説明

銀イオン水スプレー装置

【課題】不純物が水とともに外部に放出されることを防止でき、ボトル内に水を補充するだけで清潔な銀イオン水を繰り返し噴霧することができるようにする。
【解決手段】この発明の銀イオン水スプレー装置10は、ボトル1、スプレーガン2、チューブ3、ホルダ4、多孔質セラミック5を備えている。ボトル1は、上面に開口部11を有する中空容器である。スプレーガン2は、開口部11に着脱自在に取り付けられる。スプレーガン2のトリガ22を操作することでスプレーガン2内の図示しないポンプ機構が動作する。チューブ3は、上端がスプレーガン2に取り付けられている。ホルダ4は、チューブ3の下端に配置され、内部に銀イオン水生成材料としての多孔質セラミック5を保持する。トリガ22を操作すると、ボトル1内の水が多孔質セラミック5を通過してチューブ3からスプレーガン2に供給され、ノズル23から噴出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特定の材料を銀イオンの供給源とする銀イオン水生成用材料としての多孔質セラミックによってボトル内で銀イオン水を生成し、生成された銀イオン水をスプレーノズルから噴霧する銀イオン水スプレー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
銀を含む原料から燃焼合成法によって得られた多孔質セラミックを銀イオン水生成材料として用いることで、電気的回路や塩類を必要とすることなく銀イオンの自発的な放出効果によって比較的高濃度の銀イオン水を生成できる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
多孔質セラミックの銀イオン水生成材料によって生成された銀イオン水を必要に応じて供給するため、ボトル内に銀イオン水生成材料としての多孔質セラミックを水とともに収納したスプレー装置を用いることが考えられる。ボトル内に収納された水は、多孔質セラミックから放出された銀イオンによってボトル内で銀イオン水となり、ボトルに装着されたスプレーノズルから外部に噴出される。
【0004】
多孔質セラミックの原料における銀の含有量を調整することで、ボトル内に繰り返し補充された水を多孔質セラミックが放出する銀イオンによって銀イオン水とすることができる。この場合には、ボトルの上部にスプレーノズルを着脱自在に取り付けたスプレー装置を用いる(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2006−69935号公報
【特許文献2】特開平08−332422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば特許文献2に開示されている従来のスプレー装置では、ボトル内に収納された水がそのままチューブを通ってスプレーノズルに供給されるため、銀イオンによって死滅した水中の雑菌や有機物等の不純物が水とともに外部に放出されてしまう問題があった。
【0006】
この発明の目的は、ボトル内の水を銀イオン水生成材料としての多孔質セラミックを通過させてスプレーノズルに供給することで、不純物が水とともに外部に放出されることを防止でき、ボトル内に水を補充するだけで清潔な銀イオン水を繰り返し噴出することができる銀イオン水スプレー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の銀イオン水スプレー装置は、ボトル、スプレーノズル、チューブ、ホルダを備えている。ボトルは、上面側に開口部を有し、内部に水を収納する。スプレーノズルは、開口部に着脱自在に取り付けられる。チューブは、ボトル内部で、上端がスプレーノズルに取り付けられ、下端がボトルの底面側に配置される。ホルダは、チューブの下端に配置されており、銀イオン水生成用材料としての多孔質セラミックをボトル内の水と接触させて保持する。ボトル内部に収納された水は、多孔質セラミックに接触した後にチューブ内を経由してスプレーノズルに達する。
【0008】
多孔質セラミックには、微細な孔が多数形成されている。不純物を含んだ水を多孔質セラミックに通過させると、水中の不純物が孔に吸着され、水が濾過される。銀イオンの作用によって水中の雑菌が死滅し、有機物とともに不純物として水中に浮遊するが、水がチューブを通ってスプレーノズルに供給される際に、水中の不純物は多孔質セラミックで濾過され、清潔な銀イオン水がスプレーノズルに供給される。
【0009】
この構成において、ホルダに空間部及び保持部を備えてもよい。空間部は、上端がチューブの下端に連通する。保持部は、空間部の下方に連続して形成され、多孔質セラミックを保持し、上面以外の面にボトル内に連通する開口を備える。開口から保持部を通過した水のみが空間部からチューブ内に流入し、不純物を含まない水のみをスプレーノズルから噴出することができる。
【0010】
保持部は、底面側から嵌入したペレット状の多孔質セラミックを挟持するものとしてもよい。保持部を簡単な形状に形成することができる。
【0011】
