説明

銀系抗菌剤組成物および物品

支持体および銀化合物を含む粘着性、接着性および感圧性接着性物品を包含する抗菌物品、ならびに抗菌物品の製造方法を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第61/190432号(2008年8月28日出願)(この全内容は参照により本明細書中に組み込まれる)の利益を主張する。
【0002】
ヒトおよびその他の動物は、細菌およびウイルス、ならびに病原性真菌および原生動物等の感染性疾患の作因と絶えず免疫系で闘っている。感染性疾患のこれらの作因は、環境中ならびに皮膚の植物相中に生息している。これらの感染性作因に対処するヘルスケアの専門家にとって特別な問題は、信頼できる治癒を提供することを最初は約束した抗菌剤の多くに不応性である抗生物質耐性細菌が発生していることである。実際、防疫センター(CDC)は、近年、抗菌剤耐性と闘うこと、感染性疾患の発生を防止することという問題を、その最優先事項のうちの2つにした(”Federal Register Notice on Draft Public Health Action Plan to Combat Antimicrobial Resistance” (2000) JAMA 284)434; (2000) MMWR 49: 603および”Preventing Emerging Infectious Diseases”(国立感染症センター、防疫センター(Atlanta, GA)発行)」参照)。
【背景技術】
【0003】
ヘルスケア産業にとって特別な問題は、感染症、特に病因環境内で黄色ブドウ球菌(MRSaを含む)により引き起こされる感染症の発症および蔓延である。静脈内カテーテルなどの医療機器は、流体、薬剤および栄養素を患者に送達するための方法を提供するが、しかしながら、それらの使用によって、しばしば、院内感染(HAI)が引き起こされる。カテーテルおよびその他の医療機器と一緒に用いられる接着テープは、病院内でのこのような感染症の蔓延を助長する独特の弱さがある。これは、それらが一旦パッケージから出されると、一般的に洗浄または滅菌されないためであり、さらに、一般的には、1つのテープが数人の医者により、多数の異なる患者に用いられ、それにより多数の異なる個体に曝露されるようになるためである。さらに、このような接着テープは、しばしば、手袋をしていない手で扱われ、長期間に亘って血管内挿入と密接に接触して適用される。実際、ある研究では、トロントの病院全体で使用されていた医療用テープ(3M Transpore(商標))巻きの外層および側面に、全形態の黄色ブドウ球菌等、驚くほど高レベルの感染性細菌を見出した(Redelmeier and Livesley (1999) J. Gen. Int. Med. 14: 373−5参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、少なくとも一部は、銀を含有するガラスビーズが粘着物品に付加されて、粘着ならびに抗菌特性を保持する物品を生じる、という驚くべき発見に基づいている。したがって、一態様において、本発明は、支持体および銀化合物を含む抗菌物品であって、銀化合物が、抗菌物品と被験者との接触により感染性作因を処置するのに十分な量で存在する物品を特徴とする。いくつかの実施形態では、銀化合物は、本明細書中に記載される銀を含有するガラスビーズであり、支持体は銀化合物を含む処方物を含む。いくつかの実施形態では、処方物は、本明細書中で記載される粘着剤、接着剤または感圧性接着剤を含む。いくつかの実施形態では、物品はテープである。他の実施形態では、物品は包帯である。
【0005】
別の態様において、本発明は、抗菌物品の製造方法であって、抗菌物品と被験者との接触により感染性作因を処置するのに十分な量で、銀化合物含有樹脂を物品に負荷することを包含する方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、銀化合物は、本明細書中に記載される銀を含有するガラスビーズである。いくつかの実施形態では、樹脂は、本明細書中に記載される粘着剤、接着剤または感圧性接着剤を含む。いくつかの実施形態では、物品はテープである。他の実施形態では、物品は包帯である。
【0006】
別記しない限り、本明細書中で用いられる技術および科学用語は全て、本発明が属する当該技術分野の当業者に一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書中に記載されるものと類似のまたは等価の方法および材料が本発明の実行または試験に用いられ得るが、しかし適切な方法および材料は以下で記載される。本明細書中で言及される出版物、特許出願、特許およびその他の参考文献は全て、その記載内容が参照により本明細書中に組み込まれる。不一致の場合、定義を含めた本発明の明細書が統御する。さらに、材料、方法および実施例は例証に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明の他の特徴および利益は、以下の詳細な説明から、ならびに特許請求の範囲から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも一部は、銀を含有するガラスビーズが粘着物品に付加され得る、という発見に基づいている。驚くべきことに、このような物品は粘着特性を保持するということ、ならび物品中に組み入れられた銀を含有するガラスビーズが抗菌特性を保持するということが、見出された。したがって、本発明は、本明細書中に記載される抗菌剤組成物が組み入れられた粘着剤および接着剤(感圧接着剤を含む)処方物を提供する。
抗菌剤組成物
【0008】
本明細書中に記載される組成物および方法は、少なくとも1つの抗菌剤組成物、例えば銀組成物を包含する。「銀組成物」という用語は、陰イオン種の存在時に、結合された銀金属イオンを放出する化合物、例えばイオン交換樹脂、ゼオライト、置換ガラス化合物等を包含する。銀化合物の一例は、IonPure(登録商標)(Ishizuka Glass, Iwakurashi, Japan)、例えばIonPure WPA(≦10マイクロメートル)、IonPure WPA(≦40マイクロメートル)、IonPure IZA(≦10マイクロメートル)およびIonPure IPM(≦50マイクロメートル)である。特定の実施形態は、銀イオンを放出し得るガラス含有銀ゼオライト組成物の使用を包含する。別の例示的銀組成物は、ACT Z200(登録商標)およびACT T558(登録商標)(EnviroCare Inc., Wilmington, MA, USA)である。特定の実施例は、銀イオンを放出し得るこれらのゼオライト組成物の使用を包含する。
【0009】
他の銀組成物としては、AlphaSan(登録商標)(Milliken & Company, Spartanburg, SC);Agion(登録商標)天然ゼオライト(Agion Technologies, Inc., Wakefield, MA);Zeomic(登録商標)AJ(Sinanen Zeomic Co., Tokyo, Japan);Apacider(登録商標)(Sangi Co., Tokyo, Japan);銀金属被覆ナノ−球、繊維または粒子、ならびに高分子リガンドが挙げられる。これらの銀組成物の種々の組合せを用いて、経時的に銀放出率を制御し得る。
抗菌物品
【0010】
本明細書中に記載される抗菌剤組成物は、抗菌物品を製造するために、粘着剤および接着剤(感圧性接着剤を含む)処方物中に組み入れられ得る。このような抗菌物品としては、例えば、被験者との局所的/皮膚接触のための物品(例えば、テープおよび包帯)が挙げられる。例示的物品としてはテープおよび包帯が挙げられ、任意の多数の材料、例えば織生地および不織布、ニット生地、ならびに膜、例えば多孔質膜(例示的な多孔質膜は、U.S.S.N.11/204,736号に記載されている)で構成され得る。本明細書中に記載される抗菌物品は、任意の適切な用途に、例えば運動または医療に用いられ得る。本明細書中に記載される組成物および方法に用いられ得る局所的/皮膚接触のための例示的な物品は当該技術分野で既知であり、当該技術分野で既知であり、以下ならびに例えば米国特許第5,762,623号および米国特許出願公開番号第20040214494号;同第20050158539号;および同第20050249791号(これらの記載内容は、参照により本明細書中に組み込まれる)に記載されている。
【0011】
本明細書中に記載される粘着、接着または感圧性接着物品のいずれかとしては、本明細書中に記載される抗菌剤組成物が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、抗菌剤組成物は、物品の形成前に、粘着剤、弾性剤または感圧性接着剤処方物と混合される。他の実施形態では、抗菌剤組成物は、樹脂性材料と混合されて抗菌樹脂を製造し、これは、本明細書中に記載される物品の1つ以上の表面に被覆され得る。
【0012】
特定の実施形態では、物品は、Cotton Arun 150;151;170;ポリコットンArun 112;ポリエステル;ポリアミド;Cerex;ワープニット(Milliken, Jinda)、ならびに不織布、例えばCL、KT、RG、High TechおよびFQNである。いくつかの実施形態では、物品は粘着性弾性包帯、例えばCoFlex、CoFlex NL、CoFlex LF、CoFlex LF2、PowerFlex、PetFlex、CoFlex医療テープ、トレーナーズテープ、モールスキン、パワーテープ、ROMテープ、外科用テープおよびパワーファーストである。他の実施形態では、物品は粘着テープ、例えばパワーテープである。他の実施形態では、物品は感圧性テープまたは包帯、例えば医療テープ、トレーナーズテープ、モールスキン、パワーファーストおよび外科用テープである。さらに他の実施形態では、物品は島状包帯剤、例えばAndoverの吸収発泡包帯および任意の他の既知の包帯である。
【0013】
抗菌性樹脂は、物品の表面での機能化学と化学的に類似であるかまたは異なり得る。例えば、抗菌性樹脂は、本明細書中に記載される粘着物品を形成するために用いられる同一の粘着剤組成物である粘着性樹脂から形成され得る。他の状況では、抗菌性樹脂は、本明細書中に記載される粘着物品を形成するために用いられる粘着剤組成物とは異なる粘着性樹脂から形成され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、ポリクロロプレン(例えば、Neoprene 654、Neoprene 750、Dispercoll C74、Dispercoll C−84)または酢酸ビニルエチレン(例えば、Airflex 323、Airflex 400、Airflex 410、Airflex 405、Airflex 421、Airflex 920)を用いて、抗菌性樹脂を形成し得る。他の抗菌性樹脂は、天然ゴムラテックス、ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリルから、ならびにスチレン、ポリウレタン、任意のPSA、アクリル樹脂、カルボキシル化スチレンブタジエンゴム、シリコーン、フルオロカーボン、微晶質蝋およびSi−PURの相互侵入高分子網目(IPN)との組合せから製造され得る。
抗菌物品の製造方法
【0015】
任意数の方法を用いて、柔軟性支持体の1つ以上の表面に、本明細書中に記載される抗菌性樹脂のコーティングを接触し得る。コーティング厚は、総溶液中の膜形成樹脂の濃度(wt/wt)により決定され得る。このようなコーティング方法としては、噴霧法、「ディップ−ニップ」法、ナイフオーバーロール法、逆マイヤーロッド法、逆グラビア法、キスコーティング法、プリンティング法、またはGaston Systems Inc.により開発された化学発泡系による方法(欧州特許第0 995 826 B1号)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
いくつかの方法は、分散剤、湿潤剤またはレオロジー改質剤の使用を包含する。分散剤または湿潤剤の非限定例としては、例えば0.5%または1.0%での、Zetasperse 1200、Zetasperse 1400、Zetasperse 1600、Zetasperse 2300が挙げられる。レオロジー改質剤の非限定例としては、ASE60、Rheolate 360およびParagum 184が挙げられる。抗菌性樹脂の標的コーティング重量は、約0.1gsm〜約10gsmであり得る。
