説明

鋼管杭チャック装置

【課題】構造が簡単かつコンパクトで、操作性、信頼性及び経済性にも優れた鋼管杭チャック装置を提供する。
【解決手段】外形が多角面状の軸部15とその上部にテーパ状受面部14を有し、駆動装置に連結されるコアシャフト1と、受面部14に対応したテーパ状押面部32を上部に有し、軸部15の各面に対応して配置される複数のクランプピース3と、クランプピース3の上・下部を拡径方向に変位自在に束ね状態で保持する保持リング2及びリテーナ4とを備え、この状態で鋼管杭内に挿入し押面部32と受面部14との摺接に伴う楔効果によりクランプピース3の上部を拡径方向に傾けて鋼管杭の内面上端部を保持し、引続きコアシャフトの回転により軸部の多角面の角部15bがクランプピース3を拡径方向に押出し、クランプピース3の外面により鋼管杭を内側からチャッキング保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーガなどの回転力及び推進力を付与する駆動装置の出力軸に連結され、基礎地盤中に回転しながら圧入される鋼管杭を内面側からチャッキングする鋼管杭のチャック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土建関係の基礎杭として鋼管杭が圧入される鋼管圧入工法において、鋼管杭はオーガの出力軸に連結されて回転駆動されるとともに、杭打機のリーダに沿って昇降することにより地盤に回転圧入され、またはそこからの引き抜きが行われている。この際、オーガの出力軸には鋼管杭を連結させるための鋼管杭チャック装置が装着される。
【0003】
これまで、実用新案登録第2538036号公報等に記載されているような比較的大径の鋼管杭に適用される旧来の鋼管杭チャック装置に対して、薄肉小径の鋼管杭にも適用可能なようにチャック力の発生及び保持機構を改良した次のような鋼管チャック装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この鋼管チャック装置は、テーパ面で摺接したスライドブロックから外側に押し出されたチャックブロックによって鋼管を内側からチャッキングするものであって、ケーシングがオーガの出力軸に対し下方に突出して固定され、チャックロッドが軸方向に穿設された軸孔を有する出力軸内からケーシングに差し込まれるように配置され、出力軸上方に非回転状態で吊設されたチャックシリンダに対し軸受けを介して連結されたものであり、チャックブロックとスライドブロックとの摺接するテーパ面が軸方向に複数段設けられた構成である。
【特許文献1】特開2004−100260公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の鋼管チャック装置は、オーガの減速ギヤケース側に固定され、中空軸の上方に吊持されている油圧式チャックシリンダによりチャックロッドを介して鋼管杭をチャッキングする駆動操作が行われ、また、回転するチャックロッドが回転拘束されたチャックシリンダに対して軸受けを介して連結され、チャックブロックとスライドブロックとの摺接するテーパ面が軸方向に複数段設けられたチャック機構を有する構成であって、複雑かつ重厚長大な構造となっている。
【0005】
その上、チャック機構を駆動するための特別な油圧・制御システムの装備が必要となり、それらを含む操作が煩雑となるとともに、製作及びメンテナンス費用も嵩むという問題がある。
【0006】
これらの問題点を解決すべく、本発明の目的は、構造が簡単かつコンパクトで、操作性、信頼性及び経済性にも優れた鋼管杭チャック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明の鋼管杭チャック装置は、外形が多角面に形成された軸部及び軸部の上部に連設されたテーパ状の受面部を有しており、回転力及び推進力を付与する駆動装置に着脱自在に取付けられるコアシャフトと、前記受面部に対応したテーパ状の押面部が上部に形成され、前記軸部の各面に対応するように軸部の各面に沿って配置される複数のクランプピースと、
