説明

録音媒体、学習教材、学習システム及びプログラム

【課題】聴覚を通じて、あるいは聴覚と視覚を通じて暗記対象の文章等の情報を学習者に提示して記憶の定着を促進するとともに、正確な発音あるいは読み方の訓練をすることができる録音媒体、学習教材、学習システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】暗記対象の文言を読み上げた音声を標準速度で複数回再生する標準速度領域1、前記音声を標準速度の3倍で複数回再生する3倍速度領域2、前記音声を標準速度の3.5倍で複数回再生する3.5倍速度領域3、および学習者が前記文言を復唱できる時間間隔を開けて前記音声言を標準速度で複数回再生する復唱領域4を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗記を容易にするとともに記憶の定着を促進する録音媒体、及び前記録音媒体を備える学習教材、並びにこれらを応用した学習システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
単語の綴り字・発音、熟語、基本文例等の暗記は外国語学習の基本である。また、語学以外の教科においても、人名、地名、歴史的事件の名称、年代、公式、物質名などの基本事項の暗記は学習の基本とされている。思考力・応用力の醸成が教科学習の目標とされていても、思考力等は基礎的な知識を活用する能力であるから、基礎的な知識の暗記を経ることなしに思考力等を身に付けることはできない。
【0003】
さて、暗記すべき事項を抜き書きしたノートやカードを見ながら、暗記すべき事項の筆写や読み上げを繰り返すのが、伝統的な暗記方法であるが、この方法は時間と根気を要する辛い作業である。この作業を容易にする教材として、暗記対象の文言を読み上げた音声を録音したものを、第1回目は標準速度の約1.5倍速で、第2回目は標準速度の約2倍速で、第3回目は標準速度の約1.5倍速で再生して学習者に聞き取らせるようにした聴覚具と、前記聴覚具に録音された音声に対応する文字を記載した視覚具を組み合わせたものが、特許文献1に提案されている。
【0004】
特許文献1では、聴覚具によって標準速度の1.5倍ないし2倍の速度で再生される音声を聞き取りながら、視覚具に記載された文字を目で追うだけで、視覚と聴覚あるいはこれに加えて知覚が相乗的に同時に作用しあって大量の知識が能率良く、且つ無理なく脳の中に吸収されると主張している。
【0005】
また、特許文献2には、テンポ116の音楽と、掛算音声を2倍速で記憶した2倍速音声と、掛算音声を4倍速で記憶した4倍速音声と、掛算音声を8倍速で記憶した8倍速音声とを再生して学習者に聞き取らせるようにした掛算学習システムが開示されている。
【0006】
特許文献2では、学習者に音楽を聴かせることにより、学習者の右脳を開発し、学習促進効果を高めることができると主張している。また、学習者は主に左脳によって意味内容を把握でき、左脳が優位に働く2倍速音声聞き取り過程と、左脳によって意味内容を把握することが難しく、左脳よりも右脳が徐々に働き始める4倍速音声聞き取り過程と、左脳による把握ができず、右脳及び潜在意識が働く8倍速音声聞き取り過程を順に行うことができ、頭の中で顕在意識による学習から潜在意識を利用した学習への切換えがスムーズに行われるので、短時間で掛算を暗記することが可能になるとも主張している。
【0007】
【特許文献1】特開2003−29609号公報
【特許文献2】特開2004−240067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1および特許文献2の発明は、暗記対象事項を読み上げた音声を標準速度の1.5倍ないし8倍の速度で学習者に聞き取らせるので、学習者の脳を活性化して記憶の定着を促す効果があるとされている。しかしながら、特許文献1および特許文献2の発明を、外国語の習得に適用しようとすると、これらは音声を標準速度で聞き取らせる手段を欠いているので、外国語の正しい発音を覚えることが困難である。そのため発音を記憶するためのトレーニングを別途行う必要があるので、学習の能率が悪いという問題がある。なお、この問題は語学の学習に限られるものではない。例えば、社会科の学習においても、人名、地名、専門用語等の正確な読み方を身につける必要があるからである。
【0009】
また、特許文献1および特許文献2は、暗記対象の文章等の聴き取りを繰り返すことによって記憶の定着が促進される旨を主張しているが、闇雲に聴き取りを繰り返しても、学習者が疲労するだけで、記憶定着促進の効果が低下するという問題がある。
