説明

開閉体装置

【課題】エネルギーの消費を抑制しつつ、閉状態のときの蓄光物質を含む表示部の視認性を確保することができる開閉体装置を提供すること。
【解決手段】第一空間2と第二空間とを連通する構造物の開口部を開放あるいは閉塞し、開口部を開放する開状態において収納部20に収納される開閉体10と、開閉体に配置され、蓄光物質を含む表示部14と、第一空間に照射されている光、あるいは第二空間に照射されている光の少なくともいずれか一方によって発電する光発電装置31と、光発電装置から供給される電力によって発光し、収納部に収納された開閉体の表示部を照射する照明装置32と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防火戸等の開閉体に非常口表示等の表示部を設ける技術が知られている。例えば、特許文献1には、表示部の少なくとも一部を蓄光体を用いて形成し、開閉体が出入口部から出される際に蓄光体に光を照射するように構成した開閉体装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−133139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、従来の開閉体装置においては、構造物の開口部を開放した開閉体を収納部に収納するものがある。このような開閉体装置では、収納部に収納された状態の開閉体のうち外部に露出しない部分に蓄光物質を含む表示部が設けられている場合は、開口部を開放する開状態のときに光が表示部に当たらず蓄光が不十分となり、開口部を閉塞する閉状態のときの表示部の視認性が確保できない虞がある。そこで、開状態のときの表示部に光を照射するために光源を設けることも考えられるが、エネルギーが消費されることとなる。
【0005】
本発明の目的は、エネルギーの消費を抑制しつつ、閉状態のときの蓄光物質を含む表示部の視認性を確保することができる開閉体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の開閉体装置は、第一空間と第二空間とを連通する構造物の開口部を開放あるいは閉塞し、前記開口部を開放する開状態において収納部に収納される開閉体と、前記開閉体に配置され、蓄光物質を含む表示部と、前記第一空間に照射されている光、あるいは前記第二空間に照射されている光の少なくともいずれか一方によって発電する光発電装置と、前記光発電装置から供給される電力によって発光し、前記収納部に収納された前記開閉体の前記表示部を照射する照明装置と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記開閉体装置では、開状態において収納部に収納された開閉体の表示部を照明装置が照射して表示部を蓄光することで、閉状態のときの表示部の視認性を確保することができる。また、照明装置は、第一空間に照射されている光、あるいは第二空間に照射されている光の少なくともいずれか一方によって発電する光発電装置から供給される電力によって表示部を照射するものであるため、エネルギーの消費が抑制される。
【0008】
上記開閉体装置において、前記照射されている光は、前記構造物内の室内光であることが好ましい。
【0009】
上記開閉体装置では、室内光によって発電する光発電装置とすることで、夜間であっても表示部を照射することができる。
【0010】
上記開閉体装置において、前記開閉体は、前記開閉体の幅方向の端部が支持されて回動することにより前記開口部を開放あるいは閉塞する開き戸であって、前記表示部は、前記開状態において前記収納部の壁面と互いに対向する前記開閉体の面である第一面に配置され、前記照明装置は、前記開状態において前記第一面の前記表示部を照射することが好ましい。
【0011】
上記開閉体装置では、開状態において収納部に収納されたときに壁面と互いに対向する第一面の表示部を照射して蓄光することができ、閉状態のときの当該表示部の視認性を確保することができる。
【0012】
上記開閉体装置において、前記収納部は、前記開口部の周縁に配置され、前記開閉体は、前記開状態において、前記収納部内に巻き取られて収納されるものであり、前記表示部は、前記開状態において巻き取られた前記開閉体の外周側の面に配置され、前記照明装置は、前記開状態において前記外周側の面の前記表示部を照射することが好ましい。
【0013】
上記開閉体装置では、収納部内に巻き取られた開閉体の外周側の面の表示部を照射して蓄光することができ、閉状態のときの当該表示部の視認性を確保することができる。
【0014】
上記開閉体装置において、前記照明装置は、前記収納部に収納された前記開閉体の前記表示部と互いに対向する発光面を有することが好ましい。
【0015】
上記開閉体装置では、表示部と対向する発光面が光を照射することで、表示部の蓄光状態に偏りが生じることを抑制することができる。
【0016】
上記開閉体装置において、前記照明装置が発する光を前記表示部に向けて反射する反射部材を備えることが好ましい。
【0017】
上記開閉体装置では、照明装置の光を反射部材によって表示部に向けて反射することで、表示部の受光量を増加させることができ、閉状態のときの表示部の視認性を確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る開閉体装置は、エネルギーの消費を抑制しつつ、閉状態のときの蓄光物質を含む表示部の視認性を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、第1実施形態に係る開閉体装置の配置の一例を示す図である。