粘着物品
【0017】
本明細書中に記載される抗菌剤組成物は、種々の支持体上に用いられ得る。例えば、粘着剤組成物を用いて、粘着物品、例えば米国特許第6,156,424号および米国特許第5,762,623号(これらの記載内容は参照により本明細書中に組み込まれる)に記載されたものを形成し得る。例えば、粘着剤組成物は、「POWERFLEX」の商標でAndover Healthcare Inc.(旧名Andover Coated Products Inc.)(マサチューセッツ州ソールズベリー)により販売された、米国特許第5,762,623号に記載された型の支持体上で用いられ得る。この特許に記載されているように、支持体は、縦編み横糸挿入生地の層と不織布の層との間に挟まれた複数の縦軸方向に延びる弾性スレッドまたはヤーンを包含する。
【0018】
支持体は、広範囲の材料のうちのいずれかから製造され得るし、広範囲の構造を有し得る。例えば、支持体は、その各々が、例えば織り生地、編み生地、縦編み横糸挿入生地または不織布、あるいは紙であり得る1つ以上の層を有し得る。支持体は、その1つ以上の表面が粘着剤組成物への接着を保証するよう処理されている表面処理高分子物質、例えば線状低分子ポリエチレン(「LLDPE」)または線状低分子ポリプロピレン(「LLDPP」)のシートでもあり得る。同様に、支持体構造は、弾性スレッドを1つ以上の層に編むかまたは織ることにより、あるいは単一または多層支持体を通してエラストマースレッドを編むかまたは縫うことにより、伸縮性を持たされ得る。
【0019】
粘着物品がテープまたは包帯である場合、支持体は、天然または合成繊維の織り生地、編み生地または縦編み横糸挿入生地、あるいは不織布、例えば不織スクリムを包含し得る。一例では、支持体は、スレッドが編まれ、本明細書中に記載される粘着剤組成物が例えば噴霧またはコーティングにより生地の反対側に沈着される単一層の不織布を包含する。いくつかの状況では、支持体は、ナイロンまたはポリエステルまたはポリプロピレンを含むテープまたは包帯である。
【0020】
他の例では、テープまたは包帯の支持体は、不織布の第一層および第二層、ならびにテープまたは包帯の縦に伸びる方向に弾性である第三層(ここで、第三層は不織布の第一層と第二層との間に位置するか、又はその中に編み込まれるかまたは織り込まれる)を包含する。
【0021】
他の例では、テープまたは包帯の支持体は、以下のものを包含する:テープまたは包帯の縦軸方向に伸びるニット糸とともに配向される縦編み横糸挿入生地の第一層;不織布の第二層;ならびにテープまたは包帯の縦に伸びる方向に弾性である第三層(ここで、第三層は第一層と第二層との間に位置するか、又はその中に編み込まれるかまたは織り込まれる)。
【0022】
粘着剤組成物が天然ゴムラテックスであるテープまたは包帯を製造することはよく知られている。このようなテープまたは包帯をどのように作るかは、従来技術に、例えば米国特許第5,718,674号に記載されている(この記載内容は参照により本明細書中に組み込まれる)。概して、このようなテープまたは包帯は、粘着付与剤が付加された天然ゴムラテックスの水ベースの乳濁液から製造される。その結果生じるラテックス/粘着付与剤構造は支持体に適用され(典型的には、支持体を乳濁液で飽和させるか、または支持体の反対側に乳濁液をコーティングすることにより)、次いで、その構造は乾燥されて、所望の最終物品を産生する。
粘着結合強度の決定方法
【0023】
本明細書中に記載される粘着物品の粘着結合強度は、既知の方法により、例えばT字剥離試験または剪断結合試験により決定され得る。T字剥離試験は、例えば、幅と長さが1インチの完成粘着物品の2つのストリップを用いて、実施され得る。2つのストリップは向かい合って配置され、円筒形重量物が重ね合わされたストリップの表面の端から端まで回転される。2つの重ね合わされない末端は、引張り試験装置の顎にしっかり締められて、反対方向に直線状に引張られて、2つのストリップを引き離す。クランプの動きに対する重ねあわされたストリップの耐久性は、典型的には、オンス/幅1インチで測定される。ある状況では、本明細書中に記載される粘着物品は、T字剥離≧10オンス/インチを有する。
【0024】
剪断結合試験は、例えば幅1インチ、長さ5インチの完成粘着物品の2つのストリップを用いて実施され得る。2つのストリップは線状に配置され、したがって、一方のストリップの末端は2インチ幅でもう一方のストリップの末端と重なり合う。円筒形重量は、2つのストリップの重ね合わされた末端の表面の端から端まで回転される。2つのストリップの重ね合わされない末端は、引張り試験装置の顎にしっかり締められて、反対方向に直線状に引張られる。重ねあわされた末端の剪断結合の強度は、典型的には、オンス/インチで測定される。いくつかの場合、本明細書中に記載される粘着物品は、剪断弾性係数≧10オンス/2インチを有する。
発泡体層粘着物品
【0025】
本明細書中に記載される粘着剤組成物は、発泡体層粘着物品、例えば医療用包帯およびラップに用いられ得る。いくつかの場合、発泡体層粘着物品は発泡体層を包含し、任意に、1つ以上の付加的層、例えば弾性体層、あるいは弾性、強度、柔軟性および/または粘着性の増強を提供し得る生地を包含する。物品は、典型的には、第一および第二の対向する外表面の両方が、少なくとも部分的に、本明細書中に記載される粘着剤組成物で被覆される。種々の状況において、粘着剤組成物は、実質的には、発泡体に浸透し、発泡体層を物品内の他の層に固定される。しかしながら、他の状況では、本明細書中に記載される粘着剤組成物は発泡体または他の層に浸透しないが、しかし物品の主要外表面の一方または両方の少なくとも一部を被覆する。物品は、創傷に適用され得る発泡体パッドも包含し得る。物品は、それ自体に巻き付けられて、表−裏に配向された層を形成し得る。
【0026】
発泡層の存在は、多くの点で有用である。例えば、物品がラップとして用いられる場合、発泡体層は、発泡体層を含まない包帯に比して、快適性および柔軟性の増強を提供し得る。さらに、発泡体層が物品の主要外表面のうちの1つの少なくとも一部を限定する状況では、発泡体の顕微鏡的構造は物品の粘着特性を増強し得る。例えば、発泡体は、物品の外側に面している表面を有する複数の開口セルを含み得るし、粘着剤組成物は細胞を充填することなくこれらのセル表面を被覆し得る。開口セルは、小さな、外側に面した「吸引カップ」を形成すると思われる。これらの吸引カップは、1つの面に対して、例えば物品が身体部分周囲に巻きつけられる場合には物品の別の面に対して、あるいは本体部分に貼り付けられている医療機器の非多孔性表面に押し付けられると、「吸引カップ」は特にしっかりした粘着特性を物品に付与する不完全真空を形成し得る。物品が身体部分周囲に包まれている間に湿ってくると、それは、慣用的ラテックス非含有粘着性包帯と同様に解けず、むしろ身体部分周囲にぴったり適合するようになる、ということが観察されている。
【0027】
いくつかの場合、発泡体層は、物品に粘着性増強を提供するために物品の主要外表面のうちの1つの全体を限定する必要はない。例えば、多孔性生地(例えば、織スクリム等)が、発泡体層の上に適用され得る。この生地は、発泡体層がこの生地を通して曝露されるよう、十分に多孔性であり得る。理論に縛られることなく考えると、これにより、発泡体層の表面上の曝露された開口セルの少なくともいくつかは、生地被覆発泡体層が表面に押し付けられると、生地被覆層と一緒になって、小さな「吸引カップ」として振舞って、したがって物品の粘着性増強を少なくとも多少は保持する。いくつかの状況では、多孔性生地の存在は無生地実施形態と比較して粘着性の増強を低減し得るが、一方、多孔性生地は他の有用な特性(例えば、物品の強度を増強すること、物品を手でより均一に引き裂かれるようにすること、および/または所望の手触りを物品に提供すること)を付与し得る。
【0028】
発泡体層は、少なくとも多少閉鎖されたセルを含み得るし、あるいは実質的に完全に閉鎖されたセル構造を有することさえある。閉鎖性セルは、必ずしも開口セルに匹敵する「吸引カップ」作用を提供しないが、しかし発泡体は依然として物品に柔軟感を付与する。
【0029】
発泡体層粘着物品の例証的一例では、物品は、縦編み横糸挿入生地の裏張り層、ポリウレタン発泡体の底層、および縦軸方向に伸び、横軸方向に間隔を置いた(例えば1インチ毎に約12の)弾性ストランドの中間層を含む。3層構造は、3つの層の全てを含浸する本明細書中に記載される粘着剤組成物と一緒に積層され得る。粘着剤組成物は、実質的に、物品の主要外表面を被覆し、さらにまた3層全てに浸透し、したがってそれらを互いに固定する。
【0030】
使用中、発泡体層は固有的に弾性であり、すなわち、それは広範囲に変形され得るし、次いで、実質的にその元の形状に戻る。したがって、いくつかの場合、弾性ストランドの存在は必要ではない。しかしながら、ある用途においては、弾性物質の存在は、例えば物品が身体部分の周りに巻きつけられる場合、物品が発揮し得る圧迫を増強し得るし、ラップに強度を付加し得るし、伸ばした後に物品をその元の形状により迅速に回復し得る。
【0031】
他の場合には、裏張り層は、縦編み横糸挿入生地ではない。むしろ、概して、種々の異なる層(または全く層なし)が裏張りに用いられ得る。裏張り層は、複数の層を含み得る。例えば、裏張りは、生地全体に織り込まれた弾性ヤーンを含み得る弾性生地を包含し得る。この場合、別個の弾性体層は必要ではないが、しかし用途によって所望される場合には、それは依然として包含され得る。裏張り層は、不織布も含み得る。例えば、開口セル発泡体層が物品の第一主要外表面を限定し、不織布が裏張りとして用いられ、したがって物品の第二主要外表面を限定する状況は、発泡体層が不織布裏張りに押し付けられる場合に特に粘着性であることが見出されている。理論に縛られることなく考えると、不織布裏張りは、いくつかの他の種類の生地に比して表面積拡大を提供し得るし、および/または不織布の下にある発泡体層の開口セル「吸引カップ」のいくつかが使用に応じられるよう十分に開放性であり得る。ニット生地、例えば鎖編み、丸編みまたは縦編み横糸挿入生地も、裏張り層に用いられ得る。織生地、例えば織スクリムまたは目の粗いメッシュ生地も用いられ得る。いくつかの実施形態では、裏張りに用いられる層のうちの1つ以上が実質的に多孔性であり、例えば、約25%〜75%の開口性構造、例えば約50%の開口を有する。
【0032】
裏張りに用いられる層(単数または複数)は、生地ベースの層に限定されない。例えば、いくつかの場合、第二発泡体層が裏張りに用いられる。第二発泡体層は、快適性増強、ならびにより強い剥ぎ取り強度を提供し得る。これは、例えば物品が手に用いられる場合、握力強化を生じ得る。
【0033】
上記のように、他の層の非存在下で本明細書中に記載される粘着剤組成物で被覆される場合、発泡体層それ自体が多数の有用な特性、例えば粘着性、柔軟性および強度を提供するので、全ての物品が裏張りおよび/または弾性体層を含むというわけではない。
【0034】
さらにまた、上記のように、付加的層、例えば生地層は、例えば、発泡体の裏に付加される裏張り層のほかに、発泡体の表に付加され得る。表の付加的層は、本明細書中に記載される生地を包含し得るし、および/または弾性体層を含み得る。裏張りおよび/または表生地は、流れ方向および幅方向の種々の強度を有して、発泡体層粘着物品を楽に且つ均一に裂けるようにし得る。
【0035】
いくつかの場合、裏張りは、生地層および弾性体層の両方であるとみなされ得る。「裏張り」または「第二層」という用語は、一重の層に限定されるものと意図されるべきでないが、しかし、実際上、多重であり得るし、多数の層を有し得る。裏張りは、例えばそれが乾燥されると一緒に層を結合する粘着剤組成物で発泡体と裏張りを浸透することにより、本明細書中に記載される粘着剤組成物を用いて発泡体層に固定され得る。
【0036】
種々の型の発泡体層粘着物品を形成するために用いられ得る層のいくつかの組合せを以下に列挙する。最初に列挙した層は、物品の第一主要外表面の少なくとも一部を限定し、最後に列挙した層は物品の第二主要外表面の少なくとも一部を限定し、間の任意の層は列挙した順に示されており、それ自体、任意の介在層の多孔度によって、物品の第一および/または第二主要表面の少なくとも一部を限定し得る。列挙した型は、全ての考え得る例を限定するものでもないし、または包括的なものでもない:
