説明

開閉体装置用下部ガイドレール装置及び開閉体装置

【課題】開閉体の下端面より下方に延びる支軸を容易に受承し連結状態とすることができ、開閉体の下端が下部ガイドレールから離脱するのを防止できる下部スライダを備えた開閉体装置用下部ガイドレール装置を提供すること。
【解決手段】開閉体装置用下部ガイドレール装置20は、下部ガイドレール21と、下部ガイドレール21の直線状の凹溝部21aに離脱不能に係合し案内される複数の下部スライダ22と、を備え、開閉体30の下端を係合案内する。下部ガイドレール21は、凹溝部21aと張出部21b、21bを有し下部設置面Lに止着されるように構成され、下部スライダ22は、凹溝部21a内に離脱不能に収容され開閉体30の下端面30aより下方に延びる支軸40を受承する凹部22cを有し、一側に傾斜面22dを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折戸装置、間仕切用仕切戸装置及び引戸装置等の開閉体装置用下部ガイドレール装置及び開閉体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の折戸装置、間仕切用仕切戸装置及び引戸装置等の開閉体装置は、例えば、開口を開閉する折戸装置、間仕切用仕切戸装置及び引戸装置等の開閉体と、上部ガイドレール装置と、下部ガイドレール装置とを備えてなる。
上部ガイドレール装置は、上部設置面に設置される上部ガイドレールと、開閉体の上端に備えられ上部ガイドレールの凹溝部に係合して開閉体の上端をガイドする上部ガイド又は開閉体を吊り上げた状態にガイドする吊上げガイドとを備えてなる。
下部ガイドレール装置は、下部設置面に設置される下部ガイドレールと、開閉体の下端に備えられ下部ガイドレールの凹溝部に係合して開閉体の下端をガイドする下部ガイドとを備えてなる。
【0003】
特許文献1には、折引戸(=折引戸装置)が開示されている。この折引戸は、上部レールと、上部レール内を移動する上部スライダと、上部スライダにより上端を吊下支持されるパネルと、パネルの下端に設けられたシャフトと、下部レールと、下部レール内を離脱不能に移動する下部スライダとを備えてなる。シャフトは、パネルの下端に埋め込まれ固定される筒部に回転可能に収容され、かつ筒部に収容されたコイルばねにより下方へ付勢された状態に備えられている。さらに、シャフトと下部スライダとが下部レールより若干上位置で下部レールを平面視したときに交差する方向にピンで連結され、これにより、シャフトが、下部スライダに対して傾動可能である。これにより、ガイドローラがガイドロール体から脱輪することを回避している。
【0004】
特許文献2には、開閉体案内装置が開示されている。この装置は、下部設置面に設置されるガイドロール体と、開閉体(パネル)の下端に設けられたばねにより下方へ付勢するシャフトにガイドローラを被嵌した案内体とを備え、ガイドローラには、大径部の下側に小径部を備えおり、小径部をガイドロール体の突縁部間に収めて大径部をガイドロール体に載せ、かつガイドローラが浮くときに、小径部に設けた環状凹部がガイドロール体の突縁部に引っ掛かるようになっている。これにより、ガイドローラがガイドロール体から離脱することを回避している。
【0005】
【特許文献1】特開2005−155075号公報
【特許文献2】特許3699583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された折引戸によれば、シャフトと下部スライダとをピン連結する構成であり、比較的大きなシャフトと下部スライダが必要になり、かつ部品点数が多くなる。また、下部スライダの第一及び第二の係合部を、組立時は下部レールの係止溝に強制嵌入させかつ取外し時は強制離脱させる構成であるので、シャフトを長くしてパネルの下端と下部レールとの隙間を大きく確保する必要がある。このため、シャフトは、パネルの下端に埋め込まれ固定される筒部に回転可能に収容され、かつ筒部に収容されたコイルばねにより下方へ付勢された状態に備えられる構成のものに限定される。
