説明

録画装置およびファイル分割方法

【課題】ファイル分割をしてコンテンツをダビングする際に、分割後のファイルサイズが小さすぎないようにする。
【解決手段】実施形態の録画装置は、コンテンツ選択受付手段と、分割サイズ算出手段と、分割手段と、送信手段とを備える。コンテンツ選択受付手段は、可搬記憶媒体に記録させるコンテンツデータの選択を受付ける。分割サイズ算出手段は、選択を受付けた前記コンテンツデータを所定のファイルサイズ以内の複数ファイルに分割する場合に、分割後の各ファイルのファイルサイズが予め定められた最低分割容量以上となる分割サイズを算出する。分割手段は、前記分割サイズで前記コンテンツデータを分割した場合の剰余データの再生時間が予め定められた最低再生時間より小さい場合には、前記剰余データを他の前記分割後のファイルに付加して前記コンテンツデータを分割する。送信手段は、分割された複数のファイルを前記可搬記憶媒体に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、録画装置およびファイル分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビジョン受像装置に接続された録画装置や、HDD等の記録部を内蔵するテレビジョン受像装置によって録画した動画コンテンツを、SDカード等の可搬記憶媒体にダビングまたはムーブ(以降では、ダビングと称する)して、携帯型電子機器やその他の再生装置でそのコンテンツを再生して視聴することが広く行われている。
【0003】
ところで、動画コンテンツは、可搬記憶媒体にダビングされる際、可搬記憶媒体や再生側の仕様により複数のファイルに分割される場合がある。例えば、可搬記憶媒体にSDカードに用いた場合、動画コンテンツはSD−Video規格に基づいたファイルサイズ(例えば、2GB)のファイルに分割されて記憶媒体にダビングされる。また、ファイルの分割に係る従来技術として、チャプタ情報に基づいて各々のチャプタ前後に分割禁止位置を設けて分割位置を決定するデータ処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−300906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、分割後のファイルの大きさを考慮してはいないため、複数のファイルに分割した際に、ファイルサイズが極端に小さいファイルが生成されてしまう場合があった。この場合、ファイルサイズの小さなファイルは、他の分割ファイルの再生時間と比べて著しく短くなることがあるため、利便性の観点から改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ファイルを分割してコンテンツをダビングする際に、分割後のファイルサイズが小さすぎないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の録画装置は、コンテンツ選択受付手段と、分割手段と、送信手段とを備える。コンテンツ選択受付手段は、可搬記憶媒体に記録させるコンテンツデータの選択を受付ける。分割手段は、選択を受付けた前記コンテンツデータを複数に分割する際に、分割後のサイズが最小である最小データの再生時間が予め定められた最低再生時間以上となるように、或いは、前記最小データのサイズが予め定められた最低サイズ以上となるように前記コンテンツデータを分割する。送信手段は、前記分割手段によって分割された複数のデータを前記可搬記憶媒体に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る録画装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、コンテンツデータのファイル構成を説明する模式図である。
【図3】図3は、コンテンツのメタデータが含まれるmoovの構成を示す模式図である。
【図4】図4は、ファイル分割方法を説明する模式図である。
【図5】図5は、ファイル分割方法を説明する模式図である。
【図6】図6は、録画装置が実行するファイル分割処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、第2の実施形態に係るファイル分割方法を説明する模式図である。
【図8】図8は、録画装置が実行するファイル分割処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる録画装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、録画装置1には、バスやインターフェース(I/F)によって表示装置300やスピーカ400が接続される。表示装置300としては、例えば液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等を用いることができる。また、スピーカ400は表示装置300に内蔵されていてもよい。
