説明

開閉装置

【課題】 開閉体における開放方向側の軸の回りの部分や該軸に比較的近い部分において開閉体の幅方向へのずれを検出する。
【解決手段】 空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体10を備え、該開閉体10をその開放方向側の軸の回りで回転させて収納し、逆方向へ回転させて繰り出すようにした開閉装置において、前記開閉体10の一部又は全部が開閉体幅方向の一方へずれた状態で前記回転をした場合に、その回転するずれ部分を検知するように、ずれ検知部40を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体の一部又は全部が開閉体幅方向へずれる可能性のある開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の開閉装置によれば、開閉動作時の振動等に起因して、開閉方向に接続されたスラットの一部が開閉体幅方向へわずかにずれる場合がある。そして、このような現象が長期間繰り返されると、前記一部のスラットが他のスラットよりも開閉体幅方向の一方へ大きくずれて突出して、ひいては、そのスラットのずれ部分が、巻取軸を支持している軸受ブラケットや他の部品等に干渉し、これらを損傷させてしまうおそれがある。
そこで、特許文献1に記載された発明では、前記開閉体が巻取軸から繰り出される際に、前記のようにして生じたスラットのずれ部分を、巻取軸よりも下方側で矯正部材に当接させて、その突出状態を矯正するようにしている。
また、特許文献2に記載された発明では、巻取軸から繰り出される開閉体における前記スラットのずれ部分を、巻取軸よりも下方側でずれ検知部(検出センサ)に接触させて感知し、その感知信号に応じて警報を発するようにしている。
【0003】
しかしながら、前記従来技術では、開閉体の前記ずれ部分を、巻取軸よりも下方側で矯正したり検出したりするものであるため、前記開閉体における巻取軸に巻き残された部分や、巻取軸に近い部分は、矯正されず検出もされずに放置され、この部分によって軸受ブラケットや他の部品等の損傷を招くおそれがある。
また、後者の従来技術では、スラットの突出量が大きくなると、そのずれ部分がカバーやリミットスイッチ等に当接して、ずれ検知部(検出センサ)を損傷させてしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−88457号公報
【特許文献2】実開平4−125399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、開閉体における開放方向側の軸の回りの部分や該軸に比較的近い部分において開閉体の幅方向へのずれを検出すること、その検出に伴うずれ検知部の損傷を軽減すること等、が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための技術的手段は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体を備え、該開閉体をその開放方向側の軸の回りで回転させて収納し、逆方向へ回転させて繰り出すようにした開閉装置において、前記開閉体の一部又は全部が開閉体幅方向の一方へずれた状態で前記回転をした場合に、その回転するずれ部分を検知するように、ずれ検知部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
開閉体における開放方向側の軸の回りの部分や該軸に比較的近い部分において開閉体の幅方向へのずれを検出することができる。
したがって、例えば、開閉体の幅方向へのずれが、開閉体における巻取軸に巻き残された部分や巻取軸に比較的近い部分で生じた場合であっても、そのずれを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
【図2】同開閉装置の要部縦断面図である。
【図3】同開閉装置を上方から視た構造図である。
【図4】図3の要部拡大図であり、(a)はスラットが一方へずれて突出した状態を示し、(b)はスラットの逆方向へのずれにより被検知体が前記一方へずれて突出した状態を示す。
