説明

開放補助部材および巾着型収納袋

【課題】巾着型収納袋の開口部を容易に開放することができるとともに、開口部の閉鎖状態を維持することができる。
【解決手段】袋本体6の開口部5端縁に締め紐3が挿通される紐挿通部7が形成され、紐挿通部7に、紐挿通部7の内外に締め紐3を挿脱する1対の挿脱口8が形成された巾着型収納袋2に取り付けられるようになっており、1対の挿脱口8から出ている1対の締め紐3が挿通され、締め紐3の長手方向における保持位置を固定かつ移動可能に保持する束部材13と、束部材13に連結され、袋本体6における挿脱口8の近傍を挟持することにより保持する挟持部材15とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巾着型収納袋における開口部の開閉に好適な開放補助部材、およびこの開放補助部材を備えた巾着型収納袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、袋本体の開口部端縁または開口部近傍に形成された紐挿通部に締め紐を挿通し、この締め紐を締めることにより開口部を閉鎖して使用する巾着型収納袋が多用されている。
【0003】
前記巾着型収納袋における紐挿通部には、紐挿通部に締め紐を挿脱するための挿脱口が形成されており、巾着型収納袋の種類としては、一般に、紐挿通部の1箇所に形成された1対の挿脱口からのみ締め紐が出る片紐式巾着型収納袋と、紐挿通部の2箇所にそれぞれ1対の挿脱口が形成され、各挿脱口からそれぞれ締め紐が出る両紐式巾着型収納袋とが挙げられる。
【0004】
このような巾着型収納袋のうち、特に片紐式巾着型収納袋は、締め紐を締めることにより閉鎖した開口部が容易に開放してしまうことがあることから、開口部が容易に開放してしまうことを防止する観点より、例えば、挿脱口から出ている1対の締め紐に、円環部材やコードストッパ等の束部材が取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。例えば、前記コードストッパには、締め紐が挿通され、締め紐の長手方向における保持位置を固定かつ移動可能に保持するようになっている。このコードストッパが取り付けられた巾着型収納袋においては、締め紐を締めて開口部を閉鎖したときに、コードストッパを挿脱口に近接する位置に移動させて保持位置を固定することにより、開口部が容易に開放してしまうことを防止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3069411号公報(段落0003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述の束部材を備えた巾着型収納袋によれば、開口部を開放する際、まず束部材を挿脱口から離れた位置に移動させた後、開口部を開放しなければならず、開放動作に手間がかかってしまうという問題を有していた。
【0007】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、巾着型収納袋の開口部を容易に開放することができるとともに、開口部の閉鎖状態を維持することができる開放補助部材、およびこの開放補助部材を備えた巾着型収納袋を提供することを目的とする。
【0008】
また、巾着型収納袋の締め紐に容易に取付可能な開放補助部材、およびこの開放補助部材を備えた巾着型収納袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明に係る開放補助部材の特徴は、袋本体の開口部端縁または開口部近傍に、締め紐が挿通される紐挿通部が形成され、前記紐挿通部に、該紐挿通部の内外に締め紐を挿脱する少なくとも1対の挿脱口が形成された巾着型収納袋に取り付けられるようになっており、前記1対の挿脱口から出ている1対の前記締め紐が挿通され、前記締め紐の長手方向における保持位置を移動可能に保持する束部材と、前記束部材に連結され、前記袋本体における前記挿脱口の近傍を保持する保持部材とを有する点にある。
【0010】
本発明によれば、巾着型収納袋における開口部の閉鎖状態において、開放補助部材の束部材によって開口部の閉鎖状態を維持し、かつ閉鎖状態から開口部を開放するときには、束部材における締め紐の長手方向の保持位置を移動させるという動作のみによって、巾着型収納袋の開口部を開放することができる。
