説明

鉛蓄電池

【課題】短絡防止板7等に圧力センサ8を配置することにより、正極板2の異常な拡張を検出して電池寿命が末期であることを判断することができる鉛蓄電池を提供する。
【解決手段】負極板1の耳部1aに接続された負極ストラップ4と、この負極板1と共にセパレータ3を介して積層された正極板2の端縁部との間に絶縁性の短絡防止板7を配置した鉛蓄電池において、この短絡防止板7の上面に感圧導電性ゴムからなる圧力センサ8が張り付けられた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極板と負極板をセパレータを介して電槽等の電池ケース内に収納した鉛蓄電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)に用いられる鉛蓄電池の構成例を示す。この鉛蓄電池は、電槽内を隔壁によって6セルに分割し、各セルに図5に示すような負極板1と正極板2とセパレータ3からなるエレメントをそれぞれ収納すると共に電解液を満たして、この電槽の上端開口部を蓋板で塞いだものである。なお、図5では、隣接する2箇所のセルに収納する2個のエレメントのみを示す。
【0003】
上記各エレメントは、前後に並べた4枚の負極板1の各間にそれぞれセパレータ3を介して3枚の正極板2を交互に重ね合わせて積層したものである。負極板1と正極板2は、鉛又は鉛合金の格子に活物質を充填したものであり、セパレータ3は、ガラス繊維の不織布等からなる多孔性の絶縁材である。これらの負極板1と正極板2とセパレータ3は、それぞれ前後方向が厚さとなる方形の板状であり、負極板1と正極板2の絶縁のために、セパレータ3は少し大きい方形に形成されている。また、無停電電源装置に用いられる鉛蓄電池は、トリクル充電により特に正極板2が腐食し易いので、負極板1に比べてこの正極板2の方が少し板厚が厚くなっている。
【0004】
上記4枚の負極板1は、それぞれ右端部から上方に向けて耳部1aが突設され、これら4枚の耳部1aの上端部が共通の負極ストラップ4に溶着により接続されている。また、3枚の正極板2も、それぞれ左端部から上方に向けて耳部2aが突設され、これら3枚の耳部2aの上端部が共通の正極ストラップ5に接続されている。負極ストラップ4と正極ストラップ5は、いずれも鉛又は鉛合金の鋳物であり、各エレメントごとに4枚の負極板1と3枚の正極板2の集電を行うようになっている。
【0005】
上記構成の各エレメントは、図6(a)に示すように、電槽6内の各セルに収納される。この際、セパレータ3は、電槽6の左右と底の内面一杯に嵌り込むが、負極板1と正極板2は、この電槽6の左右の内面との間に隙間を有し、上端辺もセパレータ3の上端辺より少し下がって、確実に絶縁されるようになっている。また、負極板1の耳部1aと正極板2の耳部2aは、セパレータ3の上端辺よりも上方に突出し、さらにその上端部が負極ストラップ4や正極ストラップ5に接続されている。そして、各セルに収納されたエレメントは、これらの負極ストラップ4や正極ストラップ5によって隔壁を介し直列に接続される。
【0006】
ところで、鉛蓄電池の正極板2は、充放電の繰り返しに伴って活物質である二酸化鉛が膨張と収縮を繰り返す。しかも、無停電電源装置は、停電時の非常用電源として極めて長期間使用され、この間に上記トリクル充電により常時充電が行われるので、正極板2の格子が腐食によって部分的に破断し易くなり、この正極板2の格子の板厚を厚くしても、この腐食による鉛蓄電池の劣化を完全に避けることができない。従って、この正極板2は、格子に破断が生じると、活物質の膨張時にこの格子の破断部分でマス目が広がり、収縮時にはマス目の大きさが戻らないので、徐々に周囲に拡張するようになる。即ち、劣化が進行中の鉛蓄電池では、図6(b)の矢印Aに示すように、正極板2が電槽6の内面に遮られるまで左右に拡張する。また、この正極板2は、上方の右側は耳部2aを介して正極ストラップ5に押さえ付けられているので、左側の上辺が矢印Bに示すように上方に持ち上がり、セパレータ3の上辺より上方に拡張する。そして、このままでは、図6(c)の矢印Cに示すように、正極板2の左側の上辺がさらに拡張して、負極ストラップ4に接触し内部短絡を起こすことになる。
【0007】
