説明

開閉装置

【課題】 シート状の開閉体を備えた開閉装置特有の問題に対処し、開閉体の閉鎖動作をスムーズにする。
【解決手段】 空間を仕切るようにスライドして閉鎖動作する開閉体10と、該開閉体10をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取体31とを備え、前記開閉体10の一部分に、透明又は透光性の可撓性シート材料からなる窓部13を形成した開閉装置において、前記窓部13の開閉体開閉方向の長さL2を、前記巻取体31の外周長さよりも短くした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールスクリーンや、オーニング装置、シャッター装置等の開閉装置に関し、特に、開閉体の一部分に可撓性の窓部を備えた開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、特許文献1に記載されたもののように、空間を仕切るようにスライドして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取体とを備え、前記開閉体の一部分に、透光性の可撓性シート材料からなる窓部を形成した防災用シャッター装置がある。
この防災用シャッター装置によれば、災害時等に、開閉体を全閉して炎や煙の蔓延を防ぐことができる上、この全閉状態においても窓部を通して開閉体の向こう側を視認することができる。
【0003】
しかしながら、前記従来技術によれば、前記窓部が凹凸の少ない平坦状の透明シート材料からなるため、開閉体を巻取体に巻き取った際に、前記窓部が巻き重なり密着し、剥がれ難くなってしまう可能性がある。このような場合には、閉鎖動作のために巻取体から開閉体を繰出す際の動作に支障をきたすおそれがある。
また、シート状の開閉体は、その上端部が巻取体の外周に止着されているが、その止着部分が引っ張られて外れてしまうのを防ぐために、全閉状態であっても巻取体に1周以上巻かれた捨巻き部分を有し、この捨巻き部分によって前記止着部分に加わる引張荷重を緩和している。しかし、前記捨巻き部分は、空間を仕切るという開閉体本来の機能を有する部分でないため、極力少なくすることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−27776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述したように、シート状の開閉体を備えた開閉装置特有の問題に対処することを課題とするものである。すなわち、具体的には、巻き重なった窓部が密着して剥がれ難くなるのを防ぐこと、開閉体の捨巻き部分を少なくすること、開閉体と巻取体との接続強度を向上すること、開閉体の捨巻き部分において巻き重なった部分が剥がれ難くなるのを防ぐこと、閉鎖動作をスムーズに行うこと等、が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための技術的手段は、空間を仕切るようにスライドして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取体とを備え、前記開閉体の一部分に、透明又は透光性の可撓性シート材料からなる窓部を形成した開閉装置において、前記窓部の開閉体開閉方向の長さを、前記巻取体の外周長さよりも短くしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
開閉体を巻取体に巻き取った際に、窓部同士が巻き重なる部分が発生しないので、巻き重なった窓部が密着して剥がれなくなるようなことを防ぐことができ、ひいては、開閉体の閉鎖動作をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
【図2】同開閉装置の要部を示す縦断面図である。
【図3】捨巻き部の他例を示す縦断面図である。
【図4】窓部の表面形状の他例を示す要部正面図である。
【図5】窓部の表面形状の他例を示す要部正面図である。
【図6】窓部の表面形状の他例を示す要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための第1の形態では、空間を仕切るようにスライドして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取体とを備え、前記開閉体の一部分に、透明又は透光性の可撓性シート材料からなる窓部を形成した開閉装置において、前記窓部の開閉体開閉方向の長さを、前記巻取体の外周長さよりも短くした。
【0010】
さらに、第2の形態では、前記窓部の少なくとも一方の面に凹凸を設けた。
この形態によれば、開閉体が巻取体に巻かれた際に、窓部が窓部以外の部分に巻き重なって貼り付くのを防ぐことができる。
【0011】