【0010】
まず、録画装置1のハードウェア構成について説明する。録画装置1は、デジタル放送で放送される番組コンテンツ(以下、コンテンツと称する)を録画する。図1に示すように、録画装置1は、チューナー3と、記憶部4と、信号処理部5と、映像・音声出力部6と、ネットワークI/F7と、ダビング部8と、可搬記憶媒体I/F9と、制御部10と、トランスコード部20とを備えており、これらがバス等で接続されて構成されている。
【0011】
尚、本実施の形態では、録画装置1を、記憶部4としてHDD(Hard Disc Drive)を備えるHDDレコーダに適用した例について説明するが、これに限定されるものではない。その他の例としては、同時に複数のチャンネルの番組のコンテンツデータを、USBやLANによって接続された外付けのHDDや、内蔵するHDDに録画することが可能なテレビジョン受像装置に適用することができる。尚、この場合には、表示装置300と、スピーカ400とが録画装置1に内蔵され、外付けHDDとして録画装置1に記憶部4が接続される。
【0012】
チューナー3は、放送局からアンテナ2を介してコンテンツデータを受信し、記憶部4および制御部10に出力する。ここで、コンテンツデータとは、コンテンツの動画データおよび音声データ、その他の制御データ等が多重化されたトランスポートストリーム(TS)のことである。
【0013】
記憶部4は、制御部10の指示に従い、チューナー3から出力されたコンテンツデータを格納(録画)する。信号処理部5は、制御部10の指示に従い、記憶部4が格納するコンテンツデータを映像信号と音声信号とに変換し、映像・音声出力部6に出力する。
【0014】
映像・音声出力部6は、入力された映像信号および音声信号を、各種インターフェースを介して表示装置300およびスピーカ400に出力する。これにより、表示装置300にはコンテンツの映像が表示され、当該映像と同期してコンテンツの音声がスピーカ400から出力される。
【0015】
また、録画装置1は、可搬記憶媒体I/F9を介して接続される可搬記憶媒体200との間でデータの授受を行う。可搬記憶媒体200は、例えばSDメモリカードやSDHCメモリカード等である。可搬記憶媒体I/F9としては、例えばSDメモリカードスロットがある。尚、図示しないメモリカードリーダライタ装置やモバイル機器をUSBで接続して可搬記憶媒体200の読み書きを行うとしてもよい。
【0016】
また、録画装置1は、可搬記憶媒体I/F9を介してコンテンツをSD−VIDEOフォーマットにて出力するために、制御部10の指示に従いトランスコード部20にてチューナー3から出力されたコンテンツデータを前記SD−VIDEOフォーマットに変換し、記憶部4に格納する。
【0017】
トランスコード部20は、ユーザの録画設定に応じて制御部10の指示のもと、入力されたコンテンツデータのファイルフォーマットや映像フォーマットを他のフォーマットに変換(トランスコード)する。具体的に、トランスコード部20は、予め定められた設定によりMPEG2からH.264に変換したり、TSファイルフォーマットからMP4ファイルフォーマットに変換し、出力する。なお、トランスコード部20は、設定により例えばTSファイルフォーマットからTSファイルフォーマット等、変換を行わずそのまま出力することもできるものとする。
【0018】
ダビング部8は、記憶部4に格納されているコンテンツを後述する制御部10の制御によって、可搬記憶媒体200にダビングする。このようにコンテンツがダビングされた可搬記憶媒体200を図示しない再生機器に接続し、当該再生機器にてコンテンツデータの再生読み取りを行うことにより、再生機器にてこのコンテンツを再生することができる。
【0019】
制御部10は、MPU(Micro Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えており、信号処理部5や映像・音声出力部6を制御して、記憶部4が格納する映像に対する各種処理を行う。また、制御部10は、ダビング部8を制御して、可搬記憶媒体200との間で各種データの授受を行う。
【0020】
次に、録画装置1の機能的構成について説明する。録画装置1の制御部10は、MPUがROMに記録されたプログラムをRAMに展開して実行することにより、図1に示すように、表示制御部11と、メディア検出部12と、コンテンツ選択受付部13と、分割サイズ算出部14と、ファイルサイズ判定部15と、分割部16として機能する。
【0021】