そこで、従来の無停電電源装置に用いられる鉛蓄電池では、上記正極板2と負極ストラップ4との間に絶縁体からなる短絡防止板7を配置して、この正極板2の拡張による内部短絡を防止するようにしていた。短絡防止板7は、図5に示すように、樹脂板を櫛歯状に形成したものであり、基部から右側又は左側に向けて3枚の歯部7aが突設されている。そして、負極ストラップ4とその下方の負極板1の4枚の耳部1aの間に歯部7aを挿入する。従って、この短絡防止板7は、図6(a)に示すように、セパレータ3の上辺の上に載置され、各歯部7aが下方の正極板2と上方の負極ストラップ4との間を遮るように配置されるので、図6(c)の矢印Cに示すように、正極板2の左側の上辺がセパレータ3の上辺を超えて拡張しても、この正極板2と負極ストラップ4との間に挟まって、これらが内部短絡を起こすのを防止することができる。
【0008】
ところが、上記のように正極板2の左側の上辺が拡張して短絡防止板7を介し負極ストラップ4に押し当たるようになると、鉛蓄電池の劣化が相当に進行し電池容量も製造時の50%以下にまで低下していると考えられる。このため、従来は、短絡防止板7が内部短絡を防止することにより、鉛蓄電池が直ちに使用できなくなる事態は防ぐことができるが、この鉛蓄電池の電池寿命も末期に達しているので、そのままさらに使用を継続したのでは、肝心の停電時に十分な電源を供給することができなくなるおそれがあるという問題が生じていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、短絡防止板等に圧力センサを配置することにより、正極板の異常な拡張を検出して電池寿命が末期であることを判断することができる鉛蓄電池を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、正極板と負極板をセパレータを介して電池ケース内に収納した鉛蓄電池において、この電池ケース内における正極板の端縁部の外側に圧力センサが配置さたたことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、負極板の耳部に接続された負極ストラップと、この負極板と共にセパレータを介して積層された正極板の端縁部との間に絶縁性の短絡防止板を配置した鉛蓄電池において、この短絡防止板の表裏いずれかの面に圧力センサが配置されたことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、負極板の耳部に接続された負極ストラップと、この負極板と共にセパレータを介して積層された正極板の端縁部との間に絶縁性の短絡防止板を配置した鉛蓄電池において、この短絡防止板が、絶縁性の圧力センサ又は絶縁材で覆われた圧力センサを含む板材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、圧力センサが正極板の端縁部の外側に配置されているので、この正極板が拡張すると、圧力センサが電池ケースの内面との間で圧迫される。従って、この圧力センサにより正極板が異常な拡張をしているかどうかを検出することができ、電池寿命の目安を知ることができるようになる。
【0014】
請求項2の発明によれば、短絡防止板に圧力センサが配置されているので、正極板が拡張すると、この圧力センサが負極ストラップとの間で圧迫される。従って、この圧力センサにより正極板が異常な拡張をしているかどうかを検出することができ、電池寿命の目安を知ることができるようになる。しかも、圧力センサは、短絡防止板に事前に貼り付ける等して配置することができるので、別途圧力センサだけを配置する必要も生じない。
【0015】
請求項3の発明によれば、短絡防止板の一部又は全部が圧力センサとなっているので、正極板が拡張すると、この圧力センサが負極ストラップとの間で圧迫される。従って、この圧力センサにより正極板が異常な拡張をしているかどうかを検出することができ、電池寿命の目安を知ることができるようになる。しかも、圧力センサは、短絡防止板と一体化しているので、別途圧力センサだけを配置する必要も生じない。
【0016】
なお、請求項1、2及び3の圧力センサは、常時又は適宜検出を行うことにより、圧力が異常となった場合にランプを点灯したり表示部にメッセージを表示する等して警告を行うようにしてもよいし、例えば外部に引き出された端子に検出回路を接続する等した場合にのみ圧力が検出できるようになっていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施形態について図1〜図2を参照して説明する。なお、これらの図においても、図5〜図6に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
