説明

長期保存可能なコーヒー飲料の製造方法

【課題】加温条件下での長期保存による発酵臭的な劣化臭発生を防ぎ、淹れ立てのコーヒー香気、特にロースト感に寄与する香気成分を補うことにより、美味しさが保持されたコーヒー飲料を提供すること。
【解決手段】コーヒーオイルをプロピレングリコール又はその水溶液と接触させ得られたコーヒーオイル抽出液を、焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー飲料の製造方法に関するものであり、詳しくは加温条件下で長期間保存したときにおいても劣化臭の発生が抑制され、香気成分の損失が補われた、香りのよいコーヒー飲料の製造方法に関するものである。
【0002】
本願明細書において、コーヒー飲料とは、主に、自動販売機やコンビニエンスストアの陳列ケースに置かれて販売される缶や瓶等の容器詰めコーヒー飲料であり、1977年公正取引委員会告示による公正競争規約により定めされた「コーヒー入り清涼飲料」(内容量100g中コーヒー生豆換算1g以上2.5g未満のコーヒー豆から抽出又は溶出したコーヒー分を含むもの)、「コーヒー飲料」(内容量100g中コーヒー生豆換算2.5g以上5g未満のコーヒー豆から抽出又は溶出したコーヒー分を含むもの)及び「コーヒー」(内容量100g中コーヒー生豆換算5g以上のコーヒー豆から抽出又は溶出したコーヒー分を含むもの)をいう。コーヒー飲料は、通常、抽出されたコーヒー液に香料、糖類、乳原料を調合して充填、殺菌、箱詰め、打栓を経て製品となる。
本発明における対象は、特に、ホットベンダー用コーヒー飲料であり、中でも乳含有コーヒー飲料を対象とする。
【背景技術】
【0003】
コーヒーの香気成分は極めて不安定であるため、各種のコーヒー飲料製品、例えば缶コーヒー飲料等ではその製造工程あるいは保存流通過程で香気が劣化してしまうことが知られている。
特に加熱殺菌時における香気の劣化は著しく、コーヒー飲料の淹(い)れ立ての新鮮な香気は大きく損なわれる。なかでもコーヒーのロースト感に寄与する2−フルフリルチオール、メチオナール、3−メルカプト−3−メチルブチルホーメート等の含硫化合物は、加熱によって著しく減少し、加熱殺菌時におけるコーヒーの香気劣化の主因となっている(非特許文献1、2)。この問題を解決するために、加熱殺菌したコーヒー抽出液に、膜濾過により除菌した非加熱のコーヒーフレーバーを無菌環境下で添加することにより、加熱による香気の劣化の少ないコーヒー飲料を得る方法が提案されている(特許文献1、2、3)。
【0004】
しかしながら、これらの方法では加温状態で長期間保管された場合にはなお課題を有しており、特に、乳含有コーヒー飲料において長期保存による発酵臭的な劣化臭の発生が顕在化していた。
一方、乳含有コーヒー飲料の風味向上方法としては、コーヒー豆を水−エタノール混合溶媒で特定条件で抽出した抽出液を添加する方法が知られている(特許文献4)。しかしながら、この方法では加温条件下の長期保存に耐えうるものではなかった。
【非特許文献1】熊沢他,“日本食品科学工学会誌”,Vol.45, p108-113 (1998)
【非特許文献2】Kenji Kumazawa et al,“Journal of Agricultural and Food Chemistry”, Vol.51, p2674-2678 (2003)
【特許文献1】特開2001−128620号公報
【特許文献2】特開2003−111579号公報
【特許文献3】特開2007−20441号公報
【特許文献4】特開2003−116464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、加温条件下での長期保存による発酵臭的な劣化臭発生を防ぎ、淹れ立てのコーヒー香気、特にロースト感に寄与する香気成分を補うことにより、美味しさが保持されたコーヒー飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明者らはコーヒー飲料、特に乳含有コーヒー飲料の加温下の長期保存における劣化臭の発生を詳しく研究した結果、劣化臭の抑制にはコーヒーオイルからの特定溶剤抽出物が有効であり、また、ロースト感に寄与する香気成分においてはエタノール含量を特定量以下に抑えることが有効であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