表示制御部11は、チューナー3を介して取得した電子番組ガイド(EPG)や、記憶部4に格納されているコンテンツのリスト、録画や再生等の動作を選択するメニュー画面、各種選択を受付けるGUI(Graphical User Interface)等を、映像・音声出力部6を介して表示装置300に表示させる。また、表示制御部11は、記憶部4に格納されているコンテンツのリストから、可搬記憶媒体200にダビングするコンテンツ(対象コンテンツ)を選択させるためのコンテンツ選択画面(不図示)を表示装置300に表示させる。
【0022】
メディア検出部12は、可搬記憶媒体I/F9に可搬記憶媒体200が接続された場合に、可搬記憶媒体200が接続されたことを検出する。そして、メディア検出部12は、可搬記憶媒体200の規格や、記憶可能容量や、ファイルシステム、データ転送速度等、可搬記憶媒体200に関する情報を取得する。
【0023】
コンテンツ選択受付部13は、上述したコンテンツ選択画面から、可搬記憶媒体200にダビング(ダビングまたはムーブ)するコンテンツ(対象コンテンツ)の選択を受付ける。また、コンテンツ選択受付部13は、選択された対象コンテンツに付加されているメタデータを読み込んで、対象コンテンツのファイルサイズ等を取得する。
【0024】
尚、コンテンツ選択画面には、記憶部4以外に格納されているコンテンツを表示してもよい。即ち、ネットワークI/F7およびネットワーク(不図示)を介して録画装置1と接続された記憶装置(不図示)に格納されているコンテンツを表示して、当該コンテンツの選択を受付ける形態としてもよい。
【0025】
ここで、コンテンツデータのファイル構成について説明する。尚、本実施形態では、コンテンツデータとして、ファイルフォーマットがMP4、映像コーデック方式がMPEG−4 Part 10 Advanced Video Coding(MPEG−4 AVC)であるmp4ファイルを用いる場合について説明するが、コンテンツデータの映像コーデック方式はこれに限定されるものではない。その他の例として、MPEG2等の映像コーデック方式のコンテンツデータに対して、本実施形態にかかるファイル分割方法を実施するとしてもよい。
【0026】
図2は、コンテンツデータ(ファイルF)のファイル構成を示す模式図である。図2に示すように、ファイルFは、ftypと、mdatと、moovを含むボックス構造となっている。
【0027】
ここで、ftypは、ファイルタイプを記述するボックスであり、ファイルの先頭に一つだけ含まれる。mdatは、メディアデータが含まれるボックスであり、動画データや音声データ等のコンテンツデータ本体が格納される。尚、ファイルFには複数のmdatボックスが含まれていてもよい。moovは、メタデータが含まれるボックスであり、ファイルFに一つだけ含まれる。メタデータとして含まれる情報としては、各トラック(動画、音声等)のヘッダ情報やコンテンツの内容を示すメタ記述や、時刻情報等が含まれる。
【0028】
図3は、コンテンツのメタデータが含まれるmoovの構成を示す模式図である。図3に示すように、moovの内部もまたボックス構造となっており、トラックデータ再生単位ごとのデータ長(トラックのサンプル数)の表が格納されるstsz(Sample Table Sample Size)、トラックの再生時間等が格納されるmvhd、トラックデータの単位ごとの再生時間の表が格納されるstss(Sample Table Sync Sample)等のボックスが含まれている。尚、stssには、トラックデータのランダムアクセスが可能な位置(シンクサンプル:Sync Sample)が格納されている。
【0029】
一般的に、ファイルFを可搬記憶媒体200にダビングする場合には、ファイルFをメディアの規格に準拠したファイル制限容量A(所定のファイルサイズ)以内である複数のファイルに分割してダビングを行う。
【0030】
例えば、SDカードアソシエーションによるSDビデオ規格(ISDB-T Mobile Video Profile)においては、同SDビデオ規格準拠のMPEG−4、AVC/H.264のファイルサイズを2GBに制限することが勧告されている。従って、ファイルFをSDメモリカード(可搬記憶媒体200)にダビングする場合には、ファイルFは2GB以内の複数のファイルに分割される。
【0031】
分割サイズ算出部14は、対象コンテンツのコンテンツデータ(ファイルF)をメディアの規格に準拠したファイル制限容量A(例えば、2GB)以内である複数のファイル(図4の例では、ファイルf1、f2、f3)に分割する場合に、分割後の各ファイルのmdatのファイルサイズが、このmdatの平均ビットレートと最低再生時間sの積から求まる最低分割容量x以上となるようなファイルFの分割サイズdを算出する。なお、最低分割容量xの導出方法については後述する。
