説明

長物物品用コンテナ

【課題】収容された物品の取り出し易さに優れた長物物品用のコンテナを実現する。
【解決手段】長物物品4がその軸線を第1の方向Qに沿わせて載置される平面視矩形状の底板21と、第1の方向Qに平行状に配置されて対向する第1及び第2の側板22a、22bを含む4つの側板とを有し、底板21の上面の中央には、第1の側板22aと第2の側板22bとを連通させるように、第1の方向Qと直交する第2の方向Rに延びる溝状部24が凹設され、第1及び第2の側板における溝状部24に隣接する部分には、各側板の上端から溝状部24の底面に至る切欠部25がそれぞれ形成され、溝状部24の第1の方向Qの幅寸法及び切欠部25の第1の方向Qの幅寸法はいずれも、人の手指が入る程度かそれより大きく設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長物野菜等の長物物品を収容する長物物品用コンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品の仕分や選別を行う装置において、仕分の途中で、物品を一時的に収容するコンテナが使用されている。このようなコンテナとして、例えば、特許文献1には、判別装置で長さを判別する前のきゅうりを多数収容するコンテナが記載されている。このコンテナは上面が開口した箱状を呈し、その対向する1対の側壁には、ロボットハンドの指形成体又は作業者の指が入る程度の大きさの切込部が、側壁の上端から下向きに切り込んで形成されている。
【0003】
特許文献1では、コンテナに多数積み重ねられているきゅうりを、上から順番に1本ずつロボットハンドで掴んで判別装置に移動させるが、前述したように側壁に切欠部を設けることで、側壁の近くに位置するきゅうりを、ロボットハンドの指形成体で把持するときにも、指形成体が側壁と干渉する不都合を生じないようにしている。
【特許文献1】特開平9−58771号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコンテナは、切込部を通して側壁の内外両方側から物品を把持可能であるから、側壁の近くの物品に対する取り出し易さが改良されている。しかしながら、コンテナの底面に接して収容されている物品は、ロボットハンドの指形成体及び作業者の指のいずれであっても、これらが底面と干渉して物品の下方に指を掛け難いため、掴み難いという問題がある。
【0005】
また、コンテナから物品を取り出すときには、上述したように物品を一本ずつ取り出す場合だけでなく、作業者が両手または片手で、収容されている物品を複数本あるいは全部を一まとめにして取り出したい場合もある。
【0006】
本発明は、上記問題を解消するものであり、収容された物品の取り出し易さに優れた長物物品用のコンテナを実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明における長物物品用コンテナは、長物野菜等の長物物品を多数収容する、上面が開口した箱状のコンテナであって、長物物品がその軸線を第1の方向に沿わせて載置される平面視矩形状の底板と、第1の方向に平行状に配置されて対向する第1及び第2の側板を含む4つの側板とを有し、前記底板の上面の中央には、前記第1の側板と前記第2の側板とを連通させるように、第1の方向と直交する第2の方向に延びる溝状部が凹設され、前記第1及び第2の側板における前記溝状部に隣接する部分には、各側板の上端から前記溝状部の底面に至る切欠部がそれぞれ形成され、前記溝状部の第1の方向の幅寸法及び前記切欠部の第1の方向の幅寸法はいずれも、人の手指が入る程度かそれより大きく設定されていることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の長物物品用コンテナにおいて、前記底板の上面における前記溝状部を除く部分と、前記4つの側板の内面とには、緩衝シートが付着されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の長物物品用コンテナにおいて、前記底板の上面における前記溝状部を除く部分には、前記第1の方向へ延びる1または複数の突条部が形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の長物物品用コンテナにおいて、前記底板の上面における前記溝状部を除く部分における、前記第1の側板と前記第2の側板との中間には、第1の方向に延びる平坦部が形成されるとともに、前記平坦部と前記第1の側板との間及び前記平坦部と前記第2の側板との間には、前記各側板側が徐々に高くなるようにそれぞれ傾斜部が形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の長物物品用コンテナにおいて、前記切欠部の前記幅寸法は、上端側が下端側寄りも広幅に形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、底板の上面の中央に第1及び第2の側板を連通させるように第2の方向の延びる溝状部が凹設され、第1及び第2の側板における溝状部に隣接する部分には、各側板の上端から溝状部の底面に至る切欠部がそれぞれ形成されている。