説明

錯体を含有するパッケージ化フィルム処方ユニット

本発明は、活性成分の口腔内への送達のためのパッケージ化された経口摂取可能なフィルム投与ユニットに関する。特に、該パッケージ化された医薬製品は、錯化剤及び活性成分を含む錯体、該錯体の送達のための経口摂取可能フィルム、及び該経口摂取可能フィルムを含有するためのパッケージを含有する。該パッケージはそれに関連する証印を含む。該証印は、規制認可された化学物質である該錯体を該フィルムに含有された活性成分として識別する。本発明は、そのようなパッケージ化された医薬製品のためのラベル表示、値付け、販売及び政府規制を満たす方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性のパッケージ化された経口摂取可能フィルム処方ユニットに関する。経口摂取可能フィルムは口腔に送達するための新規活性成分を含有し得る。該フィルムに含有される新規活性成分は錯体であり、パッケージはラベル表示されて該錯体が規制認可された化学物質であることを示す。
【背景技術】
【0002】
経口摂取可能医薬製品は広い種類の病気の治療のための活性成分を含有する。そのような製品のパッケージ及びラベル表示は強く規制され、使用者の安全を保護している。特に、医薬製品はラベル表示され、使用者に対して該製品の用量に関する正確な情報を提供している。世界中の規制機関が医薬製品のラベル表示に関する安全性を監視している。米国では、食品医薬品局(“FDA”)が医薬製品のパッケージ及びラベル表示の規制に責任を負っている。処方薬及び店頭販売(“OTC”)医薬製品の両方のラベル表示はFDAに規制されている。特に、規制は該医薬製品に含有される全ての活性成分の正確な識別及びそれらの量を必要としている。例えば、OTC製品に対しては、活性成分は、1投与単位当たりの濃度及び各医薬目的に従ってそれらの相対量の階層的な順序で記載されていなければならない。
そのような規制に従うために、活性成分の情報は製品ラベル表示で正確に識別されなければならない。例えば塩として別の物質と複合されている活性成分は、新規で異なる機能性を有する新規化学物質を最初の非複合活性成分から形成する。この新規化学物質は、種々の異なる医薬製品で用いることのできる活性成分である。この新規化学物質を該製品に含有される活性成分として適切に識別する必要がある。従って、正確な薬剤情報が使用者に提供され、政府規制が満たされる。
【発明の開示】
【0003】
本発明は、フィルム製品における活性成分に関する情報を使用者に正確に提供する新規パッケージ化されたフィルム製品を提供する。該活性成分はそれ自体従前に認識されていなかった新規化学物質である。
本発明の一部の実施態様では、錯化剤及び活性成分を含む錯体;該錯体の送達のための経口摂取可能フィルム;及び該経口摂取可能フィルムを含有するためのパッケージ:を含むパッケージ化された医薬製品であって、該パッケージは該錯体が規制認可された化学物質であると識別するのに関連する証印を含む方法が提供される。一部の実施態様では、該錯体の一部を形成する最初の活性成分は規制認可された薬剤である。該パッケージに関連する証印は、該錯体自体を新規規制認可薬剤として識別し得る。
【0004】
一部の実施態様では、パッケージ化された医薬製品を政府の薬剤規制に従う様式でラベル表示する方法であって、
(a)以下を含有するパッケージ化された医薬製品を提供する工程:
(i)錯化剤及び医薬活性成分を含む錯体;
(ii)該錯体の送達のための経口摂取可能フィルム;及び
(iii)経口摂取可能フィルムを含有するためのパッケージ;及び
(b)証印を該パッケージに加える工程、
を含み、該証印は経口摂取可能フィルムに含有される活性成分のリスト及び該経口摂取可能フィルムに含有される非活性成分のリストを含み、該錯体が活性成分として記載されている方法が提供される。
【0005】
一部の他の実施態様は、パッケージ化経口摂取可能フィルム製品の販売価格を調整する方法であって、
(a)医薬活性成分を含む経口摂取可能フィルム製品を選択する工程、該製品は販売費用を有する;
(b)医薬活性成分との使用のための錯化剤を選択し、錯体を形成する工程;
(c)該錯化剤を供給者から購入する費用を見積もる工程;
(d)該錯体を製造する費用を見積もる工程;
(e)工程(c)及び(d)のさらなる費用見積もりに基づく経口摂取可能フィルム製品の製造費用における変化を決定する工程;及び
(f)製造費用における変化に基づく製品の販売価格を調整する工程、
を含む方法を提供する。
【0006】
一部の実施態様では、正確な薬剤情報をパッケージ化された医薬製品の使用者に宣伝する方法であって、
(a)以下を含有するパッケージ化された医薬製品を提供する工程、
(i)錯化剤及び医薬活性成分を含む錯体;
(ii)該錯体の送達のための経口摂取可能フィルム;及び
(iii)該経口摂取可能フィルムを含有するパッケージ;
(b)該錯体を該パッケージ化された医薬製品に含有される活性成分として識別する証印を提供する工程、及び
(c)使用者に該証印を曝し、該パッケージ化された医薬製品に含有される活性成分に関する正確な情報を提供する工程、
を含む方法が提供される。
【0007】
一部の実施態様は、錯体を活性成分として含有する経口摂取可能なフィルム製品を使用者に販売する方法であって、
(a)有効な医薬製品として使用者に販売される活性成分を含有する第一の医薬製品を識別する工程;
(b)以下を含む第二の医薬製品を提供する工程:
(i)錯化剤及び工程(a)の活性成分を含む錯体;及び
(ii)該錯体の送達のための経口摂取可能フィルム;
(c)使用者に該第二の医薬製品に含有される錯体が該第一の医薬製品に含有される活性成分と同じ効能を提供することを知らせる工程;及び
(d)該第二の医薬製品を使用者に販売する工程、
を含む方法を提供する。
【0008】
一部の他の実施態様は、錯体を活性成分として含むパッケージ化された経口摂取可能フィルム製品のための販売価格を明らかにする方法であって、
(a)医薬活性成分及び錯化剤を選択し、該経口摂取可能フィルムに含まれる該錯体を形成する工程;
(b)該錯化剤を供給者から購入する費用を見積もる工程;
(c)該医薬活性成分を供給者から購入する費用を見積もる工程;
(d)該錯体を該医薬活性成分及び該錯化剤から製造する費用を見積もる工程;
(e)該錯体を含む該経口摂取可能フィルムを製造及びパッケージする費用を見積もる工程;
(f)該医薬活性成分及び錯化剤に個々に行われた安全性及び効能試験の総費用を見積もる工程;
(g)該錯体のためにさらなる安全性及び効能試験が必要どうか決定する工程;
(h)工程(g)のさらなる安全性及び効能試験に関連する費用を見積もる工程;
(i)前述の工程の費用を加え、見積もった全製造費用を明らかにする工程;及び
(j)該パッケージ化された経口摂取可能フィルム製品の見積もった全製造費用に基づく販売価格を設定する工程、
を含む方法を提供する。
【0009】
一部の実施態様では、錯化剤及び医薬活性成分を含む錯体を活性成分として含む経口摂取可能フィルムのための規制機関によって推奨される薬剤規制を満たす方法であって、
(a)該錯化剤のための安全性及び効能試験結果及び該医薬活性成分のための安全性及び効能試験結果を該規制機関に提出する工程;
(b)該錯体のためにさらなる安全性及び効能試験が該規制機関によって必要とされるかどうかを決定する工程;
(c)工程(b)の安全性及び効能試験を実施する工程;及び
(d)工程(c)の安全性及び効能試験の結果を該規制機関に提出し、経口摂取可能フィルム製品のための該規制機関の薬剤規制を満たす工程、
を含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一部の実施態様に従うパッケージ化された医薬製品の側面図である。
【図2】本発明の一部の実施態様に従う経口摂取可能フィルムを含有するポーチの側面図である。
【図3】本発明の一部の実施態様に従う多数の経口摂取可能フィルムを含有するカセットの上面図である。
【図4】本発明の一部の実施に従うその表面に浮き出し又は印刷された証印を有する経口摂取可能フィルムストリップの上面図である。
【0011】
本発明は、市場で使用者に売買することができるパッケージ化医薬製品に関する。該パッケージ化医薬製品は、そこに含有される活性成分を新規化学物質としての規制認可を得た活性成分として適切に識別する。さらに詳細には、該パッケージ化された医薬製品は経口摂取可能フィルムであり、素早く水に溶解する。該経口摂取可能フィルムは口腔への送達のための活性成分を含む。フィルムに含有される活性成分は錯体であり、これは最初の未錯化活性成分より新規且つ異なる機能、並びに新規臨床利益を有する。
【0012】
“錯体”は、活性成分、例えば荷電活性成分、及び錯化剤、例えば酸性又は塩基性樹脂の間の化学的複合、会合又は相互作用によって形成される化学物質である。これら2種の成分から形成される生じた材料を、ここでは“錯体”と呼ぶ。該錯体は最初の非複合活性成分に対して明確な化学物質である。この化学物質は異なる機能を示し、最初の活性成分に対して新たな臨床利点を提供する。さらに、該錯体は、米国のFDA規制又は各工業国に特定の類似した政府薬剤規制に認可される新規化学物質である。例えば、該錯体がFDAにより新規化学物質とみなされる場合、経口摂取可能フィルム製品における活性成分として錯体の使用のための規制認可がFDAに必要とされ得る。多くの国は、医薬製品が一般に販売される前に満たさなければならない政府規制機関に推奨される類似医薬認可規制を有する。経口摂取可能フィルムのパッケージがラベル表示され、単に最初の非複合活性成分を活性成分として記載するよりもこの錯体が該製品に含有される活性成分の1種であることを反映する。従って、製品パッケージは、該製品に含有される活性成分に関する正確な開示情報を使用者に提供する。
【0013】
従って、一部の実施態様では、錯体が錯化剤及び最初の規制認可薬剤を含む。フィルム製品を含有するためのパッケージは、該錯体自体を新規規制認可薬剤として識別する証印を含む。
経口摂取可能フィルムを含有するパッケージは、医薬製品に用いられる任意の従来のパッケージ用材料でよい。例えば、該パッケージは限定しないが、ポーチ、ボックス、カセット、ブリスターパック、バッグなどでよい。