【図5】逆方向移動手段の一例を示す要部拡大図であり、(a)は被検知体が没入した状態を示し、(b)は同被検知体が突出した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための一形態は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体を備え、該開閉体をその開放方向側の軸の回りで回転させて収納し、逆方向へ回転させて繰り出すようにした開閉装置において、前記開閉体の一部又は全部が開閉体幅方向の一方へずれた状態で前記回転をした場合に、その回転するずれ部分を検知するように、ずれ検知部を設けた。
【0010】
また、開閉体のずれが巻取軸との接続箇所の近くで生じた場合には、ガイドレール等によって矯正されないため、そのような場合も効果的に作用する好ましい態様としては、前記軸が前記開閉体を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸であって、前記ずれ検知部が、前記巻取軸に巻かれた前記開閉体の一周目の部分に対応する位置に設けられる。
【0011】
また、開閉体の開放動作中は、開閉体の停止や警報を発する等の制御の必要性が少ないことから、好ましくは、前記ずれ検知部は、前記開閉体の開放動作の際に検知を行わず、前記開閉体の閉鎖動作の際に検知を行うように構成されている。
【0012】
また、開閉体の当接によるずれ検知部の損傷を軽減する観点から好ましくは、前記ずれ検知部は、回転する前記ずれ部分に当接されて一端側を撓ませるように、他端側を不動部位に固定した撓み片部と、該撓み片部の所定量の撓みにより作動して検知信号を出力するスイッチ部とを具備してなる。
【0013】
さらに、他の好ましい具体例としては、前記ずれ検知部は、回転する前記ずれ部分に当接されて一端側を撓ませるように、他端側を不動部位に固定した撓み片部と、該撓み片部の所定量の撓みにより作動して検知信号を出力するスイッチ部とを具備し、前記撓み片部は、収納方向へ回転する前記ずれ部分に当接された場合に一方向へ撓み、繰り出し方向へ回転する前記ずれ部分に当接された際には他方向へ撓むように設けられ、前記スイッチ部は、前記撓み片部の前記他方向側で前記撓み片部を受けて作動するように設けられている。
【0014】
また、スイッチ部を保護する好ましい態様としては、前記撓み片部は、前記ずれ部分に当接される部分を、開閉体幅方向において前記スイッチ部よりも前記開閉体側へ突出させる。
【0015】
また、ずれ検知部をより効果的に保護する態様としては、繰り出される前記開閉体の幅方向端部を囲んで閉鎖方向へ案内するガイドレールを備え、前記ずれ検知部は、前記ガイドレールよりも開閉体幅方向の外側に設けられる。
【0016】
また、より好ましい形態としては、前記開閉体が開閉方向に接続されたスラットを有し、前記ずれ部分は、前記スラットが開閉体幅方向へずれて突出した部分である。
【0017】
さらに、電気配線の取り回し等の観点から、好ましい形態としては、前記開閉体を開閉動作させるための駆動装置を備え、前記ずれ検知部と前記駆動装置とは、開閉体幅方向における同方向側に配設される。
【0018】
なお、本明細書中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態における上記開閉体の厚みの方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体幅方向」とは、上記開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、上記開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、上記開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
また、本明細書中において「ガイドレール底部」とは、ガイドレールにおいて、上記開閉体の幅方向の端部に対向する部分を意味する。
【0019】
以下、本発明の特に好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
この開閉装置1は、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の躯体の開口部分や内部に配設され、前記開口部分を開閉したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりするシャッター装置である。
【0020】
この開閉装置1は、閉鎖方向端部をスライドさせ空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体10(シャッターカーテン)と、該開閉体10の幅方向端部囲んで開閉方向へ案内するガイドレール20と、開閉体10をその開放方向側の軸(巻取軸32)の回りで回転させて収納し逆方向へ回転させて繰り出す収納部30とを備える。