つまり、長物物品が載置される底板の上面よりも溝状部の底面が低くなっているので、底板に載置された長物物品の長手方向の中央部と溝状部の底面との間に隙間が形成され、その隙間は、切込部を通して側板の外側と繋がっている。
【0013】
そのため、切欠部の外側から内側に、作業者が手を指し込むと、そのまま長物物品と溝状部の底面との間の隙間に指を入れることができる。すなわち、作業者は、切欠部から内側に手を差し込むと、そのまま、底板に載っている長物物品の下方に指が掛けることができるため、底面側に位置する長物物品を簡単に把持できる。また、第1及び第2の側板の切欠部から左右の手をそれぞれ側板の内側に差し込むと、コンテナに多数収容されている長物物品を長手方向の両側から一まとめに掴んで簡単に取り出すこともできるのである。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、側板の上面における溝状部を除く部分と、4つの側板の内面とには、緩衝シートが付着されており、つまり、コンテナの内側において、長物部品と接触する可能性のある面に緩衝シートが付着されているから、コンテナに長物物品が収容されるときに、長物物品が受ける衝撃を緩和し傷つき難くさせる効果を奏する。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、底板の上面における溝状部を除く部分には、第1の方向へ延びる、つまり、底面に載置される長物物品の軸線方向に延びる、1または複数の突条部が形成されている。従って、長物物品が収容されるときに、突条部に当接して案内されると、第1の方向に長手方向を揃えて並び易くなる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明によれば、底板の上面における溝状部を除く部分には、平坦部と、この平坦部を挟んで第1の側板側と第2の側板側とに各側板側が徐々に高くなるように傾斜部が形成されている。従って、コンテナに長物物品が放り込まれると、傾斜部を転がって自然と平坦部に移動し、平坦部を中心として多数の長物物品がまとまって収容されるので、取り出すときに一括し易くなるという効果を奏する。
【0017】
また、請求項5に記載の発明によれば、切欠部の幅寸法は、上端側が下端側寄りも広幅に形成されているから、作業者が手を差し込んでコンテナに収容されている長物物品を取り出すときに、手が側板と干渉し難くなるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の具体的な形態を、図1〜図8を用いて説明する。図1は、長物物品用のコンテナ1の斜視図であり、長物野菜(きゅうりや大根、にんじん等)等の、長物の物品4を所定数収容できるように構成されている。ここでは、きゅうりを例示している。
【0019】
コンテナ1は、上面が開口した箱状に形成されており、長物の物品4が載置される平面視矩形状の底板21と、4つの側板22a〜22dとを有している。物品4は第1の方向Qに沿ってその軸線が延びるように底板21に載置される。
【0020】
4つの側板は、第1の方向Qに平行な第1及び第2の側板22a、22bと、第1の方向Qに直交する第2の方向Rに平行な第3及び第4の側板22c、22dで構成されている。底板21の上面の中央には、第1及び第2の側板22a、22bを連通させるように溝状部24が凹設されており、第1及び第2の側板22a、22bにおける溝状部24に隣接する部分には、その上端から溝状部24の底面に至る切欠部25が設けられている。第1及び第2の側板22a、22bに平行な方向の溝状部24の幅寸法及び切欠部25の下端側の幅寸法は、いずれも人の手指が入る程度かそれより大きく設定されている。切欠部25の上端側の幅寸法は、下端側よりも広幅に形成されている。
【0021】
