説明

長尺材の切断装置及び切断方法

【課題】長尺材に僅かな曲がりやねじれ等が存在しても長尺材をその軸線方向に対して精密に垂直状に切断することのできる切断装置を提供する。
【解決手段】この発明の切断装置1は、切断刃を備えた切断手段2と、切断刃で長尺材Wを切断する切断位置の近傍に配置され、長尺材Wの長さ方向の一端部を固定する固定手段3と、長尺材Wの長さ方向の他端部を保持するクランプ手段4と、クランプ手段4を支持する支持手段5と、支持手段5を切断位置に向けて移送する送り込み手段6とを備え、クランプ手段4は、長尺材Wの移送方向Eに直交する少なくとも1方向に移動できる態様で支持手段5に支持されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば金属押出材等の長尺材を精密に垂直切断する切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
押出材等の長尺材を定寸に切断する切断装置としては、送り込み装置によって送られてきた長尺材の先端を、予め位置決めがなされたストッパ部材に当接させることによって停止せしめた後、クランパによって長尺材の先端部を固定し、この固定状態で切断刃で押し切る切断装置が公知である(特許文献1参照)。
【0003】
また、長尺材の後端をクランプで保持した状態で所定距離前進させて切断刃で切断する切断装置も公知である(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−309519号公報
【特許文献2】特開2002−79419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記前者の従来の切断装置では、長尺材がストッパ部材に強く当たる場合があり、このような場合にはストッパ部材が変形しやすいという問題があった。また、長尺材の重量が大きいと自重により僅かに曲がりを生じてストッパ部材に十分に当接しない(端面の一部のみが接触した状態になる)ので、寸法精度が不十分なものになるという問題があった。
【0006】
また、上記後者の従来の切断装置では、長尺材の後端をクランプで保持しているので、長尺材に僅かな曲がりやねじれ等が存在すると、長尺材の前端を切断する際に長尺材を精密に垂直状に切断することができない、即ち切断面が長尺材の軸線に対して(直角ではなく)僅かに斜めになるという問題があった。このような斜め切りになると当然に寸法精度が悪くなる。
【0007】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、長尺材に僅かな曲がりやねじれ等が存在しても長尺材をその軸線方向に対して精密に垂直状に切断することのできる切断装置及び切断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
[1]切断刃を備えた切断手段と、
前記切断刃で長尺材を切断する切断位置の近傍に配置され、長尺材の長さ方向の一端部を固定する固定手段と、
長尺材の長さ方向の他端部を保持するクランプ手段と、
前記クランプ手段を支持する支持手段と、
前記支持手段を前記切断位置に向けて移送する送り込み手段とを備え、
前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向に平行でない少なくとも1方向に移動できる態様で前記支持手段に支持されていることを特徴とする長尺材の切断装置。
【0010】
[2]切断刃を備えた切断手段と、
前記切断刃で長尺材を切断する切断位置の近傍に配置され、長尺材の長さ方向の一端部を固定する固定手段と、
長尺材の長さ方向の他端部を保持するクランプ手段と、
前記クランプ手段を支持する支持手段と、
前記支持手段を前記切断位置に向けて移送する送り込み手段とを備え、
前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向に直交する少なくとも1方向に移動できる態様で前記支持手段に支持されていることを特徴とする長尺材の切断装置。
【0011】
[3]前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向に直交する直交面内におけるいずれの方向にも移動できる態様で前記支持手段に支持されている前項2に記載の長尺材の切断装置。
【0012】
[4]前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向を中心軸とする回動もできる態様で前記支持手段に支持されている前項1〜3のいずれか1項に記載の長尺材の切断装置。
【0013】
[5]前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向に直交する少なくとも1方向を中心軸とする回動もできる態様で前記支持手段に支持されている前項1〜4のいずれか1項に記載の長尺材の切断装置。
【0014】
[6]切断刃を備えた切断手段と、
前記切断刃で長尺材を切断する切断位置の近傍に配置され、長尺材の長さ方向の一端部を固定する固定手段と、
長尺材の長さ方向の他端部を保持するクランプ手段と、
前記クランプ手段を支持する支持手段と、
前記支持手段を前記切断位置に向けて移送する送り込み手段とを備え、
前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向を中心軸とする回動ができる態様で前記支持手段に支持されていることを特徴とする長尺材の切断装置。
【0015】
[7]切断刃を備えた切断手段と、
前記切断刃で長尺材を切断する切断位置の近傍に配置され、長尺材の長さ方向の一端部を固定する固定手段と、
長尺材の長さ方向の他端部を保持するクランプ手段と、
前記クランプ手段を支持する支持手段と、
前記支持手段を前記切断位置に向けて移送する送り込み手段とを備え、