【0010】
本発明はこれらの課題を解決するために成されたものであり、聴覚を通じて、あるいは聴覚と視覚を通じて暗記対象事項の情報を学習者に提示して記憶の定着を促進するとともに、正確な発音あるいは読み方の訓練をすることができる録音媒体、学習教材、学習システム及びプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の録音媒体の第1の構成は、暗記対象事項を読み上げた音声を記録した録音媒体において、前記音声を標準速度で複数回再生する標準速度領域、前記音声を標準速度のP倍(ただし、P>1.0)で複数回再生するP倍速領域、前記音声を標準速度のQ倍(ただし、Q>P)で複数回再生するQ倍速領域、および学習者が前記暗記対象事項を復唱できる時間間隔を開けて前記音声を標準速度で複数回再生する復唱領域を有するとともに、前記標準速度領域、前記P倍速領域、前記Q倍速領域及び前記復唱領域の順に再生出力されるように構成されたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、学習者が標準速度領域で聴き取った音声の記憶に基づいて、当該記憶とP倍速領域およびQ倍速領域で再生される音声を照合するトレーニングが実施される。そして、前記トレーニングを実施する度に学習者は当該記憶を再生するので、当該記憶の定着が促進される。
【0013】
また、復唱領域の再生出力に合わせて、学習者が暗記対象事項を復唱するようにしたので、記憶の定着がさらに促進される。
【0014】
ここで、録音媒体とは物理的あるいは電磁気的方法等で音声情報を記録及び再生できるようにした媒体であって、磁気テープ、磁気ディスク、CDなどの公知の媒体を任意に選択することができる。また、「録音」とは少なくとも製造者の手によって録音できれば十分であり、一般消費者の手で自由に録音、消去、再録音(上書き)できることまで要求するものではない。
【0015】
なお、「標準速度で再生する」とは、録音の際に話し手が読み上げた速度と同じ速度で音声が再生されることを意味する。また、録音の際に話し手が読み上げる速度は、学習者の習熟度等によって変わる。初学者が対象ならば、ネイティブスピーカーの日常会話より遅くするのが適当な場合があるし、上級者が対象ならば、ネイティブスピーカーの日常会話より多少速めの速度で読み上げるのが適当な場合があるからである。
【0016】
また、P倍速領域およびQ倍速領域で再生される音声は、学習者がその音声を聞き分けるのに努力を必要とするが、文字情報の助けがあれば学習者がその音声を聞き分けることができる範囲にある。特に、Q倍速領域は学習者が文字情報の助けを借りてその音声を聞き分けることができる限界に近い速度が選ばれる。つまり、PおよびQの値は前記条件を満足する範囲において、適宜選択できる。
【0017】
本発明の録音媒体の第2の構成は、前記第1の構成において、前記P倍速領域は、前記音声を標準速度の3.0倍で再生する3倍速領域であり、前記Q倍速領域は前記音声を標準速度の3.5倍で再生する3.5倍速領域であることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、P倍速領域およびQ倍速領域における再生速度を最適に設定したので、より効果的に記憶の定着が促進される。
【0019】
本発明の学習教材の第1の構成は、前記第1又は第2の構成に係る録音媒体と、前記録音媒体に記録された暗記対象事項に係る文字情報を表示する文字情報表示手段を備えることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、録音媒体に加えて文字情報表示手段を備えるので、聴覚に加えて、視覚を通じて暗記対象事項の情報を学習者に提示して記憶の定着を促進することができる。
【0021】
なお、暗記対象事項に係る文字情報とは、録音媒体によって再生される音声情報を直接文字で表現したものに限られない。前記音声情報に関連する文字情報もこれに含まれる。例えば、前記音声情報が外国語の単語の発音である場合、その単語の日本語訳が、また、前記音声情報が歴史上の事件の名称である場合、その事件に関連する人名や地名等が前記暗記対象事項に関連する文字情報に相当する。
【0022】
なお、文字情報表示手段とは文字情報を学習者が視覚を通じて認識できるように表示できる手段であれば足りるので、その素材や表示方法は問わない。つまり、文字情報表示手段は、紙片であってもよいし、投影機やCRT装置であってもよい。
【0023】