フィルム含有パッケージはそこに証印を有する。証印は製品の成分に関する情報を使用者に提供する。医薬品に関して、この情報はそこに含有される活性成分に基づく製品を選択する使用者に非常に重要である。さらに、上記のように、医薬製品に含有される活性成分のリストはFDAに規制されている。パッケージ上の証印は、経口摂取可能フィルムに含有される活性成分のリストを含む。該証印は経口摂取可能フィルムに含まれる錯体をそこに含有される活性成分として識別する。該錯体が医薬製品における使用のために規制認可された化学物質であるため、それが活性成分として製品証印上で適切に識別される。さらなる証印は経口摂取可能フィルムに含有される非活性成分のリストも含み得る。
【0014】
パッケージ化された製品上に含まれる証印は、広い種類の形態、例えばラベル、シンボル、バーコード、パターン及び情報を伝達する他の手段を取り得る。一つの好ましい証印はラベルである。ラベル又は他の証印は全てのパッケージ用部品又は製品自体上に配置又はそれに添付され得る。ラベルを製品パッケージに添付するための全ての従来の手段が用いられ得る。例えば、図1に示されているように、パッケージ化された医薬製品10は多数の証印100及び200を含み得る。各証印は異なり得る。例えば、第一の証印100はパッケージ10に含有される経口摂取可能フィルムに含まれる活性成分のリストを含み得る。第二の証印200はパッケージ10に含有される経口摂取可能フィルムに含まれる非活性成分のリストを含み得る。パッケージ10内に収納される経口摂取可能フィルムは錯体を含む。上記のように、該錯体は錯化剤及び活性成分から形成される化学物質である。従って、錯体自体が経口摂取可能フィルムに含有される活性成分である。該錯体はそれ自体が化学物質として、フィルムに含有される活性成分として証印100に記載される。従って、該証印は使用者に対して該錯体が経口摂取可能フィルムに含有される活性成分の1種であることを適切に伝える。
【0015】
図2に示される別の実施態様では、例えば、錯体を含む経口摂取可能フィルム300がポーチ20にパッケージされる。ポーチ20は頂部層及び底部層を有し、周辺に沿って密閉され得る。該ポーチは加熱密閉又は接着剤、例えば圧力-敏感性接着剤で密閉され得る。頂部及び底部層が分離され、ポーチ20内に収容されたフィルム300の除去を可能にし得る。該ポーチは外部の底部及び/又は頂部層に、フィルムに含有される活性成分をリストする証印100を含み得る。フィルムに含有される錯体は活性成分のこのリストに含まれる。従って、そのような実施態様では、フィルム投与単位は個別にパッケージ化され、各ポーチは使用者にフィルム製品に含有される活性成分に関する適切な情報を提供する。
一部の他の実施態様では、多数の経口摂取可能フィルムはカセット内に収納され得る。例えば、図3に示されているように、カセット30は多数の積層された経口摂取可能フィルム300を含有し得る。フィルム300は錯体を活性成分として含む。カセット30は2種の異なるセットの証印100及び200をその外表面上に含み得る。上記のように、証印100は経口摂取可能フィルム300に含まれる活性成分のリストを含む。証印200は経口摂取可能フィルム300に含まれる非活性成分のリストを含む。経口摂取可能フィルム300に含まれる錯体は証印100における活性成分のリストに含まれる。該証印100及び200は使用者に対して該製品に含有される活性成分及び非活性成分を適切に示す。
【0016】
別の実施態様では、該錯体を活性成分として示す証印が摂取可能フィルム自体の上に、例えば浮き出し、印刷、スタンプ又は他の手段で配置され得る。図4は経口摂取可能フィルムストリップ40の上面図を示しており、その表面上に印刷又は浮き出しされているう証印400を有する。該証印は活性成分としての錯体の識別を含む。
いかなるタイプのパッケージも、経口摂取可能フィルムを収容し、活性成分としての錯体の識別に関する情報を伝達するのに用いられ得ると理解すべきである。該パッケージ化された医薬製品における使用に好適な経口摂取可能フィルム及び錯体は以下に詳細に記載されている。
【0017】
経口摂取可能フィルム
上記のように、ここに記載されるパッケージ化医薬製品は活性成分の送達のための経口摂取可能フィルムを含む。経口摂取可能フィルムは口腔内で速溶解性であり、活性成分の送達に特に好適である。ここに記載されているフィルムで送達される活性成分は錯体である。
パッケージ化医薬製品に用いられるフィルムは少なくとも1種のポリマー及び極性溶媒の組み合わせで製造され、任意に当技術分野で公知の他の充填剤を含む。溶媒は水、極性有機溶媒、限定はしないがエタノール、イソプロパノール、アセトン、塩化メチレン、又はその任意の組み合わせでよい。フィルムは選択された成形又は沈殿方法及び制御された乾燥方法を用いることによって調製され得る。該方法は2002年2月14日に提出され、米国特許第2003/0107149 A1号明細書として公開された米国特許出願第10/074,272号明細書に詳細に記載されており、その内容を参照としてその全てをここに組み込む。あるいは、フィルムは2004年5月28日に提出され、米国特許第2005/0037055 A1号明細書として公開された米国特許出願第10/856,176号明細書に記載されているように押し出され、その内容を参照としてその全てをここに組み込む。
【0018】
フィルムに含まれるポリマーは、水溶性、水膨張性、不水溶性、又は水溶性、水膨張性又は不水溶性のポリマーのいずれか1種以上の組み合わせでよい。該ポリマーはセルロース又はセルロース誘導体を含み得る。有用な水溶性ポリマーの特例は、限定はしないが、ポリエチレンオキシド、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、キサンタンゴム、トラガカントゴム、グアールゴム、アカシアゴム、アラビアゴム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー、スターチ、ゼラチン、及びそれらの組み合わせを含む。有用な不水溶性ポリマーの特例は、限定はしないがエチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びそれらの組み合わせを含む。
【0019】
ここに用いられているように、“水溶性ポリマー”というフレーズ及びその変形は、少なくとも部分的な水溶性、及び望ましくは完全に又は主に水溶性、又は水吸収性であるポリマーを意味する。水吸収性ポリマーはしばしば水膨張性ポリマーと呼ばれる。本発明で有用な材料は、室温及び他の温度、例えば室温を超える温度で水溶性又は水膨張性でよい。さらに、該材料は大気圧未満の圧力で水溶性又は水膨張性でよい。望ましくは、水溶性ポリマーは水溶性又は水膨張性であり、少なくとも20質量%の含水量を有する。25質量%の含水量を有する水膨張性ポリマーも有用である。一部の実施態様では、そのような水溶性ポリマーから形成されるフィルムは十分に水溶性であり、体液との接触により溶解可能となり得る。
該フィルムを組み込むのに有用な他のポリマーは、生物分解性ポリマー、コポリマー、ブロックポリマー及びそれらの組み合わせを含む。上記基準を満たす公知の有用なポリマー又はポリマー分類の中では、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリジオキサン、ポリオキサレート、ポリ(α-エステル)、ポリ無水物、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリ(オルトエステル)、ポリアミノ酸、ポリアミノカーボネート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(アルキルシアノアクリレート)、及びそれらの混合物及びコポリマーである。さらなる有用なポリマーは、L-及びD-乳酸のステレオポリマー、ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン酸及びセバシン酸のコポリマー、セバシン酸コポリマー、カプロラクトンのコポリマー、ポリ(乳酸)/ポリ(グリコール酸)/ポリエチレングリコールコポリマー、ポリウレタン及びポリ(乳酸)のコポリマー、ポリウレタン及びポリ(乳酸)のコポリマー、α-アミノ酸のコポリマー、α-アミノ酸及びカプロン酸のコポリマー、α-ベンジルグルタメート及びポリエチレングリコールのコポリマー、コハク酸塩及びポリ(グリコール)のコポリマー、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシ-アルカノエート及びそれらの混合物を含む。2成分及び3成分系も考えられる。
【0020】
有用な他の特定のポリマーは、Medisorb及びBiodelの商品名で販売されているものを含む。Medisorb材料はDupont Company of Wilmington, Delawareから販売されており、一般的に“プロパン酸、2-ヒドロキシ-ポリマー、ヒドロキシ-ポリマー、及びヒドロキシ酢酸”を含有する“ラクチド/グリコリドコ-ポリマー”と識別される。4種のそのようなポリマーは、338-347°F(170-175℃)の範囲内の融点を有する100%ラクチドとされるラクチド/グリコリド100L; 437-455°F(225-235℃)の範囲内の融点を有する100%グリコリドとされるラクチド/グリコリド100L; 338-347°F(170-175℃)の範囲内の融点を有する85%ラクチド及び15%グリコリドとされるラクチド/グリコリド85/15;及び338-347°F(170-175℃)の範囲内の融点を有する50%ラクチド及び50%グリコリドのコポリマーとされるラクチド/グリコリド50/50を含む。
これらのBiodel材料は化学的に異なる種々のポリ無水物の群を示す。
【0021】
種々の異なるポリマーが用いられ得るが、粘膜接着特性、並びに望ましい溶解性及び/又は消化速度を該フィルムに提供するポリマーを選択するのが望ましい。特に、該フィルムと粘膜組織との接触を保持するのに望ましい時間は、第二の送達媒体に含有される活性成分のタイプに依存する。一部の活性成分は粘膜組織を介して送達するための数分間のみを必要とし、他の活性成分は数時間以下又はそれ以上を必要とし得る。従って、一部の実施態様では、上記のような1種以上の水溶性ポリマーを用いてフィルムを形成し得る。しかし、他の実施態様では、水溶性ポリマーと、上記のような水膨張性、不水溶性及び/又は生物分解性のポリマーとの組み合わせを用いるのが望ましい。水膨張性、不水溶性及び/又は生物分解性の1種以上のポリマーの包含は、フィルムに水溶性ポリマー単独から形成されたフィルムよりも遅い溶解又は消化速度を提供し得る。このようにして、該フィルムは粘膜組織に長時間、例えば数時間以下接着し、これは数種の活性成分の送達に望ましくなり得る。