(1)コーヒーオイルをプロピレングリコール又はその水溶液と接触させ得られたコーヒーオイル抽出液を焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法;
(2)コーヒーオイルをプロピレングリコール及びグリセリン及び水からなる溶液と接触させ得られたコーヒーオイル抽出液を焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法;
(3)コーヒーオイルをプロピレングリコール又はその水溶液と接触させ得られたコーヒーオイル抽出液及び合成香料を含むコーヒーフレーバーを、焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法;
【0008】
(4)コーヒーオイルをプロピレングリコール及びグリセリン及び水からなる溶液と接触させ得られたコーヒーオイル抽出液及び合成香料を含むコーヒーフレーバーを、焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法;
(5)コーヒーフレーバー中のエタノール濃度が0.01〜15質量%であることを特徴とする上記(3)又は(4)に記載のコーヒー飲料の製造方法;
(6)コーヒーオイルが、焙煎コーヒー豆を超臨界流体で抽出して得られたコーヒーオイル又は焙煎コーヒー豆を圧搾して得られたコーヒーオイルであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のコーヒー飲料の製造方法;および
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とするコーヒー飲料;である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコーヒー飲料の製造方法によれば、加温条件下での長期保存において発生する発酵臭的な劣化臭が抑制され、また、ロースト感に寄与する香気成分が補われるので、淹れ立てのコーヒー感の保持を可能にするコーヒー飲料を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)焙煎コーヒー豆抽出液
本発明で使用される焙煎コーヒー豆抽出液は、公知の方法で焙煎し粉砕されたコーヒー豆を熱水等で抽出して得ることができる。本発明のコーヒーオイル抽出液をコーヒー豆抽出液そのものに添加してコーヒー飲料とすることもできるが、本発明の効果は乳を添加した乳含有コーヒー飲料に特に顕著である。また、本発明の効果は、加温条件下の長期保存されるコーヒー飲料のためのものであり、具体的にはホットベンダー用コーヒー飲料であり、特に乳含有コーヒー飲料である。
なお、本発明においては、コーヒー豆の種類、産地、および銘柄は特に問わないで使用することができる。
【0011】
(2)コーヒーオイル抽出液
本発明におけるコーヒーオイル抽出液の原料となるコーヒーオイルは、焙煎したコーヒー豆から抽出によって得られる香気成分を有する油状物質である。
コーヒーオイルは、水蒸気蒸留法、圧搾法、超臨界流体抽出法など抽出法で得ることができるが、本発明においては、例えば超臨界状態の二酸化炭素を用いて抽出された超臨界流体抽出コーヒーオイル又は圧搾法によるコーヒープレスオイルが好ましく用いられる。
超臨界流体抽出コーヒーオイルは、例えば焙煎したコーヒー豆を、超臨界抽出装置に水とともに投入し、超臨界状態にしたCO2(臨界温度31.1℃および臨界圧力73.8atm以上)にて抽出を行い、得ることができる。
また、コーヒープレスオイルは、例えば焙煎したコーヒー豆を搾油することにより得ることができるが、市販品として例えばハニー珈琲株式会社から入手することもできる。
なお、コーヒー豆の種類、産地、および銘柄は特に問わないで使用することができる。
【0012】
本発明において、上記コーヒーオイルを以下のとおり、特定の溶媒により抽出することにより本発明のコーヒーオイル抽出液を調製することができる。