本発明の学習教材の第2の構成は、前記第1の構成において、前記文字情報表示手段は前記文字情報を印刷してなるカード又は冊子であることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、文字情報表示手段をカード又は冊子としたので、文字情報表示手段を簡便かつ安価に提供できる。なお、カード等の素材は紙に限られるものではない。プラスチックフィルムや金属であってもよい。
【0025】
本発明の学習システムの第1の構成は、暗記対象事項を読み上げた音声を標準速度で複数回出力する標準速度出力手段と、前記音声を標準速度のP倍(ただし、P>1.0)で複数回出力するP倍速出力手段と、前記音声を標準速度のQ倍(ただし、Q>P)で複数回出力するQ倍速出力手段と、学習者が前記暗記対象事項を復唱できる時間間隔を開けて前記音声を標準速度で複数回出力する復唱出力手段を備えるとともに、前記標準速度出力手段、前記P倍速出力手段、前記Q倍速出力手段及び前記復唱出力手段の順に起動して前記音声を出力するように構成されたことを特徴とする。
【0026】
なお、標準速度出力手段等が出力する音声に係る情報は、学習システムの内部に常駐していなくてもよい。記憶媒体あるいは電気通信回線を通じて外部から音声に係る情報を取り込むようにしてもよい。また、外部から取り込む音声に係る前記情報は、暗記対象事項を標準速度で1回だけ読み上げたものであって、学習システムの内部で再生速度を変更する加工を行って再生を繰り返すように構成してもよい。
【0027】
本発明の学習システムの第2の構成は、前記音声情報出力手段に同期して前記暗記対象事項に係る文字情報を表示する文字情報表示手段を備えることを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、音声情報出力手段による音声情報の出力に同期して文字情報表示手段が文字情報を表示するので、学習者に音声情報と文字情報の関連をより強く印象付けることができる。そのため、より効果的に記憶の定着が促進される。
【0029】
なお、文字情報表示手段が表示する文字情報は、学習システムの内部に常駐していなくてもよい。例えば、記憶媒体あるいは電気通信回線を通じて外部から前記文字情報を取り込むような構成を選択することもできる。
【0030】
本発明の学習システムの第3の構成は、前記第1又は第2の構成において、学習者が情報を入力する情報入力手段を備えるとともに、前記文字情報表示手段は前記暗記対象に係る質問を表示するとともに、前記学習者が前記情報入力手段を介して前記質問に対する回答を入力できるように構成されたことを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、前記文字情報表示手段が表示する質問に対して、学習者は前記情報入力手段を介して回答できるので、学習効果を試験で確認することができる。そのため、学習者に学習の動機を与えることができる。また、トレーニングとトレーニングの間に試験を挟むことによって、「慣れ」や「飽き」の発生を防いで、トレーニングの効率を上げることができる。
【0032】
なお、文字情報表示手段が表示する質問に係る情報は、学習システムの内部に常駐していなくてもよい。例えば、記憶媒体あるいは電気通信回線を通じて外部から質問に係る前記情報を取り込むような構成を選択することもできる。
【0033】
本発明の学習システムの第4の構成は、前記第1乃至第3の構成において、前記P倍速出力手段は、前記文言を標準速度の3.0倍で出力する3倍速出力手段であり、前記Q倍速出力手段は前記文言を標準速度の3.5倍で出力する3.5倍速出力手段であることを特徴とする。
【0034】
本発明のプログラムは、音声情報出力手段と文字情報表示手段及び情報入力手段を備えるコンピュータで実行することによって、当該コンピュータを前記第1乃至第4の学習システムとして機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
以上、説明したように本発明によれば、より効果的に記憶の定着を促進できる録音媒体、学習教材、学習システム並びにプログラムが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0037】
図1は、本発明の実施例1に係る録音媒体の構成を模式的に示した図であり、hello ,everyone, like, skiing, music, too, play, guitar, the,及び Ann Green(人名)の10語を対象にして、これらの発音、綴り字及び訳語の暗記を促進する録音媒体を示している。図1に示すように、この録音媒体は、標準速度領域1、3倍速領域2、3.5倍速領域3、復唱領域4から構成され、図示しない再生装置に掛けると、標準速度領域1、3倍速領域2、3.5倍速領域3及び復唱領域4が順に再生出力される。