【0007】
また、特許文献2に開示された開閉体案内装置によれば、パネルに大きな力が働いたときでも、ガイドローラの環状凹部がガイドロール体の突縁部に引っ掛かからずに離脱してしまうことは皆無である、とは断言できない。また、案内体はシャフトにガイドローラを被嵌した構成であるから、案内体をパネルの下端に取り付けて、搬送しあるいはパネルを床に直に立てると、ガイドローラが変形又は破損して円滑なガイド機能を保証できなくなる惧れがある。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、開閉体の下端を下部ガイドレールに案内され移動可能に係合させることが容易であり、開閉体の下端が下部ガイドレールから離脱するのを回避できる開閉体装置用下部ガイドレール装置を提供すること、及び上記開閉体装置用下部ガイドレール装置を使用し、開閉体の下端が下部ガイドレールから離脱するのを回避できる開閉体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の開閉体装置用下部ガイドレール装置は、開閉体により間仕切る位置に直線状に敷設される下部ガイドレールと、前記下部ガイドレールの上面に凹設された直線状の凹溝部に離脱不能に係合し案内され1つの開閉体に対応して複数の下部スライダと、を備え、前記下部スライダにより前記開閉体の下端面より下方に延びる支軸を支持し案内する開閉体装置用下部ガイドレール装置において、前記下部ガイドレールは、上面部側が開いている前記凹溝部と、該凹溝部の上端両側縁より一体に溝幅方向に張り出して該凹溝部の上端間口を狭めて前記下部スライダの両側部を離脱不能に係止する一対の張出部と、を有し、下部設置面Lに止着されるように構成され、前記下部スライダは、前記下部ガイドレールの長尺方向の端より前記凹溝部内に収容され前記一対の張出部に離脱不能に係合する一対の被係合部を有し、前記凹溝部の上端間口より前記下部ガイドレールの上面よりも高く突出する上面部に、前記支軸が嵌入しかつピボット回転可能であるように該支軸を受承する凹部を有し、さらに前記下部ガイドレールの長尺方向の一端が低く設定された傾斜面下端であり前記凹部の近傍の上端が傾斜面上端である緩やかな勾配で形成された傾斜面を有する、ことを特徴とする。
【0010】
前記下部スライダは、前記傾斜面の両側縁に前記下部ガイドレールの上面よりも高く立ち上がる一対のガイドリブを有し、かつ該一対のガイドリブ間の前記傾斜面の傾斜面下端が前記下部ガイドレールの凹溝部に近い幅広にかつ前記下部ガイドレールの上面よりも低く設定され、傾斜面上端が前記凹部に略対応する狭い幅に設定されていることが好ましい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の開閉体装置は、上部ガイドレールと下部ガイドレールとの間の開口面を開閉する開閉体と、前記開閉体の下端面より下方に延びる複数の支軸と、請求項1ないし3のいずれか1に記載の開閉体装置用下部ガイドレール装置とを備え、前記支軸が前記開閉体装置用下部ガイドレール装置の下部スライダの凹部に嵌合している、ことを特徴とする。
【0012】
上記構成の開閉体装置用下部ガイドレール装置及び上記構成の開閉体装置によれば、以下のように組み付けることができる。
開閉体を若干持ち上げて開閉体の下端面と下部ガイドレールの上面との間の隙間を僅かに浮かせ、下部スライダの傾斜面を支軸に向けて該下部スライダを支軸の下に押し込む。すると、傾斜面は、支軸に対して上り勾配の傾斜面であるので、楔作用を生起して支軸を該傾斜面に摺動して相対的に登らせることができ、登り切ると、支軸が凹部に対応し、開閉体が重力作用で下降すると、支軸が凹部に嵌合する。上述した、支軸と下部スライダとの嵌合は片側ずつ行うことができる。
【0013】