【図2】図2は、実施形態に係る開閉体装置の開状態における上下方向の要部断面を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態の第1変形例を示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態の第2変形例を示す図である。
【図5】図5は、第2実施形態に係る開閉体装置の概略構成を示す図である。
【図6】図6は、第2実施形態に係る開閉体装置の開閉方向の要部断面を示す図である。
【図7】図7は、第2実施形態の変形例を示す図である。
【図8】図8は、第2実施形態の変形例に係る開閉体装置の閉塞動作を示す図である。
【図9】図9は、従来の開閉体装置に表示部を設けた場合の問題点の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態に係る開閉体装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1および図2を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、開閉体装置に関する。図1は、第1実施形態に係る開閉体装置1−1の配置の一例を示す図、図2は、第1実施形態に係る開閉体装置1−1の開状態における上下方向の要部断面を示す図である。
【0022】
図1および図2に示すように、開閉体装置1−1は、開閉体10、収納部20および照明システム30を備える。開閉体10は、ビル、家屋、倉庫等の建築物を含む構造物Sに形成された開口部4を開放あるいは閉塞するものである。図1に示すように、構造物Sには、第一空間2と第二空間3とを連通する矩形の開口部4が形成されている。開口部4は、構造物S内の空間と構造物Sの外部の空間とを連通するものであっても、本実施形態のように構造物Sの内部の二つの室内空間2,3を連通するものであってもよい。通路5は、第一空間2と第二空間3とにわたって形成されるものであり、非常時には避難通路となる。
【0023】
図1には、第一空間2側から見た開閉体装置1−1が示されている。開閉体10は、平常時には開口部4を開放する開状態とされるものであり、自動あるいは手動で開口部4を随時閉塞することができる随時閉鎖式の防火戸である。開閉体装置1−1は、自動的に開閉体10によって開口部4を閉塞する自動閉塞機構を有しており、煙や熱を感知した場合にこの自動閉塞機構が作動して開口部4を閉塞することができる。
【0024】
開閉体10は、第一開閉体11および第二開閉体12を有する。第一開閉体11および第二開閉体12は、それぞれ矩形の開き戸であり、本実施形態では開閉体10は両開き戸となっている。
【0025】
収納部20は、開閉体10が開口部4を開放する開状態のときに開閉体10が収納されるものである。収納部20は、第一収納部21および第二収納部22を有する。第一収納部21および第二収納部22は、それぞれ構造物Sの壁部に形成された矩形の窪みである。なお、収納部20は、壁部に窪みとして形成されるものには限定されない。例えば、収納部20は、壁面に固定されるドア枠の窪み部分等であってもよい。第一収納部21は、通路5を挟んだ幅方向の一方側の壁部6Aに形成されており、第二収納部22は、通路5を挟んだ幅方向の他方側の壁部6Bに形成されている。
【0026】
第一収納部21は、第二空間3側の端部において開口部4と接続されている。第一開閉体11の幅方向の端部は、第一収納部21と開口部4との接続部において上下方向に延在する回転軸によって軸支されている。これにより、第一開閉体11は、第一収納部21に収納される回転位置から開口部4を閉塞する回転位置まで軸支されつつ自在に回動することができる。第一開閉体11の開閉方向は、図1に示すように、第一収納部21と開口部4との接続部において軸支されて回動する回転方向である。第一開閉体11は、この開閉方向に移動することによって、開口部4を開放あるいは閉塞することができる。図1には、開口部4を閉塞する閉状態の第一開閉体11が示されている。
【0027】
第二収納部22は、第二空間3側の端部において開口部4と接続されている。第二開閉体12の幅方向の端部は、第二収納部22と開口部4との接続部において上下方向に延在する回転軸によって軸支されており、第二収納部22に収納される回転位置から開口部4を閉塞する回転位置まで軸支されつつ自在に回動することができる。第二開閉体12の開閉方向は、図1に示すように、第二収納部22と開口部4との接続部において軸支されて回動する回転方向である。第二開閉体12は、この開閉方向に移動することによって、開口部4を開放あるいは閉塞することができる。図1には、第二収納部22に収納されて開口部4を開放する開状態の第二開閉体12が示されている。
【0028】
本明細書では、開閉体10の開閉方向において開口部4を閉塞する側に向けて回動する移動方向を閉側の移動方向と記載し、収納部20に収納される側に向けて回動する移動方向を開側の移動方向と記載する。
【0029】
以下、第一開閉体11および第一収納部21を例に開閉体10、収納部20および照明システム30について詳細を説明する。なお、第二開閉体12および第二収納部22の構成は、第一開閉体11および第一収納部21の構成と同様とすることができる。
【0030】
図1に示すように、第一収納部21は、所定壁面23を有する。所定壁面23は、第一空間2を形成している。第一面11Aは、第一開閉体11が開口部4を閉塞している閉状態で第一開閉体11における第一空間2側に位置して第一空間2を形成する面である。第二面11B(図2参照)は、第一開閉体11における第一面11Aと反対側の面である。第二面11Bは、第一開閉体11の閉状態において第二空間3を形成する面である。
【0031】
図2に示すように、第一面11Aは、開状態において第一開閉体11が第一収納部21に収納されると所定壁面23と互いに対向する。図2には、開状態における第一開閉体11および第一収納部21の一断面が示されている。
