説明

開口枠及び開口枠連結構造

【課題】簡易な構造でありながらも横枠と縦枠とを連結する際における作業性を向上し得る開口枠及び開口枠連結構造を提供する。
【解決手段】開口枠1は、長手方向の一端部11に、厚さ方向に貫通孔13が設けられた第1枠材10と、長手方向の一端部21に、該一端部の端面22から長手方向に前記貫通孔に対応させた連結穴23が設けられるとともに、外側面28から厚さ方向に前記連結穴に連通する係止孔25が設けられた第2枠材20と、前記貫通孔と前記連結穴とが連通するように前記第1枠材の内側面12と前記第2枠材の一端部の端面とを当接させた状態で、前記貫通孔及び前記連結穴に挿入される棒状部32を有するとともに、この棒状部の先端部外周に設けられ、前記係止孔に係止する係止突起33を有した棒状連結具30と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横枠と縦枠とを備えた開口枠及び開口枠連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住居等の建物に設けられた開口部の内側面に沿って配設される横枠と縦枠とを備えた開口枠が知られている。このような開口枠は、従来、横枠としての上枠の端面に、縦枠の上端部内側面を当接させ、縦枠の上端部外側面から木ねじ等の固定止具を両枠材に捩じ込み、両枠材を連結する構造とされていた。このように両枠材を連結する際に、枠材の割れ等を防止するために下孔加工を施したり、連結強度を高めるために補強部材を設けたりする場合があった。例えば、下記特許文献1では、縦枠の側面から横枠の木口へビス下孔を穿設し、このビス下孔の軸心に垂直に形成された横枠の孔に木栓状の補強部材を打ち込み、ビス下孔を介してこの補強部材を貫いてビスを螺入させて両枠材を連結する構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−20876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された枠材の連結構造では、木栓状の補強部材を打ち込む下孔の加工精度や補強部材の加工精度によっては補強部材が脱落することが考えられ、また、補強部材の打ち込み作業が必要になるなど更なる改善が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、簡易な構造でありながらも横枠と縦枠とを連結する際における作業性を向上し得る開口枠及び開口枠連結構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る開口枠は、長手方向の一端部に、厚さ方向に貫通孔が設けられた第1枠材と、長手方向の一端部に、該一端部の端面から長手方向に前記貫通孔に対応させた連結穴が設けられるとともに、外側面から厚さ方向に前記連結穴に連通する係止孔が設けられた第2枠材と、前記貫通孔と前記連結穴とが連通するように前記第1枠材の内側面と前記第2枠材の一端部の端面とを当接させた状態で、前記貫通孔及び前記連結穴に挿入される棒状部を有するとともに、この棒状部の先端部外周に設けられ、前記係止孔に係止する係止突起を有した棒状連結具と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、前記係止孔を、前記連結穴よりも小径状としてもよい。
また、本発明においては、前記棒状連結具の係止突起を、前記棒状部に出没自在に設けるとともに、突出方向に付勢されたものとしてもよい。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る開口枠連結構造は、第1枠材の長手方向一端部と第2枠材の長手方向一端部とを連結する開口枠連結構造であって、前記第1枠材の一端部に、厚さ方向に貫通孔を設け、前記第2枠材の一端部に、該一端部の端面から長手方向に前記貫通孔に対応させた連結穴を設けるとともに、外側面から厚さ方向に前記連結穴に連通する係止孔を設け、前記貫通孔と前記連結穴とが連通するように前記第1枠材の内側面と前記第2枠材の一端部の端面とを当接させ、棒状連結具の棒状部を前記貫通孔及び前記連結穴に挿入し、この棒状部の先端部外周に設けた係止突起を前記係止孔に係止させて前記第1枠材と前記第2枠材とを連結する構造とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る開口枠及び開口枠連結構造は、上述のような構成としたことで、簡易な構造でありながらも横枠と縦枠とを連結する際における作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)〜(c)は、いずれも本発明の一実施形態に係る開口枠及び開口枠連結構造の一例を模式的に示し、(a)は、図2におけるX部に対応させた一部破断概略拡大平面図、(b)は、(a)におけるY1−Y1線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図、(c)は、(a)におけるY2−Y2線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。