【0011】
また、本発明に係る開放補助部材において、前記束部材は、前記締め紐の保持位置を固定かつ移動可能に保持するようにするとよい。
【0012】
これにより、本発明に係る開放補助部材は、開口部の閉鎖状態をより確実に維持することが可能となる。
【0013】
さらに、本発明に係る開放補助部材において、前記保持部材は、前記袋本体における前記開口の近傍を挟持することにより保持する挟持部材からなるとよい。
【0014】
これにより、本発明に係る開放補助部材は、開放補助部材を容易に巾着型収納袋に取り付けることが可能となる。
【0015】
さらにまた、本発明に係る開放補助部材において、前記束部材は、周壁、前記周壁の内部に形成された空洞部、前記空洞部を介して締め紐を挿通するために前記周壁に形成された1対の挿通口を備えた本体部と、前記空洞部に配置される付勢部材と、前記周壁に形成された孔を介して前記本体部から突出するように前記空洞部に配置され、前記付勢部材によって前記本体部から突出する方向に付勢され、前記付勢部材の付勢力に反する方向に押圧された状態で前記挿通口に対応する位置に、前記締め紐が挿通される貫通孔が形成された固定解除部材とを有しており、前記周壁に、前記両挿通口および前記空洞部に通じる第1挿入部を形成し、前記固定解除部材における前記付勢部材の付勢力に反する方向に押圧された状態で前記第1挿入部に対応する位置に、前記第1挿入部を介して前記固定解除部材の外部から前記締め紐を前記貫通孔に挿入する第2挿入部を形成するとよい。
【0016】
これにより、本発明に係る開放補助部材は、固定解除部材を押圧した状態で本体部の第1挿入孔の位置と固定解除部材の第2挿入孔の位置とを一致させ、この状態で、1対の締め紐を第1挿入孔および第2挿入孔を介して固定解除部材の貫通孔に挿入することができる。これにより、例えば、締め紐に取り付けられた端部止め部材を締め紐から取り外す等の手間をかけることなく、容易に開放補助部材を巾着型収納袋に取り付けることができることとなる。
【0017】
また、本発明に係る開放補助部材において、前記束部材は、前記締め紐が挿通される貫通孔を備えた本体部を有し、前記本体部は、前記貫通孔に沿って開放可能に分割されており、開放された状態で前記貫通孔に締め紐が配置された後、前記分割された本体部が閉鎖した状態を保持する固定部材を有してもよい。
【0018】
これにより、本発明に係る開放補助部材は、締め紐に取り付けられた端部止め部材を締め紐から取り外す等の手間をかけることなく、容易に開放補助部材を巾着型収納袋に取り付けることができることができる。
【0019】
本発明に係る巾着型収納袋の特徴は、袋本体の開口部端縁または開口部近傍に、締め紐が挿通される紐挿通部が形成され、前記紐挿通部に、該紐挿通部の内外に前記締め紐を挿脱する少なくとも1対の挿脱口が形成された巾着型収納袋において、前記1対の挿脱口から出ている1対の前記締め紐が挿通され、前記締め紐の長手方向における保持位置を移動可能に保持する束部材と、前記束部材に連結され、前記袋本体における前記挿脱口の近傍を保持する保持部材とを備えた点にある。
【0020】
本発明によれば、巾着型収納袋における開口部の閉鎖状態において、開放補助部材の束部材によって開口部の閉鎖状態を維持し、かつ閉鎖状態から開口部を開放するときには、束部材における締め紐の長手方向の保持位置を移動させるという動作のみによって、巾着型収納袋の開口部を開放することができる。
【0021】
また、本発明に係る巾着型収納袋において、前記束部材は、前記締め紐の保持位置を固定かつ移動可能に保持するとよい。
【0022】
これにより、本発明に係る巾着型収納袋は、開口部の閉鎖状態をより確実に維持することが可能となる。
【0023】
さらに、本発明に係る巾着型収納袋において、前記保持部材は、前記袋本体における前記開口の近傍を挟持することにより保持する挟持部材からなるとよい。
【0024】
これにより、本発明に係る巾着型収納袋は、開放補助部材を容易に巾着型収納袋に取り付けることが可能となる。
【0025】