クランプピースの上部が拡径方向に変位可能なようにクランプピースの上部を束ねた状態で保持する保持リングと、クランプピースの下部が拡径方向に変位可能なようにクランプピースの下部を束ねた状態で保持するリテーナとを備えており、クランプピースの束ね状態で鋼管杭内に挿入して前記押面部と受面部とを摺接させることによりクランプピースの上部を拡径方向に傾け、傾けた楔効果により鋼管杭の内面上端部分を保持し、この保持状態におけるコアシャフトの回転によって前記軸部の多角面の角部がクランプピースを拡径方向に押出し、クランプピースの外面によって鋼管杭を内側からチャッキングして保持することを特徴としている。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の鋼管杭チャック装置であって、前記コアシャフトの軸部の外形が断面正六角形であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、従来の前記特許文献1における油圧シリンダ駆動によるチャック機構や実用新案登録第2538036号公報におけるストッパー及びスプリングによるチャック保持機構等を省き、駆動装置の下方向移動及び回転操作により回転出力軸に直結されたコアシャフトの受面部とクランプピースの押面部との摺接、並びに軸部の多角面角部とクランプピースの内面との当接作用に伴う楔効果により鋼管杭の内面を自動的にチャッキング保持するよう構成したことにより、構造が簡単かつコンパクトで、操作性、信頼性及び経済性にも優れた鋼管杭チャック装置とすることができる。特に、駆動装置を下方向移動及び回転するだけで別途特別なチャッキング操作を行う必要がなく、上記楔効果を生じさせて適宜の長さを有するクランプピースの外面が鋼管杭の内面に全面的に当接されチャッキング保持することから、簡単な操作で鋼管杭へのチャッキング力が強大に保持されるという信頼性を一層確保することができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様な効果に加え、コアシャフトの軸部の外形を断面正六角形とすることによって、コアシャフト及びクランプピースの配置構造及び鋼管杭チャッキング力のバランスがよく、部品点数、加工及びコスト面等から見て最適な鋼管杭チャック装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の鋼管杭チャック装置を図示する実施の形態により具体的に説明する。
【0012】
図1は本発明に係る一実施の形態の鋼管杭チャック装置の縦断面図で、左半部と右半部とは平面から見て90°ずらした断面を示す。
【0013】
この実施の形態の鋼管杭チャック装置は、外形が多角面に形成された軸部15及び軸部15の上部に連設されたテーパ状の受面部14を有しており、図示しないオーガなどの回転力及び推進力を付与する駆動装置に着脱自在に取付けられるコアシャフト1と、受面部14に対応したテーパ状の押面部32が上部に形成され、軸部15の各面に対応するように軸部15の各面に沿って配置される複数のクランプピース3と、クランプピース3の上部が拡径方向に変位可能なようにクランプピース3の上部を束ねた状態で保持する保持リング2と、クランプピース1の下部が拡径方向に変位可能なようにクランプピース3の下部を束ねた状態で保持するリテーナ4とから構成されている。
【0014】
そして、先ずクランプピース3の束ね状態で鋼管杭100内に挿入して押面部32と受面部14とを摺接させることによって、図1の右半部の2点鎖線で示すように、クランプピース3の上部を拡径方向に傾け、この傾けた楔効果により鋼管杭100の内面101上端部分を保持する。引続き、この保持状態におけるコアシャフト1の回転によって、図1の左半部に示すように、軸部15の多角面角部がクランプピース3を拡径方向に押出し、クランプピース3の外面34全体によって鋼管杭100を内側からチャッキング保持する。
【0015】
すなわち、本発明の鋼管杭チャック装置は、追って詳述するが、鋼管杭100内に挿入されたコアシャフト1の鋼管杭100に対する上・下(軸)方向の相対移動によって、クランプピース3がコアシャフト1との間で押面部32と受面部14との上下方向の摺接によりクランプピース3の上端側が拡径(傾き状態)又は縮径(垂直状態)されるのに伴い、外面34の上端部分によって鋼管杭100内面101の上端部分を保持又は保持解除し、さらに、前記保持状態でコアシャフト1の回転・停止によって、クランプピース3が軸部15との間で内面と多角面角部との回転方向の摺接により拡径又は縮径されるのに伴い、クランプピース3の外面34全体によって鋼管杭100を内側からチャッキング保持又は解除するよう構成されている。
【0016】
図2の(a)は図1のコアシャフト1の縦断面図、(b)は(a)の上部平面図、(c)は(a)の固定ピン取付け孔11bの断面形状図、(d)は(a)の下部平面図である。ここで、(a)の左半部は平面から見た(b)のY−O断面、右半部は平面から見て90°ずらしたX−O断面を示しており、この状態は前記図1と同じ対応関係にある。
【0017】