前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向に直交する少なくとも1方向を中心軸とする回動ができる態様で前記支持手段に支持されていることを特徴とする長尺材の切断装置。
【0016】
[8]前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向を中心軸とする回動もできる態様で前記支持手段に支持されている前項7に記載の長尺材の切断装置。
【0017】
[9]前記送り込み手段は、前記クランプ手段の前記支持手段に対する変位量に基づいて前記支持手段の移送量を補正する制御手段を備える前項1〜8のいずれか1項に記載の長尺材の切断装置。
【0018】
[10]断面形状が矩形状の長尺材を切断する切断装置であって、前記固定手段は、互いに対向して配置された左右一対の側方挟み込み部と、下方支持部とを備え、前記側方挟み込み部における長尺材の側面に当接する当接面は平滑面に形成され、前記下方支持部における長尺材の底面に当接する当接面は平滑面に形成され、前記側方挟み込み部の平滑面と前記下方支持部の平滑面は直交する状態に配置されている前項1〜9のいずれか1項に記載の長尺材の切断装置。
【0019】
[11]前項1〜10のいずれか1項に記載の切断装置を用いて長尺材を切断する切断方法であって、
長尺材の長さ方向の一端部を前記クランプ手段で保持した状態で前記送り込み手段を駆動させて前記支持手段を前記切断位置に向けて移送して前記長尺材の長さ方向の他端部を前記切断位置に配置せしめる移送工程と、
前記クランプ手段により前記長尺材の長さ方向の一端部を保持した状態で前記長尺材の長さ方向の他端部を前記固定手段で固定し、この固定状態で前記切断手段の切断刃により前記長尺材を切断する切断工程とを包含することを特徴とする長尺材の切断方法。
【0020】
[12]長尺材の移送方向に平行でない少なくとも1方向に移動できる態様で支持手段に支持されたクランプ手段で長尺材の長さ方向の一端部を保持し、この保持状態で前記支持手段を移動させることによって前記長尺材を移送する移送工程と、
前記長尺材の長さ方向の他端部を固定手段で固定すると共に、該固定によって前記クランプ手段の保持位置で生じる前記長尺材の長さ方向の一端部の変位に応じて前記クランプ手段が前記支持手段に対して長尺材の移送方向に平行でない少なくとも1方向への移動を含む移動を行う固定工程と、
前記固定状態で長尺材の長さ方向の他端部を切断する切断工程とを包含することを特徴とする長尺材の切断方法。
【0021】
[13]長尺材の移送方向を中心軸とする回動ができる態様で支持手段に支持されたクランプ手段で長尺材の長さ方向の一端部を保持し、この保持状態で前記支持手段を移動させることによって前記長尺材を移送する移送工程と、
前記長尺材の長さ方向の他端部を固定手段で固定すると共に、該固定によって前記クランプ手段の保持位置で生じる前記長尺材の長さ方向の一端部の変位に応じて前記クランプ手段が前記支持手段に対して長尺材の移送方向を中心軸とした回動を含む移動を行う固定工程と、
前記固定状態で長尺材の長さ方向の他端部を切断する切断工程とを包含することを特徴とする長尺材の切断方法。
【0022】
[14]長尺材の移送方向に直交する少なくとも1方向を中心軸とする回動ができる態様で支持手段に支持されたクランプ手段で長尺材の長さ方向の一端部を保持し、この保持状態で前記支持手段を移動させることによって前記長尺材を移送する移送工程と、
前記長尺材の長さ方向の他端部を固定手段で固定すると共に、該固定によって前記クランプ手段の保持位置で生じる前記長尺材の長さ方向の一端部の変位に応じて前記クランプ手段が前記支持手段に対して長尺材の移送方向に直交する少なくとも1方向を中心軸とした回動を含む移動を行う固定工程と、
前記固定状態で長尺材の長さ方向の他端部を切断する切断工程とを包含することを特徴とする長尺材の切断方法。
【発明の効果】
【0023】
[1]の発明では、長尺材の長さ方向の他端部を保持するクランプ手段が、長尺材の移送方向に平行でない(長尺材の移送方向を除く)少なくとも1方向に移動できる態様で支持手段に支持されているから、移送されてきた長尺材の長さ方向の一端部を固定手段で十分に固定した時に、該長尺材に曲がりが存在しても該曲がりに起因した長尺材の他端部の支持手段に対する変位(即ち長尺材に曲がりがあることで生じるクランプ手段の支持手段に対する変位)を許容できるので、長尺材に曲がり等が存在しても長尺材をその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。
【0024】
[2]の発明では、長尺材の長さ方向の他端部を保持するクランプ手段が、長尺材の移送方向(支持手段の移送方向)に直交する少なくとも1方向に移動できる態様で支持手段に支持されているから、移送されてきた長尺材の長さ方向の一端部を固定手段で十分に固定した時に、該長尺材に曲がりが存在しても該曲がりに起因した長尺材の他端部の支持手段に対する変位(即ち長尺材に曲がりがあることで生じるクランプ手段の支持手段に対する変位)を許容できるので、長尺材に曲がり等が存在しても長尺材をその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。
【0025】
[3]の発明では、クランプ手段は、長尺材の移送方向(支持手段の移送方向)に直交する直交面内におけるいずれの方向にも移動できる態様で支持手段に支持されているから、長尺材に曲がり等が存在しても長尺材をその軸線方向(長さ方向)に対してより精密に垂直状に切断することができる。
【0026】
[4]の発明では、クランプ手段は、長尺材の移送方向(支持手段の移送方向)を中心軸とする回動もできる態様で支持手段に支持されているから、移送されてきた長尺材の長さ方向の一端部を固定手段で十分に固定した時に、該長尺材にねじれ等が存在しても該ねじれに起因した長尺材の他端部の支持手段に対する回転変位を許容できるので、長尺材にねじれ等が存在しても長尺材をその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。従って、この[4]の発明によれば、長尺材に曲がり及びねじれの両方が存在しても長尺材をその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。
