説明

鍋底温度センサ付きガスコンロ

【課題】コンロバーナの下方に位置させたパイロットバーナによるコンロバーナへの点火を確実に行えるようにした鍋底温度センサ付きガスコンロを提供する。
【解決手段】外周に炎孔8が形成されたコンロバーナ2と、コンロバーナ2で囲われるバーナ内周空間10から上方に突出する鍋底温度センサ15とを備えるガスコンロにおいて、コンロバーナ2の下方に配設されてバーナ内周空間10の下端側に向けて点火用の炎を伸長形成させるパイロットバーナ20と、パイロットバーナ20に点火する点火プラグ21と、バーナ内周空間10に上下方向に延設されてパイロットバーナ20の炎を案内する炎案内部材24とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状のコンロバーナに形成されているバーナ内周空間から上方に突出する鍋底温度センサを備える鍋底温度センサ付きガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に外周に多数の炎孔が形成されたコンロバーナを備えるガスコンロにおいては、コンロバーナの外側近傍に点火プラグを設けて火花放電による点火が行われている。しかし、コンロバーナの外側近傍に点火プラグを設けた場合には、調理の際の煮こぼれ汁が点火プラグに付着して点火性能が低下するおそれがある。
【0003】
そこで、コンロバーナに点火するための炎を形成するパイロットバーナをコンロバーナの下方に配設したガスコンロが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
このガスコンロにおいては、コンロバーナは環状に形成され、パイロットバーナの炎は、バーナ内周空間の下方から斜め上方に向って伸長形成される。これにより、パイロットバーナの炎がバーナ内周空間を経てコンロバーナの炎孔に届き、コンロバーナに点火される。
【0005】
このように構成されたガスコンロによれば、パイロットバーナとそれに点火する点火プラグがコンロバーナの下方に隠れた状態で設けられるので、点火プラグへの煮こぼれ汁の付着を防止して良好な点火性能を得ることができる。
【0006】
ところで、近年、ガスコンロにおいては、調理の際に鍋等の過熱を防止するために、コンロバーナのバーナ内周空間から上方に突出する鍋底温度センサが設けられる(例えば、下記特許文献2参照)。そして、鍋底温度センサを備えるガスコンロにおいても、前記パイロットバーナを設けることにより点火プラグへの煮こぼれ汁の付着を防止することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60−233426号公報
【特許文献2】特開平11−94245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、鍋底温度センサが設けられているコンロバーナにおいては、当該コンロバーナの下方に前記パイロットバーナを設けた場合に、パイロットバーナの炎が鍋底温度センサに当たってコンロバーナの炎孔に届き難く、コンロバーナへの点火が確実に行えない。しかも、パイロットバーナの炎が鍋底温度センサに直接当たると鍋底温度センサの構成部品が加熱されて損傷するおそれがある。
【0009】
上記の点に鑑み、本発明は、点火プラグへの煮こぼれ汁の付着を防止し、鍋底温度センサを損傷させることなく点火を確実に行うことができる鍋底温度センサ付きガスコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、外周に多数の炎孔が形成された環状のコンロバーナと、該コンロバーナで囲われるバーナ内周空間から上方に突出する鍋底温度センサとを備える鍋底温度センサ付きガスコンロにおいて、前記コンロバーナの下方に配設されてバーナ内周空間の下端側に向けて該コンロバーナに点火するための炎を伸長形成させるパイロットバーナと、該パイロットバーナに隣設されて該パイロットバーナに点火する点火プラグと、前記バーナ内周空間に上下方向に延設されて前記パイロットバーナの炎を前記コンロバーナの炎孔の上部位置に案内する炎案内部材とを備え、該炎案内部材は、前記パイロットバーナの炎を鍋底温度センサと非接触状態でバーナ内周空間に沿って上方に案内する隔壁部と、該隔壁部の上端に屈曲部を介して連設され、前記コンロバーナの外周に向かって前記パイロットバーナの炎を案内する導出案内部とを備えることを特徴とする。
【0011】
以上の構成により、前記コンロバーナの下方からバーナ内周空間の下端側に向けて伸びるパイロットバーナの炎は、炎案内部材の隔壁部により鍋底温度センサと非接触状態でバーナ内周空間に沿って上方に案内される。これにより、鍋底温度センサの構成部品がパイロットバーナの炎に炙られることがなく、鍋底温度センサの構成部品の損傷が防止される。
