説明

鍵盤楽器の蓋体開閉構造

【課題】部品点数を少なく抑えた簡単な構成で、鍵盤楽器の蓋体を開位置で確実に停止させて蓋開状態での位置及び姿勢を規制することができる鍵盤楽器の蓋体開閉構造を提供する。
【解決手段】ケースの側部6とそれに対向する蓋体20の端部とを連結する連結機構30は、その一端が側部6に設けた第1リンク支点に支持され、他端31bが蓋体20の端部に設けた第2リンク支点35に支持される長尺板状の連結具31を備える。蓋体20が開位置にある状態で、連結具31における第2リンク支点35の近傍を蓋体20の内面20cに取り付けた取付板34に当接させることで、蓋体20の回動がその位置で停止すると共に蓋体20の位置及び姿勢が規定されるストッパ機構37を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子オルガンや電子ピアノをはじめとする各種の鍵盤楽器において、ケース内に設置した鍵盤の上面側を開閉する蓋体と、ケースに対して蓋体を移動可能に連結してなる連結機構とを備えた鍵盤楽器の蓋体開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子オルガンや電子ピアノをはじめとする各種の鍵盤楽器には、ケース内に設置した鍵盤の上面側を開閉するための鍵盤蓋(蓋体)を備えたものがある。このような鍵盤蓋を開閉する開閉機構の従来技術として、例えば、特許文献1に示す開閉機構がある。特許文献1に記載の開閉機構は、楽器本体と鍵盤蓋の後端部付近とをリンク部材によってそれぞれ回動自在に連結し、鍵盤蓋のリンク部材を軸支する位置から所定距離離れた位置にローラからなるガイド当接部を設け、鍵盤蓋の開閉時にそのガイド当接部を楽器本体内に固設されたガイド部材(ローラガイド)の少なくとも2つの異なる湾曲面からなる第1,第2のガイド部に常に接触させながら移動させるように構成したものである。
【0003】
また、鍵盤蓋を開閉する構造の他の従来例として、特許文献2に記載の開閉機構がある。特許文献2に記載の開閉機構は、ピアノ本体側に奥屋根を介して回動自在に取り付けた一枚板状の蓋体を開閉するための機構であって、奥屋根の下面側に取り付けた緩衝器と鍵盤蓋との間を連結する細板状のリンクバー(連結具)を有するリンク機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−38106号公報
【特許文献2】特許3589377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1、2に示すような蓋体開閉構造では、開動作に伴って移動する蓋体を開位置で停止させて、蓋開状態で規制するための機構が必要である。このような機構として、特許文献1の従来構造では、鍵盤蓋に設けたローラが本体部内に設けたローラガイドの端部に当接して係止されることで、鍵盤蓋が開位置で停止するように構成している。また、特許文献2に記載の蓋体開閉構造では、鍵盤蓋の前部の角部が上前板(特許文献2の図面には図示されていない。)に当接することによって、鍵盤蓋が開位置で停止するように構成している。このように、蓋体開閉構造における蓋体を開位置で停止させて蓋開状態で規制するための機構は、蓋体開閉構造の具体的な構成及びそれに用いられる部品の形状や構造に応じて異なる構造となる。そして、このような鍵盤蓋を開位置で停止させるための機構は、当該開閉構造が備える構成部品同士を当接させて蓋体の移動を停止させるようにすれば、蓋体開閉構造の部品点数を少なく抑えることができ、構成の簡素化を図ることができるようになる。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数を少なく抑えた簡単な構成で、鍵盤楽器の蓋体を開位置で確実に停止させて蓋開状態での位置及び姿勢を規制することができる鍵盤楽器の蓋体開閉構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、複数の鍵(5a,5b)からなる鍵盤(5)を収容してなるケース(10)と、前記ケース(10)に対して、該ケース(10)における前記鍵盤(5)の上方を閉じる閉位置と該上方を開く開位置との間で移動可能となるように取り付けられた板状の蓋体(20)と、前記ケース(10)における前記鍵盤(5)の側方に配置した側部(6)とそれに対向する前記蓋体(20)における前記鍵(5a,5b)の配列方向の端部(20d)とを連結してなる連結機構(30)と、を備えた鍵盤楽器の蓋体開閉構造であって、前記連結機構(30)は、前記側部(6)と前記蓋体(20)の前記端部(20d)との間に取り付けられて、一端(31a)が前記側部(6)の内側面(6c)に対してリンク支持されており、他端(31b)が前記蓋体(20)の前記端部(20d)に対してリンク支持されてなる一又は複数の連結具(31)を備え、前記蓋体(20)が前記開位置にある状態で、前記連結具(31)を前記蓋体(20)に対して直接又は他の部材(34)を介して当接させることで、前記蓋体(20)の回動がその位置で停止すると共に、前記開位置における前記蓋体(20)の位置及び姿勢が規定されるようにしたストッパ機構(37)を備えることを特徴する。
【0008】
