説明

鉛蓄電池用電極および鉛蓄電池

【課題】 従来の鉛蓄電池と比較して、充放電サイクル後でも、優れた入力特性を発揮する鉛蓄電池を提供する。
【解決手段】 電極活物質として鉛含有材料を含む層と電極活物質として多孔性炭素質材料を含む層とを含有する電極活物質層、および集電体からなる鉛蓄電池用電極であって、前記電極活物質層中に含有される鉛原子の質量をA、多孔性炭素質材料の質量をBとしたとき、B/(A+B)×100が1.0〜15%である、鉛蓄電池用電極を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛蓄電池用電極およびその電極を使用した鉛蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
正極活物質として二酸化鉛、負極活物質として鉛を使用し、電解液に硫酸水溶液を使用した鉛蓄電池は、他の二次電池と比較して安価で大電流放電に適することから多くの産業にて使用されており、リチウムイオン二次電池等の高容量二次電池が隆盛を誇る今日もその重要性は失われておらず、現在でも鉛蓄電池性能向上の検討が精力的に行われている。
近年、鉛蓄電池の長所である短時間の大電流放電特性の向上、ならびに短所である放電深度の大きいサイクル特性の向上に関して、活性炭を使用した技術が報告されている。
【0003】
例えば特許文献1では、集電体を挟んだ一面に鉛活物質層を、反対の面に活性炭、カーボンブラック、カルボキシメチルセルロース、ネオプレンを混合しペースト塗布した活性炭活物質層を配置した鉛蓄電池が、42Vマイルドハイブリッド電気自動車用蓄電池に関する典型的な充放電サイクルを模擬したサイクル特性に優れるとしている。
【0004】
また特許文献2では、正極を二酸化鉛、負極を活性炭織物、あるいは活性炭とポリエチレンを混合焼結形成したものとした蓄電デバイスが、従来の電気二重層キャパシタに比べてより大きなエネルギー密度を有しているとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2005/027255号公報
【特許文献2】特表2002−509351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鉛蓄電池の特性改善課題として、高入力特性の改善が挙げられる。高入力特性とは、蓄電池の急速充電電流の受け入れやすさを指す。一般的に蓄電池は出力特性よりも入力特性の方が劣っているが、鉛蓄電池はその差は顕著であり、大きな課題となっている。これらの課題に対して特許文献1の方法であると、電気二重層容量を十分に活かした高入力特性が十分でない。また、特許文献2のような方法であると、負極全体の容量が十分でないため、入力特性が十分とはいえなかった。
従って、本発明の目的は、従来の鉛蓄電池と比較して、充放電サイクル後でも、優れた入力特性を発揮する鉛蓄電池用電極を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討の結果、正極電極と負極電極とをセパレータを介して積層した電極積層体を含む鉛蓄電池において、前記正極電極または負極電極の少なくとも一部に、電極活物質として鉛含有材料を含む層と電極活物質として多孔性炭素質材料を含む層とを含有する電極活物質層、および集電体からなる鉛蓄電池用電極が、前記電極活物質層に含有される鉛原子の質量をA、多孔性炭素質材料の質量をBとしたとき、B/(A+B)×100が特定の範囲にあるときに、これまでにない入力特性の顕著な性能向上が見られることを見出し、これらの知見に基づき以下の本発明を完成させるに至った。
【0008】
かくして本発明によれば、下記[1]〜[5]が提供される。
[1]電極活物質として鉛含有材料を含む層と電極活物質として多孔性炭素質材料を含む層とを含有する電極活物質層、および集電体からなる鉛蓄電池用電極であって、前記電極活物質層に含有される鉛原子の質量をA、多孔性炭素質材料の質量をBとしたとき、B/(A+B)×100が10〜90%である、鉛蓄電池用電極。
[2]前記多孔性炭素質材料を含む層が、球状複合粒子からなる[2]に記載の鉛蓄電池用電極。
[3]前記球状複合粒子の短軸径をLs、長軸径をLlとしたとき、(Ll−Ls)/{(Ls+Ll)/2}×100が20%以下である[2]に記載の鉛蓄電池用電極。
[4]前記球状複合粒子が、前記多孔性炭素質材料を溶媒に分散してスラリーを得る工程、および前記スラリーを噴霧乾燥する工程により製造されたものである、[2]または[3]に記載の鉛蓄電池用電極。