【0027】
[5]の発明では、クランプ手段は、長尺材の移送方向(支持手段の移送方向)に直交する少なくとも1方向を中心軸とする回動ができる態様で支持手段に支持されているから、即ちクランプ手段が首振り可能な態様で支持手段に支持されているから、長尺材に曲がり等が存在しても長尺材をその軸線方向(長さ方向)に対してより一層精密に垂直状に切断することができる。
【0028】
[6]の発明では、長尺材の長さ方向の他端部を保持するクランプ手段が、長尺材の移送方向(支持手段の移送方向)を中心軸とする回動ができる態様で支持手段に支持されているから、移送されてきた長尺材の長さ方向の一端部を固定手段で十分に固定した時に、該長尺材にねじれ等が存在しても該ねじれに起因した長尺材の他端部の支持手段に対する回転変位を許容できるので、長尺材にねじれ等が存在しても長尺材をその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。
【0029】
[7]の発明では、長尺材の長さ方向の他端部を保持するクランプ手段が、長尺材の移送方向(支持手段の移送方向)に直交する少なくとも1方向を中心軸とする回動ができる態様で支持手段に支持されているから、即ちクランプ手段が首振り可能な態様で支持手段に支持されているから、移送されてきた長尺材の長さ方向の一端部を固定手段で十分に固定した時に、該長尺材に曲がりが存在しても該曲がりに起因した長尺材の他端部の支持手段に対する変位(即ち長尺材に曲がりがあることで生じるクランプ手段の支持手段に対する変位)を許容できるので、長尺材に曲がり等が存在しても長尺材をその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。
【0030】
[8]の発明では、クランプ手段は、長尺材の移送方向(支持手段の移送方向)を中心軸とする回動もできる態様で支持手段に支持されているから、移送されてきた長尺材の長さ方向の一端部を固定手段で十分に固定した時に、該長尺材にねじれ等が存在しても該ねじれに起因した長尺材の他端部の支持手段に対する回転変位を許容できるので、長尺材にねじれ等が存在しても長尺材をその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。従って、この[8]の発明によれば、長尺材に曲がり及びねじれの両方が存在しても長尺材をその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。
【0031】
[9]の発明では、送り込み手段は、クランプ手段の支持手段に対する変位量に基づいて支持手段の移送量を補正する制御手段を備えているから、長尺材に曲がりやねじれ等が存在しても長尺材をより精密に定寸で切断することができる。
【0032】
[10]の発明では、固定手段は、互いに対向して配置された左右一対の側方挟み込み部と、下方支持部とを備え、側方挟み込み部における断面矩形状の長尺材の側面に当接する当接面は平滑面に形成され、前記下方支持部における断面矩形状の長尺材の底面に当接する当接面は平滑面に形成され、側方挟み込み部の平滑面と下方支持部の平滑面は直交する状態に配置されているから、断面形状が矩形状の長尺材の底面及び一対の側面に十分に当接して長尺材を固定できるので、長尺材をその軸線方向(長さ方向)に対してより一層精密に垂直状に切断することができる。
【0033】
[11]の発明(切断方法)によれば、長尺材に曲がり及び/又はねじれ等が存在しても長尺材をその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。
【0034】
[12]の発明(切断方法)によれば、長尺材に曲がり等が存在しても長尺材をその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。
【0035】
[13]の発明(切断方法)によれば、長尺材にねじれ等が存在しても長尺材をその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。
【0036】
[14]の発明(切断方法)によれば、長尺材に曲がり等が存在しても長尺材をその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明に係る切断装置の第1実施形態を長尺材を保持した状態で示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は平面図である。いずれもボールベアリング部及びその近傍を切り欠いて断面で示す。
【図2】図1におけるX−X線の断面図である。
【図3】この発明に係る切断装置の第2実施形態を長尺材を保持した状態で示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は平面図である。いずれもボールベアリング部及びその近傍を切り欠いて断面で示す。
【図4】この発明に係る切断装置の第3実施形態を長尺材を保持した状態で示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は平面図である。いずれもリニアステージ機構部の一部を切り欠いて断面で示す。
【図5】この発明に係る切断装置の第4実施形態を長尺材を保持した状態で示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は平面図である。いずれもボールベアリング部及びその近傍並びにリニアステージ機構部の一部を切り欠いて断面で示す。
【図6】長尺材の僅かな曲がりを説明するための長尺材の概略平面図である。