【図2】同開口枠の概略分解斜視図である。
【図3】(a)、(b)は、いずれも同開口枠が備える棒状連結具の一変形例を模式的に示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、図1(c)では、棒状連結具を破断せずに図示している。
また、以下の実施形態では、図2に示す状態を基準として、上下、左右等の方向を原則的に説明する。
【0012】
図1〜図3は、本実施形態に係る開口枠及び開口枠連結構造の一例について説明するための概念的な説明図である。
本実施形態に係る開口枠1は、図2に示すように、第1枠材としての一方(図示右側)の縦枠10と、この縦枠10に対向配置される他方(図示左側)の縦枠15とを備えている。また、開口枠1は、これら両縦枠10,15間に架け渡されるように配設される第2枠材としての上枠(横枠、鴨居)20とを備えている。
この開口枠1は、住居等の建物の内壁に開設された開口の内側面(天側面、左右側面)に沿って配設される。図例では、各枠材10,15,20に、戸当たり部材が嵌め込まれる凹溝14,19,24を長手方向に沿ってそれぞれに設けた開き戸用の開口枠1を例示している。
【0013】
この開口枠1は、上枠20の長手方向両端部21,26と、縦枠10,15の長手方向のそれぞれの一端部(上端部)11,16とが連結され、開口の内側面を構成する柱材や間柱、横桟(まぐさ)、飼木などの枠下地に固定される。
これら枠材10,15,20は、合板やLVL等の木質積層板、パーティクルボード等の木質ボード、またはインシュレーションボードやMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板などの木質系材料から形成されたものとしてもよい。または、合成樹脂系材料や金属系材料等から形成されたものとしてもよい。また、これら木質系材料や合成樹脂系材料、金属系材料等を基材として、その表面側の少なくとも露出する部位に、合成樹脂シートや突板等の表面化粧シートを貼着したものとしてもよい。
【0014】
一方の縦枠10の上端部11には、図1及び図2に示すように、当該縦枠10を厚さ方向(左右方向、見付け方向)に貫通する貫通孔13が設けられている。図例では、前後方向(見込み方向)に離間させて、一対の貫通孔13,13を設けた例を示している。また、図例では、当該縦枠10の厚さ方向において、外方側(開口の内側面に対面する側)に位置する大径孔部13aとこの大径孔部13aよりも小径状に形成され、内方側(当該縦枠10の内側面12側)に位置する小径孔部13bとを連なるように設けた貫通孔13を例示している。これら大径孔部13aと小径孔部13bとは略同軸状に設けられており、これらによって貫通孔13に、係止部としての段差面13cが形成される。
【0015】
他方の縦枠15の上端部16には、図2に示すように、当該縦枠15を厚さ方向(左右方向、見付け方向)に貫通する下孔18が設けられている。図例では、前後方向(見込み方向)に離間させて、一対の下孔18,18を設けた例を示している。
これら両縦枠10,15は、下端側が、施工現場等において、開口の開口高に応じて切断されるものとしてもよい。
【0016】
上枠20の長手方向の一端部(右端部)21には、図1及び図2に示すように、その端面(右端面)22から当該上枠20の長手方向(左右方向)に沿って、一方の縦枠10に設けられた貫通孔13に対応させた連結穴23が設けられている。図例では、縦枠10の一対の貫通孔13,13に対応させて、前後方向(見込み方向)に離間させて、一対の連結穴23,23を設けた例を示している。これら連結穴23,23は、当該上枠20の右端面22と、縦枠10の上端部11の内側面12とを当接させた状態で、縦枠10の一対の貫通孔13,13のそれぞれに連通し、略一致するように形成されている。また、これら連結穴23,23の穴径は、縦枠10の貫通孔13の小径孔部13bと略同径とされている。
【0017】
