説明

開閉体

【課題】 現場毎に応じた寸法を容易に得ることができ、交換や補修等のメンテナンス性を向上することができ、しかも、接続箇所が外れ難い十分な強度を確保できる開閉体を提供する。
【解決手段】 開閉体面方向に並ぶ複数の可撓性シートを備え、収納部30から繰り出されて空間を仕切るように閉鎖動作する開閉体において、隣り合う前記可撓性シート11a,11bについて、その一方の可撓性シート11aの一端側を、他方の可撓性シート11bの他端側に重ね合わせて重なり代Xを確保し、その重なり代Xにおける重なり合う面同士を止着してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールスクリーンや、オーニング装置、シャッター装置等の開閉装置用の開閉体に関し、少なくとも一部分を可撓性シートにより構成した開閉体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空間を仕切るようにスライドして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取体とを備え、前記開閉体の略全面を耐火性の可撓性シート材料によって形成したシャッター装置がある。
このようなシャッター装置によれば、例えば災害時等に、シート状の開閉体を速やかに全閉して炎や煙の蔓延を防ぐことができる。
【0003】
ところで、前記のような従来のシャッター装置を設置する場合、開閉される開口部の寸法が現場毎に異なるため、その現場の開口部毎に応じて、幅寸法や上下高さ寸法等の異なる複数種類の開閉体を制作しなければならない。また、開閉体の一部が損傷した場合には、その開閉体の全てを交換する必要があり、再度、現場の開口部に応じた寸法の開閉体を制作しなければならない。そのため、開閉体の製造期間や納期には、時間的余裕を要することになる。
そこで、例えば、特許文献1に記載される開閉装置では、開閉体を構成する部材として、基本的な寸法のパーツ部材を複数種類準備しておき、これらパーツ部材を適宜組み合わせることによって、開口部の寸法に応じた開閉体を構成できるようにしている。
しかしながら、後者の従来技術においても、より生産性やメンテナンス性を向上することや、パーツ部材間の接続強度の向上等、さらなる改善が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−174972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とする処は、現場毎に応じた寸法を容易に得ることができ、交換や補修等のメンテナンス性を向上することができ、しかも、接続箇所が外れ難い十分な強度を確保できる開閉体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための技術的手段は、開閉体面方向に並ぶ複数の可撓性シートを備え、収納部から繰り出されて空間を仕切るように閉鎖動作する開閉体において、隣り合う前記可撓性シートについて、その一方の可撓性シートの一端側を、他方の可撓性シートの他端側に重ね合わせて重なり代を確保し、その重なり代における重なり合う面同士を止着してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
一方の可撓性シートと他方の可撓性シートを重ね合わせて止着するようにしているため、特に面方向(開閉体幅方向及び開閉体開閉方向を含む)の引張荷重に対し比較的強い構造を得ることができる上、重なり代の調整により、複数の可撓性シートの並設方向の長さを自在に設定することができる。
よって、現場毎に応じた寸法を容易に得ることができ、交換や補修等のメンテナンス性を向上することができ、しかも、接続箇所が外れ難い十分な強度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る開閉体の一例を備えた開閉装置を示す正面図である。
【図2】二つの可撓性シートの一例を示す正面図である。
【図3】二つの可撓性シートからなる開閉体の一例を示す正面図である。
【図4】二つの可撓性シートの他例を示す正面図である。
