説明

錠剤の表裏面検査装置及び外観検査装置

【課題】 大きな負荷や衝撃を与えることなく、錠剤の姿勢を平伏姿勢に制御して表裏面検査を行うことができる錠剤の表裏面検査装置を提供する。
【解決手段】 表面検査ドラム4及び裏面検査ドラム5が、いずれも、ドラム外周面に周方向に沿って形成された吸引溝421,521と、吸引溝421,521内に周方向に沿って連設された多数の吸引孔422,522と、吸引溝421,521の両側縁部に沿って吸引孔422,522を挟んで装着された少なくとも一対のゴムリング423,523とを具備してなり、一対のゴムリング423,523は、吸引溝421,521を両側縁部からそれぞれ一部覆うように張り出して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平形状の錠剤を径方向を上下にした直立状態で搬送すると共に、その搬送途中の錠剤を撮影し、得られた画像から錠剤側面に付着した異物や汚れ、更には錠剤の割れ、欠けその他の変形等の外観上の欠陥を検出する錠剤の側面検査装置、及び錠剤を厚さ方向を上下にした平伏状態で搬送し、その搬送中に該錠剤を表裏反転させると共に、その反転前後の錠剤を撮影して得られた表裏両面の画像から上記外観上の欠陥を検出する錠剤の表裏面検査装置、並びにこれらを用いて錠剤を搬送しながら該錠剤の側面及び表裏両面の外観検査を行う錠剤の外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、錠剤に異物の付着や汚れ、更には欠けや割れ等の変形、或いは印刷不良などの欠陥が生じていないかを検査する外観検査は、外観検査装置を用いて自動的に行われており、かかる外観検査装置を用いて扁平形状の錠剤を自動的に検査する場合、通常は錠剤をまず径方向を上下にした直立状態で搬送し、その搬送中の錠剤をカメラで撮影して錠剤の側面画像を得、次いで錠剤を厚さ方向を上下にした平伏状態に姿勢変換して搬送すると共に、その搬送中に錠剤を表裏反転させて、その反転前後の錠剤をカメラで撮影することによって錠剤の表裏両面の画像を得、得られた上記側面画像及び表裏両面の画像を画像処理することにより、上記欠陥を検出する方法が採られている。
【0003】
このような、錠剤の外観検査装置として具体的には、図14に示した外観検査装置を例示することができる(特許文献1)。即ち、この外観検査装置は、ホッパーp11に収容された多数の扁平錠剤(以下、単に「錠剤」という)を検査機構部へと供給する錠剤供給部p1と、側面検査ドラムp21及び側面撮像装置p22からなる側面検査部p2と、姿勢変換ドラムp31を有する姿勢変換部p3と、表面検査ドラムp41、裏面検査ドラムp42、表面撮像装置p43及び裏面撮像装置p44を有する表裏面検査部p4と分別ドラムp51、良品回収コンベアp52及び不良品回収缶p53を有する分別部p5と、特に図示していないが、上記3つの撮像装置p22,p43,p44により取り込んだ各画像を画像処理して外観不良の有無を検出する判定部とを具備している。なお、図中p221,p431,p441はカメラ、p222,p432,p442は照明装置である。
【特許文献1】特開平11−51873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この外観検査装置による外観検査は、下記の手順によって行われる。
(1)上記ホッパーp11からランダムに供給される多数の錠剤を、上記錠剤供給部p1により径方向を上下にした直立状態(以下、単に「直立状態」という)で上記側面検査部p2の側面検査ドラムp21に連続的に供給し、
(2) 該側面検査ドラムp21の保持ポケット内に直立状態で上記錠剤を収容して該ドラムp21の回転によりこの錠剤を下方へと搬送すると共に、搬送中の錠剤を上記保持ポケット内で自転させながら、上記側面撮像装置p22で撮影して該錠剤の側面全面の画像を得、
(3)この錠剤を上記姿勢変換部p3の姿勢変換ドラムp31に移し、該ドラムp31で直立状態の錠剤を横向きに倒して厚さ方向を上下にした平伏状態(以下、単に「平伏状態」という)とした後、上記表裏面検査部p4の表面検査ドラムp41に受け渡し、
(4)該表面検査ドラムp41の表面に形成された錠剤収容ポケットに上記錠剤を平伏状態で収容して該ドラムp41の回転によりこの錠剤を下方へと搬送すると共に、搬送中の錠剤を上記表面撮像装置p43で撮影して該錠剤の表面画像を得、
(5)この錠剤を上記裏面検査ドラムp42に受け渡し、該裏面検査ドラムp42の錠剤収容ポケットに表裏反転した平伏状態で収容して該ドラムp42の回転によりこの平伏状態の錠剤を下方へと搬送すると共に、この搬送中に錠剤を上記裏面撮像装置p44で撮影して該錠剤の裏面画像を得、
(6)次いで、この錠剤を上記分別部p5の分別ドラムp51に移し、上記側面画像、表面画像及び裏面画像を画像処理して得られた検査結果に応じて、不良錠剤を不良品回収缶p53に移すと共に、良品錠剤を良品回収コンベアp52上に移し回収コンテナcに搬送して回収するものである。
【0005】
しかしながら、この外観検査装置は、上記側面検査部p2における錠剤側面の画像取り込み時に、必ずしも安定的に画像の取り込みを行うことができない場合がある。
【0006】
即ち、上記側面検査部p2を構成する側面検査ドラムp21は、図15に示したように、内筒体p211と、該内筒体p211の外側に回転可能に配設された外筒体p212とから構成されており、上記内筒体p211の内側には、自転ローラp213がその外周面を内筒体p211に設けられた貫通窓から該内筒体p211の外周面に露出した状態で回転可能に配設されており、また上記外筒体p212の周面には、図16に示したように、貫通穴状の保持ポケットp214が多数整列して形成されている。そして、上記側面検査部p2における錠剤の側面画像の取り込みは、図15に示したように、上記外筒体p212の保持ポケットp214内に錠剤tを直立状態で収容し、外筒体p212の間歇回転により錠剤tを内筒体p211の外周面を転がすようにして搬送し、上記自転ローラp213上に搬送され間歇的に停止している錠剤tを該自転ローラp213の回転により直立状態で停止したままの状態で自転させ、この自転する錠剤tを上記撮像装置p22で撮影することにより行われる。
【0007】
この場合、上記錠剤tが外筒体p212の回転により上記自転ローラp213上に搬送される際、内筒体p211の内周面上を転がりながら移動していた錠剤tが、この内筒体p211の外周面から突出した上記自転ローラp213上に乗り上げるようにして持ち上げられ、この状態で自転するためにその自転時の姿勢が不安定となり、必ずしも安定姿勢で錠剤tを自転させることができない場合がある。また、静止固定された内筒体p211上を転がりながらゆっくりと回転していた錠剤tが高速で回転する自転ローラp213上にいきなり移動して急激に高速回転することとなるので、錠剤tの自転が安定するまでに若干の時間を必要する上、この錠剤tは高速回転する小径の自転ローラp213上を転がりながら自転することとなるので、どうしても自転ローラp213上で錠剤tが小さく跳ねるようになり、安定した姿勢で回転させることが困難である。
【0008】
このため、この自転する錠剤tを撮影して鮮明な側面画像を得ることは、必ずしも容易ではなく、この点の改善が望まれるところである。
【0009】
また、上記従来の外観検査装置は、上記姿勢変換ドラムp31の外周面に形成された姿勢変換ポケットに上記側面検査ドラムp21から直立状態の錠剤tを受け取り、これを姿勢変換ドラムp31の回転による搬送中にガイド板により押し倒して姿勢変換ポケット内で錠剤tを直立状態から平伏状態へと姿勢変換するように構成されているため、姿勢変換の際に錠剤tにかかる負荷や衝撃が大きく、錠剤によってはこの姿勢変換時に割れや欠け等の破損が生じる虞がある。
【0010】
即ち、上記姿勢変換ドラムp31による姿勢変換は、図17に示したように、側面検査ドラムp21から姿勢変換ドラムp31の姿勢変換ポケットp311に錠剤tを直立状態のまま受け取り、錠剤tの一部が該姿勢変換ポケットp311から突出した状態で姿勢変換ドラムp31の回転により下方へと搬送し、このとき該姿勢変換ドラムp31の外周面に沿って固定されたガイド板p32によって錠剤tが姿勢変換ポケットp311からこぼれ落ちるのを防止すると共に、該ガイド板p32に設けられた片側の縁部p322のみが回転方向に対して斜めに傾斜した略V字状の姿勢変換溝p321内に錠剤tの突出部を進入させ、該姿勢変換溝p321の傾斜縁部p322で錠剤tの突出部を横へと押圧し、錠剤tを姿勢変換ポケットp311内で押し倒して平伏状態へと姿勢変換するものである。