コアシャフト1は、前記駆動装置の回転出力軸(図示しない)に着脱自在に連結される連結部11と、連結部11の下部外面に設けられた大径鍔部12と、大径鍔部12の下方の連結部11下端外面が上拡がりテーパ(円錐面)状に形成された受面部14と、受面部14に連接して外形が断面正多角形に形成された軸部15と、軸部15の下端先端部に連設された小径軸部16とから形成されている。軸部15の外形は、図2(d)に示すように、クランプピース3を含む配置構造及びチャッキング力のバランス、部品点数、加工及びコスト面等から見て最適と考えられる断面正六角形の多角面15aに形成されている。同図中の符号15bは、多角面15aの角部(稜線部)を示す。
【0018】
連結部11は、上端に前記駆動装置の出力軸の形状に合せ回転方向が規制されて軸方向移動自在に係合可能な内面が断面正六角形などの多角形又は非円形の連結孔11aが穿設されている。
【0019】
さらに、連結部11の外面には、固定ピン(図示しない)が挿通する固定ピン穴11bが貫通して設けられている。この固定ピン穴11bは、図2(c)に示すように、上下方向に長い長孔形に形成されている。駆動装置の出力軸に対して、この固定ピンを着脱することによりコアシャフト1を介し鋼管杭チャック装置が着脱自在に連結される。
【0020】
そこで、前記固定ピン(図示しない)を円形固定ピンとして、コアシャフト1が円形固定ピンを介して軸方向移動自在に連結可能とすることができる。この場合は、コアシャフト1が前記円形固定ピンを介して長孔形ピン穴11cの下端部に吊り下げられた状態で鋼管杭100内に挿入される際に、後述するが、クランプピース3を介して鋼管杭100の上端面102への当接による反力により長孔形ピン穴11cの上端部方向すなわち上方にスライドすることによって緩衝機能を備えることができる。この場合、前記円形固定ピンは、いわゆる前記駆動装置の出力軸に対するコアシャフト1の抜け止めの機能を有する。
これに対して、前記固定ピンを長孔形固定ピン穴11bに対応した断面長円形固定ピンとした場合は、コアシャフト1が駆動装置の出力軸に強固に固定することができる。この場合は、特に長円形固定ピンの上下方向の強度が大きいため、チャッキングした鋼管杭の引き抜き又は圧入方向に対する強大な反力に対応することができる。
【0021】
図3の(a)はリング2の縦断面図、(b)は(a)の下部平面図である。
【0022】
リング2は、円板状に形成され、中心にコアシャフト1の大径鍔部12の下方部の連結部11外面に外挿される挿通孔21と、下端面に挿通孔21と同心円状に鋼管杭100の外径よりも十分大きい内径の円形逆凹状の上部保持穴22とが穿設されている。上部保持穴22は、次に述べる複数(図示では6個)のクランプピース3の上端部が束ねられた状態で上下方向及び径方向への移動(拡・縮径)自在に挿入保持されるようクランプピース3の上端部に対して適宜な上下方向及び径方向の隙間を有する形状となっている。リング2は、挿通孔21を介して連結部11下端外面に外挿され固定されてもよく、もしくは、連結部11下端外面に対して摺動自在に外挿されてもよい。いずれの場合も、大径鍔部12が、次に述べるクランプピース3を介して上方向への押圧力が作用するリング2の受け止めとなっている。
【0023】
図4の(a)はクランプピース3の立面図で右半部は縦断面図、(b)は(a)におけるクランプピース3が縮径状態にあるときの上部平面図、(c)はクランプピース3が縮径状態にあるときの下部平面図、(d)は(a)クランプピース3が拡径状態にあるときの下部平面図である。
【0024】
クランプピース3は、コアシャフト1の軸部15の多角面15aに対応した個数(図示では6個)に分割配置され、上端内面がコアシャフト1の受面部14に倣い当接するように上拡がりテーパ(円錐面)状に形成された押面部32と、上端部が全体外形として鋼管杭100の上端面102に当接可能なように少なくとも鋼管杭100の内径よりも大きい外径の円形鍔状に形成されてリング2の上部保持穴22に適宜隙間を有して挿入される上端被保持部33と、上端被保持部33に連設され鋼管杭100の内面101に挿入されて当接可能なように全体として略円筒形に形成された外面34と、外面34の下端部に連設され全体として小径円筒状に形成されて次に述べるリテーナ4の下部保持穴42(図5)に適宜隙間を有して挿入される下端被保持部35とから構成されている。
【0025】
図5の(a)はリテーナ4の縦断面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【0026】
リテーナ4は、鋼管杭100の内面102に適宜隙間を有して挿入可能な略円筒形に形成され、中心にコアシャフト1の小径軸部16に外挿される挿通孔41と、上端部に挿通孔41と同心円形凹状の下部保持穴42と、側面に小径軸部16に固定するための固定ピン(図示しない)が挿通される固定ピン孔44とが穿設されている。下部保持穴42は、複数(図示では6個)のクランプピース3の下端部35が束ねられた状態で上下方向及び径方向への移動(拡・縮径)自在に挿入保持されるよう上端部35に対して適宜な上下方向及び径方向の隙間を有する形状となっている。
