説明

長尺紙材に少なくとも1つの窓型開口部を形成する方法および装置

【課題】本発明は、その長手軸に対して横方向に、ペーパーシート部に仮想的に細分化される長尺紙材(1)に、少なくとも1つの窓型開口部(7)を形成する方法および装置に関する。
【解決手段】a) 前記紙材(1)の各ペーパーシート部に、特に前記ペーパーシート部の端部に、少なくとも1つの透かし模様を設ける工程と、
(b) 前記紙材(1)上の少なくとも1つの透かし模様(2)の位置を、少なくとも1つのセンサーユニット(3)によって検出する工程と、
(c) 前記紙材(1)に開口部を形成するユニットに、前記紙材(1)を供給する工程とを含み、
該ユニットは、前記少なくとも1つのセンサーユニット(3)によって検出された前記少なくとも1つの透かし模様(2)の位置に基づいて、少なくとも1つの窓型開口部(7)を前記紙材(1)の各ペーパーシート部に形成するように動作される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その長手軸に対して横方向に、仮想的にペーパーシート部に分割される長尺紙材に少なくとも1つの窓型開口部を形成する方法ならびに該方法を実施する装置に関する。
少なくとも1つの窓型開口部を有する紙材は、紙幣、IDカードまたはパス、パスポート、ICカード、運転免許証等のセキュリティまたは有価書類に用いられる。
この場合、少なくとも1つの窓型開口部はフィルム部材で被覆されることが多い。
フィルム部材は、例えば、屈折構造、ホログラム、キネグラム(登録商標)、プリント画像等の反射性および/または透過性を有するセキュリティ部材、ならびに発光性材料、フォトクロミックまたはサーモクロミック材料、液晶、干渉顔料、磁性物質等の光学的に可変な基材を有している。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、長尺紙材に少なくとも1つの窓型開口部を形成するプロセスが記載されている。
この場合、窓型開口部は、紙材にスタンピング或いはレーザーによって導入される。
紙材上でスタンピング手段またはレーザーを位置決めする方法については記載されていない。
【0003】
なお、一般には、紙材はプリント工程に送られて、スタンピング手段の位置決め用の位置マークがプリントされる。
【0004】
特許文献2は、紙の形成時に紙材の窓型開口部を形成する方法を開示している。
しかしながら、湿紙は歪み易いため、窓型開口部の正確な位置決めは実現不可能か、或いは限定的に可能であるに過ぎない。
【0005】
円筒型スクリーンの丸網抄紙機ないし長網抄紙機は、透かし模様を有する長尺紙材の形成に適している。
円筒型スクリーンの丸網抄紙機はスクリーンの閉じた領域で透かし模様を形成し、長網抄紙機はダンディロールを用いてパターンを紙繊維の凹みの中に押し込んで透かし模様を形成する。
【0006】
円筒型スクリーン機の場合には、機械の大きさに応じてレジスト領域(register 長さ)と呼ばれる複数の均等な部分がスクリーン外周に配置され、各レジスト領域内には、少なくとも1つの透かし模様と、場合によっては、さらに少なくとも1つの装飾用透かし模様が形成される。
そのため、透かし模様の目標位置からの位置ズレが、スクリーンの回転後に実質的にその都度繰り返されることになる。
【0007】
平型スクリーンを用いる場合にも、紙材は、少なくとも1つの透かし模様と、場合によっては、さらに少なくとも1つの装飾用透かし模様とが形成されたレジスト領域と呼ばれる複数の均等な部分に分割される。
そのため、この場合も目標位置からの透かし模様の位置ズレは、本質的にスクリーンを転写後にその都度繰り返されるだけでなく、新しいスクリーンが始まる毎に、このズレも加わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許公開番号 WO95/10420(A1)
【特許文献2】ドイツ特許公開番号 DE10163381(A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、長尺紙材に窓型開口部を形成する、改良した方法および該方法を実施する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的は、その長手軸に対して横方向に、仮想的にペーパーシート部に細分化される長尺紙材に、少なくとも1つの窓型開口部を形成する方法によって達成される。
該方法は、
(a)紙材の各ペーパーシート部に少なくとも1つの透かし模様を備える工程と、
(b)紙材上の少なくとも1つの透かし模様の位置を少なくとも1つのセンサーユニットによって検出する工程と、
(c)紙材を、紙材に開口部を形成するユニットに給紙する工程と、
を含んでいる。
前記開口部を形成するユニットは、少なくとも1つのセンサーユニットによって検出された少なくとも1つの透かし模様の位置に基づいて、紙材の各ペーパーシート部に少なくとも1つの窓型開口部を形成するように動作する。
【0011】