さらにまた、本発明に係る巾着型収納袋において、前記束部材は、周壁、前記周壁の内部に形成された空洞部、前記空洞部を介して締め紐を挿通するために前記周壁に形成された1対の挿通口を備えた本体部と、前記空洞部に配置される付勢部材と、前記周壁に形成された孔を介して前記本体部から突出するように前記空洞部に配置され、前記付勢部材によって前記本体部から突出する方向に付勢され、前記付勢部材の付勢力に反する方向に押圧された状態で前記挿通口に対応する位置に、前記締め紐が挿通される貫通孔が形成された固定解除部材とを有しており、前記周壁に、前記両挿通口および前記空洞部に通じる第1挿入部を形成し、前記固定解除部材における前記付勢部材の付勢力に反する方向に押圧された状態で前記第1挿入部に対応する位置に、前記第1挿入部を介して前記固定解除部材の外部から前記締め紐を前記貫通孔に挿入する第2挿入部を形成するとよい。
【0026】
これにより、本発明に係る巾着型収納袋は、固定解除部材を押圧した状態で本体部の第1挿入孔の位置と固定解除部材の第2挿入孔の位置とを一致させ、この状態で、1対の締め紐を第1挿入孔および第2挿入孔を介して固定解除部材の貫通孔に挿入することができる。これにより、例えば、締め紐に取り付けられた端部止め部材を締め紐から取り外す等の手間をかけることなく、容易に開放補助部材を巾着型収納袋に取り付けることができることとなる。
【0027】
また、本発明に係る巾着型収納袋において、前記束部材は、前記締め紐が挿通される貫通孔を備えた本体部を有し、前記本体部は、前記貫通孔に沿って開放可能に分割されており、開放された状態で前記貫通孔に締め紐が配置された後、前記分割された本体部が閉鎖した状態を保持する固定部材を有するとよい。
【0028】
これにより、本発明に係る巾着型収納袋は、締め紐に取り付けられた端部止め部材を締め紐から取り外す等の手間をかけることなく、容易に開放補助部材を巾着型収納袋に取り付けることができることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上述べたように、本発明に係る開放補助部材およびこの開放補助部材を備えた巾着型収納袋は、巾着型収納袋の開口部を容易に開放することができるとともに、開口部の閉鎖状態を維持することができる。
【0030】
また、本発明に係る開放補助部材およびこの開放補助部材を備えた巾着型収納袋によれば、容易に巾着型収納袋に取り付けることができることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る開放補助部材を備えた巾着型収納袋の一実施形態を示す正面図
【図2】(a)は図1に示す開放補助部材における付勢部材に付勢された状態の束部材の拡大側面図、(b)は(a)の拡大側面断面図
【図3】図1に示す開放補助部材における付勢部材の付勢力に反する方向に外力を加えられた状態の束部材の拡大側面断面図
【図4】(a)(b)は本発明に係る開放補助部材における束部材の他の構成を示す側面断面図
【図5】図1に示す巾着型収納袋における開口部の開放状態を示す正面図
【図6】本発明に係る開放補助部材を備えた巾着型収納袋の他の実施形態を示す正面図
【図7】(a)は、図6に示す開放補助部材における束部材の開放状態を示す拡大側面断面図、(b)は(a)の閉鎖状態を示す拡大側面断面図
【図8】図6に示す巾着型収納袋における開口部の開放状態を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る開放補助部材を備えた巾着型収納袋の実施形態を図1乃至図7を参照して説明する。
【0033】
まず、本発明に係る開放補助部材を備えた巾着型収納袋の第1の実施形態を図1乃至図4を参照して説明する。
【0034】
図1は、本実施形態に係る開放補助部材を備えた巾着型収納袋を示す正面図である。
【0035】
図1に示すように、本実施形態に係る開放補助部材1を備えた巾着型収納袋2は、上端縁に1つの開口部5を有する袋本体6を有しており、袋本体6における開口部5の端縁には、締め紐3が挿通される紐挿通部7が開口部5の端縁に対して平行にトンネル状に形成されている。紐挿通部7には、該紐挿通部7の内外に締め紐3を挿脱するための少なくとも1対の挿脱口8が隣位して形成されており、本実施形態においては、挿脱口8は、紐挿通部7の1箇所に1対の挿脱口8が隣位して形成されている。挿脱口8から紐挿通部7に挿通された締め紐3は、両端部が連結されて輪状とされており、両端部の連結部分には、端部止め部材9が取り付けられている。
【0036】
