説明

鋳型の製造方法及び製造装置

【課題】硬度不足の部分が存在せず、全体の硬度が十分な大きさとされた鋳型を有利に製造する方法と装置とを提供する。
【解決手段】成形キャビティ58内に充填されたレジンコーテッドサンドの内部に加熱蒸気を供給して、一次硬化物74を成形した後、一次硬化物74の表面とキャビティ面44との間に加熱蒸気が流通可能な隙間78を形成する一次型開きを実施し、その後、かかる隙間78内に加熱蒸気を供給して、一次硬化物74の表面に加熱蒸気を接触させることにより、一次硬化物74の表面を更に硬化させて、目的とする鋳型を製造するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型の製造方法と鋳型の製造装置とに係り、特に、レジンコーテッドサンドが充填された成形キャビティ内に加熱蒸気を供給して、所定形状の鋳型を製造する方法の改良と、そのような鋳型の製造方法に有利に採用され得る鋳型の製造装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、砂型からなる鋳型の製造に際して、様々な方法が採用されている。それらの鋳型の製造方法の一つとして、例えば、特開2000−61583号公報(特許文献1)等に明らかにされる方法が、知られている。この方法は、熱硬化性樹脂粘結剤が表面に被覆されたレジンコーテッドサンドを成形キャビティ内に充填し、その後、かかる成形キャビティ内に水蒸気や過熱蒸気等の加熱蒸気を吹き込んで、熱硬化性樹脂粘結剤を硬化させることにより、所定形状の鋳型を製造するものである。
【0003】
このような方法によれば、(ア)成形キャビティ内に吹き込まれる加熱蒸気によって、熱硬化性樹脂粘結剤が瞬時に硬化するため、粘結剤の硬化時間、ひいては目的とする鋳型の製造時間の短縮化が有利に図られる、(イ)成形キャビティを形成する造形型の温度を高温とする必要がなく、それによって、造形型の加熱コストが、十分に低く抑えられる、(ウ)加熱蒸気が無害であると共に、粘結剤としての熱硬化樹脂の高温加熱による有害ガスの発生も有利に回避される、といった数々のメリットが得られる。
【0004】
ところが、そのように、加熱蒸気を利用して鋳型を製造する際には、以下の如き不具合が生ずる恐れがあった。
【0005】
すなわち、加熱蒸気を利用した従来の鋳型の製造方法では、通常、加熱蒸気が、成形キャビティ内に充填されたレジンコーテッドサンドの内部に、造形型に設けられた砂吹き込み口を通じて吹き込まれる。そのため、目的とする鋳型が、例えば多くの凹凸部を有する複雑な形状とされていると、成形キャビティ内のレジンコーテッドサンドにおけるキャビティ面側の表層部分等に、加熱蒸気が十分に行き渡らない部分が生じ、その結果、そのような部分が、加熱蒸気との接触不足によって、十分に硬化しなくなってしまう恐れがあったのである。
【0006】
なお、このような成形キャビティ内でのレジンコーテッドサンドの部分的な硬化不足を解消するには、キャビティ面の所々にベントホールを設けて、成形キャビティ内での加熱蒸気の通気性を高めることが考えられる。しかしながら、目的とする鋳型の形状や造形型の構造等によっては、ベントホールの設置が困難な箇所がキャビティ面に存在し、そのために、キャビティ面の適正箇所にベントホールが設けられない場合がある。そうした場合には、やはり、成形キャビティ内に充填されたレジンコーテッドサンドの全体に、加熱蒸気を十分に行き渡らせることが困難となって、部分的な硬化不足が生ずる可能性があったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−61583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、成形キャビティ内に充填されたレジンコーテッドサンドの全体を加熱蒸気と確実に接触させて、より十分に硬化させることができ、以て、目的とする鋳型を、硬度不足の部分を何等有しない、十分な硬度をもって安定的に製造し得るようにした鋳型の製造方法を提供することにある。また、本発明にあっては、そのような鋳型を有利に製造可能な装置を提供することをも、その解決課題とするところである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、本発明にあっては、上記した鋳型の製造方法に係る課題の解決のために、(a)複数の造形型を型合せすることにより、それら複数の造形型の各キャビティ面間に形成した成形キャビティ内にレジンコーテッドサンドを充填する工程と、(b)前記成形キャビティ内に充填された前記レジンコーテッドサンドの内部に加熱蒸気を供給することにより、該レジンコーテッドサンドを硬化させて、一次硬化物を成形する工程と、(c)かかる一次硬化物の成形後に、該一次硬化物の表面と前記複数の造形型のそれぞれの前記キャビティ面との間に加熱蒸気が流通可能な隙間が形成される位置まで、該複数の造形型を型開きする工程と、(d)該複数の造形型の型開きによって形成された前記隙間内に加熱蒸気を供給して、前記一次硬化物の表面に該加熱蒸気を接触させることにより、該一次硬化物を更に硬化させて、鋳型を造形する工程とを含むことを特徴とする鋳型の製造方法を、その要旨とするものである。