また、保持部は、少なくとも上面及び底面に多孔質セラミックよりも小径の貫通孔を有するストレーナを備え、上面と底面との間に粒状の多孔質セラミックを保持するものとしてもよい。ホルダを通過する水と多孔質セラミックとの接触面積を大きくすることができ、不純物の濾過性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれは、ボトル内の水を銀イオン水生成材料としての多孔質セラミックを通過させてスプレーノズルに供給し、不純物が水とともに外部に放出されることを防止でき、水を補充するだけで清潔な銀イオン水を繰り返し噴出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、この発明の実施形態に係る銀イオン水スプレー装置の側面断面図である。銀イオン水スプレー装置10は、ボトル1、スプレーガン2、チューブ3、ホルダ4、多孔質セラミック5を備えている。
【0014】
ボトル1は、例えば樹脂製の中空容器であり、上面に開口部11を備えている。開口部11の外周面には図示しない雄ねじ部が形成されている。ボトル1は、金属又は陶磁器で構成することもできる。
【0015】
スプレーガン2は、この発明のスプレーノズルであり、ネジ部21、トリガ22及びノズル23を備えている。スプレーガン2は、ネジ部21を開口部11の雄ネジ部に螺合させてボトル1に着脱自在に取り付けられる。トリガ22をネジ部21側に移動させることでスプレーガン2の内部に収納された図示しないポンプ機構が動作する。
【0016】
チューブ3は、例えば軟質樹脂を素材とし、上端がスプレーガン2に取り付けられ、下端がボトル1の底面側に配置される。
【0017】
ホルダ4は、チューブ3の下端に一体に形成され、内部に多孔質セラミック5を保持する。ホルダ4は、チューブ3と別体に形成し、チューブ3の下端に取り付けるものであってもよい。
【0018】
多孔質セラミック5は、ペレット状の銀イオン水生成用材料である。多孔質セラミック5は、特開2006−69935号公報に開示されているように、(1)Ti及びZrの少なくとも1種、(2)Ag、並びに(3)C、B、BN及びB4Cの少なくとも1種を含む混合原料を燃焼合成することにより得られる。多孔質セラミック5を水中に常温下で浸漬することで、銀イオン水が生成される。多孔質セラミックを浸漬する水は、蒸留水、脱イオン水、純水、超純水、水道水又は井戸水等、銀イオンが存在し得る水であればよい。多孔質セラミック5の気孔率は、30〜70%である。
【0019】
図2は、銀イオン水スプレー装置に備えられる第1例のホルダの半断面図である。ホルダ4は、チューブ3の下端部にチューブ3と一体に形成されており、上部が部分球形状で下部が円筒形状を呈し、底面が開放している。ホルダ4の内部で、部分球形状の上部は空間部42であり、円筒形状の下部は保持部43である。保持部43は、空間部42の下方に連続している。ホルダ4の内部の上端は、チューブ3の内部に連通している。ホルダ4の円筒部分には、全周にわたって複数の開口41が形成されている。ホルダ4は、図2に示す形状に限るものではなく、上面でチューブ3に連通し、少なくとも底面が部分的に開放した中空形状であれば、種々の形状とすることができる。
【0020】
多孔質セラミック5は、円盤状を呈するペレットであり、外径は、ホルダ4の内径に等しくされている。多孔質セラミック5は、ホルダ4の底面44側から内部に嵌入されて保持部43内に保持される。多孔質セラミック5の高さは、ホルダ4の底面から開口41の上縁までの高さよりも高くされている。
【0021】
ホルダ4内の保持部43内に多孔質セラミック5を嵌入すると、ホルダ4の開口41及び底面44は、全面が多孔質セラミック5によって塞がれる。このため、空間部42は、ホルダ4の外部に直接開放していない。
【0022】
なお、開口41は、矩形に形成されているが、これに限るものではない。また、底面44から多孔質セラミック5に十分な量の水が流通する場合には、開口41を省略することもできる。さらに、開口41の有無に拘らず、底面44にストレーナを配置してもよい。また、開口41から多孔質セラミック5に十分な量の水が流通する場合には、底面44を蓋体によって閉鎖し、ホルダ4からの多孔質セラミック5の脱落を防止するようにしてもよい。
【0023】
以下に、図1を参照して銀イオン水スプレー装置の使用方法を説明する。ボトル1の開口部11からスプレーガン2を取り外すと、チューブ3及びホルダ4がボトル1の外部に取り出される。この状態で、開口部11からボトル1の内部に水を流入した後、チューブ3及びホルダ4を開口部11からボトル1の内部に挿入し、スプレーガン2を開口部11に取り付ける。
【0024】
ホルダ4内に保持された多孔質セラミック5は、図2に示す開口41及び底面44でボトル1内の水と接触し、多孔質セラミック5から銀イオンがボトル1内の水中に溶け出す。これによって、ボトル1内の水が、銀イオン水に生成される。
【0025】
トリガ22をネジ部21に接近する方向に操作すると、スプレーガン2内のポンプ機構が動作し、チューブ3及びホルダ4の空間部42(図2参照。)が負圧状態になる。ボトル1内の水が、開口41及び底面44から多孔質セラミック5の気孔を通って空間部42に流入し、チューブ3の内部を通ってスプレーガン2に達し、ノズル23から外部に噴出される。
【0026】
ボトル1内に流入された水中に雑菌や有機物が含まれていた場合、雑菌や有機物は銀イオンによって死滅し、水中に不純物として浮遊する。ボトル1内の水は、チューブ3の内部を経由してスプレーガン2に達する前に、必ず多孔質セラミック5を通過するため、水中の不純物は多孔質セラミック5の気孔に吸着される。したがって、多孔質セラミック5がフィルタとしても機能し、スプレーガン2のノズル23からは、不純分が取り除かれた清潔な銀イオン水が噴出される。