そして、この開閉装置1は、開閉体10を構成するスラット11aが開閉体幅方向の一方へ所定量以上ずれて突出した場合に、そのことをずれ検知部40によって検知し、また、同スラット11aが開閉体幅方向の他方(逆方向)へ所定量以上ずれて突出した場合には、そのことを逆方向移動手段50を介して前記ずれ検知部40によって検知する。
【0021】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなる所謂スラット11aを、開閉体開閉方向へ複数接続することで開閉体本体11を構成し、該開閉体本体11の閉鎖方向端部側(図示例によれば下端側)に、床面や地面、枠部材等の着座対象部位aに当接させるための座板12を接続している。
この開閉体10の開放方向側の端部は、巻取軸32の巻取体32a外周面に止着され、開閉体10の幅方向側の端部は、巻取体32aの軸方向の端部から所定量突出している。
【0022】
各スラット11aは、開閉体幅方向へ連続する縦断面略凹状の部材であり、開閉体開閉方向の一端側に他のスラット11aに接続するためのカール状もしくはフック状等の接続部(図示せず)を有するとともに、その他端側には、他のスラット11aの前記接続部と掛合する被接続部(図示せず)を有する。
開閉方向に隣り合う二つのスラット11a,11aは、前記接続部と前記被接続部の接続によって、その一方が他方に対し回動可能であるとともに、その一方に対し他方を開閉体幅方向へスライドさせることが可能である。
【0023】
ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の端部を横断面略コの字状に囲む部材であり、開閉体10の開放方向側の収納部30と着座対象部位aとの間にわたって長尺状に配設されている。
このガイドレール20の開閉体開放方向側の端部には、傾斜板状のスラット矯正部21を有する。このスラット矯正部21は、スラット11aが開閉体幅方向へずれた場合であって、そのずれが後述するずれ検知部40に検知されない程度である場合に、そのスラット11aを傾斜面に沿わせて元の位置に矯正し、ガイドレール20内へ導く。
【0024】
収納部30は、収納ケース31内に、開閉体10を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸32と、該巻取軸32をベアリング35等を介して回転自在に支持する軸受ブラケット33と、巻取軸32をその軸方向の一端側に設けられたチェーン34a、スプロケット34b,34c及び開閉機34d(モータ)等によって駆動回転する駆動装置34(図3参照)と、スラット11aが開閉体幅方向へ所定量以上ずれたことを検知するずれ検知部40とを具備している。
【0025】
巻取軸32は、外周面に開閉体10の開放方向側端部を止着した略円筒状の巻取体32aと、該巻取体32aの径方向の中心側に固定されるとともに軸方向の両端側をそれぞれ軸受ブラケット33及びベアリング35によって回転自在に支持された軸本体32bとからなる。
【0026】
軸受ブラケット33は、端部側に補強のための曲げ部分を有する金属製の平板状部材であり、その中央側の貫通孔(図示せず)に巻取軸32の軸本体32bを挿通するとともに、前記貫通孔の周囲に装着したベアリング35によって軸本体32bを回転自在に支持する。
【0027】
ずれ検知部40は、開閉体10の一部のスラット11aが他のスラット11aよりも開閉体幅方向の一方へ突出し、その突出状態のスラット11aが巻取軸32の巻取体32aに巻かれるとともに巻取軸32の回転に伴って回転した場合に、その回転するスラット11aの突出するずれ部分11a1(図4(a)参照)を検知するように設けられる。
より詳細に説明すれば、このずれ検知部40は、巻取軸32の巻取体32aの軸方向端部から所定量離れて配置され、且つ、巻取軸32に巻かれた開閉体10の一周目の部分に対応するように配置されて、軸受ブラケット33に固定されている。
また、このずれ検知部40は、図2に示すように、繰り出された開閉体10を基準にして、巻取軸32と同じ側(図2によれば開閉体10の右側)に配設され、さらに、ガイドレール20よりも上方であって、かつ巻取軸32の軸本体32bよりも下方に配置される。
【0028】