【図5】二つの可撓性シートからなる開閉体の他例を示す正面図である。
【図6】二つの可撓性シートの他例を示す正面図である。
【図7】二つの可撓性シートからなる開閉体の他例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するために第一の形態では、開閉体面方向に並ぶ複数の可撓性シートを備え、収納部から繰り出されて空間を仕切るように閉鎖動作する開閉体において、隣り合う前記可撓性シートについて、その一方の可撓性シートの一端側を、他方の可撓性シートの他端側に重ね合わせて重なり代を確保し、その重なり代における重なり合う面同士を止着してなる。
【0010】
さらに、隣り合う可撓性シートの長さ調整やメンテナンス等を容易にするために、第二の形態では、開閉体幅方向における両側のガイドレールに沿って閉鎖動作し、着座対象部位に当接して全閉されるようにした開閉体であって、前記複数の可撓性シートは、開閉体幅方向に並べ設けられることで、前記収納部と前記着座対象部位と前記両側のガイドレールとによって囲まれる開口部を覆うように構成され、前記重なり合う面同士が着脱可能な止着手段によって止着されている。
【0011】
さらに、生産性を良好にするために、第三の形態では、前記止着手段が、一片部と該一片部に対し着脱可能な他片部とからなる面ファスナーであり、前記一片部を前記一方の可撓性シートに設けるとともに、前記他片部を前記他方の可撓性シートに設ける。
【0012】
また、第四の形態では、前記面ファスナーの一片部は、前記一方の可撓性シートの露出部分と、前記重なり代とに跨るようにして、開閉体幅方向へ連続して前記一方の可撓性シートに止着されるとともに、開閉体開閉方向に間隔を置いて複数配設され、前記面ファスナーの他片部は、前記一方の可撓性シートに止着された前記複数の一片部に対応するように、前記他方の可撓性シートの内側の面に、開閉体開閉方向に間隔を置いて複数止着される(図2及び3参照)。
この形態によれば、各面ファスナーにおける一片部と他片部の接合面積を広く確保することができ、ひいては、隣り合う可撓性シートの接続強度を向上することができる。
【0013】
さらに、第五の形態では、前記面ファスナーの一片部は、前記一方の可撓性シートの露出部分と、前記重なり代とに跨るようにして、開閉体幅方向へ連続して前記一方の可撓性シートに止着されるとともに、開閉体開閉方向に間隔を置いて複数配設され、前記面ファスナーの他片部は、前記一方の可撓性シートに止着された前記一片部と交差する方向に連続するとともに、前記他方の可撓性シートの内側の面に、開閉体幅方向に間隔を置いて複数止着される(図4及び5参照)。
この形態によれば、一方の可撓性シートに対し他方の可撓性シートが前記交差する方向へずれていても、これらのシートを止着することができる。したがって、例えば、熱膨張等に起因して一方又は他方の可撓性シートのみが前記交差方向へ伸びてしまった場合等でも、双方の可撓性シートを止着することができる。
【0014】
さらに、開閉体の撓みを抑制するために、第六の形態では、隣り合う前記可撓性シートの一方と他方を跨るように、略棒状の撓み抑制部材を備え、前記一方の可撓性シートに、前記撓み抑制部材の一端側を挿通して支持する挿通部を形成するとともに、前記他方の可撓性シートには、同撓み抑制部材の他端側を挿通して支持する挿通部を形成する(図6及び7参照)。
【0015】
さらに、第七の形態では、前記撓み抑制部材を伸縮可能に構成する。
【0016】
なお、本明細書中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の上記開閉体の厚さ方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、上記開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0017】
以下、上記形態の特に好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明に係る開閉体10は、例えば、図1に示すように、防災用シャッター装置である開閉装置Aに具備される。