・縦編み横糸挿入生地層、弾性体層、発泡体層。
・顔料で予備被覆される縦編み横糸挿入生地層、弾性体層、発泡体層。
・縦編み横糸挿入生地層、発泡体層。
・縦編み横糸挿入生地層、発泡体層、縦編み横糸挿入生地層。
・縦編み横糸挿入生地層、弾性体層、発泡体層、縦編み横糸挿入生地層。
・縦編み横糸挿入生地層、弾性体層、不織布層、発泡体層。
・発泡体層、縦編み横糸挿入生地層、弾性体層、発泡体層。
・発泡体層、弾性体層、不織布層。
・発泡体層、弾性体層、発泡体層。
・発泡体層、弾性体層。
・発泡体層、縦編み横糸挿入生地層、発泡体層。
・発泡体層、弾性体層、織生地層、発泡体層。
・発泡体
・不織布層、弾性体層、発泡体層。
・不織布層、織生地層、弾性体層、発泡体層。
・不織布層、弾性体層、不織布層。
・粗いメッシュ生地層、発泡体。
【0037】
物品は、一巻に巻かれ得る。いくつかの状況では、物品の第一主要外表面は、物品の第二主要外表面上に巻かれて、それに粘着的に取り付けられるか、またはその逆でも有り得る。他の場合には、除去可能な剥離層が物品の主要外表面間に配置される。好ましくは、剥離層は粘着性ではなく、容易に物品の主要外表面から剥がれる。剥離層は、例えば物品の主要外表面間の粘着性が相対的に高く、剥離層の存在が巻かれた物品が解けるのを促すか、層でない場合には物品の使用を助長する状況において、有用であり得る。いくつかの状況では、剥離層は、巻かれない物品に関してである。
【0038】
異なる種類の有用な生地、弾性体層、粘着剤組成物、発泡体等の特定の詳細は、下記に見出され得る。さらに、他の層および組成物が用いられ得る、と当業者は理解するであろう。
発泡体層粘着物品の例示的実施形態の特質
【0039】
多数の状況において、発泡体層粘着物品は、例えば、表の発泡体層が物品の裏の裏張り層に結合される時、例えば物品がそれ自体巻きつけられて、表−裏に配向された層を形成する時、ロール上に、あるはそれが身体部分を包むために用いられる場合に、しっかりした粘着結合を提供する。いくつかの物品では、物品の表−裏配向層間のこのしっかりした粘着結合の強度は、特別な用途および形状、例えば発泡体中の開口セル対閉鎖セルの比、付加的層の存在、ならびに粘着剤組成物によって、標準剥離力結合試験で測定した場合に、例えば約5オンス/インチ幅〜約40オンス/インチ幅の剥離力結合強度により特性化される。いくつかの場合、剥離結合力強度は、標準剥離力試験において、約12オンス/インチ幅〜約35オンス/インチ幅、約20オンス/インチ幅〜約30オンス/インチ幅、または約25オンス/インチ幅であり得る。このような剥離力結合強度がラテックス非含有物品において達成され得ることは、特に驚くべきことである。
【0040】
いくつかの物品において、物品の表の発泡体層により提供されるしっかりした粘着結合は、上記のような特別な用途および形状によって、立位表面支持体への標準剪断力強度試験において約2ポンド/インチ〜約30ポンド/インチの剪断力結合強度により特性化される。いくつかの状況では、物品は、標準剪断力強度試験において、約5ポンド/インチ〜約20ポンド/インチ、または約9ポンド/インチ〜約15ポンド/インチ、または約11ポンド/インチ〜約13ポンド/インチ、または約12ポンド/インチの剪断力結合強度を有し得る。
【0041】
いくつかの物品では、全体的積層弾性物品は、それが出来なくなる前に、その元の非伸張長さより約50%〜約200%伸張する能力により特性化される。存在し得る発泡体層および他の層の固有の弾性は、一部は、出来なくなる前に伸張する物品の能力を決定する。例えば、生地(例えば、縦編み横糸挿入生地)の存在は、生地のヤーンがそれ自体伸長可能であり得ないため、層でない場合に出来るより早く物品が伸張しないようにし得る。したがって、生地の織り方は、物品の伸長性を限定し得る。以下で考察するように、物品が生地の最大伸長(この時点でさらに引張ると少なくとも部分的に物品を損傷する)に到達する前に、所望のストレッチ%に伸長可能であるよう、生地は製造中に「ギャザーを寄せられ」得る。特別な場合、物品はそれが出来なくなる前に非ストレッチ長の約100%〜約180%、または約120%〜約160%、または約140%のストレッチ%を有する。
【0042】
いくつかの状況では、全体的物品は、標準引張り強さ試験において、約8ポンド/インチ〜約25ポンド/インチ、例えば約12ポンド/インチの引張り強さを有することにより特性かされる。他の場合には、物品は、約30g/m〜約100g/mの全体重量を有し、粘着剤組成物はこの全体重量の約20%〜約70%を構成することにより特性かされる。一例では、物品は約60g/mの全体重量を有し、粘着剤組成物は全体重量の約35%を構成する。
発泡体層粘着物品を製造するための装置および方法
【0043】
発泡体層粘着物品を調製するための例示的装置は、同時係属中の米国特許出願第11/809,738号;同第11/809,766号;および同第11/809,469号(これらはすべて参照により本明細書中に組み込まれる)に記載されている。この例示的装置は、発泡体層、縦編み横糸挿入生地裏張り層および弾性体層、例えば弾性ヤーンを供給するための3つの別個のフィードロールを包含する。弾性体層は、発泡体層と縦編み横糸挿入生地裏張り層との間に送り込まれる。発泡体層、縦編み横糸挿入生地裏張り層および弾性体層は一緒に、計測された量の粘着剤組成物、例えば本明細書中に記載される粘着剤組成物をレザバーから層に供給するニップロールに導かれる。多くの場合、粘着剤組成物は、物品の発泡体基剤および縦編み横糸挿入生地裏張り層の含浸およびコーティングを可能にする固体含量および粘度を有する。添加剤、例えば消泡剤が付加されて、粘着剤処方物の加工処理可能性を改良し得る。
【0044】
ある状況では、粘着性組成物と一緒に積層されると、裏張り層は十分に拡張され、発泡体層および弾性体層は引き伸ばされる。例えば、弾性体層は、それが裏張り層および発泡体層に積層される場合、その元の非伸張長さの約50%〜約250%または約130%〜約170%、あるいは約150%伸張され得る。発泡体層は、弾性体層および裏張り層に積層されると、約0%〜約20%伸張され得るし、あるいはそれが弾性体層および浸透裏張り層に積層されると、十分に拡張され得る(しかし伸張されない)。層化物品に圧迫を供給するニップロールを通過後、赤外線ヒーターと適切な温度に保持された加熱プレートとの間を通すことにより、前記層は一緒にさらに積層され得る。ヒーターは、例えば加熱空気、加熱ランプ、または任意の他の慣用的熱源であり得る。次に、積層構造は、多数のローラーに通されて、積層構造を乾燥し、ラップニット生地裏張りを物品の表の発泡体層に固定する。多くの場合、本質的に全ての担体液が乾燥ステップで除去され、次いで、完成物品が巻取りロールに巻き取られる。巻取りロールは、次に、直接用いられ得るし、あるいは任意の所望の長さ、幅および巻取張力を有する完成ロールに巻き取られ得る。
【0045】
発泡体層粘着物品の異なる実施形態は、本明細書中に記載される装置を修正したものを用いて、あるいは全く異なる機械および/または方法で加工され得る、ということに留意されたい。例えば、物品が裏張り層および/または弾性体層を含まない場合、それらの巻き枠およびステップは省かれ得る。あるいは、例えば、裏張り層および/または発泡体層は粘着剤組成物で予備被覆され得るし、弾性体層が予備被覆織裏張り層と予備被覆発泡体層との間に置かれる。粘着剤組成物で予備被覆された裏張り層は、結合剤(例えば、アクリルニトリル)を浸透され、次いで本明細書中に記載される粘着剤組成物で被覆された生地、例えば織り材料を含み得る。
【0046】
一例証例では、例えばテープまたは包帯として用いるための発泡体層粘着物品は、縦編み横糸挿入ポリエステル生地の裏張り層に本明細書中に記載される粘着剤組成物を浸透させることにより加工され得る。粘着剤組成物は、約1.40ポンド/ftの密度、約0.025インチの厚み、および約22g/mの重量を有する開口セルポリウレタン発泡体材料の発泡体層に浸透するためにも用いられ得る。次に、粘着剤浸透裏張り層は、浸透裏張り層と浸透発泡体層との間に配置される弾性体層とともに、粘着剤浸透発泡体層に積層される。浸透裏張り層と浸透発泡体層との間に積層される弾性体層は、約210のデニール、出来なくなる前にそれらの非伸張長さの約700%〜約800%の伸張%、および全体物品の約6.5g/mの重量を有する弾性スパンデックス・ヤーンから作られる。最後に、その結果生じる積層物品は乾燥されて、ロールに形成されるかまたは直接用いられ得る発泡体層粘着物品を製造する。
発泡体層
【0047】
いくつかの物品において、発泡体層は、適切な材料、例えば化学的に発泡されるかまたは曝気されたプラスチック材料、発泡ゴム、あるいは非硬化セルローススポンジ材料から形成される多孔性シート材料である。いくつかの物品では、発泡体層は、物品の粘着性を増強する小さな「吸引カップ」として振舞う複数の開口セルを含む。これらの開口セルは、物品の主要外表面のうちの1つの少なくとも一部を限定し得る。いくつかの物品では、発泡体層は、複数の閉鎖セルを含む。閉鎖性セルは、必ずしも開口セルと同様に強力な「吸引カップ」作用を提供しない;しかしながら、閉鎖セルは、無発泡体形成物に比して増強された粘着性および快適性を提供する。物品の粘着性ならびに他の表面(例えば、装具または他の医療用設備の非多孔性表面)への物品の接着は、とりわけ、物品中の開口セル対閉鎖セルの比を選択し、ならびに粘着剤組成物を適切に調整することにより調整され得る。
【0048】
開口セル発泡体および閉鎖セル発泡体は当該技術分野でよく知られており、「開口セル」と呼ばれる発泡体がいくつかの閉鎖セルを天然に含むということ、「閉鎖セル」と呼ばれる発泡体がいくつかの開口セルを天然に含むということを、当業者は理解する。したがって、「開口セル」および「閉鎖セル」という用語は、100%の開口セルまたは100%の閉鎖セルを発泡体は必ず含まなければならない、ということを意味しない。害して、閉鎖セル発泡体では、セルのほとんどが互いに孤立しており、吸水率は低い。開口セル発泡体は相互連絡構造を有し、液体を吸収し、一般的に閉鎖セル発泡体より柔軟で、開口セル発泡体より低い構造保全性を有する。
【0049】
いくつかの状況では、発泡体材料は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステル/ポリウレタンおよびポリエチレンのうちの1つ以上を含む。物品中に組み入れられると、層は、約18 g/物品1m〜約30g/物品1mの重量を有し得る。特に、発泡体層は、約22 g/物品1mの重量を有し得る。ポリウレタンで構築される場合、発泡体層は、約1.00ポンド/ft〜約3.00ポンド/ft、例えば約1.40ポンド/ftの密度を有し得る。発泡体層は、約0.01インチないし約0.25インチ、例えば約0.025インチ〜約0.035インチの厚みを有し得る。発泡体層は、特別な用途のために所望される任意の厚みを有し得る。概して、厚みが厚いほど、クッション作用は大きい;しかしながら、厚みが厚いほど物品の嵩を増大し、したがって適切な厚みは特定の用途に依っている。例えば、巻きつけられた物品の上に衣服を装着する腕や足の創傷には、薄い発泡体が有用であり得る。一方で、打撲傷の上に適用される場合には(より多くのクッション性を提供するため)、あるいは動物で用いるためには(この場合、巻きつけられた物品は付加的摩損を経ると思われる)、厚い発泡体が有用であり得る。
【0050】
いくつかの物品では、発泡体層は、0.025インチのオーダーの厚みを有するポリウレタンまたはポリエステル/ポリウレタン発泡体材料の薄肉シートである。適切なポリエステル−ポリウレタン発泡体シート材料の1つは、物品番号S82Fポリエステルポリウレタン発泡体(W.T. Burnett & Co., Jessup, MD)である。この発泡体シート材料は、約1.4±10%ポンド/ftの密度、22.0 psiの最小引張り強さ、30.0 psiの平均引張り強さ、3.00 pliの最小引裂き耐性、4.00 pliの平均引裂き耐性、および300%(平均400%)の最小伸び率を有する(軟質気泡性材料−スラブ、結合および成形ウレタン発泡体を試験するためのASTM−D3574標準方法により決定)。S82Fポリエステルポリウレタン発泡体は、0.35 psiの最小圧迫力たわみ、25%たわみで0.50 psiの平均圧迫力、50%たわみで0.40 psiの最小圧迫力および25%変形で0.55 psiの平均圧迫力を有する。0.025インチの厚みを有するS82Fポリエステルポリウレタン発泡体は、申し分ない粘着およびクッション特性を有する積層物品を生じるが、しかし他の厚み(例えば、最大0.10インチまたはさらにはそれを超える)を用いて付加的クッション性を提供し得る。