そして、このずれ検知部40は、巻取軸32の回転に伴って回転するスラット11aのずれ部分11a1に当接されて一端側を撓ませるように、他端側を不動部位である軸受ブラケット33に固定した撓み片部41と、該撓み片部41の所定量の撓みにより作動して検知信号を出力するスイッチ部42とを具備する。
【0029】
撓み片部41は、スラット11aのずれ部分11a1に当接されて撓み、該当接から開放された際に元の状態に復元する長尺状の部材であり、例えば、板バネ材等として用いられる金属性材料から加工される。
そして、この撓み片部41は、巻取軸32の巻取り方向に回転するスラット11aのずれ部分11a1に当接された際に、一方向側(図2によれば斜め下方側)へ撓み、巻取軸32の繰出し方向に回転するスラット11aのずれ部分11a1に当接された際には、スイッチ部42を有する他方向側(図2によれば斜め上方側)へ撓むように設けられる。
【0030】
特に本実施の形態の好ましい一例によれば、撓み片部41は、スラット11aのずれ部分11a1に当接される部分を、スイッチ部42よりもスラット側へ突出させている。
より詳細に説明すれば、図2に示すように、撓み片部41の長さ方向において、撓み片部41は、その自由端側をスイッチ部42よりも所定量w1だけスラット11a側へ突出させている。
さらに、撓み片部41は、図4(a)に示すように、その幅方向の寸法が、スイッチ部42の幅寸法よりも大きく設定され、該撓み片部41の幅方向の一端部をスイッチ部42の幅方向の一端部よりも所定量w2だけスラット11a側へ突出させている。
これらの構成によれば、スラット11aのずれ部分11a1がスイッチ部42に当接する前に、該ずれ部分11a1を撓み片部41に当接させてスイッチ部42を作動させることができ、ひいてはスイッチ部42がスラット11aに直接当接されて破損するようなことを防ぐことができる。
【0031】
スイッチ部42は、アクチュエータ部が押動されることにより接点をONにする一般的なリミットスイッチ(マイクロスイッチともいう)であり、撓み片部41の前記他方向側(図2によれば斜め上方側)で撓み片部41を前記アクチュエータ部で受けて作動するように設けられる。
このスイッチ部42は、開閉体10の開放動作の際に検知を行わず、同開閉体10の閉鎖動作の際に検知を行うように、巻取軸32の繰出し回転方向に沿う撓み片部41の撓み方向側(図2によれば右斜め上方側)に設けられる。
【0032】
この構成によれば、開閉体10の開放動作の際には、巻取軸32が巻取り方向(図2によれば時計方向)へ回転するため、スラット11aのずれ部分11a1が撓み片部41を撓ませたとしても、その撓み方向側(図2によれば左斜め下側)にスイッチ部42がないため、ずれ部分11a1の検知が行われない。
また、開閉体10の閉鎖動作の際には、巻取軸32が繰出し方向(図2によれば反時計方向)へ回転し、スラット11aのずれ部分11a1によって撓んだ撓み片部41がスイッチ部42を作動させるため、スイッチ部42の接点信号によって警報を発したり、開閉体10の開放動作を停止したり等の制御が可能となる。
すなわち、開閉体10の開放動作中にスラット11aのずれ部分11a1を検知する構成とした場合には、その検知によって開閉体10の開放動作が停止したり開閉体10の開放動作中に警報が発したり等し、開閉体10を通過しようとする者が、その通過を阻まれることになるため、本形態ではそのようなことを防ぐようにしている。
なお、他例としては、撓み片部41とスイッチ部42の配置を逆にして、開放動作の際に検知を行い、閉鎖動作の際には検知を行わない態様としたり、撓み片部41を挟む両側にスイッチ部42を設けて、開放動作と閉鎖動作の双方において検知を行う態様としたり等することも可能である。
【0033】
また、前記構成のずれ検知部40は、ガイドレール20よりも開閉体幅方向の外側、より詳細にはガイドレール20上端のスラット矯正部21よりも開閉体幅方向の外側に設けられる。
この構成によれば、スラット11aが開閉体幅方向へ突出した場合であっても、その突出量がガイドレール20のスラット矯正部21によって矯正可能な程度である場合には、その突出をスラット矯正部21によって矯正し、そうでなければ、その突出をずれ検知部40によって検知することができる。すなわち、スラット11aの突出が自動的に矯正される場合にもずれ検知部40が作動するようなことを防ぐことができる。
【0034】