開閉体は、支軸と下部スライダとの連結を介して下部ガイドレールの凹溝部に係合し移動され得る。開閉体には、折戸、間仕切用仕切戸及び引戸等が含まれる。特に、開閉体が折戸である場合には、支軸と凹部との嵌合は、ゆるい嵌合として、支軸と下部ガイドレールとが相対回動可能とする。
【0014】
上記したように、下部スライダを移動側として、支軸を下部スライダの傾斜面に摺動させると、支軸と凹部に導いて嵌合させることが簡単になし得る。これに対して、下部スライダを固定側とし、開閉体を下部ガイドレールに沿って移動することにより、支軸を下部スライダの傾斜面の上り勾配を移動させ、支軸を凹部に嵌合させても良い。このほか、傾斜面があるのに、これを利用せず、支軸を凹部に直接嵌合させる場合でも本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の開閉体装置用下部ガイドレール装置によれば、開閉体の下端面より下方に延びる支軸を容易に受承し連結状態にすることができる下部スライダを下部ガイドレールに離脱不能・移動可能に備えたものであり、これにより、開閉体の下端を下部ガイドレールに案内され離脱不能に移動させることができる。
また本発明の開閉体装置によれば、上記開閉体装置用下部ガイドレール装置を採用しているので、開閉体の下端が下部ガイドレールから離脱するのを回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る開閉体装置用下部ガイドレール装置及び開閉体装置について添付図面を参照しつつ説明する。
【0017】
〔基本的構成〕
図1は、開閉体装置用下部ガイドレール装置20を示しており、図2は、開閉体装置用下部ガイドレール装置20の構成要素である下部スライダ22を示しており、図5、図6は、開閉体装置用下部ガイドレール装置20を採用した開閉体装置1A又は1Bを示している。
図1に示すように、開閉体装置用下部ガイドレール装置20は、下部ガイドレール21と、複数の下部スライダ22、22と、を備え、開閉体30の下端に備える複数の支軸40、40を係合案内する構成である。また、図3(a)に示すように、開閉体装置1A又は1Bは、上部ガイドレール10A又は10Bと下部ガイドレール21との間の開口面を開閉する開閉体30と、開閉体30の下端面30aより下方に延びる複数の支軸40と、開閉体装置用下部ガイドレール装置20と、を備え、支軸40が開閉体装置用下部ガイドレール装置20の下部スライダ22の凹部22cに嵌合している構成である。
【0018】
開閉体装置1A又は1Bを構成する開閉体30は、上部ガイドレールと下部ガイドレールとの間の開口面を開閉する開閉体である。この実施形態では引戸が示されているが、開閉体30には折戸あるいは間仕切用仕切戸等が含まれる。また、開閉体30には襖もガラスパネルも含まれ、材質等を問わないものである。開閉体30には、上部ガイドレールに離脱不能・移動可能に備えられる走行輪を有する上部スライダによって吊上げられる開閉体と、上部ガイドレールに離脱可能に係合案内され下部ガイドレールに載置され重量を負担させ移動される慳貪式の開閉体のいずれの場合も含まれる。
【0019】
下部ガイドレール21は、凹溝部21aと、一対の張出部21b、21bとを有し、下部設置面Lに止着される構成であれば足りる。凹溝部21aは、間口がガイドレール上面側のレール方向の一端から他端に渡り開いている。すなわち、レール上面側に浅い帯状の凹溝部21aが形成されている。張出部21bは、凹溝部21aの上端両側縁より一体に溝幅方向に張り出し、凹溝部21aの上端間口を狭め、下部スライダ22の両側部を離脱不能に係止する機能を有する。
【0020】
下部スライダ22は、図1に示すように、下部ガイドレール21の長尺方向の端より凹溝部21a内に移動可能に収容され、かつ図2に示すように、一対の被係合部22a、22aと凹部22cと傾斜面22dとを有していれば足りる。