第一の形態としては、コーヒーオイルをプロピレングリコール又はその水溶液と接触させ、定法により抽出液を得ることができる。抽出はプロピレングリコールのみでも可能であるが、作業性の点からプロピレングリコールの水溶液が好ましく用いられる。この場合、プロピレングリコールと水の比率は特に限定されるものではないが、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは20:80〜70:30、特に好ましくは30:70〜60:40の範囲で用いられる。
なお、超臨界流体抽出オイルから抽出する場合は、焙煎コーヒーからの超臨界流体抽出時に、プロピレングリコール又はその水溶液をエントレーナーとして使用することにより、簡便に抽出する方法も可能である。
【0013】
本発明の第二の形態としては、コーヒーオイルをプロピレングリコール及びグリセリン及び水からなる溶液と接触させ、定法により抽出液を得ることができる。プロピレングリコール及びグリセリン及び水の構成比は、特に限定されるものではないが好ましくは、プロピレングリコール:グリセリン:水の質量比で、20〜80:10〜40:10〜40に範囲内で用いられる。超臨界流体抽出オイルから抽出する場合は、焙煎コーヒーからの超臨界流体抽出時に、当該溶液をエントレーナーとして使用することにより、簡便に抽出する方法も可能であることは第1の形態の場合と同様である。
コーヒーオイル抽出液は、焙煎したコーヒー豆抽出液に0.001〜0.1質量%の範囲で添加される。添加量が0.001質量%未満であれば本発明の効果は得られず、0.1質量%を超えて添加した場合は違和感を生ずる可能性がある。
【0014】
(3)コーヒーフレーバー
本発明においては、前記コーヒーオイル抽出液に更に各種のコーヒー用合成香料を配合したコーヒーフレーバーの形態で使用することが特に好ましい。その理由は、加温条件下での長期保存においては香気の損失は避けられず、香ばしいローストノートをコーヒー用合成香料(組成物)で補うことが有効であるからである。
この目的で使用される合成香料としては、例えば、ジフルフリルスルフィド、ジフルフリルジスルフィド、フルフリルメチルスルフィド、2−アセチル−2−チアゾリン、グアイアコール、フルフリルアセテート、フルフリルアルコール、4−エチルグアイアコール、3,5−ジメチル−1,2−シクロペンタンジオン、フルフリルチオプロピオネート、メチルシクロペンテノロン、フルフリルメルカプタンなどが例示され、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
コーヒー豆抽出液に添加されるコーヒーフレーバーは、エタノール濃度が0.01〜15質量%である必要があり、好ましくはエタノール濃度が0.01〜12質量%の範囲内で用いられる。その理由は定かではないが、エタノール濃度が15質量%を超えた場合は、香ばしいローストノートを付与するという本発明の効果が阻害される傾向があるからである。
したがって、コーヒーフレーバーに含まれる合成香料組成物にはエタノールに替わる溶剤を使用する必要がある。そのような溶剤としては、プロピレングリコールの他、例えばグリセリン、ベンジルアルコール、トリアセチン、トリエチルシトレート、水などが例示され、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
本発明においては、コーヒーオイル抽出液にさらに合成香料を配合したコーヒーフレーバーの形態で用いられる場合でも、コーヒー豆抽出液に対して添加量は0.001〜0.1質量%の範囲で添加される。添加量が0.001質量%未満であれば本発明の効果は得られず、0.1質量%を超えて添加した場合は違和感を生ずる可能性がある。
コーヒーフレーバー中のコーヒーオイル抽出液の割合は5〜50質量%、特に10〜30質量%が好ましい。一方、コーヒーフレーバー中のコーヒー用合成香料(組成物)の割合は50〜95質量%、特に70〜90質量%が好ましい。
さらに、コーヒーフレーバー中のコーヒーオイル抽出液とコーヒー用合成香料(組成物)との比率は、5〜50:95〜50が好ましく、特に10〜30:90〜70が好ましい。
【0017】
本発明のコーヒーフレーバーには、更に、上記以外の任意の香料成分を含有させることもできる。そのような香料としては、例えば、