本発明に係る方法によって、紙材上に少なくとも1つの窓型開口部を位置決めするために、紙の形成時に安価に形成された少なくとも1つの位置マークを、各ペーパーシート部の少なくとも1つの透かし模様として、利用することが可能となる。
すなわち、紙材に位置マークを印刷する従来の一般的な工程を無くすることができる。
すでに乾燥し、かつ形状が安定した状態の紙材に少なくとも1つの窓型開口部を形成すれば、各窓型開口部間の相対的な位置ズレは広範囲で無くなる。
【0012】
上記目的を達成する、本方法を実施する装置は以下の構成要素を有する。
・ 長尺紙材を搬送するための搬送ユニット
・ 少なくとも1つの透かし模様の位置を位置データとして検出するためのセンサーユニット
・ アルゴリズムを用いて、検出された位置データを補正するための演算ユニット
・ 各ペーパーシート部に少なくとも1つの窓型開口部を形成し、各ペーパーシート部に随意に制御用開口部を形成するための、演算ユニットにより制御可能なユニット。
【0013】
透かし模様は、紙材の濃い、暗い、薄い、或いは明るい場所として視認され、一般に紙材の繊維構造に起因して、はっきりした境界線を有さない。
紙材の、透かし模様の領域における認識可能な明暗の配色の度合いは、透かし模様ごとにも異なり、さらに各透かし模様によって紙繊維がそれぞれ異なって配置されているので、各透かし模様の表面上でも認識可能な明暗の配色の度合いは異なって認識される。
また、個々の透かし模様の形状と大きさ、ならびに複数の透かし模様の間隔は、紙の形成時、紙がまだ湿っていて形状が安定しない状態では、紙材の歪みがしばしば発生するため、直接予想できない。
【0014】
詳しくは、方法の工程(b)において、少なくとも1つの、特に少なくとも2つの透かし模様の位置を、具体的に位置データとして少なくとも1つのセンサーユニットによって検出し、随意に検出した位置データを、アルゴリズムを用いて補正された位置データに変換するのが望ましいことが分かる。
【0015】
さらに、方法の工程(c)において、紙材に開口部を形成するユニットは、紙材の各ペーパーシート部に、少なくとも1つのセンサーユニットによって検出された少なくとも1つの透かし模様の位置、特に少なくとも2つの透かし模様の補正された位置データに基づいて、少なくとも1つの制御用開口部と、それと同じ型による正確な配置関係(register relationship)に基づいて少なくとも1つの窓型開口部と、を形成するのが望ましいことが分かる。
【0016】
少なくとも1つの制御用開口部は、透かし模様と比較して、正確な位置決め、エッジの鋭さ、および少なくとも1つの窓型開口部に関する型による正確な配置関係に基づく配置という利点があるため、プリント工程またはフィルムの取付け工程等の後続の方法の工程が少なくとも1つの制御用開口部に基づいて好ましく制御される。
【0017】
搬送ユニットは、ペーパーウェブをセンサーユニットへ導き、好ましくは中断せずに、紙材に開口部を形成するユニットまで導く。
紙材に開口部を形成するユニットに対するペーパーウェブの位置決め、および/または、補正は、少なくとも1つの窓型開口部をペーパーウェブの正しい位置に判押しできるようになされる。
【0018】
好ましくは、本発明に係る方法の、方法の工程(a)において、各ペーパーシート部の端部に、紙材の長手軸に平行な第1の直線上に配列される、前記少なくとも1つの透かし模様を備え、方法の工程(b)において、少なくとも1つの透かし模様の位置を少なくとも1つのセンサーユニットによって光学的に検出し、方法の工程(c)において、紙材に開口部を形成するユニットは、補正された位置データに基づいて、紙材の各ペーパーシート部に、少なくとも1つの制御用開口部と、それと同じ型による正確な配置関係に基づいて前記少なくとも1つの窓型開口部と、を形成し、少なくとも1つの制御用開口部は、各ペーパーシート部の端部の、第1の直線に平行な第2の直線上に配列される。
【0019】
さらに、本発明に係る方法では、方法の工程(a)において、各ペーパーシート部の端部に、紙材の長手軸に平行な第1の直線に沿って、または第1の直線上に配列される少なくとも2つの透かし模様を備えることができる。
【0020】
さらに、方法の工程(c)において、紙材の開口部を形成するユニットは、補正された位置データに基づいて、紙材の各ペーパーシート部に、少なくとも2つの制御用開口部と、それと同じ型による正確な配置関係に基づいて少なくとも1つの窓型開口部と、を形成し、少なくとも2つの制御用開口部は、各ペーパーシート部の端部の、第1の直線に平行な少なくとも1つの第2の直線上に配列されることができる。
【0021】
位置データの補正では、紙材の端から所定の間隔をおいた第1の直線上に透かし模様の位置決め、或いは、互いに相対的に、可能な限り一定の間隔で第1の直線上に一列に並ぶ透かし模様の位置決めが行われていることを前提としている。
このように補正された位置データは、後続の処理工程、および/または、スタンピングユニットなどの装置の工程を制御するのに用いられる。