[5]正極電極と負極電極とをセパレータを介して積層した電極積層体を含み、前記正極電極または負極電極の少なくとも一部に[1]〜[4]のいずれかに記載の鉛蓄電池用電極を使用した鉛蓄電池。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来の鉛蓄電池と比較して、充放電サイクル後でも、優れた入力特性を発揮する鉛蓄電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例および比較例における鉛蓄電池の一態様を示す図。
【符号の説明】
【0011】
1:正極電極活物質層
2a:ガラスマイクロファイバーセパレータ
2b:微多孔性ポリエチレンセパレータ
3a:鉛活物質層
3b:多孔性炭素活物質層
4:格子状集電体
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の鉛蓄電池用電極は、電極活物質鉛含有材料を含む層(以下、「鉛活物質層」という)と電極活物質として多孔性炭素質材料を含む層(以下、「多孔性炭素活物質層」という)とを含有する電極活物質層、および集電体からなる鉛蓄電池用電極であって、前記電極活物質層中に含有される鉛原子の質量をA、多孔性炭素質材料の質量をBとしたとき、B/(A+B)×100が10%〜90%であることを特徴とする。
【0013】
<多孔性炭素質材料>
多孔性炭素質材料は、電気二重層容量を利用する目的で使用されるため、通常は同じ質量でもより広い面積の界面を形成することが可能な、比表面積の大きいものが好ましい。具体的には、比表面積は30m/g以上、好ましくは500〜5,000m/g、より好ましくは1,000〜3,000m/gの範囲である。
【0014】
多孔性炭素質材料は、好ましくは活性炭であり、具体的にはフェノール樹脂、レーヨン、アクリル繊維、ピッチ、またはヤシガラ等を炭素質原料として賦活処理した活性炭を挙げることができる。賦活処理方法としては、水蒸気、二酸化炭素、酸素等を用いたガス賦活や、水酸化カリウム、リン酸等を用いた薬品賦活などが挙げられる。
【0015】
多孔性炭素質材料の体積平均粒子径は、0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm、更に好ましくは3〜35μmである。体積平均粒子径がこの範囲にあると、電極の成形が容易で、電気二重層容量も高くできるので好ましい。上記した多孔性炭素質材料は、単独でまたは二種類以上を組み合わせて使用することができる。電極活物質を組み合わせて使用する場合は、平均粒子径または粒径分布が異なる二種類以上の電極活物質を組み合わせて使用してもよい。多孔性炭素質材料は、通常は多孔性炭素質活物質層全体の重量に対して50質量%以上である。
【0016】
本発明において、多孔性炭素活物質層は球状複合粒子からなることが好ましい。前記多孔性炭素活物質層が球状複合粒子からなることにより、、球状複合粒子間の空隙に進入する電解液の保液性が関係して出力特性を向上させることができる。
【0017】
<球状複合粒子>
本発明における球状複合粒子とは、多孔性炭素質材料、および後述する含まれていてよい材料等、複数の材料が球状に一体化した粒子を指す。前記球状複合粒子は、多孔性炭素質材料、および後述する含まれていてよい材料等、複数の材料が集合して球状を形成していればよく、多孔性炭素質材料、および後述する含まれていてよい材料等は必ずしも球状である必要はない。複合粒子が球状であるか否かの評価は、球状複合粒子の短軸径をLs、長軸径をLlとしたときに(Ll−Ls)/{(Ls+Ll)/2}×100で算出される値(以下、「球状度」という。)により行う。ここで、短軸径Lsおよび長軸径Llは、反射型電子顕微鏡を用いて複合粒子を観察した写真像より測定される100ケの任意の複合粒子についての平均値である。この数値が小さいほど球状複合粒子が真球に近いことを示す。
【0018】
たとえば、上記写真像で正方形として観察される粒子は、上記球状度は34.4%と計算されるので、34.4%を超える球状度を示す複合粒子は、少なくとも球状とはいえない。本発明の球状複合粒子の球状度は、好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは15%以下である。球状度がこの範囲にある球状複合粒子からなる電極活物質層を形成した鉛蓄電池用電極は、それを備える鉛蓄電池の深い充放電サイクル後の出力特性が向上する。その理由について詳細は明らかになっていないが、球状複合粒子の形状により、球状複合粒子間の空隙に進入する電解液の保液性が関係しているものと思われる。
【0019】
球状複合粒子の粒子径は、体積平均粒子径(D50%)が通常1〜1,000μm、好ましくは10〜100μmである。
【0020】
<鉛含有材料>