【0022】
例えば、一部の実施態様では、フィルムは酸化ポリエチレン単独又は第二のポリマー成分と組み合わせて含んでよい。第二のポリマーは別の水溶性ポリマー、水膨張性ポリマー、不水溶性ポリマー、生物分解性ポリマー又はそれらの任意の組み合わせでよい。好適な水溶性ポリマーは、限定はしないが、上記のいずれかのものを含む。一部の実施態様では、水溶性ポリマーは親水性セルロース系ポリマー、例えばヒドロキシプロピルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み得る。一部の実施態様では、ポリエチレンオキシドがポリマー成分において、約20〜100質量%、より詳細には約30〜70質量%、及びさらに詳細には約40〜60質量%となり得る。一部の実施態様では、1種以上の水膨張性、不水溶性及び/又は生物分解性ポリマーもポリエチレンオキシド系フィルムに含まれ得る。上記の水膨張性、不水溶性又は生物分解性ポリマーのいずれも用いられ得る。第二のポリマー成分はポリマー成分において、約0〜80質量%、より詳細には約30〜70質量%、及びさらに詳細には約40〜60質量%で用いられ得る。
ポリエチレンオキシドの分子量も変化し得る。一部の実施態様では、高い分子量、例えば約4,000,000のポリエチレンオキシドが、フィルムの粘膜接着性を増加させるのに望ましい。一部の他の実施態様では、分子量が約100,000〜900,000、より詳細には約100,000〜600,000、及びさらに詳細には約100,000〜300,000となり得る。一部の実施態様では、高い分子量(600,000〜900,000)と低い分子量(100,000〜300,000)のポリエチレンオキシドをポリマー成分で組み合わせるのが望ましい。
【0023】
種々の任意成分及び充填剤もフィルムに加えられ得る。これらは限定しないが、界面活性剤;可塑剤;ポリアルコール;抗-発泡剤、例えばケイ素含有化合物、これらはフィルムから酸素を放出することによって滑らかなフィルム表面を促進する;熱硬化性ゲル、例えばペクチン、カラギーナン、及びゼラチン、これらは成分の分散を保持するのに有用である;包含化合物、例えばシクロデキストリン及びかご分子;着色剤;及び香料を含む。一部の実施態様では、活性成分は第二の送達媒体に含有される活性成分に加えてフィルムに含まれ得る。フィルムにおける使用のための好適な活性成分は、第二の送達媒体における使用のために以下に記載されるもののいずれかを含む。フィルムに含有される活性成分は、第二の送達媒体に含有される活性成分と同じでも異なっていてもよい。
添加剤の分類の例は、賦形剤、潤滑剤、緩衝剤、安定化剤、吹込剤、顔料、着色剤、充填剤、膨張剤、甘味剤、調味剤、芳香剤、放出改良剤、補助剤、可塑剤、流れ促進剤、離型剤、ポリオール、顆粒化剤、希釈剤、結合剤、緩衝剤、吸収剤、流動促進剤、接着剤、抗粘着剤、酸味剤、柔軟剤、樹脂、緩和剤、溶媒、界面活性剤、乳化剤、エラストマー及びそれらの混合物を含む。これらの添加剤は活性成分と共に加えられ得る。
【0024】
有用な添加剤は、例えば、ゼラチン、植物性蛋白質、例えばヒマワリ蛋白質、大豆油、綿実蛋白質、ピーナッツ蛋白質、ブドウ種蛋白質、乳漿蛋白質、乳漿蛋白質単離物、血中蛋白質、卵蛋白質、アクリル化蛋白質、水溶性ポリサッカライド、例えばアルギネート、カラギーナン、グアールゴム、寒天、キサンタンゴム、ゼラチンゴム、アラビアゴム及び関連ゴム(ガッテイゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム)、ペクチン、セルロースの水溶性誘導体:アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースエステル及びヒドロキシアルキルセルロースエステル、例えば酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースエステル、例えばカルボキシメチルセルロース及びそれらのアルカリ金属塩;水溶性合成ポリマー、例えばポリアクリル酸及びポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸及びポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、酢酸フタル酸ポリビニル(PVAP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVY/ビニルアセテートコポリマー、及びポリクロトン酸を含む。さらに好適なものは、フタル酸ゼラチン、コハク酸ゼラチン、架橋ゼラチン、シェラク、スターチの水溶性化学的誘導体、例えば第三級又は第四級アミノ基、望ましくは第四級アミノ基、例えばジメチルアミノエチル基を有するカチオン修飾アクリレート及びメタクリレート、及び他の類似ポリマーである。
【0025】
そのような増量剤は、全てのフィルム成分の質量に基づいて約80質量%以下、望ましくは約3〜50質量%、及びさらに望ましくは約3〜20質量%の範囲内の任意の望ましい量で任意に加えられる。
さらなる添加剤は、無機充填剤、例えばマグネシウム、アルミニウム、ケイ素、チタンなどの酸化物でよく、望ましくは全てのフィルム成分の質量に基づいて約0.02〜3質量%及び望ましくは約0.02〜1質量%の濃度範囲である。
添加剤のさらなる例は、ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン-プロピレングリコール、低分子量の有機可塑剤、例えばグリセロール、グリセロールモノアセテート、ジアセテート又はトリアセテート、トリアセチン、ポリソルベート、セチルアルコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ナトリウムジエチルスルホサクシネート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレートなどを含む可塑剤であり、該ポリマーの質量に基づいて約0.5〜30質量%、及び望ましくは約0.5〜20質量%の濃度で加えられる。
【0026】
スターチ、例えば望ましくは水素化形態である動物性又は植物性脂肪、特に室温で固体のものの流動性を向上させるさらなる添加化合物が存在し得る。これらの脂肪は望ましくは50℃以上の融点を有する。好ましくは、C12-、C14-、C16-、C18-、C20-及びC22-脂肪酸を有するトリ-グリセリドである。これらの脂肪は増量剤又は可塑剤を加えることなく単独で加えることができ、有利には単独又はモノ-及び/又はジ-グリセリド又はリン脂質、特にレシチンと一緒に加えることができる。モノ-及びジ-グリセリドは望ましくは上記タイプの脂肪由来であり、すなわち、C12-、C14-、C16-、C18-、C20-及びC22-脂肪酸を有する。
脂肪、モノ、ジ-グリセリド及び/又はレシチンの用いられる全量が、全フィルム組成物の約5質量%以下、及び好ましくは約0.5〜2質量%の範囲内である。
それらはさらに、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、又は二酸化チタンを全組成物の約0.02%〜1質量%の濃度で加えるのに有用となり得る。これらの化合物は微細構造化剤として作用する。
【0027】
レシチンは、ここに記載されているフィルムに使用するための1種の界面活性剤である。レシチンは、約0.25〜2.00質量%の量でフィードストックに含まれ得る。他の表面活性剤、すなわち、界面活性剤は、限定はしないが、セチルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウム、Spans(登録商標)及びTweens(登録商標)を含み、ICI Americas, Inc.から市場で入手可能である。エトキシル化ヒマシ油を含むエトキシル化オイル、例えばBASFから市場で入手可能なCremophor(登録商標)ELも有用である。カルボワックス(登録商標)は本発明で非常に有用なさらなる修飾剤である。Tweens(登録商標)又は界面活性剤の組み合わせを用いて所望の親水性-親油性バランス(“HLB”)を達成し得る。しかし、本発明は界面活性剤及びフィルムの使用を必要としないか、又は本発明のフィルム-形成用組成物が本質的に界面活性剤を含まずに依然として本発明の望ましい均一性特徴を提供する。
他の成分は、フィルムの形成し易さ及び全体的な質に寄与する結合剤を含む。結合剤の非限定例は、スターチ、プレゼラチンスターチ、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキソアゾリドン、及びポリビニルアルコールを含む。
【0028】
さらに潜在的な添加剤は、溶解性強化剤、例えば活性成分を含む化合物を形成する物質を含む。そのような試薬は非常に不水溶性及び/又は不安定な活性成分の特性を向上させるのに有用となり得る。一般的に、これらの物質は、疎水性の内部空洞及び親水性の外部を有するドーナツ形状の分子である。不水溶性及び/又は不安定な活性成分は該疎水性空洞内に適合し、それによって不水溶性の包含複合体を製造し得る。従って、該包含複合体の形成は、非常に不水溶性及び/又は不安定な活性成分を水に溶解させる。そのような試薬の特に望ましい例はシクロデキストリンであり、これはスターチ由来の環状炭水化物である。しかし、他の類似物質も本発明の範囲内にあると考慮される。
好適な着色剤は、食品、医薬及び化粧品の着色剤(FD&C)、医薬及び化粧品の着色剤(D&C)、又は外部医薬及び化粧品の着色剤(Ext. D&C)を含む。これらの着色剤は、染料、それらの対応するレーキ、及び数種の天然及び生成着色剤である。レーキは水酸化アルミニウムに吸収される染料である。