本発明にかかる蓋体開閉構造によれば、開位置での蓋体の位置及び姿勢を規定するために、連結具を蓋体に対して直接又は他の部材を介して当接させるストッパ機構を備えた。これにより、蓋体開閉構造の構成部品を用いて蓋体を開位置で停止させるための機構を実現できる。したがって、蓋体開閉構造の構成部品以外の別部品で構成したストッパ機構を設ける場合と比較して、蓋体開閉構造の部品点数を少なく抑えることが可能となり、蓋体開閉構造及び鍵盤楽器の構成の簡素化や軽量化を図ることができる。また、本発明では、連結具を蓋体に対して当接させるように構成したことで、開位置における蓋体をケース又は鍵盤の上面あるいは鍵の長手方向に対して所望の角度で傾けた状態で停止させることを簡単かつ確実に行えるようになる。
【0009】
また、本発明にかかる上記の蓋体開閉構造では、前記連結具(31)は、前記ケース(10)側の第1リンク支点(33)と前記蓋体(20)側の第2リンク支点(35)とを連結する棒状の部材であって、前記ストッパ機構(37)は、前記連結具(31)の長手方向に対する側面(31d)が、前記蓋体(20)の内面(20c)、又は該内面(20c)に取り付けた前記第2リンク支点(35)用の取付部材(34)に対して面接触状態で当接する構成であってよい。
【0010】
このように、蓋体が開位置にある状態で、連結具の長手方向に対する側面が蓋体の内面又は取付部材に対して面接触状態で当接するように構成したことで、蓋体を開位置で確実に停止させることが可能となる。また、連結具の側面が面接触状態で当接することで、開位置で停止した蓋体にさらに開方向へ移動させようとする力が作用した場合でも、蓋体がその方向へ動いてしまうことを防止できると共に、連結具や蓋体の当接箇所にかかる力が一点に集中することを防止できる。したがって、連結具や蓋体に破損などの不具合が生じることを防止できる。
【0011】
また、上記の蓋体開閉構造では、前記開位置における前記蓋体(20)は、その後端部(20a)が前端部(20b)よりも前記ケース(10)の前側に位置するように傾斜した状態で、該ケース(10)の上面に立設されるようにするとよい。
【0012】
この構成によれば、開位置にある蓋体は、その後端部が前端部よりも前側に位置するように傾斜した状態でケースの上面に立設されるので、蓋体を開位置で安定的に停止させておくことが可能となる。したがって、開位置の蓋体が不用意に閉位置の方へ移動して閉じてしまうことをより確実に防止できる。
【0013】
また、上記の蓋体開閉構造では、前記連結機構(30)は、前記蓋体(20)が前記閉位置と前記開位置との間を移動する際に、該蓋体(20)の後端部(20a)が前記鍵(5a,5b)の長手方向を前後へスライド移動するように構成したスライド機構(40)をさらに備え、前記蓋体(20)が前記閉位置から前記開位置へ移動する際に、当該スライド機構(40)によって該蓋体(20)の後端部(20a)が前記ケース(10)の前側へ移動し、前記開位置で前記連結具(31)が前記蓋体(20)の後端部(20a)に対して直接又は他の部材を介して当接するするように構成してよい。
【0014】
この構成によれば、蓋開時にスライド機構によって蓋体の後端部がケースの前側へ移動するような蓋体開閉構造において、上記構成のストッパ機構によって、蓋体を開位置で確実に停止させることができるようになる。
なお、上記における括弧内の符号は、後述する実施形態における対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる鍵盤楽器の蓋体開閉構造によれば、連結具を蓋体側に当接させることで蓋体を開位置で停止させるストッパ機構を備えたことで、部品点数を少なく抑えた簡単な構成で、鍵盤楽器の蓋体を開位置で確実に停止させて蓋開状態での位置及び姿勢を規制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる蓋体開閉構造を備えた鍵盤楽器の全体構成例を示す斜視図である。
【図2】蓋体開閉構造の詳細構成を示す図で、鍵盤楽器の側断面図である。
【図3】スライド機構の詳細構成を示す図で、下ケースの一方の側部を示す部分拡大斜視図である。
【図4】第1実施形態の鍵盤楽器における下ケースの一方の側部を示す部分拡大斜視図である。
【図5】ストッパ機構の詳細構成を示す図で、(a)は、第2軸支部及びその周辺の構成部品を軸方向から見た概略図であり、(b)は、(a)のX矢視を示す図である。
【図6】蓋体が閉位置から開位置へ移動する際の動作を説明するための図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる蓋体開閉構造を示す図で、鍵盤楽器の側断面図である。