【0022】
開口部を形成するユニットは、該ユニットに対する長尺紙材の位置決め、および/または、補正を行う制御部材を含むのが望ましいことが分かる。
これに関連して、一方で開口部を形成する器具の位置、および/または、速度を制御することができる。
随意に紙材の位置、および/または、搬送速度を補正することも可能である。
さらに、該器具の位置、および/または、速度を制御し、紙材の位置、および/または、搬送速度を変化させることも可能である。
【0023】
円筒型スクリーン機に形成した紙材を処理する場合、制御工程に用いられる基準は、スクリーン外周毎のレジスト領域の数に基づいて算出される平均値に基づくレジスト領域の参照値であることが好ましい。
開口部を形成するユニットに関して、さらに公差の調整を参照しながら、その参照値は、好ましくはスクリーン外周毎の少なくとも1つの透かし模様の光学的検出、さらに正確にはスクリーン外周毎の1つの透かし模様の光学的検出によって補正できる。
【0024】
少なくとも1つの窓型開口部を形成し、随意に制御用開口部を形成する前記ユニットは、スタンピングユニット、特に回転するスタンピングシリンダ、レーザー切断ユニットまたはウォータジェット切断ユニットによって形成されるのが望ましいことが分かる。
これに関連して、形成されている制御用開口部の間の間隔、制御用開口部と少なくとも1つの窓型開口部の間の間隔、および個々の窓型開口部の間の間隔は、スタンピングシリンダを用いるときには前もって決まっており、そして、それらの隙間は、スタンピングシリンダの外周に対応して連続的に繰り返される。
それに関して、スタンピングシリンダの位置および回転速度は制御可能である。また非回転式のスタンピング機を使用することも同様に可能である。
【0025】
少なくとも1つのセンサーユニットは好ましくは、少なくとも1つの透かし模様の位置を光学的に検出するセンサーユニットであり、好ましくはカメラシステムで形成される。
ペーパーウェブをロールからロールへ処理する搬送ユニットは、好ましくは引き込み機構またはローリングギャップ等で形成される。
好ましくは、前記装置は、紙材に開口部を形成するユニットの上流、および/または、下流に配置され、紙材上にプリントする少なくとも1つのプリント手段をさらに備える。
また、前記装置は、紙材に開口部を形成するユニットの下流に配置される少なくとも1つのフィルムの取付けユニットを有するのが望ましいことが分かる。
【0026】
紙材は、特に少なくとも2つのペーパーシート部に細分化される。
2つのペーパーシート部は、それぞれ少なくとも1つのパネルと少なくとも1つの透かし模様とを有する。
すなわち、ペーパーシート部は、紙材の長手方向に続けて配列される。
【0027】
さらに、少なくとも2つのペーパーシート部を、それぞれ少なくとも2つのサブセグメントか、またはパネルに細分するとよい。各サブセグメントは少なくとも1つの窓型開口部を備える。
したがって、サブセグメントは、紙材の長手方向に、互いに横並びに、および/または、縦に続けて、配列される。
紙材のパネルへの分割は、同様な書類を多く形成(ギャングアップ)するために、手に入る紙材をできるだけ最適な方法で利用する、プリント技術において一般的な工程である。
【0028】
紙材は計算によって細分化されるのが望ましいことが分かる。
すなわち、仮想的にのみペーパーシート部またはペーパーシート部およびサブセグメントに細分する。
紙材にすべての方法の工程を実施後、またはパネルの仕上げ後、切断ユニットを配置して紙材をパネルに細分し、個々のセキュリティ書類を形成する。
【0029】
長尺紙材は、好ましくはロール材料を巻き上げて形成される。
紙材は、開口部の形成後、随意に、プリント工程、セキュリティ部材の特に窓型開口部領域への貼付、1以上のフィルム層のラミネート加工等のほかのプロセス後に、パネルに切り分けられることが好ましい。
この結果、紙幣、IDカードまたはパス、運転免許証などの、窓型開口部を含む同様なセキュリティ書類を、多数同時に、安価に製造することができる。
【0030】
また、ペーパーシート部およびサブセグメントへの細分化を、紙材に目打ちもしくは初期スタンピングを行うことによって実現することができる。
しかし、これは紙材のロールからロールへの加工性に悪影響を与える可能性がある。
【0031】
少なくとも2つの窓型開口部を紙材に形成し、該少なくとも2つの窓型開口部を、第1および第2の直線に平行な少なくとも1つの第3の直線上に配列することが好ましい。
【0032】
少なくとも2つの透かし模様は、0.5から10mm、特に1から5mmの長さと幅に、形成されることが好ましい。
この場合、透かし模様の適当な大きさは、特に透かし模様の位置を検出するセンサーユニット、使われている照明条件および透かし模様とその他の紙材料とのコントラストに応じて選択される。
可能であれば、照明手段を紙材の裏側に配置して、透かし模様とその他の紙材料とのコントラストを高め、センサーユニットによる透かし模様の位置検出を容易にする。