一対の被係合部22a、22aは、下部ガイドレール21の一対の張出部21b、21bの内側に離脱不能に係合されていて、下部スライダ22を下部ガイドレール21の凹溝部21aに離脱不能に係合して移動自在とする機能を有する。
下部スライダ22は、凹溝部21aの上端間口に下部ガイドレール21の上面よりも高く突出する上面部22bを有し、この上面部22bに凹部22cが凹設されている。
凹部22cは、開閉体30の下端面30aより下方に延びる支軸40が嵌入しかつピボット回転可能であるように該支軸40を受承する機能を有する。
傾斜面22dは、下部ガイドレール21の長尺方向の一端の高さが小さくこの一端から凹部22cの上端に至る部分が緩やかな上りの傾斜面である。
【0021】
このように、この実施形態によれば、開閉体の下端面より下方に延びる支軸を容易に受承し連結できる下部スライダを下部ガイドレールに離脱不能・移動可能に備えたので、これにより、開閉体の下端を下部ガイドレールに案内され移動可能に係合させることが容易であり、開閉体の下端が下部ガイドレールから離脱するのを回避できる。
【0022】
以下の各実施形態において、更に詳述する。
〔第一の実施形態〕
図1、図2は、実施形態に係る開閉体装置用下部ガイドレール装置20を示す。
この開閉体装置用下部ガイドレール装置20の下部スライダ22は、傾斜面22dの両側縁に下部ガイドレール21の上面よりも高く立ち上がる一対のガイドリブ22eを有し、かつ該一対のガイドリブ22e間の傾斜面22dの傾斜面下端が下部ガイドレール21の凹溝部21aに近い幅広にかつ下部ガイドレール21の上面よりも低く設定され、傾斜面上端が凹部22cに略対応する狭い幅に設定されている。
【0023】
この構成によれば、支軸40を下部ガイドレール21の凹溝部21aから離脱できない高さとなるように僅かに浮かせた状態で、下部スライダ22の傾斜面22dを支軸40に向けて該下部スライダ22を支軸40の下に押し込むと、下部スライダ22を離脱不可能としている下部ガイドレール21の一対の張出部21b、21bの役割を、下部スライダ22の一対のガイドリブ22e、22eが引き継ぐことになるから、支軸40が下部スライダ22の傾斜面22dを摺動して登り下部ガイドレール21の凹溝部21aよりも上位置の高さになっても、該支軸40が傾斜面22dから離脱することなく一対のガイドリブ22e、22eに導かれ確実に凹部22cに嵌合される。
【0024】
支軸40には、二つのタイプがある。図1〜図4に示された支軸40は、開閉体30の下端面30aより下方に延びかつ開閉体30に対して移動不能・回転不能である支軸を採用した例を示している。
【0025】
また、複数の下部スライダ22、22の中、少なくとも開閉体30の固定側下端に備える支軸40に対応する下部スライダ22は、凹部22cに関して傾斜面22dとは反対側にかつ開閉体30の端面に対応する側に被ロック部22fを有し、下部ガイドレール21の凹溝部21aには、被ロック部22fを係合ロックし得るロック具50を備えている(図1(a)参照)。この構成によれば、ロック具50を下部ガイドレール21の凹溝部21aの自由位置へワンタッチで着脱自在に設けると、開閉体30を自由な開閉度合いに固定できる。なお、この実施形態では、被ロック部22fを有する下部スライダ22を固定側と反固定側とに区別することなく共通使用している(図1(a)参照)。
【0026】
下部ガイドレール21は、下部設置面Lに止着具23により固定される。下部ガイドレール21は、上面部側が開いている凹溝部21aと、該凹溝部21aの上端両側縁より一体に溝幅方向に張り出して該凹溝部21aの上端間口を狭めて下部スライダ22の両側部を離脱不能に係止する一対の張出部21b、21bとを有し、下部設置面Lに当接され下部スライダ22の移動を阻害しない位置に設ける皿ザグリ付き小孔21cにねじ、あるいは釘等の複数の止着具23により下部設置面Lに止着されるように構成されている(図1(b)参照)。開閉体30が折戸、折引戸であるときは、凹部22cは、支軸40の径に対して例えば0.2mmφ大きいものとして、凹部22cが支軸40を回転可能に受け入れることが望ましい。また、開閉体30が引戸であるときは、凹部22cは、支軸40をきつく嵌合するものであってよい。