第1及び第2の側板22a、22bにおける第3の側板22c寄りの位置には、外方に向かって略水平(底板21と平行)に突出する薄板状の突出片部27が設けられている。第4の側板22dには、第2の方向Rに間隔をあけて2つの貫通穴29が穿設されている。
【0022】
底板21の溝状部24を除く部分の上面には、第1及び第2の側板22a、22bに平行な突条部(断面形状は、半円状でも三角状でもよい)28が、第2の方向Rに適宜間隔をあけて複数本形成されており、物品4が底板21に載置されるときに、物品4の向きを平行状に揃え易くする効果を奏する。また、底板21の溝状部24を除く部分の上面と、4つの側板の内面には、低反発材などによる緩衝シート26が貼着され、放り込まれた物品4への衝撃を緩和させている。
【0023】
実施形態では、箱状のコンテナ1の内側に、前記溝状部24となる部分を除いて、緩衝シート26を貼着している。すなわち、溝状部24は板材が露出し、溝状部24を除く部分の底板21及び4つの側板は、緩衝シート26と板材とを重ねることで構成されている。突条部28も緩衝シート26の表面を畝状にすることで形成されている。
【0024】
なお、図示していないが、側板22a〜22dの外面に、必要に応じて識別用のシールやICタグ等を貼着してもよい。
【0025】
上記構成のコンテナ1では、底板21の溝状部24の延びる方向に対して、物品4がその長手方向を交差させて収容されるから、底板21の上面(緩衝シート26)上に載置された物品4の長手方向の中央と溝状部24の底面との間には、隙間ΔH(図2(a)参照)が形成されることになる。溝状部24は、第1及び第2の側板22a、22bに形成された切欠部25と繋がり、切欠部25は溝状部24の底面にまで切り下げられているので、前記隙間は第1及び第2の側板22a、22bの外側と繋がっている。
【0026】
従って、コンテナ1から物品4を取り出すときに、作業者が切欠部25の外側からコンテナ1の内側へ手を入れると、そのまま前記隙間に指を差し込めるので、物品4の長手方向の中央部分の下方に指を掛けることができ、底面21に直に載っている物品4であっても、簡単に把持できる。また、収容されている多数本の物品4を一まとめにして取り出すときには、第1及び第2の側板22a、22bに設けられた切欠部25から、作業者が左右の手をそれぞれ指し込めば、多数本の物品4をその長手方向の両側から、簡単に掴んで出すことができるのである。
【0027】
加えて、切欠部25の上端側が広幅に形成されているので、作業者が上方から切欠部25に手を入れたり、物品4を取り出したりするときに、第1及び第2の側板22a、22bに干渉されずに、作業が行い易くなる。
【0028】
次に、上記実施形態のコンテナ1の変形例を、図3を用いて説明する。このコンテナ1は、底板21の上面における溝状部24を除く部分には、第1の側板22aと第2の側板22bとの中間に、第1の方向Qに延びる平坦部71が形成されている。そして、平坦部71と第1の側板22aとの間、及び平坦部71と第2の側板22bとの間には、各側板側が徐々に高くなるようにそれぞれ傾斜部72が形成されている。つまり、底板21の上面は、平坦部71が低くなるようにその両側に傾斜部72が設けられており、傾斜部72及び平坦部71の長手方向の各中途部は、第2の方向Rに延びる溝状部24で分断されている。
【0029】
なお、この変形例でも、低反発材等の緩衝シート26が、溝状部24を除くコンテナ1の内面に貼着されているので、傾斜部72及び平坦部71は、コンテナ1の板材に緩衝シート26が重なって形成されている。
【0030】
図3に示すコンテナ1では、物品4がコンテナ1に放り込まれると、傾斜部72を転がって平坦部71に、すなわち底板21に中央に(溝状部24に交差する向きに延びて)集まってくるから、多数の物品4を収容しても、これらがばらつかずにまとまり易く、作業者が多数の物品4を一まとめにして取り出すときに、作業性を向上させる効果を奏する。
【0031】
次に、上記コンテナ1を用いるのに好適な物品の仕分装置101について説明する。この仕分装置101では、コンテナ1は、仕分コンベヤ6に載置されていて、中間ホッパー7から落下した物品4を受け取り、次に作業箇所60に物品4を移送するために用いられる。
【0032】
詳細には、仕分装置101には、図4に示すように、X軸方向に長く延びる搬送コンベヤ3が、物品4を載置する複数の搬送体2を列状に並べて移送方向Aへ移送するように設けられている。搬送コンベヤ3の物品4の供給箇所(始端)3a寄りの位置には、各物品4の等級を決定するための判定手段51が設けられている。搬送コンベヤ3の途中には、仕分部5が、等級の数に応じて1または複数設けられており、仕分部5では、X軸方向に直交するY軸方向に沿って仕分コンベヤ6が延びている。