【0033】
各透かし模様は、少なくとも第1の直線に接触するのが望ましいことが分かる。
しかしながら、補正された位置データの確認の際に評価される多数の透かし模様がある場合、第1の直線に接触しない透かし模様が1以上あることが起こり得る。
一般の製紙方法においては、透かし模様の位置は、円筒型スクリーンまたは長尺型フォードリニア・スクリーンに応じて、所望の位置からミリメータの範囲でずれることがある。
【0034】
少なくとも1つの透かし模様を、点状または線状に構成することが有利であることが分かる。
さらに、制御用開口部と透かし模様がそれぞれ対応する、特に制御用開口部がそれぞれ透かし模様の傍に形成されているのが望ましいことが分かる。
各制御用開口部は、各透かし模様の領域内に、透かし模様の少なくとも1部を除去するように形成される。
【0035】
紙材は、少なくとも1つの透かし模様のほかに、少なくとも1つの装飾用透かし模様を備えるのが望ましいことが分かる。
かかる装飾用透かし模様は、特に紙幣、IDカードまたはパス、証書など人に提示するためのセキュリティ書類、紋章、パターン、文字などに関しては一般的である。
好ましくは、少なくとも1つの装飾用透かし模様をパターン毎に備える。
【0036】
少なくとも1つの窓型開口部の形成および可能であれば後続の処理工程後、またはその仕上げ後、少なくとも1つの制御用開口部と少なくとも1つの透かし模様とを含む紙材の端部を、好ましくは切断ユニットにより切断する。
【0037】
迅速で安価な長尺紙材の処理に関して、長尺紙材を少なくとも1つの透かし模様の位置の光学的検出時および、少なくとも1つの制御用開口部と少なくとも1つの窓型開口部の形成時に、ペーパーウェブとしてロールからロールまで搬送されるのが望ましいことが分かる。
少なくとも1つの透かし模様と、随意に追加された装飾用透かし模様とを含む紙材は供給ロールとなって、搬送ユニットによって、少なくとも1つの透かし模様の位置を検出するセンサーユニット、開口部の形成するユニット、随意に、プリント、フィルム部材の取付けなどを行う、その他のユニットに対して給紙される。
その後再び供給ロールに巻き上げられる。
また、供給ロールに巻き上げる代わりに、紙材をパネル、特にセキュリティまたは有価書類に分割する。
【0038】
図1から図4に本発明に係る方法および装置を、例として示す。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、ペーパーシート部に細分化され、各ペーパーシート部に透かし模様を有する長尺紙材を示す。
【図2】図2は、スタンピングユニットで処理中の図1の紙材を示す。
【図3a】図3aは、透かし模様と制御用開口部がそれぞれ形成された紙材の2つのペーパーシート部の平面図である。
【図3b】図3bは、フィルムの取付け工程およびプリント工程後の、図3aのペーパーシート部を示す。
【図4】図4aおよび図4bは、仮想的にパネルに細分化された紙材の平面図である。
【図5】図5は前記方法を実施する装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、ペーパーシート部10に細分化され、各ペーパーシート部10に透かし模様2を有する長尺紙材1を示す。
紙材1はロールlaに巻き付けられ、以降の処理用に引き出される。
紙材1のペーパーシート部 10への細分化は、仮想的に、2つの隣接するペーパーシート部10間に配置される分割線5によって実現される。
センサーユニット3は例えば、カメラシステムであって、紙材1上における透かし模様2の位置および透かし模様間の位置を光学的に随意に検出する。
各透かし模様2の位置、形状、大きさ、コントラストは、わずかに異なっているため、センサーユニット3によって検出された位置データは基準値にすぎず、以降の処理工程で制御用マークとして用いるために適宜補正する必要がある。
特に、透かし模様2の間隔と、随意に端部の間隔の補正とを行う。
【0041】
紙材には比較的大きな歪みがあるため、実際には、個々の透かし模様ではなく、製紙機のスクリーン外周若しくはスクリーン長毎に1つの透かし模様を検出することが重要である。
例えば、それぞれ1つの透かし模様を有する8つのレジスト領域を、円筒型スクリーンの周囲に配置すると、各8番目の透かし模様のみが検出され、制御用途に用いられる。
【0042】
センサーユニット3が確認した位置データは、アルゴリズムを用いて補正された位置データを算出する演算ユニット(不図示)に、制御用として送信される。
この場合、演算ユニットは、製紙機のスクリーン外周およびスクリーン長ごとに、少なくとも透かし模様2の位置を評価する。
これに関連して、第1の直線4が計算によって透かし模様2を通過または隣接して紙材1の長辺に平行に引かれ、かつ、スクリーン外周毎或いは製紙機のスクリーン長毎に後に続く全ての透かし模様の位置が前記第1の直線4上にあると仮定する限りでは、紙材1の長辺側に係る透かし模様2の間隔は計算によって補正される。
さらに、透かし模様2相互の間隔における位置を計算によって補正することができる。