【0051】
発泡体層として用いるのに適した他の例示的材料としては、難燃性強化を提供し得る柔軟性発泡ポリエステル材料が挙げられる。代替的には、発泡ゴムシートまたは非硬化セルローススポンジシートは、発泡プラスチック材料のシートと組合せて、またはそれの代わりに、コアとして用いられ得る。発泡体層のための他の代替物としては、適切な発泡熱硬化性材料、あるいは発泡ゴムシートまたは非硬化セルローススポンジシートが挙げられる。負荷的には、発泡剤量は、正常装着中の浸出あるいは物品が付されると思われる要素への曝露を阻止するために選択され得る延焼防止または抑制剤を組み入れ得る。
【0052】
いくつかの物品において、その主要表面の少なくとも1つに複数の開口セルを有する発泡体層は、加工されるかまたは商業的に購入される。開口セルの少なくともいくつかは、物品の加工中は、粘着剤組成物およびによる浸透ならびに他の層(単数または複数)への積層後でさえ、開口したままである。次いで、開口セルは「吸引セル」として作用し、したがって物品の粘着性を増強する。他の物品では、複数の閉鎖セルを有する発泡体層は、加工されるかまたは商業的に購入される。積層操作中、多数の閉鎖セルは部分的に分断され、開口され得る。いくつかの物品では、加工されるかまたは購入された場合の発泡体層は、決定された最大値より低く維持される個々のセルのセルサイズを有し、セルの優勢は、最大のセルのサイズより小さいサイズおよび程度を有する。
表および/または裏張り層
【0053】
上記のように、物品の表および/または裏張り層は、第二発泡体そう、弾性体層、弾性生地、ニット生地、織生地または不織布を含むが、これらに限定されない。この節は、裏張り層を一般的に記載するが、説明は、発泡体層の他方側に適用される表の層にも等しく当てはまる。
【0054】
いくつかの物品では、本明細書中に記載される裏張り層は、物品を手で引裂くのを助長し、および/または、例えば四肢または他の身体部分にまきつけるといったような用途、あるいは任意の他の適切な用途に用いるのに適した縦方向引張り強さを物品に提供する1つ以上の層を含み得る。
【0055】
いくつかの物品では、裏張り層は、縦編み横糸挿入生地であり得る。特別な縦編み横糸挿入生地では、経糸は、横糸が物品の横方向に伸びる複数の縦軸方向に間隔を置いて編まれたループを含み得る。経糸(単数または複数)は、手で裂くのを助長するために緯糸(単数または複数)より低い引張り強さを有し得るが、しかし流れ方向対幅方向における全体的な物品の相対強度も、経糸および緯糸の密度により影響を及ぼされ得る。したがって、流れ方向の物品の全体的強度は、経糸よりも高いデニールを有する緯糸の使用にもかかわらず、幅方向の強度より高くなり得る。
【0056】
縦編み横糸挿入生地の経糸および緯糸は、任意の適切な材料の糸であり得る。例えば、経糸および緯糸はポリオレフィン、ポリエステル、ポリコットン、コットン、あるいは物品を手で裂くことが出来るようにし、所望の引張り強さを提供する任意の他の適切な材料の糸であり得る。物品の横方向に伸びる緯糸は、例えば、加工フィラメント糸であり得る。
【0057】
縦編み横糸挿入裏張り層の経糸は、横軸方向に測定した場合、約9ヤーン/物品1インチ〜約48ヤーン/物品1インチの範囲の密度で間隔を置かれ得る。いくつかの物品では、経糸は、約12ヤーン/インチ〜約24ヤーン/インチの密度で、特に約18ヤーン/インチの密度で間隔を置かれ得る。他の物品では、経糸は、約18ヤーン/インチ〜約30ヤーン/インチ、約30ヤーン/インチ〜約48ヤーン/インチの範囲の密度で、あるいは任意の他の適切な範囲の密度で間隔を置かれ得る。縦編み横糸挿入裏張り層の経糸は、約20〜約80の範囲のデニールを有し得る。いくつかの物品では、経糸は、約30の範囲のデニールを有し得る。他の物品では、経糸は、約20〜約60、約40〜約80、約60〜約100の範囲のデニール、あるいは任意の他の適切な範囲のデニールを有し得る。
【0058】
縦編み横糸挿入裏張り層の緯糸は、縦軸方向に測定した場合、約6ヤーン/物品1インチ〜約48ヤーン/物品1インチの範囲の密度で間隔を置かれ得る。いくつかの物品では、緯糸は、縦軸方向に測定した場合、約9ヤーン/物品1インチ〜約18ヤーン/物品1インチの範囲の密度で、特に約12ヤーン/インチの密度で間隔を置かれ得る。他の物品では、緯糸は、約6ヤーン/インチ〜約24ヤーン/インチ、約18ヤーン/インチ〜約36ヤーン/インチ、約30ヤーン/インチ〜約48ヤーン/インチの範囲の密度で、あるいは任意の他の適切な範囲の密度で間隔を置かれ得る。縦編み横糸挿入裏張り層の緯糸は、約50〜約200の範囲のデニールを有し得る。いくつかの物品では、緯糸は、約60〜約100の範囲のデニール、特に約70のデニールを有し得る。他の物品では、緯糸は、約40〜約170、約170〜約300の範囲のデニール、あるいは任意の他の適切な範囲のデニールを有し得る。
【0059】
いくつかの物品では、縦編み横糸挿入裏張り層は、約50 g/m以下の重量を有し得る。いくつかの物品では、縦編み横糸挿入裏張り層は、約10 g/m〜約20 g/mの範囲、特に約15g/mの重量を有し得る。他の物品では、縦編み横糸挿入裏張り層は、約10g/m〜約30g/m、約20g/m〜約50g/mの範囲の重量、あるいは任意の他の適切な範囲の重量を有し得る。
【0060】
縦編み横糸挿入生地に用いられ得る例証的生地は、Milliken & Company(Spartanburg, SC)から入手可能な型番号071355(「18×12 Milliken生地」)である。このMilliken生地は、約30の経糸デニールおよび約70の緯糸デニールを有するポリエステル縦編み横糸挿入生地である。このMilliken生地は、約0.33オンス/平方ヤードの重量であり、約18ヤーン/インチの間隔の経糸、約12ヤーン/インチの間隔の緯糸、ならびに約11ポンド/インチの引張り強さ(流れ方向)を有する。
【0061】
縦編み横糸挿入生地に用いられ得る別の例証的生地は、Milliken & Company(Spartanburg, SC)から入手可能な型番号997590(パターン番号550)である(「18×18 Milliken生地」)。このMilliken生地は、約30の経糸デニールおよび約70の緯糸デニールを有するポリエステル縦編み横糸挿入生地である。このMilliken生地は、約14.4 g/mの重量であり、約18ヤーン/インチの間隔の経糸、約18ヤーン/インチの間隔の緯糸、ならびに約11ポンド/インチの引張り強さ(流れ方向)を有する。
【0062】
別の例示的縦編み横糸挿入生地は、Chima, Inc.(Reading, PA)から入手可能な型番号J477(「Chima生地」)である。このChima生地は、約50の経糸デニールおよび約150の緯糸デニールを有するポリエステル縦編み横糸挿入生地である。Chima生地は、約0.74オンス/平方ヤードの重量であり、約22ポンド/インチの引張り強さを有する。
【0063】
物品の裏張り層は、織スクリム生地も含み得る。「スクリム」生地は、目の細かいものから粗いものまでの、しばしばコットンの、目の粗い平織り生地である。スクリム織生地も経(流れ方向)糸および緯(幅方向)糸を有し、隣接経糸は、非ループ式の緯糸により限定される平面の反対側に縦軸方向に延びる。例証的スクリム生地は、DeRoyal Textiles(Camden, SC)から入手可能な型番号013228400011(「DeRoyal生地」)である。DeRoyal生地は、横軸方向に測定した場合、約32ヤーン/物品1インチの経糸密度、ならびに縦軸方向に測定した場合、約28ヤーン/物品1インチの緯糸密度を有するコットンスクリム織生地である。DeRoyal生地は、約1.31オンス/平方ヤードの重量である。縦編み横糸挿入裏張り層のために用いられ得る生地のさらに他の例としては、未漂白未染色布ならびに当該技術分野で既知のその他のこのようなスクリム織生地が挙げられる。
【0064】
裏張り層は、材料の不織層を包含し得る。不織布材料の繊維は、互いに密接に絡まって、合着性通気性繊維性材料を形成する。用いられ得る不織布材料としては、例えば合成スパンボンド不織布材料、スパンメルト不織布材料、湿式積層不織布材料、乾式積層不織布材料、ニードルパンチ不織布材料またはメルトブロー不織布材料が挙げられる。不織布材料は、任意の適切な繊維組成物、例えばナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、レーヨン、セルロース性物質、ポリアミド、アクリル物質、ポリエチレン、コットン、ウール、任意の他の適切な繊維組成物、またはこのような繊維組成物の組合せを用いて構成され得る。不織布材料は、約0.25オンス/平方ヤード〜約1.0オンス/平方ヤードの範囲の重量を有し得る。ある場合には、不織布材料は、約0.3オンス/平方ヤード〜約0.5オンス/平方ヤード、約0.25オンス/平方ヤード〜約0.6オンス/平方ヤード、約0.4オンス/平方ヤード〜約0.7オンス/平方ヤード、約0.6オンス/平方ヤード〜約1.0オンス/平方ヤードの範囲、または任意の他の適切な範囲の重量を有し得る。積層物品の裏張り層に用いられ得る例証的不織布材料は、First Quality Nonwovens, Inc. (Great Neck, NY)から入手可能なスパンボンドポリプロピレン不織布材料である。
【0065】
弾性生地も用いられ得る。例えば、種々の弾性経糸編み生地が知られており、この場合、非弾性ヤーンが生地またはメッシュに形成されて、伸張状態で構造内に撚り込まれた弾性撚り糸を結合し、保持して、生地構造に弾性特性を付与する。非弾性および弾性撚り糸構成成分を有するステッチでその構造が形成される、その他の経糸編み生地が既知である。各々の個々の弾性撚り糸は、一輪奈列における単一ステッチの一構成成分である。生地に柔らかい手触りを生じるのに十分に低い非弾性ヤーンに掛かる張力で非弾性ヤーンが編まれる場合、撚り込まれた弾性ヤーンを有する生地は縞の出現率が高い。撚り込み弾性ヤーンを有する生地は、生地の長さにおいて良好な伸張およびモジュラス特性を有するよう工学処理され得るが、しかし一般的に、それらは生地の幅においてはより低い伸張特性を有する。非弾性ヤーンとともにステッチに形成される弾性ヤーンの単一ストランドを有する生地は、ステッチ中の弾性ヤーンの非一致応答ため、縞の出現率が高い。それらは、所定の生地重量のためにより多量の高価な弾性ヤーンを必要とするため、より値段も高い。それらは一般的に、比較的長いストレッチ特性、比較的高いモジュラスを有する。織弾性生地も知られており、用いられ得る。
【0066】
複数対の非弾性経糸からなる編まれた下地構造物が単一撚り糸ステッチの複数の畝および輪奈列に形成される(対の各々の一方の撚り糸は隣接畝および交互輪奈列でステッチを形成し、対の各々の他方の撚り糸は非隣接畝および交互輪奈列でのステッチを形成する)経糸編み弾性生地もしられている。一般的にそれに平行な畝間に延びる複数の弾性撚り糸は下地構造物中に嵌め込まれ、下地構造物の非弾性経撚り糸は弾性撚り糸の各々の周りに巻き取られて、下地構造物中に弾性撚り糸を保持する。弾性撚り糸の各々が連続輪奈列で生地の幅全体の全てのステッチに編み込まれる弾性および非弾性撚り糸の複数の輪奈列を含む、他の弾性経糸編み生地が知られている。その他の弾性経糸編み生地が既知であり、この場合、単一非弾性ヤーン系を含む下地構造物を用いて、編み下地構造中の非弾性ヤーンが解きほぐれる危険性を低減するような方法で単一ヤーン系からの撚り込み弾性ヤーンを結合し、見えないようにする。
弾性体層
【0067】