袋本体6における開口部5の端縁であって、開口部5を介して両挿脱口8に対向する対向位置には、取っ手10が設けられていることが好ましい。
【0037】
巾着型収納袋2に取り付けられる開放補助部材1は、1対の挿脱口8から出ている1対の締め紐3が挿通され締め紐3の長手方向における保持位置を固定かつ移動可能に保持する束部材13と、束部材13に連結され袋本体6における挿脱口8の近傍を保持する保持部材15とを有している。本実施形態においては、保持部材15として、袋本体6における挿脱口8の近傍を挟持することにより保持する挟持部材15を用いて説明する。
【0038】
図2(a)(b)および図3に示すように、束部材13は、周壁16aと、周壁16aの内部に形成された空洞部16bと、空洞部16bを介して締め紐3を挿通するために周壁16aに形成された1対の挿通口16cとを備えた本体部16を有している。周壁16aには、両挿通口16cおよび空洞部16bに通じ、締め紐3を本体部16の外部から空洞部16bに挿入可能な第1挿入部16dが形成されている。
【0039】
本体部16の空洞部16bには、付勢部材17としてのばね部材17が配置されているとともに、周壁16aに形成された孔16eを介して本体部16から突出するように固定解除部材18が配置されている。
【0040】
固定解除部材18は、ばね部材17の付勢力によって本体部16から突出する方向に付勢されており、固定解除部材18におけるばね部材17の付勢力に反する方向に押圧された状態で挿通口16cに対応する位置には、締め紐3が挿通される貫通孔18aが形成されている。また、固定解除部材18には、付勢部材17の付勢力に反する方向に完全に押圧された状態で第1挿入部16dに対応する位置に、第1挿入部16dを介して固定解除部材18の外部から締め紐3を貫通孔18aに挿入する第2挿入部18bが形成されている。さらに、図2(a)に示すように、固定解除部材18の外周面には、ばね部材17の付勢力によって本体部16から突出する方向に付勢されている状態で本体部16における挿通口16cの開口端縁に引っ掛かかり、固定解除部材18が本体の空洞部16bから抜け落ちてしまうことを防止する突起18cが形成されている。
【0041】
そして、束部材13は、図2(a)(b)に示すように、固定解除部材18が押圧されておらず、ばね部材17の付勢力によって本体部16から突出する方向に付勢された状態では、締め紐3を固定解除部材18における貫通孔18a内部の下端面と本体部16における両挿通口16c内部の上端面とによって挟持することにより、束部材13における締め紐3の保持位置は固定可能とされている。また、束部材13は、図3に示すように、固定解除部材18がばね部材17の付勢力に反して押圧された状態では、締め紐3に対する貫通孔18a内部の下端面と両挿通口16cの内部の上端面との挟持が解除されることにより、束部材13における締め紐3の保持位置を締め紐3の長手方向に移動可能とされている。
【0042】
また、束部材13は、固定解除部材18が完全に押圧された状態のときに本体部16の第1挿入孔16eの位置と固定解除部材18の第2挿入孔18bの位置とが一致するので、この状態で、1対の締め紐3を第1挿入孔16eおよび第2挿入孔18bを介して固定解除部材18の貫通孔18aに挿入することができるようになっている。これにより、締め紐3に取り付けられた端部止め部材9を締め紐3から取り外す等の手間をかけることなく、容易に開放補助部材1を巾着型収納袋2に取り付けることができることとなる。
【0043】
さらに、固定解除部材18がばね部材17によって付勢された状態では、固定解除部材18の第2挿入孔18bは、本体部16の空洞部16bの内部に配置されて第1挿入孔16dから露出されないので、締め紐3が貫通孔18aから抜け出してしまうことを防止することができる。
【0044】
また、本発明に係る開放補助部材1の束部材として、図4(a)(b)に示す構成の束部材26を用いてもよい。この束部材26について、前記束部材13と同一の構成については同一の符号を用いて説明し、詳説を省略する。
【0045】