【0027】
上記の基本的構成の開閉体装置用下部ガイドレール装置20によれば、開閉体30の下端に備える支軸40と、下部ガイドレール21の凹溝部21aに離脱不能・移動可能に備える下部スライダ22との連結を、図3又は図4の組付け工程図の(a)→(b)→(c)→(d)の工程順の組付操作により行うことができ、開閉体30の下端が下部ガイドレール21から離脱不可にすることができる機能を有する。図3と図4の相違点は、下部スライダ22の下部ガイドレール21の凹溝部21aに装着する向きの相違だけである。
【0028】
まず、下部ガイドレール21の凹溝部21aに複数の下部スライダ22を嵌合し、該下部ガイドレール21を開閉体30により間仕切る位置に敷設する。また、開閉体30の下端面30aに支軸40、40を止着具23により下部設置面Lに取り付ける(図1(b)参照)。
次に、上部ガイドレールの凹溝部に複数の上部スライダを嵌合させるが、ここでは、上部ガイドレールに複数の上部スライダを嵌合させることの説明については省略する。
次に、下部ガイドレール21の凹溝部21aに複数の下部スライダ22、22を嵌合させる。この場合、開閉体30の下端面30aより延びる複数の支軸40、40を下部ガイドレール21の凹溝部21a内に接地させる。これで、支軸40、40は、一対の被係合部22a、22aにより規制され、凹溝部21aから離脱不能になる(図3(a)、図4(a)参照)。
次に、凹溝部21aに嵌合している各下部スライダ22を、傾斜面22dの下り勾配となる方向を対応する支軸40に向けて隣接させる(図3(a)、図4(a)参照)。
【0029】
次いで、上記工程により支軸40、40の下端面が凹溝部21aに当接しているから、開閉体30の下端面30aと下部ガイドレール21の上面との間に隙間ができるので、この隙間に、開閉体30の側方からヤトイを差し入れ、ヤトイの下に支点となるブロックを当てて、ヤトイにてこの作用を生じさせることにより、開閉体30を凹溝部21aから離脱不可な高さ範囲で若干持ち上げ、支軸40の下端面を下部ガイドレール21の凹溝部21aから浮かせ、該浮かせたことで生じる隙間に、下部スライダ22、22を支軸40、40の下に押し込むように移動する(図3(b)、図4(b)参照)。すると、支軸40、40を傾斜面22dの上り勾配を相対的に摺動させ登らせて、各支軸40を下部スライダ22の凹部22cに正確に対応させ若干下降し、凹部22cに浅く嵌合したら、ヤトイを外して開閉体30の持ち上げを解消すると、各支軸40が下降し対応する凹部22cに深く嵌合する(図3(c)、図4(c)参照)。これで、支軸40と凹部22cとは、相対回動可能な嵌合状態になり、開閉体30の組付けが完了する。最後に、開閉体30を移動し、開閉体30の組付けが完了したら、一方の下部ガイドレール21をロック具50により離脱可能に係止して開閉体30を位置固定する。
【0030】
〔第2の実施形態〕
図5は、第1の実施形態に係る図1に示す開閉体装置用下部ガイドレール装置20を採用した開閉体装置1Aを示す。
開閉体装置1Aは、上部ガイドレール11Aと、開閉体装置用下部ガイドレール装置20と、上部ガイドレール11Aと下部ガイドレール21との間の開口面を開閉する単数(又は複数の開閉体30Aと、開閉体30Aの下端面30aより下方に延びる複数の支軸40Aとを備え、支軸40Aが、第1の実施形態において説明した組付手順で下部スライダ22の凹部22cに嵌合している。
【0031】
図5に示された下側の支軸40Aは、図1に示された支軸40と同一の構成であり、開閉体30の下端面30aより下方に延びかつ開閉体30に対して移動不能・回転不能である支軸を採用している。また図5に示された上側の支軸40Bは、開閉体30の下端面30aと下部ガイドレール21との隙間寸法の変動に対応して、開閉体30の下端面30aから垂下する長さを変動し得る支軸を採用している。