(1)アセト酢酸エチル、アセトフェノン、アニスアルデヒド、α−アミルシンナムアルデヒド、アントラニル酸メチル、イオノン、イソオイゲノール、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソチオシアン酸アリル、イソチオシアン酸3−ブテニル、イソチオシアン酸4−ペンテニル、イソチオシアン酸ベンジル、イソチオシアン酸3−メチルチオプロピル、イソチオシアネート類、イソブタノール、インドール及びその誘導体、γ−ウンデカラクトン、エステル類、
【0018】
2−エチル−3,5−ジメチルピラジン及び2−エチル−3,6−ジメチルピラジン、エチルバニリン、エーテル類、オイゲノール、オクタノール、オクタナール、オクタン酸エチル、ギ酸イソアミル、ギ酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、ケイ皮酸、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、ケトン類、ゲラニオール、酢酸イソアミル、酢酸エチル、酢酸ゲラニル、酢酸シクロヘキシル、酢酸シトロネリル、酢酸シンナミル、酢酸テルピニル、酢酸フェネチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酢酸l−メンチル、酢酸リナリル、サリチル酸メチル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、
【0019】
1,8−シネオール、高級脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、脂肪族高級炭化水素類、シンナミルアルコール、シンナムアルデヒド、チオエーテル類、チオール類、デカナール、デカノール、デカン酸エチル、テルピネオール、リモネン、ピネン、ミルセン、タピノーレン、テルペン系炭化水素類、γ−ノナラクトン、バニリン、パラメチルアセトフェノン、ヒドロキシシトロネラール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、ピペロナール、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸エチル、フェノールエーテル類、フェノール類、フルフラール及びその誘導体、
【0020】
プロパノール、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ベンジル、ヘキサン酸アリル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、l−ペリラアルデヒド、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類、d−ボルネオール、マルトール、N−メチルアントラニル酸メチル、メチルβ−ナフチルケトン、dl−メントール、l−メントール、酪酸、酪酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸シクロヘキシル、酪酸ブチル、ラクトン類、リナロオール等の合成或いは天然由来の香料;
【0021】
(2)オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどシトラス系精油類、アップル、バナナ、グレープ、メロン、ピーチ、パイナップル、ストロベリーなどフルーツ系の精油或いは回収フレーバー、ミルク、クリーム、バター、チーズ、ヨーグルトなど乳系の抽出香料、緑茶、紅茶、ココアなど嗜好品系の回収フレーバー、ペパーミント、スペアミントなどミント系の精油;
【0022】
(3)アサノミ、アサフェチダ、アジョワン、アニス、アンゼリカ、ウイキョウ、ウコン、オレガノ、オールスパイス、オレンジノピール、カショウ、カッシア、カモミール、カラシナ、カルダモン、カレーリーフ、カンゾウ、キャラウェー、クチナシ、クミン、クレソン、クローブ、ケシノミ、ケーパー、コショウ、ゴマ、コリアンダー、サッサフラス、サフラン、サボリー、サルビア、サンショウ、シナモン、シャロット、ジュニパーベリー、ショウガ、スターアニス、スペアミント、セイヨウワサビ、セロリー、ソーレル、タイム、タマネギ、タマリンド、タラゴン、チャイブ、ディル、トウガラシ、ナツメグ、ニガヨモギ、ニジェラ、ニンジン、ニンニク、バジル、パセリ、ハッカ、バニラ、パプリカ、ヒソップ、フェネグリーク、ペパーミント、ホースミント、ホースラディッシュ、マジョラム、ミョウガ、ラベンダー、リンデン、レモングラス、レモンバーム、ローズ、ローズマリー、ローレル、ワサビなどから得られる香辛料抽出物;