【0038】
標準速度領域1を再生すると、標準速度で前記10単語(hello ,everyone, ‥‥)が順に正確な発音(ネイティブスピーカーによる発音が望ましい)で読み上げられ、2回繰り返される。
【0039】
3倍速領域2には、標準速度領域1に録音した音声と同じ音声データを3.0倍の速度で再生した音声が10回分繰り返し録音されている。つまり、3倍速領域2を再生すると、標準速度の3.0倍で前記10単語(hello ,everyone, ‥‥)が10回読み上げられる。
【0040】
3.5倍速領3には、標準速度領域1に録音した音声と同じ音声データを3.5倍の速度で再生した音声が10回分繰り返し録音されている。つまり、3.5倍速領域3を再生すると、標準速度の3.5倍で前記10単語(hello ,everyone, ‥‥)が10回読み上げられる。
【0041】
復唱領域4には、標準速度領域1に録音した音声と同じ音声データを1語ずつ、所定の停止時間を空けて録音したものが、5回分繰り返し記録されている。復唱領域4を再生すると、標準速度で単語を読み上げる度に、音声が出力されない空き時間が生じるので、学習者はその空き時間に、当該単語を復唱して発音練習をすることができる。
【0042】
なお、標準速度領域1から復唱領域4までの全ての領域の再生に要する時間は概ね10分以下になるように設計するのが望ましいが、5分以下にするのが最適である。再生に要する時間が長いと、学習者の注意力が散漫になり、学習効果が低下するからである。ここでは単語数を10とし、繰り返し回数を2回、10回、10回、5回とした例を示したが、単語の音節が多い場合は単語数あるいは繰り返し回数を適宜減らして、全再生時間が5分以下になるように調整すればよい。
【0043】
図2は、本発明の実施例1に係るカードを示す図である。図2に示すようにカード5には、前述の録音媒体に録音された10単語(hello ,everyone, ‥‥)の綴り字と訳語が記載されている。カード5は前述の録音媒体と同時に使用するものであり、学習者はカード5に記載された綴り字と訳語を目で追いながら、前述の録音媒体の再生音声を聞き取る。なお、複数のカード5を束ねて冊子としてもよい。
【0044】
ここで、前述の録音媒体とカード5を用いて行う英単語の学習方法を簡単に説明する。
【0045】
まず学習者は、カード5とカード5に対応する録音媒体を用意して、カード5の記載を目で追いながら、前記録音媒体の再生音を聞く。
【0046】
標準速度領域1にあっては、単語の正確な発音が標準速度で再生されるから、学習者は聴覚を通じてもたらされる当該単語の正確な発音と視覚を通じてもたらされる綴り字及び訳語の組合せを少なくとも一時的記憶として記憶することができる。なお、この時学習者は単語を暗記しようと意識する必要はない。カード5の記載と前記録音媒体の再生音に注意を払ってさえいれば、発音と綴り字と訳語の関係が自然に記憶される。
【0047】
3倍速領域2では、標準速度の3倍の速度で再生されるから、学習者は単語を聞き分けることが難しくなるが、学習者は標準速度領域1の再生中に聞き覚えた発音を脳内で再生して、3倍速領域2で再生される音声と照合するので、学習者の脳内では記憶の再生が繰り返される。そのため、単語の発音の記憶の定着が促進される。また、発音を聞き取る度に学習者はカード5に記載された綴り字・訳語に注意を向け、記憶している綴り字・訳語についての情報と照合するから、綴り字・訳語についての記憶の定着も促進される。
【0048】
3.5倍速領域3では、さらに再生速度を上げるので、学習者の脳内ではより高速で記憶の再生が繰り返され、脳の活動が活発になり、その結果、記憶の定着がさらに促進される。
【0049】
復唱領域4では、単語の正確な発音が標準速度で再生される度に、学習者が復唱するので、発音についての記憶が定着する。また、発音の聴き取り及び復唱をする度に、カード5に記載された綴り字・訳語に注意が向くので、綴り字・訳語についての記憶の定着も促進される。
【0050】
なお、復唱領域4を最後に配置したのは、他の領域は聴音をトレーニングの主眼にしているが復唱領域4はこれに発声という別の要素が加わるので、復唱領域4を他の領域の間に配置すると聴覚への注意力が削がれるからである。
【0051】