【0011】
このように、この方式は、錠剤tを姿勢変換ドラムp31の周面に保持し、該姿勢変換ドラムp31の回転によって錠剤tを搬送する際に、直立状態の錠剤tを上記ガイド板p32の姿勢変換溝p321に接触摺動させて、該姿勢変換溝p321の傾斜縁部p322で無理やり錠剤tを押し倒すようになっているため、姿勢変換時に錠剤tにかかる負荷や衝撃が大きく、比較的脆い錠剤である場合には割れや欠けなどの破損を生じる虞がある。更に、錠剤tを安定した直立姿勢で上記姿勢変換溝p321内に進入させなければならず、錠剤tの直立姿勢が不安定であるとガイド板p32と姿勢変換ドラムp31の外周面との間に錠剤tが挟まって、錠剤tが割れてしまう虞がある。
【0012】
更に、上記姿勢変換ドラムp31に形成された姿勢変換ポケットp311は、錠剤tを安定的に姿勢変換を行うため、錠剤tの大きさ,形状に応じて適正な大きさに設定しなければならず、このため検査を行う錠剤の種類(大きさや厚さ)を変える場合には、その都度、姿勢変換ドラムp31を適正な大きさの姿勢変換ポケットp311を有するものに取り替える必要があり、検査対象の錠剤を変更する場合に極めて煩雑な作業を要するものである。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、錠剤を直立姿勢で安定的に自転させながら側面画像の取り込みを行うことができ、容易に精度の高い側面検査を行うことができる錠剤の側面検査装置、及び大きな負荷や衝撃を与えることなく、錠剤の姿勢を平伏姿勢に制御して表裏面検査を行うことができる錠剤の表裏面検査装置、並びにこれらを用いて錠剤を搬送しながら該錠剤の側面及び表裏両面の外観検査を行う錠剤の外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するため、所定速度で連続回転する内筒体と、周壁に貫通穴状の保持ポケットが多数形成されており、上記内筒体の外側に回転可能に配設され該内筒体の外周面に沿って間歇回転する外筒体と、該外筒体の上記保持ポケット内に保持された錠剤を撮影して錠剤の側面画像を取り込む側面撮像装置とを具備してなり、上記外筒体の保持ポケット内に偏平形状の錠剤をその径方向を上下にした直立状態で収容し、該外筒体の間歇回転により錠剤を上記内筒体の外周面上を転がすようにして搬送し、その搬送途中で上記外筒体が間歇的に停止している間に、連続回転する上記内筒体により上記保持ポケット内で錠剤を自転させながら該錠剤を上記側面撮像装置で撮影して該錠剤の側面全周の画像を取り込み、得られた側面画像を画像処理することにより、錠剤側面の外観不良を検出することを特徴とする錠剤の側面検査装置を提供する。
【0015】
即ち、上記本発明の側面検査装置は、錠剤を保持ポケットに収容して搬送する外筒体の内側に連続回転する内筒体を設け、外筒体の保持ポケット内に直立状態で収容した錠剤を該外筒体の間歇回転により内筒体の外周面上を転がしながら搬送し、所定搬送位置において、間歇的に停止している外筒体の保持ポケット内で連続回転する内筒体の外周面上を転がりながら自転する錠剤を、側面撮像装置で撮影することにより、錠剤の側面画像を取り込むように構成したものである。
【0016】
従って、搬送時及び側面画像の取り込み時のいずれの状態にあっても、錠剤は内筒体の外周面上を転がりながら回転した状態となり、内筒体に別途設けられた自転ローラにより撮影時の錠剤を自転させる従来の装置のように、錠剤が自転ローラ上に乗り上げることにより持ち上げられるようなことがなく、撮影時にも搬送時と同様な状態で自転させることができると共に、静止した内筒体上から高速で回転する自転ローラ上に移動することにより急激に自転速度が上昇する従来の装置に比べて、錠剤を極めてスムーズに撮影用の自転状態に移行させることができ、安定的に錠剤を自転させながら側面画像の取り込みを行うことができるものである。また、本発明装置において側面撮影時に錠剤を自転させる内筒体は、従来の自転ローラに比べて遥かに大径であるため、本発明装置で撮影時に自転する錠剤は、従来の自転ローラ上を転がりながら自転する場合に比べて、遥かに平面に近い内筒体の外周面上を転がりながら自転することとなり、この点からも錠剤は安定的に自転することができるものである。
【0017】
このように、本発明の側面検査装置によれば、自転ローラを用いて錠剤を自転させる従来の装置に比べて、より安定的に錠剤を自転させながら側面画像の取り込みを行うことができ、よって、より鮮明な側面画像を確実に得ることができ、より精度の高い側面検査を行うことができるものである。
【0018】
また、本発明は、上記目的を達成するため、偏平形状の錠剤を、厚さ方向を上下にした平伏状態で外周面に保持して所定速度で回転することにより、該錠剤を搬送する表面検査ドラムと、外周面を上記表面検査ドラムの外周面に近接させた状態に配設され、上記表面検査ドラムから錠剤を受け取って該錠剤を表裏反転させた平伏状態で外周面に保持し、所定速度で回転することにより該錠剤を搬送する裏面検査ドラムと、上記表面検査ドラムの外周面に保持された錠剤を撮影して該錠剤の表面画像を取り込む表面撮像装置と、上記裏面検査ドラムの外周面に保持された錠剤を撮影して該錠剤の裏面画像を取り込む裏面撮像装置とを具備してなる外観検査装置において、上記表面検査ドラム及び裏面検査ドラムが、いずれも、ドラム外周面に周方向に沿って形成された吸引溝と、該吸引溝内に周方向に沿って連設された多数の吸引孔と、該吸引溝の両側縁部に沿って上記吸引孔を挟んで装着された少なくとも一対のゴムリングとを具備してなり、ドラム内側からの吸引により上記吸引孔を通して上記吸引溝内を吸引し、この吸引力により錠剤が上記一対のゴムリング間上に跨って吸着保持されるものであり、かつ、錠剤が平伏状態で流通し得る錠剤供給路が形成された振動板を、その一端を上記表面検査ドラムの外周面近傍に位置させると共に、該表面検査ドラムに向けて所定角度下降傾斜した状態に配置し、該振動板の他端側に所定量の錠剤を貯留する錠剤収容部を設けて、上記表面検査ドラムの外周面に被検査対象の錠剤を供給する供給部を構成し、上記錠剤収容部内の錠剤を上記振動板の錠剤供給路内に連続的に導入すると共に、該振動板を微振動させて該錠剤供給路内に導入された錠剤を振動板の一端部へと連続的に移動させ、この錠剤を該振動板の一端部から上記表面検査ドラム上に供給するように構成したことを特徴とする錠剤の表裏面検査装置を提供する。
【0019】
即ち、上記本発明の表裏面検査装置は、表面検査ドラム及び裏面検査ドラムの外周面に配設されたゴムリング上に吸引によって錠剤を平伏状態で吸着保持して搬送すると共に、表面検査ドラム/裏面検査ドラム間での錠剤の受け渡しにより錠剤を表裏反転させ、その搬送中に表面検査ドラム上の錠剤及び裏面検査ドラム上の錠剤をそれぞれ撮影して表面及び裏面の画像を取り込み、表裏面の外観検査を行うものである。この場合、本発明の装置では、錠剤収容部に貯留された錠剤を振動板の錠剤供給路に導入し、これを振動板の微振動により表面検査ドラムの外周面に近接して配置された振動板の一端部へと移動させ、このとき錠剤供給路は錠剤が平伏状態で流通し得る幅に形成されているため振動板の振動により錠剤供給路内の錠剤は確実に平伏状態となり、この錠剤を振動板の一端部から上記表面検査ローラ上へと移動させて、錠剤を平伏状態で表面検査ドラム上に供給するものである。
【0020】
従って、例えば上記本発明の側面検査装置などにより側面検査を行って、側面に外観不良のないことが確認された錠剤を、上記錠剤収容部に投入し、これを上記振動板により表面検査ドラムに供給して搬送し、これを裏面検査ドラムに受け渡して反転させて更に搬送し、その搬送途中で表面及び裏面の画像を取り込んで表裏面の外観検査を行うことにより、側面検査ドラムにより側面検査を行った錠剤を直立状態から平伏状態へ姿勢変換するための特別な操作を行うことなく、単に側面検査を行った錠剤を上記錠剤収容部に投入して供給することにより、表裏面の外観検査を行うことができるものである。
【0021】
よって、本発明の表裏面検査装置によれば、直立状態の錠剤を強制的に平伏状態へと姿勢変換して表裏面の外観検査を行う従来の装置に比べて、錠剤にかかる負荷や衝撃を大幅に軽減させて表裏面検査を行うことができ、錠剤に割れ、欠け、削れなどを生じさせることなく、確実に表裏面検査を行うことができるものである。