【0032】
収納部20は、ドア枠25を有する。ドア枠25は、収納部20に収納される開閉体10の周囲を囲む。ドア枠25は、断面C字形状の中空の部材であり、外周側、すなわち収納された開閉体10に対向する側と反対側が開口している。ドア枠25は、第一空間2を形成する板部、所定壁面23と対向する板部を有する。また、ドア枠25の内周面27は、開閉体10の外周面15と所定の距離を空けて互いに対向している。開閉体10の厚み方向である開閉方向におけるドア枠25の幅は、開状態においてドア枠25の内周面27によって囲まれた空間に開閉体10を収納できる大きさとされている。
【0033】
このように、開閉体10は、開状態において、外周面15がドア枠25の内周面27と互いに対向し、かつ第一面11Aが所定壁面23と互いに対向するように収納部20に収納される。言い換えると、開状態の開閉体10は、ドア枠25の内周面27と所定壁面23とで形成される凹部に挿入した状態とされる。
【0034】
図1に戻り、所定壁面23に配置されたレリーズ24、および第一開閉体11の第一面11Aに配置されたフック13は、自動閉塞機構としての機能を有する。平常時にはレリーズ24の保持装置によってフック13が保持される。ここで、第一開閉体11は、自重によって開閉方向の閉側に移動する自閉力が作用するように支持されている。
【0035】
第一開閉体11は、例えば、傾斜した支持軸で軸支されることで自閉力を発生させている。第一開閉体11の支持軸は、上端が下端よりも第二収納部22側に位置する傾斜を有している。これにより、第一開閉体11に作用する重力は、第一開閉体11を開閉方向の閉側に回動させる自閉力として作用する。従って、第一開閉体11は、フック13が解放されると、自動的に開閉方向の閉側に回動して開口部4を閉塞することができる。
【0036】
開閉体装置1−1は、センサが煙や熱を感知すると、通常時は通電により電気的にフック13を拘束しているレリーズ24の保持装置に対する通電を停止してフック13を解放することで、または、通常時は通電されずにフック13を機械的に拘束しているレリーズ24の保持装置に対し通電することにより拘束を解除してフック13を解放することで、自動的に開口部4を閉塞する。第二開閉体12の動作も同様である。第一開閉体11および第二開閉体12がそれぞれ開口部4を閉塞することで、開口部4の全面が閉塞され、開口部4が閉鎖される。レリーズ24の保持装置を手動により解除して第一開閉体11および第二開閉体12を閉状態とすることも可能である。
【0037】
第一開閉体11の第一面11Aは、蓄光物質を含む蓄光式の表示部14を有する。表示部14は、蓄光材を含有した塗料を第一開閉体11に塗布することで設けてもよいし、蓄光材を含有したフィルムを第一開閉体11に接着するようにしてもよい。蓄光材は、外部から光を蓄え発光する周知の物質であり、例えば硫化亜鉛(ZnS系)やアルミン酸ストロンチウム(SrAl2O4系)等によって構成される。蓄光材は、本実施形態の好ましい一例について詳細に説明すれば、アルカリ土類アルミン酸塩を母体結晶とし、ユウロピウム(Eu)を賦活剤として、デスプロシウム(Dy)又はネジウム(Nd)を賦活助剤とした酸化物系蓄光材と、CaS:Bi(紫青色発光)、CaSrS:Bi(青色発光)、ZnS:Cu(緑色発光)、ZnCdS:Cu(黄色〜橙色発光)等の硫化物蛍光体からなる硫化物系蓄光材とを粉末化(一般的には20μm〜50μm)し、適宜に混合したものである。
【0038】
表示部14は、開閉体10における視認しやすい位置に配置されることが好ましい。表示部14は、例えば、開閉体10の上部に配置することができる。一例として、表示部14が開閉体10の最上部に配置されてもよい。また、表示部14は、開閉体10の戸先側に配置されてもよい。言い換えると、表示部14は、閉状態において開口部4の幅方向の中央寄りとなる位置に配置されることができる。なお、表示部14は、開閉体10の第一面11Aだけでなく第二面11Bに配置されてもよい。
【0039】
表示部14は、開閉体10の使用目的等を示す文字(例えば「非常口」や「避難口」、「EXIT」等)や図柄、開閉体10の開放方法を示す文字(例えば「引く」や「PULL」等)や図柄とされる。表示部14は、予め蓄えた光によって発光することができるため、非常時に停電等によって室内照明が消灯したような場合であっても、避難者等によって視認可能である。すなわち、蓄光式の表示部14は、電力の供給を必要とせずに発光することができ、照明が無くても視認可能であるため、非常時の表示手段として優れている。
【0040】
ここで、開閉体10の開状態では、表示部14に十分に光を蓄光することが困難であり、図9は、従来の開閉体装置100に表示部14を設けた場合に蓄光することが困難であることを示す説明図である。開状態において第一空間2を形成する第二面110Bには光が当たるものの、裏面側である第一面110Aには光が届きにくい。従来の開閉体装置100では、ドア枠125の下面と開閉体110の上面との間隔G1が小さいなど、ドア枠125と開閉体110の外周面との間隔が狭いことから、第一空間2の光が隙間126まで届きにくい。また、第一空間2の光が隙間126に届いたとしても、その光は所定壁面123に当たるだけで第一面110Aには当たりにくい。このため、第一面110Aに表示部14を設けたとしても、表示部14に光を蓄光することが困難である。
【0041】
本実施形態の開閉体装置1−1は、表示部14に光を照射する照明システム30を備える。これにより、開状態において表示部14の蓄光を促進することができ、閉状態とされたときの表示部14の視認性を確保することができる。
【0042】