【0027】
また、クランプピース3は、全長が上部保持穴22の天井面23と下部保持穴42の底面43との間の距離より適宜短く形成されており、上・下部保持穴22、42に対して上下方向及び半径方向に移動自在に全体束ねた状態で保持されている。このため、前記駆動装置の出力軸に連結されたコアシャフト1をその下端に固着されたリテーナ4の先端側から鋼管杭100内に挿入して行くことにより、鋼管杭100の上端面102がクランプピース3の鍔状の上端被保持部33の下端面に当接してクランプピース3が押し上げられるのに伴いクランプピース3がその上端の押面部32とコアシャフト1の受面部14との摺接により拡径され、外面34が鋼管杭100の内面102に圧接することにより楔効果が生じて鋼管杭100を保持することができる。この場合、少なくとも押面部32近傍の上方部側外面34が先に拡径され、図1の破線で示されるように、クランプピース3が上拡がり状に傾斜した状態で鋼管杭100の内面102上端部を自動的に保持するようになっている。これに引続きコアシャフト1の回転による鋼管杭100のチャッキング作用については後述する。
【0028】
ここで、本発明の別の実施の形態の鋼管杭チャック装置について説明する。
【0029】
図6の(a)は本発明の別の実施の形態におけるマスターロッド5の立面図(一部断面図)、(b)は(a)の下部平面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【0030】
この実施の形態の鋼管杭チャック装置は、図示しないが、前記駆動装置の回転出力軸とコアシャフト1との間に所定長さの連結部材5が設けられている点が異なるだけで、その他の構成は前記一実施の形態と全く同じである。この連結部材5を以下、「マスターロッド5」と呼ぶ。
【0031】
マスターロッド5は、上端部に前記駆動装置の回転出力軸に着脱自在に連結される駆動軸側連結部51と、下端部にコアシャフト1を着脱自在に連結するコアシャフト側連結部55と、駆動軸側連結部51に連接する小径の中空シャフト部52と、シャフト部52とコアシャフト側連結部55との間に連接する大径鍔部54とからなり、シャフト部52、大径鍔部54及びコアシャフト側連結部55の外径は鋼管杭100の外径と少なくとも略等しいかもしくは若干細めに形成されている。
【0032】
したがって、この形態においては、例えば前記クランプピース3が組み込まれたコアシャフト1を地中内の所定深さの鋼管杭100のチャックする内面まで到達させることができる。すなわち、マスターロッド5は、前記回転出力軸に対する鋼管杭100上端部までの必要な距離に応じてシャフト部52の長さを設定する自由度を備えることができる。
【0033】
次に、本発明の鋼管杭チャック装置の作用及びこれを用いて鋼管杭をチャックする操作方法について説明する。
【0034】
鋼管杭チャック装置のコアシャフト1を前記駆動装置の回転出力軸に固定ピンを介して連結し、駆動装置を下方向に移動して鋼管杭チャック装置をリテーナ4先端側から鋼管杭100の上端部内面102に挿入して行く。そして、鋼管杭100の上端面102がクランプピース3の上端被保持部33の下端面に当接してクランプピース3が上方に押し上げられると、クランプピース3の押面部32がコアシャフト1の受面部14に倣い摺接して外面34の少なくとも押面部32近傍の上方部側が先に拡径されてクランプピース3が上拡がり状に傾斜した状態(図1右半部の破線の状態)で鋼管杭100の上端部内面102に圧接することにより楔効果が生じて鋼管杭100をチャッキング開始した保持状態となる。
【0035】
この楔効果発生による鋼管杭100チャック開始の保持状態でさらに前記回転出力軸をコアシャフト1と共に回転させると、図4の(d)及び図1の左半部に示すように、コアシャフト1の軸部15の最大外径部である多角面角部(稜線部)15bがクランプピース3の内面31を全面的に径方向外側に押出し拡径するのに伴って外面34が鋼管杭100の内面101に全面的に強力に圧接することにより楔効果が増加し鋼管杭100を強力にチャッキング保持した状態となる。
【0036】
前記鋼管杭100強力チャッキング保持の状態で、前記駆動装置を下方向に移動させることにより鋼管杭100を地盤中に圧入し、一方、前記駆動装置を上方向に移動させることにより鋼管杭100を地盤中から引き抜くことができる。
【0037】
前記鋼管杭100強力チャッキング保持の状態から、前記回転出力軸をコアシャフト1と共に回転停止させた状態で前記駆動装置を引き上げると、クランプピース3が自重により下方向に移動するとともに前記回転方向とは逆回転方向にスライドするのに伴いクランプピース3の押面部32とコアシャフト1の受面部14との摺接が離間するとともに軸部15の多角面角部(稜線部)15bとクランプピース3の内面31との摺接が離間して楔効果が解除され、図4の(c)に示すように、クランプピース3が縮径されることにより、クランプピース3の外面34による鋼管杭100内面101のチャッキング保持が解除される。