束部材26の本体部16は、周壁16aが蝶番16fを介して開放可能に2分割して形成されており、周壁16aには、分割された本体部16の閉鎖した状態を保持する固定部材19が設けられている。固定部材19は、分割された本体部16のうち一方の本体部16Aにおける他方の本体部16Bに対向する分割面に突出形成された係止爪19aと、他方の本体部16Bにおける一方の本体部16Aに対向する分割面であって係止爪19aに対向する位置に形成され係止爪19aが係止される係止凹部19bとを有している。
【0046】
さらに、固定解除部材18の底面には、締め紐3を固定解除部18の貫通孔18aに挿入するための挿入部18dが底面を貫通して形成されている。
【0047】
そして、束部材26は、図4(a)に示すように、分割された本体部16を開放した状態で、固定解除部材18の挿入部18dから締め紐3を挿入して貫通孔18aに配置した後、係止爪19aを係止凹部19bに係止させて両本体部16A、16Bの閉鎖状態を保持することができるようになっている。これにより、締め紐3に取り付けられた端部止め部材9を締め紐3から取り外す等の手間を掛けることなく、容易に開放補助部材1を巾着型収納袋2に取り付けることができる。
【0048】
なお、本実施形態における束部材13は、締め紐3の保持位置を固定かつ移動可能に保持するようになっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、締め紐3の保持位置を移動可能に保持するものであればよい。また、本実施形態においては、保持部材15として、挟持部材15を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、袋本体6における挿脱口8の近傍を保持するものであればよい。保持部材15の他の一例としては、袋本体6における挿脱口8の近傍に例えば縫い付けられたり糊付けされて固定されることにより挿脱口8の近傍を保持する固定部材23や、袋本体6における挿脱口8の近傍に止め針を刺して挿脱口8の近傍を保持する安全ピン等が挙げられる。さらに、本実施形態においては、束部材13が有している付勢部材17として、ばね部材17を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、弾性部材等、固定解除部材18に対して付勢力を付与することが可能な種々の部材を用いることが可能である。
【0049】
続いて、本実施形態の作用について説明する。
【0050】
図1に示すような巾着型収納袋2における開口部5の閉鎖状態において、開放補助部材1の束部材13によって両挿通口16cの近傍において締め紐3の保持位置を固定して保持することにより、開口部5の閉鎖状態を維持するようになっている。
【0051】
また、この開口部5の閉鎖状態から開口部5を開放する際、開放補助部材1における束部材22の固定解除部材18をばね部材17の付勢力に反する方向に押圧する。この押圧状態で、取っ手10または袋本体6における開口部5の端縁であって開口部5を介して両挿脱口8に対向する対向位置を保持しながら、束部材22を前記対向位置から離間する方向に移動させることにより、束部材1322における締め紐3の長手方向の保持位置を移動させる。このとき、図5に示すように、束部材13に連結された挟持部材15が袋本体6における開口部5の近傍を挟持しているので、束部材13の移動にともなって、袋本体6における開口部5の近傍が挟持部材15とともに移動して開口部5が開放される。
【0052】
このように、本実施形態によれば、巾着型収納袋2における開口部5の閉鎖状態において、開放補助部材1の束部材13によって開口部5の閉鎖状態を維持し、かつ閉鎖状態から開口部5を開放するときには、束部材13における締め紐3の長手方向の保持位置を移動させるという動作のみによって、巾着型収納袋2の開口部5を開放することができる。
【0053】
したがって、本実施形態の開放補助部材1を備えた巾着型収納袋2は、巾着型収納袋2の開口部5を容易に開放することができるとともに、開口部5の閉鎖状態を維持することができる。
【0054】
また、開放補助部材1の束部材13として、締め紐3の長手方向における保持位置を固定かつ移動可能に保持可能な束部材13を用いることにより、開口部5の閉鎖状態をより確実に維持することが可能となる。
【0055】
さらに、開放補助部材1の保持部材15として、挟持部材15を用いることにより、開放補助部材1を容易に巾着型収納袋2に取り付けることが可能となる。
【0056】