【0012】
炎案内部材の隔壁部の上端に案内されたパイロットバーナの炎は、前記屈曲部により略水平方向に屈曲案内された後、前記導出案内部により前記コンロバーナの外周に向かって案内される。そして、炎案内部材の導出案内部を経てコンロバーナの炎孔の上部位置に導出されたパイロットバーナの炎によりコンロバーナが点火される。
【0013】
このように、本発明によれば、コンロバーナのバーナ内周空間に鍋底温度センサが設けられていても、炎案内部材によりパイロットバーナの炎をコンロバーナの炎孔の上部位置に導くことができるので、コンロバーナの下方に位置させたパイロットバーナにより、コンロバーナへの点火を確実に行うことができる。
【0014】
また、本発明においては、前記炎案内部材を、前記隔壁部を除く一側が開放された樋状に形成することが挙げられる。本発明の炎案内部材は、管状に形成することもできるが、この場合には、炎案内部材の内部への保炎用空気の取り入れが不十分となってパイロットバーナの炎が消失するおそれがある。そこで、前記炎案内部材を樋状に形成することにより、開放された一側から炎案内部材の内部に確実に保炎用空気を取り入れることができ、パイロットバーナの炎の消失を防止することができる。
【0015】
また、本発明においては、前記炎案内部材の前記隔壁部の一部に、前記パイロットバーナの炎に対する保炎用空気を取り入れる空気取入孔を形成してもよい。これによれば、隔壁部の一部から保炎用空気が取り入れ可能となるので、炎案内部材を樋状に形成した場合に限らず、確実に保炎用空気を取り入れてパイロットバーナの炎の消失を防止することができ、炎案内部材の設計自由度も向上する。
【0016】
また、本発明においては、前記炎案内部材の前記導出案内部を、前記コンロバーナの外周端に向かって次第に拡開する形状に形成してもよい。こうすることにより、導出案内部から導出されるパイロットバーナからの炎に対する保炎効果が得られ、コンロバーナの点火を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態のガスコンロの要部を示す断面説明図。
【図2】第1の実施形態のガスコンロの要部を図1と異なる方向から示す断面説明図。
【図3】第1の実施形態におけるパイロットバーナの先端部を示す説明的斜視図。
【図4】第1の実施形態における炎案内部材を示す説明的斜視図。
【図5】本発明の第2の実施形態のガスコンロの要部を示す断面説明図。
【図6】第2の実施形態における炎案内部材を示す斜視図。
【図7】第2の実施形態におけるバーナ内周空間を平面視した説明図。
【図8】第2の実施形態における二次空気案内筒及び炎案内部材の要部の断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の実施形態のガスコンロについて、図1〜図4を参照して説明する。第1の実施形態のガスコンロは、図1及び図2に示すように、天板1と、この天板1上に露出するコンロバーナ2とを備えている。天板1は、図示省略した箱形状のコンロ本体の上面を覆っている。コンロバーナ2は、コンロ本体の内部に設けられた支持部材3により支持され、天板1に形成されたバーナ用開口4を介して天板1上に露出している。また、図示しないが、コンロバーナ2の外周側の天板1上には調理の際に鍋等の調理容器を支持する五徳が載置されている。
【0019】
コンロバーナ2は、図2に一部を示す混合管部5と、混合管部5の下流端から立ち上がって天板1のバーナ用開口4に挿通される中空のバーナヘッド部6と、バーナヘッド部6の上端に載置される環状のバーナキャップ部7とを備えている。
【0020】
図1及び図2に示すように、バーナキャップ部7の下面外周部には、周方向の隙間を存して多数の歯形が垂設され、これら歯形間の隙間で炎孔8が形成されている。そして、混合管部5で生成される混合気(燃料ガスと一次空気との混合ガス)がバーナヘッド部6を介してバーナキャップ部7の炎孔8から噴出して燃焼するようになっている。
【0021】
バーナキャップ部7の内側には、上下方向に延びる筒状の二次空気案内筒9が設けられている。二次空気案内筒9はコンロ本体内部と通気可能に連通するバーナ内周空間10を形成している。更に、バーナキャップ部7上には、環状の二次空気整流板11が取り付けられている。二次空気整流板11は、二次空気案内筒9の内部を上昇した二次空気を付き当てて放射方向に拡散させ、バーナキャップ部7の炎孔8に燃焼用二次空気が円滑に供給されるようにしている。
【0022】