裏張りの一部であり得るかまたは裏張りとは別個であり得る弾性体層を含む物品において、弾性体層は、サイズまたは形状の恒久的な有害な損失を伴わずに変形に耐え得るシート、ヤーンおよび/またはストランド材料を含み得る。弾性体層として用いるのに適した材料は、例えば弾性撚り糸、糸ゴム、平ゴム(例えば、帯として)、弾性テープ、膜型ゴム、ポリウレタン、テープ様エラストマー、発泡体ポリウレタンまたは形成弾性スクリムであり得る。弾性体層は、構造が一体成形であるか、複数部分からなるか、または複合構造であり得る。撚り糸またはリボン(用いられる場合)は、多種多様であり、複合材料として適用され得る。弾性体に用いられるエラストマー物質は、潜在性および非潜在性であり得る。
【0068】
代替的には、伸張ヤーン、例えば弾性伸張ヤーンまたは熱可塑性伸張ヤーンが、生地の長さに沿って、好ましくは畝中に用いられて、伸縮性を付与し得る。弾性伸張ヤーン、例えば、米国特許第4,668,563号(Buese)に記載されたようなライクラ、スパンデックス、ポリウレタンおよび天然ゴムも、用いられ得る。熱可塑性伸張ヤーン、例えば米国特許第4,940,047号(Richter等)に記載されたようなポリエステルおよびポリアミドも、用いられ得る。
【0069】
本明細書中に記載される弾性ストランドは、例えば210デニールスパンデックスヤーン、例えばCREORA(Hyosung, Inc., Korea and Hyosung (America) Inc., Rock Hill, SC)であり得る。用いられ得る別の弾性ヤーンは、例えば、RADICI SPANDEX(RadiciSpandex Corporation, Gastonia, NC)の商標で販売されている280デニール弾性ヤーンである。完成物品において所望される弾性の量によって、物品1インチ(横軸的に測定)当たりの弾性ストランドのデニールおよび数はともに、変化し得る。例えば、弾性ストランドのデニールは約100未満から約1000まで変わり得るし、物品は約5〜約15の弾性ストランド/インチを含有し得る。いくつかの物品では、弾性ストランドは、それらが出来なくなる前にそれらの元に非伸張長さの約700%〜約800%伸張する能力により特性化され得る。いくつかの物品では、弾性ストランドは、標準引張り強さ試験において約200g〜約300gの引張り強さを有し得る。いくつかの物品では、弾性ストランドは、物品の全体重量の約4g/m〜約10g/m、例えば約6.5g/物品1mに資する。
【0070】
弾性体層を含む物品において、弾性体層は裏張り層と発泡体層との間に置かれ得るし、本明細書中に記載される粘着剤組成物に浸透され得る。他の場合には、弾性体層は、他の組成物または技法で、発泡体および/または裏張り層に固定され得る。弾性体層は裏張り層と同時に用いられる必要はなく、上記のように、発泡体層のいずれかの側に固定され得る。
発泡体創傷ケアパッド
【0071】
いくつかの場合、発泡体層粘着物品は、上記の発泡体層とは異なる発泡体パッドを含む。発泡体パッドは、特定身体部分上の開存性創傷、皮膚潰瘍または触痛に直接適用され、このような創傷、潰瘍または触痛部から放出される流体を吸収するために用いられ得る。発泡体パッドは、発泡体層粘着物品の一部に取り付けられ、使用中、発泡体パッドは創傷、触痛上に配置され、物品の残りの部分は罹患部分の周囲に、例えば2回以上、巻き付けられ得る。物品は、しっかりと且つ快適にパッドを創傷に圧迫し得る。パッドはまた、発泡体層を必ずしも含まない他の粘着物品、例えば上記のCO−FLEXまたはPOWERFLEXとともに用いられ得る。
【0072】
開存性創傷への直接適用のための発泡体創傷ケアパッドとしては、例えば同時係属中の米国特許出願第11/809,738号;同第11/809,766号;および同第11/809,469号(これらはすべて参照により本明細書中に組み込まれる)に記載されたものが挙げられる。一例では、発泡体創傷ケアパッドは、発泡体層弾性粘着包帯に取り付けられ、例えば接着剤で取り付けられ、開存性創傷または潰瘍に直接適用され、罹患領域周囲にしっかり発泡体層粘着包帯を巻きつけることによりその場に固定され得る。
【0073】
用途によって、発泡体パッドは親水性であり、それが接触する創傷浸出物のような流体の「吸収・毛管移動」を提供し得る。特に、多くの用途において、発泡体パッドは創傷浸出物のような液体を、創傷それ自体の領域から、発泡体を介して、発泡体層粘着包帯重複部分の上に重なっている表面に運搬し得る。発泡体層粘着包帯重複部分は、創傷と接触する面と反対のパッドの面に隣接し得る。「接触」という語は、本明細書中で用いる場合、「流体接触」という用語と互換的に用いられて、パッドと創傷との間に、ストッキネットまたはガーゼのような界面材料の存在にもかかわらず、パッドが創傷部位から流体を吸収・毛管移動し得る、ということを意味する。発泡体創傷ケアパッドは、材料が、発泡体パッドがその意図された目的に役立たない点までの創傷部位とパッドとの間の流体接触を妨げない限り、多数のこのような界面材料と適合性である。
【0074】
有用な発泡体パッドは、典型的には、開口セルポリウレタン、ポリエチレンおよびシリコーン発泡体パッドのような有意の、好ましくは実質的な親水性を実証する。発泡体パッドは、柔軟で、伸展性であり、および/または開口セル化構造を有し得る。本明細書中で用いる場合、「開口セル化」という用語は、除去されてしまった発泡体セルの十分数の壁膜により引き起こされる相互連絡するまたは通じている開口部または空洞をその中に有する穴構造を指す。さらに、本明細書中で用いる場合、その「含浸された」ならびに内湾された形態という語は、作用物質が細胞ならびに層の相互連絡細胞の壁膜と、周囲関連して、混ぜ合わされる状況を指す。
【0075】
発泡体パッドは、ポリエーテル−またはポリエステル−ベースのポリウレタン発泡体のような開口セル化される多数の伸展性発泡体のうちのいずれかを含み得る。発泡体パッドが創傷からの浸出物を吸収するよう意図される用途においては、十分量の創傷浸出物を吸収するために、発泡体パッドの多孔性が選択される。例えば、発泡体パッドは、約10〜約50個の孔/cm(すなわち、約30〜約120個の孔/インチ)、あるいは約20〜約40個の孔/cmを有し得る。本明細書中で用いる場合、「孔/cm」という用語は、発泡体シートの縦方向のcmに沿って位置する孔の平均数を指す。縦方向cm当たりの孔の数は、当業者に既知の任意数の方法で、例えば、顕微鏡写真手段により、または気流または圧力差に対する発泡体の耐性を測定することにより、発泡体中の孔のおよその数を算定するためのこのような情報を用いて、決定され得る。
【0076】
孔の数/cmが約10未満に低減される場合、発泡体は手触りが粗いかまたはざらざらしており、十分な創傷浸出物を保持し得ず、あるいはその結果生じるパッドに必要な強度を提供し得ないかまたは所望の立体配座を保持し得ない。しかしながら、孔の所望数/cmパラメーターは、創傷包帯パッドとして用いるための十分な特性を提供するために、浸出物を吸収する発泡体パッドの能力に関連する、と理解される。いくつかの用途においては、パッドは浸出物を吸収するよう意図され得ないが、この場合、孔の数/パッド1cmは、あるいはパッドが親水性であるか否かでさえ、その用途のためにパッドを選択するに際して、有意の考慮要件ではない。代わりに、パッドは、例えば皮膚に対するその快適性またはその厚みに基づいて選択され得る。
【0077】
発泡体パッドの寸法は、大部分が、パッドの意図された用途に依っている。例えば、発泡体創傷ケアパッドを有する発泡体層粘着物品は、身体部分の特別な型および/またはサイズにぴったり寄せて用いるよう意図された寸法を有して調製され、包装され得る。一寸法は、罹患身体部分の厚み、すなわち、身体部分と接触されるべき主要表面とそれと反対表面との間の距離(単数または複数)に関連し得る。したがって、上に重なる発泡体層粘着包帯の長さが調整され得る。必要とされる発泡体パッドの寸法は、支持または処置されるべき創傷または潰瘍の表面積に依っており、当業者に明らかなように、所望により変更され得る。発泡体創傷ケアパッドは、一般的に、剃刀の刃または鋏を用いて、あるいは研磨するかまたは研削することにより、あるいは手で引裂くことによってさえ、切りそろえられて、所望のサイズおよび形状を提供し得る。例えば、指に適用されるよう意図された物品は、平均的指に多数回巻きつけるのに適した、例えば5〜10インチの長さを有し、ならびに平均的指に1回未満巻きつけるのに適した、例えば1〜2インチの長さのパッドを有し得る。他の場合には、例えば胴体に巻かれるよう意図された物品は、例えば、2〜5ヤードの長さを有し得る。これらの値は、例示的なものである。多くの場合、物品は、平均サイズの所望の身体部分(例えば平均的腕、足、指または胴体)に少なくとも2回、おそらくは数回巻き付けるのが可能な長さと、所望の身体部分に1回未満巻き付けるよう伸展する発泡体パッドを有するが、しかし任意の所望サイズの物品またはパッドは可能である。物品は、任意の所望幅、例えば1インチ、1.5インチ、2インチ、3インチ、4インチおよび6インチ幅を有し得るが、しかし他のサイズも可能である。
【0078】
いくつかの物品では、発泡体パッドは、約0.4cm〜約5cm、例えば約0.6cm〜約2cm、例えば約5/16インチ(約0.8cm)の厚みを有し得る。いくつかの場合、発泡体シートは、均一な厚みを有さず、例えば、この場合、身体部分の一部は付加的支持体またはクッションを必要とする。パッドは、望ましくは、被覆されるべき身体部分の領域を包含するよう十分な寸法にされる。
【0079】
発泡体パッドは、約0.02g/cm〜約0.15g/cm、最も有用であるには、約0.02g/cm〜約0.07g/cmの範囲の密度を有し得る。適切な発泡体パッドの例としては、「E−100」、「E−290」、「P−60」、「P−80」および「P−100」(各々、Illbruck U.S.A., Minneapolis, MNから入手可能)が挙げられる。発泡体パッドのために用いられ得る別の材料は、約2cm厚のポリエーテルベースのポリウレタン発泡体である「E−150」(Illbruck USAから入手可能)である。
【0080】
これらの親水性発泡体組成物は、当該技術分野で既知の任意の手段により、例えば化学的または物理的発泡剤の付加によりプレポリマーを発泡させることにより、調製され得る。したがって、親水性ポリウレタン組成物は、水の付加によりイソシアネートキャッププレポリマーを発泡させることによるか、またはその中に化学的不活性ガスを閉じ込めるために完全に反応させたポリウレタンポリマーの水性分散液を泡立たせることにより、調製され得る。これらの発泡体組成物は、もちろん、発泡体の親水性またはその他の特性を付与するかまたは改良するために導入される任意の種類または量の添加剤が、そのように作られる最終組成物中で医学的に許容不可能な細胞傷害性を生じない、ということを理解しながら調製されなければならない。例えば、以下の界面活性剤を用いて、本明細書中に記載される物品を用いるための親水性発泡体組成物の調製において親水性を増強し得る:ソルビタントリオレエート;ポリオキシエチレンソルビタンオレエート;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル;ポリオキシエチレンステアリルエーテル;蛍光化学界面活性剤、例えばZonyl FSN(E.I. du Pont)およびFluorad FC 170C(3M)、ならびにプロピレングリコールを用いたエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー縮合物、例えばプルロニック界面活性剤(BASF Wyandotteから入手可能)。
【0081】
さらに、発泡体パッド組成物は熱可塑性であり、したがって、加熱時に可逆的に軟質にされ得る。いくつかの場合、組成物は、225°F〜300°Fで柔らかくなり、粘着性になるかまたは少なくとも自己接着性になるが、しかし、200°F〜350°Fで柔らかくなり、同時に、普通の室温で熱安定性を示す組成物が用いられ得る。
【0082】
さらに、発泡体組成物は、低密度シートに成型されるかまたは薄く裂かれ得る。特に、これらの組成物から形成されるシートは、4ポンド/ft〜20ポンド/ft、さらに有用であるには5ポンド/ft〜12ポンド/ft、例えば8ポンド/ftの密度を有し得る。発泡体パッドの低密度は、発泡体包帯の軽量吸収性、ならびにその製造に必要な材料の低経費に寄与する。上記のように、発泡体が剛性、不浸透性閉鎖セル発泡体と対照して液体浸透性である限り、低密度発泡体は開口セル化または部分的開口セル化され得る。しかしながら、所望レベルの浸透性は、所望の用途に依っている。