【0023】
(4)アイスランドモス、アカヤジオウ、アケビ、アサ、アサフェチダ、アジアンタム、アジョワン、アズキ、アスパラサスリネアリス、アップルミント、アーティチョーク、アニス、アボカド、アマチャ、アマチャズル、アミガサユリ、アミリス、アーモンド、アリタソウ、アルカンナ、アルテミシア、アルニカ、アルファルファ、アロエ、アンゴスツラ、アンゴラウィード、アンズ、アンズタケ、アンゼリカ、アンバー、アンバーグリス、アンブレット、イカ、
【0024】
イカリソウ、イグサ、イースト、イタドリ、イチゴ、イチジク、イチョウ、イノコヅチ、イランイラン、イワオウギ、インペラトリア、インモルテル、ウィンターグリーン、ウォータークレス、ウコギ、ウコン、ウスバサイシン、ウッドラフ、ウニ、ウメ、ウーロンチャ、エゴマ、エノキダケ、エビ、エビスグサ、エリゲロン、エルダー、エレウテロコック、エレカンペン、エレミ、エンゴサク、エンジュ、エンダイブ、欧州アザミ、オウレン、オオバコ、オカゼリ、
【0025】
オキアミ、オーク、オークモス、オケラ、オスマンサス、オポポナックス、オミナエシ、オモダカ、オランダセンニチ、オリガナム、オリス、オリバナム、オリーブ、オールスパイス、オレンジ、オレンジフラワー、カイ、カイニンソウ、カカオ、カキ、カサイ、カシューナッツ、カスカラ、カスカリラ、カストリウム、カタクリ、カツオブシ、カッシー、カッシャフィスチュラ、カテキュ、カニ、カーネーション、カノコソウ、カモミル、カヤプテ、カラシ、
【0026】
カラスウリ、カラスビシャク、ガラナ、カラムス、ガランガ、カーラント、カリッサ、カリン、カルダモン、ガルバナム、カレー、カワミドリ、カンゾウ、ガンビア、カンラン、キウィーフルーツ、キカイガラタケ、キキョウ、キク、キクラゲ、キササゲ、ギシギシ、キダチアロエ、キナ、キハダ、キバナオウギ、ギボウシ、ギムネマシルベスタ、キャットニップ、キャラウェイ、キャロップ、キュウリ、キラヤ、キンミズヒキ、グァバ、グァヤク、クコ、クサスギカズラ、
【0027】
クサボケ、クズ、クスノキ、クスノハガシワ、グーズベリー、クチナシ、クベバ、クマコケモモ、グミ、クミン、グラウンドアイビー、クララ、クラリセージ、クランベリー、クリ、クルミ、クリーム、グレインオブパラダイス、クレタディタニー、グレープフルーツ
、クローバー、クローブ、クロモジ、クロレラ、クワ、クワッシャ、ケイパー、ゲットウ、ケード、ケブラコ、ゲルマンダー、ケンチュール、ケンポナシ、ゲンノショウコ、コウジ、コウダケ、
【0028】
コウチャ、コウホネ、コカ、コガネバナ、コクトウ、コクルイ、ココナッツ、ゴシュユ、コショウ、コスタス、コストマリー、コパイパ、コーヒー、コブシ、ゴボウ、ゴマ、コーラ、コリアンダー、コルツフート、ゴールデンロッド、コロンボ、コンサイ、コンズランゴ、コンフリー、
【0029】
サイプレス、魚、サクラ、サクランボ、ザクロ、サケカス、ササ、ササクサ、サーチ、サッサフラス、サフラン、サポジラ、サボテン、サラシナショウマ、サルサパリラ、サルシファイ、サルノコシカケ、サンザシ、サンシュユ、サンショウ、サンタハーブ、サンダラック、サンダルウッド、サンダルレッド、シイタケ、ジェネ、シダー、シトラス、シトロネラ、シヌス、シベット、シマルーバ、シメジ、シャクヤク、ジャスミン、ジャノヒゲ、ジャボランジ、
【0030】
シャロット、シュクシャ、ジュニパーベリー、ショウガ、ショウユ、ショウユカス、ジョウリュウシュ、ショウロ、シロタモギタケ、ジンセン、シンナモン、酢、スイカ、スイセン、スギ、スターアニス、スターフルーツ、スチラックス、スッポン、スッポンタケ、ズドラベッツ、スネークルート、スパイクナード、スプルース、スペアミント、スベリヒユ、スローベリー、セイボリー、セキショウ、セージ、ゼドアリー、セネガ、ゼラニウム、セロリー、センキュウ、センタウリア、センゲン、セントジョーンズウォルト、センナ、ソース、