また、逆方向移動手段50は、巻取軸32に巻かれたスラット11aと巻取軸32の外周面との間において前記スラット11aに装着され、スラット11aが前記一方(図1によれば右方向)に対する逆方向(図1によれば左方向)へ移動した場合に、そのスラット11aの前記逆方向への移動力によって、被検知体52を、スラット11aの前記逆方向への移動量よりも多く前記一方へ移動させて突出させる装置である(図4及び図5参照)。
【0035】
より詳細に説明すれば、この逆方向移動手段50は、スラット11aに固定される基台51と、該基台51に対し開閉体幅方向へ移動するように設けられた前記被検知体52と、この被検知体52の移動方向と略平行して移動するように設けられた動滑車部53と、該動滑車部53と一体的に設けられ前記逆方向への移動により巻取軸32に係止される係止片部54と、一端部を前記基台51に止着するとともに他端部を前記被検知体52に止着しこれら一端部と他端部の間が動滑車部53の前記一方側(図5によれば右側)に掛け回された紐状部材55とを備える。
【0036】
基台51は、図示例によれば、金属性の板状部材を補強のために断面コ字状に曲げた形状を呈し、スラット11aの開閉体幅方向の端部側であって、該スラット11a裏側の凹状部分に、ねじ止めやリベット止め、溶接等の止着手段によって止着される。
【0037】
被検知体52は、開閉体幅方向へ長尺な部材であり、基台51に相対し、開閉体幅方向へ所定量移動するように係合している。
【0038】
動滑車部53は、基台51に対し、回転自在であって且つ開閉体幅方向へ所定量移動するように係合した滑車状の部材である。
この動滑車部53は、基台51に対し、直接支持されていてもいいし、後述する係止片部54を介して間接的に支持されていてもよい。
【0039】
係止片部54は、動滑車部53と一体的に開閉体幅方向へ移動するように設けられる。この係止片部54は、スラット11aが開閉体幅方向における前記逆方向(図示の左方向)へ移動した場合に、巻取軸32の巻取体32aの端部に当接するように形成され、図示例によれば、L字状に形成される。
【0040】
紐状部材55は、適当な強度と柔軟性を有する長尺状部材であり、例えば紐や、ワイヤー等により構成される。
【0041】
上記構成の逆方向移動手段50によれば、図4(b)に示すように、スラット11aが前記逆方向(図示例によれば左方向)へ移動すると、該逆方向移動手段50の係止片部54が、巻取軸32に係止され、図5(a)(b)に示すように、この係止片部54及び動滑車部53が基台51に相対して前記一方(図示例によれば右方向)へ移動するとともに、被検知体52が動滑車部53の移動量の略倍の量前記一方へ移動する。
したがって、被検知体52が、他のスラット11aよりも前記一方へ突出し、巻取軸32の回転に伴って回転した際に、ずれ検知部40の撓み片部41に当接することになる。
【0042】
この逆方向移動手段50は、複数のスラット11aのうちの全部に設けてもよいし、一部に設けるようにしてもよいが、少なくとも巻取軸32に巻かれた開閉体10の一周目となるスラット11aに設けられるのが好ましい。
【0043】
よって、上記構成の開閉装置1によれば、当該開閉装置1の開閉動作時の振動等に起因して、複数のスラット11aのうち、一部のスラット11aが開閉体幅方向の一方と他方の何れにずれて突出した場合であっても、そのことを共通のずれ検知部40によって検知することができ、さらには、その検知に応じて警報を発したり、開閉体10の開閉動作を停止したり等の制御が可能である。
【0044】
なお、上記構成の開閉装置1は、複数のスラット11aから開閉体10を構成したスラットシャッターの一例を示したが、他例としては、リンクで連結された複数のパイプにより開閉体を構成したパイプシャッターや、可撓性のシートや網で開閉体を構成したシートシャッター、パネルの両端部をチェーン等で吊持つようにしたパネルシャッター等とすることも可能である。
すなわち、開閉体10は、スラット以外の部材(例えば、シート材や、網、パイプ、パネル状部材等)や、スラット及びスラット以外の部材を適宜に組み合わせた態様とすることが可能である。
【0045】
また、巻取軸32は、上記実施の形態によれば、回転自在に支持された軸本体32bと一体的に巻取体32aを有する態様としたが、他例としては、回転不能に支持された軸本体の周囲を巻取体が回転自在に回転する態様とすることも可能である。
【0046】
また、ずれ検知部40は、上記実施の形態によれば、軸受ブラケット33に設けるようにしたが、他例としては、軸受ブラケット33以外の不動部位(例えば収納ケース31等)に固定した態様とすることも可能である。