【0022】
また、本発明の表裏面検査装置では、錠剤が表面検査ドラム及び裏面検査ドラムの外周面に装着されたゴムリング上に吸着して各ドラムの外周面に突出した状態で保持され、撮影が行われるため、撮影時に錠剤に陰ができることがなく、またガタツキなくドラム表面に吸着保持された状態で撮影されるので、鮮明な画像を確実に得ることができ、精度の高い錠剤表面及び裏面の外観検査を行うことができる。更に、表面検査ドラムから裏面検査ドラムへと錠剤を受け渡して反転させる際には、表面検査ドラムのゴムリングと裏面検査ドラムのゴムリングとの間に錠剤が挟まれた状態となり、このとき両ゴムリングの弾性及びその撓みによって錠剤に大きな負荷をかけることなく、確実に錠剤の受け渡しが行われ、錠剤を破損するようなことなく確実に錠剤の受け渡し及び反転作業を行うことができるものである。
【0023】
また更に、一対のゴムリング上に跨って錠剤を吸着保持して搬送するようになっているので、錠剤の大きさが変わっても問題なくこれを吸着保持して搬送することができ、しかも上記のように錠剤の受け渡し時にはゴムリングの弾性及びその撓みを利用してゴムリング間に錠剤を一旦挟み込んで受け渡しを行うようになっているので、錠剤の厚さが変わってもゴムリングの弾性及びその撓みによりこれを許容して破損等の不都合を生じることなく、錠剤を表面検査ドラムから裏面検査ドラムへ受け渡すことができるものである。従って、この表裏面検査装置によれば、検査対象の錠剤を変える場合でも錠剤の大きさの違いを許容することができ、更に表面検査ドラムに錠剤を供給する振動板に設けられた錠剤供給路も、錠剤を平伏状態で流通させることができ、かつ1つの供給路に錠剤が2列になってしまうことのない大きさであればよく、錠剤の大きさが多少変わっても同一の振動板で良好に錠剤の供給を行うことができ、このため、表面検査ドラム、裏面検査ドラム及び振動板を取り替える必要なく大きさ(径や厚さ)の異なる錠剤を検査することができるものである。
【0024】
ここで、特に制限されるものではないが、本発明の表裏面検査装置には、上記振動板の一端部に任意の速度で回転する錠剤供給ローラを錠剤供給路に接触又は近接させて配置して、該錠剤供給ローラの回転により上記振動板の一端部から錠剤を上記表面検査ドラム上に移動させて、錠剤を所望の速度で表面検査ドラムに供給するように構成することが好ましい。
【0025】
即ち、錠剤収容部から錠剤供給路内を振動板の一端部に移動した錠剤を、上記錠剤供給ローラにより振動板一端部から表面検査ドラム上へと移動させて、錠剤を表面検査ドラム上に供給するように構成することにより、錠剤が上記錠剤供給ローラの回転速度に応じた所定の速度で安定的に表面検査ドラムへと供給され、安定的に表裏面の外観検査を行うことができるものである。
【0026】
また、上記錠剤供給ローラの回転速度を調節することによって錠剤の表面検査ドラムへの供給速度を調整することもでき、これにより、錠剤の大きさ、錠剤収容部への錠剤の供給速度、求められる処理能力、画像の取り込み能力、取り込んだ画像の画像処理能力などを考慮して最適な錠剤供給速度に設定することができ、この点からも高精度で安定的な表裏面検査を効率よく行うことができるものである。
【0027】
更に、本発明は、錠剤の側面、表面及び裏面の全面について外観検査を行う錠剤の外観検査装置として、上記外筒体の保持ポケット内に保持されて搬送される錠剤を、その搬送途中で選択的に排出する不良品排出機構を有すると共に、得られた側面画像を画像処理して外観不良の有無を判定する側面不良判定部を具備し、該側面不良判定部の判定結果に応じて、上記不良品排出機構により側面に外観不良を有する不良錠剤を選択的に保持ポケットから排出除去するように構成した、上記本発明の側面検査装置で側面検査部を構成し、かつ、上記裏面検査ドラムの外周面に保持されて搬送される錠剤を、その搬送途中で選択的に排除する不良品排除機構を有すると共に、上記表面撮像装置及び裏面撮像装置により取り込んだ表裏両面の画像を画像処理して外観不良の有無を判定する表裏面不良判定部を具備し、該表裏面不良判定部の判定結果に応じて、上記不良品排除機構により表面及び/又は裏面に外観不良を有する不良錠剤を選択的に裏面検査ドラムから排除するように構成した、上記本発明の表裏面検査装置で表裏面検査部を構成した、錠剤の外観検査装置を提供する。
【0028】
即ち、この本発明の外観検査装置は、上記本発明の側面検査装置からなる側面検査部により側面検査を行って、錠剤の側面に外観不良を有する不良錠剤を選択的に排除し、側面不良のない全ての錠剤を上記側面検査部の側面検査ドラムから上記表裏面検査部の錠剤収容部に投入し、この上記本発明の表裏面検査装置からなる表裏面検査部により表裏面検査を行って、錠剤の表面又は裏面に外観不良を有する不良錠剤を選択的に排除し、側面及び表裏面のいずれにも外観不良のない良品錠剤を表裏面検査部の裏面検査ドラムから回収するものである。
【0029】
また逆に、上記本発明の表裏面検査装置からなる表裏面検査部の錠剤収容部に被検査対象の錠剤を投入し、まずこの表裏面検査部により錠剤の表裏面検査を行って、錠剤の表面又は裏面に外観不良を有する錠剤を選択的に排除し、次いで、表裏面検査後の表裏両面のいずれにも外観不良を有さない全ての錠剤を、上記表裏面検査部の裏面検査ドラムから整列供給器を介して直立状態で上記側面検査部の側面検査ドラムに供給し、この側面検査部により側面検査を行って、錠剤の側面に外観不良を有する不良錠剤を選択的に排除し、側面及び表裏面のいずれにも外観不良のない良品錠剤を側面検査部の側面検査ドラムから回収するようにしてもよい。
【0030】
従って、この外観検査装置によれば、錠剤を直立姿勢で安定的に自転させながら側面画像の取り込みを行うことができ、鮮明な側面画像により高精度な側面検査を確実に行うことができ、またこの錠剤を大きな負荷や衝撃を与えることなく、平伏状態で表裏面検査に供して、錠剤を破損することなく確実に表裏面検査を行うことができ、更に表裏面検査部の表面検査ドラム、裏面検査ドラム及び振動板を取り替える必要なく大きさ(径や厚さ)の異なる錠剤を検査することができるものである。
【0031】
また、最初に表裏面検査部で表裏面検査を行い、表裏面に外観不良を有する不良錠剤を除去した後、側面検査部で側面検査を行って、側面に外観不良を有する不良錠剤を排除するようにした場合には、欠けや割れなどにより大きく変形した錠剤を、最初の表裏面検査で排除することができ、側面検査部での側面検査時に側面検査ドラムの保持ポケット内にこのような変形錠剤が詰まって生じるトラブルを確実に防止することができ、より安定的に錠剤の外観検査を行うことができるものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明の側面検査装置によれば、錠剤を直立姿勢で安定的に自転させながら側面画像の取り込みを行うことができ、容易に精度の高い側面検査を行うことができる。また、本発明の表裏面検査装置によれば、大きな負荷や衝撃を与えることなく、錠剤を確実に平伏姿勢に制御して表裏面検査を行うことができるものである。従って、これら側面検査装置及び表裏面検査装置を備えた本発明の外観検査装置によれば、錠剤に大きな負荷や衝撃を与えることなく、破損等の不都合の発生を可及的に防止して錠剤の側面,表面及び裏面の全面検査を行うことができ、しかも高精度で信頼性の高い外観検査を確実に行うことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。図1は、本発明の一実施例にかかる側面検査装置及び表裏面検査装置を具備した錠剤の外観検査装置を示すもので、錠剤供給部Aから連続的に供給される被検査物の錠剤を、本発明の側面検査装置からなる側面検査部Bで錠剤の側面の外観検査を行い、更に本発明の表裏面検査装置からなる表裏面検査部Cで錠剤の表裏両面の外観検査を行うものである。
【0034】
上記錠剤供給部Aは、図1に示されているように、被検査対象の錠剤を装置内へと供給するホッパー11と、ホッパー11から連続的に供給される錠剤を所定速度で検査機構部へと送る振動フィーダ12と、振動フィーダ12からの錠剤を直立姿勢に制御して側面検査部Bの側面検査ドラム2へと供給する整列供給器13とを具備している。
【0035】