バーナキャップ部7は、バーナヘッド部6から容易に取り外せるようになっているが、図1に示すように、支持部材3に連設されている位置決め片12が二次空気案内筒9の一部に形成されている切欠き13に係止することにより回り止めされた状態に位置決めされる。二次空気整流板11は、図示省略した嵌着手段によりバーナキャップ部7上に回り止めされた状態に位置決めして取り付けられている。
【0023】
また、天板1のバーナ用開口4の周縁とバーナヘッド部6との間は、カバーリング14により覆われ、コンロ本体内部への煮こぼれ汁や塵埃等の異物の侵入が防止されている。
【0024】
コンロバーナ2の中央部からは、二次空気案内筒9により形成されたバーナ内周空間10を通って上方に突出する鍋底温度センサ15が設けられている。鍋底温度センサ15は、支持部材3により鉛直方向に支持された支持パイプ16と、支持パイプ16の上端部に設けられた感熱ヘッド17とを備えている。
【0025】
感熱ヘッド17は、図示しない感熱素子とバネ部材とを内蔵している。感熱素子から延びるリード線18は支持パイプ16内を通って、コンロ本体に設けられている図示しない制御装置に接続されている。感熱ヘッド17は、前記バネ部材により上方に付勢された状態で下方に移動可能とされている。そして、感熱ヘッド17は、鍋等の調理容器の底が頂部面19に当接すると、調理容器の荷重によって下方に移動し、五徳上の調理容器への当接状態を維持する。このように構成された鍋底温度センサ15は、コンロバーナ2に加熱された調理容器の温度を検出し、リード線18を介してその検出結果を前記制御手段に渡す。これにより、制御手段は、調理容器から検出された温度に応じてコンロバーナ2の火力調節や消火等を行う。
【0026】
また、図2に示すように、コンロ本体内部におけるコンロバーナ2の下方位置には、パイロットバーナ20とパイロットバーナ20に点火するための点火プラグ21とが設けられている。パイロットバーナ20は、図3に先端部を示すように、一対の帯板20a,20bにより形成されており、小径の点火用燃料ガス流路22を備えている。
【0027】
点火プラグ21は、パイロットバーナ20に連結された保持部材23により保持され、点火用燃料ガス流路22の先端から燃料ガスが噴出したとき、パイロットバーナ20の先端との間で火花放電を発生させてパイロットバーナ20に点火する。
【0028】
点火用燃料ガス流路22は、コンロバーナ2に燃料ガスを供給する図示しないコックから分岐して燃料ガスが供給され、図2に示すように、点火用燃料ガス流路22の先端から噴出する燃料ガスに点火プラグ21により点火されると、二次空気案内筒9に向ってコンロバーナ2へのパイロット炎を形成する。パイロットバーナ20により形成するパイロット炎は、小径の点火用燃料ガス流路22から噴出される燃料ガスにより細長く伸びるように形成される。
【0029】
図1及び図2に示すように、二次空気案内筒9により形成されたバーナ内周空間10における二次空気案内筒9の内面と鍋底温度センサ15との間には、パイロット炎を案内する樋状の炎案内部材24が上下方向に延設されている。
【0030】
図4に示すように、炎案内部材24は、4つの帯状の壁板(第1壁板241、第2壁板242、第3壁板243、第4壁板244)により構成され、二次空気整流板11(図4において仮想線示している)の裏面に溶接等により固設されている。
【0031】
第1壁板241は、鍋底温度センサ15側に位置して炎案内部材24の略全長にわたって設けられている。第2壁板242は、第1壁板241の一側縁に沿って炎案内部材24の略全長にわたって設けられている。第3壁板243は、炎案内部材24の略下半部で第1壁板241に対向して設けられている。第4壁板244は、第1壁板241の他側縁に沿って炎案内部材24の略下半部で第2壁板242に対向して設けられている。
【0032】
第2壁板242の下端部の面は、パイロットバーナ20の先端に対向しており、パイロット炎を炎案内部材24に導入する導入部24aとされている。導入部24aの近傍に位置する第1壁板241の下端部片241aと、第3壁板243の下端部片243aとは互いに離反する方向に拡開してパイロット炎の導入を案内する。
【0033】
また、第2壁板242の下端部には、導入部24aよりも更に下方に延びる延出部242aが形成されており、万一、炎案内部材24の内部を伝って煮汁等が流下しても、導入部24aを塞ぐことなく煮汁等が下方に流れ落ちるようになっている。
【0034】
導入部24aから導入されたパイロット炎は第2壁板242に接し、図2に仮想線で示すように、二次空気案内筒9に沿っての上方に案内される。このとき、パイロット炎は第1壁板241と第3壁板243とにより広がりが規制されつつ上方に案内される。更に、第2壁板242の対向側が開放されているので、保炎用空気の導入が円滑に行われ、パイロット炎の消失が防止される。