前記球状複合粒子は、鉛含有材料を含んでいてもよい。発明における鉛含有材料とは、二酸化鉛や鉛などの、通常の鉛蓄電池の活物質として使用される鉛および鉛化合物を指す。鉛含有材料の具体的な例としては、上記の二酸化鉛、鉛のほか、一酸化鉛、三酸化二鉛、四酸化三鉛(鉛丹)、硫酸鉛などが挙げられる。これらの鉛含有材料は、単独でまたは混合物を適宜選択して使用することができる。正極用電極に用いられる鉛含有材料としては二酸化鉛または一酸化鉛が好ましく、負極用電極に用いられる鉛含有材料としては一酸化鉛または鉛が好ましい。
【0021】
前記球状複合粒子は、上述した多孔性炭素質材料および鉛含有材料以外の材料が含まれていてもよい。
【0022】
前記球状複合粒子は、活物質層中の導電性を向上させることを目的とした導電剤を含んでいてもよい。具体的な例としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、およびケッチェンブラック(アクゾノーベル ケミカルズ ベスローテン フェンノートシャップ社の登録商標)等の導電性カーボンブラック;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛;ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相法炭素繊維等の炭素繊維;が挙げられる。これらの中でも、導電性カーボンブラックが好ましく、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックがより好ましい。
【0023】
導電剤の体積平均粒子径は、電極活物質の体積体積平均粒子径よりも小さいものが好ましく、通常0.001〜10μm、好ましくは0.05〜5μm、より好ましくは0.01〜1μmの範囲である。導電剤の粒径がこの範囲にあると、より少ない使用量で高い導電性が得られる。これらの導電剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
導電剤の量は、多孔性炭素質材料100質量部に対して、通常は1〜20質量部、好ましくは3〜15質量部の範囲である。導電剤の量がこの範囲にあると、導電性に優れ、サイクル後の出力特性を向上させることができる。
【0025】
前記球状複合粒子は、多孔性炭素活物質層を保持することを目的とした結着剤を含んでいてもよい。結着剤の具体的な例としては、フッ素系重合体、ジエン系重合体、アクリレート系重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン等の高分子化合物が挙げられ、より好ましくはハロゲン系重合体、ジエン系重合体が挙げられる。これら結着剤は単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
ハロゲン系重合体は、ハロゲン原子を含む単量体単位を含有する重合体である。ハロゲン原子の中でも、フッ素原子や塩素原子を含むフッ素系重合体や塩素系重合体が好ましい。フッ素系重合体および塩素系重合体の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体、パーフルオロエチレン・プロペン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリクロロプレンが挙げられる。
【0027】
ジエン系重合体は、共役ジエンの単独重合体もしくは共役ジエンを含む単量体混合物を重合して得られる共重合体、またはそれらの水素添加物である。ジエン系重合体の具体例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、などの共役ジエン単独重合体;ブチルゴムなどの共役ジエン共重合体;カルボキシ変性されていてもよいスチレン・ブタジエン共重合体(SBR)などの芳香族ビニル・共役ジエン共重合体;アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(NBR)などのシアン化ビニル・共役ジエン共重合体;水素化SBR、水素化NBR等が挙げられる。
【0028】
アクリレート系重合体は、アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルの単独重合体またはこれらを含む単量体混合物を重合して得られる共重合体である。
【0029】
上記の中でも、結着剤としては、集電体との結着性や強度、耐酸性に優れた活物質層が得られるという観点から、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレンが好ましい。
【0030】
結着剤の量は、多孔性炭素質材料100質量部に対して、通常は1〜20質量部、好ましくは3〜15質量部の範囲である。結着剤の量がこの範囲にあると、電極物性に優れ、サイクル後の出力特性を向上させることができる。