着色剤の他の例は、天然由来の公知なアゾ染料、有機又は無機顔料、又は着色剤を含む。無機顔料が好ましく、例えば鉄又はチタンの酸化物であり、これらの酸化物は全ての成分の質量に基づいて約0.001〜10質量%、及び好ましくは約0.5〜3質量%の濃度で加えられる。
【0029】
香料は天然及び合成風味液体から選択され得る。そのような試薬の具体的なリストは、植物、葉、花、果実、茎及びそれらの組み合わせ由来の揮発油、合成香油、風味芳香族、オイル、液体、含油樹脂又はエッセンスを含む。非限定的な代表例のリストは、ハッカ油、ココア、及び柑橘油、例えばレモン、オレンジ、グレープ、ライム及びグレープフルーツ及び果実エッセンス、例えばリンゴ、洋ナシ、モモ、グレープ、ストロベリー、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコット又は他の果実風味を含む。
他の有用な香料は、アルデヒド及びエステル、例えばベンズアルデヒド(チェリー、アーモンド)、シトラル、すなわち、アルファシトラル(レモン、ライム)、ネラル、すなわち、ベータシトラル(レモン、ライム)、デカナル(オレンジ、レモン)、アルデヒドC-8(柑橘果実)、アルデヒドC-9(柑橘果実)、アルデヒドC-12(柑橘果実)、トリルアルデヒド(チェリー、アーモンド)、2,6-ジメチルオクタノール(熟していない果実)、2-ドデセナール(柑橘、マンダリン)、及びそれらの組み合わせなどを含む。
甘味料は、以下の非限定リスト:グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトース、及びそれらの組み合わせ;サッカリン及びその種々の塩、例えばナトリウム塩;ジペプチド甘味料、例えばアスパルテーム;ジヒドロカルコン化合物、グリシルリジン;Stevia Rebaudiana(ステビオサイド);スクロースのクロロ誘導体、例えばスクラロース;糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール、キシリトールなどから選択され得る。さらに考慮すべきは、水素化スターチ加水分解物及び合成甘味料3,6-ジヒドロ-6-メチル-1-1-1,2,3-オキサチアジン-4-オン-2,2-ジオキシド、特にカリウム塩(アセスルファーム-K)、及びそのナトリウム及びカルシウム塩、及び天然の強力な甘味剤、例えば羅漢果である。他の甘味料も用いられ得る。
【0030】
抗発泡及び/又は脱発泡性成分もフィルムと用いられ得る。これらの成分は、空気、例えば取り込まれた空気を該フィルム形成用組成物から除去することを目的とする。そのような取り込まれた空気は不均一なフィルムを生成し得る。シメチコンは特に有用な抗発泡及び/又は脱発泡剤の1種である。しかし、本発明はそれに限定されず、他の抗発泡及び/又は脱発泡剤も好適に用いられ得る。
関連事項として、シメチコン及び関連する試薬を高密化のために用いられ得る。さらに詳細には、そのような試薬は空洞、空気、水分、及び類似の望ましくない成分の除去を容易にし、それによって高密度化、及びより均一なフィルムを提供する。この機能を行う試薬又は成分は、高密度試薬又は高密度化試薬と呼ばれ得る。上記のように、取り込まれた空気又は望ましくない成分は不均一なフィルムを生成し得る。
シメチコンは一般的に医療分野において幼児におけるガス又は疝痛のための治療薬として用いられている。シメチコンは、トリメチルシロキシ末端-ブロッキング単位で安定化されているポリジメチルシロキサンの繰り返し単位を含有する完全にメチル化された直鎖シロキサンポリマー、及び二酸化ケイ素の混合物である。通常は90.5-99質量%のポリメチルシロキサン及び4-7質量%の二酸化ケイ素を含有する。混合物は不水溶性の灰色半透明の粘性流体である。
【0031】
水に分散されると、シメチコンは界面中に広がって低い界面張力の薄いフィルムを形成する。このため、シメチコンは該溶液にある気泡、例えば発泡の表面張力を減少させ、それらの崩壊を引き起こす。シメチコンの機能は、水におけるオイル及びアルコールの二重作用とよく類似している。例えば、油性溶液において、全ての取り込まれた気泡は表面まで上って素早く且つ容易に消える。これは油性液体が水溶液と比べて軽い密度を有するためである。他方で、アルコール/水混合物が水の密度を減らし、並びに水の表面張力を下げることが知られている。従って、この混合溶液内に閉じ込められた全ての気泡も容易に消える。シメチコン溶液はこれらの利点の両方を提供する。それは該水溶液内に取り込まれた全ての気泡の表面張力を低下させ、並びに該水溶液の表面張力を低下させる。この独特の機能により、シメチコンは、生理学的プロセス(腹腔内の脱ガス)並びに製品からの気泡の除去を必要とする全ての外部プロセスに用いることのできる優れた抗発泡特性を有する。
フィルム中の気泡の形成を妨げるために、混合工程は真空下で行われ得る。しかし、混合工程が完了し、フィルム溶液を通常の雰囲気条件に戻したらすぐに、空気が混合物内に再導入されるか混合物と接触する。多くの場合、微小な気泡がこのポリマー性粘性溶液内に再び封入される。シメチコンのフィルム-形成用組成物の導入は、実質的に気泡の形成を減少又は消滅させる。
シメチコンは、フィルム-形成用混合物に抗-発泡剤として約0.01〜5.0質量%、さらに望ましくは約0.05〜2.5質量%、及び最も望ましくは約0.1〜1.0質量%の量で加えられ得る。
上記米国特許出願第10/074,272号及び第10/856,176号明細書に記載されている全ての他の任意成分も、ここに記載されているフィルムに含まれ得る。
【0032】
錯体
本発明では、フィルムに含まれる活性成分が錯体であり、これは錯化剤及び活性成分を含む。該錯体は最初の非複合活性成分と異なる化学物質である。一部の実施態様では、例えば、最初の活性成分が帯電した活性成分であって、反対電荷の錯化剤と複合、相互作用又は会合することができ、その形成は新規活性成分、すなわち、錯体と識別できる。
錯化剤は、複合、会合又は相互作用を活性成分と化学的に形成することのできるいなかる試薬でもよい。例えば、錯化剤はアニオン性錯化剤でよく、これはカチオン性荷電を有する活性成分と反応して錯体を形成し得る。あるいは、錯化剤はカチオン性錯化剤であり、アニオン性荷電を有する活性成分と反応して錯体を形成し得る。一部の実施態様では、錯化剤は多価塩であり、これも荷電活性成分と反応して錯体を形成し得る。一部の実施態様では、錯化剤は正電荷及び負電荷の両方を有する分子の両性イオンであり、荷電活性成分との錯体を形成し得る。一部の実施態様では、錯化剤は吸着剤又は吸収剤、例えばトリケイ酸マグネシウム又は他の吸収性ケイ酸塩でよい。
【0033】
さらに詳細には、一部の実施態様では錯化剤がイオン交換樹脂でよい。イオン交換樹脂は医薬用途における数種の異なる機能を提供し、例えば延長又は制御された放出、味覚マスク、及び活性体の安定性向上である。イオン交換樹脂は、一般的に一つのイオンが別のイオンを置換し得る電気的に帯電した部位を有する不水溶性分子又は多価電解質である。カチオン交換樹脂は、反対電荷、あるいは正電荷を有する対イオンと相互作用する固定化された負電荷を有する。カチオン交換樹脂は正に帯電したカチオンを交換する。アニオン交換樹脂は反対電荷、あるいは負電荷を有する対イオンと相互作用する正電荷を有する。アニオン交換樹脂は負に帯電したアニオンを交換する。
特に、ここで使用するためのイオン交換樹脂は、イオン性であるか適切な条件下でイオン化することのできる共有結合した官能基を有する水不水溶性有機又は無機マトリックス材料でよい。有機マトリックスは、合成(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、スルホン化スチレン又はスルホン化ジビニルベンゼンのポリマー又はコポリマー)又は部分的に合成(例えば、修飾されたセルロース又はデキストラン)され得る。無機マトリックスは、例えば、イオン性基の添加により修飾されたシリカゲルでよい。大部分のイオン交換樹脂は架橋剤、例えばジビニルベンゼンで架橋される。
ここでの使用のためのイオン交換樹脂は、それらの官能基:強酸性(例えば、スルホン酸基);強塩基性(例えば、トリメチルアンモニウム基);弱酸性(例えば、カルボン酸基);及び弱塩基性(例えば、アミノ基)に依存して4つの主要なタイプに分類され得る。
【0034】
一部の実施態様では、例えば、酸性樹脂が用いられ得る。酸性樹脂は塩基性薬剤と組み合わされて錯体を形成し得る。塩基性薬剤と組み合わせることのできる酸性樹脂の例は、限定はしないが、一部中和されたポリ(アクリル酸)、架橋されたアクリル酸コポリマー(例えばIndion 414)、ナトリウムポリスチレンスルホネート(例えばAmberlite IRP-69)、ジビニルベンゼンで架橋されたメタクリル酸のコポリマー(例えばAmberlite IRP-64)、及びポラクリリンカリウムを含む。
上記酸性樹脂のいずれかと組み合わせることのできる塩基性薬剤の例は、限定はしないが、塩酸レボベタキソロール、ロキシスロマイシン、塩酸ジサイクロミン、モンテロカストナトリウム、デキストロメトルファンヒドロブロマイド、塩酸ジフェンヒドラミン、オルビフロキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、ナリジクス酸、アシクログアノシン、チニダゾール、デフェリプロン、シメチジン、オキシコドン、レマセミド、ニコチン、モルヒネ、ヒドロコドン、リバスチグミン、プロパノロール、ベタキソロール、クロルフェニラミン、及びパロキセチンを含む。
【0035】
一部の実施態様では、塩基性樹脂が用いられ得る。該塩基性樹脂は酸性薬剤と組み合わされて錯体を形成し得る。錯体を形成するのに用いられる塩基性樹脂の例は、限定はしないが、ポリビニルピロリドン、ポリリシン、ポリアルギニン、及びポリヒスチジンを含む。
上記塩基性樹脂のいずれかと組み合わせることのできる酸性医薬の例は、限定はしないが、ニコチン酸、メファナム酸、インドメタシン、ジクロフェナク、レパグリニド、ケトプロフェン、イブプロフェン、バルプロ酸、ランソプラゾール、アンブロキソール、オメプラゾール、アセトアミノフェン、トピラメート、アンフォテリシンB、及びカルベマゼピンを含む。
【0036】