【0018】
本実施形態も、図5〜図6に示した従来例と同様の無停電電源装置に用いられる鉛蓄電池について説明する。本実施形態の鉛蓄電池は、短絡防止板7に圧力センサ8が配置されていることを除けば、従来例と同じ構造である。また、短絡防止板7自体も、従来例と同様の構成であり、図1に示すように、ポリプロピレン等の絶縁性の樹脂板を櫛歯状に形成したものである。即ち、この短絡防止板7は、図1に示すものの場合には左端部の基部から右側に向けて3枚の歯部7aを突設した櫛歯状に形成されている。3枚の歯部7aは、負極板1(耳部1a)の厚さよりも少し広い間隔を開けて、エレメントの3枚の正極板2と同じピッチで前後方向に平行に並んでいる。従って、各歯部7aは、正極板2の厚さよりも十分に広い前後方向の幅を有することになる。また、各歯部7aの基部を含む左右方向の長さは、負極ストラップ4の左右方向の幅よりも十分に長くなっている。
【0019】
上記短絡防止板7は、図5に示した後方のエレメントの場合と同様に、負極板1と正極板2がセパレータ3を介して積層された左側から、これらのセパレータ3とその上方の負極ストラップ4との間に、積層の中央側の2枚の負極板1の耳部1aが各歯部7aの間に挟まるようにして挿入される。従って、この短絡防止板7は、図2に示すように、挿入時には正極板2は拡張していないので、負極ストラップ4の下方でセパレータ3の上辺の上に載置されることになる。
【0020】
上記短絡防止板7における各歯部7aの基部側付近の上面には、事前に圧力センサ8が貼り付けられている。圧力センサ8は、感圧導電性ゴムの薄いシートからなる。感圧導電性ゴムは、ゴムにカーボンや金属等の導電材の微粉を混入したものであり、通常時は電気抵抗が極めて高いが、圧力を加えると抵抗値が急激に減少するゴム材である。圧力センサ8は、この感圧導電性ゴムを短冊形の薄いシートにしたものであり、図1に示すように、短絡防止板7を組み付けたときに、少なくとも負極ストラップ4の左右の幅よりも広い範囲となるような各歯部7aの上面に貼り付けられる。また、この圧力センサ8は、短冊形の前後の幅を少なくとも正極板2の幅よりも広くして、短冊形の左右の長さの範囲内ではこの正極板2の上方を確実に覆うようにしている。
【0021】
ここでは図示は省略しているが、上記各圧力センサ8には、一対の電極が設けられている。一対の電極は、例えば圧力センサ8の下面(短絡防止板7の上面でもよい)に形成された金属薄膜等からなり、シート状の圧力センサ8の一部のみに圧力を受けた場合にも確実に検出できるように、例えば一対の櫛歯形状を向かい合わせにして僅かな隙間を開けて噛み合わせたパターンで形成する。また、例えば圧力センサ8の上下の面にマトリクス状に一対の電極を形成してもよい。ただし、この場合には、圧力センサ8の上面側の電極は、負極に接地する場合を除き、負極ストラップ4との絶縁を図る必要がある。これら各圧力センサ8の一対の電極は、それぞれリード線等を介して鉛蓄電池の外部に引き出されるようになっている。この際、各圧力センサ8の一対の電極を個別に外部に引き出したのでは外部端子が多くなりすぎるので、各セル内の6枚の短絡防止板7に貼り付けられた圧力センサ8の一対の電極を互いに例えば並列に接続しておいてから引き出してもよく、鉛蓄電池内の全ての圧力センサ8の一対の電極を互いに例えば並列に接続しておいてから引き出してもよい。そして、本実施形態では、このようにして鉛蓄電池の外部に引き出された圧力センサ8の一対の電極を無停電電源装置に設けた圧力検出回路に接続するようにしている。圧力検出回路は、いずれかの圧力センサ8の一対の電極間の電気抵抗が所定以上に減少すると、無停電電源装置のパネル部に配置した警告ランプを点灯させる回路である。
【0022】
上記構成によれば、図2の矢印に示すように、正極板2の上辺がセパレータ3の上辺を超えて拡張し、図6(c)に示したように、短絡防止板7を負極ストラップ4の下面に押圧するようになると、この短絡防止板7の上面の圧力センサ8が圧迫されて電極間の電気抵抗値が急激に減少する。すると、無停電電源装置の圧力検出回路がこの電気抵抗の減少を検出して警告ランプを点灯するので、無停電電源装置のユーザは、この警告ランプの点灯と見て、鉛蓄電池の寿命が末期であることを知り、実際の停電時に非常用電源として使用できないようになる前に鉛蓄電池の交換等の対策を講じることができるようになる。
