説明

開閉器等におけるリードレス型ブッシング

【課題】ケース外に位置するリードレス型ブッシングで、電線接続端子部分に装着した絶縁カバー外に位置する充電露出部分を簡単且つ安価な構造によりその充電部露出を無くすようにする。
【解決手段】 開閉器1等のケース3の外部に突出固定し且つ相互に適宜空間gを保持して離間する複数のブッシング2の各ブッシングの碍管4の貫通孔4aには中心導体5を貫通固定し、該導体5のケース外の先端には電線接続端子10を固定し、該端子10には上記碍管4の溝部4fをその笠状の遮蔽部17bにより遮蔽しさらに取付突起17cには絶縁カバー19を装着して同端子10を覆うようにした遮蔽体17を固定したもので、上記電線接続端子10が上記中心導体5の端部5aに対し圧着接続により固定された箇所に上記遮蔽体17の廻り止め用の六角形の取付孔17aを設け、その外側から同端子に取付固定したことを特徴とする開閉器等におけるリードレス型ブッシング。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高圧配電線路に使用するケース入り開閉器のブッシングの改良に係り、特にリードレス型ブッシングにおいて、ブッシングの碍管の溝部を覆うように電線接続端子に取付けた遮蔽体の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧配電線路には線路を区分するためのケース入り開閉器が適宜間隔で電柱に施設されており、同開閉器は該開閉器のケース外に突出固定した3相の電源側及び負荷側の各ブッシングに対しその電線接続端子に、それぞれ絶縁電線からなる配電線が接続されて高圧配電線路を形成している。上記開閉器においては、そのブッシング構造を大別すると、組立時にブッシング部に予めリード線を組み付けて一体化したリード付型と、組立出荷時にはリード線を備えず取付(使用)現場においてブッシングの電線接続端子に対し絶縁電線からなるリード線を接続するようにしたリードレス型とがある。そして、特に後者のリードレス型ブッシングにおいては、開閉器の取付工事の際、電線接続端子に絶縁電線を接続した後、通電状態において充電部となる同端子に絶縁カバーを装着して充電部露出を防止している。
【0003】
そして、特許文献1記載の考案においては、断面が円形状の中心導体と電線接続端子の接合部より開閉器側に遮蔽体を設け、その遮蔽体の両側には中心導体に設けられたねじ部に結合されたボルトで遮蔽体を挟持するように締め付けることで、遮蔽体を固定する構成が記載されている。
【特許文献1】実公昭53−42760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来型のリードレス型ブッシングにおいては、絶縁カバー外に位置する充電部分例えば中心導体の僅か一部が依然として露出状態にあるものがあった。そのため工事の際に使用するバインド線や鳥が営巣のために運んで来る針金等が隙間を経て入り込み、露出する充電部にうっかり接触して接近する接地側金具や開閉器の隣接相のブッシングとの間で地絡事故や相間短絡事故を招いたりする虞があった。なお、充電部を完全に覆うタイプもあるがこれらの構造は大幅な設計変更を必要としたり、コストアップが避けられないと言う問題があった。さらに又ブッシングの碍管の溝部を覆うようにして電線接続端子に取付けた遮蔽体が不用意に回ったり動いたりして位置が固定できず溝部の前面側を確実に遮蔽できないようになることがあるほか同遮蔽体に支持取付けした絶縁カバーも一緒に回ったり動いたりして隙間があき充電部である電線接続端子の一部が露出したりする問題もあった
また、特許文献1記載の考案においては、遮蔽体を挟持するボルトが緩むことで、遮蔽体及び端子カバーが回転したり、軸方向に移動したりして遮蔽体の取付位置が確定できない問題があった。また、遮蔽体の取付方法においてはボルトの安定した締めトルクが必要となり、締付けトルクを管理する必要があるため、組立工程の管理が煩雑になるという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は上記課題を解決するためのもので、開閉器1等のケース3の外部に突出固定し且つ相互に適宜空間gを保持して離間する複数のブッシング2であって、その各ブッシングの碍管4の貫通孔4aには中心導体5を貫通固定し、また該導体5のケース外の先端には電線接続端子10を固定し、また該端子10には上記碍管4の溝部4fをその笠状の遮蔽部17bにより遮蔽しさらに取付突起17cには絶縁カバー19を装着して同端子10を覆うようにした遮蔽体17を固定したものにおいて、上記電線接続端子10は上記中心導体5の端部5aに対し圧着接続により固定されると共にさらに上記遮蔽体17には廻り止め用の六角形の取付孔17aを設け、前記取付孔17aを上記圧着接続した端部5aに位置させ、その外側から同端子に取付固定したことを特徴とする開閉器等におけるリードレス型ブッシングを提案するものである。
【発明の効果】
【0006】
以上の構成のように、上記電線接続端子10は中心導体5の端部5aに対し圧着接続により固定されると共にさらに遮蔽体17はその廻り止め用の六角形の取付孔17aを上記圧着接続した端部5aに位置させその外側から取付固定したことで、遮蔽体が電線接続端子の所定の位置に確実に取付固定することができ、遮蔽体と、同遮蔽体に支持取付した絶縁カバーとが不用意に回ったり動いたりしないため、同遮蔽体の笠状の遮蔽部による碍管の溝部に対する遮蔽効果が所期の通りに期待できる外、同時に絶縁カバーからの電線接続端子等の充電部の一部露出も防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本願発明の実施例について図1乃至図5に基づき具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