【0031】
また、後述する球状複合粒子の製造方法における、スラリー中での多孔性炭素質材料の分散を目的として分散剤を含むこともできる。分散剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、および、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩;ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド;ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプン、キチン、キトサン誘導体等も使用できる。これらの分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用でき、中でも、分散剤としては、セルロース系ポリマーが好ましく、カルボキシメチルセルロースまたはそのアンモニウム塩もしくはアルカリ金属塩が特に好ましい。分散剤の使用量は、特に限定されないが、多孔性炭素質材料100質量部に対して、通常は0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部、より好ましくは0.8〜2.5質量部の範囲である。分散剤を用いることで、スラリー中の固形分の沈降や凝集を抑制できる。
【0032】
多孔性炭素活物質層は、さらに必要に応じてその他の添加剤を含有していてもよい。具体的には、後述するスラリーなどの電極組成物の安定性を向上させること目的とした、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、あるいはノニオニックアニオン等の両性の界面活性剤が挙げられる。
【0033】
球状複合粒子の製造方法は、特に限定されないが、以下に記載する多孔性炭素質材料を溶媒に分散してスラリーを得る工程、前記スラリーを噴霧乾燥する工程を有する製造方法であれば、生産性良く球状度の数値の小さい(真球に近い)球状複合粒子が得られるので好ましい。
【0034】
<スラリーを得る工程>
スラリーを得る工程においては、上記の多孔性炭素質材料、ならびに必要に応じて添加される導電剤、結着剤、分散剤、およびその他の添加剤を溶媒に分散または溶解して、これらが分散または溶解されてなるスラリーを得る。
【0035】
スラリーを得るために用いる溶媒は、特に限定されないが、上記の分散剤を用いる場合には、分散剤を溶解可能な溶媒が好適に用いられる。具体的には、通常水が用いられるが、有機溶媒を用いることもでき、水と有機溶媒との混合溶媒を用いてもよい。また、鉛蓄電池の電解液である硫酸を添加してpHを調整してもよい。
【0036】
スラリーを調製するときに使用する溶媒の量は、スラリーの固形分濃度が、通常1〜70質量%、好ましくは15〜60質量%の範囲となる量である。固形分濃度がこの範囲にあるときに、結着剤が均一に分散するため好適である。
【0037】
スラリーの粘度は、室温において、通常10〜5,000mPa・s、好ましくは50〜2,000mPa・sの範囲である。スラリーの粘度がこの範囲にあると、噴霧乾燥造粒工程の生産性を上げることができる。
【0038】
多孔性炭素質材料、ならびに導電剤、結着剤、分散剤およびその他の添加剤、を溶媒に分散または溶解する方法または手順は特に限定されず、例えば、溶媒にこれらを一括で添加し混合する方法、溶媒に分散剤を溶解した後、溶媒に分散させた結着剤(例えば、ラテックス)を添加して混合し、最後に多孔性炭素質材料および導電剤を添加して混合する方法、溶媒に分散させた結着剤に多孔性炭素質材料および導電剤を添加して混合し、この混合物に溶媒に溶解させた分散剤を添加して混合する方法等が挙げられる。混合の手段としては、例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等の混合機器が挙げられる。混合は、通常、室温〜60℃の範囲で、10分〜数時間行う。
【0039】
<噴霧乾燥工程>
次に、前記スラリーを噴霧乾燥して造粒する。噴霧乾燥法は、熱風中にスラリーを噴霧して乾燥する方法である。スラリーの噴霧に用いる装置としてアトマイザーが挙げられる。アトマイザーは、回転円盤方式と加圧方式との二種類の装置がある。回転円盤方式は、高速回転する円盤のほぼ中央にスラリーを導入し、円盤の遠心力によってスラリーが円盤の外に放たれ、その際にスラリーを霧状にする方式である。円盤の回転速度は円盤の大きさに依存するが、通常は5,000〜30,000rpm、好ましくは15,000〜30,000rpmである。円盤の回転速度が低いほど、噴霧液滴が大きくなり、球状複合粒子の一次平均体積粒子径が大きくなる。回転円盤方式のアトマイザーとしては、ピン型とベーン型が挙げられるが、好ましくはピン型アトマイザーである。ピン型アトマイザーは、噴霧盤を用いた遠心式の噴霧装置の一種であり、該噴霧盤が上下取付円板の間にその周縁に沿ったほぼ同心円上に着脱自在に複数の噴霧用コロを取り付けたもので構成されている。スラリーは噴霧盤中央から導入され、遠心力によって噴霧用コロに付着し、コロ表面を外側へと移動し、最後にコロ表面から離れ噴霧される。一方、加圧方式は、スラリーを加圧してノズルから霧状にして乾燥する方式である。