【0032】
この開閉体装置1Aは、開閉体30の組付けがけんどん式の構成であり、先に上側の支軸40B、40Bを上部ガイドレール11Aの凹溝部に嵌め込み、後から、下側の支軸40A、40Aを下部ガイドレール21の凹溝部内に収容された下部スライダ22、22の凹部22cに嵌め込む。
【0033】
〔第3の実施形態〕
図6は、他の実施形態に係り、図1に示す開閉体装置用下部ガイドレール装置20を採用した開閉体装置1Bを示す。
開閉体装置1Bは、下側に開口したC形チャンネル状をなす上部ガイドレール11Bを走行するように取り付けられ開閉体30Bを固定懸吊する吊車装置12、12と、上部ガイドレール11Bと下部ガイドレール21との間の開口面を開閉する単数(又は複数)の開閉体30Bと、開閉体30Bの下端面より垂下する複数の支軸40B、40Bと、前記下部ガイドレール21及び複数の下部スライダ22、22を含んでなる開閉体装置用下部ガイドレール装置20とを備えてなる。
吊車装置12は、例えば、上部ガイドレール内を走行する走行ローラを有するランナと、ランナより前記開口を通して垂下される吊軸に支持され開閉体30Bの上端部に該開閉体30Bが吊られた状態に支持されるためにコーナ部に形成された切欠き部に嵌入固定され該開閉体30Bを高さ調整可能に懸吊する吊具と、を備えてなる。吊車装置12は、例えば、特開平11−148269号公報に記載されている吊車装置を用いることができるので、詳細な構成の説明を省略する。
【0034】
この実施形態では、開閉体30Bの下端面30aより垂下した状態に備える支軸40B、40Bは、開閉体30の下端面30aと下部ガイドレール21との隙間寸法の変動に対応して、開閉体30の下端面30aから垂下する長さを変動し得る支軸が採用され、支軸40Bが、第1の実施形態において説明した組付手順で下部スライダ22の凹部22cに嵌合されている。
【0035】
この開閉体装置1Bは、先に上側の吊車装置12、12を上部ガイドレール11Bに装着し、後から、下側の支軸40B、40Bを下部ガイドレール21の凹溝部内に収容された下部スライダ22、22の凹部22cに嵌め込む。
【0036】
上述した第2、第3の実施形態に係る開閉体装置1A、1Bによれば、いずれも図1に示す第1の実施形態に係る開閉体装置用下部ガイドレール装置20を採用しているので、第1の実施形態が得られる効果を同様に得られる。
【0037】
〔その他の実施の形態〕
本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含まれるものである。
【0038】
開閉体30及び開閉体30の下端に備える複数の支軸40、40は、開閉体装置用下部ガイドレール装置20の発明では、開閉体30及び開閉体30の下端に備える複数の支軸40、40は構成要件ではない。図5に示す開閉体装置1A及び図6に示す開閉体装置1Bにおいて、構成要件となる支軸40には、開閉体30の下端面30aに移動不能に固定され垂下する支軸を用いる場合と、開閉体30に対して回転可能・出没方向に移動可能にして開閉体30の下端面30aより垂下する支軸を用いる場合の両方が含まれる。
凹部22cと支軸40とが、ピンを打ち込まれるか、或るいはロック爪などを備えている、ことにより解除可能な嵌合ロック状態になるように構成する場合も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施の形態に係る開閉体装置用下部ガイドレール装置であり、(a)は、一部断面して示す正面図であり、(b)は、(a)におけるI(b)−I(b)断面図である。
【図2】図1の開閉体装置用下部ガイドレール装置の要部構成部材に係り、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は(a)におけるII(e)−II(e)断面図である。