【0033】
仕分部5では、図5に示すように、搬送コンベヤ3の搬送体2から物品4が排出されて中間ホッパー7に一時的に収容され、その数が所定数に達すると中間ホッパー7から、仕分コンベヤ6に載置されているコンテナ1に排出される。コンテナ1は、図4に示すように、仕分コンベヤ6によってその移送方向Bの下流側に設けられた作業箇所60に移送されて、収容されている物品4が作業者Pにより一括して箱材61に移し変えられるように構成されている。
【0034】
搬送コンベヤ3には、図示していないが、その長手方向の両端部に設けられた駆動スプロケットと従動スプロケットとに、無端チェーンが巻き掛けられており、この無端チェーンに複数の搬送体2が所定のピッチで取り付けられている。駆動スプロケットに駆動された無端チェーンにより、搬送体2は第1の方向(移送方向A)に移動した後、物品4を載置する供給箇所(始端)3a側に循環して戻る。各搬送体2の位置は、駆動スプロケットの移動量をエンコーダ(図示せず)でカウントすることで検知できるように構成されている。
【0035】
物品4の等級を決定するための判定手段51は、選別の目的や物品4の種類に応じて異なるが、例えば、サイズ(長さ、直径)や形状によって選別する場合には、光学センサや画像処理装置等が用いられ、品質によって選別する場合には、糖度計などが用いられる。
【0036】
各搬送体2における物品4を載置する部分は、図5及び図6に示すように、X軸方向に隣接して配置された1対の平面視長方形状の載せ板12,12で構成されており、1対の載せ板12は、互いに離間する辺側が、Y軸方向に平行な回動軸13によって上下回動可能に軸支されている。加えて、各搬送体2には、載せ板12を上方に回動させる方向に付勢する付勢手段(図示せず)と、各回動軸13の長手方向の一方の端部に突設した突片部15と、突片部15と接触可能な位置に設けたストッパー部16とを有している(図6及び図7(a)参照)。
【0037】
突片部15は、Y軸方向からの側面視で、載せ板12が回動軸13から延びる方向と逆向きで且つ僅かに下向きに突出しており、突片部15の下面側とストッパー部16とが当接するように設けられている。この突片部15がストッパー部16に当接することで、載せ板12が付勢力によって上方に回動し過ぎるのを阻止し、載せ板12の板面を略水平方向に延びる姿勢に保持している。載せ板12は、仕分部5で放出手段11(後述する)が動作する場合を除いて、物品4の載置の有無に拘らず、前述した略水平方向に延びる姿勢で搬送される(図7(a)参照)。
【0038】
さらに、各回動軸13の長手方向の他方の端部には、仕分部5に設けられている放出手段11(後述する)と当接するための作用片部18が設けられている(図6及び図7(b)参照)。作用片部18は、Y軸方向からの側面視で、載せ板12が回動軸13から略水平方向に延びるときに、回動軸13から載せ板12と同じ方向で且つ斜め上方に突出するように傾斜して設けられている。
【0039】
物品4は、図6に示すように、その長手方向をY軸方向に沿わせて各搬送体2の中央に載置されるので、2つの載せ板12の回動の先端側に跨るように物品4が載置される。従って、各載せ板12には、物品4の移送中は、常に下方側へ押し付ける力が作用するが、上方に回動させる方向に付勢力が作用し、且つ載せ板12が上方に回動し過ぎないように突片部15がストッパー部16に当接しているから、上述したように、載せ板12の板面が略水平方向に延びる姿勢を維持して物品4を移送する。
【0040】
各仕分部5には、搬送体2に載置された物品4を中間ホッパー7に落下放出させるための放出手段11が、搬送体2の2つ分に対応して、搬送コンベヤ3の上方にX軸方向に並んで2つ設けられている。後述するように、中間ホッパー7には、X軸方向に沿って2つの収容室10a、10bが設けられている。搬送体2の物品4を下流側の収容室10aに落下させたい場合には、図5(a)及び図5(c)に示すように、下流側に配置された放出手段11の下方に搬送体2が達したときにこの下流側の放出手段11を動作させる。また、搬送体2の物品4を上流側の収容室10bに落下させたい場合には、図5(b)に示すように、上流側に配置された放出手段11の下方に搬送体2が達したときにこの上流側の放出手段11を動作させる。つまり、2つの収容室10a、10bのうちのいずれの収容室に物品4を落下させるかに応じて、2つの放出手段11のいずれかを選択して動作させるようにしている。各収容室に放出した物品4の数は、センサ(カウンタでもよい)で検出されるように構成されている。