【0047】
また、ずれ検知部40は、上記実施の形態によれば、スラット11aのずれ部分11a1を接触感知する構成としたが、他例としては、スラット11aのずれ部分11a1を非接触式センサ(例えば光電管や近接センサ等)を用いて非接触感知する構成とすることも可能である。同様に、ずれ検知部40を構成するスイッチ部42を前記非接触式センサとすることも可能である。
【0048】
また、上記構成のずれ検知部40は、スラット11aのずれ部分11a1を、撓み片部41を介して間接的に検知することで、当該ずれ検知部40の損傷を防ぐようにしたが、コスト低減の観点からは、上記ずれ検知部40から撓み片部41を省き、スイッチ部42のアクチュエータ部によって直接スラット11aのずれ部分11a1を検知する構成とすることも可能である。
【0049】
また、図示例では、特に好ましい形態として、開閉体10のずれ部分11a1と被検知体52との双方を、共通のずれ検知部40によって検知するようにしたが、他例としては、ずれ部分11a1と被検知体52とを、それぞれ別の二種類の検知部によって検知するようにしてもよい。
この場合、前記二種類の検知部は、被検知体52の突出量を異ならせた態様や、一方を接触式センサにするとともに他方を非接触式センサとした態様等とすればよい。
このような構成によれば、前記二種類の検知部の検知信号により、開閉体10がどちらに横ずれしたのかを判断するとともに、その判断結果を、履歴情報として記憶したり、利用者へ報知したり等することが可能となる。
【0050】
また、前記のように二種類の検知部を設ける場合、これら二種類の検知部は、開閉体幅方向の一方のみに設ければよいが、他例として、開閉体幅方向の両側に分けて設けることも可能である。後者の場合、スラット11aの一方向側のみの横ずれを、前記二種類の検知部により二重に検知することになるが、例えば、前記一方向側に例えば開閉機制御部等の精密部品があり、該精密部品の保護のために、前記一方向側の横ずれの検知性能を向上する必要がある場合等に、有効である。
【0051】
なお、開閉装置として、一方への横ずれのみを検知することで足りる場合、逆方向移動手段50を省いて、スラット11aの横ずれを感知するためのずれ検知部40を有する構成とすればよいが、この場合、ずれ検知部40は横ずれを生じることが予想される側に設ける必要がある。しかし、当該側にずれ検知部40を設けることが不都合な場合、例えば当該側に配置された何らかの部材が邪魔になる場合や該部材により組立等が煩雑なる場合等には、当該側にずれ検知部40を設ける代わりに、当該側の反対側に逆方向移動手段50及び該逆方向移動手段50の被検知体52を検知するずれ検知部40を備えることで対応することができる。
【0052】
また、前記したように共通のずれ検知部40を設ける場合、このずれ検知部40は、制御信号線等を短くして簡素な配線とする観点より、開閉体幅方向における駆動装置34(より詳細には駆動装置34の制御回路)を有する側に設けるのが好ましい(図3参照)。
また、前記したように二種類の検知部を開閉体幅方向の一方側のみに設ける場合も、これら二種類の検知部は、開閉体幅方向における駆動装置34を有する側に設けるのが好ましい。
特に、逆方向移動手段50を検知するためのずれ検知部40は、前記観点より、開閉体幅方向における駆動装置34側に配置するのが好ましく、仮にこのようにしない場合には、駆動装置34側でない逆方向側にずれ検知部40を設けることになり、制御信号線等が長くなってしまう。
【0053】
また、逆方向移動手段50は、上記実施の形態によれば、動滑車部53が回転しながら紐状部材55を案内する態様としたが、より簡素な構造の他例としては、上記構成の紐状部材55を回転不能にし、該動滑車部53により紐状部材55を滑らせて案内する構成とすることも可能である。
【0054】
また、逆方向移動手段50は、スラット11aが前記一方に対する逆方向へ移動した場合に、被検知体52を前記一方へ突出させてずれ検知部40に検知させる構成とすればよく、上記実施の形態では、滑車機構を利用した態様としたが、他例としては、歯車機構を利用した態様や、リンク機構を利用した態様、ラックとピニオンによる機構を利用した態様等とすることも可能である。
【0055】
