範囲となる実施例1〜6は、実施例7〜9に較べて、曲げ強度、摩耗性、書き味を損なわずに、黒鉛を色材として用いた場合にも、「テカリ」を生じさせずに、濃度の値から、更に描線が鮮やかな黒色となる鉛筆芯が得られることが判った。また、実施例5及び6に示すように、最初の段階でカーボンブラックが黒鉛化していなくとも、黒色粒子や、鉛筆芯の製造の際に焼成して黒鉛しても本発明の効果が発揮できることが判明した。
これに対して、比較例1は、通常の黒鉛を色材として用いた場合の鉛筆芯であり、「テカリ」を生じ、描線が灰色に見え、黒色の濃度が劣る鉛筆芯であり、比較例2及び4では黒鉛粒子のa−b面の面積が範囲外(小さい、大きい)となる場合であり、この場合は黒色の濃度が劣る鉛筆芯となるものであり、比較例3ではカーボンナノ粒子が黒鉛化されていない場合にも濃度が劣り、しかも、摩耗を少なく目的の鉛筆芯とならないことが判った。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明では、黒鉛を色材として用いた場合にも、「テカリ」を生じさせずに、描線が鮮やかな黒色となるものであり、シャープペンシル用鉛筆芯、木軸用鉛筆芯などの鉛筆芯に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す黒色粒子の概略を示すものであり、(a)は概略側面図、(b)は概略平面図である。
【符号の説明】
【0055】
A 黒色粒子
10 黒鉛粒子
20 カーボンナノ粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒鉛粒子のa−b面の面積が8μmを超え、500μm未満であって、該黒鉛粒子のa−b面に、下記A群から選ばれる黒色粒子を含むカーボンナノ粒子が接着している黒色粒子を含有することを特徴とする鉛筆芯。
A群:カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤ、黒鉛化カーボンブラック
【請求項2】
前記カーボンナノ粒子の平均一次粒子径が5nm以上、200nm以下である黒色粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の鉛筆芯。
【請求項3】
前記カーボンナノ粒子の平均一次粒子径が5nm以上、50nm以下である黒色粒子を含むことを特徴とする請求項2に記載の鉛筆芯。
【請求項4】
前記黒鉛粒子のアスペクト比が3以上、200以下である黒色粒子を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の鉛筆芯。
【請求項5】
前記カーボンナノ粒子と前記黒鉛粒子の配合比が1:1〜1:100の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の鉛筆芯。
【請求項6】
下記A群から選ばれる黒色粒子を含むカーボンナノ粒子が接着された黒色粒子と、下記B群およびC群から選ばれる樹脂とを混合し、成形後、150℃以上、300℃以下の温度で低温硬化または耐炎化させた後、1000℃以上、2200℃以下の温度で焼成することを特徴とする鉛筆芯の製造方法。
A群:カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤ、黒鉛化カーボンブラック
B群:ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルポリ塩化ビニル共重合体、ピッチ、ビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂
C群:フラン系樹脂、フェノール系樹脂、セルロース系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、イミド系樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ユリア・メラニン樹脂、エポキシ樹脂
【請求項7】
黒色粒子と下記A群から選ばれるカーボンナノ粒子を下記B群およびC群から選ばれる樹脂と混合し、成形後、150℃以上、300℃以下の温度でC群の樹脂を硬化しつつB群の樹脂を融解、相分離したのち、B群の樹脂を低温硬化させた後、1000℃以上、2200℃以下の温度で焼成することを特徴とする鉛筆芯の製造方法。
A群:カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤ、黒鉛化カーボンブラック
B群:ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルポリ塩化ビニル共重合体、ピッチ、ビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂
C群:フラン系樹脂、フェノール系樹脂、セルロース系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、イミド系樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ユリア・メラニン樹脂、エポキシ樹脂

【図1】
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【公開番号】特開2010−116451(P2010−116451A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289392(P2008−289392)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【Fターム(参考)】