この場合、少なくとも製紙機のスクリーン外周毎、或いはスクリーン長毎に、できる限り一定となるように間隔が算出される。
したがって、各透かし模様2に対する前記補正された位置データは、少なくとも紙材のある1部分に対して第1の直線4と補助直線4aとの交点として、与えられる。そして、補助直線4aは、互いに相対的にできる限り一定となるような間隔で、測定された位置データに合わせて、紙材1の面内で第1の直線4に垂直に算出される。
ペーパーシート部10は、紙材1内で、第1の直線4に平行に設けられ、そして補助直線4aに平行に設けられる、さらなる仮想分割線によって、サブセグメント或いはさらなるパネルに細分することができる(図4a、 4b参照)。
【0043】
図2は、図1の紙材1を、紙材に開口部を形成するスタンピングユニットによって処理している図である。
ここではスタンピングユニットを、スタンピング手段であるスタンピングシリンダ 8aとして示す。
紙材1は、演算ユニットで補正された位置データに基づき、スタンピングシリンダ8aの位置に対応させて位置付けられているので、制御用開口部6および窓型開口部7は互いに型による正確な配置関係に基づき、かつ透かし模様2の補正された位置データに基づいて形成される。
この場合、紙材1の各透かし模様2の傍に、制御用開口部6を判押しする。
制御用開口部6は、第1の直線4と平行な第2の直線40および補助直線4a上にある。
窓型開口部7は第2の直線40に平行な第3の直線400上にある。
【0044】
図3aは紙材の2つのペーパーシート部10の平面図であり、各透かし模様2および 制御用開口部6がペーパーシート部10に備えられている。
透かし模様2とペーパーシート部10の紙材料とのコントラスト、透かし模様2の形状、大きさ、位置が異なることがはっきりと分かる。
第1の直線4は両方の透かし模様2と交差し、各透かし模様2の、ペーパーシート部10の平行な端との間隔を、第1の直線4の、ペーパーシート部10の平行な端との間隔として補正もしくは標準化する。
補助直線4aは2つの透かし模様2の間隔を補正もしくは標準化する。
したがって、各透かし模様2の補正位置は、第1の直線4と補助直線4aとの交点になっている。
制御用開口部6と2つの窓型開口部7は、これら補正された位置データにしたがって形成される。
制御用開口部6は、その一層正確な位置、形状、エッジの鋭さに依り、位置の判読性において、透かし模様2より優れている。
このため、後続する処理工程では、制御用開口部6に基づいて制御されることが好ましい。
【0045】
図3bは、図3aのペーパーシート部10を示しており、星型の金属で装飾が施され、見る角度に依って光学的効果をもたらす透明なフィルム片9がラミネート加工され、シリアルナンバとしてプリント画像11が形成されている。
窓型開口部7はフィルム片9によって封止されている。
ペーパーシート部10において、フィルム片9およびプリント画像11は、ラミネート加工、或いはプリント工程によって、窓型開口部7(ここではフィルム片9に被覆され、点線で示される)との型による正確な配置関係に基づいて配置された制御用開口部6の位置にしたがって位置決めされる。
制御用開口部6の光学的な位置検出が行われる。
【0046】
紙材に全ての処理工程を実行後、紙材を分割線5(図1および2参照)の領域に分割し、透かし模様2と制御用開口部6とを含む端部を、切り取り線12 (図3b参照)に沿って切断して除去する。
【0047】
図4aは、分割線5によって仮想的に分割された紙材1の3つのペーパーシート部10の平面図を示し、透かし模様2と制御用開口部6が各ペーパーシート部10の端部に形成されている。
各ペーパーシート部10は、順番に仮想分割線5aに沿って、12のサブセグメント10’またはパネルに細分化される。
窓型開口部7は、各サブセグメント10’に、制御用開口部6との型による正確な配置関係に基づいて形成される。
サブセグメント10’を切り取り線12に沿って仕上げ、廃棄した後、透かし模様2と制御用開口部6とを有する紙材1の端部を切断する。
仕上がり後のサブセグメント10’も分割線5, 5aに沿って、個々に切り分けられる。
【0048】
図4bも、分割線5によって互いに仮想的に分離された紙材1の3つのペーパーシート部10の平面図である。
2つの透かし模様2および1つの制御用開口部6が3つのペーパーシート部10に、それぞれ形成されている。
各ペーパーシート部10は、再度、仮想分割線5aによって、12個のサブセグメント10’またはパネルに細分化される。
窓型開口部7は、各サブセグメント10’に、制御用開口部6との型による正確な配置関係に基づいて形成される。
サブセグメント10’が切り取り線12に沿って仕上げられ、廃棄した後、透かし模様2と制御用開口部6とを有する各ペーパーシート部の端部が切断される。
仕上がり後のサブセグメント10’も分割線5, 5aに沿って、個々に切り分けられる。
【0049】
図5に、本方法を実施する装置を示す。