一部の他の実施態様では、錯化剤は弱い結合力、例えばファンデルワールス力又は水素結合により、最初の活性成分と錯体を形成する。そのような錯化剤は、かご分子、例えばシクロデキストリンを含み得る。シクロデキストリンは、一般的にα-D-グルコピラノース単位からなる環状オリゴサッカライドである。一般的なシクロデキストリンは、6、7及び8個のグルコース単位をそれぞれ含有するα-、β-及びγ-シクロデキストリンを含む。シクロデキストリンは一般的に疎水性の内部空洞及び一般的に親水性の外部を有するドーナツ形状を有し、これは水溶性を該分子に与える。この特徴はシクロデキストリンが疎水性分子を有する包含複合体、すなわち、ホスト-ゲスト複合体を形成し、それらの水溶性を増加させることができる。より詳細には、ゲスト分子はシクロデキストリンの内部空洞と相互作用して取り込まれ、それと安定な会合を形成する。シクロデキストリンの親水性外部により、包含複合体は水溶性であり、それによってそれと複合した難水溶性の薬剤の放出を増加させる。
そのような錯化剤の例は、限定はしないが、アルファ-シクロデキストリン、ベータ-シクロデキストリン、ガンマ-シクロデキストリン及びシクロデキストリンの誘導体、例えばヒドロキシアルキル化シクロデキストリンを含む。このタイプの錯化剤と組み合わせることのできる医薬の例は多くあり、該薬剤の錯化剤、例えばシクロデキストリン内における適合によって決定される。例えば、アントラサイクリンはガンマ-シクロデキストリンと良好な複合体を形成する。他のシクロデキストリンとの複合体は米国特許第4,727,064号明細書に記載されており、その全てを参照としてここに組み込む。
【0037】
ここに記載される一部の実施態様では、錯化剤がゼオライトでよい。ゼオライトは微小孔性構造を有する鉱物である。ゼオライトは天然ミネラル及び合成化合物を含み、これらは一般的にカチオン、例えばNa+、K+、Ca2+、Sr2+及びBa2+を収容することのできる開構造を有するアルミノ-ケイ酸塩骨格を特徴とする。該カチオンは結晶構造の空洞に存在し、溶液中で他と容易に交換され得る。ゼオライトは種々の異なるタイプ、例えばP-タイプ及びX-タイプでよく、多数の対イオン、例えばナトリウム及びカルシウムを有する。さらに、ゼオライトをアンモニウム塩、例えばヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドと組み合わせて用いることができる。この例は、クロロキンとナトリウム対イオンを有するP-タイプゼオライトとのドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドの存在下における複合体である。
一部の実施態様では、錯化剤が任意のタイプの分子縺れに依存し、該縺れ合いは量子論にて理解される。どのように結合されているいかなる材料も、量子論にて"縺れ合っている"と定義されるものによる。
【0038】
そのような実施態様では、錯化剤の分子鎖、例えばポリマーが十分に縺れ合い、該活性成分を取り込むか結合して該錯体を形成する。分子量が過剰な場合は、形成された錯体が該活性成分を放出する能力が妨げられるか実際の使用には遅すぎる。従って、該錯化剤の分子量の上限は、その意図された使用のための効能を依然として提供する。分子量の上限は、該錯体の挙動がその形成成分の量に依存するために、もちろんのこと選択されたポリマー並びに該活性成分に依存する。
一部の実施態様では、錯化剤が揮発を促進し得る。
上記特定の薬剤に加えて、種々の医薬活性成分、薬剤、及び生物活性物質のいずれかが錯体を形成するのに用いられ得る。以下は具体的な活性成分の非限定的なリストである。
【0039】
広い種類の薬剤、生物活性物質及び医薬活性成分が用いられ得る。有用な医薬の例は、ACE阻害剤、抗狭心症剤、抗不整脈剤、抗喘息剤、抗コレステロール剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗痙攣剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗下痢製剤、解毒剤、抗ヒスタミン剤、抗高血圧剤、抗炎症剤、抗脂質剤、抗躁剤、抗嘔吐剤、抗脳卒中剤、抗甲状腺製剤、抗腫瘍剤、抗ウイルス剤、ニキビ薬、アルカノイド、アミノ酸製剤、鎮咳剤、抗尿酸血症剤、抗ウイルス剤、同化製剤、全身性及び非全身性抗感染症剤、抗新生物剤、抗パーキンソン病剤、抗リウマチ剤、食欲刺激剤、生物学的応答改良剤、血液改良剤、骨代謝調整剤、心臓血管系剤、中枢神経系刺激剤、コリンエステラーゼ阻害剤、避妊剤、充血除去剤、栄養補助剤、ドーパミン受容体作用剤、子宮内膜症管理剤、酵素、勃起不全治療剤、不妊治療剤、胃腸剤、同種療法剤、ホルモン、抗カルシウム血症及び低カルシウム血症管理剤、免疫賦活剤、免疫抑制剤、偏頭痛製剤、動揺治療剤、筋肉弛緩剤、 肥満管理剤、骨粗鬆症製剤、子宮収縮剤、副交感神経遮断剤、副交感神経興奮剤、プロスタグランジン、精神治療剤、呼吸器系剤、鎮静剤、禁煙補助剤、交感神経遮断剤、震え製剤、尿路剤、血管拡張剤、下剤、制酸剤、イオン交換樹脂、抗発熱剤、食欲抑制剤、排痰剤、抗不安症剤、抗潰瘍剤、抗炎症性物質、冠動脈拡張剤、脳動脈拡張剤、末梢血管拡張剤、向精神剤、興奮剤、抗高血圧剤、血管収縮剤、偏頭痛治療剤、抗生物質、トランキライザー、抗精神病剤、抗腫瘍薬剤、抗凝固剤、抗血栓症剤、睡眠剤、鎮吐剤、制吐剤、抗痙攣剤、神経筋剤、高及び低血糖剤、甲状腺及び抗甲状腺製剤、利尿剤、抗痙攣剤、子宮弛緩剤、抗肥満剤、赤血球生成剤、抗喘息剤、咳抑制剤、粘液溶解剤、DNA及び遺伝子組換え用薬剤、及びそれらの組み合わせを含む。
【0040】
本発明における使用を考慮される治療用活性成分の例は、制酸剤、H2-拮抗剤、及び鎮痛剤を含む。例えば、制酸製剤は成分の炭酸カルシウム単独、又は水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムと組み合わせて用いることで調製され得る。さらに、制酸剤はH2-拮抗剤との組み合わせで用いることができる。
鎮痛剤は、鎮静剤及び鎮静剤誘導体、例えばオキシコドン(Oxycontin(登録商標)として入手可能)、イブプロフェン、アスピリン、アセトアミノフェン、及び任意にカフェインを含み得るそれらの組み合わせを含む。
本発明における使用のための他の好ましい活性成分のための他の好ましい薬剤は、抗下痢剤、例えばインモジウムAD、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、充血除去剤、ビタミン、及び気分転換剤を含む。風邪、疼痛、発熱、咳、鬱血、鼻水及びアレルギー反応のために単独又は組み合わせて用いられる一般的な薬剤、例えばアセトアミノフェン、マレイン酸クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、偽エフェドリンHCl及びジフェンヒドラミンが本発明のフィルム組成物に含まれ得る。
【0041】
ここで使用のためにさらに考慮されるのは、抗不安剤、例えばアルパゾラム(Xanax(登録商標)として入手可能);抗精神病剤、例えばクロゾピン(Clozaril(登録商標)として入手可能)及びハロペリドール(Haldol(登録商標)として入手可能);非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、例えばジシクロフェナク(Voltaren(登録商標)として入手可能)及びエトドラク(Lodine(登録商標)として入手可能)、抗ヒスタミン剤、例えばロラタジン(Claritin(登録商標)として入手可能)、アステミゾール(Hismanal(登録商標)として入手可能)、ナブメトン(Relafen(登録商標)として入手可能)、及びクレマスチン(Tavist(登録商標)として入手可能);鎮吐剤、例えば塩酸グラニセトロン(Kytril(登録商標)として入手可能)及びナビロン(Cesamet(登録商標)として入手可能);気管支拡張剤、例えばBentolin(登録商標)、アルブテロールスルフェート(Proventil(登録商標)として入手可能);抗うつ剤、例えば塩酸フルオキセチン(Prozac(登録商標)として入手可能)、塩酸セルトラリン(Zoloft(登録商標)として入手可能)、及び塩酸パロキセチン(Paxil(登録商標)として入手可能);抗偏頭痛剤、例えばImigra(登録商標)、ACE-阻害剤、例えばエナラプリラット(Vasotec(登録商標)として入手可能)、カプトプリル(Capoten(登録商標)として入手可能)及びリシノプリル(Zestril(登録商標)として入手可能);抗アルツハイマー症剤、例えばニセルゴリン;及びCaH-拮抗薬、例えばニフェジピン(Procardia(登録商標)及びAdalat(登録商標)として入手可能)、及び塩酸ベラパミル(Calan(登録商標)として入手可能)である。
【0042】
勃起不全治療剤は、限定はしないが、陰茎への血流を容易にして自律神経活性を行うための薬剤、例えば増加性副交感神経性(コリン作用性)及び減少性交感神経性(アドレナリン作用性)活性剤を含む。有用な非限定的な薬剤は、シルデナフィル、例えばViagra(登録商標)、タダラフィル、例えばCialis(登録商標)、バルデナフィル、アポモルヒネ、例えばUprima(登録商標)、塩酸ヨヒンビン、例えばAphrodyne(登録商標)、及びアルプロスタジル、例えばCaverject(登録商標)を含む。
本発明における使用を考慮される一般的なH2-拮抗薬は、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン、ニザチジエン、エブロチジン、ミフェンチジン、ロキサチジン、ピサチジン及びアセロキサチジンを含む。
活性制酸性成分は、限定はしないが、水酸化アルミニウム、アミノ酢酸ジヒドロキシアルミニウム、アミノアセテート、アミノ酢酸、リン酸アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウム炭酸ナトリウム、重炭酸塩、アルミン酸ビスマス、炭酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス、ビスマスサブシリシレート、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸イオン(酸又は塩)、アミノ酢酸、水和マグネシウムアルミネートスルフェート、マガルドレート、アルミノケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、トリケイ酸マグネシウム、乳固形分、アルミニウム一塩基性リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、重炭酸カリウム、酒石酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルミノケイ酸マグネシウム、酒石酸及び塩を含む。