【0041】
1つの放出手段11として、ここでは、図7(b)に示すように、ピストン11aを上下方向に伸縮動可能に備えた1対のエアシリンダを用いており、各エアシリンダを搬送体2の作用片部18の先端に当接可能に配置している。従って、仕分部5では、搬送コンベヤ3の上方に2対のエアシリンダが、X軸方向に沿って並んでいる。放出手段11であるエアシリンダのピストン11aが下方に伸長すると、搬送体2に設けられた作用片部18を付勢力に抗して下方に押し下げ、1対の載せ板12を同時に下方へ回動させる。これにより、1対の載せ板12に跨って載置されていた物品4が搬送体2の中央から下方に落下する。なお、放出手段11の構成は、上記構成に限定するものではなく、各放出手段11に1つずつのエアシリンダを設け、この1つのエアシリンダの動作を同時に2つの作用片部18に伝えるような機構を付加してもよい。
【0042】
中間ホッパー7は、図5及び図7に示すように、搬送コンベヤ3と仕分コンベヤ6との高さ方向の中間に設けられており、全体として上面が開口した略箱状である。中間ホッパー7の4つの側壁のうちX軸方向に沿って離間した2つの側壁8、8に対向して、内部に仕切壁9が設けられており、仕切壁9によって2つの収容室10a、10bに区画されている。すなわち、仕切壁9を挟んでX軸方向に沿って、搬送方向下流側に位置する下流側収容室10aと、搬送方向上流側に位置する上流側収容室10bとが設けられている。
【0043】
収容室10a、10bの各底面は、それぞれ実質上水平方向にスライド可能な底部材30で覆われている。各底部材30は独立して動作するので、各収容室10a、10bの下面は個別に開閉することができる。底部材30は、仕切壁9から側壁8側にスライドすることで下面を開放するので、2つの収容室10a、10bでは、底部材30はY軸方向からの側面視で左右対称的に動作することになる。
【0044】
コンテナ1の上面の開口は、中間ホッパー7から落下する物品4をもれなく受け取るために、中間ホッパー7の下面の面積と同じかそれ以上に設定されている。コンテナ1は、その第1の方向QをY軸方向に第2の方向RをX軸方向にそれぞれ沿わせるようにし、且つ、突出片部27が移送方向Bの前進側に位置させる向きで、仕分コンテナ6に載置される。
【0045】
ここでは、コンテナ1は、2M本(1つの収容室に収容される数の2倍)の物品4を収容できる容量に設定されている。なお、コンテナ1に収容される物品4の数は、2M本に限定するものではなく、Mの倍数であればよい。すなわち、コンテナ1の収容数がM本であれば、いずれかの収容室10a(10b)から物品4が一回放出されれば、コンテナ1は作業箇所60に移送され、4M本であれば、各収容室10a(10b)から2回ずつ放出されれば、コンテナ1は作業箇所60に移送される。
【0046】
仕分コンベヤ6は、各仕分部5においてY軸方向に沿って、コンテナ1を搬送コンベヤ3から離れる移送方向Bに移送するように構成されている。仕分コンベヤ6の下方には、移送方向Bの終端部に達したコンテナ1を、仕分コンベヤ6の始端部へ戻すための戻し用コンベヤ6aが設けられている。仕分コンベヤ6と戻し用コンベヤ6aは、いずれも、X軸方向に平行な回転軸を有する多数のローラ40が備えられ、ローラ40にコンテナ1が載置される。多数のローラ40には、チェーン等の動力伝達手段を介して駆動源からの駆動力が伝達されている。また、仕分コンベヤ6と戻し用コンベヤ6aの延びる方向の両側には、それぞれコンテナ1の突出片部27を沿わせるレール状の案内部45が設けられている。
【0047】
仕分コンベヤ6の終端と戻し用コンベヤ6aの始端とは、コンテナ1を下降させる下降手段41で接続され、戻し用コンベヤ6aの終端と仕分コンベヤ6の始端とは、コンテナ1を上昇させる上昇手段42で接続されている。
【0048】
下降手段41及び上昇手段42は、いずれも平行リンク機構を利用したものであり、コンテナ1を載置可能なフレーム状の昇降台44と、この昇降台44の左右前後の4箇所にて上下方向に延びるように取り付けられた4本のリンク43とをそれぞれ有している。各リンク43は、仕分コンベヤ6と戻し用コンベヤ6aの高さ方向の中間に設けられた支点を中心に回転可能に設けられており、リンク43が回転することで、昇降台44が仕分コンベヤ6の高さ位置と戻し用コンベヤ6aの高さ位置との間で変位できるようになっている。
【0049】