【0083】
いくつかの有用な発泡体パッドとしては、ポリウレタン、例えばイソシアネートキャッププレポリマーを発泡することに起因するもの、ならびに水性ポリウレタン分散液を泡立たせることにより調製されるものが挙げられる。水性ポリウレタン分散液を機械的に泡立たせ、成型し、硬化することにより調製される発泡体パッドも有用であり、例えば、イオンの形で水分散性であるとして当該技術分野で認識されている発泡体パッドは特に有用である。
【0084】
水性イオン性ポリウレタン分散液を調製するための一有用系は、ポリマー主鎖と共有的に結合される遊離酸基、好ましくはカルボン酸基を有するポリマーを調製することである。アミン、好ましくは水溶性モノアミンによるこれらのカルボキシル基の中和は、水希釈性をもたらす。ウレタン連結の形成において最も頻繁に用いられる反応性基であるイソシアネートは、一般的に、カルボン酸基と反応性であるため、カルボン酸基を保持する化合物の注意深い選択がなされなければならない。しかしながら、米国特許第3,412,054号(参照により本明細書中に組み込まれる)に開示されているように、2,2−ヒドロキシメチル置換カルボン酸は、隣接アルキル基によるカルボキシルの立体障害の結果として酸およびイソシアネート基間の有意の反応を伴わずに、有機ポリイソシアネートと反応させられ得る。このアプローチは所望のカルボキシル含有ポリマーを提供し、カルボン酸基は第三級モノアミドで中和されて、内部第四級アンモニウム塩を、それゆえに水希釈性を提供する。
【0085】
適切なカルボン酸、好ましくは立体障害カルボン酸はよく知られており、容易に入手可能である。例えば、それらは、塩基の存在下で2当量のホルムアルデヒドと反応して2,2−ヒドロキシメチルアルデヒドを形成する少なくとも2つのα位水素を含有するアルデヒドから調製され得る。次に、アルデヒドは、当業者に既知の手法により、酸化されて酸となる。
【0086】
ペンダントカルボキシル基を有するポリマーは、陰イオン性ポリウレタンポリマーとして特性化される。しかしながら、水希釈性を付与するための代替経路は、ペンダントアミノ基を有する陽イオン性ポリウレタンを用いることである。このような陽イオン性ポリウレタンは、例えば、米国特許第4,066,591号(参照により本明細書中に組み込まれる)に開示されている。
【0087】
有用なポリウレタンは、例えばジ−またはポリイソシアネートおよびポリウレタンの調製に適した多反応性水素を有する化合物を反応させることにより製造され得る。このようなジイソシアネートおよび反応性水素化合物は、米国特許第3,412,054号および同第4,046,729号(これらの記載内容は参照により本明細書中に組み込まれる)に開示されている。さらに、このようなポリウレタンの製造方法は、当該技術分野で周知である。芳香族、脂肪族およびシクロ脂肪族ジイソシアネートまたはその混合物は、ポリマーを形成するのに用いられ得る。このようなジイソシアネートは、例えばトリレン−2,4−ジイソシアネート;トリレン−2,6−ジイソシアネート;メタ−フェニレンジイソシアネート;ビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート;メチレン−ビス−(4−フェノールイソシアネート);4,4−クロロ−1,3−フェニレンジイソシアネート;ナフチレン−1,5−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート;デカメチレン−1,10−ジイソシアネート;シクロへキシレン−1,4−ジイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート等である。アリーレンおよびシクロ脂肪族ジイソシアネートは、特に有用である。
【0088】
いくつかの場合、ポリウレタン発泡体は、一般的に10センチポアズ〜100センチポアズの範囲である分散液粘度を用いて生産され得る。それに対して、有機溶媒中のポリウレタンの有用な溶液は、一般的に、溶液が約20重量%〜約30重量%のポリウレタンを含有する場合、50,000センチポアズという高い値にも及ぶ数千センチポアズ粘度を有する。有用なポリウレタン分散液は、さらに、約50重量%〜約75重量%のポリウレタン固体を分散液中に含有する。特に有用なポリウレタン濃度は、55重量%〜70重量%であり、最も好ましい濃度は分散液中65重量%ポリウレタン固体である。
【0089】
特に有用なポリウレタン分散液としては、米国特許第4,171,391号(参照により本明細書中に組み込まれる)に列挙された非架橋ポリウレタン組成物が挙げられる。他の有用なポリウレタン分散液は、Witcobond(登録商標)W−290Hの商品名でWitco Chemical Companyから入手可能なものを包含する;これらの分散液は、界面活性剤の非存在下でも、固有の親水性を示す発泡体を生じる。Witcobond(登録商標)W−290H分散液は、5μm未満の微粒子を有する65重量%の陰イオン性ポリウレタン固体を含有する。
Unnaブーツ薬用パッドを有する粘着物品の使用
【0090】
発泡体層粘着物品は、身体部分に薬用「Unnaブーツ」パッドを固定するためにも用いられ得る。Unnaブーツは、カラミンローション、および任意に酸化亜鉛および/またはグリセリンを保持する湿性ガーゼ包帯である。最初のUnnaブーツは、1854年に最初に記載されており、その発明者に関して命名された。Unnaブーツ薬用パッドは、感染を低減し、心臓に血液が戻るのを増大することにより、静脈性潰瘍のような潰瘍の治癒を促す。静脈性足潰瘍に関しては、Unnaブーツは、つま先から膝の真下まで巻きつけられて、潰瘍および下肢を被覆する。次いで、ガーゼが乾燥し、硬化する。
【0091】
慣用的ラテックス非含有粘着物品は、一般的に、当該技術分野で周知であるように、Unnaブーツと非両立性である。慣用的ラテックス非含有粘着物品が身体部分にUnnaブーツを固定するために用いられるべく試みられる場合、物品はその粘着特性を急速に失い、その後ほどける。具体的には、カラミンローションが物品全体にしみこむと、それは、巻きつけられた物品の上にある層の間の粘着結合を壊す。それに対して、発泡体層粘着物品(ラテックス非含有粘着剤組成物を有するものでさえ)は、Unnaブーツとともに首尾よく用いられ得る。発泡体層粘着物品は、身体部分にUnnaブーツを巻きつけるために用いられる場合、その粘着性を申し分なく保持する。同様に、本発明の粘着剤組成物は、本明細書中に記載するようにUnnaブーツとともに首尾よく用いられ得る。
【0092】
理論に縛られずに考えると、Unnaブーツとともに発泡体層粘着物品を首尾よく用いるのに寄与する一因子は、物品が身体部分の周囲に巻きつけられている場合、物品中の発泡体層が、物品全体にしみこむことによるUnnaブーツ中のローションの速度を遅くする、というものである。これにより、物品中の粘着剤組成物は物品の下にある層/上に重なる層の間の粘着剤−粘着剤接触を生じさせ得て、次いで、発泡体の開口セル構造中の小さな「吸引カップ」が下にある層/上に重なる層とのしっかりした粘着性結合を生じ、ローションはこれらの結合に浸透し得ない。
【0093】
したがって、発泡体層粘着物品は、Unnaブーツの上に心地よく巻き付けられうる。発泡体粘着包帯/Unnaブーツ包帯は、潰瘍が治癒されるまで、例えば1〜2週間毎に、適用され得る。最初は、潰瘍を大量排液するために、より高頻度の取り替えを必要とすることがある。
【0094】
例示的Unnaブーツパッドは、GELOCAST(商標)Unnaブーツ包帯であり、これは、しっかりした圧迫療法を提供して刺激を受けたまたは潰瘍を生じた皮膚の治癒を促す鎮静酸化亜鉛/カラミン処方物を保持する解けないガーゼ調製物である(BSN−Jobst Gelocast Unnaブーツ包帯−4”×10ヤード、Medical Supply Company (Alpharetta, GA)から入手可能)。
【0095】
他のUnnaブーツ調製物としては、つま先から膝下まで、患者の足の周りに巻きつけられる亜鉛ペースト含有包帯を包含する、Biersdorf, Inc.から市販されているUnnaブーツが挙げられる。さらに他のUnnaブーツ/亜鉛含浸処置は、Miles and Graham Fieldから利用可能である。これらの包帯は、しばしば、1回に1週間その場に放置され、典型的には、過剰量の浸出物を吸収するために潰瘍の領域の包帯の外側に適用されなければならない吸収パッドの使用を必要とする。ラップ全体を通しての浸出物の漏出は一般的であり、皮膚および上皮組織に対する損傷が生じ得る。本明細書中に記載される発泡体層粘着性包帯は、この流体を吸収し、それにより創傷に治療的圧力を提供して、一方で、付加的吸収包帯の使用を不要にし得る。
発泡体層粘着物品の任意の滅菌
【0096】
発泡体層粘着物品は、物品の特性に有害な影響を及ぼすことなく、当該技術分野で既知の酸化エチレン(EtO)技法を用いて任意に滅菌され得る。典型的には、周知のEtO法は、4つの基本段階を含む:(1)空気除去(真空)、(2)蒸気注入および状態調節ドエル、(3)EtO注入およびガスドエル、ならびに(4)ガスパージおよび空気インブリード。慣用的巻きつけ粘着包帯の場合、EtO法に関与する多重圧および真空操作は、典型的には、包帯ロールのサイズを収縮し、圧迫させて、上に重なる層と下にある層との間の粘着結合を大いに増大し得る。包帯剥取り値が滅菌工程の結果として高くなりすぎる場合、ロールから取外すことが出来ないか否かは、非常に難しくなる。したがって、EtO法の真空部分の間のこの「圧搾」の作用を限定するために、慣用的粘着包帯は一般的に、EtO法に付されない包帯に関してメーカーが普通に製造するより低い剥ぎ取り値を用いて製造され、粗く巻かれる。
【0097】
それに対して、発泡体層粘着物品は、この制限を有さない。理論に縛られずに考えると、発泡体(上記のような、ならびに当該技術分野で知られているような開口セル発泡体でさえ)中に固有に存在する閉鎖セルは、EtO法の真空部分の間、拡張し、この拡張は、ロール形態である場合、発泡体の個々の層を分離させたままにする。この拡張は、開口セルも分離させたままにし得るが、これは、別の状況では、包帯の圧迫を引き起こしていたかもしれない。考え得る特徴の中でもとりわけこの特徴により、発泡体層で作製される包帯は、正常剥取り値を用いて製造され、正常な引張りレベルで巻きつけられ得る。
【0098】
滅菌後、当該技術分野で既知である技法を用いて、物品は、使用までその滅菌性を保持するために包装され得る。物品はまた、例えば非滅菌性物質のためのフローラッピングまたは滅菌物質のためのDupont Tyvek(登録商標)1059Bを用いて、滅菌工程を必要とせずに包装され得る。
感圧性物品
【0099】
感圧性物品は、ごくわずかな圧力でほとんどの表面を接着する接着剤を含み得るし、それらはその粘着性を保持する。このような感圧性物品としては、例えば米国特許公開番号20050158539および20070259163に記載されたものが挙げられる。
【0100】
感圧性接着剤は、多数の異なるポリマー(アクリル樹脂、ゴム、ポリウレタン、シリコーンまたはシロキサン)を、可塑剤および粘着付与樹脂と一緒に利用して、恒久的粘着性(付着性)接着剤を形成する接着剤の大きいグループを包含する。「感圧性」という名称は、接着されるべき表面に粘性接着剤層を広げ、有用な接着強度を達成するためには、中等度の圧力だけで十分である、という事実からである。それらは、溶媒、ホットメルト、ラテックスおよび水ベースの形態で利用可能である。感圧性接着剤は、しばしば、非架橋ゴム接着剤、アクリル樹脂またはポリウレタンを基礎にしている。それらは、積極的且つ恒久的に粘着性である粘弾性結合を形成し、指や手の圧力より大きい圧力を必要とせずに接着する。
【0101】
一般的に、適切な感圧性接着剤としては、例えば天然ゴム、合成ゴム、スチレンブロックコポリマー、ポリビニルエーテル、ポリ(メト)アクリレート(アクリレートおよびメタクリレートの両方を含む)、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリオレフィンおよびシリコーンを基礎にしたものが挙げられる。感圧性接着剤は、固有粘性材料を含み得るし、あるいは、所望により、粘着付与剤は、粘着性または非粘着性基材に付加されて、感圧性接着剤を形成し得る。有用な粘着付与剤としては、例えば、ロジンエステル樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂およびテルペン樹脂が挙げられる。他の材料、例えば可塑剤、水素化ブチルゴム、ガラスビーズ、伝導性粒子、充填剤、染料、顔料およびその組合せは、例えば特定の目的のために付加され得る。