さらにまた、開放補助部材1の束部材13において、本体部16に第1挿入孔16eを形成し、固定解除部材18に第2挿入孔18bを形成することにより、固定解除部材18を完全に押圧した状態で本体部16の第1挿入孔16eの位置と固定解除部材18の第2挿入孔18bの位置とを一致させ、この状態で、1対の締め紐3を第1挿入孔16eおよび第2挿入孔18bを介して固定解除部材18の貫通孔25aに挿入することができる。これにより、例えば、締め紐3に取り付けられた端部止め部材9を締め紐3から取り外す等の手間をかけることなく、容易に開放補助部材1を巾着型収納袋2に取り付けることができることとなる。
【0057】
次に、本発明に係る開放補助部材1を備えた巾着型収納袋2の第2の実施形態について図6乃至図8を用いて説明する。
【0058】
ここで、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を用いて説明し、詳説を省略する。
【0059】
図6は、第2の実施形態に係る開放補助部材1を備えた巾着型収納袋2を示す正面図である。
【0060】
図6に示すように、第2の実施形態に係る開放補助部材1を備えた巾着型収納袋2は、袋本体6における開口部5の近傍に、締め紐3が挿通される紐挿通部7が開口部5の端縁に対して平行にトンネル状に形成されている。紐挿通部7には、該紐挿通部7の内外に締め紐3を挿脱するための1対の挿脱口8が、開口部5における対向する2箇所にそれぞれ形成されている。2箇所に形成された各挿脱口8のうち一方の箇所に形成された1対の挿脱口8から紐挿通部7に挿通された締め紐3は、両端部が連結されて輪状とされ、また他方の箇所に形成された1対の挿脱口8から紐挿通部7に挿通された締め紐3も、両端部が連結されて輪状とされている。両端部の連結部には、それぞれ端部止め部材9が取り付けられている。
【0061】
巾着型収納袋2に取り付けられる開放補助部材1は、1対の挿脱口8から出ている1対の締め紐3が挿通され、締め紐3の長手方向における保持位置を移動可能に保持する束部材22と、束部材22に連結され、袋本体6における挿脱口8の近傍を保持する保持部材23とを有している。本実施形態においては、保持部材23として、袋本体6における挿脱口8の近傍に縫い付けや糊付け等によって固定することにより挿脱口8の近傍を保持する例えば布や樹脂等からなる固定部材23が用いられている。
【0062】
束部材22は、1対の締め紐3が挿通される貫通孔25aを備えた本体部1625を有し、貫通孔25aは、束部材22に対して該束部材22の移動方向に外力を付与すると束部材22が締め紐3の長手方向に移動可能な程度の大きさに形成されている。また、図7(a)に示すように、本体部25は、貫通孔25aに沿って開放可能に2分割して形成されており、分割された本体部25は一部が蝶番25bによって連結されている。さらに、本体部25は、開放された状態で貫通孔25aに締め紐3が配置された後、分割された本体部25の閉鎖した状態を保持する固定部材23を有する。本実施形態において、固定部材23は、分割された本体部25のうち一方の本体部25Aにおける他方の本体部25Bに対向する分割面に突出形成された第1係止爪25cと、他方の本体部25Bにおける一方の本体部25Aに対向する分割面に突出形成された第2係止爪25dとを有している。また、他方の本体部25Bにおける第1係止爪25cに対向する位置には、第1係止爪25cが嵌合する第1係止凹部25eが形成され、一方の本体部25Aの分割面における第2係止爪25dに対向する位置には、第2係止爪25dが嵌合する第2係止凹部25fが形成されている。
【0063】
そして、束部材22は、分割された本体部25を開放した状態で貫通孔25aに締め紐3を配置した後、図7(b)に示すように第1係止爪25cを第1係止凹部25eに嵌合させるとともに、第2係止爪25dを第2係止凹部25fに嵌合させることにより第1係止爪cと第2係止爪25dとを係止させて両本体部25A、25Bの閉鎖状態を保持することができるようになっている。これにより、締め紐3に取り付けられた端部止め部材9を締め紐3から取り外す等の手間をかけることなく、容易に開放補助部材1を巾着型収納袋2に取り付けることができることとなる。
【0064】