なお、下降手段41には、昇降台44が1つ備えられ、仕分コンベヤ6の終端にて昇降台44にコンテナ1が乗ると、下降手段41が昇降台44を下降させて、戻し用コンベヤ6aの補助ローラ40aにコンテナ1が乗り移り、その後すぐに、昇降台44は上方に戻るように構成している。
【0050】
上昇手段42では、昇降台44が上下2つ備えられており、戻し用コンベヤ6aの終端にて下側に位置している昇降台44にコンテナ1が載ると、上昇手段42のリンク43が回転して、上下の昇降台44が入れ替わり、コンテナ1が仕分コンベヤ6の始端に上昇する。先のコンテナ1が、中間ホッパー7から2M本の物品4を受け取って移送方向Bに移送されると、仕分コンベヤ6の始端にて待機していた次のコンテナ1が、仕分コンベヤ6に設けられた送り出し機構(図示せず)により、中間ホッパー7の下方へ送り出される。送り出し機構(図示せず)は、その突出部分をコンテナ1の貫通穴29に差し込みながら押し出すので、コンテナ1を移送方向Bに対して正しい姿勢(左右方向のずれなく)で送り出すことができる。
【0051】
上記構成の仕分装置101の全体の動作について説明する。長物の物品4は、搬送コンベヤ3の供給箇所3aにて、長手方向をY軸方向に沿わせて搬送体2に1個ずつ載置されて移送方向Aに移送され、判定手段51の設けられている箇所を通過することで、各物品4にはそれぞれ等級が決定される。仕分部5は、例えばA級、B級、C級等の物品のランクに対応させて、複数個所設けられている。判定手段51でA級と決定された物品4は、A級に対応する仕分部5にて、中間ホッパー7に放出される。
【0052】
ここでは、下流側収容室10a側から先に物品4を収容するように設定しているので、制御部(図示せず)は、A級に決定された物品4を載置した搬送体2が、下流側収容室10bの上方の位置に移送されてきたときに、物品4を下流側収容室10bに落下させるように、2つ設けた放出手段11のうち、下流側収容室10bに対応して設けた放出手段11を動作させる。これにより、放出手段11のピストン11aが前記物品4の載置された搬送体2の作用片部18に当接するように下降し、物品4を載置していた1対の載せ板12、12が同時に下方へ回動し、物品4が、底部材30で下面が塞がれた状態の下流側収容室10aに落下する。物品4が、下流側収容室10aに所定数であるM本溜まるまで、搬送体2は、A級の物品4に対応する中間ホッパー7のうち、A級の物品4を下流側収容室10aに落下させる。
【0053】
搬送体2から収容室10a(10b)への物品4の落下は、センサ(図示せず)で検出されており、下流側収容室10aに落下した物品4が所定数M本に達すると、次からはA級の物品4を、中間ホッパー7の上流側収容室10bに落下させるようにする。すなわち、制御部(図示せず)は、A級の物品4を載置した搬送体2が、上流側収容室10bの上方の位置に移送されてきたときに、これに対応して設けた放出手段11が動作するように、動作させるべき放出手段11を切り替えるのである。
【0054】
この放出手段11の切り替えと同時に、制御部(図示せず)は、下流側収容室10aの下面を開放させるように底部材30をスライドさせ、下流側収容室10aに収容されていたM本の物品4は、下方に配置されたコンテナ1にまとめて落下する。続けて、上流側収容室10bに収容された物品4がM本に達すると、今度は上流側収容室10の底部材30をスライドさせ、コンテナ1に落下させる。これと同時に、制御部(図示せず)は、再びA級の物品4を搬送体2から下流側収容室10aに放出させるように、放出手段11を切り替える。
【0055】
下流側収容室10a及び上流側収容室10bから、それぞれ1回ずつ物品4が放出されて、コンテナ1が、合計M本の物品4を受け取ると、仕分コンベヤ6によって移送方向Bへ移送され、仕分コンベヤ6の始端に待機していた次のコンテナ1が、中間ホッパー7の下方の位置へ移動してくる。一方、中間ホッパー7の下方の位置から作業箇所60に移動したコンテナ1からは、作業者Pが物品4を一まとめに掴んで箱材61に移し変える。
【0056】
作業者Pによって物品4が取り出されて空になったコンテナ1は、下降手段41、戻し用コンベヤ6a、及び上昇手段42によって、再び仕分コンベヤ6の始端に戻され、先行のコンテナ1が中間ホッパー7の下方から移送方向Bに移送を開始するまで待機する。
【0057】