上記整列供給器13は、特に図示していないが、内部に錠剤が直立姿勢でのみ進入し得る幅の整列溝が複数列形成されていると共に、該整列溝の上端部に振動子を配設したものであり、上記振動フィーダ12から投入された錠剤が上記振動子の振動によって直立姿勢で上記整列溝内に進入し、この錠剤が直立状態で上記側面検査ドラム2の外周面へと供給されるようになっている。
【0036】
上記側面検査部Bは、上述のように、本発明の一実施例にかかる側面検査装置により構成されたもので、図1に示されているように、錠剤を直立姿勢で保持して回転する側面検査ドラム2と、カメラ31及び照明装置32を有する側面撮像装置3と、不良品回収缶33とを具備している。
【0037】
上記側面検査ドラム2は、図2,3に示されているように、固定された軸筒体21の外側に内筒体22が回転可能に配設され、更に該内筒体22の外側に外筒体23が回転可能に配設されたもので、上記内筒体22は軸筒体21の外周に沿って図2中時計回り方向(矢印a方向)に所定速度で連続回転するようになっており、また上記外筒体23は連続回転する上記内筒体22の外周に沿って図2中時計回り方向(矢印a方向)に所定速度で間歇回転するようになっている。
【0038】
上記外筒体23には、その外周面に貫通穴状の保持ポケット231が多数整列して複数列(本例では8列)形成されている。また、上記内筒体22には、その外周面に上記保持ポケット231のポケット列に対応して断面凹状のレール溝221が周方向に沿って形成されている共に、該レール溝221内に多数の貫通孔222が周方向に沿って連設され、かつ各レール溝221の両側縁部に上記貫通孔222を挟んで断面円形のゴムリング223が装着されている。更に、上記軸筒体21には、図2に示されているように、錠剤供給箇所、撮影箇所、及び不良錠剤排出箇所のやや下流側に存して、それぞれ上記保持ポケット231のポケット列に対応して貫通溝状の吸引窓211,212,213が形成されている。また更に、この軸筒体21には、不良錠剤排出箇所に圧空噴射ノズル214が、最下部の錠剤排出箇所に圧空噴出空間部215がそれぞれ形成されており、これら圧空噴射ノズル214及び圧空噴出空間部215に圧空供給パイプ216,217からそれぞれ圧空が供給されるようになっている。
【0039】
この側面検査ドラム2は、上記供給部Aの整列供給器13から供給された扁平形状の錠剤tを、上記外筒体23の保持ポケット231内に直立状態で収容し、該外筒体23の間歇回転によりこの錠剤tを上記内筒体22の外周面上を転がすようにして搬送して、最下部の錠剤排出部において保持ポケット231から排出するものであり、その搬送途中の上記撮影箇所において、上記外筒体23が間歇的に停止している間に、連続回転する上記内筒体22により上記保持ポケット231内の錠剤tを自転させながら該錠剤tを上記側面撮像装置3で撮影して該錠剤の側面全周の画像を取り込むようになっている。
【0040】
この場合、図4,5に示されているように、外筒体23の保持ポケット231内に保持されて搬送される錠剤tは、内筒体22のレール溝221に沿って上記ゴムリング223上を転がりながら搬送される。また、上記軸筒体21の内部は、常時吸引されて減圧状態となっており、上記吸引窓211,212,213の形成箇所では、これら吸引窓211,212,213及び上記内筒体22の貫通孔222を通して上記内筒体22のレール溝221内が吸引されるようになっている。この吸引力により、上記錠剤供給箇所では上記供給部Aの整列供給器13から錠剤tが確実に保持ポケット231内へと移動し、また上記撮影箇所では撮影中の錠剤tが内筒体22外周面上に吸着された状態で安定的に自転し、更に上記不良錠剤排出箇所の下流側では錠剤tが保持ポケット231から脱落してしまうことが確実に防止されるようになっている。なお、上記不良錠剤排出箇所と最下部の錠剤排出箇所との間には、
に示されているように、この側面検査ドラム2の外周面に沿って脱落防止ガイド34が配設されており、この脱落防止ガイド34によって錠剤の脱落が防止されるようになっている。
【0041】
また、側面検査ドラム2最下部の上記錠剤排出箇所では、上記圧空噴出空間部215に圧空供給パイプ217から常に圧空が供給されており、この圧空が上記内筒体22の貫通孔224を通して上記内筒体22のレール溝221から外筒体23の保持ポケット231内に噴出するようになっており、この錠剤排出部に搬送されてきたすべての錠剤tが、この圧空によって保持ポケット231から確実に排出されるようになっている。
【0042】
更に、上記不良錠剤排出箇所では、上記圧空噴射ノズル214に圧空供給パイプ216から随時圧空が供給され、この圧空が上記内筒体22の貫通孔222を通して上記内筒体22のレール溝221から外筒体23の保持ポケット231内に噴出して側面に外観不良を有する不良錠剤を選択的に保持ポケット231から排出して、不良錠剤排出箇所に対応して側面検査ドラム2の外側に配置された不良品回収缶33(図1参照)に回収するようになっている。
【0043】
即ち、特に図示していないが、この外観検査装置には、上記側面撮像装置3により取り込んだ錠剤の側面画像を画像処理して外観不良の有無を検出する側面不良判定部が設けられており、この側面不良判定部の判定結果に応じて上記圧空噴射ノズル214に圧空供給パイプ216から随時圧空が供給され、その圧空により保持ポケット231から不良錠剤のみを選択的に排出して不良品回収缶33に回収するようになっている。
【0044】
次に、上記表裏面検査部Cは、上述のように、本発明の一実施例にかかる表裏面検査装置により構成されたもので、図1に示されているように、扁平形状の錠剤を、その厚さ方向を上下にした平伏状態で外周面に保持して、これを搬送する表面検査ドラム4及び裏面検査ドラム5と、上記表面検査ドラム4の外周面に保持された錠剤及び上記裏面検査ドラム5の外周面に保持された錠剤を、それぞれ撮影して該錠剤の表面画像及び裏面画像をそれぞれ取り込む表面撮像装置7及び裏面撮像装置8と、上記表面検査ドラム4の外周面に被検査対象の錠剤を供給する供給部6とを具備している。なお、図1中71及び81はカメラ、72及び82は照明装置である。
【0045】
上記表面検査ドラム4及び裏面検査ドラム5は、図6に示されているように、いずれも内筒41,51の外側に外筒42,52が回転可能に配設されたもので、表面検査ドラム4の外筒42は図6中反時計回り方向(図中矢印a方向)に、裏面検査ドラム5の外筒52は図6中時計回り方向(図中矢印b方向)に、それぞれ内筒41,51の外周に沿って所定速度で連続回転するようになっている。
【0046】
上記内筒41,51には、その錠剤の搬送領域とほぼ一致する約半周部分に、周方向に沿って貫通溝411,511が形成されている。また、上記外筒42,52には、図7,8に示されているように、その外周面に複数(図では6本)の吸引溝421,521が周方向に沿って形成されていると共に、該吸引溝421,521内に多数の吸引孔422,522が周方向に沿って連設されており、更に各吸引溝421,521の両側縁部に沿って断面T字状のゴムリング423,523が上記吸引孔422,522を挟んで装着されている。
【0047】
上記内筒41,51内は、常時吸引されて減圧状態となっており、錠剤の搬送領域において、上記貫通溝411,511を通して上記外筒42,52の吸引孔422,522から上記各吸引溝421,521内を吸引するようになっている。そして、図8,9に示されているように、この吸引力により、錠剤tを外筒42,52外周面の貫通溝411,511上に上記ゴムリング423,523間に跨った状態で吸着保持するものである。
【0048】
上記表面検査ドラム4と裏面検査ドラム5とは、図1及び図6に示されているように、互いの外周面を近接させた状態で上下方向に並設されており、表面検査ドラム4の下側に裏面検査ドラム5が配設されている。そして、上記供給部6から表面検査ドラム4の最上部で錠剤tを受け取り、これを表面検査ドラム4の上記外筒42外周面に保持して該外筒42の回転により下方へと搬送し、その搬送途中で上記表面撮像装置7(図1参照)で錠剤を撮影し、この錠剤tを表面検査ドラム4の最下部で裏面検査ドラム5へと受け渡し、この錠剤tを裏面検査ドラム5の上記外筒52外周面に保持して該外筒52の回転により下方へと搬送し、その搬送途中で上記裏面撮像装置8(図1参照)で錠剤を撮影した後、最下部で錠剤tを良品排出シュート91へと排出するものである。
【0049】