開閉装置Aは、上下方向のスライドにより空間を仕切ったり開放したりする開閉体10と、該開閉体10をその左右両側で開閉方向へ導くガイドレール20と、該開閉体10をその開放方向側の巻取体31によって巻き取ったり繰り出したりする収納部30とを備え(図1参照)、遮煙性の、好ましくは耐火性(難燃性を含む)の開閉体10を、左右のガイドレール20,20に沿って閉鎖動作させ、着座対象部位Pに当接させて全閉する。
【0019】
開閉体10は、全閉された際に収納部30と着座対象部位Pと両側のガイドレール20,20とによって囲まれる開口部を覆う本体シート部11と、本体シート部11の最下端部に接続された座板部材12と、本体シート部11における幅方向の端部側に設けられた抜止部材13とから構成される。
【0020】
本体シート部11は、開閉体幅方向に並ぶ複数(図示例によれば二つ)の可撓性シート11a,11bとからなり、隣り合う可撓性シート11a,11bについて、その一方の可撓性シート11aの一端側(図示例によれば右端側)を、他方の可撓性シート11bの他端側(図示例によれば左端側)に重ね合わせて重なり代Xを確保し、その重なり代Xにおける重なり合う面同士を、止着手段11cによって着脱可能に止着してなる。
【0021】
可撓性シート11a,11bの各々は、例えば、ガラスクロスやシリカクロス等の難燃性布地や、フッ素加工を施した塩化ビニル樹脂シート材、ガラス繊維を含んだ合成樹脂シート材等、遮煙性、必要に応じ耐火性(難燃性を含む)の可撓性シート材料によって構成される。
【0022】
一方の可撓性シート11aは、収納部30と着座対象部位Pと両側のガイドレール20,20とによって囲まれる開口部の開閉体幅方向の片半部側(図示例によれば左半部側)を覆うように形成され、その一方の面には、止着手段11cの一片部11c1が止着されている。
【0023】
他方の可撓性シート11bは、前記開口部の開閉体幅方向の逆側の片半部側(図示例によれば右半部側)を覆うとともに、該可撓性シート11bの前記他端側(図示例によれば左端側)の部分を、前記一方の可撓性シート11aの前記一端側(図示例によれば右端側)の部分に重ね合わせて、重なり代Xを確保している。そして、この可撓性シート11bの内側の面には、止着手段11cの他片部11c2が止着されている。
【0024】
止着手段11cは、一片部11c1と、該一片部11c1に対し着脱可能な他片部11c2とからなる面ファスナーである。
【0025】
止着手段11cの一片部11c1は、可撓性シート11aの幅方向にわたる長尺状に形成され、一方の可撓性シート11aの露出部分と、重なり代Xとに跨るようにして(図3参照)、開閉体幅方向へ連続して一方の可撓性シート11aに止着されるとともに、開閉体開閉方向へ所定の間隔を置いて複数設けられる。
各一片部11c1の一端側(図示例によれば左端側)は、ガイドレール20に摺接されて破損等することのないように、一方のガイドレール20に内在しない範囲で該ガイドレール20の近傍となる位置まで延設されている。また、同一片部11c1の他端側(図示例によれば右端側)は、可撓性シート11aにおける他方の可撓性シート11b側の端部(図示例によれば右端部)まで延設されている。
【0026】
また、止着手段11cの他片部11c2は、可撓性シート11bの幅方向にわたる長尺状に形成され、前記一方の可撓性シート11aに止着された前記複数の一片部11c1に対応するように、他方の可撓性シート11bの内側の面に、開閉体開閉方向へ所定の間隔を置いて複数設けられる。
各他片部11c2の一端側(図示例によれば左端側)は、可撓性シート11bにおける前記一方の可撓性シート11a側の端部(図示例によれば左端部)まで延設される。また、同他片部11c2の他端側(図示例によれば右端側)は、ガイドレール20に摺接されて破損等することのないように、もう一方(図示例によれば右側)のガイドレール20に内在しない範囲で該ガイドレール20の近傍となる位置まで延設されている。
【0027】
また、座板部材12は、開閉体幅方向にわたって本体シート部11の下端に接続され、開閉体10による閉鎖性を良好にするとともに、その自重により本体シート部11を下方へ引っ張って、本体シート部11に撓みや皺等が発生するのを防ぐ。