【0038】
以上述べた実施の形態では、従来の前記特許文献1における油圧シリンダ駆動によるチャック機構や実用新案登録第2538036号公報におけるストッパー及びスプリングによるチャック保持機構等を省き、駆動装置の上・下移動及び回転・停止操作を行うだけで、駆動装置の回転出力軸に直結されたコアシャフト1及びクランプピース3を介して(両者間における受面部14及び押面部32間の摺接、軸部15及び内面31間の摺接作用に伴う楔効果により)鋼管杭100の内面101を自動的にチャッキング保持又はチャッキング解除することができる。これにより、構造が簡単かつコンパクトで、操作性、信頼性及び経済性にも優れた鋼管杭チャック装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る一実施の形態の鋼管杭チャック装置の縦断面図で、左半部と右半部とは平面から見て90°ずらした断面を示している。
【図2】(a)は図1のコアシャフト1の縦断面図で、左半部と右半部とは平面から見て90°ずらした断面を示し、(b)は(a)の上部平面図、(c)は(a)の固定ピン取付け孔11cの断面形状図、(d)は(a)の下部平面図である。
【図3】(a)は図1のリング2の縦断面図、(b)は(a)の下部平面図である。
【図4】(a)は図1のクランプピース3の立面図で右半部は縦断面図、(b)は(a)におけるクランプピース3が縮径状態にあるときの上部平面図、(c)は(a)におけるクランプピース3が縮径状態にあるときの下部平面図、(d)は(a)におけるクランプピース3が拡径状態にあるときの下部平面図である。
【図5】(a)は図1のリテーナ4の縦断面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図6】(a)は本発明の別の実施の形態におけるマスターロッド5の立面図(一部断面図)、(b)は(a)の下部平面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 コアシャフト
2 リング
3 クランプピース
4 リテーナ
5 連結部材(マスターロッド)
11 連結部
11a、51b 連結穴
11b、16a、44、56 固定ピン取付け孔
12、54 大径鍔部
14 受面部
15 軸部
15a 多角面
15b 角部(稜線部)
16 小径軸部
21、41 挿通孔
22 上部保持穴
23 天井面
31、101 内面
32 押面部
33 上端被保持部
34 外面
35 下端被保持部
42 下部保持穴
43 底面
51 駆動軸側連結部
52 シャフト部
55 コアシャフト側連結部
100 鋼管杭
102 上端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が多角面に形成された軸部及び軸部の上部に連設されたテーパ状の受面部を有しており、回転力及び推進力を付与する駆動装置に着脱自在に取付けられるコアシャフトと、
前記受面部に対応したテーパ状の押面部が上部に形成され、前記軸部の各面に対応するように軸部の各面に沿って配置される複数のクランプピースと、
クランプピースの上部が拡径方向に変位可能なようにクランプピースの上部を束ねた状態で保持する保持リングと、
クランプピースの下部が拡径方向に変位可能なようにクランプピースの下部を束ねた状態で保持するリテーナとを備えており、
クランプピースの束ね状態で鋼管杭内に挿入して前記押面部と受面部とを摺接させることによりクランプピースの上部を拡径方向に傾け、傾けた楔効果により鋼管杭の内面上端部分を保持し、この保持状態におけるコアシャフトの回転によって前記軸部の多角面の角部がクランプピースを拡径方向に押出し、クランプピースの外面によって鋼管杭を内側からチャッキングして保持することを特徴とする鋼管杭チャック装置。
【請求項2】
前記コアシャフトの軸部の外形が断面正六角形であることを特徴とする請求項1記載の鋼管杭チャック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−241909(P2006−241909A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61594(P2005−61594)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000168506)鉱研工業株式会社 (43)
【Fターム(参考)】