【図8】第2実施形態の鍵盤楽器における下ケースの一方の側部を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態にかかる蓋体開閉構造を備えた鍵盤楽器1の全体構成例を示す斜視図である。また、図2は、本実施形態にかかる蓋体開閉構造の詳細構成を示す図で、鍵盤楽器1の側断面図である。なお、図2(a)は、後述する蓋体20が開位置にある状態を示しており、(b)は、蓋体20が閉位置にある状態を示している。本実施形態の鍵盤楽器1は、下ケース(ケース)10と、該下ケース10内に設置された鍵盤5と、下ケース10に取り付けられた蓋体(鍵盤蓋)20とを備えている。なお、以下の説明では、横方向又は幅方向というときは、鍵盤5の各鍵5a,5bが配列された左右方向を示し、前又は後というときは、鍵盤5の手前側(演奏者側)又は奥側を示すものとする。また、図1では、後述するスライド機構40の構成部品を示すために、後述するパネル部材55の一方の端部55a(図4参照)及びその近傍の部分を省略した状態で図示している。
【0018】
鍵盤5は、横方向に沿って配列された複数の黒鍵5aと白鍵5bとを有している。鍵盤5を収容している下ケース10は、鍵盤5の左右両側それぞれを覆う一対の側板(側部)6,6と、鍵盤5の前側を覆う前板(前部)7と、後側を覆う後板(後部)8と、底側を覆う底板(底部)9とで囲まれており、全体が横長の略直方体状に形成されている。下ケース10の上面側は、鍵盤5の上面が露出する開口になっている。そして、蓋体20は、下ケース10に対して該開口を完全に閉じる閉位置と、該開口を完全に開く開位置との間で移動可能となるように取り付けられている。この蓋体20は、一対の側板6,6の上端面6a,6aに載置された状態で開口を塞ぐ一枚板状の部材であり、その外形は、下ケース10の外形に沿う横長の長方形状になっている。蓋体20の内面(下面)20cにおける前端近傍には、前板7の上方で鍵盤5の前面を覆う蓋前21が取り付けられている。なお、上記では、側板6,6は、その側面視の形状が方形状であって、上端面6a,6aが下ケース10の後方から前方に向かって水平な(下ケース10の底板9と平行な)形状である場合を示したが、これ以外にも、詳細な図示は省略するが、側板6,6は、その側面視の形状が略台形形状であって、その上端面6a,6aが下ケース10の後方から前方に向かって下降するように傾斜する傾斜平面状に形成されていてもよい。
【0019】
また、鍵盤5の両側部を覆う一対の側板6,6それぞれと、それらに対向する蓋体20の両側の端部20d,20dそれぞれとの間には、下ケース10に対して蓋体20を移動可能に連結してなる連結機構30が設けられている。本実施形態の鍵盤楽器1では、連結機構30,30は、一対の側板6,6それぞれと蓋体20における鍵5a、5bの配列方向の両端部20d,20dそれぞれとの間に取り付けた一対の連結具31,31を有している。一対の連結具31,31は、互いが左右対称な形状及び取付構造を有している。なお、ここでいう蓋体20の端部20dとは、蓋体20の幅方向における両側の端面とその近傍の内面20cや外面を含む部分を示すものである。
【0020】
図2に示すように、連結具31は、長尺板状の部材であり、その長手方向の一方の端部31aが側板6の内側面6cに設けた第1リンク支点33に回動自在に支持されており、他方の端部31bが蓋体20の端部20dにおける鍵盤5側を向く内面20cに設けた第2リンク支点35に回動自在に支持されている。第1リンク支点33は、側板6の内側面6cに対して、連結具31の一方の端部31aを下ケース10の幅方向を軸方向とする回転軸周りで回転自在に支持(リンク支持)している。また、第2リンク支点35は、蓋体20の内面20cに対して、連結具31の他方の端部31bを蓋体20の幅方向及び面方向を軸方向とする回転軸周りで回転自在に支持(リンク支持)している。また、第1リンク支点33は、側板6の内側面6cに固定した軸受部品32で連結具31の端部31aを支持している。この軸受部品32は、トルク発生機能を有しない通常の軸受部品である。また、第2リンク支点35は、蓋体20の内面20cにネジで固定した取付板34に設けたトルク発生型の軸受部品36で連結具31の端部31bを支持している。
【0021】
第2リンク支点35に設置したトルク発生型の軸受部品36は、その詳細な図示及び構造の説明は省略するが、例えば、内部に作動油が充填された筒状のハウジングと、該ハウジング内に回転自在に嵌合する回転部材とを備えて構成され、作動油の油圧による摺動抵抗によって回転部材の回転に対する制動力が作用するように構成された回転ダンパ機構(オイルダンパ機構)を用いることができる。このような回転ダンパ機構からなるトルク発生型の軸受部品36として、例えば、特開2001‐349364号公報や特開2008−185215号公報などに開示された構造の軸受を用いることが可能である。なお、上記のトルク発生型の軸受部品36は、蓋体20と連結具31との相対的な回動に対する抵抗力を発生する抵抗力発生部として機能する部品である。
【0022】
軸受部品36は、上記のオイルダンパ機構に代えて、軸回りに設置した複数の樹脂部品の摺動により摩擦力を発生する回転ダンパ機構(回転摩擦機構)であってもよい。そして、この回転摩擦機構は、一方への回転においてのみ大きな摩擦力を発生し、なおかつ、回転速度が大きければ大きい程、大きな摩擦力を発生するダンパ機構(これを「ワンウェイクラッチ機構」)ともいう。)を用いてよい。そして、このようなダンパ機構を用いる場合は、蓋体20を開位置から閉位置へ向けて移動させる方向で大きな摩擦力を発生するように設置すれば、閉位置へ移動する蓋体20の動きがゆっくりとしたものになるので、蓋体20を閉じる際に蓋体20と側板6の上端面6aとの間に指などを挟むおそれを低減できる。