【0102】
任意の感圧性接着剤は、本発明の物品を調製するために有用である。感圧性接着剤は、一般に、固有に粘着性であるエラストマー、あるいは粘着付与樹脂および可塑性添加剤を含むエラストマーまたは熱可塑性エラストマーを含む。当該技術分野で既知の充填剤、酸化防止剤、安定剤および架橋剤も、用いられ得る。流体、典型的には水は、目の粗い生地に容易に適用されるレベルに粘度を低減するために付加される。感圧性接着剤の成分の量および種類は、適切な支持体接着および標的剥取り強さを提供するよう選択される。生きている皮膚での使用のためには、強力な支持体接着および中等度の剥取り強度が望ましい。適切な感圧性接着剤としては、ポリアクリレート接着剤、ポリアルファオレフィン接着剤、例えば線状、放射状、分枝および先細型ブロックコポリマー、例えばスチレン−ブタジエン、スチレン−エチレン/ブチレンおよびスチレン−イソプレンブロックコポリマー、ポリビニルアクリレート、天然および合成ゴム樹脂接着剤、シリコーン、ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマー、ならびにその混合物および配合物が挙げられる。多数の適切な感圧性接着剤は当該技術分野で既知であり、本明細書中に記載される方法および組成物とともに利用され得る。特に有用な感圧性接着剤としては、アクリル樹脂(例えばGelva(商標)マルチポリマー溶液2495;Cytee Surface Spedialties; Indian Orchard, MA)が挙げられる。
【0103】
接着剤は、物品(例えば目の粗い生地または膜)の上および/または下面に位置し得る。物品が生地であるかまたは生地を含む場合、多孔性または開口性が保持されるよう、感圧性接着剤は、隣接するヤーンに及ぶことなく、任意に上およびした面を被覆し得る。物品が膜であるかまたは膜を含む場合、感圧性接着剤は膜の両面のいずれかを被覆し得る。接着剤はまた、物品の目の粗い生地の全厚の全体を覆うかまたは浸透され得る。感圧性接着剤は、目の粗い生地から支持体裏張りを分離することなく皮膚から除去可能であるよう、選択され得る。
【0104】
感圧性接着物品は、それに接着される接着剤保持粗目生地を有する多孔性裏張りを含み得る。目の粗い生地は目の粗い織り方または編み方を有し得るし、接着剤は、ヤーン、スレッドまたは繊維間に接着剤が及んだりまたは橋渡ししたりせずに、生地ヤーン、スレッドまたは繊維上にのみ位置し得る。このようにして、裏張りの多孔性が保持され、したがって、高蒸気透過率を有する通気性物品が得られる。いくつかの実施形態では、接着剤は、裏張り支持体への距離を浸透して、目の粗い生地を裏張りに固着する。いくつかの他の実施形態では、目の粗い層は、幅および流れ方向の不等引張り強さを有し、それにより流れ方向(MD)および幅方向(CD)で物品に異なる引裂き特性を付与する。目の粗い生地は、テープが使用中に破損しないよう、流れ方向で物品に十分な強度を提供する;しかしながら、幅方向でのテープの強度は、等分の且つ容易な引裂きを可能にする。1つ以上の実施形態において、テープは、手で引裂くことができる。さらに他の実施形態では、感圧性接着物品は、これらの特徴のうちの2つ以上を示す。
【0105】
「開口性構造」とは、織り方が、目が粗いかあるいはヤーンまたは繊維(および接着剤)を有さない領域を含む、ということを意味する。開口性構造は、典型的には不織布中に見出されるような孔を含み得るし、あるいはそれは、スクリムまたはメッシュのような非常に大きな開口性構造であり得る。構造の開口性は、例えば孔サイズ、スレッド数および/または開口面積%により限定される。
【0106】
裏張り支持体は任意の慣用的多孔性裏張りであり、織生地、編生地、不織布または膜であり得る。目の粗い生地は幅および流れ方向で引っ張り強さを提供するため、裏張り生地は高い引張り強さを有する必要はない。裏張り支持体の多孔性は、張り合わせ感圧テープにおける通気性水蒸気透過膜を提供するのに十分である。裏張り支持体は、約25%より多い開口面積、いくつかの実施形態では約50%より多い開口面積であり得る。
【0107】
不織支持体裏張りでは、繊維は、互いに密接に絡まって、合着性通気性繊維性不織裏張りを形成する。不織裏張り支持体として用いられる特別な繊維組成物は、所望のウェブプロパティにより、従来技術で既知のものから選択される。例えば、不織支持体裏張りは、天然の動物および植物繊維、例えばコットンおよびウール、あるいは合成(化学)繊維、例えばナイロン、セルロース系繊維、レーヨン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン等(このような遷移の配合物を含む)から選択され得る。1つ以上の実施形態において、不織布は軽量であり、典型的には約10〜20g/mであり得る。
【0108】
不織支持体裏張りはさらに、不織布の隣接繊維を固定するための結合剤またはサイザーを含み得る。感圧性接着剤および裏張りが組合されると、結合剤は、支持体裏張りの個々へのヤーンまたは繊維に感圧性接着剤の接着を促す。適切な結合剤は当該技術分野で既知のものから選択され、例としては、合成ラテックス、例えばブタジエン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂等のホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。不織布の多孔性が損なわれないよう、結合剤は液体担体または低固体レベルの溶液から適用される。不織織物への結合剤の適用方法は重要ではなく、コーティング業界の既知の方法のいずれかが用いられ得る。市販の結合不織布も、本発明の物品に使用され得る。
【0109】
織生地または編生地は裏張り支持体としても用いられ得るし、従来技術で既知のものから選択される。例示的生地としては、織木綿生地、織レーヨン、ポリエステルまたはポリプロピレン生地、ならびに編生地、例えばポリエステル、ポリプロピレンおよびナイロン編生地が挙げられる。
【0110】
開口性構造を有する多孔性生地は、織または編生地であり得る。生地の開口度(例えば、スレッド数およびヤーンデニールの一関数である)は、張り合わせ構造、例えば裏張り支持体、接着剤および目の粗い生地が多孔性で且つ蒸気透過性であるよう選択される。それは、裏張り支持体との強力な接着剤接触を確立するのに十分な接着表面積を提供するようにも選択される。生地は、約95%まで開口であり、すなわち物品の表面積の5%は多孔性生地であり、典型的には少なくとも約50%開口である。例に過ぎないが、目の粗い生地は、ガーゼ、例えばコットンまたは合成ポリマーガーゼのような目の粗い織生地、あるいは経糸編み生地であり得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、目の粗い生地は、生地の流れ方向および幅方向で異なる引張り強さを示す。異なる引張り強さを有する経糸および緯糸を提供するために、異なるデニールのヤーンが用いられ得る。デニールは、ヤーン450m当たり50ミリグラム(1デニール)を基礎にしたヤーンに関する繊度の単位である。同一のまたは異なる材料の経糸および緯糸を用いる生地に関して、引っ張り強さの差は、異なるデニールを有するヤーン、例えば「細い」ヤーンと「太い」ヤーンを用いることにより達成され得る。単なる例に過ぎないが、約40〜60デニールの経糸および約70〜150デニールの緯糸が用いられている。他の実施形態では、異なる経糸および緯糸強度は、異なるフィラメント数のヤーンを用いることにより達成される。単なる例に過ぎないが、低デニールモノフィラメントは経糸として用いられ、高デニールマルチフィラメントヤーンは緯糸として用いられる。
【0112】
1つ以上の実施形態において、編生地が用いられ得るが、この場合、ヤーンが縦(流れ)方向でステッチに形成され、同一のまたは異なる強度を有する横(幅 流れ)挿入ヤーンが経糸ステッチを通して挿入されて、経糸および緯糸方向で同一のまたは異なる引張り強さを有する生地を提供する。いくつかの実施形態では、縦編み横糸挿入生地は、約50グラム未満/平方メートル(約1.5オンス/平方ヤード)、または約25〜30g/m(約0.7〜0.9オンス/平方ヤード)の重量を有し、5g/mという低い値でも有り得る。例示的縦編み横糸挿入生地は、約25〜約10g/mの範囲の重量、ならびに約18×12〜約9×12の範囲の縦/横スレッド数を有する。編経糸は約40デニールポリエステルであり、約150デニールのフィルまたは緯糸は、緩んだ、撚り合わせていない、きめの粗いポリエステルフィラメントである。同様の縦編み横糸挿入生地は市販されており、例えば、縦編み横糸挿入未漂白未染色生地は、Milliken & Company(Spartanburg, SC)から入手可能である。縦編み横糸挿入構造は、経糸方向に高引張り強さ、例えば約12〜13ポンド/インチを有する軽量記事を提供する。
【0113】
1つ以上の実施形態において、目の粗い生地は、緯糸(単数または複数)より低い引張り強さを有する経糸(単数または複数)により特性化される。引張り強さの差は、幅または流れ方向で異なる引裂き特性を生じる;そして織り方をアレンジすると、CDに沿ってぎざぎざの少ない、等分の引裂きが提供される。MDヤーンの低伸張特性は、引裂き点での負荷に集中し、予測的にヤーンをだめにする傾向がある。より強いCDヤーンは引裂きを導いて、CDヤーン間で引裂きを拡大させる。CDヤーンは、構造を横断する真直ぐな引裂きも促して、ボロボロの不ぞろいな端を伴わずに、(不織裏張り支持体の)繊維をきれいに破断させる。
【0114】
いくつかの実施形態では、感圧性接着テープは弾性ヤーンを含んで、約30%〜150%の範囲の伸張度(伸び)を有する自己巻取り感圧テープを生じる。裏張り支持体および目の粗い生地は、実質的に同一の弾性および伸展性を有し得る。
【0115】
接着剤被覆された目の粗い生地は、接着剤接触により裏張り支持体に接着し得る。支持体への目の粗い生地の接着は、裏張り支持体の厚みの一部への接着剤の部分的浸透により増強され得る。接着剤は、目の粗い生地が支持体と接触する領域において、裏張りによってのみ吸収され得る。目の粗い生地の開口領域は、実質的に接着剤を有し得ず、したがって、接着剤はこれらの領域において裏張り支持体に移されない。接着剤は、裏張りの全厚にしみこまず、したがって、目の粗い生地に向かい合った裏張り支持体の側面は、本質的に接着剤を含有しない。2つの異なるテープ面は、感圧性テープを自己巻取りにして、ロールからテープを滑らかに解けさせる。接着剤は、裏張り支持体の厚みの約95%まで浸透し得るし、いくつかの実施形態では、接着剤は裏張り厚の約25%〜約75%に浸透する。典型的には、接着剤は裏張り厚の約50%に浸透する。
【0116】
接着剤を保持する目の粗い生地はその開口性を保持するため、物品の蒸気透過率は高いままである。細孔率および水蒸気透過率は、種々の方法で、例えばある圧力での既知の表面によるmL/分で表される空気の量を測定することにより測定され得る。感圧性接着テープは、望ましくは、最大水蒸気透過率を保持する。本発明の1つ以上の実施形態により調製される例示的テープは、28グレイン/ft−h(水法)(ASTM:E96−00ε1)の水蒸気透過率(WVT)を有し、これは、最新工業標準を上回る少なくとも約25%の改良を表す。
【0117】