【0010】
また、本発明は、前記した鋳型の製造装置に係る課題を解決するために、型合せによって、所定形状の成形キャビティを形成する複数の造形型と、かかる形成された成形キャビティ内に加熱蒸気を供給する加熱蒸気供給機構とを有し、該成形キャビティ内にレジンコーテッドサンドが充填された状態下で、該加熱蒸気供給機構にて、該成形キャビティ内に加熱蒸気を供給することにより、該レジンコーテッドサンドの硬化物を成形して、鋳型を製造する装置であって、(a)前記複数の造形型の型合せを行う一方、前記硬化物の表面と該複数の造形型のそれぞれの前記キャビティ面との間に、前記加熱蒸気が流通可能な隙間を形成する一次型開きと、該硬化物の離型を可能とする二次型開きの二段階に亘って、該複数の造形型の型開きを行う造形型開閉機構と、(b)前記複数の造形型が前記造形型開閉機構により型合わせされた状態下において、前記加熱蒸気供給機構から供給される前記加熱蒸気を、前記成形キャビティ内に導く第一の加熱蒸気導入路と、(c)前記造形型開閉機構による前記複数の造形型の前記一次型開きが行われて、前記隙間が形成された状態下において、前記加熱蒸気供給機構から供給される前記加熱蒸気を、該隙間内に導く第二の加熱蒸気導入路とを含んで構成されていることを特徴とする鋳型の製造装置をも、また、その要旨とするものである。
【発明の効果】
【0011】
すなわち、本発明に従う鋳型の製造方法は、成形キャビティ内に充填されたレジンコーテッドサンドの内部に加熱蒸気を供給する1回目の加熱蒸気供給操作と、かかる操作により成形された一次硬化物の表面とキャビティ面との間に形成される隙間内に加熱蒸気を供給して、一次硬化物の表面に加熱蒸気を接触させる2回目の加熱蒸気供給操作とを行うことによって、目的とする鋳型を製造するようにしたものである。
【0012】
それ故、このような本発明手法にあっては、例えば、目的とする鋳型が複雑な形状とされているために、或いはベントホールがキャビティ面の適正位置に設けられていないために、1回目の加熱蒸気供給操作において、一次硬化物の表層部分に、加熱蒸気が十分に行き渡らずに、加熱蒸気との接触が不充分で、硬化不足となった部分が生じたとしても、そのような部分は、2回目の加熱蒸気供給操作の実施時において、一次硬化物表面の加熱蒸気との接触により、十分に硬化するようになる。
【0013】
従って、かくの如き本発明に従う鋳型の製造方法によれば、成形キャビティ内に充填されたレジンコーテッドサンドの全体を加熱蒸気と確実に接触させて、より十分に硬化させることができ、以て、目的とする鋳型を、硬度不足の部分を何等有しない、十分な硬度をもって安定的に製造することができるのである。
【0014】
そして、本発明に係る鋳型の製造装置では、加熱蒸気供給機構からの加熱蒸気を、第一の加熱蒸気導入路を通じて、成形キャビティ内に充填されたレジンコーテッドサンドの内部に供給することができ、それによって、一次硬化物を成形することができる。また、一次硬化物の成形後に、加熱蒸気供給機構からの加熱蒸気を、第二の加熱蒸気導入路を通じて、型開閉機構による複数の型の一次型開きにより形成された隙間内に供給することが可能となる。そして、それにより、一次硬化物の表面に加熱蒸気を接触させて、一次硬化物を更に硬化させることができる。即ち、本発明に係る製造装置は、上述の如き優れた特徴を有する鋳型の製造方法の実施に際して有利に用いられ得る。
【0015】
従って、そのような本発明に従う鋳型の製造装置にあっても、本発明に係る鋳型の製造方法において奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、極めて有効に享受され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に従う鋳型の製造装置の要部を示す部分断面説明図であって、図2のI−I断面に相当する図である。
【図2】図1のII矢視説明図である。
【図3】図1に示された製造装置に装備される造形用型の型合せを行った状態を示す断面説明図であって、図4のIII−III断面に相当する図である。
【図4】図3のIV矢視説明図である。
【図5】図1に示された製造装置に装備される造形用型の一次型開きを行った状態を示す断面説明図であって、図6のV−V断面に相当する図である。
【図6】図5のVI矢視説明図である。
【図7】本発明手法に従って、鋳型を、図1に示された製造装置を用いて製造する際に実施される一工程例を示す説明図であって、造型用型を型合わせして形成された成形キャビティ内にレジンコーテッドサンドを充填した状態を示している。
【図8】図7に示された工程に引き続いて実施される工程例を示す説明図であって、成形キャビティ内に充填されたレジンコーテッドサンドの内部に加熱蒸気を供給して、一次硬化物を成形している状態を示している。