照明システム30は、光発電装置31、照明装置32および電源ケーブル33を有する。光発電装置31は、光エネルギーを電力に変換して出力するものである。光発電装置31は、受光部31Aを有する。照明装置32は、受光部31Aに当たった光を太陽電池等によって電力に変換する。光発電装置31は、開閉体10よりも上方のドア枠25に配置されている。光発電装置31は、ドア枠25における第一空間2側に配置されており、光発電装置31の受光部31Aが第一空間2を形成している。
【0043】
つまり、光発電装置31は、第一空間2に照射されている光、本実施形態では第一空間2の室内光を受光してその光によって発電するものである。なお、窓等を介して構造物Sの外部の光が受光部31Aに当たる場合があってもよい。光発電装置31が室内光によって発電することから、夜間であっても照明装置32によって表示部14を照射することができる。なお、光発電装置31は、第一空間2に照射されている光によって発電するものには限定されない。光発電装置31は、第一空間2に照射されている光、あるいは第二空間3に照射されている光の少なくともいずれか一方によって発電するものであればよい。
【0044】
照明装置32は、光発電装置31から供給される電力によって発光して収納部20に収納された開閉体10の表示部を照射するものである。照明装置32は、電源ケーブル33を介して光発電装置31と接続されており、光発電装置31から電力の供給を受ける。照明装置32は、開閉体10よりも上方のドア枠25の内部に配置されている。照明装置32は、LED等の光源32Aおよびリフレクタ32Bを有する。光源32Aは、光発電装置31から供給される電力を消費して発光する。リフレクタ32Bは、光源32Aが発する光を反射するものである。光源32Aは、リフレクタ32B内に配置されている。リフレクタ32Bは、中空の半球形状をなしており、内面である凹面が、開状態における開閉体10の外周面15と対向する。
【0045】
光源32Aが発する光、および光源32Aが発してリフレクタ32Bによって反射された光は、ドア枠25に形成された貫通孔25Aを介して開閉体10および所定壁面23に向けて照射される。貫通孔25Aは、ドア枠25における開状態の開閉体10の外周面15と対向する板部、すなわちドア枠25における内周面27を形成する板部に形成されている。本実施形態では、開閉体10の上方に照明装置32が配置されていることから、ドア枠25における開状態の開閉体10の上面と対向する板部に貫通孔25Aが形成されている。
【0046】
光源32Aによって収納部20内が照らされることで、表示部14の蓄光が促進される。光源32Aが照射する光の一部は、開閉体10の第一面11Aと所定壁面23との隙間26に入り、表示部14に届く。例えば、光源32Aが照射する光は、直接光としてあるいは所定壁面23によって反射された反射光として表示部14を照射する。これにより、照明システム30が設けられない場合よりも表示部14の受光量が増加することで、開閉体10が開口部4を閉塞して第一面11Aが第一空間2を形成する状態となったときの表示部14の視認性を確保することができる。また、光源32Aは、光発電装置31が第一空間2に照射されている光によって発電した電力によって発光するものである。このため、商用電源等から電力の供給を受ける場合とは異なり、光源32Aは実質的にエネルギーを消費することなく表示部14を照射することができる。つまり、本実施形態によれば、表示部14を照射するためのエネルギー消費に関するランニングコストを抑制しつつ閉状態における表示部14の視認性を確保することができる。
【0047】
照明システム30は、光源32Aに供給する電力として、以下の少なくともいずれか1つの電源の電力を補助的に用いてもよい。
(1)野外や室外等に設置された発電装置。
(2)商用電源。
(3)電池。
(4)その他の公知の電源。
なお、エネルギー消費抑制のためには、これらの補助電源から供給する電力量は、光発電装置31から供給する電力量よりも少ないことが好ましい。
【0048】
本実施形態の開閉体装置1−1は、更に、照明装置32が発する光を表示部14に向けて反射する反射部材40を備えている。反射部材40は、光を反射する部材であり、所定壁面23に配置されている。反射部材40は、例えば、板状あるいは膜状の部材であり、所定壁面23および表示部14と平行に配置されている。反射部材40は、表示部14と互いに対向する位置に配置されている。反射部材40は、照明装置32が照射して反射部材40で反射された反射光が表示部14の少なくとも一部に当たるように配置されることが望ましく、反射部材40で反射された反射光が表示部14の全面に当たるように配置されることが好ましい。
【0049】
照明装置32の光が反射部材40によって表示部14に向けて反射されることで、開状態における表示部14の受光量が増加する。これにより、閉状態となったときの表示部14の視認性が向上する。反射部材40は、隙間26における光が届きにくい奥部まで照明装置32の光を届かせることができる。例えば、ドア枠25における上部に照明装置32が配置されている場合、反射部材40は、反射部材40が設けられない場合よりも下方まで照明装置32の光を届かせることができる。これにより、高さ方向の位置によって表示部14の受光量にばらつきが出ることを抑制することができる。その結果、表示部14の視認性を高めることができる。
【0050】
また、本実施形態では、開閉体11の第一面11Aと所定壁面23との隙間26が拡大されることで表示部14の蓄光が促進される。図2に示すように、第一面11Aと所定壁面23との間隔G2が拡大されており、第一面11Aと反射部材40との間に大きな隙間26が確保されている。これにより、照明装置32の光が隙間26に入りやすくなり、表示部14の受光量を増加させることが可能となる。第一面11Aと所定壁面23との間隔G2は、例えば、開閉体10の厚さtよりも大きくされる。