【0032】
ここで、図4および図5を参照して、本実施の形態に係るファイルFの分割方法を説明する。図4および図5は、本実施の形態に係るファイル分割方法を説明する模式図である。図4では、ファイルFにおけるmdatのファイルサイズをd0、moovのファイルサイズをm0とし、これをファイルf1、f2、f3に分割する場合について説明する。尚、ここでは分割後のファイル数を3つとしているが、分割後のファイル数はファイルFのデータサイズによって変化するため特に限定されるものではない。
【0033】
図示するように、ファイルFに含まれるmdatを、ファイル制限容量A以下となるような分割サイズd(d≦A<d0)で先頭から分割していくと、分割後のファイルf1のmdatのファイルサイズd1と、ファイルf2のmdatのファイルサイズd2とは分割サイズdと同等となる(d1=d2=d)が、末尾のファイルf3のmdatのファイルサイズd3は分割サイズdよりも小さいデータサイズeとなる(d3=e)。
【0034】
また、分割後のファイルf1、f2、f3には、図示するようにftypと、moovがそれぞれ付加される。尚、ftypのファイルサイズpは、一般的には24Byteであり、moovのファイルサイズmは、mdatのファイルサイズによって変化する。
【0035】
このとき、図4に示すように、データサイズeが最低分割容量x以上(e≦x)であればファイルf3の再生時間は最低再生時間s以上となるが、図5のファイルFに示すように、データサイズeが最低分割容量x未満(e<x)の場合、ファイルf3の再生時間は最低再生時間s未満となってしまう。
【0036】
そこで、本実施の形態の録画装置1は、分割後の最後のファイルf3のデータサイズeが最低分割容量x未満の場合には、このデータサイズe分のファイルf3を生成しないよう、分割位置の再調整を行う。例えば、図5の例では、mdatの末尾に存在するデータサイズeのデータ(以下、剰余データという)を、直前のファイルf2のデータに追加することで、ファイルf2のファイルサイズは図4の例よりも大きなファイルサイズd2’となっている(d2’>d2)。なお、この場合であっても、ファイルf1、f2のファイルサイズはファイル制限容量A以下とする必要がある。以下では、分割位置の再調整を行った場合での、ファイル制限容量A以下の条件を満たす分割サイズdの算出方法について説明する。
【0037】
まず、分割サイズ算出部14は、stsz(図3参照)に格納されているトラックの再生単位(サンプル)ごとのデータサイズの合計バイトサイズと、mvhdの情報に基づいて求められるトラックの再生時間[秒]とから、下記式(1)に示すように、平均ビットレートα[bps]を算出する。尚、式(1)で用いられるトラックの再生時間は、mvhdボックス内のmvhd.durationをmvhd.TimeScale(ともに不図示)で除して算出することができる。
α=トラックのサンプルサイズの合計バイト数[Byte]×8[bit]/トラックの再生時間[s] (1)
【0038】
次に、分割サイズ算出部14は、算出した平均ビットレートα[bps]と、録画装置1の仕様として予め定められた最低再生時間s[秒]とを用いて、下記式(2)に示すように、最低分割容量x[Byte]を算出する。
x = α×s/8 (2)
【0039】
ところで、moovのファイルサイズはmdatの再生時間またはファイルサイズに比例して増加する。従って、分割前のファイルFのmoov、mdatのサイズを夫々m0、d0とし、ファイル分割後(例えばファイルf1)のmoov、mdatのサイズを夫々m、dとすると、ファイル分割前後で下記式(3)が成立することとなる。
m/m0 = d/d0 (3)
【0040】
そして、図5に示すように、分割後のファイル(例えばファイルf2)にデータサイズeの剰余データが付加されても、分割後のファイルサイズを規格に準拠する所定のファイルサイズA[GB](例えば、2GB)以下とするためには、次の式(4)が満たされる必要がある。
p+d+x+m ≦ A (4)
【0041】
即ち、分割サイズ算出部14は、式(4)に示されるように、分割後のファイルにおけるメタデータのファイルサイズ(pおよびm)と、分割後のファイルにおけるメディアデータのファイルサイズ(d)と、最低分割容量xとの和が、規格に準拠する所定のファイルサイズA以下となるように、分割サイズdを求める。
【0042】
式(3)および式(4)より、分割サイズdは下記式(5)のように示される。
d ≦ (A−p−x)/(1+ m0/d0) (5)
従って、分割サイズ算出部14は、式(5)において等号が成り立つ場合に算出される分割サイズdの最大値を分割サイズdとして決定する。
【0043】