【0043】
本発明に用いられる医薬活性剤は、アレルゲン又は抗原、例えば、限定はしないが、草、木、又はブタクサの草木の花粉;動物の鱗屑、これは猫及び他の毛皮動物の皮膚及び毛髪から落ちた極少の鱗屑である;昆虫、例えばイエダニ、ハナバチ、及びカリバチ;及び薬剤、例えばペニシリンを含み得る。
抗酸化剤もフィルムに加えられ、特に活性成分が感光性である場合に該活性成分の劣化を妨げる。
化粧品活性剤は、メントールなどの気分転換性化合物、他の香料又は芳香剤、特に経口の衛生予防に用いられるもの、並びに歯及び経口洗浄に用いられる活性成分、例えば第四級アンモニウム塩基を含み得る。香料の効果は、酒石酸、クエン酸、バニリンなどのような風味強化剤で強化され得る。
さらに、一部の実施態様では、錯体が経口摂取可能フィルムへの導入前に味覚マスクされ得る。好適な味覚マスキング剤及び味覚マスクコーティングのための方法の詳細な記載は、国際出願第PCT/US02/32594号明細書、2002年10月11日に提出された表題“Uniform Films For Rapid Dissolve Dosage Form Incorporating Taste-Masking Compositions”に記載されており、これはWO 2003/030883(2002年9月27日に提出された同表題の米国仮出願第60/414,276号明細書の優先権を主張している)としても公開されており、その両内容をここで参照としてそれらの全内容を組み込む。
上記実施態様のいずれも、活性成分は約0.01〜60質量%の錯体で存在し得る。錯化剤は約0.2〜20質量%の錯体で存在し得る。上記錯化剤は約2,000以上の分子量を有し得る。
【0044】
ラベル表示、値付け、販売及び錯体の規制を満たす方法
本発明はまた、パッケージ化医薬製品を政府の薬剤規制に従うような様式でラベル表示する方法も意図する。特に、FDAは米国における医薬製品のためのパッケージ要求を規制している。製品パッケージは該製品に含有される活性成分のリストを含まなければならない。非活性成分は別に記載される。ここに記載されている一部の実施態様では、パッケージ化医薬製品が提供される。パッケージ化医薬製品が、上記のような錯体、該錯体の送達のための経口摂取可能フィルム、及び経口摂取可能フィルムを含有するためのパッケージを含む。証印が該パッケージに加えられ、これが経口摂取可能フィルムに含有される活性成分のリスト及び経口摂取可能フィルムに含有される非活性成分のリストを含む。該錯体は製品パッケージ上にある活性成分のリストに含まれる。特に、上記のように、該錯体は最初の活性成分とその相互作用によってそれ自体が活性成分である。錯化剤が該活性成分と相互作用して錯体を形成すると、最初の活性成分はそれ以上存在しない。従って、最初の活性成分を製品パッケージに記載することはFDA規制と矛盾する。むしろ、フィルムに含有される活性成分は錯体である。従って、錯体を証印上の活性成分リストに含むことはFDA規制と矛盾しない。さらに、そのような錯体を記載することは製品に含有される活性成分に関する情報を適切に消費者に提供する。
本発明は、パッケージ化経口摂取可能フィルム製品の販売価格を調整する方法も提供する。そのような方法では、医薬活性成分を含む経口摂取可能フィルム製品が選択される。経口摂取可能フィルム製品の製造価格が知られる。続いて、医薬活性成分との使用のための錯化剤が選択される。特定の錯化剤が選択されると、該錯化剤を供給者から購入する費用が見積もられる。さらに、該錯体を選択された錯化剤及び医薬活性成分から製造する費用が見積もられる。続いて、これらのさらなる費用見積もりに基づく経口摂取可能フィルム製品の製造費用における変化が決定される。製造費用におけるこの変化に基づいて、製品の販売価格が調整され得る。例えば、錯化剤を購入する費用は、製品を製造する費用に実質的に加えられる。そのようにして、製品1単位当たりの販売価格を上方に調整して増加した費用を計上してよい。
【0045】
フィルム製品の販売価格を調整して、種々の他の費用を補償してもよい。例えば、初めの活性成分よりも錯体を含むという製品の改良は、さらなる安全及び効能テストを必要とする。そのような臨床テストを行うこと、並びに認可のために試験結果を必要な規制機関に提出することに関する費用が生じる。錯体を含むという製品の改良は製品パッケージ上のラベル表示変化も必要とし得る。新規パッケージの開発及び製造も費用増加を伴う。製品1つ当たりの販売価格も同様にこれらのさらなる費用に基づいて調整され得る。
最終的に、製品の調整された販売価格が消費者市場で実行可能か否かの決定がなされ得る。調整済み販売価格が実行可能でない場合、製造費用の全ては再調査される必要があり、費用を減らすことができるかを決定する。
【0046】
本発明の一部の実施態様は、錯体を活性成分として含むパッケージ化された経口摂取可能フィルム製品のための販売価格を明らかにする方法を意図している。医薬活性成分及び錯化剤は、経口摂取可能フィルムに含まれる錯体を形成するために選択される。該錯化剤を供給者から購入する費用、並びに該医薬活性成分を供給者から購入する費用が見積もられる。該錯体を該医薬活性成分及び該錯化剤から製造する費用、並びに該錯体を含む経口摂取可能フィルムを製造及びパッケージする費用も見積もられる。該医薬活性成分及び該錯化剤に個々に行う安全性及び効能試験の総費用が見積もられる。続いて、該錯体のためのさらなる安全性及び効能試験が必要などうかの決定がなされる。さらなる安全性及び効能試験が規制機関、例えばFDAから政府の薬剤規制を満たすために必要されるときがある。そのようなさらなる試験が必要な場合、そのような試験を行い、その結果を規制機関に提出するのに伴う費用が見積もられる。最終的に、費用見積もりの全てを合わせて製品のために見積もった全製造費用を明らかにし、続いて販売価格をこの見積もった全製造費用に基づいて設定する。
【0047】
本発明はさらに、正確な薬剤情報をパッケージ化医薬製品の使用者に広める方法を意図する。正確な情報を医薬製品の使用者に提供することが重要であり、使用者は特定の製品を購入又は使用するか否かという情報に基づく決定をすることができる。例えば、一部の使用者は数種の医薬活性成分に対するアレルギー性反応を有するため、そのような活性成分を含有する製品を摂取できない。ここに提供されている方法では、パッケージ化医薬製品が提供される。該製品は、上記のような錯体、該錯体の送達のための経口摂取可能フィルム及び該経口摂取可能フィルムを含有するためのパッケージを含む。パッケージ化医薬製品に含有される活性成分として錯体を識別する証印が提供される。証印はパッケージ化医薬製品に直接関連する。例えば、証印は製品上のラベル又は製品パッケージ内の挿入物でよい。さらに、パッケージ上の証印の存在に対する変形として、証印は摂取可能フィルム自体の上に置かれてもよい。一部の他の実施態様では、証印は製品と間接的に関連し、例えばプリント、テレビ又はインターネット広告、又は医務室の製品冊子などである。使用者は、製品パッケージを読む、広告を見るなどによって証印に向けられ、パッケージ化医薬製品に含有されている活性成分に関する正確な情報を提供する。
【0048】
一部の実施態様では、本発明が錯体を活性成分として含有する経口摂取可能フィルム製品を販売する方法も提供する。それに従い、第一の医薬製品が識別される。この製品は、有効な医薬活性成分として使用者に販売される活性成分を含有する。第二の医薬製品が提供され、これは、錯化剤から形成される錯体及び第一の医薬製品に含有されているのと同じ活性成分を含む。該製品は錯体の送達のための経口摂取可能フィルムも含む。使用者は、第二の医薬製品に含有される錯体が第一の医薬製品に含有される活性成分と同じ効力を提供することを知らされる。そのような宣伝は広告、例えばプリント、テレビ及びインターネット広告で行われ得る。教示する製品情報が内科医に供給され、患者に広められ得る。第二の医薬製品はこれに基づいて販売され得る。
【0049】
本発明はさらに、錯体を活性成分として含む経口摂取可能フィルムのための規制期間によって公表されている薬剤規制を満足する方法を目的としている。該方法に従って、錯化剤のための安全性及び効能試験結果及び医薬活性成分のための安全性及び効能試験結果が規制機関、例えばFDAに提出される。錯体のさらなる安全性及び効能テストが規制機関で必要とされるか否かの決定がなされる。そのようなさらなるテストが規制を満たすのに必要とされる場合、これらのテストが行われ、その結果が規制機関に提出されて経口摂取可能フィルム製品のための薬剤規制が満たされる。さらに、フィルム製品のパッケージ上におけるラベル表示の変化が薬剤規制を満たすのに必要か否かの決定がなされ得る。特に、ラベル表示は変化を必要とし、製品に含有される活性成分として該錯体を適切に識別する。必要に応じて、製品ラベル表示を変化させて政府の薬剤規制も満たし得る。
【0050】
実施例
実施例1:
錯体の送達のための経口摂取可能フィルムを含む本発明のパッケージ化医薬製品を製造した。
まず、錯体を、錯化剤である16.24gの高純度に架橋されたポリスチレンコポリマーのナトリウム形態(商品名Tulsion 344でThermaxから市場で入手可能)を8オンスのスクリューキャップボトルに125mLの蒸留水と共に入れ、電磁攪拌機で5分間攪拌することによって調製した。最初の活性成分である5.41gのロペラミドHClをボトルに加え、電磁攪拌機により16時間ボトル上のスクリューキャップと共に攪拌した。架橋ポリスチレンコポリマー対ロペラミドHClの比は3:1とした。反応混合物はブフナー漏斗を介して濾過し、固体材料を液体から分離した。固体材料を濾過器上にて蒸留水で洗浄した。濾液を保存した。濾過器に収集された固体材料を空気乾燥した。
続いて固体材料を95℃の空気オーブン中、アルミニウムホイル皿で2.5時間乾燥させ、一定質量の乾燥材料を達成した。20.964gの乾燥材料を回収した。錯体である乾燥した固体材料を60メッシュスクリーンで篩にかけスクリューキャップボトルに保存した。