また、上記実施の形態によれば、逆方向移動手段50の係止片部54を巻取体32aの端部に当接させる構成としたが、他例としては、逆方向移動手段50の係止片部54を、開閉体10における横ずれを生じない部分や、開閉体10に付属する部材(例えばガイドレール20から開閉体10が引き抜けるのを防止する抜止部材や、当該開閉装置をパネルシャッターとした場合において開閉体構成用のパネルを吊持するチェーン等)に当接させる構成とすることも可能である。
【0056】
また、上記実施の形態では、スラット11aに逆方向移動手段50を設けたが、他例としては、巻取体32aの端部に、スラット11aの前記逆方向への移動によって被検知体を前記一方へ突出させる逆方向移動手段を設けることも可能である。
【符号の説明】
【0057】
1:開閉装置 10:開閉体
11:開閉体本体 11a:スラット
11a1:ずれ部分 32:巻取軸
32a:巻取体 32b:軸本体
33:軸受ブラケット 34:駆動装置
40:ずれ検知部 41:撓み片部
42:スイッチ部 50:逆方向移動手段
51:基台 52:被検知体
53:動滑車部 54:係止片部
55:紐状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体を備え、該開閉体をその開放方向側の軸の回りで回転させて収納し、逆方向へ回転させて繰り出すようにした開閉装置において、
前記開閉体の一部又は全部が開閉体幅方向の一方へずれた状態で前記回転をした場合に、その回転するずれ部分を検知するように、ずれ検知部を設けたことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記軸が前記開閉体を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸であって、
前記ずれ検知部が、前記巻取軸に巻かれた前記開閉体の一周目の部分に対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記ずれ検知部は、前記開閉体の開放動作の際に検知を行わず、前記開閉体の閉鎖動作の際に検知を行うように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記ずれ検知部は、回転する前記ずれ部分に当接されて一端側を撓ませるように、他端側を不動部位に固定した撓み片部と、該撓み片部の所定量の撓みにより作動して検知信号を出力するスイッチ部とを具備してなることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の開閉装置。
【請求項5】
前記ずれ検知部は、回転する前記ずれ部分に当接されて一端側を撓ませるように、他端側を不動部位に固定した撓み片部と、該撓み片部の所定量の撓みにより作動して検知信号を出力するスイッチ部とを具備し、
前記撓み片部は、収納方向へ回転する前記ずれ部分に当接された場合に一方向へ撓み、繰り出し方向へ回転する前記ずれ部分に当接された際には他方向へ撓むように設けられ、
前記スイッチ部は、前記撓み片部の前記他方向側で前記撓み片部を受けて作動するように設けられていることを特徴とする請求項3記載の開閉装置。
【請求項6】
前記撓み片部は、前記ずれ部分に当接される部分を、開閉体幅方向において前記スイッチ部よりも前記開閉体側へ突出させていることを特徴とする請求項4又は5記載の開閉装置。
【請求項7】
繰り出される前記開閉体の幅方向端部を囲んで閉鎖方向へ案内するガイドレールを備え、
前記ずれ検知部は、前記ガイドレールよりも開閉体幅方向の外側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載の開閉装置。
【請求項8】
前記開閉体が開閉方向に接続されたスラットを有し、
前記ずれ部分は、前記スラットが開閉体幅方向へずれて突出した部分であることを特徴とする請求項1乃至7何れか1項記載の開閉装置。
【請求項9】
前記開閉体を開閉動作させるための駆動装置を備え、
前記ずれ検知部と前記駆動装置とは、開閉体幅方向における同方向側に配設されていることを特徴とする請求項1乃至8何れか1項記載の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−241342(P2012−241342A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109814(P2011−109814)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【出願人】(398057396)文化シヤッターサービス株式会社 (7)
【Fターム(参考)】