【図3】図1の開閉体装置用下部ガイドレール装置の組付け工程図である。
【図4】図1の開閉体装置用下部ガイドレール装置の他の組付け工程図である。
【図5】実施の形態に係る開閉体装置を示す正面図である。
【図6】他の実施の形態に係る開閉体装置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1A 開閉体装置
1B 開閉体装置
10A 上部ガイドレール装置
10B 上部ガイドレール装置
11A 上部ガイドレール
11B 上部ガイドレール
12 吊車装置
L 下部設置面
20 開閉体装置用下部ガイドレール装置
21 下部ガイドレール
21a 凹溝部
21b 張出部
22 下部スライダ
22a 被係合部
22b 上面部
22c 凹部
22d 傾斜面
23 止着具
30 開閉体
30A 開閉体
30B 開閉体
40 支軸
40A 支軸
40B 支軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体により間仕切る位置に直線状に敷設される下部ガイドレールと、前記下部ガイドレールの上面に凹設された直線状の凹溝部に離脱不能に係合し案内され1つの開閉体に対応して複数の下部スライダと、を備え、前記下部スライダにより前記開閉体の下端面より下方に延びる支軸を支持し案内する開閉体装置用下部ガイドレール装置において、
前記下部ガイドレールは、
上面部側が開いている前記凹溝部と、該凹溝部の上端両側縁より一体に溝幅方向に張り出して該凹溝部の上端間口を狭めて前記下部スライダの両側部を離脱不能に係止する一対の張出部と、を有し、下部設置面Lに止着されるように構成され、
前記下部スライダは、
前記下部ガイドレールの長尺方向の端より前記凹溝部内に収容され前記一対の張出部に離脱不能に係合する一対の被係合部を有し、前記凹溝部の上端間口より前記下部ガイドレールの上面よりも高く突出する上面部に、前記支軸が嵌入しかつピボット回転可能であるように該支軸を受承する凹部を有し、さらに前記下部ガイドレールの長尺方向の一端が低く設定された傾斜面下端であり前記凹部の近傍の上端が傾斜面上端である緩やかな勾配で形成された傾斜面を有する、
ことを特徴とする開閉体装置用下部ガイドレール装置。
【請求項2】
前記下部スライダは、前記傾斜面の両側縁に前記下部ガイドレールの上面よりも高く立ち上がる一対のガイドリブを有し、かつ該一対のガイドリブ間の前記傾斜面の傾斜面下端が前記下部ガイドレールの凹溝部に近い幅広にかつ前記下部ガイドレールの上面よりも低く設定され、傾斜面上端が前記凹部に略対応する狭い幅に設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の開閉体装置用下部ガイドレール装置。
【請求項3】
前記複数の下部スライダの中、少なくとも開閉体の固定側下端に備える前記支軸に対応する下部スライダは、前記凹部に関して前記傾斜面とは反対側にかつ開閉体の端面に対応する側に被ロック部を有し、
前記下部ガイドレールの凹溝部には、前記被ロック部を係合ロックし得るロック具を備えた、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の開閉体装置用下部ガイドレール装置。
【請求項4】
上部ガイドレールと下部ガイドレールとの間の開口面を開閉する開閉体と、前記開閉体の下端面より下方に延びる複数の支軸と、請求項1ないし3のいずれか1に記載の開閉体装置用下部ガイドレール装置と、を備え、前記支軸が前記開閉体装置用下部ガイドレール装置の下部スライダの凹部に嵌合している、
ことを特徴とする開閉体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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