さらに、第3の形態では、前記開閉体の開放方向側の部分に、前記開閉体の全閉状態で前記巻取体の外周面に接触するように、可撓性シート材料からなる捨巻き部を設け、前記捨巻き部は、少なくとも前記巻取体の外周面に接触する面が、前記開閉体における前記捨巻き部より閉鎖方向側の部分よりも、前記巻取体の外周面に対する密着性が高くなるように形成さている。
この形態によれば、捨巻き部が巻取体外周面に対し密着して保持されるため、該捨巻き部の長さを短くしても、巻取体に対する開閉体の接続強度を比較的高く維持することができる。
【0012】
さらに、第4の形態では、前記捨巻き部は、少なくとも前記巻取体の外周面に接触する面が、前記開閉体における前記捨巻き部より閉鎖方向側の部分よりも凹凸の少ない平坦面状に形成されている。
この形態によれば、凹凸の少ない平坦面状の捨巻き部により、巻取体外周面に対する密着性を効果的に高めることができ、開閉体の巻取体に対する接続強度を高めることができる。
【0013】
さらに、第5の形態では、前記捨巻き部は、前記巻取体に巻かれた際に外周側となる面が、その逆側の面よりも凹凸の多い面に形成されている。
この形態によれば、開閉体が巻取体に巻かれた際に、捨巻き部に開閉体の捨巻き部以外の部分が貼り付くのを防ぐことができる。
【0014】
さらに、第6形態では、前記捨巻き部の開閉体開閉方向の長さを、前記巻取体外周の1/4周以上1周未満の範囲内とした。
この形態によれば、開閉体が巻取体に巻かれた際に、捨巻き部を巻取体外周面に効果的に密着させることができる。すなわち、前記長さが1/4周以下の場合は、捨巻き部の密着による巻取体と開閉体との十分な接続強度を確保しにくい。また、前記長さが1周以上の場合には、捨巻き部同士で巻き重なる部分が発生するため、その巻き重なり部分が剥がれ難く、開閉体の繰出しに支障をきたすおそれがある。
なお、より好ましい形態としては、前記捨巻き部の開閉体開閉方向の長さを、前記巻取体の1/2周以上1周未満の範囲内とし、さらに好ましくは、前記長さを前記巻取体の略1/2周とする。
【0015】
さらに、第7の形態では、前記捨巻き部は、前記開閉体の開閉方向の略全長にわたる本体シート部における開放方向側の部分であって、且つ前記巻取体に巻かれた際に内周側となる面に、前記本体シート部よりも巻取体外周面に対する密着性の高いシート材を積層してなる。
この形態では、捨巻き部の強度や製造性を向上することができる。
【0016】
さらに、第8の形態では、前記窓部の凹凸は、開閉体面において一方向へ連続する凸部と、同開閉体面において前記凸部に交差する方向へ連続する凸部とを、それぞれ間隔を置いて複数配設してなる略網目模様状に形成されている。
この形態では、開閉体が巻取体に巻かれた際に、窓部が窓部以外の部分に巻き重なって貼り付くのを、効果的に防ぐことができる。
【0017】
さらに、第9の形態では、前記窓部の凹凸は、開閉体幅方向へ連続して開閉体面から突出する凸部を、開閉体開閉方向に間隔を置いて複数設けてなる。
この形態では、開閉体が巻取体に巻かれた際に、窓部が窓部以外の部分に巻き重なって貼り付くのを、効果的に防ぐことができる。
【0018】
さらに、第10の形態では、前記窓部の凹凸は、開閉体開閉方向へ連続して開閉体面から突出する凸部を、開閉体幅方向に間隔を置いて複数設けてなる。
この形態では、開閉体が巻取体に巻かれた際に、窓部が窓部以外の部分に巻き重なって貼り付くのを、効果的に防ぐことができる。
【0019】
さらに、第11の形態では、前記窓部の凹凸は、開閉体面から突出する凸部を、開閉体幅方向及び開閉体開閉方向に間隔を置いて複数設けてなる。
この形態では、開閉体が巻取体に巻かれた際に、窓部が窓部以外の部分に巻き重なって貼り付くのを、効果的に防ぐことができる。
【0020】
また、上記形態の一部は、先の形態の構成要件を具備しない独立した発明とすることも可能である。
すなわち、この独立した発明の一つは、空間を仕切るようにスライドして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取体とを備え、前記開閉体の一部分に、透明又は透光性の可撓性シート材料からなる窓部を形成した開閉装置において、前記窓部の少なくとも一方の面に凹凸を設ける。
この発明によれば、巻取体に開閉体を巻き取った際に、窓部が一周以上巻き重ねられて密着し剥がれ難くなるようなことや、窓部と開閉体における該窓に巻き重なった部分とが密着し剥がれ難くなるようなことを防ぎ、閉鎖動作をスムーズに行うことができる。
【0021】
また、他の独立した発明では、空間を仕切るようにスライドして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取体とを備え、前記開閉体の一部分に、透明又は透光性の可撓性シート材料からなる窓部を形成した開閉装置において、前記開閉体の開放方向側の部分に、前記開閉体の全閉状態で前記巻取体の外周面に接触するように、可撓性シート材料からなる捨巻き部を設け、前記捨巻き部は、少なくとも前記巻取体の外周面に接触する面が、前記開閉体における前記捨巻き部より閉鎖方向側の部分よりも、前記巻取体の外周面に対する密着性が高くなるように形成されている。