また、上枠20の右端部21には、当該上枠20の外側面(開口の内側面に対面する側の面、上面)28から当該上枠20の厚さ方向(上下方向、見付け方向)に沿って、連結穴23に連通する係止孔25が設けられている。この係止孔25は、その孔中心線が連結穴23の穴中心線と略直交し、互いに交差する位置となるように設けられている。つまり、この係止孔25は、連結穴23に対して直交する方向に設けられ、上枠20の外側面28及び連結穴23のそれぞれに開口している。
図例では、係止孔25を、上枠20の長手方向に沿って設けた連結穴23の反開口端部側(上枠20の長手方向中心側)に寄った位置に開口するように設けた例を示している。また、図例では、一対の連結穴23,23のそれぞれに連通する一対の係止孔25,25を設けた例を示している。この係止孔25の孔径は、連結穴23の穴径よりも小径状とされている。この係止孔25の孔径は、連結穴23の穴径よりも僅かに小さい寸法としてもよく、連結穴23の穴径の1/2程度以上としてもよい。
【0018】
この上枠20は、長手方向の他端部(左端部)26側が、施工現場等において、開口の開口幅に応じて切断されるものとしてもよい。また、この上枠20の左端部26の端面(左端面)27に、他方の縦枠15に設けられた一対の下孔18,18に対応させた一対の下穴を当該上枠20の長手方向に沿って設けるようにしてもよい。
【0019】
また、本実施形態に係る開口枠1は、一方の縦枠10の上端部11と、上枠20の右端部21とを連結する棒状連結具30を備えている。本実施形態では、開口枠1は、縦枠10に設けた一対の貫通孔13,13及び上枠20に設けた一対の連結穴23,23に対応させて、二本の棒状連結具30を備えている。
棒状連結具30は、図1に示すように、細長棒状とされ、一方の縦枠10の貫通孔13及び上枠20の連結穴23に挿入される棒状部32と、この棒状部32の先端部(挿入方向先端側の端部)外周に設けられた係止突起33とを備えている。本実施形態では、棒状部32の基端部(挿入方向基端側の端部)に、棒状部32よりも大径状とされた基部31を連なるように設けている。これら基部31と棒状部32とは略同軸状に設けられており、これらによって棒状連結具30の基部31の挿入方向先端側に、係止部としての段壁面31aが形成される。
【0020】
基部31は、図1(a)、(c)に示すように、縦枠10の上端部11に設けた貫通孔13の大径孔部13aに対応させて形成されており、この大径孔部13aよりも小径状とされ、この大径孔部13a内に収容される寸法とされている。また、この基部31は、棒状部32が縦枠10の貫通孔13及び上枠20の連結穴23に挿入された状態で、上記係止部としての段壁面31aが、縦枠10の貫通孔13の上記係止部としての段差面13cに当接する構成とされている。
【0021】
棒状部32は、図1(a)、(c)に示すように、縦枠10の上端部11に設けた貫通孔13の小径孔部13b及び上枠20の右端部21に設けた連結穴23に対応させて形成されている。この棒状部32は、これら小径孔部13b及び連結穴23と略同径またはこれらよりも僅かに小径状とされている。棒状部32の長さ寸法は、縦枠10の上端部11の内側面12と上枠20の右端面22とを当接させ、縦枠10の貫通孔13の小径孔部13bと上枠20の連結穴23とを連通させた状態で、これら小径孔部13b及び連結穴23内に収容される寸法とされている。
【0022】
係止突起33は、棒状部32の先端部外周から、当該棒状部32の径方向に突出するように設けられている。本実施形態では、棒状部32の先端部外周面から基端側に向けて突出寸法を大きくし、当該係止突起33の基端側(挿入方向基端側)の立上面(係止面)と棒状部32の外周面とのなす角が略直角または鋭角とされた爪形状の係止突起33としている。
この係止突起33は、棒状部32の長手方向において、棒状部32を縦枠10の貫通孔13及び上枠20の連結穴23に挿入させ、段壁面31aを縦枠10の貫通孔13の段差面13cに当接させた状態で、上枠20の係止孔25に係止する位置に設けられている。
【0023】
また、係止突起33は、上枠20の係止孔25に納まる寸法とされている。つまり、上枠20の係止孔25は、棒状連結具30の係止突起33を納め、係止し得る形状、寸法とすればよく、図例のような丸孔形状とされたものに限られず、楕円形状や菱形状、矩形状等としてもよい。このような場合には、係止孔25の長径が連結穴23の穴径よりも小径状とされたものとしてもよい。また、係止突起33の形状も図例のような爪形状とされたものに限られず、半球状や円錐状、角錘状、円柱状、角柱状とされたものとしてもよい。
【0024】