ここで、上記表面検査ドラム4内の最下部には、図6に示されているように、圧空噴射ノズル412が配設されており、この圧空噴射ノズル412から噴射される圧空により良好に錠剤が表面検査ドラム4から裏面検査ドラム5へと受け渡されるようになっている。
【0050】
即ち、表面検査ドラム4から裏面検査ドラム5への錠剤の受け渡しは、図10に示されているように、錠剤tが表面検査ドラム4のゴムリング423と裏面検査ドラム5のゴムリング523との間に一旦挟まれた状態となり、この時、表面検査ドラム4の内側に配設された上記圧空噴出ノズル412から噴射される圧空が、内筒41の貫通溝411及び外筒42の吸引孔522を通して外筒42の吸引溝421から噴出し、この圧空により錠剤tが表面検査ドラム4の外周面から放出されると共に、内筒51内からの吸引により裏面検査ドラム5の外周面に吸引されて吸着し、錠剤tが表面検査ドラム4から裏面検査ドラム5へとスムーズに受け渡されるものである。
【0051】
また、上記裏面検査ドラム5内の最下部には、図6に示されているように、圧空噴射ボックス512が配設されており、この圧空噴射ボックス512からは常時圧空が噴射され、この圧空が内筒51の貫通溝511及び外筒52の吸引孔522を通して外筒52の吸引溝521から裏面検査ドラム5の外周面に噴出して、該裏面検査ドラム5の外周面に保持された錠剤tが良好に良品排出シュート91へと排出されるようになっている。
【0052】
更に、上記裏面検査ドラム5内の上記錠剤排出部よりもやや上流側には、図6に示されているように、不良品排出用の圧空噴射ノズル513が配設されており、この圧空噴射ノズル513から随時圧空が噴射し、この圧空が内筒51の貫通溝511及び外筒52の吸引孔522を通して外筒52の吸引溝521から噴出し、この圧空により表面及び/又は裏面に外観不良を有する不良錠剤t’を選択的に裏面検査ドラム5の外周面から排除して、不良錠剤排出シュート93へと排出するようになっている。
【0053】
即ち、特に図示していないが、この外観検査装置には、上記表面撮像装置7及び裏面撮像装置8により取り込んだ錠剤の表裏両面の画像を画像処理して外観不良の有無を検出する表裏面不良判定部が設けられており、この表裏面不良判定部の判定結果に応じて上記圧空噴射ノズル513から随時圧空が噴射され、その圧空により裏面検査ドラム5の外周面から不良錠剤t’のみを選択的に排除して不良品排出シュート93へと排出するようになっている。なお、不良錠剤t’がこの圧空噴射ノズル513の配設箇所に搬送されてきたことは、上記表面撮像装置7又は裏面撮像装置8による画像の取り込み時からの経過時間により容易に認知することができる。
【0054】
なお、図1中95は、上記表面検査ドラム4及び裏面検査ドラム5の外周面を清掃するクリーニング装置である。
【0055】
次に、上記表面検査ドラム4の外周面に被検査対象の錠剤tを供給する上記供給部6は、図1に示されているように、上記側面検査部Bの側面検査ドラム2から排出された錠剤を一旦貯留する錠剤収容部61と、この錠剤収容部61内の錠剤を表面検査ドラム4上に搬送する振動板62と、錠剤を振動板62の先端部から表面検査ドラム4上に移動させる錠剤供給ローラ63とを具備している。
【0056】
上記錠剤収容部61は、図11,12に示されているように、モータmに駆動されて所定速度で回転するターンテーブル611と、該ターンテーブル611上に該ターンテーブル611の回転中心と同心して配設されたリング状の周壁612aにより形成された外室612と、該外室612の内側にターンテーブル611の回転中心と偏心して配設された上記外室612よりも小径のリング状の周壁613aにより形成された内室613と、上記外室612内において上記ターンテーブル611上に配設された連絡体614とを具備している。
【0057】
上記内室613を形成する周壁613aには、その一部に上記外室612と連通する連絡窓616が設けられていると共に、この連絡窓616の近傍には障害壁615aが設けられており、この障害壁615aによりターンテーブル611と共に円運動する内室613内の錠剤tが上記連絡窓616側へと寄せられ、これら錠剤が連絡窓616を通って外室612へと移動するようになっている。また、外室612の上記連絡体614配設箇所近傍にも上記と同様の障害壁615bが設けられており、この障害壁615bにより遠心力によって外室612の周縁部に寄ってしまった錠剤を内側へと戻して上記連絡体614へと錠剤を導くようになっている。
【0058】
また、上記連絡体614は、図12に示されているように、上記外室612の周縁部に沿って円弧状に湾曲した略板状のもので、上記外室612の周縁部に沿って該外室612内のターンテーブル611上にほぼ接触した状態に配設されており、その一端はターンテーブル611の回転方向と対向していると共に、他端は外室612の周壁612aを貫通して上記振動板62と連結されている。この連絡体614には、下面が開放した複数(図では6本)の連絡路617が形成されており、この連絡路617は錠剤tが平伏状態で流通し得る幅及び高さに設定されていると共に、開放した下面が回転するターンテーブル611で閉塞された状態となっている。また、該連絡路617の一端は上記外室612内で上記ターンテーブル611上に該ターンテーブル611の回転方向と対向して開口しており、他端は上記振動板62の錠剤供給路621に連結されている。
【0059】
また、上記振動板62は、図13に示されているように、一端が上記表面検査ドラム4の外周面近傍に位置し、他端が上記連絡体と連結された状態で表面検査ドラム4に向けて所定角度下降傾斜した状態に配置されたものであり、その内部には錠剤tが平伏状態で流通し得る複数(本例では6本)の錠剤供給路621が形成されている。なお、これら錠剤供給路621は、表面検査ドラム4の近傍に配置された一端部の上面が部分的に開放した状態となっている。
【0060】
この振動板62は、振動発生器64(図1参照)により微振動するようになっており、上記連絡体614の連絡路617から上記錠剤供給路621内に導入された錠剤tをこの振動により表面検査ドラム4の外周面に近接した一端部へと連続的に移動させるようになっている。
【0061】
更に、上記錠剤供給ローラ63は、シリコーンゴム等で形成された弾性ローラであり、図13に示されているように、その外周部の一部が上記振動板62の一端部に設けられた開放部から錠剤供給路621内に進入した状態に配設されている。この錠剤供給ローラ63は、任意の速度で定速回転するようになっており、錠剤tを振動板62の一端部から表面検査ドラム4上へと任意の速度で移動させるようになっている。
【0062】
上記錠剤収容部61、振動板62及び錠剤供給ローラ63からなる供給部6は、上記側面検査部Bの側面検査ドラム2から排出された錠剤を、平伏状態で上記表面検査ドラム4の外周面へと連続的に供給するものである。
【0063】
即ち、上記側面検査部Bの側面検査ドラム2から排出された錠剤tが連絡シュート65(図1参照)を通して、上記錠剤収容部61の内室613内に連続的に投入され、この錠剤tは上記ターンテーブル611回転により円運動しながら遠心力で外側へと移動し、上記連絡窓616を通って順次上記外室へと移動し、更にターンテーブル611の回転により遠心力で外側へと移動しながら回転し、上記連絡体614の連絡路617へと進入する。そして、この連絡路617を通って上記振動板62の錠剤供給路621へと連続的に導入され、該振動板62の一端部で上記錠剤供給ローラ63により表面検査ドラム4の外周面へと順次移動し、錠剤tが所定速度で連続的に表面検査ドラム4へと供給されるものである。
【0064】
次に、本例外観検査装置の動作について説明する。本例の外観検査装置は、上記錠剤供給部Aにより供給される錠剤について、上記側面検査部Bにより側面検査を行って、錠剤の側面に外観不良を有する不良錠剤を選択的に排除し、側面不良のない全ての錠剤を上記側面検査部Bの側面検査ドラム2から上記表裏面検査部Cの錠剤収容部61に投入し、該表裏面検査部Cにより表裏面検査を行って、錠剤の表面又は裏面に外観不良を有する不良錠剤を選択的に排除し、側面及び表裏両面のいずれにも外観不良のない良品錠剤を表裏面検査部Cの裏面検査ドラム5から回収するものである。
【0065】
まず、錠剤供給部Aのホッパー11からランダムに供給された錠剤は、振動フィーダ12により所定の速度で整列供給器13に投入され、整列供給器13から錠剤が直立状態で上記側面検査部Bの側面検査ドラム2を構成する上記外筒体23に形成された保持ポケット231に投入される。