この装置は、長尺紙材1が巻き付けられた供給ロールlaを有する。
紙材1は、供給ロールlaから紙材に開口部を形成するユニット(破線参照)に給紙される。
該ユニットは、透かし模様の紙材1上の位置を検出して、演算ユニット13に送信する、カメラシステムとしてのセンサーユニット3を有する。
演算ユニット13は、検出された位置データを、アルゴリズムを用いて補正した位置データを確認し、補正されたデータに基づいてスタンピングユニット8に制御信号を送信する。
スタンピングユニット8は、スタンピングシリンダ8aの回転速度を制御し、搬送位置または速度、および紙材(1)の位置を随意に制御する制御部材14を有する。
制御部材14は、紙材1に制御用開口部と窓型開口部とを形成するために、紙材1の位置、特に紙材1の面における、配置されたスタンピングシリンダ8aと切断ユニット(不図示)とに対するペーパーシート部の位置を制御する。
【0050】
紙材1は開口部を形成するユニットに搬送され、位置補正実行後、スタンピングシリンダ8aによって判押し動作が実施され、制御用開口部と窓型開口部とが形成される。
【0051】
最終的に、紙材1はプリント手段15に給紙され、カラーパターンとシリアルナンバとがプリントされる。
スタンピングユニット8で形成された制御用開口部はプリント手段15の制御に用いられる。
【0052】
次にプリントされた紙材1がフィルムの取付けユニット16に搬送され、窓型開口部はフィルム部材によって、それぞれ封止される。
スタンピングユニット8において形成された制御用開口部は、再びフィルムの取付けユニット16を制御するのに用いられる。
【0053】
この後、図示しないが、ほかの処理工程、例えば別のプリント手段、蒸着装置、別のフィルムの取付けユニットなどに搬送することができる。
最後に、仕上がった紙材1はロールlbに巻き付けられるか、または切断ユニットに給紙されて仮想分割線に沿ってパネルに切り分けられる。
透かし模様および制御用開口部を含む端部は切断される。
【0054】
本発明に係る方法および該方法を実施するのに適した装置に関する知識を有する当業者は、透かし模様を有する紙材を、紙材に開口部を形成する前記ユニットにより直接製造し、そして、型による正確な配置関係に基づいて前記ユニットから開始して、フィルムアプリケーションユニット、プリント手段、PVD或いはCVDユニット、エンボス加工ユニットなどのような、さらなる処理ステーションを有するインラインの工程、すなわち紙材を途中で蓄積させずに、容易に実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の紙材(1)に、少なくとも1つの窓型開口部(7)を形成する方法であって、
前記長尺の紙材(1)は、その長手軸に対して横方向に、ペーパーシート部に仮想的に細分化され、
(a) 前記紙材(1)の各ペーパーシート部に、特に前記ペーパーシート部の端部に、少なくとも1つの透かし模様を設ける工程と、
(b) 前記紙材(1)上の少なくとも1つの透かし模様(2)の位置を、少なくとも1つのセンサーユニット(3)によって検出する工程と、
(c) 前記紙材(1)に開口部を形成するユニットに、前記紙材(1)を供給する工程と、
を含み、
該ユニットは、前記少なくとも1つのセンサーユニット(3)によって検出された前記少なくとも1つの透かし模様(2)の位置に基づいて、少なくとも1つの窓型開口部(7)を前記紙材(1)の各ペーパーシート部に形成するように動作される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
方法の工程(b)において、
前記紙材(1)の少なくとも2つの透かし模様(2)の位置を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
方法の工程(b)において、
各ペーパーシート部の前記少なくとも1つの透かし模様(2)の位置を、
前記少なくとも1つのセンサーユニット(3)によって位置データとして検出し、そして
前記検出された位置データを、アルゴリズムを用いて補正された位置データに変換する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
方法の工程(c)において、
前記紙材(1)に開口部を形成するユニットが、
前記少なくとも1つのセンサーユニット(3)によって検出された前記少なくとも1つの透かし模様(2)の位置、特に前記補正された位置データに基づいて、
少なくとも1つの制御用開口部(6)と、
それと同じ型による正確な配置関係にある前記少なくとも1つの窓型開口部(7) と、
を前記紙材(1)の各ペーパーシート部に形成する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の内の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
方法の工程(a)において、
前記長尺紙材(1)に、前記各ペーパーシート部の端部に、