【図9】図8に示された工程に引き続いて実施される工程例を示す説明図であって、一次硬化物の成形後に、造型用型の一次型開きを行って、一次硬化物とキャビティ面との間に形成された隙間内に加熱蒸気を供給して、鋳型を造型している状態を示している。
【図10】図9のX矢視説明図である。
【図11】図9に示された工程に引き続いて実施される工程例を示す説明図であって、造型用型の二次型開きを行って、造型された鋳型を離型した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0018】
先ず、図1及び図2には、本発明に従う構造を有する鋳型の製造装置の一実施形態として、所定の中子を製造するための鋳型製造装置の要部が、その縦断面形態と平面形態とにおいて、それぞれ示されている。それらの図から明らかなように、本実施形態の鋳型製造装置は、第一の造形型10と第二の造形型12とを有している。それら第一の造形型10と第二の造形型12は、水平方向となる、図1の左右方向において互いに対向配置され、且つその対向方向において、互いに接近乃至離隔可能とされている。なお、以下からは、特別な断りがない限り、第一の造形型10と第二の造形型12の対向方向を左右方向と言い、第一の造形型10と第二の造形型12の対向方向と直角な方向で、図1の上下方向となる方向を、単に、上下方向と言う。
【0019】
より具体的には、第一の造形型10は、第一の造形型本体14と第一の入子型16とを有しており、第二の造形型12は、第二の造形型本体18と第二の入子型20とを有している。なお、第一の造形型10と第二の造形型12は、互いに略同一の構造を有している。それ故、以下には、第一の造形型10の構造のみを具体的に説明し、第二の造形型12に関しては、第一の造形型10が備える部材や部位と同様な構造の部材や部位について、図1や図2に同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0020】
第一の造形型本体14は、全体として、矩形の筐体形態を呈し、四つの側壁部22a,22b,22c,22dからなる矩形枠状乃至は矩形筒状の周壁部24と、かかる周壁部24の一方の開口部を閉塞する底壁部26とを一体的に有している。また、この第一の造形型本体14の内側空間が、収容部27とされている。そして、そのような第一の造形型本体14が、収容部27を右側に向かって開口させる向きで、底壁部26を上下方向に延出させた状態で配置されている。
【0021】
そのような第一の造形型本体14においては、周壁部24を構成する四つの側壁部22a〜22dのうち、上記の如き第一の造形型本体14の配置状態下で上側に位置する上側側壁部22aの開口側端面の長さ方向(図1の紙面に垂直な方向で、図2の上下方向)の中央に、型本体側砂吹込み孔形成溝28が、上下方向に延びるように形成されている。この型本体側砂吹込み孔形成溝28は、その内周面の横断面形状(延出方向に直角な断面形状)が半円形状とされている。また、かかる側壁部22aの開口側端面の長さ方向両端側には、蒸気吹込み孔形成溝30が、上下方向に延びるように、それぞれ1個ずつ形成されている。それら各蒸気吹込み孔形成溝30は、その内周面の横断面形状(延出方向に直角な断面形状)が、型本体側砂吹込み孔形成溝28の内周面の横断面形状よりも大径の半円形状とされている。更に、四つの側壁部22a〜22dのうちの下側に位置する下側側壁部22bの開口側の端部には、かかる端部を上下方向に貫通する貫通孔32が形成されている。
【0022】
また、第一の造形型本体14の底壁部26の外面(周壁部24形成側とは反対側の面)には、その上端部と下端部とに対して、上側板状突起34と下側板状突起36とが、それぞれ、十分な突出高さをもって一体的に突設されている。そして、上側板状突起34の突出先端部には、下方に向かって所定高さで突出する上側係合突起38が、一体形成されている一方、下側板状突起36の突出先端部には、上方に向かって所定高さで突出する下側係合突起40が、一体形成されている。それら上側及び下側係合突起38,40は、上側及び下側側壁部22a,22bの長さと同一長さを有する平板形状を呈し、底壁部26の外面に対して、所定距離を隔てて対向配置されている。
【0023】
第一の造形型本体14の底壁部26と上側及び下側係合突起38,40との対向面間には、可動板41が、配置されている。この可動板41は、底壁部26よりも一周り小さな矩形平板形状を呈し、底壁部26と上側及び下側係合突起38,40との対向方向において移動可能とされている。なお、可動板41の底壁部26側への移動は、底壁部26に対する可動板41の当接によって規制されるようになっている。また、可動板41の上側及び下側係合突起38,40側への移動は、それら上側及び下側係合突起38,40に対する可動板41の当接によって規制されるようになっている。
【0024】
一方、第一の入子型16は、全体として、厚肉の矩形ブロック形状を呈し、第一の造形型本体14の収容部27内に収容可能な大きさを有している。この第一の入子型16の厚さ方向一方の面には、その中央部に、キャビティ形成凹部42が設けられている。キャビティ形成凹部42は、造形されるべき中子の半分の部分の外面に対応した内周面形状を有しており、かかるキャビティ形成凹部42の内周面が、キャビティ面44とされている。