この発明によれば、捨巻き部が巻取体外周面に対し密着して保持されるため、該捨巻き部の長さを短くしても、巻取体に対する開閉体の接続強度を比較的高く維持することができる。
【0022】
なお、本明細書中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の上記開閉体の厚さ方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、上記開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0023】
以下、上記形態の特に好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0024】
開閉装置Aは、上下方向のスライドにより空間を仕切ったり開放したりする開閉体10と、該開閉体10をその左右両側で開閉方向へ導くガイドレール20と、該開閉体10をその開放方向側の巻取体31によって巻き取ったり繰り出したりする収納部30とを備え(図1参照)、開閉体10を遮煙性の、好ましくは耐火性(難燃性を含む)の可撓性シート材料によって構成した防災用シャッター装置である。
【0025】
開閉体10は、図2に示すように、該開閉体10の全閉状態で巻取体31の外周面に接触するように該開閉体10の開放方向側の部分に設けられた捨巻き部11と、該捨巻き部11の開閉体閉鎖方向側に接続されるとともに全閉時に躯体開口部の略全面を仕切る本体シート部12と、該本体シート部12における開閉方向の途中部分に設けられた窓部13と、本体シート部12の最下端部に接続された座板部材14と、本体シート部12及び窓部13における幅方向の端部側に設けられた抜止部材15とから構成される。
【0026】
捨巻き部11は、開閉体10が全閉した状態(図2参照)で、巻取体31の外周に巻き残される部分である。この捨巻き部11は、開閉体開放方向側の端部に挿通される止着具11cによって、巻取体31に止着され、この止着部分から開閉体閉鎖方向側の部分の略全内面を、巻取体31外周面に密接させている。
この捨巻き部11の開閉体幅方向の寸法は、巻取体31の軸方向長さと略同程度に設定される。
【0027】
また、捨巻き部11の開閉体開閉方向の寸法L1は、巻取体31外周の1/4周以上1周未満の範囲内の長さとされ、図示例では、巻取体31外周の略1/2周の長さとしている。
図示例の寸法(略1/2周)によれば、捨巻き部11と本体シート部12との接続箇所が、捨巻き部11における巻取体31に対する止着箇所(止着具11c)から最大限に離れた位置となり、開閉体10の全閉時において、巻取体31外周の上半部に捨巻き部11が自重によって密着することになり、必要最小限の長さの捨巻き部11により、該捨巻き部11の巻取体31に対する密着性を効果的に高めることができる。
【0028】
この捨巻き部11において、巻取体31の外周面に接触する面11aは、本体シート部12よりも、巻取体31の外周面に対する密着性が高くなるように形成さている。
より具体的に説明すれば、この捨巻き部11は、例えば塩化ビニールシート等の可撓性シート材料からなり、巻取体31に巻かれた状態で内周側となる面11aが、本体シート部12の面よりも凹凸の少ない平坦面状に形成されている。
【0029】
この捨巻き部11において、巻取体31に巻かれた状態で外周側となる面11bは、前記内周側となる面11aよりも凹凸の多い面に形成されている。この凹凸は、前記外周側となる面11bに、複数の突起11b1を一体成形してなる。この突起11b1は、後述する窓部の突起13a,13b,16a,17a,18a(図1〜2,及び図4〜6参照)と略同様に、開閉体開閉方向に間隔を置いた横縞状の複数の突起や、開閉体幅方向に間隔を置いた縦縞状の複数の突起、クロスハッチング状の複数の突起、開閉体開閉方向及び開閉体幅方向に間隔を置いた複数の突起等とすればよい。
【0030】
また、本体シート部12は、例えば、ガラスクロスやシリカクロス等の難燃性布地や、フッ素加工を施した塩化ビニル樹脂シート材、ガラス繊維を含んだ合成樹脂シート材等、遮煙性、必要に応じ耐火性(難燃性を含む)の可撓性シート材料によって構成される。
この本体シート部12は、後述する窓部13の上側に位置する部分12aと、窓部13の下側に位置する部分12bとからなり、それぞれの部分は、上記捨巻き部11と略同じ幅に形成されている。
【0031】
窓部13は、開閉体10の全閉状態においても開閉体10の向こう側を視認させるための部材であり、本体シート部12と略同じ幅の透明又は透光性の可撓性シート材料(例えば塩化ビニールシート等)からなる。
この窓部13の開閉体開閉方向の長さL2は、巻取体31の1周分の外周長さよりも若干短くなるように設定される。