【0051】
錯体を組み込んでいる経口摂取可能フィルムを表1に記載の成分で調製した。
表1

1 Magna Sweet 100、Mafco Worldwide Corpから購入。
【0052】
経口摂取可能フィルムを調製するために、まずメントール、青色、二酸化チタン及び蒸留水をDegussa 1100ボウルに加えた。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリデキストロース、スクラロース及び風味強化剤の混合物を調製し、そのボウルに加えた。混合物をDegussa Multivac Compact装置を用いて20分間(125rpm、60%真空)で攪拌した。混合物は続いて20分間(125rpm、90%真空)、12分間(125rpm、98%真空)及び8分間(125rpm、100%真空)攪拌してマスターバッチを形成した。
経口摂取可能フィルムの第一のバッチでは、4.298gの固体を含有する18.698gのマスターバッチを小さい繊維性ガラスボウルに加えた。0.006g(0.1質量%)のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、0.06g(1質量%)の冷却剤、0.17g(3質量%)のメントール及び0.28g(5質量%)のラズベリー香料の溶液をボウルに加えた。該溶液はDegussa Multivac Compact装置を用いて4分間攪拌(125rpm、100%真空)することで調製した。上記のように調製した0.79g(14.13質量%)の錯体を加えた。溶液を4分間(100rpm、100%真空)攪拌した。溶液を、フィルムに335μmにセットしたμmの調整可能なV字バーを有するK-コントロールコーターで成形した。フィルムを13分間80℃の空気オーブンで乾燥させた。最終フィルムは4.84%の含水量を有した。フィルムを1/4にそれぞれ50mgの1インチストリップに切った。
【0053】
経口摂取可能フィルムの第二のバッチでは、4.298gの固体を含有する18.698gのバスターバッチを小さな繊維性ガラスボウルに入れた。0.006g(0.1質量%)のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、0.06g(1質量%)の冷却剤及び0.45g(8質量%)のペパーミント香料の溶液をボウルに加えた。該溶液はDegussa Multivac Compact装置で4分間(125rpm、100%真空)攪拌することによって調製した。上記の調製した0.79g(14.13質量%)の錯体を加えた。溶液を4分間攪拌した(100rpm、100%真空)。溶液をフィルムに成形し、上記第一のバッチで記載したように乾燥した。最終的なフィルムは2.94%の含水量を有した。フィルムを1/4にそれぞれ51-57mgの1インチストリップに切った。
上記第一及び第二のバッチで調製した経口摂取可能フィルムは錯体を含み、本発明に従ってパッケージ化することができる。例えば、経口摂取可能フィルムは個々にポーチにパッケージ化される。各ポーチは頂部及び底部層を有する。経口摂取可能フィルムをそこに配置すると、該ポーチの頂部及び底部層は周辺に沿って加熱密閉で密閉される。該ポーチの外部は底部及び/又は頂部層に、そこに収容される経口摂取可能フィルムに含有される活性成分を記載している証印を含む。フィルムに含有される錯体は、活性成分のこのリストに含まれる。錯体自体は、最初の活性成分であるロペラミドよりも、化学物質として活性成分のこのリストに記載される。従って、各ポーチが使用者に対して経口摂取可能なフィルムに含有される活性成分に関する適切な情報を提供する。
【0054】
実施例2:
錯体の送達のための経口摂取可能フィルムを含む本発明のパッケージ化医薬製品を調製した。
まず、錯体を、錯化剤である4gの高度に精製した架橋されたポリスチレンコポリマーのナトリウム形態(商品名Tulsion 344で市場で入手可能)を、16gの蒸留水の入った50mLのビーカーに入れ、電磁攪拌機で5分間攪拌することによって調製した。初期活性成分である2gのデキストロメトルファンヒドロブロマイドをビーカーに加え、電磁攪拌機で約3時間45分攪拌した。反応混合物を沈殿させ、水相をデカントした。追加の水をビーカーに加えて沈殿させた。水相を再びデカントして除去した。錯体である固体反応生成物は15時間30℃の空気オーブンで乾燥させた。
【0055】
該錯体を組み込んでいる経口摂取可能フィルムを、表2に記載されている成分で調製した。
表2

1 Magna Sweet 100、Mafco Worldwide Corpから購入。
2 Prosweet Flavor N&A K、Virginia Dareから購入。
【0056】
経口摂取可能フィルムを調製するために、まずポリジメチルシロキサンエマルジョン、蒸留水及び赤色食品着色剤を、添加口を供えたDegussa 1100ボウルに加えた。続いて、混合物をDegussa Multivac Compact装置を用いて4分間(100rpm、0%真空)攪拌した。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、スクラロース及び第一の風味強化剤の混合物を、該混合物に加えた。この混合物を20分間(100rpm、0%真空)、4分間(100rpm、90%真空)、4分間(100rpm、100%真空)及び4分間(100rpm、100%真空)攪拌した。上記のように調製した錯体を加えた。続いて混合物を4分間(100rpm、30%真空)攪拌した。3.51gの水を加えると30%の固体を生じ、第二の風味強化剤、マスキング剤、バブルゴム香料及びペパーミント香料を加えた。
該溶液を、350μmの滑らかなバーを有するK-コントロール被覆機を用いて剥離紙上でフィルムに成形した。フィルムを8分間90℃の空気オーブンで乾燥した。最終フィルムは7.02%の含水量を有した。
上記の調製したフィルムを、個々の経口摂取可能フィルム投与単位に分割することができる。経口摂取可能フィルムは錯体を含み、本発明に従ってパッケージ化することができる。例えば、経口摂取可能フィルムを実施例1に記載のようにポーチにパッケージ化することができる。あるいは、多数の経口摂取可能フィルムをカセットにパッケージ化することができる。さらに詳細には、経口摂取可能フィルムをカセット内に積層した。証印をカセットの外表面に配置し、これはそこに収容される経口摂取可能フィルムに含まれる活性成分のリストを含む。錯体自体は、最初の活性成分であるデキストロメトルファンよりも、化学物質として活性成分のこのリストに記載される。従って、パッケージが使用者に対して製品に含有される活性成分を適切に示す。
【0057】
実施例3:
錯体の送達のための経口摂取可能フィルムを含む本発明のパッケージ化医薬製品を調製した。
まず、錯体を、錯化剤である13.5gの高純度架橋ポリスチレンコポリマーのナトリウム形態(商品名Tulsion 344で市場から入手可能)を、8オンスのスクリューキャップボトルに100mLの蒸留水と共に入れ、電磁攪拌機で5分間攪拌することによって調製した。初期の活性成分である5.4gの二塩酸セチリジン(ZyrtecとしてPfizerから市場で入手可能)をボトルに加え、電磁攪拌機により16時間ボトル上にあるスクリューキャップで攪拌した。高度に精製した架橋されたポリスチレンコポリマーの二塩酸セチリジンに対する割合は2.5〜1とした。反応混合物をブフナー漏斗で濾過し、固体材料を液体から分離させた。固体材料を濾過器上にて蒸留水で洗浄した。濾液を保存した。
濾過器で収集した固体材料は95℃の空気オーブンにおいてアルミニウムホイル皿で2時間乾燥させ、乾燥材料の一定質量を達成した。17.06gの乾燥材料を回収した。錯体である乾燥固体材料を60メッシュスクリーンで篩にかけ、スクリューキャップボトルに保存した。
【0058】
該錯体を組み込んでいる経口摂取可能フィルムを表3に記載されている成分で調製した。
表3

1 Magna Sweet 100、Mafco Worldwide Corpから購入。
【0059】
経口摂取可能フィルムを調製するために、メントール、赤及び青色、及び水を小さな繊維性ガラスボウルに入れた。ポリエチレンオキシド、コーンスターチ、ポリデキストロース、スクラロース及び風味強化剤の混合物をボウルに加えた。溶液をDegussa Multivac Compact装置で20分(100rpm、60%真空)、20分(100rpm、90%真空)、12分(100rpm、98%真空)及び続いて8分(100rpm、100%真空)間攪拌することによって調製した。水を該溶液に加えて水分損失を補った。続いて、溶液を4分間(100rpm、100%真空)攪拌した。BHT、冷却剤、多肉果及びグレープ香料の溶液を加え、続いてさらに4分間(100rpm、100%真空)攪拌した。錯体を溶液に加えた。
溶液を、フィルムに500μmにセットしたμmの調整可能なV字バーを有するK-コントロールコーターで成形した。フィルムを14分間80℃の空気オーブンで乾燥させた。最終フィルムは2.49%の含水量を有した。フィルムを1/4にそれぞれ110mgの1インチストリップに切った。
これらの経口摂取可能フィルムストリップが錯体を含み、本発明に従ってパッケージ化することができる。例えば、経口摂取可能フィルムを実施例1に記載したようにポーチにパッケージ化することができ、多数のフィルムを実施例2に記載したようにカセットに積層することができる。証印をポーチ又はカセットの外表面上に配置させ、これは錯体をパッケージに含有されるフィルムに含まれる活性成分として記載し、それによって使用者に対して製品に含有される活性成分を適切に示す。
【0060】
実施例4:
錯体の送達のための経口摂取可能フィルムを含む本発明のパッケージ化医薬製品を調製した。
まず、表4に記載されている成分を含む錯体を調製した。
表4

1 Cavamax W7、Wacker Chemie AGから購入。
【0061】
ナプロキセン及びシクロデキストリンを水に加え、電磁攪拌機で4時間60℃で攪拌した。溶液を真空下の回転式蒸留装置で蒸発させた。残りの粉末を一定質量になるまで機械オーブンを用いて80℃で乾燥させ、錯体を形成した。