上記構成とされた棒状連結具30は、図1(a)、(c)に示すように、棒状部32が縦枠10の貫通孔13及び上枠20の連結穴23に挿入された状態では、係止突起33の基端側の上記係止面が、上枠20の係止孔25の端面22側の孔縁に係止する。これにより、当該棒状連結具30の反挿入方向側(図示右側)への移動が規制される。また、この状態では、棒状連結具30の段壁面31aが、縦枠10の貫通孔13の段差面13cに当接し、当該棒状連結具30の挿入方向側(図示左側)への移動が規制される。つまり、この状態では、棒状連結具30の係止突起33の上記係止面と、棒状連結具30の段壁面31aとによって、上枠20の右端部21と縦枠10の上端部11とが挟まれるように保持され、上枠20の右端面22と縦枠10の上端部11の内側面12とが当接状態とされる。
【0025】
なお、棒状連結具30に上記のような係止部としての段壁面31aを形成する基部31を設ける態様に代えて、当該部位等に、反挿入方向側に徐々に大径となるテーパ部を係止部として設けるようにしてもよい。この場合は、縦枠10の貫通孔13に大径孔部13aを設けずに、テーパ状の係止部を貫通孔の内周面に圧接させることで、当該棒状連結具30の挿入方向側(図示左側)への移動を規制する態様としてもよい。この場合は、貫通孔の内周面が係止部として機能する。当該棒状連結具30の挿入方向側(図示左側)への移動を規制する態様としては、棒状連結具30及び縦枠10の貫通孔13に互いに係止する係止部をそれぞれに設ける態様とすればよく、上記した係止部に代えて、他の構造とされた係止部を採用するようにしてもよい。
また、この棒状連結具30は、硬質の合成樹脂系材料や金属系材料から形成されたものとしてもよい。
【0026】
次に、上記構成とされた開口枠1を用いた開口枠連結構造及びその組み付け手順について説明する。
まず、上枠20の右端面22と一方の縦枠10の上端部11の内側面12とを、互いの一対の連結穴23,23と一対の貫通孔13,13(小径孔部13b,13b)とが連通するように突き合わせ、当接させる。この状態で、棒状連結具30の棒状部32を、縦枠10の外側面側から、縦枠10の貫通孔13及び上枠20の連結穴23にこの順に挿入し、棒状連結具30の係止突起33を、上枠20の係止孔25に係止させる。この際、図1(b)に示すように、棒状連結具30の係止突起33を上方側に向くように位置させ、当該棒状連結具30を上記のように挿入するようにしてもよい。
これにより、上述のように、上枠20の右端面22と縦枠10の上端部11の内側面12とが当接状態とされ、これら上枠20の右端部21と縦枠10の上端部11とが連結される。
【0027】
また、上枠20の左端面27と他方の縦枠15の上端部16の内側面17とを突き合わせ、当接させ、ねじや釘等の固定止具2を縦枠15の外側面側から縦枠15の下孔18を介してこれら縦枠15及び上枠20に捩じ込む(打ち込む)。これにより、縦枠15の上端部16と上枠20の左端部26とが連結される(図2参照)。
このように連結された開口枠1は、開口の枠下地にねじや釘等の固定止具によって固定される。
【0028】
なお、枠下地に固定する前または固定した後に、各枠材10,15,20の凹溝14,19,24に、戸当たり部材を嵌め込み固定するようにしてもよい。また、いずれか一方の縦枠10,15に、開閉建具としての開き戸を、蝶番等を介して連結したり、他方の縦枠10,15に、必要に応じてラッチ受けを設けたりしてもよい。
また、上記した組み付け手順は一例であり、別手順でなされるものとしてもよい。
【0029】
以上のように、本実施形態に係る開口枠1によれば、簡易な構造でありながらも上枠(横枠)20と縦枠10とを連結する際における作業性を向上させることができる。
つまり、棒状連結具30の棒状部32を縦枠10の貫通孔13及び上枠20の連結穴23に挿入し、この棒状部32の係止突起33を上枠20の係止孔25に係止させることで、縦枠10と上枠20とを連結することができる。従って、縦枠10と上枠20とを連結する際における作業性を向上させることができる。
また、補強部材やナット部材等を別途に必要とせず、また、これらが脱落等しないように、これらを精度良く形成したり、これらが嵌め込まれる孔を精度良く形成したりする必要がなく、簡易な構造となる。
【0030】
さらに、本実施形態では、上枠20の係止孔25を、上枠20の連結穴23よりも小径状としている。従って、上枠20の係止孔25を上枠20の連結穴23と同径または連結穴23よりも大径とした場合と比べて、上枠20の強度を向上させることができる。
また、棒状連結具30の係止突起33を係止孔25に対応させて小さくすることができる。これにより、棒状連結具30を縦枠10の貫通孔13及び上枠20の連結穴23に比較的にスムーズに挿入させることが可能でありながらも、両枠材10,20を連結する棒状連結具30の棒状部32を比較的に大径とでき、両枠材10,20の連結強度を高めることができる。