【0023】
連結具31は、その長手方向が第1リンク支点33から第2リンク支点35に向かって延びる細板状で、第1リンク支点33と第2リンク支点35との中間の部分が平面内で略「く」字型に屈曲する屈曲部31cになっている。この連結具31は、その面を側板6の内側面6cと平行にして、屈曲部31cの内側を上方に向けた状態で取り付けられている。また、第1リンク支点33は、第2リンク支点35よりも下側かつ前側(下ケース10の下側かつ前側)に配置されている。
【0024】
また、本実施形態の蓋体開閉構造は、蓋体20が閉位置と開位置との間を移動する際に、該蓋体20の後端部20aが側板6の上端面6a(下ケース10の上面)に沿ってスライド移動するように構成したスライド機構40を備えている。図3は、スライド機構40の詳細構成を説明するための図で、下ケース10の幅方向における一方の端部を示す部分拡大斜視図である。なお、この図3及び先の図1においては、スライド機構40の構成部品を示すために、後述するパネル部材55の一方の端部55a及びその近傍(図4参照)を省略した状態で図示している。同図に示すように、スライド機構40は、側板6の内側面6cに取り付けたガイド部材43と、ガイド部材43に設けた直線状のガイド溝(凹部)43aと、蓋体20に対して回動自在に取り付けたスライド部材45と、スライド部材45に設けたスライド突起(凸部)45aとを備え、ガイド溝43aにスライド突起45aをスライド自在に嵌合させた構成である。そして、蓋体20が閉位置から開位置へ移動する際に、上記のスライド機構40によって、蓋体20の後端部20aが側板6の上端面6a及び鍵5a、5bの長手方向と平行に下ケース10の前側へ移動するようになっている。
【0025】
ガイド部材43とスライド部材45は、いずれも表面が滑らかな合成樹脂製の成型品などからなる。そして、ガイド部材43は、側板6の内側面6cに取り付けた略矩形状の部材である。ガイド溝43aは、断面が略コ字型の溝部であり、その長手方向が側板6の上端面6a及び鍵5a,5bの長手方向と平行な方向に沿って前後に延びている。一方、スライド部材45は、蓋体20の開閉動作に伴い前後方向に移動するようになっている。スライド突起45aは、ガイド溝43aにスライド自在に嵌合する断面が略コ字型の突起である。なお、ガイド溝43aは、蓋体20が閉位置から開位置まで移動する際の全域でスライド突起45aを嵌合させる長さ寸法を有している。
【0026】
上記のスライド機構40では、ガイド溝43aにスライド突起45aが嵌合していることで、これらが互いに離間することなくスライド移動するようになっている。これにより、蓋体20のよりスムーズな開閉動作を実現できる。また、蓋体20が閉位置と開位置との間で移動する際に、側板6の上端面6aと蓋体20の後端部20aとの間隔が常に一定に保たれるので、それらの間に指などを挟むことを効果的に防止できる。さらに、側板6と蓋体20とを連結している連結具31にねじれやゆがみが生じることも防止できる。
【0027】
また、下ケース10内の鍵盤5の後部上方には、板状のパネル部材(鍵盤押え)55が設置されている。パネル部材55は、鍵盤5の見え掛り部4より後側の上面を覆う部材である。なお、ここでいう見え掛り部4とは、鍵盤5におけるパネル部材55で覆われておらずその上面側が露出している部分を指す。そして、パネル部材55の幅方向の両端を除く部分は、開位置での蓋体20の内面20cに立て掛ける譜面の下端を載置するための譜面受け53になっている。譜面受け53は、鍵5a,5bの長手方向に沿って前側から後側に向かうにつれて次第に下降するように傾斜する傾斜平面状の底面を有する窪みからなる。また、譜面受け53は、下ケース10の幅方向に沿って一方の側板6の近傍から他方の側板6の近傍まで延伸している。
【0028】
図4は、パネル部材55の幅方向(長手方向)の端部55aの詳細構成を示す図で、下ケース10の一方の側部を示す部分拡大図である。同図に示すように、パネル部材55の端部55aには、スライド機構40及び連結具31の一部を覆うカバー部54が設けられている。本実施形態のパネル部材55は、合成樹脂製の一体成型品で、カバー部54は、パネル部材55の端部55a(譜面受け53の側方)に一体形成された部分である。このカバー部54は、スライド機構40を構成するガイド部材43の周囲を覆うと共に、連結具31の下ケース10側の一部を覆う形状に形成されている。具体的には、カバー部54は、その側板6側の端面(譜面受け53と反対側の端面)が側板6の内側面6cに対向しており、かつ、上面が側板6の上端面6aに沿う平面状に形成されており、全体が略矩形状の箱型の部分として形成されている。
【0029】
このようなカバー部54の内部にスライド機構40及び連結具31の一部が収容されている。また、カバー部54における側板6の内側面6cに対向する部分には、連結具31を挿通させるための切込部55cが設けられている。これにより、連結具31は、切込部55cを介してパネル部材55の下側から上方に突出し、その先の端部31bが蓋体20の内面20cに設けた第2リンク支点35に連結されている。切込部55cは、連結具31の厚さ寸法よりも大きな幅寸法と、蓋体20が閉位置と開位置との間で移動する際に連結具31が移動する範囲よりも大きな奥行寸法とを有している。