【0040】
噴霧されるスラリーの温度は、通常は室温であるが、加温して室温以上にしたものであってもよい。また、噴霧乾燥時の熱風温度は、通常80〜250℃、好ましくは100〜200℃である。噴霧乾燥法において、熱風の吹き込み方法は特に制限されず、例えば、熱風と噴霧方向が横方向に並流する方式、乾燥塔頂部で噴霧され熱風と共に下降する方式、噴霧した滴と熱風が向流接触する方式、噴霧した滴が最初熱風と並流し次いで重力落下して向流接触する方式等が挙げられる。
【0041】
上記の製造方法で得られた球状複合粒子は、球状度が20%を上回らない範囲で、必要に応じて粒子製造後の後処理を実施することもできる。具体例としては、球状複合粒子に上記の多孔性炭素質材料、導電剤、結着剤、あるいは添加剤等と混合することによって、粒子表面を改質して、球状複合粒子の流動性を向上または低下させる、連続加圧成形性を向上させる、球状複合粒子の電気伝導性を向上させる、鉛蓄電池の動作におけるガス発生を抑制することなどができる。
【0042】
<球状複合粒子層形成工程>
球状複合粒子層の形成は、集電体上または別の層上に球状複合粒子を散布して加圧成形してもよく、球状複合粒子を加圧成形して単独のシート状活物質層に成形してから集電体上に貼り合せてもよい。
【0043】
球状複合粒子をシート状に成形し、その後に加圧圧着する場合は、シート状成形物を得る方法としてロール加圧成形が好適である。成形時の温度は、通常0〜200℃であり、球状複合粒子の結着剤の融点またはガラス転移温度より高いことが好ましく、融点またはガラス転移温度より20℃以上高いことがより好ましい。ロール加圧成形においては、成形速度は通常0.1〜20m/分、好ましくは5〜10m/分の範囲である。またロール間のプレス線圧は、通常0.2〜30kN/cm、好ましくは3〜15kN/cmにして行う。
【0044】
成形した電極の厚みのばらつきを無くし、多孔性炭素活物質層の密度を上げて高容量化をはかるために、必要に応じて更に後加圧を行っても良い。
【0045】
鉛活物質層は、通常の鉛蓄電池の活物質として使用される上述した二酸化鉛、鉛などの、鉛および鉛化合物を主体とする層のことを指す。鉛活物質層中の鉛原子が占める割合は、通常は層全体の重量に対して50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。鉛原子の量がこの範囲にあると、電極活物質層のエネルギー密度を高めることができる。
【0046】
鉛活物質層は、鉛含有材料の他に、ポリエステル繊維などの強化材、リグニンなどの界面活性剤、硫酸バリウムなどを含んでいてもよい。また、アンチモン、亜鉛、カドミウム、銀およびビスマスの酸化物、水酸化物もしくは硫酸塩から選ばれる添加剤なども使用することができる。さらに、鉛含有材料のペーストを作製して鉛活物質層を形成する場合は、硫酸水溶液を加えることもできる。
【0047】
<鉛活物質層の形成方法>
鉛活物質層の形成方法は、従来より知られる鉛蓄電池用電極の製造における方法と同様であり、鉛含有材料に溶媒、添加剤を加えてペーストを作製し格子状集電体上に充填させて形成することができる。
【0048】
電極活物質層が、鉛活物質層と、多孔性炭素活物質層とを含有するとは、これら2つの層が、後述する集電体に電気的な導通がとれるように配置されていることを指す。例えば格子状集電体を用いる場合、格子状集電体の格子平面の一部に鉛活物質層を形成して残りの格子平面に多孔性炭素活物質層を形成する、格子状集電体の格子全面に鉛活物質層を形成してその上に一部、または全面に多孔性炭素活物質層を配置する、などが挙げられる。なかでも格子状集電体の格子平面全体に鉛活物質層を形成し、その上の一方の面の全面に多孔性炭素活物質層を配置することが好ましい。
【0049】
<2つの活物質層の積層方法>
鉛活物質層と多孔性炭素活物質層は、電気的に導通がとれている必要がある。そのため、これらの層は加圧接着することが好ましい。例えば、上記の鉛活物質層の形成方法によって格子状集電体に充填された鉛活物質層の上に、球状複合粒子を均一に散布してから加圧成形してもよいし、上記の単独シート状多孔性炭素活物質層を成形してから加圧成形させてもよい。