【0031】
次に、本実施形態に係る開口枠1及び開口枠連結構造に適用される棒状連結具の一変形例について図3に基づいて説明する。なお、上記した棒状連結具30との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
本変形例に係る棒状連結具30Aは、図3に示すように、係止突起33Aが、棒状部32Aに出没自在に設けられるとともに、突出方向に付勢されている。図例では、棒状部32Aの先端部に、係止突起33Aを受け入れる凹部34を設けた例を示している。また、この凹部34の内壁に係止突起33Aの先端側(挿入方向先端側)を回動自在に連結し、凹部34内に、係止突起33Aを突出方向に付勢するコイルばね等からなるばね部材35を設けた例を示している。
【0032】
この棒状連結具30Aによれば、縦枠10の貫通孔13(小径孔部13b)及び上枠20の連結穴23に棒状部32Aを挿入させる際に、スムーズに挿入させることができる。つまり、上記のように挿入される際に、図3(b)に示すように、棒状部32Aの先端部に設けられた係止突起33Aがばね部材35の付勢力に抗してばね部材35の弾性変形を伴って棒状部32Aの凹部34内に没入し、スムーズに挿入がなされる。そして、上枠20の係止孔25が設けられた部位に至れば、ばね部材35の付勢によって係止突起33Aが棒状部32Aの先端部外周面から径方向に突出し、係止孔25にスムーズに係止される。
【0033】
なお、係止突起33Aを棒状部32A内に没入させた状態で、係止突起33Aの全体が棒状部32A内に納まるものに限られず、一部が棒状部32Aの外周面から突出する態様としてもよい。
また、係止突起33Aを、棒状部32Aの径方向にスライド自在に凹部34内に支持させたものとしてもよい。この場合は、凹部34の縁部に抜止片等を設け、係止突起33Aに該抜止片に係止される鍔部等を設けた態様としてもよい。
さらに、ばね部材35によって突出方向に別部材を付勢する態様に代えて、棒状部32Aの外周面に切欠溝等を形成し、棒状部32Aの径方向に揺動する係止片の先端に係止突起としての係止爪を設けたものとしてもよい。つまりは、棒状部32Aに、一体的に、揺動し、突出方向に付勢される係止突起33Aを設ける態様としてもよい。または、板ばね状部材を係止突起33Aとして棒状部32Aの先端部外周に付設するように、若しくは一部を埋め込ませるようにして設ける態様としてもよい。
【0034】
なお、上記した例では、予め縦枠10に貫通孔13を設け、上枠20に連結穴23及び係止孔25を設けた例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、これら貫通孔13、連結穴23及び係止孔25の少なくともいずれか一つを施工現場等において形成したものにも本実施形態に係る開口枠連結構造を適用することができる。
また、上記した例では、縦枠10に一対の貫通孔13,13を設け、上枠20に一対の連結穴23,23及び係止孔25,25を設け、二本の棒状連結具30(30A)によってこれらを連結する構造とした例を示しているが、このような態様に限られない。縦枠10に単一または3つ以上の貫通孔を設け、この貫通孔に対応させた個数の連結穴及び係止孔を上枠20に設け、これに応じた本数の棒状連結具30(30A)を備えたものとしてもよい。
【0035】
さらに、上記した例では、棒状連結具30(30A)に単一の係止突起33(33A)を設けた例を示しているが、複数の係止突起を棒状部32(32A)の長手方向に沿って設けるようにしてもよい。この場合は、上枠20に、これら複数の係止突起に対応させた位置となるように複数の係止孔25を設けるようにすればよい。このような態様に代えて、または加えて、棒状部32(32A)の両側に径方向に突出する係止突起を設ける態様としてもよい。つまり、図例のように上方に向けて突出する係止突起33(33A)に加えて、この係止突起と長手方向同位置で、下方に向けて突出する係止突起を更に設けた態様としてもよい。この場合は、上枠20の連結穴を上下に横断するように、連結穴の下部側にも係止孔を更に設けるようにすればよい。
【0036】
さらにまた、上記した例では、棒状連結具30(30A)の棒状部32(32A)を、略円柱形状(略丸棒状)とし、これに対応させて、縦枠10の貫通孔13及び上枠20の連結穴23を丸孔(穴)形状とした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、棒状連結具30(30A)の棒状部32(32A)を、略角柱形状(略角棒状)とし、これに対応させて、縦枠10の貫通孔13及び上枠20の連結穴23を角孔(穴)形状としてもよい、