【0051】
なお、照明装置32の配置に応じて、隙間26における一部の領域の間隔G2を隙間26における他の部分の間隔G2よりも拡大するようにしてもよい。例えば、本実施形態のように開閉体10の上方に照明装置32が配置される場合、隙間26における上部の間隔G2を隙間26における下部の間隔G2よりも拡大するようにしてもよい。一例として、隙間26において表示部14が配置されている領域を含む上部領域の間隔G2を隙間26における表示部14よりも下方の領域の間隔G2よりも拡大するようにしてもよい。なお、間隔G2を拡大する方法としては、例えば、壁部6Aや壁部6Bを奥側に後退させるように形成すればよい。
【0052】
本実施形態では、開閉体10の上方に照明装置32が配置されたが、これには限定されない。照明装置32は、開閉体10の側方に配置されてもよい。例えば、照明装置32は、開閉体の戸先側や吊り元側に配置されてもよい。また、照明装置32は、開閉体10の下方に配置されてもよい。照明装置32の位置は、表示部14に適切に受光させることができるように、例えば、開閉体10における表示部14の配置に応じて定められる。また、配置される照明装置32の数は、一つには限らず、複数の照明装置32が設けられてもよい。複数の照明装置32を配置する場合、開閉体10の一辺に複数の照明装置32を配置することや、開閉体10の複数の辺に照明装置32を配置することが可能である。例えば、開閉体10の上方と戸先側のそれぞれに照明装置32が配置されてもよい。
【0053】
また、照明装置32は、ドア枠25に配置されることには限定されない。照明装置32は、開閉体10や反射部材40に対して光を照射することができるように収納部20内に適宜配置されればよい。
【0054】
本実施形態の開閉体10は、両開きの開き戸であったが、これに限定されるものではない。開閉体10は、片開きの開き戸であってもよい。また、開閉体10は、収納部としての戸袋に収納されるスライド式の引き戸であってもよい。
【0055】
なお、開閉体10は、防火戸としての機能を有するものには限定されない。本実施形態は、開口部4を開放あるいは閉塞する開閉体であって、通常は収納部に収納され、随時開口部4を閉塞する防火戸以外のものに対しても広く適用可能である。
【0056】
〔第1実施形態の第1変形例〕
第1実施形態の第1変形例について説明する。本変形例では、所定壁面23に照明装置34が配置される点が上記第1実施形態と異なる。図3は、本変形例に係る開閉体装置の開状態における上下方向の要部断面を示す図である。
【0057】
図3に示すように、本変形例の照明装置34は、所定壁面23に設けられている。照明装置34のリフレクタ34Bは、所定壁面23に形成された凹部に配置されている。光源34Aは、リフレクタ34Bの内部に配置されている。照明装置34は、開閉体10の開状態において表示部14と互いに対向する位置に配置されている。光発電装置31は、上記第1実施形態と同様にドア枠25に配置されている。本変形例では、反射装置40は設けられていない。
【0058】
照明装置34が発する光は、開閉体10の開状態において表示部14に照射される。本変形例によれば、照明装置34が発する光の多くを表示部14に受光させることができる。よって、本変形例によれば、開閉体10が開口部4を閉塞する閉状態における表示部14の視認性を向上させることができる。
【0059】
なお、照明装置34の配置は、所定壁面23に埋め込む方法には限定されない。照明装置34は、表示部14に対して直接光を照射できるように配置されていればよい。
【0060】
〔第1実施形態の第2変形例〕
第1実施形態の第2変形例について説明する。本変形例は、照明装置が表示部14と互いに対向する発光面を有する点が上記第1実施形態と異なる。図4は、本変形例に係る開閉体装置の開状態における上下方向の要部断面を示す図である。
【0061】
図4に示すように、本変形例の照明装置35は、面状照明装置であり、発光面35Aの全面から光を照射することができる。照明装置35は、例えば、有機EL素子等による面状光源を備えるものであってもよく、LED等の光源の光を発光面35Aから出射するものであってもよい。光発電装置31は、上記第1実施形態と同様にドア枠25に配置されている。本変形例では、上記第1実施形態の第1変形例と同様に反射装置40は設けられていない。
【0062】
照明装置35は、開閉体10の開状態で発光面35Aが表示部14と互いに対向するように配置されている。照明装置35の発光面35Aの形状および面積は、表示部14に対して偏り無く光を照射できるものであることが好ましい。発光面35Aの形状および面積は、例えば、表示部14の形状および面積に応じて定めることができる。例えば、発光面35Aの形状は、表示部14と同形状とすることができる。また、発光面35Aの面積は、表示部14と同面積とされてもよい。本変形例によれば、面状照明装置の光を直接表示部14に照射することで、表示部14の蓄光状態に偏りが生じることを抑制しやすくなる。よって、本変形例によれば、表示部14の視認性を向上させることができる。
【0063】
面状照明装置は、第一面11Aと所定壁面23との間隔G2が大きくなくても配置可能なものであり、かつ表示部14に対して均一に光を当てることが可能である。よって、本変形例の照明システム30は、表示部14と共に既存の防火戸に対して適用する場合にも好適である。
【0064】
〔第2実施形態〕
図5および図6を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。本実施形態の開閉体装置1−2は、開閉体としてシャッターカーテンを備える点が上記第1実施形態と異なる。図5は、本実施形態に係る開閉体装置1−2の概略構成を示す図、図6は、本実施形態に係る開閉体装置1−2の開閉方向の要部断面を示す図である。図6には、図5のI−I断面が示されている。