【0050】
本発明の鉛蓄電池用電極は、電極活物質層中に含有される鉛原子の質量をA、前記多孔性炭素質材料の質量をBとしたとき、B/(A+B)×100が10%〜90%の範囲であることが好ましい。B/(A+B)×100はより好ましくは20%〜50%である。B/(A+B)×100がこの範囲にあるとき、多孔性炭素質材料の応答性の良い電気二重層容量と、負極中の硫酸鉛の還元反応が蓄電池全体としての入力特性を向上させることができる。ここでB/(A+B)×100は、電極活物質層中に含まれるすべての鉛原子の質量の合計、および多孔性炭素質材料の質量の合計を、それぞれA、Bとして算出される。集電体に含まれる鉛原子の質量はAには含めない。
【0051】
<集電体>
本発明で使用される集電体は、電極活物質である多孔性炭素質材料および鉛含有材料と鉛蓄電池外との電気的導通をとるためのものである。集電体としては、板状、箔状、クラッド式と呼ばれる多孔性チューブの中心に鉛合金芯金を挿入したもの、および格子状集電体などが挙げられる。中でも、電極活物質層の維持と集電性に優れる点から格子状集電体が好ましい。格子状集電体としては、標準格子、ラジアル格子、エキスパンド式のいずれも使用できる。
【0052】
格子状集電体の材質としては、鉛−カルシウム合金、鉛−アンチモン合金、鉛−錫合金等の鉛含有合金が用いられる。前記鉛合金の組成の一部として、砒素、錫、銅、銀、アルミなどを含んでいても良い。
【0053】
本発明の鉛蓄電池は、正極電極と負極電極とをセパレータを介して積層した電極積層体を含み、前記正極電極または負極電極の少なくとも一部に上記本発明の鉛蓄電池用電極を使用したことを特徴とする。
【0054】
鉛蓄電池は通常、セパレータを介して正極と負極が対向するように配置された電極対を複数対有しており、正極同士、または負極同士はそれぞれ電気的に短絡された構造である。このような構造とすることにより、鉛蓄電池の容量を大きくすることができる。本発明の鉛蓄電池は、本発明の鉛蓄電池用電極を、正極および負極の全ての電極に用いることもできるし、正極または負極のいずれかの電極の全てに使用することもできる。また、正極の一部、または負極の一部に本発明の鉛蓄電池用電極を使用することもできる。この中でも、負極の全ての電極に用いる、あるいは負極の一部に用いることが好ましい。
【0055】
本発明の鉛蓄電池において、前記電極積層体以外の構成要素としては、通常の鉛蓄電池と同様、電解液と、これらを収納する電槽及びふたが挙げられる。
【0056】
<セパレータ>
本発明の鉛蓄電池で使用されるセパレータとしては、従来より知られた抄紙、微多孔性ポリエチレン、微多孔性ポリプロピレン、微多孔性ゴム、リテイナーマット、ガラスマット、などのセパレータを1つまたは複数組み合わせて使用することができる。
【0057】
<電解液>
本発明の鉛蓄電池で使用される電解液は通常、硫酸水溶液が使用される。充放電状態によって硫酸の密度は変動するが、鉛蓄電池を化成処理後、満充電の状態で密度1.25〜1.30g/cm(20℃)であることが好ましい。
【0058】
<電槽、ふた>
本発明の鉛蓄電池において、セパレータを介して正極と負極が対向するように配置された電極対と電解液を収納する電槽及びふたは、従来より知られたものを使用することができる。具体的には、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体を原料とするものが使用できる。
【0059】
<組電池>
従来より知られた鉛蓄電池と同様に、上述の複数の電極対からなり正極同士および負極同士のそれぞれを短絡させた構造である鉛蓄電池を複数用意して直列に接続することができる。このようにすることで鉛蓄電池の全体の起電力を大きくすることができる。直列に接続するために電槽を複数用意する必要はなく、1つの電槽の中に複数の仕切りを設け、その仕切り毎に上述の電極対を収納し、それを直列接続すれば、一体化した起電力の高い鉛蓄電池を作製することができる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り質量基準である。
【0061】
実施例および比較例における特性の測定、評価は、以下の方法により行う。
(球状度)
球状複合粒子の球状度の評価は、以下の方法により行う。
得られる球状複合粒子を反射型電子顕微鏡を用いて球状複合粒子を観察した写真像より測定される100ケの任意の球状複合粒子について、短軸径をLs、長軸径をLlとし、(Ll−Ls)/{(Ls+Ll)/2}×100の計算式よりそれぞれ球状度(%)を求め、得られた100個の平均値を観察した球状複合粒子の球状度(%)とする。この数値が小さいほど球状複合粒子が真球に近いことを表す。
【0062】