【図7】支持手段に対するクランプ手段の移動可能な方向を三次元座標系で示す概念図である。この図7において「x」は長尺材の移送方向Eを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
この発明に係る切断装置1の一実施形態(第1実施形態)を図1に示す。本第1実施形態の切断装置1は、切断手段2と、固定手段3と、クランプ手段4と、支持手段5と、送り込み手段6とを備える。この第1実施形態の切断装置1が切断対象とする長尺材Wの断面形状は矩形状である(図2参照)。
【0039】
前記切断手段2は、切断刃(図示しない)を備えてなり、この切断刃によって長尺材Wを押切りするものである。
【0040】
前記固定手段3は、前記切断手段2の近傍に配置されている、即ち前記切断刃で長尺材Wを切断する切断位置の近傍に配置されている。前記固定手段3は、図1、2に示すように、長尺材Wの移送方向Eの前方側において互いに対向して配置された左右一対の側方挟み込み部22、23と、長尺材Wの移送方向Eの後方側において互いに対向して配置された左右一対の側方挟み込み部22、23と、下方支持部24とを備えている。前記一方の側方挟み込み部22は、前記下方支持部24に連接固定されている一方、他方の側方挟み込み部23は、駆動手段26によって水平方向に進退移動可能に支持されている(図2参照)。前記側方挟み込み部22、23における長尺材Wの側面に当接する当接面は平滑面に形成され、前記下方支持部24における長尺材Wの底面に当接する当接面は平滑面に形成され、前記側方挟み込み部22、23の当接面と前記下方支持部24の当接面は直交する状態に配置されている(図2参照)。前記下方支持部24及び一方の側方挟み込み部22の長さ方向の中央部には切断刃受容空隙25が形成されている(図1参照)。この切断刃受容空隙25は、前記切断刃で長尺材Wを切断する際の切断刃の切断操作を阻害することのないように形成されたものである。
【0041】
しかして、前記固定手段3は、移送されてきた長尺材Wの長さ方向の一端部を固定する。即ち、移送されてきた長尺材Wの底面に下方支持部24の平滑面が当接して支承すると共に、前記駆動手段26を駆動させて前記側方挟み込み部23を進出移動させることによって左右一対の側方挟み込み部22、23の各平滑面が長尺材Wの側面に当接してこれら側方挟み込み部22、23の間に長尺材Wを挟み付けることによって、長尺材Wの長さ方向の一端部を固定する(図2参照)。
【0042】
前記クランプ手段4は、長尺材Wの長さ方向の他端部を保持するものである。前記クランプ手段4は、上下方向に延ばされた基板部34と、該基板部34の上縁部から水平に延ばされた天板部35と、前記基板部34の下縁部から水平に延ばされた底板部36と、前記天板部35に対して上下方向に進退駆動可能に取り付けられたクランプ部37とを備えてなる。
【0043】
前記クランプ手段4は、ボールベアリング部30を介して支持手段5によって支持されている。前記ボールベアリング部30は、円板状の第1外輪部31Aと、該第1外輪部31Aと離間して対向状態に配置された円板状の第2外輪部31Bと、これら両外輪部31A、31Bの周縁同士を連結する環状体部31Cと、前記両外輪部31A、31Bの間に配置された円板状の内輪部32と、前記第1外輪部31Aと前記内輪部32の間に配置された複数個の玉33と、前記第2外輪部31Bと前記内輪部32の間に配置された複数個の玉33とを備えている。前記内輪部32の両面に前記玉33の一部分を受容し得るクレーター状の受容凹部が形成され、該受容凹部内に前記玉33の一部分が埋没した状態になっている。前記第2外輪部31Bの中央部に中央孔39が形成されている。前記内輪部32と前記クランプ手段4の基板部34とが、前記中央孔39に挿通された円柱状の連結部38で連結されている(図1参照)。
【0044】
前記支持手段5は、外形形状が直方体形状のボックス体からなり、その一側面が前記ボールベアリング部30の第1外輪部31Aの外面に接合されている(図1参照)。
【0045】
前記クランプ手段4は、前述した構成からなるボールベアリング部30を介して支持手段5によって支持されているから、クランプ手段4は、長尺材Wの移送方向Eに直交する直交面内におけるいずれの方向(図7においてy及びz等で示される方向)にも移動できる態様で支持手段5に支持されたものとなっている。
【0046】
前記支持手段5の内部空間内にモーター71が配置されている。前記モーター71は、回転軸72を介してギア73と連結されている。即ち、前記モーター71の駆動によって前記ギア73を回転させることができる。前記支持手段5、前記ボールベアリング部30及び前記クランプ手段4の下方位置にレール74が配置されている。このレール74の一側面に前記ギア73の外周面の歯車と係合し得る溝が所定間隔で形成されている。前記ギア73の外周面の歯車が前記レール74の溝に係合した状態で配置されている。しかして、前記モーター71を駆動させるとギア73が回転し、このギア73の回転により該ギア73がレール74の長さ方向に沿って移動する、即ち前記支持手段5がレール74の長さ方向に移動する。
【0047】
前記支持手段5の内部空間内には制御手段7も配置されている。この制御手段7は、前記クランプ手段4の前記支持手段5に対する前記直交面内における変位量(図7においてy及びz等で示される方向への変位量)に基づいて、前記支持手段5の前記移送方向Eへの移送量を補正する(調整する)ものである、即ち長尺材Wの移送方向Eへの送り込み量が常に一定になるように支持手段5の前記移送方向Eへの移送量を適宜補正するものである。前記送り込み手段6は、前記モーター71、回転軸72、ギア73、レール74及び制御手段7で構成されている。このような送り込み手段6によって前記支持手段5を前記切断位置に向けて移送する。
【0048】