【0065】
図5に示すように、開閉体装置1−2は、シャッターカーテン50を備える。シャッターカーテン50は、開閉体であり、開閉方向に移動することにより開口部60を開放あるいは閉塞するものである。図6に示すように、開口部60は、構造物Sに形成された開口部であり、第一空間61と第二空間62とを連通している。図5に示すように、開口部60は、開閉方向である高さ方向において、床63から天井部材64まで形成されている。また、開口部60は、幅方向において、一方の壁部65から他方の壁部66まで形成されている。
【0066】
本実施形態では、開方向が上方向、閉方向が下方向である。シャッターカーテン50は、複数のスラット51を開閉方向に連接して形成されたスラット連接体である。各スラット51は、開閉方向の両端部にそれぞれ連接部を有している。隣接するスラット51,51の一方のスラット51と他方のスラット51とは、連接部によって互いに連結されている。連接部は、例えば、断面渦状の形状を有するものであり、連接部の軸線を回転中心として隣接するスラット51,51が相対回転することを許容する。
【0067】
シャッターカーテン50における閉方向の端部には、座板52が配置されている。座板52は、シャッターカーテン50における最も閉方向側に配置されたスラット51と連結されている。
【0068】
開閉体装置1−2は、開口部60を開放あるいは閉塞する開閉体として、シャッターカーテン50に加えて袖扉70を備える。袖扉70は、開口部60における幅方向の一端側である壁部65側に配置されている。袖扉70は、壁部65に設けられた回転軸によって支持されて図5に示す回動方向に回動することができる。袖扉70は、回動方向に回動することによって開口部60を開放あるいは閉塞することができる。袖扉70は、開口部60を開放する開状態において、収納部に収納される。袖扉70の収納部は、例えば、第二空間62側に形成される。
【0069】
袖扉70には、くぐり戸71が設けられている。くぐり戸71は、袖扉70の下部に形成された開口部を開放あるいは閉塞する開き戸である。くぐり戸71は、袖扉70の回動方向と共通の回動方向に回動することができる。くぐり戸71は、蓄光物質を含む表示部72を有する。表示部72は、くぐり戸71において閉状態で第一空間61を形成する面および第二空間62を形成する面にそれぞれ設けられている。
【0070】
開口部60には、一対のガイドレール53A,53Bが設けられている。一方のガイドレール53Aは、袖扉70を挟んで幅方向において壁部65と対向する位置に配置され、他方のガイドレール53Bは、壁部66に形成された凹部に配置されている。シャッターカーテン50は、幅方向の両端部をそれぞれガイドレール53の開口部によって案内されて開閉方向に移動することができる。
【0071】
図6に示すように、開閉体装置1−2は、収納部80を有する。シャッターカーテン50は、開口部60を開放する開状態において収納部80内に巻き取られて収納される。収納部80は、開口部60の周縁に配置されるものである。本実施形態では、収納部80が開口部60の上部の周縁部、すなわち開口部60における開方向の周縁部に配置されている。具体的には、収納部80は、天井部材64の上方に配置されている。
【0072】
収納部80は、収納部本体としてのケース81と、巻取り軸82とを有する。ケース81は、壁部材67の壁面67Aと共に収納空間83を形成している。壁面67Aは、開閉方向に移動するシャッターカーテン50と平行な壁面であって、天井部材64から開方向に向けて延在している。ケース81は、巻取り軸82を挟んで壁面67Aと対向する板部81Aと、板部81Aから壁面67Aに向けて延在する板部81B,81Cを有する。板部81B,81Cは、巻取り軸82を挟んで開閉方向において互いに対向している。つまり、収納空間83は、開口部60を閉塞するシャッターカーテン50の厚さ方向において、板部81Aと壁面67Aとに挟まれており、開閉方向において板部81Bと板部81Cとに挟まれている。また、ケース81は、幅方向の両端部においてそれぞれ閉塞されている。
【0073】
ケース81は、開口部81Dを有している。巻取り軸82に対して閉方向に位置する板部81Cには、一対のまぐさ81E,81Fが形成されている。まぐさ81E,81Fは、厚さ方向において所定の間隔をあけて互いに対向して開口部81Dを形成している。開口部81Dは、ケース81内の収納空間83と、天井部材64よりも閉方向側の空間である室内空間61,62とを連通している。
【0074】
巻取り軸82は、円筒形状の部材であり、外周面にシャッターカーテン50を巻き取ることができる。収納部80は、巻取り軸82の回転を制御することでシャッターカーテン50の巻き取りあるいは繰り出しを行う図示しない開閉機を備えている。開閉機は、開口部60を開放する場合、巻取り軸82を巻き取り方向に回転させる。巻き取り方向は、図6に矢印Y1で示す回転方向である。矢印Y2は、巻き取り方向Y1とは反対の回転方向である繰り出し方向を示す。巻取り軸82が巻き取り方向Y1に回転してシャッターカーテン50を巻き取ることで、シャッターカーテン50が開方向に移動して開口部60を開放する。
【0075】
開閉機は、巻取り軸82の回転を規制するブレーキを有している。開閉機は、ブレーキによって巻取り軸82の回転を規制することにより、シャッターカーテン50を開閉方向の任意の位置で停止させることができる。すなわち、開閉機は、シャッターカーテン50の座板52が最も閉側に位置する閉状態から、座板52が最も開側に位置する全開状態まで、シャッターカーテン50が開口部60を開放する度合いを任意に調節することができる。
【0076】