(平均粒子径)
球状複合粒子の平均粒子径測定は、島津製作所社製レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−3100および専用噴射方乾式測定ユニットDS−21を用いて、23℃にて測定する体積粒度分布を元に累積頻度50%の粒子径を平均粒子径とする。
【0063】
(入力特性)
積層鉛蓄電池を25℃で充電電圧2.2VからSOC70%まで2CAの電流で充放電を10回繰り返し、最後の放電状態から10CAで充電したときの0.2秒後の電圧を測定し、10CAで放電する直前の電圧との差を比較例1に対する相対値として表したものをサイクル後の出力特性とする。ここで、SOC70%とは、鉛蓄電池の満充電時の容量を100%として、70%の容量が残っている状態を指し、2CAおよび10CAとは、作製した蓄電池の容量をそれぞれ1/2時間、1/10時間で放電するための電流量のことを指す。電圧値の差が小さいほど大電流充電の受入が優れていることを示す。
【0064】
<実施例1>
(正極電極作製)
鉛含有材料として酸化鉛100部にイオン交換水10部、比重1.27の希硫酸10部を加えて混合し、正極用活物質合剤ペーストを製造する。このペーストを鉛−カルシウム合金からなる格子状集電体(100mm×100mm×3mm)に充填した後、40℃、湿度95%の雰囲気で24時間熟成し、乾燥することで未化成の正極電極を作製する。この正極電極のB/(A+B)×100は0%である。
【0065】
(負極電極作製)
鉛含有材料として酸化鉛100部に導電剤のカーボンブラック0.3部、硫酸バリウム0.3部、イオン交換水10部、比重1.36の希硫酸を10部添加、混合しペーストを得る。得られるペーストを定間隙ロールに通して厚さ1,500μmのシート状酸化鉛ペーストとする。このシート状酸化鉛ペーストを、鉛−カルシウム合金からなる格子状集電体(100mm×100mm×3mm)に充填し、鉛活物質層を形成する。
【0066】
多孔性炭素質材料として比表面積1,700m/gの水蒸気賦活活性炭を100部、カーボンブラック5部、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を1.5部、およびポリクロロプレンの水分散体を固形分相当で10部を混合し、さらにイオン交換水を固形分濃度が20%となるように加え、混合分散を行いスラリーを得る。このスラリーをスプレー乾燥機を使用し回転円盤方式のアトマイザ(直径65mm)の回転数25,000rpm、熱風温度150℃、粒子回収出口の温度が90℃で噴霧乾燥造粒を行い、球状複合粒子を得る。この球状複合粒子の球状度は、12%、平均体積粒子径は58μmである。得られる球状複合粒子を100℃に加熱した加圧ロール(成形速度4m/分、線圧5kN/cm)でシート成形を行い、厚さ1,500μm、密度0.6g/cmのシート状成形物を得る。このシート成形物を、前記のペーストを充填した格子状集電体の一面にバッチプレスにて100℃、10MPaで加圧圧着し、多孔性炭素活物質層を形成して負極電極を作製する。この負極電極のB/(A+B)×100を計算すると、13.7%である。
【0067】
上記の正極電極および負極電極を用い、図1に示す積層鉛蓄電池を作製する。セパレータとしては、鉛活物質層3aと正極1の間には、ガラスマイクロファイバー製のセパレータ2aを、多孔性炭素活物質層3bと正極1の間には、微孔性ポリプロピレンのセパレータ2bをそれぞれ配置する。電解液には、比重1.225(20℃)の希硫酸を使用する。これに過充電を施して化成処理を行った後、電解液の密度が1.28g/cmになるように密度1.4g/cmの硫酸で調整して鉛蓄電池を得る。この鉛蓄電池の充放電サイクル後の入力特性を評価する。
【0068】
<実施例2>
シート状酸化鉛ペーストの厚さを1,000μmとし、得られる球状複合粒子をロール加圧成形する成形速度を3m/分として厚さ2,000μmのシート成形物を得る以外は、実施例1と同様にして負極電極、および鉛蓄電池を得る。この負極電極のB/(A+B)×100を計算すると、24.2%である。この鉛蓄電池の充放電サイクル後の入力特性を評価する。
【0069】
<実施例3>
シート状酸化鉛ペーストの厚さを500μmとし、得られる球状複合粒子をロール加圧成形する成形速度を2m/分として厚さ2,500μmのシート成形物を得る以外は、実施例1と同様にして負極電極、および鉛蓄電池を得る。この負極電極のB/(A+B)×100を計算すると、44.3%である。この鉛蓄電池の充放電サイクル後の入力特性を評価する。
【0070】
<実施例4>