記憶をさらに確実にするためには、トレーニングを繰り返す必要があるが、漫然とトレーニングを繰り返していると、所謂「慣れ」や「飽き」が生じて集中力が低下する。そこで、標準速度領域1から復唱領域4までの一連のトレーニングが1回終了する度に簡単な試験を行って、その後で次のトレーニングを始めるとよい。試験は、例えば、単語の書き取り、英文和訳、ヒアリング等、各種の形式を選択できる。
【0052】
なお、特許文献1及び特許文献2に開示されているように、高速で再生される音声の聴き取りが記憶の定着を促進することは経験的に知られているが、その理由はよく分からない。ただ、聴き取り難い音を聴き取ろうとするために脳の活動が活発になること、聴き取りを行うために記憶の再生を行うことが関係しているであろうことは想像できる。したがって、音声言語として認識できないような速度で再生出力を行っても記憶定着促進の効果は期待できないと考えられる。ここでは3倍速と3.5倍速で再生出力する例を示したが、「標準速度より速く、聞き分けるために努力を要するが、文字情報の助けを借りれば聞き分けられる速度の範囲」で再生速度を適宜増減してもよい。
【実施例2】
【0053】
図3は、本発明の実施例2に係る学習システムのハードウェアの構成図である。図3から明らかなように、この学習システムのハードウェアは一般的なパーソナルコンピュータをそのまま使用したものであり、CPU6を中心に、入力装置としてキーボード7及びマウス8を、出力装置としてディスプレイ9及びスピーカ10を、補助記憶装置としてハードディスク装置11及びCD−ROM装置12を接続して構成され、後述するプログラムをハードディスク装置11からCPU6に呼び出して実行するものである。
【0054】
図4は、本発明の実施例2に係る学習システムのプログラムを示すフローチャートである。以下、図4に付したステップ番号と図3に付した符号を引用して、このプログラムを説明する。
【0055】
(ステップ1)フラグNに1を代入する。Nはトレーニングの回数を表示するフラグであり、1はこれから実行されるトレーニングが1回目のトレーニングであることを示している。
【0056】
(ステップ2)トレーニング対象の単語を標準速度で正確な発音で再生してスピーカ10から出力することを2回繰り返す。この時、再生中の単語の綴り字と訳語のリストをディスプレイ9に表示する。この表示は、特定の単語の発音が出力される度に、当該単語の綴り字と訳語の輝度や色を変化させて、学習者の注意を引くようにしてもよい。
【0057】
(ステップ3)トレーニング対象の単語を標準速度の3倍の速度で再生してスピーカ10から出力することを10回繰り返す。この時も、再生中の単語の綴り字と訳語のリストをディスプレイ9に表示する。
【0058】
(ステップ4)トレーニング対象の単語を標準速度の3.5倍の速度で再生してスピーカ10から出力することを10回繰り返す。この時も、再生中の単語の綴り字と訳語のリストをディスプレイ9に表示する。
【0059】
(ステップ5)トレーニング対象の単語を1語ずつ、所定の停止時間を空けて標準速度で再生してスピーカ10から出力することを5回繰り返す。この時も、再生中の単語の綴り字と訳語のリストをディスプレイ9に表示する。また、前記停止時間中に学習者に復唱を促すメッセージをディスプレイ9に表示してもよい。
【0060】
(ステップ6)N=1ならば、つまり第1回のトレーニング終了の直後であれば、ステップ7に進み試験を行い。N=2ならば、つまり第2回のトレーニング終了の直後であればプログラムを終了する。
【0061】
(ステップ7)第1回目のトレーニングの効果を確認するための試験を行う。試験は問題をディスプレイ9に表示して、学習者がこれに対する回答をキーボード7あるいはマウス8を介して入力する。あるいは、単語の発音をスピーカ10から出力してヒアリングテストを行ってもよい。回答の入力が終了したら、採点を行いその結果をディスプレイ9に表示して試験を終了する。
【0062】
(ステップ8)フラッグNに2を代入して、ステップ2に進む。
【0063】
なお、ここではステップ3及びステップ4の再生速度を3倍速及び3.5倍速にしたが、学習者の習熟度等に応じて適宜加減する手段を備えてもよい。
【0064】
なお、トレーニング対象の単語の発音を再生するための音声データ、綴り字、訳語、あるいは試験問題等のデータを前述のプログラムの内部に書き込んでもよいが、プログラムと前記データを分離して、前記データだけをCD−ROM装置12から読み込むようしてもよい。あるいは、図示しない電気通信回線を通じて前記データをダウンロードするようにしてもよい。
【0065】