上記構成では、コンテナ1は、中間ホッパー7から落下した物品4を受け取って、仕分コンベヤ6によって移送され、作業箇所60にて作業者Pにより、物品4が取り出されて移し変えられる。コンテナ1には、その内面に緩衝シート26が付着されているから、落下した物品4の受ける衝撃を緩和でき、傷つきの生じ難くなる。また、物品4を受け取るときには、中間ホッパー7の収容部10a(10b)から、M本が一度に落下してくるが、底面21に突条部28が形成されているから、第1の方向Qに物品4の軸線が揃い易くなる。
【0058】
また、作業者Pが物品4を取り出すときには、前述したように切欠部25から手を入れて容易に物品4の下方に指を掛けることができるから、収容されている2M本の物品4を一まとめに掴んで簡単に箱材61に移し変えることができるのである。
【0059】
なお、コンテナ1を用いた上述の仕分装置1は、1つの例に過ぎず、その他の装置や使用条件に本発明のコンテナ1を適用してもよいことは言うまでもない。また、コンテナ1に収容する物品4は、野菜や果実に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施形態のコンテナの斜視図である。
【図2】(a)はコンテナの変形例の平面図、(b)は(a)のIIb―IIb線矢視断面図である。
【図3】(a)はコンテナの変形例の平面図、(b)は(a)のIIIb―IIIb線矢視断面図である。
【図4】本発明のコンテナを適用する物品の仕分装置の概略平面図である。
【図5】(a)〜(c)は中間ホッパーの2つの収容室の動作を説明する側面図である。
【図6】搬送体の平面図である。
【図7】(a)は搬送体の概略側面図、(b)は搬送体の放出動作を説明する側面図である。
【図8】仕分コンベヤの側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 コンテナ
2 搬送体
3 搬送コンベヤ
4 物品
6 仕分コンベヤ
7 中間ホッパー
11 放出手段
21 底板
22a〜22d 第1〜第4の側板
24 溝状部
25 切欠部
26 緩衝シート
27 突出片部
28 突条部
30 底部材
34 ベルト体
41 下降手段
42 上昇手段
44 昇降台
101 仕分装置
P 作業者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長物野菜等の長物物品を多数収容する、上面が開口した箱状のコンテナであって、
長物物品がその軸線を第1の方向に沿わせて載置される平面視矩形状の底板と、第1の方向に平行状に配置されて対向する第1及び第2の側板を含む4つの側板とを有し、
前記底板の上面の中央には、前記第1の側板と前記第2の側板とを連通させるように、第1の方向と直交する第2の方向に延びる溝状部が凹設され、
前記第1及び第2の側板における前記溝状部に隣接する部分には、各側板の上端から前記溝状部の底面に至る切欠部がそれぞれ形成され、
前記溝状部の第1の方向の幅寸法及び前記切欠部の第1の方向の幅寸法はいずれも、人の手指が入る程度かそれより大きく設定されていることを特徴とする長物物品用コンテナ。
【請求項2】
前記底板の上面における前記溝状部を除く部分と、前記4つの側板の内面とには、緩衝シートが付着されていることを特徴とする請求項1に記載の長物物品用コンテナ。
【請求項3】
前記底板の上面における前記溝状部を除く部分には、前記第1の方向へ延びる1または複数の突条部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の長物物品用コンテナ。
【請求項4】
前記底板の上面における前記溝状部を除く部分における、前記第1の側板と前記第2の側板との中間には、第1の方向に延びる平坦部が形成されるとともに、前記平坦部と前記第1の側板との間及び前記平坦部と前記第2の側板との間には、前記各側板側が徐々に高くなるようにそれぞれ傾斜部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の長物物品用コンテナ。
【請求項5】
前記切欠部の前記幅寸法は、上端側が下端側寄りも広幅に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の長物物品用コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−18843(P2009−18843A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183357(P2007−183357)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【出願人】(501369488)西三河農業協同組合 (2)
【Fターム(参考)】