【0030】
既述のように、本実施形態の蓋体開閉構造では、蓋体20側の第2リンク支点35には、トルク発生型の軸受(軸受部品)36が設置されている。このトルク発生型の軸受部品36は、軸方向の一端(外側の端部)36aに連結具31の端部31bが係合しており、そこから軸方向に沿って下ケース10の内側(幅方向の内側)へ延びており、かつ、蓋体20の内面20cからその径寸法分だけ突出している。そして、本実施形態の鍵盤楽器1では、パネル部材55に設けた窪みからなる譜面受け53の両端部(幅方向の両端部)は、蓋体20が閉位置にある状態で上記のトルク発生型の軸受部品36を収容するための収容部52になっている。
【0031】
そして、鍵盤楽器1には、蓋体20が開位置にある状態で、蓋体20の移動を停止させるためのストッパ機構37が設けられている。図5は、ストッパ機構37の詳細構成を示す図で、第2リンク支点35及びその周辺の構成部品を軸方向から見た概略図である。ストッパ機構37は、蓋体20が開位置にある状態で、連結具31における第2リンク支点35の近傍部分を蓋体20側に当接させることで、蓋体20の回動がその位置で停止すると共に、開位置における蓋体20の位置及び姿勢が規定されるようにした機構である。このストッパ機構37は、蓋体20の内面20cに取り付けた取付板34の表面に設けた当接面(係止部)37aを備えて構成されている。そして、蓋体20が完全に開いた開位置で、連結具31の長手方向が蓋体20の内面20c及び取付板34の当接面37aに対して略平行な状態になる。これにより、当該開位置で、取付板34の当接面37aに連結具31の長手方向に対する側面(蓋体20側を向く側面)31dが面接触状態で当接するようになっている。
【0032】
蓋体20は、上記のストッパ機構37によって開位置での位置及び姿勢が規定されるようになっている。具体的には、図2(a)に示すように、蓋体20はその開位置において、後端部20aが前端部20bよりも下ケース10の前側に位置するように傾斜した状態で、該下ケース10の上面に立設される。
【0033】
図6は、蓋体20が閉位置と開位置との間で移動する際の動作を説明するための図である。なお、図6では、連結具31など蓋体20の開閉動作に関連する主要な部品のみを図示している。また、同図では、開位置と閉位置との間で移動する蓋体20及び連結具31の軌跡を連続的に図示している。まず、図6の(A)に示す状態で、蓋体20が下ケース10における鍵盤5の上方を完全に閉じた閉位置にある。この状態では、蓋体20の両端部20d,20dの内面20cが側板6,6の上端面6a,6aに被さっている。この状態から蓋体20の前端部20bを上方に持ち上げると、図6の(B)→(J)の順で蓋体20が回動して、下ケース10における鍵盤5の上方が開かれてゆく。このとき、第1リンク支点33を中心に第2リンク支点35が前側かつ上側に向かって回動すると共に、図3に示すスライド機構40のスライド突起45aがガイド溝43aに沿って下ケース10の後側から前側へスライド移動することで、蓋体20の後端部20aが鍵5a,5bの長手方向を後方から前方に移動する。これにより、蓋体20は、後端部20aの近傍を支点として前端部20bが上方に回動する。そして、最終的には、図6の(K)に示すように、連結具31が当接面37aに当接する位置で、連結具31及び蓋体20の動作が停止する。この位置で、蓋体20が完全に開かれた開位置となる。この閉位置では、蓋体20の後端部20aが前端部20bよりも若干前側に位置しており、蓋体20の内面20cが下から上に向かって後方に若干傾斜した状態になっている。このように、ストッパ機構37によって、開位置における蓋体20の位置及び姿勢が規定される。
【0034】
一方、図6の(K)に示す開位置にある蓋体20の前端部20bを手前側に引くと、蓋体20が閉位置に向かって移動する。この場合は、上記とは逆に、図6の(J)→(B)の順で蓋体20が回動して、下ケース10における鍵盤5の上方が閉じられてゆく。このとき、第1リンク支点33を中心に第2リンク支点35が後側かつ下側に向かって回動すると共に、蓋体20の後端部20aが側板6の上端面6aに沿って前方から後方へスライド移動する。これにより、蓋体20は、後端部20aの近傍を支点として、前端部20b側が下方に回動する。そして、最終的には、図6の(A)に示すように、蓋体20の両端部20d,20dの内面20cが側板6,6の上端面6a,6aに載置された状態で、蓋体20が鍵盤5の上方を完全に閉じた閉位置となる。そして、図2(b)に示すように、この閉位置で、蓋体20の内面20cに取り付けたトルク発生型の軸受部品36,36がパネル部材55の譜面受け53の両端に設けた収容部52,52に配置されるようになっている。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の鍵盤楽器1が備える蓋体開閉構造は、側板6と蓋体20の端部20dとの間に取り付けられて、その一方の端部31aが側板6側の第1リンク支点33に軸支されており、他方の端部31bが蓋体20側の第2リンク支点35に軸支されてなる長尺板状の連結具31を備えている。そして、蓋体20が開位置にある状態で連結具31を蓋体20の内面20cに取り付けた取付板34に当接させることで、蓋体20の回動がその位置で停止すると共に、開位置における蓋体20の位置及び姿勢が規定されるようにしたストッパ機構37を備えている。