【0035】
また、図4を参照して、第1壁板241の略下半部は、鍋底温度センサ15側に位置して導入部24aから導入されたパイロット炎と鍋底温度センサ15とを非接触とするための隔壁部24bとされている。これにより、図1に仮想線で示すように、パイロット炎は鍋底温度センサ15に接触することなくバーナ内周空間10を通って上昇する。
【0036】
更に、図4を参照して、第1壁板241は、隔壁部24bの上端から連続して屈曲する屈曲部24cを介して、コンロバーナ2の外周に向かって延びている。第1壁板241、第2壁板242及び第3壁板243により上方に案内されたパイロット炎は、屈曲部24cにおいて第1壁板241に当たり、強制的に水平方向の軌道に変更される。第1壁板241の両端で対向する第2壁板242及び第4壁板244も屈曲部24cに沿って屈曲している。これにより、パイロット炎は広がりが規制されつつコンロバーナ2の外周に向かう。
【0037】
また、図4に示すように、第4壁板244の下端部片244aは、第2壁板242から離反する方向に傾斜しており、方向が変わる直前のパイロット炎を第4壁板244の下端部片244aにより案内して円滑に屈曲部24cに導入するようになっている。
【0038】
そして、炎案内部材24の上部側の終端は導出案内部24dとされており、図1に仮想線で示すように、パイロット炎はバーナキャップ部7の炎孔8の直上位置近傍に導出される。このとき、屈曲部24cから導出案内部24dにかけて、第1壁板241の対向側が開放されているので、保炎用空気の導入が円滑に行われ、パイロット炎の消失が防止される。
【0039】
以上のように、第1の実施形態のガスコンロは、炎案内部材24を設けたことにより、パイロット炎が、鍋底温度センサ15が設けられている二次空気案内筒9のバーナ内周空間10を支障なく通過する。これにより、パイロットバーナ20及び点火プラグ21をコンロ本体内部におけるコンロバーナ2の下方位置に設けることができ、鍋底温度センサ15が設けられていても、コンロバーナ2に確実に点火することができる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態のガスコンロについて、図5〜図8を参照して説明する。第2の実施形態のガスコンロは、図5に示すように、天板30上に露出するコンロバーナ31と、コンロバーナ31の中央部から上方に突出する鍋底温度センサ32とを備えている。
【0041】
コンロバーナ31は、図5に一部を示す混合管部33と、混合管部33に連設された中空のバーナヘッド部34と、バーナヘッド部34の上端に載置されるバーナキャップ部35とを備えている。
【0042】
バーナヘッド部34は、天板30に形成されているバーナ用開口36に挿通されて天板30上に露出される。天板30は、図示省略した箱形状のコンロ本体の上面を覆っており、コンロバーナ31の混合管部33は、コンロ本体に収容されている。また、図示しないが、コンロバーナ31の外周側の天板30上には調理の際に鍋等の調理容器を支持する五徳が載置されている。
【0043】
図5に示すように、バーナキャップ部35の下面外周部には、周方向の隙間を存して多数の歯形が垂設され、これら歯形間の隙間で炎孔37が形成されている。そして、混合管部33で生成される混合気(燃料ガスと一次空気との混合ガス)がバーナヘッド部34を介してバーナキャップ部35の炎孔37から噴出して燃焼するようになっている。
【0044】
バーナキャップ部35の内側には、上下方向に延びる筒状の二次空気案内筒38が設けられている。二次空気案内筒38はバーナヘッド部34の内筒部39に挿着され、バーナキャップ部35の二次空気案内筒38と、バーナヘッド部34の内筒部39とにより、コンロ本体内部と通気可能に連通するバーナ内周空間40を形成している。
【0045】
更に、バーナキャップ部35上には、環状の二次空気整流板41が取り付けられている。二次空気整流板41は、二次空気案内筒38の内部を上昇した二次空気を付き当てて放射方向に拡散させ、バーナキャップ部35の炎孔37に燃焼用二次空気が円滑に供給されるようにしている。また、天板30のバーナ用開口36の周縁とバーナヘッド部34との間に形成されている隙間は、カバーリング42により覆われることにより、コンロ本体内部への煮こぼれ汁や塵埃等の異物の侵入が防止されている。
【0046】
鍋底温度センサ32は、鉛直方向に延びる支持パイプ43と、支持パイプ43の上端部に設けられた感熱ヘッド44とを備えている。支持パイプ43は、図示しない支持部材によりコンロ本体に支持されている。感熱ヘッド44は、図示しない感熱素子とバネ部材とを内蔵しており、感熱素子から延びるリード線45が支持パイプ43内を通って、コンロ本体に設けられている図示しない制御装置に接続されている。