しかして、上記切断装置1を用いて金属押出材等の長尺材Wを切断する際には、まず、長さ方向の一端部(先端部)が移送方向Eの前方側(切断位置の方向)に向けて配置され、長さ方向の他端部(基端部)が移送方向Eの後方側(支持手段側)に向けて配置された長尺材Wの該他端部を前記クランプ手段4で保持する、即ち長尺材Wの他端部をクランプ手段4の底板部36とクランプ部37の間に挟み込み固定する(図1(イ)参照)。この状態で前記送り込み手段6を駆動させることによって、即ちモーター71を回転駆動させることによって、支持手段5を前記切断位置に向けて移動させて、該支持手段5が保持している長尺材Wの一端部を前記切断位置に配置せしめる(移送工程)。
【0049】
次に、前記クランプ手段4で長尺材Wの他端部を保持した状態で前記長尺材Wの一端部を前記固定手段3で固定する、即ち下方支持部24で長尺材Wを支承すると共に一対の側方挟み込み部22、23で長尺材Wの側面を挟み込むことによって固定し、この固定状態で切断手段2の切断刃により長尺材Wを切断する(切断工程)。この時、クランプ手段4は、長尺材Wの移送方向Eに直交する直交面内におけるいずれの方向(図7においてy及びz等で示される方向)にも移動できる態様で支持手段5に支持されているから、長尺材Wに曲がりが存在しても該曲がりに起因した長尺材Wの他端部の支持手段5に対する変位(即ち長尺材Wに曲がりがあることで生じるクランプ手段4の支持手段5に対する変位)を許容することができ、これにより断面形状が矩形状の長尺材Wの底面及び一対の側面にクランプ手段4が十分に当接して長尺材Wを固定できるので、長尺材Wをその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。
【0050】
この発明の切断装置1の他の実施形態(第2実施形態)を図3に示す。本第2実施形態の切断装置1は、切断手段2、固定手段3、クランプ手段4、支持手段5、送り込み手段6の構成は、前記第1実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明は省略する。クランプ手段4と支持手段5の間に配設されているボールベアリング部40の構成が、前記第1実施形態のボールベアリング部30とは異なっているので、このボールベアリング部40の構成について以下詳述する。
【0051】
前記クランプ手段4は、ボールベアリング部40を介して支持手段5によって支持されている。前記ボールベアリング部40は、円板状の基板部44と、該基板部44の周縁部から垂直状に突設された環状帯状体からなる外輪部41と、該外輪部41の内部に配置された環状帯状体からなる内輪部42と、前記外輪部41と前記内輪部42の間に配置された複数個の玉43とを備えている。前記内輪部42の外周面に前記玉43の一部分を受容し得るクレーター状の受容凹部が形成され、該受容凹部内に前記玉43の一部分が埋没した状態になっている。このような構成により前記ボールベアリング部40において前記内輪部42は前記外輪部41に対してその軸線方向を中心軸として回動自在になっている。また、前記外輪部41の内周面は、外輪部41の軸線方向(図3で左右方向、Eで示される方向)に沿って一端側から他端側に向けて中央部が外方に向けて窪む円弧面に形成されているから、前記内輪部42は前記外輪部41に対して首振り自在になっている、即ち内輪部42は前記外輪部41に対して上方向への首振り移動、下方向への首振り移動、左方向への首振り移動、右方向への首振り移動、左斜め下方向への首振り移動、左斜め上方向への首振り移動、右斜め下方向への首振り移動、右斜め上方向への首振り移動等が可能である。前記クランプ手段4の基板部34の中央部に円柱形状の連結部48が突設され、該連結部48が前記内輪部42の内部空間内に挿入されて嵌合されることによって、前記クランプ手段4と前記内輪部42とが連結されている(図3参照)。
【0052】
前記支持手段5は、外形形状が直方体形状のボックス体からなり、その一側面が前記ボールベアリング部40の基板部44の外面に接合されている(図3参照)。
【0053】
前記クランプ手段4は、前述した構成からなるボールベアリング部40を介して支持手段5によって支持されているから、クランプ手段4は、長尺材Wの移送方向Eを中心軸とする回動(図7においてwで示される回転)ができる態様で支持手段5に支持されると共に、長尺材Wの移送方向Eに直交する少なくとも1方向を中心軸とする回動(図7においてr及びp等で示される首振り移動)ができる態様で支持手段5に支持されたものとなっている。
【0054】
しかして、上記切断装置1を用いて金属押出材等の長尺材Wを切断する際には、まず、前記第1実施形態と同様の移送工程を実施する。
【0055】
次に、前記クランプ手段4で長尺材Wの他端部を保持した状態で前記長尺材Wの一端部を前記固定手段3で固定する、即ち下方支持部24で長尺材Wを支承すると共に一対の側方挟み込み部22、23で長尺材Wの側面を挟み込むことによって固定し、この固定状態で切断手段2の切断刃により長尺材Wを切断する(切断工程)。この時、クランプ手段4は、長尺材Wの移送方向Eを中心軸とする回動(図7においてwで示される回転)ができる態様で支持手段5に支持されているから、長尺材Wにねじれ等が存在しても該ねじれに相当する長尺材Wの他端部の支持手段5に対する回転変位(即ち長尺材Wにねじれがあることで生じるクランプ手段4の支持手段5に対する回転変位)を許容することができると共に、長尺材Wの移送方向Eに直交する少なくとも1方向を中心軸とする回動(図7においてr及びp等で示される首振り移動)ができる態様で支持手段5に支持されているから、長尺材Wに曲がりが存在しても該曲がりに起因した長尺材Wの他端部の支持手段5に対する変位(即ち長尺材Wに曲がりがあることで生じるクランプ手段4の支持手段5に対する変位)を許容することができ、これらにより断面形状が矩形状の長尺材Wの底面及び一対の側面にクランプ手段4が十分に当接して長尺材Wを固定できるので、長尺材Wに曲がり及びねじれの両方が存在しても長尺材Wをその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。
【0056】