【0066】
側面検査ドラム2の外筒体23に形成された各保持ポケット231に収容保持された錠剤tは、図4,5に示されているように、該外筒体23の間歇回転により、直立状態のまま連続回転している内筒体22の外周面に装着されたゴムリング223上を転がりながら下方へと搬送される。そして、上記側面撮像装置3による撮影箇所まで搬送され、外筒体23の回転が間歇的に停止した時、錠剤tは保持ポケット231内に保持されて停止したまま連続回転している内筒体22の外周面上(ゴムリング223上)を転がって自転する状態となり、この状態で上記側面撮像装置3により錠剤tを撮影することにより、錠剤tの側面全面の画像が取り込まれる。
【0067】
側面画像が取り込まれると、この側面画像が上記側面不良判定部により画像処理され外観不良の有無が判定される。そして、その判定結果が「不良有り」であった場合には、外筒体23の間歇回転によりこの不良錠剤が図2に示した不良錠剤排出部に搬送されて来たとき、内筒体22の圧空噴射ノズル214から圧空が噴射され、この圧空により不良錠剤が外筒体23の保持ポケット231から排出され、不良品回収缶33に回収される。
【0068】
一方、判定結果が「不良無し」であった側面に外観不良を有さない錠剤は、外筒体23の間歇回転により更に下方へと搬送されて、側面検査ドラム2の最下部において、内筒体22の圧空噴出空間部215から噴出される圧空により外筒体23の保持ポケット231から排出され、連絡シュート65を通して表裏面検査部Cの供給部6を構成する錠剤収容部61へと連続的に投入される。
【0069】
この錠剤収容部61に投入された側面に外観不良を有さない錠剤tは、図12に示されているように、上記連絡シュート65からまず内室613内のターンテーブル611上に収容され、ターンテーブル611の回転により平伏状態で円運動しながら遠心力によって内室613内を外側へと移動し、内室613の周壁613aに設けられた連絡窓616を通って順次外室612へと移動する。この外室612に移動した錠剤tは、ターンテーブル611の回転により平伏状態で円運動しながら遠心力と周壁613aの外周面によって外側へと押されることにより更に外室612内を外側へと移動し、外室612内の周縁部に沿って配設された連絡体614の連絡路617内に平伏状態で進入し、この連絡路617を通って振動板62の錠剤供給路621内に導入される。
【0070】
この振動板62の錠剤供給路621内に導入された錠剤tは、図13に示されているように、振動板62の微振動により平伏状態のまま表面検査ドラム4の外周面に近接して配置された振動板62の一端部へと順次移動し、この振動板62の一端部において、所定速度で回転する錠剤供給ローラ63によって所定速度で1つずつ表面検査ドラム4の外周面へと供給される。
【0071】
この表面検査ドラム4上に供給された錠剤tは、図8,9に示されているように、外筒42の外周に装着されたゴムリング423上に平伏状態で吸着保持され、外筒42の連続回転によって下方へと搬送される。ここで、上記振動板62から表面検査ドラム4へと供給される錠剤tは、個々の列においては上記錠剤供給ローラ63の回転速度に応じた一定間隔で供給されるが、各列間においては錠剤tの供給タイミングがそれぞれ異なり、表面検査ドラム4上に保持されて搬送される錠剤tは、図9に示されているように、各錠剤列内では一定間隔で錠剤tが保持されて搬送されるが、各錠剤列間ではランダムに錠剤tが保持され搬送されることとなる。
【0072】
この表面検査ドラム4の外筒42外周面に吸着保持されて搬送される各錠剤tは、図6に示された撮影箇所で上記表面撮像装置7により撮影され、各錠剤tの表面画像が取り込まれる。表面画像が取り込まれると、直ちにこの表面画像が上記表裏面不良判定部で画像処理されて外観不良の有無が判定され、その判定結果が表裏面不良判定部に記憶される。上記撮影後、更に錠剤tは下方へと搬送され、表面検査ドラム4の最下部において、上記裏面検査ドラム5へと受け渡される。
【0073】
裏面検査ドラム5へと受け渡された錠剤tは、上記表面検査ドラム4の場合と同様に、外筒52の外周に装着されたゴムリング523上に吸着保持され、該外筒52の回転によって下方へと搬送される。そして、図6に示された撮影箇所で上記裏面撮像装置8により撮影されて、各錠剤tの裏面画像が取り込まれ、裏面画像が取り込まれると、直ちにこの裏面画像が上記表裏面不良判定部で画像処理されて外観不良の有無が判定されて、その判定結果が表裏面不良判定部に記憶される。
【0074】
そして、上記表裏面不良判定部により表面又は裏面のいずれかに「不良有り」と判定された場合は、外筒52の回転によりこの不良錠剤t’が図6に示された不良錠剤排除部に搬送されて来たとき、裏面検査ドラム5内に配設された圧空噴射ノズル513から圧空が噴射され、この圧空により不良錠剤t’が外筒52の外周面から排除され、不良錠剤排出シュート93へと排出されて不良錠剤回収缶94に回収される。
【0075】
一方、表面及び裏面のいずれにも「不良無し」と判定された錠剤は、上記不良錠剤排除部を通過して、図6に示された錠剤排出部において、裏面検査ドラム5内に配設された圧空噴射ボックス512から噴出される圧空により外筒52の外周面から放出され、良品排出シュート91を通って良品回収コンベア92(図1参照)上に移され、該良品回収コンベア92により装置外へと搬出されて、回収される。
【0076】
以降、上記ホッパー11による錠剤の供給から良品回収コンベア92による良品錠剤の搬出までの動作が連続的に繰り返され、錠剤の側面及び表裏面検査が行われる。
【0077】
このように、本例の外観検査装置は、上記側面検査部Bにより錠剤の側面検査を行い、側面に外観不良を有する不良錠剤をこの側面検査部Bで排除し、次いで側面に外観不良のない錠剤について上記表裏面検査部Cで表裏面検査を行い、表面及び/又は裏面に外観不良を有する不良錠剤を排除して、側面及び表裏両面のいずれにも外観不良を有さない良品錠剤のみを回収するものである。
【0078】
ここで、上記側面検査部Bを構成する側面検査装置は、上述のように、錠剤tを保持ポケット231に収容して搬送する外筒体23の内側に連続回転する内筒体22を設け、外筒体23の保持ポケット231内に直立状態で収容した錠剤tを該外筒体23の間歇回転により内筒体22の外周面上を転がしながら搬送し、所定搬送位置において、間歇的に停止した外筒体23の保持ポケット231内で連続回転する内筒体22の外周面上を転がりながら自転する錠剤tを、側面撮像装置3で撮影することにより、錠剤tの側面画像を取り込むように構成されたものである。
【0079】
従って、搬送時及び側面画像の取り込み時のいずれの状態にあっても、錠剤tは内筒体22の外周面上を転がりながら回転した状態となり、内筒体に別途設けられた自転ローラにより撮影時の錠剤を自転させる従来の装置のように、錠剤が自転ローラ上に乗り上げることによって持ち上げられるようなことがなく、撮影時にも搬送時と同様な状態で錠剤を自転させることができると共に、静止した内筒体上から高速で回転する自転ローラ上に移動することにより急激に自転速度が上昇する従来の装置に比べて、錠剤tを極めてスムーズに撮影用の自転状態に移行させることができ、安定的に錠剤tを自転させながら側面画像の取り込みを行うことができるものである。また、側面撮影時に錠剤tを自転させる内筒体22は、従来の自転ローラに比べて遥かに大径であるため、本例の装置において撮影時に自転する錠剤tは、従来の自転ローラ上を転がりながら自転する場合に比べて、遥かに平面に近い内筒体22の外周面上を転がりながら自転することとなり、この点からも錠剤tは安定的に自転することができるものである。
【0080】
このように、本実施例の外観検査装置の側面検査部Bを構成する側面検査装置によれば、自転ローラを用いて錠剤を自転させる従来の装置に比べて、より安定的に錠剤tを自転させながら側面画像の取り込みを行うことができ、よって、より鮮明な側面画像を確実に得ることができ、より精度の高い側面検査を行うことができるものである。
【0081】