【0031】
ダイオウ、ダイズ、タイム、タケノコ、タコ、タデ、ダバナ、タマゴ、タマゴタケ、タマネギ、タマリンド、ダミアナ、タモギタケ、タラゴン、タラノキ、タンジー、タンジェリン、タンポポ、チェリモラ、チェリーローレル、チェリーワイルド、チガヤ、チコリ、チーズ、チチタケ、チャイブ、チャービル、チャンパカ、チュベローズ、チョウセンゴミシ、チラータ、ツクシ、ツケモノ、ツタ、ツバキ、ツユクサ、ツリガネニンジン、ツルドクダミ、ディアタング、ティスル、ディタニー、ディル、デーツ、テンダイウヤク、テンマ、トウガラシ、トウキ、ドウショクブツタンパクシツ、ドウショクブツユ、トウミツ、トウモロコシ、ドクダミ、トチュウ、ドッググラス、トマト、ドラゴンブラッド、ドリアン、トリュフ、トルーバルサム、トンカ、
【0032】
ナギナタコウジュ、ナシ、ナスターシャム、ナッツ、ナットウ、ナツメ、ナツメグ、ナデシコ、ナメコ、ナラタケ、ニアウリ、ニュウサンキンバイヨウエキ、ニンジン、シンニク、ネズミモチ、ネットル、ネムノキ、ノットグラス、バイオレット、パイナップル、ハイビスカス、麦芽、ハコベ、バジル、ハス、ハスカップ、パースカップ、パセリ、バター、バターオイル、バターミルク、バーチ、ハチミツ、パチュリー、ハッカ、バックビーン、ハッコウシュ、ハッコウニュウ、ハッコウミエキ、パッションフルーツ、ハツタケ、バッファローベリー、ハトムギ、ハナスゲ、バナナ、バニラ、ハネーサックル、パパイヤ、
【0033】
バーベリー、ハマゴウ、ハマスゲ、ハマナス、ハマボウフウ、ハマメリス、バラ、パルマローザ、パンダナ、バンレイシ、ヒキオコシ、ヒシ、ピスタチオ、ヒソップ、ヒッコリー、ピーナッツ、ヒノキ、ヒバ、ピプシシワ、ヒメハギ、ヒヤシンス、ヒラタケ、ビワ、ビンロウ、フェイジョア、フェネグリーク、フェンネル、フジバカマ、フジモドキ、フスマ、フーゼルユ、プチグレイン、ブチュ、ブドウ、ブドウサケカス、フトモモ、ブナ、ブナハリタケ、ブラックキャラウェイ、ブラックベリー、プラム、ブリオニア、プリックリーアッシュ、
【0034】
プリムローズ、プルネラ、ブルーベリー、ブレッドフルーツ、ヘイ、ベイ、ヘーゼルナッツ、ベチバー、ベーテル、ベニバナ、ペニーロイヤル、ペパーミント、ヘビ、ペピーノ、ペプトン、ベルガモット、ベルガモットミント、ペルーバルサム、ベルベナ、ベロニカ、ベンゾイン、ボアドローズ、ホアハウンド、ホウ、ホウキタケ、ホウショウ、ボウフウ、ホエイ、ホオノキ、ホースミント、ホースラディッシュ、ボタン、ホップ、ポピー、ポプラ、ポポー、ホホバ、ホヤ、ボルドー、ボロニア、マイタケ、マグウォルト、マシュマロー、
【0035】
マジョラム、マスティック、マソイ、マタタビ、マチコ、マツ、マツオウジ、マッシュルーム、マツタケ、マツブサ、マツホド、マテチャ、マメ、マリーゴールド、マルバダイオウ、マルメロ、マレイン、マロー、マンゴー、マンゴスチン、ミカン、ミシマサイコ、ミソ、ミツマタ、ミツロウ、ミート、ミモザ、ミョウガ、ミルク、ミルテ、ミルフォイル、ミルラ、ミロバラン、ムギチャ、ムスク、ムラサキ、メスキート、メドウスィート、メハジキ、メープル、メリッサ、メリロット、メロン、モウセンゴケ、モニリアバイヨウエキ、モミノキ、モモ、モロヘイヤ、ヤクチ、ヤマモモ、ユーカリ、ユキノシタ、ユズ、ユッカ、
【0036】
ユリ、ヨウサイ、ヨロイグサ、ライオンズフート、ライチ、ライフエバーラスティングフラワー、ライム、ライラック、ラカンカ、ラカンショウ、ラズベリー、ラタニア、ラディッシュ、ラブダナム、ラベンダー、ラングウォルト、ラングモス、ランブータン、リキュール、リーク、リツェア、リナロエ、リュウガン、リョウフンソウ、リョクチャ、リンゴ、リンデン、リンドウ、ルー、ルリジサ、レセダ、レモン、レモングラス、レンギョウ、レンゲ、レンブ、ローズマリー、ロベージ、ローレル、ロンゴザ、ワサビ、ワタフジウツギ、ワームウッド、ワームシード、ワラビ、ワレモコウなどから得られる天然香料などが例示される。
【0037】
上述した香料は、適宜選択して使用される。香料の添加量は特に限定されるものではないが、一般的にはコーヒーフレーバー中、0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜3質量%、最も好ましくは0.01〜1質量%の添加量で用いられる。