前記紙材(1)の長手軸に平行な第1の直線(4)上に配列される前記少なくとも1つの透かし模様(2)が設けられ、
方法の工程(b)において、
前記少なくとも1つの透かし模様(2)の位置が、前記少なくとも1つのセンサーユニット(3)によって光学的に検出され、そして
方法の工程(c)において、
前記補正された位置データに基づいて前記紙材(1)に開口部を形成する前記ユニットが、
少なくとも1つの制御用開口部(6)と、
それと同じ型による正確な配置関係にある前記少なくとも1つの窓型開口部(7)と、
を前記紙材(1)の各ペーパーシート部に形成し、
前記少なくとも1つの制御用開口部(6) が、前記各ペーパーシート部端部の前記第1の直線(4)に平行な第2の直線(40)上に配列される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の内の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
方法の工程(a)において、
前記長尺紙材(1)に、前記各ペーパーシート部の端部に、
前記紙材(1)の長手軸に平行な第1の直線(4)に沿って配列される、および/または、第1の直線(4)上にそれぞれ配列される、少なくとも2つの透かし模様(2)が設けられる、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
方法の工程(c)において、
前記補正された位置データに基づいて前記紙材(1)に開口部を形成するユニットが、
少なくとも2つの制御用開口部(6)と、
それと同じ型による正確な配置関係にある前記少なくとも1つの窓型開口部(7)と、
を前記紙材(1)の各ペーパーシート部に形成し、
前記少なくとも2つの制御用開口部(6) が、前記各ペーパーシート部の端部の前記第1の直線(4)に平行な少なくとも1つの第2の直線(40)上に配列される、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの制御用開口部(6)および/または前記少なくとも1つの窓型開口部(7)を形成する前記ユニットが、
スタンピングユニット(8)、特に回転するスタンピングシリンダ (8a)、レーザー切断ユニット、またはウォータジェット切断ユニットによって構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7の内の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記紙材(1) が、少なくとも2つのペーパーシート部(10)に細分化される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8の内の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つのペーパーシート部 (10) が、それぞれ少なくとも2つのサブセグメント(10’)に細分化され、
各サブセグメント(10’)には、少なくとも1つの窓型開口部(7) が設けられている、
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも2つの窓型開口部(7)が形成され、そして、
前記少なくとも2つの窓型開口部(7)が、前記第1の直線 (4)および第2の直線(40)に平行な少なくとも1つの第3の直線(400)上に配列される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項10の内の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも2つの透かし模様(2)が、それぞれ0.5から10mmの範囲の長さと幅とに形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項11の内の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
各透かし模様(2)が、第1の直線(4)に少なくとも接している、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項12の内の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
各透かし模様(2)が、点状か、または線状の形状とされている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項13の内の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
各制御用開口部(6) が、各透かし模様(2)と対応している、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項14の内の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
各制御用開口部(6) が、各透かし模様(2)の傍に形成される、