シャッターカーテン50は、開閉機のブレーキが解除されているときに自重によって閉方向に移動できるだけの質量を有している。従って、開閉機は、ブレーキを解除して自重によってシャッターカーテン50を閉方向に移動させることも、巻取り軸82を回転駆動することによってシャッターカーテン50を閉方向に移動させることも可能である。
【0077】
本実施形態のシャッターカーテン50および袖扉70は、火災時等の非常時に開口部60を閉塞する防火戸として機能することができる。開閉体装置1−2は、シャッターカーテン50および袖扉70を統合制御する制御装置を備えている。制御装置は、煙や熱を感知した場合など、非常時にはシャッターカーテン50および袖扉70によって開口部60を閉塞する。袖扉70の自動閉塞機構は、上記第1実施形態の自動閉塞機構と同様のものとすることができる。
【0078】
シャッターカーテン50は、閉状態において第一空間61を形成する面である第一面50Aが外周側に位置するように巻取り軸82に巻き取られる。言い換えると、シャッターカーテン50は、第一面50Aが巻取り軸82の径方向外側を向き、閉状態において第二空間62を形成する面である第二面50Bが巻取り軸82の径方向内側を向くように巻取り軸82に巻き取られる。
【0079】
シャッターカーテン50の第一面50Aには、蓄光物質を含む表示部54が設けられている。表示部54は、蓄光材を含有した塗料をシャッターカーテン50に塗布することで設けてもよいし、蓄光材を含有したフィルムをシャッターカーテン50に接着するようにしてもよい。表示部54は、例えば、シャッターカーテン50の有無を視認できるようにするためのものである。すなわち、表示部54の形状や配置は、シャッターカーテン50が開口部60を閉塞しているか否かを避難者等が視認しやすいものとすることが好ましい。表示部54が発光することで、非常時に停電や暗がりであっても、シャッターカーテン50の開閉状態等が視覚的に理解できるようになる。なお、表示部54は、第一面50Aだけでなく第二面50Bに配置されてもよい。
【0080】
表示部54は、例えば、第一面50Aにおいて幅方向の一端から他端まで設けるようにしてもよい。このようにすれば、シャッターカーテン50の有無を視認することが容易となる。また、表示部54は、第一面50Aにおいて少なくとも閉方向の端部の領域を含むように設けてもよい。このようにすれば、シャッターカーテン50が開口部60を閉塞しているか否かを視認しやすくなる。また、閉方向の端部の領域を含むように表示部54が設けられていれば、図6に矢印Y3で示すようにシャッターカーテン50が閉方向に移動するときに、シャッターカーテン50が現在どの位置まで移動しているかを視認しやすくなる。
【0081】
ここで、シャッターカーテン50は開口部60を開放する開状態において収納部80に収納されるものであるため、表示部54に十分に蓄光できない虞がある。図6に示すように、シャッターカーテン50は、開状態において巻取り軸82に巻き取られて収納部80の収納空間83内に収納される。収納空間83と室内空間61,62とを連通している開口部81Dには、座板52が位置して光を遮る形となり、収納空間83には光が届きにくい。このため、開状態において表示部54が十分に受光することができない可能性がある。
【0082】
本実施形態の開閉体装置1−2は、照明システム90を備えている。照明システム90は、光発電装置91、照明装置92および電源ケーブル93を有する。光発電装置91は、光エネルギーを電力に変換して出力するものである。光発電装置91は、天井部材64における閉方向を向いた面、すなわち下側の面に配置されている。光発電装置91は、受光部91Aが閉方向を向くように天井部材64に取り付けられている。光発電装置91は、第二空間62の室内光によって発電する。
【0083】
照明装置92は、巻取り軸82に巻き取られたシャッターカーテン50における外周側の面の表示部54を照射するものである。照明装置92は、LED等の複数の光源94(94A,94B,94C,94D)を有する。光源94A,94B,94Cは、ケース81の板部81A,81B,81Cの内壁面にそれぞれ配置されている。また、光源94Dは、ケース81における壁面67Aの近傍に配置されている。各光源94と光発電装置91とは、電源ケーブル93によって接続されている。各光源94は、光発電装置91から供給される電力によって発光し、巻取り軸82に巻き取られたシャッターカーテン50の第一面50Aに光を照射する。各光源94は、例えば、点光源であっても、シャッターカーテン50の幅方向に延在する線光源であってもよい。
【0084】
ここで、第一面50Aには、表示部54が設けられていることから、各光源94が照射する光は、表示部54が受光することとなる。つまり、各光源94は、シャッターカーテン50における第一面50Aの表示部54を照射する。従って、本実施形態によれば、表示部54が照明装置92の発する光を受光して適度に蓄光することができる。開状態において表示部54が予め蓄光しておくことで、非常時等にシャッターカーテン50が開口部60を閉塞したときの表示部54の視認性を向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態の表示部54は、シャッターカーテン50における閉方向の端部の領域を含む領域に表示部54が設けられている。よって、表示部54は、シャッターカーテン50が最も開方向まで巻き取られた全開状態であっても、巻き取られたシャッターカーテン50の最外周に露出した状態となる。従って、本実施形態によれば、表示部54における広い領域、特に閉方向の端部側の領域が照明装置92の発する光を受光して適度に蓄光することができる。
【0086】