【0038】
次に実施例を挙げ、さらに詳細に説明する。
【実施例】
【0039】
〔A〕コーヒーオイル抽出液の抽出例
[抽出例1]
焙煎したコーヒー豆1kgを、超臨界抽出装置(株式会社AKICO製)に水とともに投入し、超臨界状態にしたCO2にて抽出を行い、60gの超臨界抽出オイルを得た。
この超臨界炭酸ガス抽出コーヒーオイル5gに対しプロピレングリコールを100g添加し、5分攪拌接触後、下層を分離し、濾過することにより淡褐色のコーヒーオイル抽出液80gを得た。
【0040】
[抽出例2]
抽出例1で得た超臨界炭酸ガス抽出コーヒーオイル5gに対しプロピレングリコール80質量部、グリセリン10質量部、水10質量部からなる溶液を100g添加し、5分攪拌接触後、下層を分離し、濾過することにより淡褐色のコーヒーオイル抽出液80gを得た。
【0041】
[抽出例3]
市販のコーヒープレスオイル(ハニー珈琲株式会社製)5gに対しプロピレングリコール80質量部、グリセリン10質量部、水10質量部からなる溶液を100g添加し、5
分攪拌接触後、下層を分離し、濾過することにより淡褐色のコーヒーオイル抽出液80gを得た。
【0042】
[抽出例4]
抽出例1で得た超臨界炭酸ガス抽出コーヒーオイル5gに対しエタノール55%水溶液を100g添加し、5分攪拌接触後、下層を分離し、濾過することにより淡褐色の比較品となるコーヒーオイル抽出液90gを得た。
【0043】
〔B〕コーヒー用合成香料組成物の処方
前記〔A〕で得られたコーヒーオイル抽出液と共にコーヒーフレーバーに含まれる、各種の香料成分及び溶剤から成るコーヒー用合成香料組成物を処方例1〜3のとおり調製した。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】
〔C〕コーヒー飲料の製造
下記の実施例1〜3、比較例1のとおりコーヒー飲料を製造した。
[実施例1]
焙煎コーヒー豆(L値:21)を10倍量の熱水でドリップしコーヒー抽出液(Bx.1.2)を得た。
この抽出液480部(質量部:以下同じ)に、牛乳を230部、グラニュー糖50部、重曹1.2部、乳化剤1部を水にて全量を1000部に調整し、ミルクコーヒー生地を調製した。
このミルクコーヒー生地に、抽出例1のコーヒーオイル抽出液を0.1%添加し、123℃×20分の殺菌を行うことにより、本発明のコーヒー飲料を調製した。
このものは、コーヒーの香り高く、豊かな風味も持つものであった。
【0048】
[実施例2]
コーヒーオイル抽出液を抽出例2のものに替えた以外は実施例1と同様にして本発明のコーヒー飲料を調製した。
このものも、コーヒーの香り高く、豊かな風味も持つものであった。
【0049】
[実施例3]
コーヒーオイル抽出液を抽出例3のものに替えた以外は実施例1と同様にして本発明のコーヒー飲料を調製した。
このものも、コーヒーの香り高く、豊かな風味も持つものであった。
【0050】
[比較例1]
コーヒーオイル抽出液を抽出例4のものに替えた以外は実施例1と同様にして比較例1のコーヒー飲料を調製した。
このものも、コーヒーの香り高く、豊かな風味も持つものであった。
【0051】
〔D〕コーヒーオイル抽出液を添加したコーヒー飲料の評価試験
[試験例1]
実施例1、2及び比較例1のコーヒー飲料について、加温条件による保管試験を行った。保管条件は5℃冷蔵保管品を対照品とし、60℃2週間、60℃4週間で保管し虐待試
験を行った後に官能評価を行った。
評価は、保管期間が終了したコーヒー飲料に対して習熟したパネルを5名選定して官能評価を行った。コントロールとしては何も添加していないコーヒー飲料を用い、劣化臭の強さ(全体としての強さ)、発酵臭様香気(エチルエステル様)、酸臭(チーズ臭)、ロースト感を評価した。
その結果の平均値を表4に示す。
なお、表4中の評価の点数は対照品を4とし、7段階評価の段階尺度法を採用した。
(採点基準):1(弱い)、2、3、4(対照品)、5、6、7(強い)
【0052】
【表4】

【0053】
以上の結果から、本発明のコーヒー飲料(実施例1、2)は比較例1のコーヒー飲料と比較して、劣化臭の抑制に効果を示すと共に、ロースト感の維持において特に有意に効果を示すことが示された。
【0054】