この座板部材12は、例えば、本体シート部11の下端に断面袋状の部分を形成し、この袋状部分に錘体を内在することで構成される。
この座板部材12は、二つの可撓性シート11a,11b毎に分離された部材であってもよいし、二つの可撓性シート11a,11bにわたる一体状の部材であってもよい。
【0028】
また、抜止部材13は、一片部11c1における開閉体幅方向の一端側と、他片部11c2における開閉体幅方向の他端側との各々に、開閉体開閉方向に間隔を置いて、あるいは必要に応じ連続して、単数又は複数固定されている。これら抜止部材13は、開閉体厚さ方向へ突出しガイドレール20内に係合することで、開閉体10がガイドレール20から開閉体幅方向へ抜けてしまうのを防止する。
【0029】
また、ガイドレール20は、開閉体10の開閉体幅方向の端部を囲む断面略コ字状の部材であり、開閉体開閉方向へわたって長尺状に設けられている。
【0030】
また、収納部30は、収納ケース32内で巻取体31を回動させるように構成される。この収納部30は、前記巻取体31により開閉体10を巻き取ったり巻き戻したりすることで、収納ケース32内へ開閉体10を収納したり、収納ケース32外へ開閉体10を繰り出したりする。
【0031】
なお、この収納部30内の機構は、モータ等の電動駆動源により巻取体31を回動させる機構とすればよいが、災害等による停電の際でも、開閉体10を閉鎖できるようにする観点から、錘体や開閉体10の自重により巻取体31を回動させる機構や、スプリング等の付勢部材の付勢力により巻取体31を回動させる機構等を、併用した構造とするのが好ましい。
【0032】
よって、本実施例によれば、一方の可撓性シート11aと他方の可撓性シート11bを重ね合わせて止着するようにしているため、特に面方向(開閉体幅方向及び開閉体開閉方向を含む)の引張荷重に対し比較的強い構造を得ることができる。そのため、例えば、開閉体10を比較的高速に開閉動作した場合であっても、二つの可撓性シート11a,11bの接続箇所が外れ難い。
また、重なり代Xの調整により、二つの可撓性シート11a,11bからなる本体シート部11の幅方向の長さを自在に設定することができる。したがって、現場毎に応じて開口部の幅寸法が異なる場合にも、前記重なり代Xの調整により容易に対応することができ、ひいては、開閉体10の交換や補修等のメンテナンス性を向上することができる。
また、重なり代Xの個所における必要とする遮煙性や気密性等の確保が期待できる。
【0033】
次に、本発明に係る開閉装置の他の実施例について説明する。なお、以下に示す開閉装置は、先に説明した開閉装置の構成を一部変更したものであるため、主にその変更部分について詳細に説明し、他の部分については重複する詳細説明を省略する。
【実施例2】
【0034】
図4及び5に示す開閉体10’は、上記開閉体10における本体シート部11を本体シート部11’に置換したものであり、本体シート部11’は、上記本体シート部11における可撓性シート11bを可撓性シート11b’に置換したものである。
【0035】
可撓性シート11b’は、上記可撓性シート11bに対し、延設方向が異なる他片部11c2’を備えている。
すなわち、他片部11c2’は、一方の可撓性シート11aに止着された一片部11c1と略直交する方向に連続する長尺状に形成され、他方の可撓性シート11b’の内側の面に、開閉体幅方向に所定の間隔を置いて複数止着される。
各他片部11c2’の上下端側は、それぞれ可撓性シート11b’の上下端部まで延設されている。
開閉体幅方向に並ぶ複数の他片部11c2’のうち、最もガイドレール20寄り(図示例によれば右寄り)の他片部11c2’は、ガイドレール20に摺接されて破損等することのないように、ガイドレール20に内在しない範囲で該ガイドレール20の近傍となる位置に設けられる。
【0036】
よって、図4及び5に示す開閉体10’によれば、一方の可撓性シート11aに対し他方の可撓性シート11b’が上下方向へ若干ずれていても、これらのシート11a,11b’を、交差状に配置された一片部11c1と他片部11c2’によって止着することができる。