【0036】
本実施形態の蓋体開閉構造では、開位置での蓋体の位置及び姿勢を規定するために、上記のように、連結具31を蓋体20側に当接させるストッパ機構37を備えた。これにより、蓋体開閉構造の構成部品を用いて蓋体20を開位置で停止させる機構を実現できる。したがって、蓋体開閉構造の構成部品以外の別部品で構成したストッパ機構を設ける場合と比較して、蓋体開閉構造の部品点数を少なく抑えることが可能となり、蓋体開閉構造及び鍵盤楽器1の構成の簡素化や軽量化を図ることができる。また、本実施形態では、連結具31における第2リンク支点35の近傍部分を蓋体20の内面20c側に当接させるように構成したことで、開位置における蓋体20を下ケース10の上面あるいは鍵盤5の演奏面に対して所望の角度で傾けた状態で停止させることが簡単かつ確実に行えるようになる。
【0037】
また、本実施形態のストッパ機構37では、連結具31の長手方向に対する側面31dが、蓋体20の内面20cに取り付けた取付板34の当接面37aに対して面接触状態で当接するように構成している。このように構成したことで、蓋体20を開位置で確実に停止させることが可能となる。また、連結具31の側面31dが取付板34の当接面37aに面接触状態で当接することで、開位置で停止した蓋体20にさらに開方向へ移動させようとする力が作用した場合でも、蓋体20が当該方向へ動いてしまうことを防止できると共に、連結具31や蓋体20に破損などの不具合が生じることを抑制できる。
【0038】
また、本実施形態の蓋体開閉構造では、開位置にある蓋体20は、その後端部20aが前端部20bよりも下ケース10の前側に位置するように傾斜した状態で該下ケース10の上面に立設されるので、蓋体20を開位置で安定的に停止させておくことが可能となる。したがって、開位置の蓋体20が不用意に閉位置の方へ移動して閉じてしまうことをより確実に防止できる。
【0039】
また、本実施形態の蓋体開閉構造は、蓋体20が閉位置と開位置との間を移動する際に、該蓋体20の後端部20aが下ケース10に対して前後方向へスライド移動するように構成したスライド機構40を備えている。これにより、蓋体20が閉位置から開位置へ移動する際に、該蓋体20の後端部20aが鍵5a,5bの長手方向を前側へ移動するように構成している。そして、ストッパ機構37は、蓋体20が開位置にある状態で、連結具31の側面31dが蓋体20の内面20cにおける後端部20aの近傍位置に当接するようになっている。
【0040】
この構成によれば、蓋開時にスライド機構40によって蓋体20の後端部20aが下ケース10の前側へ移動するような蓋体開閉構造において、ストッパ機構37によって蓋体20を開位置でより確実に停止させることができるようになる。
【0041】
なお、上記実施形態のストッパ機構37は、連結具31の側面31dを蓋体20の内面20cに取り付けた取付板34に当接させるように構成した場合を示したが、これ以外にも、本発明にかかるストッパ機構は、連結具の側面を蓋体の内面などに対して直接当接させるように構成することも可能である。
【0042】
また、上記実施形態では、蓋体20側に設けた第2リンク支点35は、蓋体20の内面20cにおける後端部20a側に配置されている場合を示したが、第2リンク支点35は、蓋体20の幅方向(鍵5a,5bの配列方向)の端部20dに設けてさえいれば、上記実施形態に示す以外の場所に配置することも可能である。例えば、蓋体20の内面20cにおける後端部20aと前端部20bの中間位置や、蓋体20の幅方向の端面における後端部20a、又は後端部20aと前端部20bの中間位置などに設けてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、閉位置にある蓋体20の両端部(幅方向の両端部)20d,20dの内面20cが側板6の上端面6aに載置されるように構成した場合を示したが、これ以外にも、図示は省略するが、側板6の内側面6cに蓋止用の他の部材を取り付けておき、閉位置にある蓋体20の両端部(幅方向の両端部)20d,20dの内面20cが、この蓋止用の部材の上端面に載置されるように構成してもよい。この場合、側板6の内側面6cに取り付ける蓋止用の部材は、その上端面が側板6の上端面6aと平行かつ側板6の上端面6aに対して蓋体20の厚さ寸法分だけ低い位置となるように取り付けておけば、閉位置の蓋体20の外面(上面)と側板6の上端面6aとを同一の高さ位置で連続する一の面内に配置することができる。これにより、蓋体20を閉じた状態の鍵盤楽器の外観を良好にすることができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明及び対応する図面においては、第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項については、第1実施形態と同じである。