〔E〕コーヒーフレーバーの調製
本発明のコーヒーオイル抽出液(抽出例1、2)、及び比較品のコーヒーオイル抽出液(抽出例4)に対し、処方例1〜3のコーヒー用合成香料組成物をそれぞれ配合し、調製例1〜7のとおり各種コーヒーフレーバーを調製した。
各配合比率及びエタノール含量を表5にまとめた。
【0055】
【表5】

【0056】
[実施例4〜7]
実施例1のミルクコーヒーベースに、調製例1〜4のコーヒーフレーバーをそれぞれ0.1質量%添加し、本発明のコーヒー飲料(実施例4〜7)を調製した。これらはいずれもコーヒーの香り高く、豊かな風味も持ち、かつ香ばしいロースト感を有するものであった。
【0057】
[比較例2〜4]
実施例1のミルクコーヒーベースに、調製例5〜7のコーヒーフレーバーをそれぞれ0.1質量%添加し、比較品のコーヒー飲料(比較例2〜4)を調製した。これらもいずれもコーヒーの香り高く、豊かな風味も持ち、かつ香ばしいロースト感を有するものであった。
【0058】
〔F〕コーヒーフレーバーを添加したコーヒー飲料の評価試験
[試験例2]
実施例4〜7及び比較例2〜4のコーヒー飲料について、加温条件による保管試験を行った。保管条件は5℃冷蔵保管品を対照品とし、60℃2週間、60℃4週間で保管し虐待試験を行った後に官能評価を行った。評価は、保管期間が終了したコーヒー飲料に対して習熟したパネルを5名選定して官能評価を行った。
コントロールとしては何も添加していないコーヒー飲料を用い、劣化臭の強さ(全体としての強さ)、発酵臭様香気(エチルエステル様)、酸臭(チーズ臭)、ロースト感を評価した。
その結果の平均値を表6に示す。なお、表6中の評価の点数は対照品を4とし、7段階評価の段階尺度法を採用した。
(採点基準):1(弱い)、2、3、4(対照品)、5、6、7(強い)
【0059】
【表6】

【0060】
以上の結果から、本発明品のコーヒーフレーバーを添加したコーヒー飲料は、過酷な保管条件にもかかわらず、発酵臭様の劣化臭や酸臭が押さえられ、さらにはロースト感の付与に特に有効であることが示された。しかしながら、エタノール含量の高い比較品では、本発明の効果が示されないことも明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
加温条件下で長期間保存したときにおいても、劣化臭の発生を抑制し、香気成分の損失を補うことができ、香りのよいコーヒー飲料の製造方法が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒーオイルをプロピレングリコール又はその水溶液と接触させ得られたコーヒーオイル抽出液を焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法。
【請求項2】
コーヒーオイルをプロピレングリコール及びグリセリン及び水からなる溶液と接触させ得られたコーヒーオイル抽出液を焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法。
【請求項3】
コーヒーオイルをプロピレングリコール又はその水溶液と接触させ得られたコーヒーオイル抽出液及び合成香料を含むコーヒーフレーバーを焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法。
【請求項4】
コーヒーオイルをプロピレングリコール及びグリセリン及び水からなる溶液と接触させ得られたコーヒーオイル抽出液及び合成香料を含むコーヒーフレーバーを焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法。
【請求項5】
コーヒーフレーバー中のエタノール濃度が0.01〜15質量%であることを特徴とする請求項3又は4に記載のコーヒー飲料の製造方法。
【請求項6】
コーヒーオイルが、焙煎コーヒー豆を超臨界流体で抽出して得られたコーヒーオイル又は焙煎コーヒー豆を圧搾して得られたコーヒーオイルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーヒー飲料の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とするコーヒー飲料。