なお、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第2の実施形態のように、分割された本体部25の一部が連結されていなくてもよく、両本体部25A、25Bが完全に離間するように本体部が分割されていてもよい。また、例えば、固定部材23として、本体部16、25の両分割面を固着させる糊等の固着部材等、分割された本体部25の閉鎖した状態を保持する種々の固定部材を用いることが可能である。
【0065】
続いて、第2の実施形態の作用について説明する。
【0066】
図6に示すような巾着型収納袋2における開口部5の閉鎖状態において、開放補助部材1の束部材22を挿通口16cの近傍に配置し、束部材22によって締め紐3における当該位置を保持することにより、開口部5の閉鎖状態を維持するようになっている。
【0067】
また、この開口部5の閉鎖状態から開口部5を開放する際、開放補助部材1における束部材22に両束部材22が相互に離間する方向に外力を付与して締め紐3の長手方向の保持位置を移動させる。このとき、図8に示すように、束部材22に連結された固定部材23が袋本体6における開口部5の近傍に固定されているので、束部材22の移動にともなって、袋本体6における開口部5の近傍が固定部材23とともに移動して開口部5が開放される。
【0068】
このように、本実施形態によれば、巾着型収納袋2における開口部5の閉鎖状態において、開放補助部材1の束部材22によって開口部5の閉鎖状態を維持し、かつ閉鎖状態から海溝部を開放するときには、束部材22における締め紐3の長手方向の肘位置を移動させるという動作のみによって、巾着型収納袋2の開口部5を開放することができる。
【0069】
したがって、本実施形態の開放補助部材1を備えた巾着型収納袋2は、巾着型収納袋2の開口部5を容易に開放することができるとともに、開口部5の閉鎖状態を維持することができる。
【0070】
また、開放補助部材1は、束部材22における分割された本体部25A、25Bが開放された状態で貫通孔25aに締め紐3が配置された後、係止爪25cと係止凹部25dとが係止されることにより、両本体部25A、25Bの閉鎖状態を保持することができるようになっている。これにより、締め紐3に取り付けられた端部止め部材9を締め紐3から取り外す等の手間をかけることなく、容易に開放補助部材1を巾着型収納袋2に取り付けることができることができる。
【0071】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0072】
例えば、第1の実施形態における開放補助部材1の束部材13に、第2の実施形態における開放補助部材1の固定部材23を連結したり、第2の実施形態における開放補助部材1の束部材22に、第1の実施形態における開放補助部材1の挟持部材15を連結してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 開放補助部材
2 巾着型収納袋
3 締め紐
5 開口部
6 袋本体
7 紐挿通部
8 挿脱口
9 端部止め部材
10 取っ手
13 束部材
15 保持部材(挟持部材)
16 本体部
16a 周壁
16b 空洞部
16c 挿通口
16d 第1挿入部
16e 孔
17 付勢部材(ばね部材)
18 固定解除部材
18a 貫通孔
18b 第2挿入部
18c 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋本体の開口部端縁または開口部近傍に、締め紐が挿通される紐挿通部が形成され、前記紐挿通部に、該紐挿通部の内外に締め紐を挿脱する少なくとも1対の挿脱口が形成された巾着型収納袋に取り付けられるようになっており、
前記1対の挿脱口から出ている1対の前記締め紐が挿通され、前記締め紐の長手方向における保持位置を移動可能に保持する束部材と、
前記束部材に連結され、前記袋本体における前記挿脱口の近傍を保持する保持部材とを有することを特徴とする開放補助部材。
【請求項2】
前記束部材は、前記締め紐の保持位置を固定かつ移動可能に保持することを特徴とする請求項1に記載の開放補助部材。
【請求項3】
前記保持部材は、前記袋本体における前記開口の近傍を挟持することにより保持する挟持部材からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の開放補助部材。
