説明

鍼灸針の包装容器

【課題】複数の鍼灸針を収納可能で、その一部のみを使用する場合は、個別に開封でき、全部使用する場合は、まとめて一度に開封できる鍼灸針の包装容器を提供する。
【解決手段】容器本体10は、平面上に複数の鍼灸針1を個別に収納する複数の収納溝11を平行に並べて凹設し、収納溝11と収納溝11との間の境界部分12を外枠部分13と面一にして残してなる。容器本体10の複数の収納溝11にそれぞれ鍼灸針1を収納した状態で、容器本体10の平面上にシート部材を剥離可能に貼付ける(シール部SL)。シート部材には、その一端部から中間部まで、境界部分12の中央ラインに沿って、切込み21を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍼治療に使用される鍼灸針の包装容器(収納容器)に関する。
【背景技術】
【0002】
鍼治療に使用される鍼灸針は、安全のため、1本ずつ、個包装して提供されており、1本ずつ開封して、使用するのが前提である。
この場合、1本ずつ使用する施術者には良いが、1度に多数を使用する施術者には、個包装を1つずつ開封することが手間であった。
そこで、特許文献1に記載されているように、個包装ではなく、1つの容器に多数の針(例えば10本)を収納する包装形態もある。
【特許文献1】実開平06−031740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、例えば10本入りの包装で、その一部のみを使用する場合は、残りの針を滅菌状態で保存することができず、不衛生であるという問題点があった。
本発明は、このような実状に鑑み、複数の鍼灸針を収納可能で、その一部のみを使用する場合は、個別に開封することができ、全部を使用する場合は、まとめて一度に開封することができる鍼灸針の包装容器(収納容器)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、本発明に係る鍼灸針の包装容器は、平面上に複数の鍼灸針を個別に収納する複数の収納溝を平行に並べて凹設し、収納溝と収納溝との間の境界部分を外枠部分と面一にして残してなる容器本体と、前記容器本体の複数の収納溝にそれぞれ鍼灸針を収納した状態で、前記容器本体の前記外枠部分及び前記境界部分に剥離可能に貼付けられて、前記容器本体の複数の収納溝の開口部を覆う単一のシート部材と、から構成する。
【0005】
そして、前記シート部材の、前記収納溝に沿う前記境界部分の延在方向で見て、いずれか一方の端部から、中間部まで、前記境界部分の中央ラインに沿って、切込みを形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の鍼灸針のうち、一部のみを使用する場合は、シート部材の一方の端部の側(切込みのある側)から、中間部まで、切込みによって分割されている分割片を1つずつ剥がせば、1本ずつ開封でき、必要な本数の針を取出すことができ、残りは包装状態を維持できる。
全部を使用する場合は、シート部材の他方の端部の側(切込みのない側)から、シート部材をまとめて剥がせば、まとめて開封でき、手間いらずとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す包装容器(容器本体)の平面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図、図4は鍼灸針の拡大図、図5は包装容器の密閉状態での斜視図である。
鍼灸針1は、図4に示されているように、先端部に針先部を有する金属製の針体2と、その基端部に一体成形された樹脂製の針柄3とからなり、これを円筒状の針管4に挿入している。
【0008】
この針管4付きの鍼灸針1を複数本(例えば4本)まとめて収納するために、本発明に係る包装容器(収納容器)が用いられる。
本発明に係る包装容器は、容器本体(ボトム材)10と、シート部材(トップ材)20とから構成される。
容器本体10は、樹脂製で、矩形の平面上に、複数の鍼灸針1(針管4付きの鍼灸針1)を個別に収納する複数の収納溝11を平行に並べて凹設し、収納溝11と収納溝11との間の境界部分12を、外枠部分13と面一にして残している。
【0009】
また、収納溝11の一端側と他端側とで溝の幅を異ならせ、一端側(図1で右側)の幅を狭くし、他端側(図1で左側)の幅を広くしている。これにより、収納溝11と収納溝11との間の境界部分12の幅は、逆に、一端側(図1で右側)で広くし(幅広部12a)、他端側(図1で左側)で狭くしている(幅狭部12b)。
かかる容器本体10の複数の収納溝11にそれぞれ鍼灸針1(針管4付きの鍼灸針1)を収納した後、容器本体10の開口部をシート部材20でシールする。
【0010】
シート部材20は、容器本体10の平面部とほぼ同じ大きさの、1枚の矩形の紙材で、滅菌ガス透過性を有しており、容器本体10の外枠部分13及び境界部分12に剥離可能に貼付けられて、容器本体10の収納溝11の開口部を覆うようになっている。
この貼付けは、熱溶着(ヒートシール)により行うようにしており、図1のハッチング部分SLが貼付け部(シール部)である。
【0011】
ここにおいて、シート部材20の、前記収納溝11に沿う前記境界部分12の延在方向で見て、一方の端部、特に、境界部分12の幅が広い側の端部から、中間部までの範囲に、境界部分12(幅広部12a)の中央ラインに沿って、切込み21を形成してある。切込み21は、4本収納の場合、3本となる。
尚、本実施形態では、シート部材20だけでなく、シート部材20と容器本体10との両方に、切込み21を形成してある。
【0012】
また、図1のハッチング部分(シール部)SLの外側にハッチング無し部分NSがあって、これが未シール部となっていることからわかるように、シート部材20の、前記収納溝11の延在方向で見て、両端部に、前記外枠部分13に貼付けられていない遊び部22a、22bを設けて、シート部材20を剥離させる際に指でつまむのを容易にしている。この場合、シート部材20(その少なくとも一部)を容器本体10の平面部より大きくして、外枠部分13よりはみ出している部分をつまむようにしてもよい。