また、上記表裏面検査部Cを構成する表裏面検査装置は、上述のように、表面検査ドラム4及び裏面検査ドラム5の外周面に配設されたゴムリング423,523上に吸引によって錠剤tを平伏状態で吸着保持して搬送すると共に、表面検査ドラム4/裏面検査ドラム5間での錠剤tの受け渡しにより錠剤tを表裏反転させ、その搬送中に表面検査ドラム4上の錠剤及び裏面検査ドラム5上の錠剤をそれぞれ撮影して表面及び裏面の画像を取り込み、表裏面の外観検査を行うものである。この場合、本実施例の装置では、錠剤収容部61に貯留された錠剤tを振動板62の錠剤供給路621に導入し、これを振動板62の微振動により表面検査ドラム4の外周面に近接して配置された振動板62の一端部へと移動させ、このとき錠剤供給路621は錠剤tが平伏状態で流通し得る幅に形成されているため振動板62の振動により錠剤供給路621内の錠剤tは確実に平伏状態となり、この錠剤tを振動板62の一端部から上記表面検査ローラ4上へと移動させて、錠剤tを平伏状態で表面検査ドラム4上に供給するものである。
【0082】
従って、上記側面検査部Bの側面検査装置により側面検査を行って、側面に外観不良のないことが確認された錠剤tを、上記錠剤収容部61に投入し、これを上記振動板62により表面検査ドラム4に供給して搬送し、これを裏面検査ドラム5に受け渡して反転させて更に搬送し、その搬送途中で表面及び裏面の画像を取り込んで表裏面の外観検査を行うことにより、側面検査装置の側面検査ドラム2により側面検査を行った錠剤tを直立状態から平伏状態へ姿勢変換するための特別な操作を行うことなく、単に側面検査を行った錠剤tを上記錠剤収容部61に投入して供給することにより、表裏面の外観検査を行うことができるものである。
【0083】
よって、本実施例の外観検査装置において表裏面検査部Bを構成する表裏面検査装置によれば、直立状態の錠剤を強制的に平伏状態へと姿勢変換して表裏面の外観検査を行う従来の装置に比べて、錠剤tにかかる負荷や衝撃を大幅に軽減させて表裏面検査を行うことができ、錠剤に割れ、欠け、削れなどを生じさせることなく、確実に表裏面検査を行うことができるものである。
【0084】
また、本実施例の外観検査装置において表裏面検査部Cを構成する表裏面検査装置では、錠剤tが表面検査ドラム4及び裏面検査ドラム5の外周面に装着されたゴムリング423,523上に吸着して各ドラム4,5の外周面に突出した状態で保持され、撮影が行われるため、撮影時に錠剤tに陰ができることがなく、またガタツキなくドラム4,5表面に吸着保持された状態で撮影されるので、鮮明な画像を確実に得ることができ、精度の高い錠剤表面及び裏面の外観検査を行うことができる。更に、表面検査ドラム4から裏面検査ドラム5へと錠剤tを受け渡して反転させる際には、表面検査ドラム4のゴムリング423と裏面検査ドラム5のゴムリング523との間に錠剤が挟まれた状態となり、このとき両ゴムリング423,523の弾性及びその撓みによって錠剤tに大きな負荷をかけることなく、確実に錠剤tの受け渡しが行われ、錠剤tを破損するようなことなく確実に錠剤tの受け渡し及び反転作業を行うことができるものである。
【0085】
また更に、一対のゴムリング423,523上に跨って錠剤tを吸着保持して搬送するようになっているので、錠剤tの大きさが変わっても問題なくこれを吸着保持して搬送することができ、しかも上記のように錠剤tの受け渡し時にはゴムリング423,523の弾性及びその撓みを利用してゴムリング423,523間に錠剤を一旦挟み込んで受け渡しを行うようになっているので、錠剤tの厚さが変わってもゴムリング423,523の弾性及びその撓みによりこれを許容して破損等の不都合を生じることなく、錠剤tを表面検査ドラム4から裏面検査ドラム5へ受け渡すことができるものである。従って、この表裏面検査装置によれば、検査対象の錠剤tを変える場合でも錠剤tの大きさの違いを許容することができ、更に表面検査ドラム4に錠剤tを供給する振動板62に設けられた錠剤供給路621も、錠剤tを平伏状態で流通させることができ、かつ1つの供給路に錠剤が2列になってしまうことのない大きさであればよく、錠剤tの大きさが多少変わっても同一の振動板62で良好に錠剤tの供給を行うことができ、このため、表面検査ドラム4、裏面検査ドラム5及び振動板62などを取り替える必要なく大きさ(径や厚さ)の異なる錠剤を検査することができるものである。
【0086】
更にまた、本実施例における表裏面検査部Cを構成する表裏面検査装置では、錠剤収容部61から錠剤供給路621内を振動板62の一端部に移動した錠剤tを、上記錠剤供給ローラ63により振動板62一端部から表面検査ドラム4上へと移動させて、錠剤tを表面検査ドラム4上に供給するように構成されているため、錠剤tが上記錠剤供給ローラ63の回転速度に応じた所定の速度で安定的に表面検査ドラム4へと供給され、安定的に表裏面の外観検査を行うことができるものである。
【0087】
また、上記錠剤供給ローラ63の回転速度を調節することによって錠剤tの表面検査ドラム4への供給速度を調整することもでき、これにより、錠剤tの大きさ、錠剤収容部61への錠剤の供給速度、求められる処理能力、画像の取り込み能力、取り込んだ画像の画像処理能力などを考慮して最適な錠剤供給速度に設定することができ、この点からも高精度で安定的な表裏面検査を効率よく行うことができるものである。
【0088】
なお、本発明の側面検査装置、表裏面検査装置及び外観検査装置は、上記実施例に限定されるものではなく、目的等に応じて適宜変更することができる。例えば、上記実施例では、まず側面検査部Bの側面検査装置で側面検査を行って、側面不良の錠剤を排除し、次いで表裏面検査部Cの表裏面検査装置で表裏面検査を行って、表裏面不良の錠剤を排除するように構成したが、側面検査部Bと表裏面検査部Cとを入れ替えて、表裏面検査部Cの錠剤収容部61に錠剤供給部Aの振動フィーダ12から錠剤を供給し、まず表裏面検査を行って表裏面不良を有する錠剤を排除した後、側面検査部Bと共に表裏面検査部Cの下側に配置した整列供給器13に表裏面検査後の錠剤を投入して側面検査部Bに供給し、側面検査を行って側面不良を有する錠剤を排除し、側面及び表裏面のいずれにも外観不良を有さない錠剤のみを回収するように構成することもできる。
【0089】
このように、表裏面検査を行った後に側面検査を行うように構成することにより、欠けや割れなどにより大きく変形した錠剤を、最初の表裏面検査で排除することができ、側面検査部での側面検査時に側面検査ドラムの保持ポケット内にこのような変形錠剤が詰まって生じるトラブルを確実に防止することができ、より安定的に錠剤の外観検査を行うことができるものである。
【0090】
また、本発明の側面検査装置及び表裏面検査装置は、それぞれ単独で検査装置として用いることもでき、更に本発明の側面検査装置と他の表裏面検査装置とを組み合わせて外観検査装置を構成してもよく、逆に他の側面検査装置と本発明の表裏面検査装置とを組み合わせて外観検査装置を構成することもできる。また更に、側面検査装置及び表裏面検査装置のそれぞれの構成も適宜変更することができ、例えば表裏面検査装置の錠剤収容部61として錠剤供給部Aに用いた振動フィーダ12と同様の単なる振動フィーダを用いることもでき、また側面検査ドラム2及び裏面検査ドラム5から不良錠剤を排除する機構なども適宜変更することができる。更に、各検査ドラムの構成や錠剤の供給機構なども本発明の要旨を逸脱しない限り、適宜変更して差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施例にかかる側面検査装置と表裏面検査装置とを具備した錠剤の外観検査装置を示す概略図である。
【図2】同側面検査装置を構成する側面検査ドラム示す一部を断面とした概略図である。
【図3】同側面検査ドラムを示す断面図である。
【図4】同側面検査ドラムに錠剤を保持した状態を示す部分拡大断面図である。
【図5】同側面検査ドラムに錠剤を保持した状態を示す部分拡大断面図である。
【図6】同表裏面検査装置を構成する表面検査ドラム及び裏面検査ドラムを示す概略断面図である。
【図7】同表面検査ドラム及び裏面検査ドラムを示す断面図である。
【図8】同表面検査ドラム及び裏面検査ドラムに錠剤を保持した状態を示す部分拡大断面図である。
【図9】同表面検査ドラム及び裏面検査ドラムに錠剤を保持した状態を示す部分斜視図である。
【図10】同表面検査ドラムと裏面検査ドラムとの間で錠剤の受け渡しを行う際の状態を示す部分拡大断面図である。
【図11】同表裏面検査装置を構成する錠剤収容部を示す概略断面図である。
【図12】同錠剤収容部を示す概略平面図である。