【0025】
また、そのような第一の入子型16のキャビティ形成凹部42形成面において、かかるキャビティ形成凹部42よりも上側部分の横方向中央部には、入子型側砂吹込み孔形成溝46が、上下方向に真っ直ぐに延びるように形成されている。この入子型側砂吹込み孔形成溝46は、第一の造形型本体14に設けられた型本体側砂吹込み孔形成溝28と同一径の半円状の内周面を有している。そして、第一の入子型16の上側側面において上方に向かって開口し、且つキャビティ形成凹部42の内周面、つまりキャビティ面44において、下方に向かって開口している。一方、第一の入子型16におけるキャビティ形成凹部42よりも下側部分の横方向中央部には、かかる部分を上下方向に貫通する貫通孔50が形成されている。
【0026】
このような構造を有する第一の入子型16が、第一の造形型本体14の収容部27内に収容されているのである。また、第一の入子型16にあっては、収容部27内への収容状態下で、収容部27の開口部を通じて、キャビティ形成凹部42が、右側に向かって開口していると共に、そのようなキャビティ形成凹部42の形成面が、外部に露呈させられている。
【0027】
収容部27内に収容された第一の入子型16は、第一の造形型本体14の底壁部26の外面側に配置された前記可動板41に対して、複数(ここでは4個)の連結ピン52を介して連結されている。即ち、ここでは、連結ピン52が、可動板41の四隅にそれぞれに固定されて、可動板41から第一の造形型本体14の底壁部26側に突出している。そして、それら各連結ピン52の突出部分が、底壁部26に設けられた複数のピン挿通孔54内を軸方向に摺動可能に挿通されて、第一の入子型16におけるキャビティ形成凹部42形成面とは反対側の面に固定されている。
【0028】
一方、第二の造形型12が有する第二の造形型本体18と第二の入子型20は、第二の造形型本体18における貫通孔32の形成位置が、第一の造形型本体14における貫通孔32の形成位置と多少異なっている以外、第一の造形型10が有する第一の造形型本体14と第一の入子型16と同一の構造を有している。そして、図1に示されるように、そのような第二の造形型12が、第二の造形型本体18の収容部27と第二の入子型20のキャビティ形成凹部42とを左側に向かってそれぞれ開口させるように起立して、配置されている。これにより、第一の造形型10と第二の造形型12とが、第一の造形型本体14と第二の造形型本体18のそれぞれの開口端面同士や、第一の入子型16と第二の入子型20のそれぞれの開口端面同士を互いに対向させた状態で配置されている。
【0029】
また、そのような配置状態下において、第一の造形型本体14の外面側(第二の造形型本体18との対向側とは反対側)に配置された可動板41の背面(第二の造形型本体18との対向側とは反対側の面)には、図示しない油圧シリンダから突出するラム56が取り付けられている。一方、第二の造形型本体18の外面側(第一の造形型本体14との対向側とは反対側)に配置された可動板41の背面(第一の造形型本体14との対向側とは反対側の面)にも、図示しない油圧シリンダから突出するラム56が取り付けられている。それらのラム56,56は、何れも油圧シリンダの作動に基づいて、第一の造形型10と第二の造形型12との対向方向に突出乃至引込作動されるようになっている。
【0030】
かくして、本実施形態の鋳型製造装置では、図1及び図3に示されるように、ラム56,56の突出作動に伴って、第一の造形型10と第二の造形型12の各可動板41,41が、互いに接近移動して、第一の造形型本体14と第二の造形型本体18の各外面に当接するようになっている。そして、その状態からのラム56,56の更なる突出作動に伴って、各可動板41,41が更に接近移動することにより、第一の造形型本体14と第二の造形型本体18のそれぞれの対向面同士、及び第一の入子型16と第二の入子型20の対向面同士が相互に当接し、以て、第一の造形型10と第二の造形型12とが型合せされるようになっている。
【0031】
また、図3及び図4に示される如く、そのような型合せ状態下において、第一の入子型16と第二の入子型20との間に、成形キャビティ58が、第一及び第二の入子型16,20の各キャビティ形成凹部42,42にて形成されるようになっている。この成形キャビティ58は、その内周面が、第一及び第二の入子型16,20の各キャビティ面44,44にて形成されており、それによって、かかる成形キャビティ58の形状が、目的とする中子の外面形状に対応した形状とされている。
【0032】
そして、第一の造形型10と第二の造形型12の型合せ下では、第一の造形型本体14と第二の造形型本体18の各上側側壁部22aに設けられた型本体側砂吹込み孔形成溝28,28によって、円形の型本体側砂吹込み孔60が形成されると共に、第一の入子型16と第二の入子型20の各上側部分に設けられた入子型側砂吹込み孔形成溝46,46によって、円形の入子型側砂吹込み孔62が形成されるようになっている。また、それら型本体側砂吹込み孔60と入子型側砂吹込み孔62とが、互いに連通して、成形キャビティ58を上方に向かって開口させる上側開口部として構成されるようになっている。ここでは、それら型本体側砂吹込み孔60と入子型側砂吹込み孔62とにて、第一の加熱蒸気導入路が構成されている。