いくつかの実施形態では、感圧性物品としては、例えば、米国特許公開番号20070259163に記載されたような剥離可能外表面を有する裏張りを含む。接着物品の一表面は、ある実施形態によれば、接着剤層を形成するために感圧性接着剤を保持する生地を含む。物品の他の表面は、接着剤層に適用され、それと共伸展性である裏張り層を形成するために、結合剤を保持する不織布を含む。裏張り層は、接着剤層と結合されるかまたはそれに積層され、したがって2つの層は使用中は、例えば物品が支持的足首ストラップとして用いられている間、ばらばらにならない。しかしながら、裏張りは特に有用な接着特性を有し、したがって、物品が巻き取られてロールを形成する場合、軽い力、例えば手の力を適用することで、ロールを解くには十分である。したがって、裏張りは「非粘着」特性を有するが、しかしこれは、ロールが自発的に解けないがしかしヒト使用者により容易に解かれるよう、裏張りが物品の感圧性接着剤層側への易可逆性ではあるがしっかりした接着可能にする、ということを意味すると理解されるべきである。さらに、ロールにおいて物品の上に重なる層は互いから容易に分離するが、物品の任意の所定の層の結合剤および接着剤層は、ほどけている間は互いから分離しない。さらに、ロールは、十分な力を用いずに故意でなく解けたりせず、それが運搬および取扱いを容易にする。要するに、接着物品は、ロールに巻かれ、ロールとして容易に取り扱われ、その後、解かれて、構造的一体性を保持しながら用いられる。さらに、接着物品は、手触りが柔らかく、皮膚に対して用いるのに快適である。
【0118】
裏張りおよび接着剤層に用いられる材料の種類および量は、完成物品に種々の特性を付与する。裏張りおよび接着剤層に用いられる生地は、物品の方向に対して横軸および/または縦軸方向に物品を手で便利に引裂ける。支持ストラップテープとして用いるために意図された物品は、相対的に非弾性である裏張り材料を選択することにより、あるいは縦編み横糸挿入生地または織スクリム生地のような非弾性材料を物品中に組み入れることによってさえ、実質的に非弾性にされ得る。あるいは、伸張包帯として用いるために意図された物品は、物品中に弾性層を含むことにより弾性にされ得る。「非粘着性」裏張りを有するこれらのおよびその他の接着物品、ならびにその製造方法を、以下でさらに詳細に説明する。さらに、接着物品の機械的特性を試験するいくつかの標準的方法、ならびにある実施形態により加工される「非粘着性」裏張りを有する完成接着物品に関するこれらの測定の結果も記載する。
接着剤処方物
【0119】
本明細書中に記載される方法および組成物に用いられ得る例示的接着剤処方物も当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第4,112,213号、同第4,917,928号、同第4,917,929号、同第5,141,790号、同第5,045,386号、同第5,229,207号、同第5,296,277号、同第5,670,557号、同第6,232,366号および米国特許出願公開第2005/0249791号(これらの記載内容は参照により本明細書中に組み込まれる)に記載されている。
【0120】
以下の実施例により、本発明をさらに例証する。実施例は例証のためにのみ提供する。実施例は、如何なる点でも本発明の範囲または内容を限定するものではない。
実施例
実施例1
抗菌性粘着物品の製造
方法I
【0121】
IonPure WPA(≦10μ)可溶性ガラスビーズ(Ishizuka Glass Co., Ltd., Japan)、ACT T558(登録商標)またはACT Z200(登録商標)(EnviroCare Inc., Wilmington, MA)、およびDispercoll C74(Bayer Material Science, LLCから入手可能)またはAirflex 405(Wacker Polymersから入手可能)の20%固体水溶液を混合した。この混合物に、1.0%のZetasperse 2300(Air Productsから入手可能)を分散剤または湿潤剤として付加して、IonPure可溶性ガラスビーズ、あるいはACT T558(登録商標)またはACT Z200(登録商標)ゼオライトの均質分散を手助けした。ロール式ナイフ塗布のために、4%の活性物質を一部ずつ混ぜ合わせ、その後、Rheolate 1またはRheolate 360(Elementisから入手可能)を付加した。Dispercoll溶液およびAirflex溶液を次に噴霧し、浸液して、挟み、CoFlex NL包帯(Andover, Salisbury, MA)上にグラビア被覆または印刷した。
方法II
【0122】
別の方法では、IonPure WPA(≦10μ)可溶性ガラスビーズ(Ishizuka Glass Co., Ltd., Japan)、あるいはACT T558(登録商標)またはACT Z200(登録商標)(EnviroCare Inc., Wilmington, MA)ゼオライト、およびDispercoll C74またはAirflex 405の50%固体水溶液を混合した。この混合物に、1.0%のZetasperse 2300を分散剤または湿潤剤として付加して、活性物質の均質分散を手助けした。これに、1%Unifroth 1672(Unichem, Inc.から入手可能)を発泡界面活性剤として付加した。化学発泡剤系(CFS)法(欧州特許0995826 B1参照)を用いて、Dispercoll溶液およびAirflex溶液を次にCoFlex NL包帯(Andover, Salisbury, MA)に付加した。次に、4%の活性物質を一部ずつ混ぜ合わせて、その後、圧搾空気を付加して、超薄壁気泡の形成を開始させ、これを噴出させ、次いで連続薄膜に合体させた。活性物質含有膜形成樹脂の目標コーティング重量は、0g>x>10gであった。
実施例2
抗菌粘着物品の粘着特性
方法
【0123】
Silver Iを伴うCoFlex NL(Andover)(実施例1の方法IIに記載したように調製)の粘着性を、180度剥取り結合(表−裏)手法を用いて試験した。用いた設備を以下に示す:Thwing−Albert材料試験装置QC−1000(West Berlin, NJ);1インチ×4インチ ダイ(Masterlog サンプル)または1インチ×12インチ テンプレート(予備切断ロール)を有するダイカッター;自己回復マット(インチで印をつける);10ポンドローラー(包帯評価用)または4.5ポンドローラー(テープ評価用)を有するCheminstrumentsロールダウン機;ならびに剥離紙。
【0124】
いくつかの試験のために、ダイカッターを用いて、1インチ×4インチの長さのストリップに物品を切断した。他の試験のために、約2フィートをロールの最初の部分から取り出し、捨てて、印をつけた回復マットを用いて、1インチ×4インチの長さのストリップに切断した。1片を他のものの上に載せて、小片を注意深く表裏につなぎ合わせた。次に、回転後の分離のために、一端で層間に剥離紙を挿入した。包帯用に、4インチ試料を次に10ポンドローラーで前後に4回、各方向に12インチ/分の速度で回転させた。テープ用には、4インチ試料を、4.5ポンドローラーで前後に5回、各方向に12インチ/分の速度で回転させた。次いで、メーカーのプロトコールに従ってThwing−Albert材料試験装置QC−1000を用いて、試料の剥取り特性を試験した。
結果
【0125】
剥取り試験の結果を、表1に列挙する。Silver Iを伴うCoFlex NL(実施例1の方法IIに記載したように調製)に関する仕様範囲は、12 オンス/インチ〜20 オンス/インチである。膜形成樹脂の固体を基礎にして10%および20%でのIonPure可溶性ガラスビーズまたはACTゼオライトの付加に伴って、形成物の粘着性の小低減が観察された。化学的に似ていても(すなわちDispercoll ポリクロロプレンの層中のIonPureまたはACTゼオライト)または似ていなくても(すなわち、Airflex VAEの層中のIonPureまたはACTゼオライト)、この特性に及ぼす膜形成樹脂の作用における小さな差も認められた。
【表1】

実施例3
抗菌粘着物品の抗菌特性
方法
【0126】
Silver Iを伴うCoFlex LF2(Andover Healthcare, Inc., Salisbury, MA)を、実施例1の方法IIに記載したように調製した。試料を2インチ×4インチの材料片に切断し、これを折りたたんで、外表面上(この時点では内表面上)に銀ストリップをしっかり一緒にプレスした。これにより2インチ×2インチ片が生じ、これをフラスコ中に入れた。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSa)の培養57mlをバターフィールド緩衝液中で希釈し、フラスコに付加した。0時点および24時間曝露後のMRSaの生存数を、コロニー形成単位(CFU)の数を測定することにより、三重反復実験で決定した。
結果
【0127】
0時点で、反復試験1は、5.2×10CFU/mL(5.72 log10)を生じた;反復試験2は、5.1×10CFU/mL(5.72 log10)を生じた;そして反復試験3は、2.48×10CFU/mL(5.394 log10)を生じた。平均生存数は、4.07×10CFU/mL(5.61 log10)であった。
【0128】
曝露24時間後、反復試験1は、2.9×10CFU/mL(2.46 log10)を生じた;反復試験2は、7.1×10CFU/mL(2.85 log10)を生じた;そして反復試験3は、1.10×10CFU/mL(3.041 log10)を生じた。平均生存数は、6.03×10CFU/mL(2.78 log10)であった。
【0129】
対照フラスコは、0時点で4.8×10CFU/mL(5.68 log10)を生じ、24時間では、>2.000×10CFU/mL(>7.3010 log10)を生じた。
【0130】
各フラスコに付加された試験生物混合物は約10%成長培地および10%ウシ胎仔血清を含有したため、試験および対照フラスコの両方で、有意の増殖を予測し得る、ということに留意すべきである。さらに、各フラスコ(試験および対照)を、所望の曝露時間の間、35〜37℃に保持した。試験経過全体に亘って、対照フラスコは、0時点での4.8×10CFU/mL(5.68 log10)から、24時間での>2.000×10CFU/mL(>7.3010 log10)に増殖する、ということが実証された。Silver Iを伴うCoFlex LF2は、10%ウシ胎仔血清有機土壌負荷の存在下で35〜37℃で試験した場合、24時間曝露期間後の対照フラスコにおける生存数と比較して、MRS生存物の>99.99%(>4.52 log10)減を示した。比較のための対照フラスコの使用は、現実世界における試験物品の最も精確な査定を提供し、これらのデータは、MRSaに対するSilver Iの殺細菌および抑制活性を明らかに反映する。
その他の実施形態
【0131】
本発明をその詳細な説明とともに記載してきたが、前記の説明は本発明の例証であって、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲により限定される。その他の態様、利点および修正は、以下の特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体および銀化合物を含む抗菌物品であって、前記銀化合物が、前記抗菌物品と被験者との皮膚接触により感染性作因の増殖または蔓延を処置するのに十分な量で存在する物品。
【請求項2】
前記銀化合物が銀を含有するガラスビーズまたは天然ゼオライトである請求項1記載の物品。
【請求項3】
前記物品が前記銀化合物を含む一次表面を包含する請求項1記載の物品。
【請求項4】
前記支持体が前記銀化合物を含む処方物を含み、前記処方物が前記支持体の前記一次表面に適用される請求項3記載の物品。
【請求項5】
前記処方物が粘着剤を含む請求項4記載の物品。
【請求項6】
前記処方物が接着剤を含む請求項4記載の物品。
【請求項7】
前記処方物が感圧性接着剤を含む請求項4記載の物品。
【請求項8】
テープである請求項1記載の物品。
【請求項9】
包帯である請求項1記載の物品。

【公表番号】特表2012−501342(P2012−501342A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525225(P2011−525225)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/055340
【国際公開番号】WO2010/025350
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(511053001)アンドーバー・ヘルスケア・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】