【図13】同表裏面検査装置において、振動板から表面検査ドラムへと錠剤を供給する際の状態を示す概略図である。
【図14】従来の外観検査装置を示す概略図である。
【図15】従来の外観検査装置を構成する側面検査ドラムを示す一部を断面とした概略図である。
【図16】従来の外観検査装置を構成する側面検査ドラムの外筒体を示す斜視図である。
【図17】従来の外観検査装置において、直立状態の錠剤を平伏状態に姿勢変換する際の動作を説明する概略斜視図である。
【符号の説明】
【0092】
2 側面検査ドラム
21 軸筒体
212 吸引窓
214 圧空噴射ノズル
22 内筒体
221 レール溝
222 貫通孔
223 ゴムリング
23 外筒体
231保持ポケット
3 側面撮像装置
4 表面検査ドラム
41 内筒
411 貫通溝
42 外筒
421 吸引溝
422 吸引孔
423 ゴムリング
5 裏面検査ドラム
51 内筒
511 貫通溝
513 圧空噴射ノズル(圧空噴出部)
52 外筒
521 吸引溝
522 吸引孔
523 ゴムリング
6 供給部
61 錠剤収容部
611 ターンテーブル
612 外室
612a 外室の周壁
613 内室
613a 内室の周壁
614 連絡体
616 連絡窓
617 連絡路
62 振動板
621 錠剤供給路
63 錠剤供給ローラ
7 表面撮像装置
8 裏面撮像装置
A 錠剤供給部
B 側面検査部
C 表裏面検査部
t 錠剤
t’不良錠剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給される偏平形状の錠剤を、厚さ方向を上下にした平伏状態で外周面に保持して所定速度で回転することにより、該錠剤を搬送する表面検査ドラムと、
外周面を上記表面検査ドラムの外周面に近接させた状態に配設され、上記表面検査ドラムから錠剤を受け取って該錠剤を表裏反転させた平伏状態で外周面に保持し、所定速度で回転することにより該錠剤を搬送する裏面検査ドラムと、
上記表面検査ドラムの外周面に保持された錠剤を撮影して該錠剤の表面画像を取り込む表面撮像装置と、
上記裏面検査ドラムの外周面に保持された錠剤を撮影して該錠剤の裏面画像を取り込む裏面撮像装置とを具備してなる錠剤の表裏面検査装置において、
上記表面検査ドラム及び裏面検査ドラムが、いずれも、ドラム外周面に周方向に沿って形成された吸引溝と、該吸引溝内に周方向に沿って連設された多数の吸引孔と、該吸引溝の両側縁部に沿って上記吸引孔を挟んで装着された少なくとも一対のゴムリングとを具備してなり、
ドラム内側からの吸引により上記吸引孔を通して上記吸引溝内を吸引し、この吸引力により錠剤が上記一対のゴムリング間上に跨って吸着保持されるものであり、
上記一対のゴムリングは、上記吸引溝を両側縁部からそれぞれ一部覆うように張り出して形成される錠剤の表裏面検査装置。
【請求項2】
上記吸引溝は、複数形成されており、
上記ゴムリングは、両側に隣接する上記吸引溝に向けてそれぞれ張り出すように、断面T字状に形成されている請求項1に記載の錠剤の表裏面検査装置。
【請求項3】
上記吸引溝は、複数形成されており、それぞれに対する錠剤の供給タイミングに応じて、各錠剤列間でランダムに錠剤を保持可能に構成されている請求項1又は2に記載の錠剤の表裏面検査装置。
【請求項4】
錠剤が平伏状態で流通し得る錠剤供給路が形成された振動板を、その一端を上記表面検査ドラムの外周面近傍に位置させると共に、該表面検査ドラムに向けて下降傾斜した状態に配置し、
該振動板の他端側に錠剤を貯留する錠剤収容部を設けて、上記表面検査ドラムの外周面に被検査対象の錠剤を供給する供給部を構成し、
上記錠剤収容部内の錠剤を上記振動板の錠剤供給路内に連続的に導入すると共に、該振動板を微振動させて該錠剤供給路内に導入された錠剤を振動板の一端部へと連続的に移動させ、この錠剤を該振動板の一端部から上記表面検査ドラム上に供給するように構成されている請求項1から3のいずれかに記載の錠剤の表裏面検査装置。
【請求項5】
上記振動板の一端部に任意の速度で回転する錠剤供給ローラを錠剤供給路に接触又は近接させて配置し、該錠剤供給ローラの回転により上記振動板の一端部から錠剤を上記表面検査ドラム上に移動させて、錠剤を所望の速度で供給するようにした請求項4に記載の錠剤の表裏面検査装置。
【請求項6】
上記供給部の錠剤収容部が、所定速度で回転するターンテーブルと、該ターンテーブル上に該ターンテーブルの回転中心と同心して配設されたリング状の周壁により形成された外室と、該外室の内側にターンテーブルの回転中心と偏心して配設された上記外室よりも小径のリング状の周壁により形成され、その周壁の一部に上記外室と連通する連絡窓が設けられた内室と、一端が上記外室内の上記ターンテーブル上に配置され、他端が上記振動板の錠剤供給路と連通した連絡路とを具備してなり、上記内室内に錠剤を投入して回転するターンテーブル上に錠剤を供給し、該錠剤を遠心力により上記連絡窓を通して上記外室へと移動させ、更にターンテーブルの回転により上記連絡路へと錠剤を導入し、この連絡路を通して上記振動板の錠剤供給路へと錠剤を連続的に導入するように構成された請求項4又は5に記載の錠剤の表裏面検査装置。
【請求項7】
上記表面検査ドラム及び裏面検査ドラムが、周方向に沿った貫通溝又は周方向に沿って連設された多数の貫通孔が少なくとも錠剤の搬送範囲に対応して形成された内筒と、上記吸引溝、吸引孔及びゴムリングを有し、上記内筒の外側に配設されて該内筒の外周面に沿って所定速度で回転する外筒とを具備してなり、上記内筒内を吸引することにより、該内筒に設けられた上記貫通溝又は貫通孔を通して上記外筒の吸引溝内を吸引するように構成された請求項4から6のいずれかに記載の錠剤の表裏面検査装置。
【請求項8】
上記裏面検査ドラムの外周面に保持されて搬送される錠剤を、その搬送途中で選択的に排除する不良品排除機構を有すると共に、上記表面撮像装置及び裏面撮像装置により取り込んだ表裏両面の画像を画像処理して外観不良の有無を判定する表裏面不良判定部を具備し、該表裏面不良判定部の判定結果に応じて、上記不良品排除機構により表面及び/又は裏面に外観不良を有する不良錠剤を選択的に裏面検査ドラムから排除するように構成された請求項4から7のいずれかに記載の錠剤の表裏面検査装置。
【請求項9】
上記不良品排除機構が、上記裏面検査ドラム内に設けられた圧空噴出部から上記表裏面不良判定部の判定結果に応じて随時圧空を噴射する圧空噴出機構であり、上記圧空噴出部から上記裏面検査ドラムの吸引溝内に圧空を噴出させ、裏面検査ドラムの外周面に保持されて当該箇所に搬送されてきた不良錠剤を裏面検査ドラムの外周面から選択的に排除するように構成された請求項8に記載の錠剤の表裏面検査装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の錠剤の表裏面検査装置と、
前記表裏面検査装置による検査前または検査後の錠剤の側面を検査する錠剤の側面検査装置とを備える錠剤の外観検査装置であって、
前記側面検査装置は、
所定速度で連続回転する内筒体と、
周壁に貫通穴状の保持ポケットが多数形成されており、上記内筒体の外側に回転可能に配設され該内筒体の外周面に沿って間歇回転する外筒体と、
該外筒体の上記保持ポケット内に保持された錠剤を撮影して錠剤の側面画像を取り込む側面撮像装置とを具備してなり、
上記外筒体の保持ポケット内に偏平形状の錠剤をその径方向を上下にした直立状態で収容し、該外筒体の間歇回転により錠剤を上記内筒体の外周面上を転がすようにして搬送し、
その搬送途中で上記外筒体が間歇的に停止している間に、連続回転する上記内筒体により上記保持ポケット内で錠剤を自転させながら該錠剤を上記側面撮像装置で撮影して該錠剤の側面全周の画像を取り込み、
得られた側面画像を画像処理することにより、錠剤側面の外観不良を検出するように構成されている、
錠剤の外観検査装置。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−3102(P2008−3102A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227811(P2007−227811)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【分割の表示】特願平11−209920の分割
【原出願日】平成11年7月23日(1999.7.23)
【出願人】(000228110)クオリカプス株式会社 (22)
【Fターム(参考)】