【0033】
さらに、第一の造形型10と第二の造形型12の型合せ下においては、第一の造形型本体14と第二の造形型本体18の各上側側壁部22aに設けられた蒸気吹込み孔形成溝30,30の互いに対応するもの同士によって、蒸気吹込み孔64が、型本体側砂吹込み孔60を間に挟んだ両側に、それぞれ1個ずつ形成されるようになっている。なお、第一の造形型10と第二の造形型12の型合せ下では、それら2個の蒸気吹込み孔64,64の、下側開口部が、第一の入子型16と第二の入子型20の各上端面にて閉塞されるようになっている。
【0034】
また、第一の造形型10と第二の造形型12の型合せ下では、第一の入子型16の下側部分に設けられた貫通孔50が、第一の造形型本体14の下側部分に設けられた貫通孔32と連通し、それによって、成形キャビティ58が、それらの貫通孔50,32を通じて、下方に開口するようになっている。なお、前記したように、第二の造形型本体18での貫通孔32の形成位置が、第一の造形型本体14での貫通孔32の形成位置とは異なる位置とされている。そのため、第二の入子型20の下側部分に設けられた貫通孔50は、第一の造形型10と第二の造形型12の型合せ下において、第二の造形型本体18の貫通孔32と連通せずに、第二の造形型本体18の下側側壁部22bにて閉塞されるようになっている。
【0035】
そして、本実施形態の鋳型製造装置においては、図3及び図5に示されるように、第一の造形型10と第二の造形型12の型合せ状態から、各ラム56,56が所定量だけ引込作動して、各可動板41,41が、第一及び第二の造形型本体14,18のそれぞれの上側及び下側係合突起38,40に当接する位置まで移動することによって、第一の造形型本体14と第二の造形型本体18とが型合わせされた状態で、且つ第一の入子型16と第二の入子型20だけが僅かに型開きされた状態となる、所謂一次型開きが行われるようになっている。
【0036】
図5及び図6に示されるように、そのような一次型開き状態下では、第一の入子型16と第二の入子型20のそれぞれのキャビティ形成凹部42形成面同士が離間して、それらの間に隙間66が形成されると共に、成形キャビティ58が、かかる隙間66を通じて、外部に開口させられるようになっている。また、そのような隙間66は、第一の造形型本体14と第二の造形型本体18との間で形成される2個の蒸気吹込み孔64,64にそれぞれ連通するようになる。これによって、各蒸気吹込み孔64,64が、隙間66を通じて、成形キャビティ58内に連通するようになっている。
【0037】
さらに、一次型開き状態下では、第一の入子型16に形成された貫通孔50と第一の造形型本体14に設けられた貫通孔32との連通が遮断される一方、第二の入子型20に形成された貫通孔50と第二の造形型本体18に設けられた貫通孔32とが互いに連通する。これによって、成形キャビティ58が、それら互いに連通する二つの貫通孔50,32を通じて、下方に開口するようになっている。
【0038】
そして、図1及び図5から明らかなように、各可動板41,41が第一及び第二の造形型本体14,18のそれぞれの上側及び下側係合突起38,40に当接、係合して位置する一次型開き状態から、各ラム56,56が更に引込作動することによって、第一及び第二の入子型16,20と共に、第一の造形型本体14と第二の造形型本体18とが、各可動板41,41にて、互いに離間する方向に移動させられる。これによって、後述するように、成形キャビティ58内で造形される鋳型を離型可能とする位置まで、第一の造形型10と第二の造形型12とを離間させる、所謂二次型開きが行われるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、造形型開閉機構が、可動板41,41と、上側及び下側係合突起38,40と、ラム56,56と、図示しない油圧シリンダとによって構成されている。
【0039】
ところで、かくの如き構造とされた本実施形態の鋳型製造装置を用いて、目的とする中子を製造する際には、例えば、以下のようにして、その作業が進められることとなる。
【0040】
すなわち、先ず、図3に示されるように、第一の造形型10と第二の造形型12とを型合せして、第一の入子型16と第二の入子型20との間に成形キャビティ58を形成する。
【0041】
次に、図7に示されるように、レジンコーテッドサンド68が内部に収容された公知の砂供給装置70を、型本体側砂吹込み孔60の上側開口部に接続する。その後、砂供給装置70内のレジンコーテッドサンド68を、砂供給装置70内に導入された圧縮空気の作用により、型本体側砂吹込み孔60と入子型側砂吹込み孔62とを通じて、成形キャビティ58内に充填する。
【0042】