【0013】
容器本体10に鍼灸針1を収納し、シート部材20を貼付けて密閉した後、この状態で滅菌ガスにさらすことにより、滅菌処理を行って、ユーザーに提供する。
ユーザーが鍼灸針を鍼治療のために使用する際は、複数の鍼灸針1のうち、一部を使用する場合と、全部を使用する場合とで、異なる方向から、シート部材20を剥がす。
〔一部を使用する場合〕
一部を使用する場合は、図6に示すように、シート部材20の切込み21のある側(右側)の端部から、切込み21によって分割されている分割片の1つをつまんで、中間部まで(切込み21の奥部まで)、シート部材20を剥がす。このようにして、切込み21によって分割されている分割片を1つずつ剥がせば、1本ずつ開封でき、必要な本数の針を取出すことができ、残りは包装状態(無菌状態)を維持できる。
〔全部を使用する場合〕
全部を使用する場合は、図7に示すように、シート部材20の切込み21のある側とは反対側(左側)から、シート部材20を剥がす。これにより一度に剥がすことができ、手間いらずとなる。この場合、剥がす側である切込み21のない境界部分12は、幅狭部12bとなっているので、比較的容易に剥がすことができる。尚、図7では中間部まで剥がした状態を示しているが、中間部で止める必要はなく、全部剥がしてもよい。
【0014】
本実施形態によれば、各収納溝11の一端側と他端側とで溝の幅を異ならせて、境界部分12の幅を一端側と他端側とで異ならせ(幅広部12a、幅狭部12b)、切込み21は、境界部分12の幅が広い側(幅広部12a)に形成したことにより、シール部材20を全部剥がす際は、境界部分12の幅が狭い側(幅狭部12b)から剥がすことになるので、剥離面積の増大を抑えて、剥離を比較的容易にできる。その一方、幅広部12aに切込み21を形成するので、切込み21の片側を剥がしても、残り側のシール面積を確保して、残りの包装状態の維持が確実となる。
【0015】
また、本実施形態によれば、シート部材20の、収納溝11の延在方向で見て、両端部に、外枠部分13に貼付けられていない遊び部22a、22b(未シール部NS)を設けたことにより、剥離の際につまむ部分を確保でき、剥離が容易となる。
また、本実施形態によれば、シート材20は、滅菌ガス透過性を有しているので、密閉(シール)後のガス滅菌が可能となる。但し、他の滅菌処理を行うのであれば、シート部材として、樹脂フィルムなどを用いることも可能である。
【0016】
また、本実施形態によれば、切込み21は、シート部材20と容器本体10との両方に形成してあるので、図6に示したように、1個ずつ針を取出す際に、分割されている容器本体10側をシート部材20と反対側に撓ませることができて、取出しを容易にすることができる。但し、シート部材20にのみ切込み21を形成するようにしてもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を示す包装容器(本体)の平面図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図1のB−B断面図
【図4】針管付き鍼灸針の拡大図
【図5】包装容器の密閉状態での斜視図
【図6】一部を使用する場合の開封方法を説明する斜視図
【図7】全部を使用する場合の開封方法を説明する斜視図
【符号の説明】
【0018】
1 鍼灸針
2 針体
3 針柄
4 針管
10 容器本体(ボトム材)
11 収納溝
12 境界部分
13 外枠部分
20 シート部材(トップ材)
21 切込み
22a、22b 遊び部
SL シール部
NS 未シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面上に複数の鍼灸針を個別に収納する複数の収納溝を平行に並べて凹設し、収納溝と収納溝との間の境界部分を外枠部分と面一にして残してなる容器本体と、
前記容器本体の複数の収納溝にそれぞれ鍼灸針を収納した状態で、前記容器本体の前記外枠部分及び前記境界部分に剥離可能に貼付けられて、前記容器本体の複数の収納溝の開口部を覆う単一のシート部材と、から構成され、
前記シート部材の、前記収納溝に沿う前記境界部分の延在方向で見て、いずれか一方の端部から、中間部まで、前記境界部分の中央ラインに沿って、切込みを形成したことを特徴とする鍼灸針の包装容器。
【請求項2】
前記各収納溝の一端側と他端側とで溝の幅を異ならせて、前記境界部分の幅を一端側と他端側とで異ならせ、前記切込みは、前記境界部分の幅が広い側に形成したことを特徴とする請求項1記載の鍼灸針の包装容器。
【請求項3】
前記シート部材の、前記収納溝の延在方向で見て、両端部に、前記外枠部分に貼付けられていない遊び部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の鍼灸針の包装容器。
【請求項4】
前記シート材は、滅菌ガス透過性を有していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の鍼灸針の包装容器。
【請求項5】
前記切込みは、前記シート部材と前記容器本体との両方に形成することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の鍼灸針の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−23117(P2008−23117A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199896(P2006−199896)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(390024545)セイリン株式会社 (14)
【Fターム(参考)】