該錯体を組み込んでいる経口摂取可能フィルムを表5に記載されている成分で調製した。
表5

1 Magna Sweet 100、Mafco Worldwide Corpから購入。
【0062】
経口摂取可能フィルムを調製するために、7.5gの水を80℃までDegussaボウルで加熱した。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリデキストロース、スクラロース、風味強化剤、メントール、青色及び二酸化チタンを該ボウルに加え、Degussa Multivac Compact装置を用いて2時間攪拌した。温度はこの2時間に渡って冷却した。混合の1時間は室温にした。30分かけて全ての空気が除去されるまで真空を徐々に混合と共に加えた。ラズベリー香料を加え、再び12分間真空(28インチHg)にした。続いて錯体を加え、攪拌しながら真空(28インチHg)にして全ての空気を除去した。溶液/懸濁液を、リリースペーパー上に530μmのμmセッティングを有するK-コントロールコーターでコーティングした。フィルムを8分間80℃の空気オーブンで乾燥させた。フィルムを1/4に80mgの1インチストリップに切った。
これら個々の経口摂取可能フィルムストリップは錯体を含み、本発明に基づいてパッケージ化することができる。例えば、経口摂取可能フィルムを実施例1に記載したようにポーチにパッケージ化することができ、多数のフィルムを実施例2に記載したようにカセットに積層することができる。証印をポーチ又はカセットの外表面上に配置させ、これは錯体をパッケージに含有されるフィルムに含まれる活性成分として記載し、それによって使用者に対して製品に含有される活性成分を適切に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ化された医薬製品であって、
錯化剤及び活性成分を含む錯体、
該錯体の送達のための経口摂取可能なフィルム、及び
該経口摂取可能なフィルムを含有するためのパッケージ、
を含み、該パッケージが該錯体を規制認可された化学物質として識別するそれに関連した証印を含む、医薬製品。
【請求項2】
前記活性成分が荷電活性成分を含む、請求項1記載の医薬製品。
【請求項3】
前記錯化剤がアニオン性錯化剤を含む、請求項1記載の医薬製品。
【請求項4】
前記錯化剤がカチオン性錯化剤を含む、請求項1記載の医薬製品。
【請求項5】
前記荷電活性成分がアニオン性活性成分を含む、請求項2記載の医薬製品。
【請求項6】
前記荷電活性成分がカチオン性活性成分を含む、請求項2記載の医薬製品。
【請求項7】
前記錯化剤が多価塩を含む、請求項1記載の医薬製品。
【請求項8】
前記錯化剤がゼオライトを含む、請求項1記載の医薬製品。
【請求項9】
前記錯化剤がイオン交換樹脂を含む、請求項1記載の医薬製品。
【請求項10】
前記錯化剤がカゴ分子を含む、請求項1記載の医薬製品。
【請求項11】
前記カゴ分子がシクロデキストリンを含む、請求項10記載の医薬製品。
【請求項12】
前記パッケージがポーチを含む、請求項1記載の医薬製品。
【請求項13】
前記パッケージがボックスを含む、請求項1記載の医薬製品。
【請求項14】
前記パッケージがカセットを含む、請求項1記載の医薬製品。
【請求項15】
前記証印がラベルを含む、請求項1記載の医薬製品。
【請求項16】
前記ラベルが前記パッケージ上に配置されている、請求項15記載の医薬製品。
【請求項17】
前記ラベルが前記パッケージに貼られている、請求項15記載の医薬製品。
【請求項18】
前記証印が活性成分のリストを含む、請求項1記載の医薬製品。
【請求項19】
前記証印が前記錯体を活性成分として識別する、請求項1記載の医薬製品。
【請求項20】
パッケージ化された医薬製品を政府の薬剤規制に従う様式でラベル表示する方法であって、
(a)以下を含有するパッケージ化された医薬製品を提供する工程:
(i)錯化剤及び医薬活性成分を含む錯体;
(ii)該錯体の送達のための経口摂取可能フィルム;及び
(iii)経口摂取可能フィルムを含有するためのパッケージ;及び
(b)証印を該パッケージに加える工程、
を含み、該証印は経口摂取可能フィルムに含有される活性成分のリスト及び該経口摂取可能フィルムに含有される非活性成分のリストを含み、該錯体が活性成分として記載されている、方法。
【請求項21】
工程(b)において前記パッケージに貼られている前記証印が、前記錯体を規制認可された化学物質として識別する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
パッケージ化された経口摂取可能なフィルム製品の販売価格を調整する方法であって、
(a)医薬活性成分を含む経口摂取可能フィルム製品を選択する工程、該製品は販売費用を有する;
(b)医薬活性成分との使用のための錯化剤を選択し、錯体を形成する工程;
(c)該錯化剤を供給者から購入する費用を見積もる工程;
(d)該錯体を製造する費用を見積もる工程;
(e)工程(c)及び(d)のさらなる費用見積もりに基づく経口摂取可能フィルム製品の製造費用における変化を決定する工程;及び
(f)製造費用における変化に基づく製品の販売価格を調整する工程、
を含む、方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法であって、
(g)前記錯体に関連するさらなる安全性及び効能試験が必要どうか決定する工程;及び
(h)該さらなる安全性及び効能試験に関連する費用を見積もる工程;
をさらに含み、工程(e)が工程(h)のさらなる費用見積もりに基づく経口摂取可能なフィルム製品の製造費用における変化を決定する工程をさらに含む、方法。
【請求項24】
請求項22記載の方法であって、
(i)前記製品パッケージ上のラベル表示における変化が前記錯体を活性成分として記載することを必要とするか否かを決定する工程、及び
(j)該ラベル表示変化に関連する費用を見積もる工程、
をさらに含み、工程(e)が工程(j)のさらなる費用見積もりに基づく経口摂取可能なフィルム製品の製造費用における変化を決定する工程をさらに含む、方法。
【請求項25】
工程(f)の調整された販売価格が市場で実行可能か否かを決定する工程をさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項26】
正確な薬剤情報をパッケージ化された医薬製品の使用者に宣伝する方法であって、
(a)以下を含有するパッケージ化された医薬製品を提供する工程、
(i)錯化剤及び医薬活性成分を含む錯体;
(ii)該錯体の送達のための経口摂取可能フィルム;及び
(iii)該経口摂取可能フィルムを含有するパッケージ;
(b)該錯体を該パッケージ化された医薬製品に含有される活性成分として識別する証印を提供する工程、及び
(c)使用者に該証印を曝し、該パッケージ化された医薬製品に含有される活性成分に関する正確な情報を提供する工程、
を含む、方法。
【請求項27】
錯体を活性成分として含有する経口摂取可能なフィルム製品を使用者に販売する方法であって、
(a)有効な医薬製品として使用者に販売される活性成分を含有する第一の医薬製品を識別する工程;
(b)以下を含む第二の医薬製品を提供する工程:
(i)錯化剤及び工程(a)の活性成分を含む錯体;及び
(ii)該錯体の送達のための経口摂取可能フィルム;
(c)使用者に該第二の医薬製品に含有される錯体が該第一の医薬製品に含有される活性成分と同じ効能を提供することを知らせる工程;及び
(d)該第二の医薬製品を使用者に販売する工程、
を含む、方法。
【請求項28】
錯体を活性成分として含むパッケージ化された経口摂取可能フィルム製品のための販売価格を明らかにする方法であって、
(a)医薬活性成分及び錯化剤を選択し、該経口摂取可能フィルムに含まれる該錯体を形成する工程;
(b)該錯化剤を供給者から購入する費用を見積もる工程;
(c)該医薬活性成分を供給者から購入する費用を見積もる工程;
(d)該錯体を該医薬活性成分及び該錯化剤から製造する費用を見積もる工程;
(e)該錯体を含む該経口摂取可能フィルムを製造及びパッケージする費用を見積もる工程;
(f)該医薬活性成分及び錯化剤に個々に行われた安全性及び効能試験の総費用を見積もる工程;
(g)該錯体のためにさらなる安全性及び効能試験が必要どうか決定する工程;
(h)工程(g)のさらなる安全性及び効能試験に関連する費用を見積もる工程;
(i)前述の工程の費用を加え、見積もった全製造費用を明らかにする工程;及び
(j)該パッケージ化された経口摂取可能フィルム製品の見積もった全製造費用に基づく販売価格を設定する工程、
を含む、方法。
【請求項29】
錯化剤及び医薬活性成分を含む錯体を活性成分として含む経口摂取可能フィルムのための規制機関によって推奨される薬剤規制を満たす方法であって、
(a)該錯化剤のための安全性及び効能試験結果及び該医薬活性成分のための安全性及び効能試験結果を該規制機関に提出する工程;
(b)該錯体のためにさらなる安全性及び効能試験が該規制機関によって必要とされるかどうかを決定する工程;
(c)工程(b)の安全性及び効能試験を実施する工程;及び
(d)工程(c)の安全性及び効能試験の結果を該規制機関に提出し、経口摂取可能フィルム製品のための該規制機関の薬剤規制を満たす工程、
を含む、方法。
【請求項30】
前記経口摂取可能なフィルムのためのパッケージ上のラベル表示における変化が、規制機関によって前記錯体を活性成分として記載することを必要とするか否かを決定する工程をさらに含む、請求項29記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−523581(P2010−523581A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502231(P2010−502231)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/058877
【国際公開番号】WO2008/121951
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(507026110)モノソル アールエックス リミテッド ライアビリティ カンパニー (15)
【Fターム(参考)】