なお、このとき、成形キャビティ58内にレジンコーテッドサンド68と共に吹き込まれた圧縮空気は、第一及び第二の入子型16,20にそれぞれ形成された、図示しないベントホールや、互いに連通する第一の入子型16の貫通孔50と第一の造形型本体14の貫通孔32を通じて、外部に排出される。また、ここで用いられるレジンコーテッドサンド68には、水蒸気や過熱蒸気等の加熱蒸気との接触により、容易に且つ迅速に硬化する、例えばフェノール樹脂等を主成分とする熱硬化性樹脂粘結剤が表面に被覆されてなる鋳物砂が用いられる。具体的には、特開2000−107835号公報や特開2000−61583号公報、特開2000−79444号公報、特開2000−84641号公報等に記載されるレジンコーテッドサンド68が、適宜に選択されて、使用される。
【0043】
次いで、図8に示されるように、砂供給装置70に代えて、過熱蒸気供給パイプ72を、型本体側砂吹込み孔60の上側開口部に接続する。この過熱蒸気供給パイプ72は、型本体側砂吹込み孔60との接続側とは反対側の端部において、図示しない過熱蒸気発生装置に接続されている。かくして、本操作では、過熱蒸気発生装置にて発生した過熱蒸気を、過熱蒸気供給パイプ72から、型本体側砂吹込み孔60と入子型側砂吹込み孔62とを通じて、成形キャビティ58内に充填されたレジンコーテッドサンド68の内部に吹き込むのである。なお、レジンコーテッドサンド68の内部(成形キャビティ58内)に吹き込まれる過熱蒸気の温度や蒸気圧は何等限定されるものではないものの、一般には、温度が110〜180℃程度とされ、また、蒸気圧が1.5×10−5〜10.2×10−5Pa程度とされる。
【0044】
また、図示しない過熱蒸気発生装置からは、型本体側吹込み孔60に接続される過熱蒸気供給パイプ72以外に、2本(図9に1本のみを示す)の過熱蒸気供給パイプ73が延び出している。ここでは、それら2本の過熱蒸気供給パイプ73も、その先端部において、前記2個の蒸気吹込み孔64,64の上側開口部に接続される。しかしながら、前記したように、第一の造形型10と第二の造形型12との型合せ状態下では、2個の蒸気吹込み孔64,64の各下側開口部が閉塞されている。従って、第一の造形型10と第二の造形型12との型合せ状態下では、過熱蒸気発生装置からの過熱蒸気が、2個の蒸気吹込み孔64,64を通じて、成形キャビティ58内に吹き込まれることはない。
【0045】
そして、上記のように、過熱蒸気が、型本体側及び入子型側砂吹込み孔60,62のみを通じて、レジンコーテッドサンド68内部に吹き込まれることにより、レジンコーテッドサンド68が瞬時に加熱されて、かかるレジンコーテッドサンド68の熱硬化性樹脂粘結剤が迅速に硬化し、以て、成形キャビティ58内で、一次硬化物74が、成形キャビティ58に対応した形状をもって成形される。
【0046】
なお、ここで成形される一次硬化物74の外周面には、複数の凸部76が形成されるが、それらの凸部76の内部には、過熱蒸気が十分に行き渡らない可能性がある。そこで、本実施形態では、一次硬化物74を成形した後、複数の凸部76を含む一次硬化物74の表層部分を更に硬化させるための操作が実施されることとなる。
【0047】
すなわち、一次硬化物74を成形した後、図9に示される如く、第一の造形型本体14と第二の造形型本体18を型合せした状態で、第一の入子型16と第二の入子型20とを僅かに型開きさせる一次型開きを行う。これによって、成形キャビティ58内において、一次硬化物74の凸部76の形成面と、第一及び第二の入子型16,20の各キャビティ形成凹部42の底面を構成するキャビティ面44部分との間に、上下方向に連続して延びる隙間78を形成する。
【0048】
この一次型開き操作は、成形キャビティ58内のレジンコーテッドサンド68の硬化により、一次硬化物74が成形された時点で実施される。具体的には、レジンコーテッドサンド68の内部に過熱蒸気を吹き込む1回目の過熱蒸気供給操作を行ってから、例えば10〜20秒後に実施される。また、一次型開きによる型開き量も、特に限定されるものではないものの、かかる型開き量は、一般には、第一の入子型16と第二の入子型20とのそれぞれの対向面間距離が1〜3mm程度となる量とされる。なお、レジンコーテッドサンド68内部への過熱蒸気の吹込み時において、一次硬化物74の凸部76内に過熱蒸気が十分に行き渡っていなくとも、かかる凸部76は、ある程度硬化する。そのため、一次型開きが行われたときに、そのような凸部76を含む一次硬化物74の表層部分が崩れてしまうようなことはない。
【0049】