2(2、2)はケース入り開閉器1のリードレス型ブッシングであり、ケース3の電源側の側面3a及び負荷側の側面(特に図示しない)にはそれぞれU相、V相、W相の3相のブッシングが隣接相に対し適宜絶縁空間gを保持して取り付けられている。
【0009】
ブッシング2は碍管4の貫通孔4aにスタッドボルト型の中心導体5を挿通し、ケース外側においては廻止ナット6、スプリングワッシャー7、締付ナット8、平ワッシャー9により締付固定された後、圧着端子形の電線接続端子10が中心導体の端部5aに圧着接続されている。
【0010】
また、ケース内側においては鍔状の押圧部5bを碍管4の貫通孔4aの内端面4bにOリング11を介して取り付けられている。なお、碍管4の貫通孔4aを貫通する上記中心導体5は2分割可能な分割タイプであり、貫通孔4a内でネジ接続部5cにより一体連結される構造である。
【0011】
12は中心導体5が碍管4に締付固定された状態で上記、廻止ナット6、スプリングワッシャー7、締付ナット8、平ワッシャー9、電線接続端子10の外周を覆うようにして被着したゴム或いは樹脂系の収縮チューブであり、チューブ形態のものを被被覆物に被せ、ドライヤー等で加熱収縮させ被着する熱収縮型のものを使用しているが、この際、同チューブにはさらにその内面12aに接着剤13が塗布されていて被着時、一段と被被覆物に対する密着性が高められるようになっている。
【0012】
14はシール用のシリコンゴムあるは樹脂系の充填材、15は碍管4の鍔状の取付用フランジ4cに嵌装された押え金具であり、ブッシング2をケース3の側面3aに貫装取付するものである。16はフランジの押圧部4dとケース3の外面3a間に介在するOリングを示す。
【0013】
また、17はEPR(耐トラッキング性のブチルゴム)等のゴムからなる杯形に成形した遮蔽体であり、中心には廻り止めを考慮した六角形の取付孔17aを形成し、また前面側には碍管4の溝部4fを遮蔽するための笠状の遮蔽部17bを形成し、また、後面側には絶縁カバー取付用の環状の取付突起17cを形成し、さらに上部側には周面17dから中心の取付孔17aに至る取付用の割部17eが形成されており、同遮蔽体17は、割部17eより左右両側に開いた状態でその取付孔17aを、図1に示すように中心導体の端部5aに位置するようにして同導体に圧着接続する電線接続端子10の外側から挿着し、接着後、ネジ18により電線接続端子に止着して取付ける。
【0014】
また、19は遮蔽体17の取付突起17cに取付したEPR(耐トラッキング性のブチルゴム)等のゴムからなる絶縁カバーであり、充電部となる電線接続端子10の外周面を覆って充電部が露出しないようにしている。
【0015】
20は電線接続端子10にネジ21により締付接続された絶縁電線を示す。なお、ブッシング部位における充電部は、絶縁カバー19の遮蔽体17への装着で、同カバーと、上記廻止ナット6、スプリングワッシャー7、締付ナット8、電線接続端子10の一部の外周に被着した収縮チューブ12とにより充電部露出が皆無となる。
【0016】
なお、この種のリードレス型ブッシングは開閉器に限定されること無く変圧器等のケース入り電気機器等にも使用可能である。
【0017】
また、上記被着する収縮チューブの内面にはさらに接着剤を塗布して収縮被着に際して被被覆物(対象物)に対する密着性を高めたため、被着後に不用意にいざったりせず、簡単且つ確実に絶縁被覆作業が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本願発明の実施例であるリードレス型ブッシングの要部断面図。
【図2】ブッシングの全体を示す断面図。
【図3】本願発明のリードレス型ブッシングを取付けた絶縁カバーの取外状態のケース入り開閉器の側面図。
【図4】遮蔽体の正面図(a)、左側面図(b)、背面図(c)、A−A断面図(d)、B−B断面図(e)を示す。
【図5】絶縁性収縮チューブの正面図。
【符号の説明】
【0019】
1 開閉器
2 ブッシング
3 ケース
3a 側面
4 碍管
4a 貫通孔
5 中心導体
5a 端部
10 電線接続端子
12 絶縁性収縮チューブ
12a 内面
17 遮蔽体
17a 六角形の取付孔
17b 遮蔽部
17c 取付突起
19 絶縁カバー
g 絶縁空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉器1等のケース3の外部に突出固定し且つ相互に適宜空間gを保持して離間する複数のブッシング2であって、その各ブッシングの碍管4の貫通孔4aには中心導体5を貫通固定し、また該導体5のケース外の先端には電線接続端子10を固定し、また該端子10には上記碍管4の溝部4fをその笠状の遮蔽部17bにより遮蔽しさらに取付突起17cには絶縁カバー19を装着して同端子10を覆うようにした遮蔽体17を固定したものにおいて、
上記電線接続端子10は上記中心導体5の端部5aに対し圧着接続により固定されると共にさらに上記遮蔽体17には廻り止め用の六角形の取付孔17aを設け、前記取付孔17aを上記圧着接続した端部5aに位置させ、その外側から同端子に取付固定したことを特徴とする開閉器等におけるリードレス型ブッシング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−59413(P2007−59413A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308750(P2006−308750)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【分割の表示】特願2001−44385(P2001−44385)の分割
【原出願日】平成13年2月21日(2001.2.21)
【出願人】(000231154)日本高圧電気株式会社 (38)
【Fターム(参考)】