表示部54において、全開状態で最外周に露出していない領域があるとしても、その領域は、シャッターカーテン50が収納部80から繰り出されるときに照明装置92の光を受光して蓄光することができる。シャッターカーテン50が繰り出されるときに、それまで受光していなかった領域は、各光源94によってそれぞれ照射されて蓄光することができる。つまり、表示部54は、開口部81Dを介して第一空間61に向けて繰り出されるまでの間に蓄光しておき、第一空間61に露出したときに発光することができる。
【0087】
なお、光源94は、面光源とされてもよい。例えば、各板部81A,81B,81Cの内壁面および壁面67Aにそれぞれ面光源を配置してシャッターカーテン50の表示部54を照射するようにしてもよい。これらの面光源は、収納部80に収納されたシャッターカーテン50の表示部54と互いに対向する発光面となる。
【0088】
本実施形態のシャッターカーテン50は、複数のスラット51を連接したスラット連接体であったが、これには限定されない。シャッターカーテン50は、例えば、可撓性を有するシート状のものであっても、その他の公知のシャッターカーテンであってもよい。
【0089】
また、シャッターカーテン50は、防火戸としての機能を有するものには限定されない。すなわち、本実施形態は、防火戸に限らず、開口部60を開放あるいは閉塞するシャッターカーテンであって、通常は収納部に収納され、随時開口部を閉塞するものに広く適用可能である。
【0090】
〔第2実施形態の変形例〕
第2実施形態の変形例について説明する。本変形例では、座板に表示部が設けられており、この表示部に室内光を当てて蓄光させる点が上記第2実施形態と異なる。図7は、本変形例に係る開閉体装置の開閉方向の要部断面を示す図、図8は、本変形例に係る開閉体装置の閉塞動作を示す図である。
【0091】
図7に示すように、本変形例では、蓄光物質を含む表示部55が座板52に設けられている。表示部55は、座板52における閉方向を向いた面、言い換えると座板52の下面、および座板52における厚さ方向の両側面にそれぞれ設けられている。本変形例では、座板52とまぐさ81E,81Fとの厚さ方向の間隔が大きくされており、表示部55に室内光を蓄光することができる。
【0092】
座板52とまぐさ81E,81Fとの間に大きな隙間が設けられていることで、第一空間61の室内照明による光L1および第二空間62の室内照明による光L2がそれぞれ座板52の表示部55に当たり、表示部55の蓄光を促進することができる。つまり、シャッターカーテン50の全開状態において座板52がまぐさ81E,81Fの間の開口部81Dに収納されているときに、表示部55に蓄光させることができる。これにより、シャッターカーテン50が開口部60を閉塞するときに、表示部55を発光させてシャッターカーテン50の視認性を確保することができる。
【0093】
例えば、図8を参照して説明するように、シャッターカーテン50が降下するときのシャッターカーテン50の視認性を向上させることができる。図8に示すように、非常時等にシャッターカーテン50が閉方向に降下するときに、表示部55が発光することで座板52が避難者等から視認しやすくなる。よって、表示部55によればシャッターカーテン50の有無や現在のシャッターカーテン50の作動状況を視認しやすくできるという利点がある。
【0094】
上記の各実施形態や変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0095】
1−1,1−2 開閉体装置
4,60 開口部
10 開閉体
14,54,55 表示部
20,80 収納部
31,91 光発電装置
32,34,35,92 照明装置
40 反射部材
50 シャッターカーテン(開閉体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一空間と第二空間とを連通する構造物の開口部を開放あるいは閉塞し、前記開口部を開放する開状態において収納部に収納される開閉体と、
前記開閉体に配置され、蓄光物質を含む表示部と、
前記第一空間に照射されている光、あるいは前記第二空間に照射されている光の少なくともいずれか一方によって発電する光発電装置と、
前記光発電装置から供給される電力によって発光し、前記収納部に収納された前記開閉体の前記表示部を照射する照明装置と、
を備えることを特徴とする開閉体装置。
【請求項2】
前記照射されている光は、前記構造物内の室内光である
請求項1に記載の開閉体装置。
【請求項3】
前記開閉体は、前記開閉体の幅方向の端部が支持されて回動することにより前記開口部を開放あるいは閉塞する開き戸であって、
前記表示部は、前記開状態において前記収納部の壁面と互いに対向する前記開閉体の面である第一面に配置され、
前記照明装置は、前記開状態において前記第一面の前記表示部を照射する
請求項1または2に記載の開閉体装置。
【請求項4】
前記収納部は、前記開口部の周縁に配置され、
前記開閉体は、前記開状態において、前記収納部内に巻き取られて収納されるものであり、
前記表示部は、前記開状態において巻き取られた前記開閉体の外周側の面に配置され、
前記照明装置は、前記開状態において前記外周側の面の前記表示部を照射する
請求項1または2に記載の開閉体装置。
【請求項5】
前記照明装置は、前記収納部に収納された前記開閉体の前記表示部と互いに対向する発光面を有する
請求項1から4のいずれか1項に記載の開閉体装置。
【請求項6】
前記照明装置が発する光を前記表示部に向けて反射する反射部材を備える
請求項1から4のいずれか1項に記載の開閉体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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