また、図10に示される如く、一次型開きが行われたときには、2個の蒸気吹込み孔64,64が、第一の入子型16と第二の入子型20の互いの対向面間に形成される前記隙間66に連通するようになる。一方、図示されてはいないものの、第一及び第二の入子型16,20のキャビティ形成凹部42,42には抜け勾配が付されて、各キャビティ形成凹部42,42の側面を構成するキャビティ面44部分が、各キャビティ形成凹部42,42の底部側から開口部側に向かって外方に傾斜する傾斜面形態を有している。それ故、一次型開き状態下において、各キャビティ形成凹部42,42の側面を構成するキャビティ面44部分と、かかるキャビティ面44部分にて成形される一次硬化物74の外面との間にも、微細な間隙が形成される。そして、この微細な間隙は、第一の入子型16と第二の入子型20の互いの対向面間に形成される隙間66に連通し、更に、一次硬化物74の外面と第一及び第二の入子型16,20の各キャビティ形成凹部42の底面を構成するキャビティ面44部分との間に形成される隙間78にも連通するようになる。
【0050】
従って、一次型開きが行われると、一次硬化物74の凸部76が形成される外面とキャビティ面44との間に上下方向に連続して延びるように形成される隙間78が、各キャビティ形成凹部42,42の側面を構成するキャビティ面44部分と一次硬化物74の外面との間の微細な間隙と、第一の入子型16と第二の入子型20の互いの対向面間に形成される隙間66とを通じて、2個の蒸気吹込み孔64,64に連通するようになる。即ち、一次型開きの実施によって、2個の蒸気吹込み孔64,64から、一次硬化物74の凸部76が形成される外面とキャビティ面44との間の隙間78に通ずる過熱蒸気流路が形成されるようになるのである。ここでは、この過熱蒸気流路によって、第二の加熱蒸気導入路が構成される。
【0051】
そして、本実施形態では、上記のようにして第一の造形型10と第二の造形型12の一次型開きを行って、2個の蒸気吹込み孔64,64と前記隙間78とを連通させた後、過熱蒸気を過熱蒸気供給パイプ73から2個の蒸気吹込み孔64,64内に導く。これによって、前記過熱蒸気流路を通じて、過熱蒸気を、一次硬化物74の凸部76が形成される外面とキャビティ面44との間に形成される隙間78内に供給する。なお、かかる隙間78内に供給された過熱蒸気は、互いに連通する第二の入子型16の貫通孔50と第二の造形型本体18の貫通孔32とを通じて、外部に排出されるようになる。
【0052】
かくして、一次型開きが行われた状態下で、一次硬化物74の表面に過熱蒸気を接触させる。そして、それにより、一次硬化物74の表層部分、特に、レジンコーテッドサンド68内部への過熱蒸気の吹込み時には、過熱蒸気との接触が不充分となる可能性の高い凸部76の表層部分を確実に硬化させる。このとき、2個の蒸気吹込み孔64,64から吹き込まれた過熱蒸気の一部と、型本体側及び入子型側砂吹込み孔60,62から吹き込まれた過熱蒸気とが、一次硬化物74の上面から一次硬化物74の内部に供給される。これによっても、一次硬化物74が、より良好に硬化する。
【0053】
その後、図11に示されるように、第一の造形型10と第二の造形型12の二次型開きを行って、一次硬化物(74)を更に硬化させて得た硬化物を離型し、以て、目的とする中子80を得るのである。
【0054】
このように、本実施形態では、成形キャビティ58内に充填されたレジンコーテッドサンド68に過熱蒸気を接触させる操作が、第一及び第二の造形型10,12の型合せ状態下で、レジンコーテッドサンド68の内部に過熱蒸気を供給する操作と、第一及び第二の造形型10,12の一次型開き状態下において、成形キャビティ58内で成形された一次硬化物74の表面に過熱蒸気を接触させる操作の2回の加熱蒸気供給操作によって実施される。これによって、目的とする中子80の表面に、従来装置を用いた従来手法では硬度不足となる可能性の高い凸部76が設けられているにも拘わらず、そのような凸部76を含む中子80全体の硬度を十分に高めることが可能となっている。
【0055】
従って、かくの如き本実施形態によれば、硬度が不足する部分を何等有しない、全体が十分な硬度とされた中子80が、極めて有利に且つ安定的に製造され得るのである。
【0056】
そして、本実施形態においては、成形キャビティ58内に充填されたレジンコーテッドサンド68の全体に加熱蒸気を行き渡らせるために、第一及び第二の造形型10,12に対して、ベントホールを適正な位置に必ずしも設ける必要がない。これによって、第一及び第二の造形型10,12、ひいては鋳型製造装置全体の構造の簡略化が、有利に図られ得る。
【0057】
また、本実施形態では、目的とする中子80の成形途中において、過熱蒸気が、第一及び第二の入子型16,20の各キャビティ面44,44と一次硬化物74の表面との間に形成される隙間78内に供給されるようになっている。そのため、各キャビティ面44,44の温度が、中子80の造形開始から終了までの間、更には次回の中子80の製造開始時にも、十分に高い温度で良好に維持される。これによって、製造されるべき中子80の表面品質の維持のために、中子80の製造開始前等において、第一及び第二の入子型16,20を外部加熱等により特別に加熱する必要が解消され得る。その結果、第一及び第二の入子型16,20の加熱に掛かる面倒な操作や余分なコストを省略しつつ、優れた表面品質を有する中子80が、有利に製造され得ることとなるのである。
【0058】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0059】