シート状酸化鉛ペーストの厚さを100μmとし、、球状複合粒子の作製に用いる結着剤として、ポリクロロプレンの水分散体に変えてポリテトラフルオロエチレンの水分散体を用い、得られる球状複合粒子をロール加圧成形する成形速度を1.3m/分として厚さ2,900μmのシート成形物を得る以外は、実施例1と同様にして負極電極、および鉛蓄電池を得る。この負極電極のB/(A+B)×100を計算すると、82.2%である。この鉛蓄電池の充放電サイクル後の入力特性を評価する。
【0071】
<比較例1>
酸化鉛100部、ポリエステル繊維0.060部、硫酸バリウム0.493部、カーボンブラック0.026部、密度1.400(20℃)の希硫酸7.98部、水11部を混
合し、これを格子状集電体(100mm×100mm×3mm)に厚さ1,720μmになるように充填する。60m/gの比表面積を有するカーボンブラック20部とカルボキシメチルセルロース7.5部、ポリクロロプレン7.5部、2,000m/gの比表面積を有する活性炭(クラレケミカル社製)65部との混合物に水を加え、これをペーストコーティングにて前記格子状集電体の一面に厚さ1,280μmになるようにコーティングして負極電極を得る。得られる負極電極のB/(A+B)×100は、7.8%である。この負極を用いる以外は、実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製し、この鉛蓄電池の充放電サイクル後の入力特性を評価する。
【0072】
<比較例2>
比表面積1,700m/gの活性炭粉末92部、粉末ポリエチレン8部を混合し、格子状集電体(100mm×100mm×3mm)に厚さ3,000μmになるように充填し、焼結することにより負極電極を得る。得られる負極電極のB/(A+B)×100は、100%である。この負極電極を用いる以外は、実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製し、この鉛蓄電池の充放電サイクル後の入力特性を評価する。
【0073】
以上、実施例および比較例の、球状度(測定できない比較例を除く)、サイクル後の入力特性を表1に示す。なお、サイクル後の入力特性は、比較例1の充放電サイクル後の入力特性を1としたときの相対値として表記する。数値が小さいほど、充電電流による電圧上昇が小さいので入力特性に優れていることを示す。
【0074】
【表1】

【0075】
比較例1は、B/(A+B)×100が7.8%であるため多孔性炭素質材料の電気二重層容量が充電電流に対して不十分であるので実施例に比較してサイクル後の入力特性に劣っている。また比較例2は、B/(A+B)×100が100%で電極活物質として鉛含有材料を含んでいないため、ファラデー容量による充電電流の受入がないので実施例に比較して入力特性に劣っている。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の鉛蓄電池用電極ならびにこれを用いた鉛蓄電池は、充放電サイクルの後であっても高い入力特性を発揮することができるので、回生入力効率が求められるハイブリッド自動車用鉛蓄電池、風力発電や太陽光発電の電力貯蔵用鉛蓄電池等に好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極活物質として鉛含有材料を含む層と電極活物質として多孔性炭素質材料を含む層とを含有する電極活物質層、および集電体からなる鉛蓄電池用電極であって、
前記電極活物質層に含有される鉛原子の質量をA、多孔性炭素質材料の質量をBとしたとき、B/(A+B)×100が10〜90%である、鉛蓄電池用電極。
【請求項2】
前記多孔性炭素質材料を含む層が、球状複合粒子からなる請求項1に記載の鉛蓄電池用電極。
【請求項3】
前記球状複合粒子の短軸径をLs、長軸径をLlとしたとき、(Ll−Ls)/{(Ls+Ll)/2}×100が20%以下である請求項2に記載の鉛蓄電池用電極。
【請求項4】
前記球状複合粒子が、前記多孔性炭素質材料を溶媒に分散してスラリーを得る工程、および前記スラリーを噴霧乾燥する工程により製造されたものであることを特徴とする、請求項2または3に記載の鉛蓄電池用電極。
【請求項5】
正極電極と負極電極とをセパレータを介して積層した電極積層体を含み、前記正極電極または負極電極の少なくとも一部に請求項1〜4のいずれかに記載の鉛蓄電池用電極を使用した鉛蓄電池。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−259803(P2009−259803A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71847(P2009−71847)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】