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記透かし模様(2)の少なくとも一部分が除去されるように前記各透かし模様(2)の領域に各制御用開口部(6) が形成される、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記紙材(1)には、前記少なくとも1つの透かし模様(2)のほかに、少なくとも1つの装飾用透かし模様が設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項17の内の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの透かし模様(2)を有する前記長尺紙材(1)を、
前記少なくとも1つの制御用開口部(6)および前記少なくとも1つの窓型開口部(7)の形成しつつ、かつ、特に前記少なくとも1つの透かし模様(2)の位置を光学的に検出しつつ、ローラー(1a)からローラー(1b)まで搬送する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項18の内の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1乃至請求項19の内の何れか1項に記載の方法を実施する装置であって、
前記長尺紙材(1)を搬送するための搬送ユニットと、
前記少なくとも1つの透かし模様(2)の位置を前記位置データとして検出するセンサーユニット(3)と、
アルゴリズムを用いて、前記検出された位置データを補正するための演算ユニット(13)と、
各ペーパーシート部に前記少なくとも1つの窓型開口部(7)を形成すると共に各ペーパーシート部に前記少なくとも1つの制御用開口部(6)を随意に形成するための、前記演算ユニット(13) により制御可能なユニットと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項21】
前記ユニットが、該ユニットに対する前記長尺紙材(1)の向き付け、および/または、位置の補正のための制御部材(14) を有する、
ことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記ユニットが、スタンピングユニット(8)、特にスタンピングシリンダ(8a)として形成される、
ことを特徴とする請求項20または請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つのセンサーユニット(3)が、前記少なくとも1つの透かし模様(2)の位置を光学的に検出するためのセンサーユニットである、
ことを特徴とする請求項20乃至請求項22の内の何れか1項に記載の装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つのセンサーユニット(3)が、カメラシステムによって構成される、
ことを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記搬送ユニットが、引き込み機構またはローラーギャップによる機構によって構成される、
ことを特徴とする請求項20乃至請求項24の内の何れか1項に記載の装置。
【請求項26】
前記ユニットの上流および/または下流に配置されて、前記紙材(1)上にプリントするための、少なくとも1つのプリント手段(15)をさらに備える、
ことを特徴とする請求項20乃至請求項25の内の何れか1項に記載の装置。
【請求項27】
前記ユニットの下流に配置される、少なくとも1つのフィルム取付けユニット(16)をさらに備える、
ことを特徴とする請求項20乃至請求項26の内の何れか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記紙材(1)を個々のパネルに切断するための、および/または、前記少なくとも1つの透かし模様(2)を有し、さらに随意に前記少なくとも1つの制御用開口部(6)を有する前記各ペーパーシート部の端部を切断するための、少なくとも1つの切断ユニットをさらに備える、
ことを特徴とする請求項20乃至請求項27の内の何れか1項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−534570(P2010−534570A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523175(P2009−523175)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006686
【国際公開番号】WO2008/017392
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(507370644)レオンハード クルツ シュティフトゥング ウント コー. カーゲー (21)
【Fターム(参考)】