【0045】
図7は、本発明の第2実施形態にかかる蓋体開閉構造の詳細構成を示す図で、鍵盤楽器1−2の側断面図である。また、図8は、第2実施形態の鍵盤楽器1−2における下ケース10の一方の側部を示す部分拡大図である。本実施形態の蓋体開閉構造が備える連結機構30−2は、第1実施形態の連結機構30が備える一本の連結具31に代えて、側板6と蓋体20の端部20dとの間に取り付けた互いの長さが異なる第1連結具61と第2連結具81とを有している。なお、図7では、パネル部材55の図示は省略している。
【0046】
第1連結具61と第2連結具81は、いずれも長尺板状の部材である。第1連結具61は、その長手方向の一方の端部(下ケース10側の端部)が側板6の内側面6cに設けた第1リンク支点63に支持されており、他方の端部(蓋体20側の端部)が蓋体20の端部20d近傍の内面20cに設けた第2リンク支点65に支持されている。第2連結具81は、その長手方向の一方の端部(下ケース10側の端部)が側板6の内側面6cにおける第1リンク支点63に隣接する位置に設けた第3リンク支点83に支持されており、他方の端部(蓋体20側の端部)が蓋体20の内面20cにおける第2リンク支点65に隣接する位置に設けた第4リンク支点85に支持されている。
【0047】
第1リンク支点63と第3リンク支点83は、側板6の内側面6cに対して、第1連結具61と第2連結具81を下ケース10の幅方向を軸方向とする回転軸周りで回転自在に支持している。また、第2リンク支点65と第4リンク支点85は、蓋体20の内面20cに対して、第1連結具61と第2連結具81を蓋体20の幅方向及び面方向を軸方向とする回転軸周りで回転自在に支持している。そして、第1リンク支点63には、側板6の内側面6cに固定した軸受部品62が設けられており、第3リンク支点83には、側板6の内側面6cに固定した軸受部品82が設けられている。また、第2リンク支点65は、蓋体20の内面20cに固定した取付板34の支持片34aで第1連結具61を支持しており、第4リンク支点85は、取付板34の他の支持片34bで第2連結具81を支持している。
【0048】
第1連結具61は、その長手方向が第1リンク支点63から第2リンク支点65に向かって延びる細板状で、第1リンク支点63と第2リンク支点65との中間部分には、平面内で互いに逆向きに屈曲する2箇所の屈曲部61c,61fを有している。屈曲部61c,61fは、いずれも略「く」字型に屈曲している。第1連結具61は、その面を側板6の内側面6cと平行にして、第1リンク支点63に近い側の屈曲部61cの内側を上方及び前方に向けた状態で取り付けられている。また、第1リンク支点63は、第2リンク支点65よりも下側かつ前側(下ケース10の下側かつ前側)に配置されている。
【0049】
第2連結具81は、その長手方向が第3リンク支点83から第4リンク支点85に向かって延びる細板状で、第3リンク支点83と第4リンク支点85との中間部分には、平面内で互いに逆向きに屈曲する2箇所の屈曲部81c,81fを有している。屈曲部81c,81fは、いずれも略「く」字型に屈曲している。第2連結具81は、その面を側板6の内側面6cと平行にして、第3リンク支点83に近い側の屈曲部81cの内側を上方及び前方に向けた状態で取り付けられている。また、第3リンク支点83は、第4リンク支点85よりも下側かつ前側(下ケース10の下側かつ前側)に配置されている。
【0050】
第1連結具61と第2連結具81は、側板6の内側面6cに沿って設置されており、それらが下ケース10の幅方向(横方向)に並べて配置されている。本実施形態では、第2連結具81が幅方向の外側(内側面6cに近い側)に設置されており、第1連結具61が内側(内側面6cから離れた側)に配置されている。そして、第1リンク支点63と第3リンク支点83は、側板6の内側面6cにおいて、鍵5a,5bの長手方向と略平行な面内(略水平面内)で前後に並べて配置されている。本実施形態では、第1リンク支点63が前側で第3リンク支点83が後側に配置されている。また、第2リンク支点35と第4リンク支点85は、蓋体20の内面20cにおいてその前後方向(前端部20bから後端部20aに向かう方向)に沿って並べて設置されている。本実施形態では、第2リンク支点65が前側(前端部20bに近い側)で、第4リンク支点85が後側(後端部20aに近い側)に配置されている。そして、第1リンク支点63及び第3リンク支点83は、下ケース10に対する相対位置が固定された固定側の回動支点であり、第2リンク支点35及び第4リンク支点85は、下ケース10に対する相対的な位置が変化する移動側の回動支点である。
【0051】
そして、本実施形態の蓋体開閉構造においても、蓋体20が開位置にある状態で、蓋体20の回動を開位置で停止させるためのストッパ機構37−2が設けられている。ストッパ機構37−2は、図7及び図8に示すように、第1連結具61における第2リンク支点35の近傍部分と、第2連結具81における第4リンク支点85の近傍部分とを蓋体20の内面20cに設けた当接面(係止部)37−2aに当接させるように構成したものである。すなわち、図7(a)に示すように、蓋体20が開位置にある状態で、第1連結具61の側面61d及び第2連結具81の側面81dが取付板34の当接面37−2aに面接触状態で当接するようになっている。また本実施形態においても、上記構成のストッパ機構37−2によって開位置で停止した蓋体20は、その後端部20aが前端部20bよりも下ケース10の前側に位置するように傾斜した状態で、該下ケース10の上面に立設されるようになっている。