【0047】
感熱ヘッド44は、前記バネ部材により上方に付勢された状態で下方に移動可能とされている。そして、感熱ヘッド44は、鍋等の調理容器の底が頂部面46に当接すると、調理容器の荷重によって下方に移動し、五徳上の調理容器への当接状態を維持する。このように構成された鍋底温度センサ32は、コンロバーナ31に加熱された調理容器の温度を検出し、リード線45を介してその検出結果を前記制御手段に渡す。これにより、制御手段は、調理容器から検出された温度に応じてコンロバーナ31の火力調節や消火等を行う。
【0048】
図5に示すように、コンロ本体内部におけるコンロバーナ31の下方位置には、パイロットバーナ47とパイロットバーナ47に点火するための点火プラグ48とが設けられている。パイロットバーナ47は、先端が炎形成口49となっている小径管状の点火用燃料ガス流路50を備えている。点火用燃料ガス流路50は、その炎形成口49を鉛直上方を向けて設けられている。点火用燃料ガス流路50には、コンロバーナ31に燃料ガスを供給する図示しないコックから分岐して燃料ガスが供給される。
【0049】
点火プラグ48は、パイロットバーナ47に連結された保持部材51により保持され、点火用燃料ガス流路50の先端の炎形成口49から燃料ガスが噴出したとき、パイロットバーナ47の先端との間で火花放電を発生させてパイロットバーナ47に点火する。
【0050】
パイロットバーナ47に点火されると、点火用燃料ガス流路50の炎形成口49から噴出する燃料ガスにより、炎が上方に細長く伸びるように形成される。このときの炎がコンロバーナ31へのパイロット炎となる。
【0051】
また、バーナ内周空間40には、パイロットバーナ47のパイロット炎を案内する炎案内部材52が設けられている。炎案内部材52は、バーナ内周空間40に沿って上下方向に延びる隔壁部53と、隔壁部53の上縁に屈曲部54を介してバーナキャップ部35の外周端に向かって略水平に延びる導出案内部55とを備えている。
【0052】
炎案内部材52は、図6に示すように、金属製薄板を折り曲げることにより形成されている。隔壁部53には、複数の空気取入孔56が形成されている。空気取入孔56は、その上縁に連設された舌片57を備えている。
【0053】
図6に示すように、導出案内部55は、屈曲部54側の基端縁から次第に拡開して基端縁よりも幅広の先端縁を備える形状とされている。導出案内部55の両側縁からは下方に折り曲げ形成された掛止片58が設けられている。屈曲部54は、2つの曲げ部54a,54bと両曲げ部54a,54b間で傾斜する傾斜部54cとで構成されている。
【0054】
炎案内部材52は、図7に示すように、バーナキャップ部35に設けられた支持突起59に掛止片58を掛止させることにより、バーナ内周空間40に保持される。このとき、図7に示すように、導出案内部55の一部を支持突起59の上面にねじ部材59aにより固定してもよい。これにより、バーナキャップ部35と炎案内部材52とを強固に連結することができる。
【0055】
バーナ内周空間40に保持された状態の炎案内部材52の隔壁部53は、図8に示すように、鍋底温度センサ32と二次空気案内筒38との間に配置される。そして、隔壁部53は、二次空気案内筒38の湾曲する内面の一部を内側から覆うことにより、隔壁部53と二次空気案内筒38とによる上下に延びる空間を形成する。このとき形成される空間は、パイロット炎案内路60とされ、図8に示すように、パイロット炎案内路60の下端にはパイロットバーナ47が下方から臨む。
【0056】
コンロバーナ31への点火を図5を参照して説明すれば、先ず、点火プラグ48によりパイロットバーナ47に点火することで、上方に延びるパイロット炎が形成される。パイロットバーナ47によるパイロット炎は、パイロット炎案内路60に導入され、パイロット炎案内路60により上方に案内される。このとき、パイロット炎は、隔壁部53によって、鍋底温度センサ32と非接触状態で案内されるので、鍋底温度センサ32の損傷が防止される。
【0057】
また、隔壁部53に形成された空気取入孔56からは、パイロット炎の形成に伴ってパイロット炎案内路60の内部に保炎用空気が取り入れられるので、パイロット炎の消失が防止される。しかも、空気取入孔56の上縁に連設された舌片57により、パイロット炎が空気取入孔56を介して鍋底温度センサ32側に漏れることが防止される。
【0058】
パイロット炎案内路60の内部を上方に案内されたパイロット炎は、屈曲部54により略水平方向に屈曲案内される。このとき、屈曲部54が2つの曲げ部54a,54bと両曲げ部54a,54b間で傾斜する傾斜部54cとで構成されていることにより、パイロット炎は、急激な方向変換が緩和された状態で円滑に屈曲案内されて導出案内部55に向かう。