一例として、ファイルFのmoovのデータ容量m0が300MByte、mdatのデータ容量d0が6GByte、平均ビットレートが2Mbpsであり、最低再生時間sを30秒とすると、分割バイト数dは、1943Byteと算出される。
【0044】
ファイルサイズ判定部15は、上述のように決定された分割サイズdでファイルFのmdatを分割した際の剰余データのデータサイズeが最低分割容量xより小さいか判定する。
【0045】
分割部16は、分割サイズdによりファイルFを分割した場合の剰余データの再生時間が最低再生時間sより短い場合には、その剰余データを他の分割後のファイルに付加して、ファイルFを分割する。一般的に、メディアデータの再生時間は、データサイズと再生ビットレートの積で与えられるので、ここではデータサイズeと上述の式(2)で算出された最低分割容量xとを比較することにより、再生時間長の判定を行うものとする。
【0046】
より具体的には、分割部16は、上述のように決定された分割サイズdにより、ファイルFのメディアデータであるmdatをmdatの先頭位置から分割していく。そして図5に示すように、剰余データのデータサイズeが最低分割容量xより小さい場合には、剰余データをその前のファイルf2に付加する。一方、図4に示すように、剰余データのデータサイズeが最低分割容量x以上である場合には、分割部16はその剰余データをファイルf3とする。
【0047】
尚、分割部16は、剰余データのデータサイズeと、再生ビットレートとから剰余データの再生時間を算出し、この再生時間が最低再生時間sより短いか否かを判定するとしてもよい。
【0048】
また、分割部16は、moov内のstssを参照して、分割後の各ファイルf1、f2、f3が、ランダムアクセスが可能な単位で分割されるようにファイルFの分割位置を決定する。即ち、分割部16は、分割後のファイルが上述のようにして算出した分割サイズd以下となる位置であって且つ、分割サイズdとなる位置に最も近いランダムアクセスが可能なシンクサンプルの位置をファイルFの分割位置とする。
【0049】
尚、ここでは、分割部16は、分割後のファイルが分割サイズd以下となる位置を分割位置にするとしたが、これに限定されるものではない。その他の例として、分割後のファイルがd+xより小さくなる位置であれば、分割サイズdより大きくなる位置をファイルFの分割位置としてもよい。
【0050】
ダビング部8は、上述のように決定された分割位置でファイルFを分割し、分割後のファイルf1、f2、f3を可搬記憶媒体200にダビング(送信)する。尚、ダビング部8は、分割後のファイルf1、f2、f3のmoov(moov1、moov2、moov3)を、ファイルFのmoov内のバイト位置情報を変更してmoov1と、moov2と、moov3として再構成することで生成する。或いは、ダビング部8は、moov1、moov2、moov3を、mdatを解析することによって生成してもよい。
【0051】
次に、録画装置1が実行するファイル分割処理の手順を説明する。図6は、録画装置1が実行するファイル分割処理の手順を説明するフローチャートである。
【0052】
録画装置1は、コンテンツ選択画面(不図示)から、可搬記憶媒体200にダビングする対象コンテンツの選択を受付ける(ステップS1)。そして、対象コンテンツのメタデータを読み込み(ステップS2)、上述の式(1)により平均ビットレートαを算出する(ステップS3)。録画装置1は、ステップS3で算出した平均ビットレートαと上述の式(2)とから、最低分割容量xを算出する(ステップS4)。次に録画装置1は、ステップS4で算出した最低分割容量xと上述の式(5)とにより、分割サイズdを算出する(ステップS5)。
【0053】
そして、録画装置1は、剰余データのデータサイズeが最低分割容量xより小さいか否かを判定する(ステップS6)。剰余データのデータサイズeが最低分割容量x以上である場合(ステップS6:No)には、ステップS8に移行する。一方、剰余データのデータサイズeがxより小さい場合(ステップS7:Yes)には、剰余データをその前のファイルf2に付加してファイルFを分割することとする(ステップS7)。
【0054】
録画装置1は、対象コンテンツのメタデータ(stss)を参照して、分割後のファイルが分割サイズd以下となる位置であって且つ、分割サイズdとなる位置に最も近いランダムアクセスが可能なシンクサンプルの位置をファイルFの分割位置とする(ステップS8)。そして、録画装置1のダビング部8は、ステップS8で決定した分割位置TによりファイルFを分割して、可搬記憶媒体200にダビングし(ステップS9)、処理を終了する。
【0055】