【0023】
なお、上記実施形態では、圧力センサ8として感圧導電性ゴムを用いる場合を示したが、正極板2による圧力を検出することができるものであれば、圧力センサの種類は問わない。例えば、感圧導電性ゴムの場合には、圧力に応じて電気抵抗が変化するものであるが、所定圧力以上になると急峻に電気抵抗が変化するスイッチング特性を有するものを用いることもできる。また、例えば金属表面等のような導電面との間に僅かな空隙を介して導電性樹脂や導電性ゴムを配置し、圧力によってこの導電性樹脂や導電性ゴムが撓むことにより導通するようなタッチパネルスイッチ等を圧力センサとして用いることもでき、この導電性樹脂や導電性ゴムに代えて金属板からなるダイアフラムを用いることもできる。さらに、この圧力センサは、一旦所定以上の圧力を受けると、以降は圧力が低下しても復帰する必要はないので、例えば脆弱な導電材を用い、圧力によりこの導電材が破壊されると導通が遮断されるようなものを用いることもできる。さらに、この圧力センサは、電気抵抗の変化や導通/遮断による検出だけでなく、例えば圧力によって電極間の距離が変化することにより、この電極間の静電容量が変化するようなものであってもよい。さらに、この圧力センサは、圧電効果(ピエゾ効果)を利用するものであってもよく、圧力を受けて歪むことにより発生した起電力を検出したり、電気抵抗の変化を検出するものであってもよい(ピエゾ抵抗効果)。
【0024】
また、上記実施形態では、樹脂板を櫛歯状に形成した短絡防止板7を用いる場合を示したが、絶縁性のシート材や板材等であれば材質は任意であり、負極ストラップ4と正極板2の端縁部との間に介在できる形状であれば、この短絡防止板の形状も限定されない。さらに、上記実施形態では、圧力センサを短絡防止板の上面に貼り付ける場合を示したが、下面に貼り付けてもよい。さらに、短絡防止板の表裏いずれかの面に、この圧力センサを膜状や層状に形成することもでき、絶縁性の基材の表面に感圧導電性ゴム等の層を形成したシート材や板材等を適宜形状に成形したものを短絡防止板と圧力センサとして用いることもできる。
【0025】
また、上記実施形態では、短絡防止板の表裏いずれかの面に圧力センサを配置した場合を示したが、短絡防止板の一部又は全部を圧力センサによって構成することもできる。例えば圧力センサが絶縁性の有するものである場合には、この圧力センサ自体を短絡防止板として用いることもでき、短絡防止板の一部をこの圧力センサで構成することもできる。さらに、圧力センサが絶縁性のものではない場合には、これを絶縁層や絶縁膜や絶縁シート等で覆って短絡防止板として用いることもでき、短絡防止板の一部にこの圧力センサを埋め込むこともできる。
【0026】
また、上記実施形態では、圧力センサが所定以上の圧力を受けると、無停電電源装置の圧力検出回路がこれを検出して警告ランプを点灯する場合を示したが、この検出結果の通知手段は任意であり、警告ランプの点灯に代えて表示部にメッセージを表示したり、他の制御機器に通信で知らせるようにすることもできる。さらに、上記実施形態では、無停電電源装置の圧力検出回路が常時又は適宜圧力センサの圧力を検出する場合を示したが、例えば検出スイッチを押す等の操作が行われた場合にのみ圧力センサの圧力を検出するようにしてもよく、圧力センサの電極を鉛蓄電池の外部に引き出した端子に、作業者が検出回路を接続したときにだけ検出が行われるようになっていてもよい。
【0027】
また、上記実施形態では、6セルの鉛蓄電池について説明したが、このセル数は任意であり、電槽と蓋板からなる電池ケースの構成も、これに限定されるものではない。さらに、エレメントも積層型に限らず、負極板と正極板をセパレータを介して巻回した巻回型のものであっても同様に実施可能である。エレメントが巻回型の場合、円筒形の端面から耳部を突出させてストラップに接続するようにし、この端面に例えば円板状の短絡防止板を配置すればよい。
【0028】
また、上記実施形態では、短絡防止板に圧力センサを配置する場合を示したが、電池ケース内における正極板の端縁部の外側に圧力センサが配置するようにしてもよい。例えば、上記実施形態の場合であれば、電槽6の左右の内面に圧力センサを貼り付けておけば、図6(b)に示したように、正極板2が左右に拡張してこの電槽6の内面を圧迫したことを検出することができるようになる。しかも、このように電池ケース内に圧力センサを配置する場合には、短絡防止板を用いない鉛蓄電池やストラップを用いない鉛蓄電池にも実施可能となる。