【0027】
ノズル23からの噴出によってボトル1内に水が無くなった場合や収納量が減少した場合には、開口部11からスプレーガン2を取外し、ボトル1内に水を充填する。これによって、ボトル1内に銀イオン水が繰り返し生成され、トリガ22を操作すると多孔質セラミック5を通過して不純物取り除かれた清潔な銀イオン水が繰り返し噴出される。
【0028】
図3は、この発明の銀イオン水スプレー装置に備えられる第2例のホルダの側面断面図である。この例のホルダ14は、チューブ3の下端部にチューブ3と一体に形成されており、上部が部分球形状で下部が円筒形状を呈し、底面が開放している。ホルダ14の内部で、部分球形状の上部は空間部142であり、円筒形状の下部は保持部143である。保持部143は、空間部142の下方に連続している。
【0029】
空間部142と保持部143との間には、ストレーナ145が、上下位置を固定して配置されている。ホルダ14の内部の上端は、チューブ3の内部に連通している。ホルダ14の底面には、ストレーナ146が、例えば凹部と凸部との弾性係合により、着脱自在に取り付けられている。ストレーナ145,146は、板状を呈し、多数の孔部が形成されている。
【0030】
多孔質セラミック15は、球状を呈する流体である。多孔質セラミック15の粒径は、ストレーナ145,146の孔部の内径よりも大きくされている。多孔質セラミック15を、ストレーナ146を取り外した底面144側からホルダ14の内部に挿入して保持部143に満たした後、底面144にストレーナ146を取り付ける。
【0031】
ホルダ14は、底面144を除いて外側面を閉塞されている。このため、多孔質セラミック15は、保持部143内に保持される。但し、ホルダ14の保持部143の側面に、多孔質セラミック15の粒径よりも小さい径の開口を設け、ホルダ14の内部への水の流入量を増やすこともできる。また、保持部143の全体をストレーナで構成することもできる。
【0032】
この構成により、ボトル1内に収納された水と多孔質セラミック15との接触面積を大きくすることができ、銀イオン水の生成時間が短縮される。また、トリガ22の操作時にホルダ14からチューブ3を経由してスプレーガン2に供給される水を広い面積で多孔質セラミック15に接触させることができ、水中の不純物を効率よく除去することができる。
【0033】
なお、多孔質セラミックをより小径の粒状又は粉体状にし、透水性の袋に収納した後にホルダ14の保持部143内に収納することもできる。
【0034】
また、空間部42,142は、ホルダ4、14からスプレーガン2に十分な量の水を供給できることを条件に、省略することができる。
【0035】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の実施形態に係る銀イオン水スプレー装置の側面断面図である。
【図2】銀イオン水スプレー装置に備えられる第1例のホルダの半断面図である。
【図3】この発明の銀イオン水スプレー装置に備えられる第2例のホルダの側面断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1−ボトル
2−スプレーガン
3−チューブ
4,14−ホルダ
5,15−多孔質セラミック
11−開口部
41−開口
42,142−空間部
43,143−保持部
44、144−底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面側に開口部を有し、内部に水を収納するボトルと、
前記開口部に着脱自在に取り付けられるスプレーノズルと、
前記ボトル内部で、上端が前記スプレーノズルに取り付けられ、下端が前記ボトルの底面側に配置されるチューブと、
前記チューブの下端に配置されて銀イオン水生成用材料としての多孔質セラミックを前記ボトル内で水と接触させて保持するホルダと、
を備え、前記ボトル内部に収納された水が前記多孔質セラミックに接触した後に前記チューブ内を経由して前記スプレーノズルに達する銀イオン水スプレー装置。
【請求項2】
前記ホルダは、上端が前記チューブの下端に連通する空間部と、前記空間部の下方に連続して前記多孔質セラミックを保持する保持部であって上面以外の面に前記ボトル内に連通する開口を備えた保持部と、を備え、
前記保持部を通過した水のみが前記空間部から前記チューブ内に流入する請求項1に記載の銀イオン水スプレー装置。
【請求項3】
前記多孔質セラミックは、ペレット形状を呈し、
前記保持部は、底面側から嵌入した前記多孔質セラミックを挟持する請求項2に記載の銀イオン水スプレー装置。
【請求項4】
前記多孔質セラミックは、粒状を呈し、
前記保持部の少なくとも上面及び底面を、前記多孔質セラミックよりも小径の貫通孔を有するストレーナで構成した請求項2に記載の銀イオン水スプレー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−161490(P2009−161490A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1627(P2008−1627)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000001074)クロイ電機株式会社 (49)
【Fターム(参考)】