このように、第1の実施形態の録画装置1によれば、分割サイズdには、最低分割容量x分の剰余データが含められるよう余裕を持たせてあるため、剰余データのデータサイズeが最低分割容量xより小さい場合には、剰余データをその前のファイルf2に付加してファイルFを分割することができる。これにより、分割後のメディアデータ(mdat)のファイルサイズが最低分割容量x未満となることを避けることが可能となり、ファイル分割をしてコンテンツをダビングする際に、分割後のファイルサイズが小さすぎないようにすることができる。
【0056】
尚、ダビング部8は、ネットワークI/F7および図示しないネットワークで録画装置1に接続された記録装置(不図示)に対して分割後のファイルを送信して、当該記録装置に接続された可搬記憶媒体200に対象コンテンツをダビングするとしてもよい。
【0057】
また、分割部16は、ファイルFを等分に分割するとしてもよい。即ち、図4の例では、分割後のmdatのファイルサイズd1、d2、d3がそれぞれ、
d1=d2=d3=(d+d+e)/3 (6)
となるようにファイルFを分割してもよい。また、図5の例では下記式(7)のようにファイルFを分割してもよい。
d1=d2=(d+d+e)/2 (7)
【0058】
また、上述ではファイルFを先頭から分割した場合について説明したが、分割方法はこれに限定されるものではない。その他の例として、ファイルFを末尾から分割し、先頭の剰余データが最低分割容量xより小さい場合には、その次のファイルに付加するとしてもよい。即ち剰余データとは、ファイルFを複数に分割した場合の最小データのことをいい、剰余データが複数ある場合であってそれら剰余データが最低分割容量xより小さい場合には、各剰余データを夫々の直前または直後のファイルに付加すればよい。
【0059】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の録画装置201は、コンテンツデータ内のチャプタ位置に合わせてファイルFを分割することを特徴とする。尚、本実施形態に係る録画装置201の構成は、図1で示した録画装置1の構成と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0060】
図7は、本実施形態に係るファイル分割方法を説明する模式図である。図7に示すように、本実施の形態の対象コンテンツのファイルFには、I(Intra-coded)ピクチャ等によってチャプタc1、c2、…が設けられている。
【0061】
分割部16は、分割後のファイルf1、f2、f3、…がチャプタ位置で分割されるようにファイルFの分割位置を決定する。即ち、分割部16は、分割後のファイルが分割サイズd以下となる位置であって且つ、分割サイズdとなる位置に最も近いチャプタ位置をファイルFの分割位置とする。
【0062】
尚、上述と同様に、分割部16は、分割後のファイルがd+xより小さくなる位置であれば、分割サイズdより大きくなる位置をファイルFの分割位置としてもよい。
【0063】
次に、録画装置201が実行するファイル分割処理の手順を説明する。図8は、録画装置201が実行するファイル分割処理の手順を説明するフローチャートである。尚、図6で上述したステップと同様の処理を行うステップについてはここでの説明を省略する。
【0064】
録画装置1は、対象コンテンツのメタデータ(stss)を参照して、分割後のファイルが分割サイズd以下となる位置であって且つ、分割サイズdとなる位置に最も近いチャプタ位置をファイルFの分割位置として、ファイルFの先頭から順に分割位置を決定していく(ステップS18)。そして、剰余データのデータサイズeが最低分割容量xより小さいか否かを判定し(ステップS6)、以降は図6と同様の処理を行う。
【0065】
このように、第2の実施形態の録画装置によれば、チャプタ位置に合わせてファイル分割を行うため、コンテンツの再生画質をより向上させることができる。
【0066】
以上説明したとおり、第1、第2の実施形態によれば、分割後のファイルサイズが最低分割容量x以上となるように分割サイズdを算出するため、ファイル分割をしてコンテンツをダビングする際に、分割後のファイルサイズが小さすぎないようにすることができる。
【0067】
尚、上述では可搬記憶媒体I/F9を介して可搬記憶媒体200にコンテンツをダビングする場合について説明したが、ネットワークI/F7および無線LAN等のネットワーク(不図示)を介して他の記録装置(不図示)にコンテンツを送信し、この記録装置が可搬記憶媒体200にコンテンツをダビングする形態としてもよい。
【0068】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0069】
1、201 録画装置
200 可搬記憶媒体
F ファイル(コンテンツデータ)
f1、f2、f3 ファイル(分割後のファイル)
d 分割サイズ
x 最低分割容量