ここでは、図4に示したプログラムをパーソナルコンピュータ等にインストールして学習システムを実現する例を示したが、前記プログラムの機能の一部又は全部を専用のハードウェアで置き換えてもよい。例えば、標準速度出力手段、3倍速出力手段、3.5倍速出力手段、復唱出力手段等の専用ハードウェアを作成して、ステップ2乃至ステップ5と置き換えてもよい。
【0066】
なお、実施例1及び実施例2では、本発明を英語の単語の暗記に適用した事例を取り上げたが、本発明は英単語の暗記にのみ適用されるものではない。熟語、基本構文等の暗記にも適用できるし、他の外国語の学習にも適用できる。また、他の教科における、ある程度機械的に記憶する必要のある基本的事項、例えば、社会科における人名・地名・事件名・年代、理科における物質名・化学式、数学の公式などの暗記にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施例1に係る録音媒体の構成を模式的に示した図である。
【図2】本発明の実施例1に係るカードを示す図である。
【図3】本発明の実施例2に係る学習システムのハードウェアの構成図である。
【図4】本発明の実施例2に係る学習システムのプログラムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1 標準速度領域
2 3倍速領域
3 3.5倍速領域
4 復唱領域
5 カード
6 CPU
7 キーボード
8 マウス
9 ディスプレイ
10 スピーカ
11 ハードディスク装置
12 CD−ROM装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗記対象事項を読み上げた音声を記録した録音媒体において、
前記音声を標準速度で複数回再生する標準速度領域と、
前記音声を標準速度のP倍(ただし、P>1.0)で複数回再生するP倍速領域と、
前記音声を標準速度のQ倍(ただし、Q>P)で複数回再生するQ倍速領域と、
学習者が前記暗記対象事項を復唱できる時間間隔を開けて前記音声を標準速度で複数回再生する復唱領域を有するとともに、
前記標準速度領域、前記P倍速領域、前記Q倍速領域及び前記復唱領域の順に再生出力されるように構成されたことを特徴とする録音媒体。
【請求項2】
前記P倍速領域は、前記音声を標準速度の3.0倍で再生する3倍速領域であり、
前記Q倍速領域は、前記音声を標準速度の3.5倍で再生する3.5倍速領域であることを特徴とする請求項1に記載の録音媒体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の録音媒体と、
前記録音媒体に記録された暗記対象事項に係る文字情報を表示する文字情報表示手段を備えることを特徴とする学習教材。
【請求項4】
前記文字情報表示手段は前記文字情報を印刷してなるカード又は冊子であることを特徴とする請求項3に記載の学習教材。
【請求項5】
暗記対象事項を読み上げた音声を標準速度で複数回出力する標準速度出力手段と、
前記音声を標準速度のP倍(ただし、P>1.0)で複数回出力するP倍速出力手段と、
前記音声を標準速度のQ倍(ただし、Q>P)で複数回出力するQ倍速出力手段と、
学習者が前記暗記対象事項を復唱できる時間間隔を開けて前記音声を標準速度で複数回出力する復唱出力手段を備えるとともに、
前記標準速度出力手段、前記P倍速出力手段、前記Q倍速出力手段及び前記復唱出力手段の順に起動して前記音声を出力するように構成されたことを特徴とする学習システム。
【請求項6】
前記音声情報出力手段に同期して前記暗記対象事項に係る文字情報を表示する文字情報表示手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の学習システム。
【請求項7】
学習者が情報を入力する情報入力手段を備え、
前記文字情報表示手段は前記暗記対象に係る質問を表示するとともに、
前記学習者が前記情報入力手段を介して前記質問に対する回答を入力できるように構成されたことを特徴とする請求項6に記載の学習システム。
【請求項8】
前記P倍速出力手段は、前記文言を標準速度の3.0倍で出力する3倍速出力手段であり、
前記Q倍速出力手段は前記文言を標準速度の3.5倍で出力する3.5倍速出力手段であることを特徴とする請求項5乃至請求項7に記載の学習システム。
【請求項9】
音声情報出力手段と文字情報表示手段及び情報入力手段を備えるコンピュータで実行することによって、当該コンピュータを前記請求項5乃至請求項8に記載の学習システムとして機能させるプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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