また、棒状連結具30(30A)は、中実状とされたものに限られず、中空筒状のものとしてもよい。
【0037】
また、上記した例では、一方の縦枠10の上端部11に貫通孔13を設け、上枠20の一端部21に連結穴23及び係止孔25を設けた例を示しているが、更に他方の縦枠15を第1枠材として把握し、その上端部16に上記同様の貫通孔を設けるようにしてもよい。この場合は、更に、上枠20の他端部26に上記同様の連結穴及び係止孔を設け、更に必要な本数の上記同様の棒状連結具30(30A)を備えたものとしてもよい。
【0038】
さらに、上記した例では、縦枠10,15と上枠20とをいわゆる縦勝ちで連結した態様を例示しているが、いわゆる横勝ちで連結する態様としてもよい。この場合は、第1枠材を上枠、第2枠材を縦枠として把握するようにすればよい。
さらにまた、上記した例では、縦枠10,15と上枠20とを備えた開口枠1及びこれらを連結する開口枠連結構造を例示しているが、このような態様に限られない。上枠20に代えて、または加えて下枠(敷居)を横枠として備えた開口枠1及びこれら縦枠と横枠とを連結する開口枠連結構造としてもよい。
【0039】
また、上記した例では、開口枠1として、開き戸用の戸枠を例示しているが、折戸や引戸等の他の開閉建具の戸枠としてもよい。この場合は、必要に応じて、上枠にレール等を設けたり、縦枠に戸じゃくり溝等を設けたりしてもよい。また、この場合は、開閉建具の納め態様(戸袋納めや袖壁納め、アウトセット納め)や、スライド態様(片引き、引き違い、引き分け)、枚数等に応じて各枠材の形状を適宜、変形するようにすればよい。また、この場合は、更に方立材等の中間縦枠(中方立)を備えたものとしてもよい。この場合は、この中間縦枠を第1枠材または第2枠材として把握することも可能である。
さらに、図例では、開口枠1の各枠材10,15,20をいわゆる固定枠形状のものとした例を示しているが、ケーシング額縁を備えたいわゆるケーシング枠としてもよい。
さらにまた、開口枠1としては、開閉建具が建て付けられる戸枠に限られず、無目枠としてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 開口枠
10 縦枠(第1枠材)
11 上端部(長手方向の一端部)
12 内側面
13 貫通孔
20 上枠(第2枠材)
21 右端部(長手方向の一端部)
22 端面
23 連結穴
25 係止孔
28 外側面
30,30A 棒状連結具
32,32A 棒状部
33,33A 係止突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の一端部に、厚さ方向に貫通孔が設けられた第1枠材と、
長手方向の一端部に、該一端部の端面から長手方向に前記貫通孔に対応させた連結穴が設けられるとともに、外側面から厚さ方向に前記連結穴に連通する係止孔が設けられた第2枠材と、
前記貫通孔と前記連結穴とが連通するように前記第1枠材の内側面と前記第2枠材の一端部の端面とを当接させた状態で、前記貫通孔及び前記連結穴に挿入される棒状部を有するとともに、この棒状部の先端部外周に設けられ、前記係止孔に係止する係止突起を有した棒状連結具と、
を備えていることを特徴とする開口枠。
【請求項2】
請求項1において、
前記係止孔は、前記連結穴よりも小径状とされていることを特徴とする開口枠。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記棒状連結具の係止突起は、前記棒状部に出没自在に設けられるとともに、突出方向に付勢されていることを特徴とする開口枠。
【請求項4】
第1枠材の長手方向一端部と第2枠材の長手方向一端部とを連結する開口枠連結構造であって、
前記第1枠材の一端部に、厚さ方向に貫通孔を設け、
前記第2枠材の一端部に、該一端部の端面から長手方向に前記貫通孔に対応させた連結穴を設けるとともに、外側面から厚さ方向に前記連結穴に連通する係止孔を設け、
前記貫通孔と前記連結穴とが連通するように前記第1枠材の内側面と前記第2枠材の一端部の端面とを当接させ、棒状連結具の棒状部を前記貫通孔及び前記連結穴に挿入し、この棒状部の先端部外周に設けた係止突起を前記係止孔に係止させて前記第1枠材と前記第2枠材とを連結する構造とされていることを特徴とする開口枠連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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