【0059】
そして、パイロット炎は、導出案内部55によって、バーナキャップ部35の炎孔37の直上位置近傍に導出される。このとき、導出案内部55が、図7に示すように、コンロバーナ31の外周端に向かって次第に拡開する形状に形成されていることにより、パイロット炎の形成空間が十分に確保されて保炎効果が得られるので、パイロット炎はその形成状態が良好に維持される。
【0060】
更に、図5に示すように、二次空気整流板41をその内周縁から外周縁に向かって下方に傾斜する形状に形成しておくことにより、導出案内部55から導出されたパイロット炎を二次空気整流板41の外周縁側で更に下方に向けて案内することができる。これによれば、バーナキャップ部35の炎孔37に対してパイロット炎を一層近接させることができ、コンロバーナ31への点火を一層確実に行うことができる。
【0061】
以上のように、第2の実施形態のガスコンロは、炎案内部材52を設けたことにより、パイロット炎が、鍋底温度センサ32が設けられている二次空気案内筒38のバーナ内周空間40を支障なく通過する。これにより、パイロットバーナ47及び点火プラグ48をコンロ本体内部におけるコンロバーナ31の下方位置に設けることができ、鍋底温度センサ32が設けられていても、コンロバーナ31に確実に点火することができる。
【0062】
なお、第1の実施形態で示した炎案内部材24においては、この炎案内部材24が樋状であることにより、パイロット炎への保炎用空気の供給が十分に行えるようになっているが、より多くの保炎用空気の供給が必要な場合には、樋状に形成された炎案内部材24であっても、その隔壁部24bに空気取入孔を形成してもよい。
【0063】
また、第1の実施形態で示した炎案内部材24においても、その上部側の終端の導出案内部24dをバーナキャップ部7の外周縁に向かって次第に拡開する形状に形成することにより、導出案内部24dから導出されるパイロット炎の保炎効果を向上させることができる。
【符号の説明】
【0064】
2,31…コンロバーナ、8,37…炎孔、10,40…バーナ内周空間、15,32…鍋底温度センサ、20,47…パイロットバーナ、21,48…点火プラグ、24,52…炎案内部材、24b,53…隔壁部、24c,54…屈曲部、24d,55…導出案内部、56…空気取入孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に多数の炎孔が形成された環状のコンロバーナと、該コンロバーナで囲われるバーナ内周空間から上方に突出する鍋底温度センサとを備える鍋底温度センサ付きガスコンロにおいて、
前記コンロバーナの下方に配設されてバーナ内周空間の下端側に向けて該コンロバーナに点火するための炎を伸長形成させるパイロットバーナと、該パイロットバーナに隣設されて該パイロットバーナに点火する点火プラグと、前記バーナ内周空間に上下方向に延設されて前記パイロットバーナの炎を前記コンロバーナの炎孔の上部位置に案内する炎案内部材とを備え、
該炎案内部材は、前記パイロットバーナの炎を鍋底温度センサと非接触状態でバーナ内周空間に沿って上方に案内する隔壁部と、該隔壁部の上端に屈曲部を介して連設され、前記コンロバーナの外周に向かって前記パイロットバーナの炎を案内する導出案内部とを備えることを特徴とする鍋底温度センサ付きガスコンロ。
【請求項2】
前記炎案内部材は、前記隔壁部を除く一側が開放された樋状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の鍋底温度センサ付きガスコンロ。
【請求項3】
前記隔壁部の一部に、前記パイロットバーナの炎に対する保炎用空気を取り入れる空気取入孔を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の鍋底温度センサ付きガスコンロ。
【請求項4】
前記導出案内部は、前記コンロバーナの外周端に向かって次第に拡開する形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の鍋底温度センサ付きガスコンロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−36730(P2013−36730A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130206(P2012−130206)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)