【請求項4】
前記束部材は、
周壁、前記周壁の内部に形成された空洞部、前記空洞部を介して締め紐を挿通するために前記周壁に形成された1対の挿通口を備えた本体部と、
前記空洞部に配置される付勢部材と、
前記周壁に形成された孔を介して前記本体部から突出するように前記空洞部に配置され、前記付勢部材によって前記本体部から突出する方向に付勢され、前記付勢部材の付勢力に反する方向に押圧された状態で前記挿通口に対応する位置に、前記締め紐が挿通される貫通孔が形成された固定解除部材とを有しており、
前記周壁に、前記両挿通口および前記空洞部に通じる第1挿入部を形成し、
前記固定解除部材における前記付勢部材の付勢力に反する方向に押圧された状態で前記第1挿入部に対応する位置に、前記第1挿入部を介して前記固定解除部材の外部から前記締め紐を前記貫通孔に挿入する第2挿入部を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の開放補助部材。
【請求項5】
前記束部材は、前記締め紐が挿通される貫通孔を備えた本体部を有し、
前記本体部は、前記貫通孔に沿って開放可能に分割されており、開放された状態で前記貫通孔に締め紐が配置された後、前記分割された本体部が閉鎖した状態を保持する固定部材を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の開放補助部材。
【請求項6】
袋本体の開口部端縁または開口部近傍に、締め紐が挿通される紐挿通部が形成され、
前記紐挿通部に、該紐挿通部の内外に前記締め紐を挿脱する少なくとも1対の挿脱口が形成された巾着型収納袋において、
前記1対の挿脱口から出ている1対の前記締め紐が挿通され、前記締め紐の長手方向における保持位置を移動可能に保持する束部材と、
前記束部材に連結され、前記袋本体における前記挿脱口の近傍を保持する保持部材とを備えた開放補助部材を有することを特徴とする巾着型収納袋。
【請求項7】
前記束部材は、前記締め紐の保持位置を固定かつ移動可能に保持することを特徴とする請求項6に記載の巾着型収納袋。
【請求項8】
前記保持部材は、前記袋本体における前記開口の近傍を挟持することにより保持する挟持部材からなることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の巾着型収納袋。
【請求項9】
前記束部材は、
周壁、前記周壁の内部に形成された空洞部、前記空洞部を介して締め紐を挿通するために前記周壁に形成された1対の挿通口を備えた本体部と、
前記空洞部に配置される付勢部材と、
前記周壁に形成された孔を介して前記本体部から突出するように前記空洞部に配置され、前記付勢部材によって前記本体部から突出する方向に付勢され、前記付勢部材の付勢力に反する方向に押圧された状態で前記挿通口に対応する位置に、前記締め紐が挿通される貫通孔が形成された固定解除部材とを有しており、
前記周壁に、前記両挿通口および前記空洞部に通じる第1挿入部を形成し、
前記固定解除部材における前記付勢部材の付勢力に反する方向に押圧された状態で前記第1挿入部に対応する位置に、前記第1挿入部を介して前記固定解除部材の外部から前記締め紐を前記貫通孔に挿入する第2挿入部を形成することを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の巾着型収納袋。
【請求項10】
前記束部材は、前記締め紐が挿通される貫通孔を備えた本体部を有し、
前記本体部は、前記貫通孔に沿って開放可能に分割されており、開放された状態で前記貫通孔に締め紐が配置された後、前記分割された本体部が閉鎖した状態を保持する固定部材を有することを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の巾着型収納袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−217999(P2011−217999A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91301(P2010−91301)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(509302722)
【Fターム(参考)】