この発明の切断装置1の他の実施形態(第3実施形態)を図4に示す。本第3実施形態の切断装置1は、切断手段2、固定手段3、クランプ手段4、支持手段5、送り込み手段6の構成は、前記第1実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明は省略する。クランプ手段4と支持手段5の間にリニアステージ機構部50が配置されている点が、前記第1実施形態の構成と異なる。
【0057】
前記クランプ手段4は、リニアステージ機構部50を介して支持手段5によって支持されている。前記リニアステージ機構部50は、略矩形状の板状体からなる第1ステージ51と、該第1ステージ51の片面に接合されて水平方向に延ばされた第1レール54と、略矩形状の板状体からなる第2ステージ52と、該第2ステージ52の片面に接合されて上下方向(鉛直方向)に延ばされた第2レール55と、略矩形状の板状体からなる第3ステージ53とを備えてなる(図4参照)。前記第2ステージ52における前記第1ステージ51に対向する面に前記第1レール54を適合状態に受容する受容溝が水平方向に延設されると共に、前記第3ステージ53における前記第2ステージ52に対向する面に前記第2レール55を適合状態に受容する受容溝が上下方向(鉛直方向)に延設されている。しかして、前記第1ステージ51の水平方向に延びる第1レール54を前記第2ステージ52の水平方向に延びる受容溝が適合状態に受容した態様で第1ステージ51と第2ステージ52とが重ね合わせ配置されると共に、前記第2ステージ52の上下方向に延びる第2レール55を前記第3ステージ53の上下方向に延びる受容溝が適合状態に受容した態様で第2ステージ52と第3ステージ53とが重ね合わせ配置されることによって、前記リニアステージ機構部50が構成されている(図4参照)。
【0058】
前記支持手段5は、外形形状が直方体形状のボックス体からなり、その一側面が前記リニアステージ機構部50の第1ステージ51の外面に接合されている(図4参照)。
【0059】
前記クランプ手段4は、前述した構成からなるリニアステージ機構部50を介して支持手段5によって支持されているから、クランプ手段4は、長尺材Wの移送方向Eに直交する直交面内における水平方向及び上下方向のいずれの方向(図7においてy及びzで示される方向)にも移動できる態様で支持手段5に支持されたものとなっている。
【0060】
しかして、上記切断装置1を用いて金属押出材等の長尺材Wを切断する際には、まず、前記第1実施形態と同様の移送工程を実施する。
【0061】
次に、前記クランプ手段4で長尺材Wの他端部を保持した状態で前記長尺材Wの一端部を前記固定手段3で固定する、即ち下方支持部24で長尺材Wを支承すると共に一対の側方挟み込み部22、23で長尺材Wの側面を挟み込むことによって固定し、この固定状態で切断手段2の切断刃により長尺材Wを切断する(切断工程)。この時、クランプ手段4は、前記リニアステージ機構部50の存在により、長尺材Wの移送方向Eに直交する直交面内における水平方向及び上下方向のいずれの方向(図7においてy及びzで示される方向)にも移動できる態様で支持手段5に支持されているから、長尺材Wに曲がりが存在しても該曲がりに起因した長尺材Wの他端部の支持手段5に対する変位(即ち長尺材Wに曲がりがあることで生じるクランプ手段4の支持手段5に対する変位)を許容することができ、これにより断面形状が矩形状の長尺材Wの底面及び一対の側面にクランプ手段4が十分に当接して長尺材Wを固定できるので、長尺材Wをその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。
【0062】
この発明の切断装置1のさらに他の実施形態(第4実施形態)を図5に示す。本第4実施形態の切断装置1は、切断手段2、固定手段3、クランプ手段4、支持手段5、送り込み手段6の構成は、前記第1実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明は省略する。クランプ手段4と支持手段5の間にボールベアリング部60及びリニアステージ機構部50が配置されている点が、前記第1実施形態の構成と異なる。なお、このリニアステージ機構部50は、前記第3実施形態の構成と同様であるので、同一の符号を付してその説明は省略する。ボールベアリング部60の構成が、前記第1実施形態のボールベアリング部30とは異なっているので、このボールベアリング部60の構成について以下詳述する。
【0063】
前記クランプ手段4は、リニアステージ機構部50及びボールベアリング部60をこの順に介して支持手段5によって支持されている。前記ボールベアリング部60は、リニアステージ機構部50の外面の周縁部から垂直状に突設された環状帯状体からなる外輪部61と、該外輪部41の内部に配置された環状帯状体からなる内輪部42と、前記外輪部41と前記内輪部42の間に配置された複数個の玉43とを備えている。前記内輪部42の外周面に前記玉43の一部分を受容し得るクレーター状の受容凹部が形成され、該受容凹部内に前記玉43の一部分が埋没した状態になっている。また、前記外輪部61の内周面は、外輪部61の軸線方向(図5で左右方向、Eで示される方向)に沿って一端側から他端側に向けて中央部が外方に向けて窪む円弧面に形成されているから、前記内輪部62は前記外輪部61に対して首振り自在になっている、即ち内輪部62は前記外輪部61に対して上方向への首振り移動、下方向への首振り移動、左方向への首振り移動、右方向への首振り移動、左斜め下方向への首振り移動、左斜め上方向への首振り移動、右斜め下方向への首振り移動、右斜め上方向への首振り移動等が可能である。前記支持手段5の中央部に円柱形状の連結部68が突設され、該連結部68が前記内輪部62の内部空間内に挿入されて嵌合されることによって、前記支持手段5と前記内輪部62とが連結されている(図5参照)。
【0064】