したがって、例えば、二つの可撓性シート11a,11b’を接続する作業中、その一方のみが上下方向又は左右方向へ若干ずれてしまった場合や、熱膨張等に起因して一方又は他方の可撓性シート11a(又は11b’)のみが上下方向や左右方向へ若干伸びてしまった場合でも、双方の可撓性シート11a,11b’を止着することができる。そのため、特に破損した開閉体の交換に緊急性を要する場合等に、速やかな作業が期待できる。
【実施例3】
【0037】
次に、図6及び7に示す開閉体10”は、上記開閉体10における本体シート部11を本体シート部11”に置換するとともに、本体シート部11”を構成する隣り合う可撓性シートの一方と他方を跨るように、略棒状の撓み抑制部材15を具備している。
本体シート部11”は、上記本体シート部11における可撓性シート11aを可撓性シート11a”に、可撓性シート11bを可撓性シート11b”に置換したものである。
【0038】
一方の可撓性シート11a”は、上記可撓性シート11aに対し、撓み抑制部材15の一端側を挿通して支持する挿通部14aを設けたものである。
挿通部14aは、可撓性のシート材からなり、開閉体幅方向の一方(図示例によれば右方)のみを開口し、上下及び他端側を閉鎖した袋状に形成さる。この挿通部14aは、可撓性シート11a”の幅方向におけるガイドレール20寄りの端部側(図示例によれば左端側)に配置され、開閉体開閉方向へ所定の間隔を置いて複数止着される。
【0039】
また、他方の可撓性シート11b”は、上記可撓性シート11b”に対し、撓み抑制部材15の他端側を挿通して支持する挿通部14bを設けたものである。
挿通部14bは、可撓性のシート材からなり、開閉体幅方向の両端側(図示例によれば左右両端側)を開口し、上下端側を閉鎖した環状に形成さる。この挿通部14bは、可撓性シート11b”の幅方向の略全長にわたる長さに形成され、前記可撓性シート11a”の挿通部14aに対応するように、開閉体開閉方向へ所定の間隔を置いて複数止着される。
【0040】
撓み抑制部材15は、本体シート部11”の幅方向の略全長にわたる棒状の部材であり、挿通部14bの一端側(図示例によれば右端側)の開口から挿通され、その先端部が挿通部14a内に挿入され保持される。
この撓み抑制部材15は、金属や、グラスファイバー、カーボンファイバー、合成樹脂材料等、開閉体10の撓みを抑制可能な剛性を有する材料から伸縮可能な略棒状に構成される。
撓み抑制部材15を伸縮可能にする手段は、例えば、前記撓み抑制部材15を、径方向の内外に重ね合わせられて軸方向へスライド可能な複数の筒状部材によって構成すればよい。
【0041】
よって、図6及び7に示す開閉体10”によれば、該開閉体10”が内外の圧力差や風圧等によって横断面略弓状に撓むのを抑制することができる。
しかも、本体シート部11”の幅寸法を重なり代Xに調整でき、且つ撓み抑制部材15を伸縮させることもできるため、現場毎に応じた開閉体10”の幅寸法の調整が容易であり、交換や補修等のメンテナンス性を向上することができる。
【0042】
なお、上記実施例によれば、開閉体幅方向に並ぶ複数の可撓性シートによって開閉体を構成したが、他例としては、開閉体開閉方向へ並ぶ複数の可撓性シートによって開閉体を構成することも可能である。さらに、この構成において、開閉体開閉方向へわたる撓み抑制部材を開閉体幅方向に間隔を置いて設けるとともに、各撓み抑制部材の上記挿通部14a,14bと略同構造の挿通部によって本体シート部面に保持することも可能である。
【0043】
また、上記実施例では、止着手段を面ファスナーとしたが、止着手段の他例としては、スライドファスナーや、ボタン、ホック等を用いることも可能である。
【0044】
また、上記実施例では、撓み抑制部材15を伸縮可能に構成したが、他例としては、撓み抑制部材15を伸縮不能な棒状に構成してもよい。
さらに、他例としては、上記実施例の前記撓み抑制部材15に置換して、長手方向の寸法が、二つの可撓性シート11a”,11b”の幅方向の合計長さと同等又は同等以上の長さの撓み抑制部材を備え、現場に応じて、開閉体10”の幅方向の寸法を重なり代Xにより調整するとともに、前記撓み抑制部材の長さを切断して調整するようにしてもよい。
【0045】