d0、d1、d2、d3、d2’ ファイルサイズ
e データサイズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬記憶媒体に記録させるコンテンツデータの選択を受付けるコンテンツ選択受付手段と、
選択を受付けた前記コンテンツデータを複数に分割する際に、分割後のサイズが最小である最小データの再生時間が予め定められた最低再生時間以上となるように、或いは、前記最小データのサイズが予め定められた最低サイズ以上となるように前記コンテンツデータを分割する分割手段と、
前記分割手段によって分割された複数のデータを前記可搬記憶媒体に送信する送信手段と、を備える録画装置。
【請求項2】
前記分割手段は、選択を受付けた前記コンテンツデータを予め定められた最低分割容量以上となる第1サイズで分割すると、前記最小データの再生時間が予め定められた最低再生時間より短くなる場合または前記最小データのサイズが予め定められた最低サイズより短くなる場合に、前記コンテンツデータの少なくとも一部を前記第1サイズより大きい第2サイズで分割する、請求項1に記載の録画装置。
【請求項3】
前記分割手段は、分割後のメタデータのサイズと、分割後のメディアデータのサイズと、前記分割後のメディアデータの再生時間が前記最低再生時間となる前記メディアデータのサイズである前記最低分割容量との和が、前記可搬記憶媒体に応じた所定のデータ制限容量以下となる場合の前記分割後のメディアデータのサイズを、前記第1サイズとする、請求項1または2に記載の録画装置。
【請求項4】
前記分割手段は、前記分割後のデータが前記第1サイズおよび前記最低分割容量の和より小さくなる位置であって且つ、前記第1サイズとなる位置に最も近いトラックデータのランダムアクセスが可能なデータ位置を前記コンテンツデータの分割位置とする、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の録画装置。
【請求項5】
前記分割手段は、前記コンテンツデータを前記第2サイズにより等分する、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の録画装置。
【請求項6】
前記分割手段は、前記分割後のデータが前記第1サイズおよび前記最低分割容量の和より小さくなる位置であって且つ、前記第1サイズとなる位置に最も近いチャプタ位置を前記コンテンツデータの分割位置とする、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の録画装置。
【請求項7】
前記分割手段は、前記分割後のデータが前記第1サイズ以下となる位置であって且つ、前記第1サイズとなる位置に最も近いチャプタ位置を前記コンテンツデータの分割位置とする、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の録画装置。
【請求項8】
前記送信手段は、自装置とネットワークで接続された記録装置に対して前記分割手段による分割後のデータを送信する、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の録画装置。
【請求項9】
前記コンテンツ選択受付手段は、自装置とネットワークで接続された記憶装置に格納されている前記コンテンツデータから、前記可搬記憶媒体に記憶させるコンテンツデータの選択を受付ける、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の録画装置。
【請求項10】
録画装置において、
可搬記憶媒体に記録させるコンテンツデータの選択を受付けるコンテンツ選択受付工程と、
選択を受付けた前記コンテンツデータを複数に分割する際に、分割後のサイズが最小である最小データの再生時間が予め定められた最低再生時間以上となるように、或いは、前記最小データのサイズが予め定められた最低サイズ以上となるように前記コンテンツデータを分割する分割工程と、
前記分割工程で分割された複数のデータを前記可搬記憶媒体に送信する送信工程と、を含むファイル分割方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−161102(P2012−161102A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−112612(P2012−112612)
【出願日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【分割の表示】特願2010−267630(P2010−267630)の分割
【原出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】