前記クランプ手段4は、前記リニアステージ機構部50を介して支持手段5によって支持されているから、長尺材Wの移送方向Eに直交する直交面内における水平方向及び上下方向のいずれの方向(図7においてy及びzで示される方向)にも移動できる態様で支持手段5に支持されたものとなっている。
【0065】
更に、前記クランプ手段4は、前記ボールベアリング部60を介して支持手段5によって支持されているから、クランプ手段4は、長尺材Wの移送方向Eを中心軸とする回動(図7においてwで示される回転)ができる態様で支持手段5に支持されると共に、長尺材Wの移送方向Eに直交する少なくとも1方向を中心軸とする回動(図7においてr及びp等で示される首振り)ができる態様で支持手段5に支持されたものとなっている。
【0066】
しかして、上記切断装置1を用いて金属押出材等の長尺材Wを切断する際には、まず、前記第1実施形態と同様の移送工程を実施する。
【0067】
次に、前記クランプ手段4で長尺材Wの他端部を保持した状態で前記長尺材Wの一端部を前記固定手段3で固定する、即ち下方支持部24で長尺材Wを支承すると共に一対の側方挟み込み部22、23で長尺材Wの側面を挟み込むことによって固定し、この固定状態で切断手段2の切断刃により長尺材Wを切断する(切断工程)。
【0068】
この時、クランプ手段4は、長尺材Wの移送方向Eに直交する直交面内における水平方向及び上下方向のいずれの方向(図7においてy及びzで示される方向)にも移動できる態様で支持手段5に支持され、かつ長尺材Wの移送方向Eに直交する少なくとも1方向を中心軸とする回動(図7においてr及びp等で示される首振り)ができる態様で支持手段5に支持されているから、長尺材Wに曲がりが存在しても該曲がりに起因した長尺材Wの他端部の支持手段5に対する変位(即ち長尺材Wに曲がりがあることで生じるクランプ手段4の支持手段5に対する変位)を許容することができると共に、クランプ手段4は、長尺材Wの移送方向Eを中心軸とする回動(図7においてwで示される回転)ができる態様で支持手段5に支持されているから、長尺材Wにねじれ等が存在しても該ねじれに相当する長尺材Wの他端部の支持手段5に対する回転変位(即ち長尺材Wにねじれがあることで生じるクランプ手段4の支持手段5に対する回転変位)を許容することができ、これらにより断面形状が矩形状の長尺材Wの底面及び一対の側面にクランプ手段4が十分に当接して長尺材Wを固定できるので、長尺材Wに曲がり及びねじれの両方が存在しても長尺材Wをその軸線方向(長さ方向)に対して精密に垂直状に切断することができる。
【0069】
なお、金属押出材等の長尺材Wの曲がりとしては、例えば長尺材Wの長さLが6000mmで曲がり量Mが6mmであるもの等を例示できる(図6参照)が、特にこのような構成のものに限定されるものではない。
【0070】
上記第1実施形態では、クランプ手段4は、長尺材Wの移送方向Eに直交する直交面内における少なくとも1方向(図7においてy及びz等で示される方向)に移動できる態様で支持手段5に支持された構成が採用され、また、上記第3、4実施形態では、長尺材Wの移送方向Eに直交する直交面内における2方向(図7においてy及びzで示される方向)に移動できる態様で支持手段5に支持された構成が採用されていたが、本発明の切断装置1は、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば長尺材Wの移送方向Eに平行でない(即ち長尺材Wの移送方向Eを除く)少なくとも1方向(図7において例えばf、j等で示される方向)に移動できる態様で支持手段5に支持された構成であっても良い。なお、fは、x軸とz軸を含む平面内における1方向であり(移送方向Eに直交する直交面内の1方向ではない、即ちy軸とz軸を含む平面内の1方向ではない)、jは、x軸とy軸を含む平面内における1方向である(移送方向Eに直交する直交面内の1方向ではない、即ちy軸とz軸を含む平面内の1方向ではない)。
【産業上の利用可能性】
【0071】
この発明に係る切断装置は、長尺材に曲がり及び/又はねじれ等が存在しても長尺材をその軸線方向に対して精密に垂直状に切断することができるから、金属押出材等の長尺材を定寸でかつ精密に垂直切断する切断装置として好適である。
【符号の説明】
【0072】
1…切断装置
2…切断手段
3…固定手段
4…クランプ手段
5…支持手段
6…送り込み手段
7…制御手段
22…側方挟み込み部
23…側方挟み込み部
24…下方支持部
W…長尺材
E…移送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断刃を備えた切断手段と、
前記切断刃で長尺材を切断する切断位置の近傍に配置され、長尺材の長さ方向の一端部を固定する固定手段と、
長尺材の長さ方向の他端部を保持するクランプ手段と、
前記クランプ手段を支持する支持手段と、
前記支持手段を前記切断位置に向けて移送する送り込み手段とを備え、
前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向に平行でない少なくとも1方向に移動できる態様で前記支持手段に支持されていることを特徴とする長尺材の切断装置。
【請求項2】
切断刃を備えた切断手段と、
前記切断刃で長尺材を切断する切断位置の近傍に配置され、長尺材の長さ方向の一端部を固定する固定手段と、
長尺材の長さ方向の他端部を保持するクランプ手段と、
前記クランプ手段を支持する支持手段と、
前記支持手段を前記切断位置に向けて移送する送り込み手段とを備え、
前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向に直交する少なくとも1方向に移動できる態様で前記支持手段に支持されていることを特徴とする長尺材の切断装置。
【請求項3】
前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向に直交する直交面内におけるいずれの方向にも移動できる態様で前記支持手段に支持されている請求項2に記載の長尺材の切断装置。
【請求項4】