また、上記開閉装置には、必要に応じて、開閉体の閉鎖方向側に進入する障害物を感知する障害物感知装置を設け、該障害物感知装置の感知装置に応じて、開閉体の閉鎖動作を停止したり、反転させたり等することが可能である。
【0046】
また、上記実施例によれば、開閉体10の幅方向の端部に抜止部材15を設け、特に遮煙性能が良好で気密性等の高い防災用シャッター装置を構成したが、他例としては、遮煙性や耐火性までは要求されずに単に開口部を閉鎖する構成であってもよく、例えば、抜止部材45を備えていないかあるいは備えていても抜止性能が上記実施例よりも劣る構成や、ある程度の空気等の流通を許容して開口部を閉鎖するようにした構成等とすることも可能であり、利用目的は任意である。
【符号の説明】
【0047】
10,10’,10”:開閉体
11a,11a”,11b,11b’,11b”:可撓性シート
11c,11c’:止着手段 20:ガイドレール
30:収納部 31:巻取体
X:重なり代

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体面方向に並ぶ複数の可撓性シートを備え、収納部から繰り出されて空間を仕切るように閉鎖動作する開閉体において、
隣り合う前記可撓性シートについて、その一方の可撓性シートの一端側を、他方の可撓性シートの他端側に重ね合わせて重なり代を確保し、その重なり代における重なり合う面同士を止着してなることを特徴とする開閉体。
【請求項2】
開閉体幅方向における両側のガイドレールに沿って閉鎖動作し、着座対象部位に当接して全閉されるようにした開閉体であって、
前記複数の可撓性シートは、開閉体幅方向に並べ設けられることで、前記収納部と前記着座対象部位と前記両側のガイドレールとによって囲まれる開口部を覆うように構成され、前記重なり合う面同士が着脱可能な止着手段によって止着されていることを特徴とする請求項1記載の開閉体。
【請求項3】
前記止着手段が、一片部と該一片部に対し着脱可能な他片部とからなる面ファスナーであり、前記一片部を前記一方の可撓性シートに設けるとともに、前記他片部を前記他方の可撓性シートに設けたことを特徴とする請求項2記載の開閉体。
【請求項4】
前記面ファスナーの一片部は、前記一方の可撓性シートの露出部分と、前記重なり代とに跨るようにして、開閉体幅方向へ連続して前記一方の可撓性シートに止着されるとともに、開閉体開閉方向に間隔を置いて複数配設され、
前記面ファスナーの他片部は、前記一方の可撓性シートに止着された前記複数の一片部に対応するように、前記他方の可撓性シートの内側の面に、開閉体開閉方向に間隔を置いて複数止着されることを特徴とする請求項3記載の開閉体。
【請求項5】
前記面ファスナーの一片部は、前記一方の可撓性シートの露出部分と、前記重なり代とに跨るようにして、開閉体幅方向へ連続して前記一方の可撓性シートに止着されるとともに、開閉体開閉方向に間隔を置いて複数配設され、
前記面ファスナーの他片部は、前記一方の可撓性シートに止着された前記一片部と交差する方向に連続するとともに、前記他方の可撓性シートの内側の面に、開閉体幅方向に間隔を置いて複数止着されることを特徴とする請求項3記載の開閉体。
【請求項6】
隣り合う前記可撓性シートの一方と他方を跨るように、略棒状の撓み抑制部材を備え、
前記一方の可撓性シートに、前記撓み抑制部材の一端側を挿通して支持する挿通部を形成するとともに、前記他方の可撓性シートには、同撓み抑制部材の他端側を挿通して支持する挿通部を形成したことを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の開閉体。
【請求項7】
前記撓み抑制部材を伸縮可能に構成したことを特徴とする請求項6記載の開閉体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−47430(P2013−47430A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186567(P2011−186567)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)