例えば、前記実施形態では、一次型開きを行う際に、第一の入子型16(第二の入子型20)を移動させるための油圧シリンダと、二次型開きを行う際に、第一の入子型16(第二の入子型20)と第一の造形型本体14(第二の造形型本体18)とを同時に移動させるための油圧シリンダとして、単一のものが使用されていた。しかしながら、一次型開きを行う油圧シリンダと二次型開きを行う油圧シリンダとして、互いに独立した別個のものを用いても良い。
【0060】
また、一次型開きと二次型開きを行うに際して、第一及び第二の入子型16,20や第一及び第二の造形型本体14,18を移動させるのに使用されるアクチュエータは、油圧シリンダに限定されるものではなく、型開きを行うのに一般に使用される各種のアクチュエータが、適宜に採用され得る。
【0061】
さらに、一次型開きと二次型開きとを行う型開閉機構の具体的な構造も、例示のものに、何等限定されるものでないことは、勿論である。
【0062】
また、第一の造形型10と第二の造形型12の型合せ状態において、成形キャビティ58内に充填されたレジンコーテッドサンド68の内部に過熱蒸気を供給(導入)する第一の過熱(加熱)蒸気導入路と、一次型開き状態において、一次硬化物74とキャビティ面44との間に形成される隙間78内に過熱蒸気を供給(導入)する第二の過熱(加熱)蒸気導入路のそれぞれの構造や、その形成位置も、適宜に変更可能である。
【0063】
さらに、前記実施形態では、加熱蒸気として、過熱蒸気が用いられていたが、100℃の温度の水蒸気を使用することも可能である。
【0064】
加えて、前記実施形態では、本発明を、中子の製造方法と製造装置とに対して適用した具体例が示されていたが、本発明は、中子以外の各種の鋳型の製造方法とに対しても有利に適用され得ることは、勿論である。
【0065】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0066】
10 第一の造形型 12 第二の造形型
14 第一の造形型本体 16 第一の入子型
18 第二の造形型本体 20 第二の入子型
38 上側係合突起 40 下側係合突起
41 可動板 56 ラム
58 成形キャビティ 60 型本体側砂吹込み孔
62 入子型側砂吹込み孔 64 蒸気吹込み孔
68 レジンコーテッドサンド 70 砂供給装置
72,73 過熱蒸気供給パイプ 74 一次硬化物
78 隙間 80 中子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の造形型を型合せすることにより、それら複数の造形型の各キャビティ面間に形成した成形キャビティ内にレジンコーテッドサンドを充填する工程と、
前記成形キャビティ内に充填された前記レジンコーテッドサンドの内部に加熱蒸気を供給することにより、該レジンコーテッドサンドを硬化させて、一次硬化物を成形する工程と、
かかる一次硬化物の成形後に、該一次硬化物の表面と前記複数の造形型のそれぞれの前記キャビティ面との間に加熱蒸気が流通可能な隙間が形成される位置まで、該複数の造形型を型開きする工程と、
該複数の造形型の型開きによって形成された前記隙間内に加熱蒸気を供給して、前記一次硬化物の表面に該加熱蒸気を接触させることにより、該一次硬化物を更に硬化させて、鋳型を造形する工程と、
を含むことを特徴とする鋳型の製造方法。
【請求項2】
型合せによって、所定形状の成形キャビティを形成する複数の造形型と、かかる形成された成形キャビティ内に加熱蒸気を供給する加熱蒸気供給機構とを有し、該成形キャビティ内にレジンコーテッドサンドが充填された状態下で、該加熱蒸気供給機構にて、該成形キャビティ内に加熱蒸気を供給することにより、該レジンコーテッドサンドの硬化物を成形して、鋳型を製造する装置であって、
前記複数の造形型の型合せを行う一方、前記硬化物の表面と該複数の造形型のそれぞれの前記キャビティ面との間に、前記加熱蒸気が流通可能な隙間を形成する一次型開きと、該硬化物の離型を可能とする二次型開きの二段階に亘って、該複数の造形型の型開きを行う造形型開閉機構と、
前記複数の造形型が前記造形型開閉機構により型合わせされた状態下において、前記加熱蒸気供給機構から供給される前記加熱蒸気を、前記成形キャビティ内に導く第一の加熱蒸気導入路と、
前記造形型開閉機構による前記複数の造形型の前記一次型開きが行われて、前記隙間が形成された状態下において、前記加熱蒸気供給機構から供給される前記加熱蒸気を、該隙間内に導く第二の加熱蒸気導入路と、
を含んで構成されていることを特徴とする鋳型の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−240385(P2011−240385A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115976(P2010−115976)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000148379)株式会社前田シェルサービス (7)
【Fターム(参考)】