【0029】
また、上記実施形態では、無停電電源装置に用いる鉛蓄電池について説明したが、この鉛蓄電池の用途はこれに限定されることはない。
【実施例1】
【0030】
上記上記実施形態に示した鉛蓄電池を実際に作成し、トリクル寿命試験を行った結果を図3と図4に示す。鉛蓄電池は、12V、17Ah(20HR)の制御弁式鉛蓄電池であり、トリクル寿命試験は、40℃の気相中において充電電圧を2.275V/セルとして実行した。図3は、トリクル充電期間の経過に伴う0.25CA放電容量の変化と、圧力センサ8(短絡防止板7)に加わる正極板2による圧力の変化を示している。また、図4は、この図3の結果を圧力センサ8に加わる圧力と0.25CA放電容量との関係で表したものである。
【0031】
上記図3と図4から明らかなように、0.25CA放電容量の減少に伴い圧力センサ8に加わる圧力が直線的に増加する。従って、圧力センサ8に加わる圧力が所定以上となったときに、鉛蓄電池の寿命が末期であると判断できることが分かった。また、この圧力センサ8に加わる圧力の変化を、例えば図4に基づいて0.25CA放電容量の百分率に変換して表示すれば、鉛蓄電池の電池寿命がどの程度残存しているかの目安を知らせることも可能となる。さらに、0.25CA放電容量と圧力センサ8に加わる圧力とがこのような直線的な関係にあることから、例えば単に正極板2が拡張により検査用接点に触れたことだけを検出して電池寿命の判定を行うよりも、上記実施形態のように、圧力センサ8に加わる圧力の大きさに基づいた検出を行う方が、電池寿命をより正確に判定できることも分かった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであって、エレメントに取り付けた短絡防止板を示す横断面部分平面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すものであって、エレメントに取り付けた短絡防止板を示す縦断面部分側面図である。
【図3】本発明の実施例を示すものであって、トリクル充電期間の経過に伴う0.25CA放電容量の変化と、圧力センサに加わる圧力の変化を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例を示すものであって、圧力センサ8に加わる圧力と0.25CA放電容量との関係で表すグラフである。
【図5】従来例を示すものであって、鉛蓄電池のエレメントの構造を示す斜視図である。
【図6】従来例を示すものであって、鉛蓄電池における正極板の拡張の様子を示す縦断面正面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 負極板
1a 耳部
2 正極板
2a 耳部
3 セパレータ
4 負極ストラップ
5 正極ストラップ
6 電槽
7 短絡防止板
7a 歯部
8 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と負極板をセパレータを介して電池ケース内に収納した鉛蓄電池において、
この電池ケース内における正極板の端縁部の外側に圧力センサが配置さたたことを特徴とする鉛蓄電池。
【請求項2】
負極板の耳部に接続された負極ストラップと、この負極板と共にセパレータを介して積層された正極板の端縁部との間に絶縁性の短絡防止板を配置した鉛蓄電池において、
この短絡防止板の表裏いずれかの面に圧力センサが配置されたことを特徴とする鉛蓄電池。
【請求項3】
負極板の耳部に接続された負極ストラップと、この負極板と共にセパレータを介して積層された正極板の端縁部との間に絶縁性の短絡防止板を配置した鉛蓄電池において、
この短絡防止板が、絶縁性の圧力センサ又は絶縁材で覆われた圧力センサを含む板材であることを特徴とする鉛蓄電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−185707(P2006−185707A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376933(P2004−376933)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(304021440)株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション (461)
【Fターム(参考)】