前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向を中心軸とする回動もできる態様で前記支持手段に支持されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の長尺材の切断装置。
【請求項5】
前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向に直交する少なくとも1方向を中心軸とする回動もできる態様で前記支持手段に支持されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の長尺材の切断装置。
【請求項6】
切断刃を備えた切断手段と、
前記切断刃で長尺材を切断する切断位置の近傍に配置され、長尺材の長さ方向の一端部を固定する固定手段と、
長尺材の長さ方向の他端部を保持するクランプ手段と、
前記クランプ手段を支持する支持手段と、
前記支持手段を前記切断位置に向けて移送する送り込み手段とを備え、
前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向を中心軸とする回動ができる態様で前記支持手段に支持されていることを特徴とする長尺材の切断装置。
【請求項7】
切断刃を備えた切断手段と、
前記切断刃で長尺材を切断する切断位置の近傍に配置され、長尺材の長さ方向の一端部を固定する固定手段と、
長尺材の長さ方向の他端部を保持するクランプ手段と、
前記クランプ手段を支持する支持手段と、
前記支持手段を前記切断位置に向けて移送する送り込み手段とを備え、
前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向に直交する少なくとも1方向を中心軸とする回動ができる態様で前記支持手段に支持されていることを特徴とする長尺材の切断装置。
【請求項8】
前記クランプ手段は、前記長尺材の移送方向を中心軸とする回動もできる態様で前記支持手段に支持されている請求項7に記載の長尺材の切断装置。
【請求項9】
前記送り込み手段は、前記クランプ手段の前記支持手段に対する変位量に基づいて前記支持手段の移送量を補正する制御手段を備える請求項1〜8のいずれか1項に記載の長尺材の切断装置。
【請求項10】
断面形状が矩形状の長尺材を切断する切断装置であって、前記固定手段は、互いに対向して配置された左右一対の側方挟み込み部と、下方支持部とを備え、前記側方挟み込み部における長尺材の側面に当接する当接面は平滑面に形成され、前記下方支持部における長尺材の底面に当接する当接面は平滑面に形成され、前記側方挟み込み部の平滑面と前記下方支持部の平滑面は直交する状態に配置されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の長尺材の切断装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の切断装置を用いて長尺材を切断する切断方法であって、
長尺材の長さ方向の一端部を前記クランプ手段で保持した状態で前記送り込み手段を駆動させて前記支持手段を前記切断位置に向けて移送して前記長尺材の長さ方向の他端部を前記切断位置に配置せしめる移送工程と、
前記クランプ手段により前記長尺材の長さ方向の一端部を保持した状態で前記長尺材の長さ方向の他端部を前記固定手段で固定し、この固定状態で前記切断手段の切断刃により前記長尺材を切断する切断工程とを包含することを特徴とする長尺材の切断方法。
【請求項12】
長尺材の移送方向に平行でない少なくとも1方向に移動できる態様で支持手段に支持されたクランプ手段で長尺材の長さ方向の一端部を保持し、この保持状態で前記支持手段を移動させることによって前記長尺材を移送する移送工程と、
前記長尺材の長さ方向の他端部を固定手段で固定すると共に、該固定によって前記クランプ手段の保持位置で生じる前記長尺材の長さ方向の一端部の変位に応じて前記クランプ手段が前記支持手段に対して長尺材の移送方向に平行でない少なくとも1方向への移動を含む移動を行う固定工程と、
前記固定状態で長尺材の長さ方向の他端部を切断する切断工程とを包含することを特徴とする長尺材の切断方法。
【請求項13】
長尺材の移送方向を中心軸とする回動ができる態様で支持手段に支持されたクランプ手段で長尺材の長さ方向の一端部を保持し、この保持状態で前記支持手段を移動させることによって前記長尺材を移送する移送工程と、
前記長尺材の長さ方向の他端部を固定手段で固定すると共に、該固定によって前記クランプ手段の保持位置で生じる前記長尺材の長さ方向の一端部の変位に応じて前記クランプ手段が前記支持手段に対して長尺材の移送方向を中心軸とした回動を含む移動を行う固定工程と、
前記固定状態で長尺材の長さ方向の他端部を切断する切断工程とを包含することを特徴とする長尺材の切断方法。
【請求項14】
長尺材の移送方向に直交する少なくとも1方向を中心軸とする回動ができる態様で支持手段に支持されたクランプ手段で長尺材の長さ方向の一端部を保持し、この保持状態で前記支持手段を移動させることによって前記長尺材を移送する移送工程と、
前記長尺材の長さ方向の他端部を固定手段で固定すると共に、該固定によって前記クランプ手段の保持位置で生じる前記長尺材の長さ方向の一端部の変位に応じて前記クランプ手段が前記支持手段に対して長尺材の移送方向に直交する少なくとも1方向を中心軸とした回動を含む移動を行う固定工程と、
前記固定状態で長尺材の長さ方向の他端部を切断する切断工程とを包含することを特徴とする長尺材の切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−56637(P2011−56637A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211304(P2009−211304)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】