【0052】
なお、上記のストッパ機構37−2では、第1連結具61と第2連結具81の両方が(同時に)取付板34の当接面37−2aに当接するように構成した場合を示したが、これ以外にも、第1連結具61と第2連結具81のいずれか一方のみが取付板34の当接面37−2aに当接するように構成してもよい。すなわち、本実施形態のように第1連結具61と第2連結具81の2本の連結具を備えた連結機構30−2にストッパ機構を設ける場合は、取付板34の当接面37−2aに対して第1連結具61と第2連結具81の少なくともいずれかが最初に当接する位置が蓋体20の開位置となるように設定すればよい。
【0053】
またその場合は、第1連結具61の屈曲部61c,61fや第2連結具81の屈曲部81c,81fの曲げ角を適宜に設定すれば、第1連結具61や第2連結具81を取付板34の当接面37−2aに対して面接触状態で当接させることができる。これらによって、連結具が1本の場合と2本の場合のいずれにおいても所望の位置及び角度で蓋体20を停止させることができる。
【0054】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、蓋体開閉構造を適用した鍵盤楽器1として、卓上型の鍵盤楽器を示したが、本発明にかかる蓋体開閉構造は、卓上型の鍵盤楽器以外にも、脚部を備えた自立型(大型)の鍵盤楽器などに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1・・・鍵盤楽器、5・・・鍵盤、6・・・側板(側部)、10・・・下ケース(ケース)、20・・・蓋体、20a・・・後端部、20b・・・前端部、20c・・・内面、20d・・・端部(幅方向の端部)、30・・・連結機構、31・・・連結具、31d・・・側面(長手方向に対する側面)、33・・・第1リンク支点、34・・・取付板、35・・・第2リンク支点、37・・・ストッパ機構、37a・・・当接面(係止部)、40・・・スライド機構、55・・・パネル部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鍵からなる鍵盤を収容してなるケースと、
前記ケースに対して、該ケースにおける前記鍵盤の上方を閉じる閉位置と該上方を開く開位置との間で移動可能となるように取り付けられた板状の蓋体と、
前記ケースにおける前記鍵盤の側方に配置した側部とそれに対向する前記蓋体における前記鍵の配列方向の端部とを連結してなる連結機構と、を備えた鍵盤楽器の蓋体開閉構造であって、
前記連結機構は、
前記ケースの側部と前記蓋体の前記端部との間に取り付けられて、一端が前記側部の内側面に対してリンク支持されており、他端が前記蓋体の前記端部に対してリンク支持されてなる一又は複数の連結具を備え、
前記蓋体が前記開位置にある状態で、前記連結具を前記蓋体に対して直接又は他の部材を介して当接させることで、前記蓋体の回動がその位置で停止すると共に、前記開位置における前記蓋体の位置及び姿勢が規定されるようにしたストッパ機構を備える
ことを特徴する鍵盤楽器の蓋体開閉構造。
【請求項2】
前記連結具は、前記ケース側の第1リンク支点と前記蓋体側の第2リンク支点とを連結する長尺状の部材であって、
前記ストッパ機構は、前記連結具の長手方向に対する側面が、前記蓋体の内面、又は該内面に取り付けた前記第2リンク支点用の取付部材に対して面接触状態で当接する構成である
ことを特徴とする請求項1に記載の鍵盤楽器の蓋体開閉構造。
【請求項3】
前記開位置における前記蓋体は、その後端部が前端部よりも前記ケースの前側に位置するように傾斜した状態で、該ケースの上面に立設される
ことを特徴する請求項1又は2に記載の鍵盤楽器の蓋体開閉構造。
【請求項4】
前記連結機構は、前記蓋体が前記閉位置と前記開位置との間を移動する際に、該蓋体の後端部が前記鍵の長手方向を前後へスライド移動するように構成したスライド機構をさらに備え、
前記蓋体が前記閉位置から前記開位置へ移動する際に、当該スライド機構によって該蓋体の後端部が前記ケースの前側へ移動し、
前記開位置で前記連結具が前記蓋体の後端部に対して直接又は他の部材を介して当接するするように構成した
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の鍵盤楽器の蓋体開閉構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−20155(P2013−20155A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154359(P2011−154359)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】