また、窓部13の少なくとも一方の面(図示例によれば両面)には、凹凸が設けられている。この凹凸は、図1及び図2に示す一例によれば、開閉体10の表面と裏面のそれぞれにおいて、開閉体幅方向へ連続する凸部13aと、同開閉体面において前記凸部13aに交差する方向へ連続する凸部13bとを、それぞれ間隔を置いて複数配設してなる略網目模様状に形成されている。
【0032】
座板部材14は、開閉体10における幅方向の略全長にわたって本体シート部12の下側部分12bの下端に接続され、開閉体10による閉鎖性を良好にするとともに、その自重により本体シート部12を下方へ引っ張って、本体シート部12及び窓部13に撓みや皺等が発生するのを防ぐ。
この座板部材14は、例えば、本体シート部12の下端に断面袋状の部分を形成し、この袋状部分に錘体を内在することで構成される。
【0033】
また、抜止部材15は、本体シート部12及び窓部13における開閉体幅方向の両端側の各々に、開閉体開閉方向に間隔を置いて、あるいは必要に応じ連続して、単数又は複数固定されている。これら抜止部材15は、開閉体厚さ方向へ突出しガイドレール20内に係合することで、開閉体10がガイドレール20から開閉体幅方向へ抜けてしまうのを防止する。
【0034】
また、ガイドレール20は、開閉体10の開閉体幅方向の端部を囲む断面略コ字状の部材であり、開閉体開閉方向へわたって長尺状に設けられている。
【0035】
また、収納部30は、収納ケース32内で巻取体31を回動させるように構成される。この収納部30は、前記巻取体31により開閉体10を巻き取ったり巻き戻したりすることで、収納ケース32内へ開閉体10を収納したり、収納ケース32外へ開閉体10を繰り出したりする。
【0036】
なお、この収納部30内の機構は、モータ等の電動駆動源により巻取体31を回動させる機構とすればよいが、災害等による停電の際でも、開閉体10を閉鎖できるようにする観点から、錘体や開閉体10の自重により巻取体31を回動させる機構や、スプリング等の付勢部材の付勢力により巻取体31を回動させる機構等を、併用した構造とするのが好ましい。
【0037】
次に、上記構成の開閉装置Aについて、その作用効果を詳細に説明する。
開閉体10を巻取体31に巻き取って躯体開口部を全開した状態から、防災信号等に応じて、巻取体31が繰出し方向(図2によれば時計方向)へ回転すると、開閉体10は、巻取体31外周面に巻かれた状態から下方へ繰り出されて閉鎖動作する。
この閉鎖動作中、窓部13の開閉体開閉方向の長さL2が、巻取体31の外周長さよりも短く設定されているため、窓部13が巻取体31に1周以上巻かれて重なり合い、その重なり合い部分で密着して剥がれ難くなるようなことがない。
しかも、窓部13の表裏面には、複数の凸部13aからなる凹凸が形成されているため、前記のような重なり合いによる密着以外に、窓部13の内面又は外面が本体シート部12面に密着して剥がれ難くなるようなことや、窓部13の開閉体10上端よりに配置した場合に窓部13の内面が巻取体31外周面に密着して剥がれ難くなるようなこと等を防ぐことができる。
よって、開閉体10の閉鎖動作をスムーズに行うことができる。
【0038】
さらに、図2に示すように、開閉体10の全閉状態では、開閉体10上端側の捨巻き部11が、巻取体31から繰り出されずに、巻取体31外周面の上半部側に密着するため、巻取体31に対する捨巻き部11の止着箇所(止着具11c)に加わる荷重を軽減することができ、ひいては、火災時の熱影響により、前記止着箇所が溶融や破損等した場合でも、開閉体10の落下を防ぐことができる。
その上、捨巻き部11の外周面を、複数の突起11b1からなる凹凸状に形成しているため、捨巻き部11の外周面に巻かれた本体シート部12及び窓部13が、捨巻き部11から剥がれ難くなって、開閉体10の繰出し動作に支障をきたすようなことも防げる。
【0039】
なお、上記開閉装置Aによれば、捨巻き部11の閉鎖方向端部に、本体シート部12の開放方向側端部を重ね合わせて接続するようにしたが(図2参照)、他例としては、図3に示すように、前記捨巻き部11を捨巻き部11’に置換した構成としてもよい。
図3に示す捨巻き部11’は、本体シート部12における開放方向側の部分であって、且つ巻取体31に巻かれた際に内周側となる面に、本体シート部12よりも表面の凹凸が少なく巻取体31外周面に対する密着性の高いシート材を積層すること構成される。
前記シート材は、例えば塩化ビニールシート等の合成樹脂製シートであり、本体シート部12の内周側の面に接着剤を介して固定されたものでもよいし、前記内周側の面に対し溶融接着によって積層されたものであってもよい。
よって、図3に示す構造によれば、開閉体10における捨巻き部11’の生産性及び強度等を向上することができる。
【0040】
また、上記開閉装置Aによれば、窓部13を略網目模様状の凹凸に形成したが、他例としては、前記窓部13を、図4に示す窓部16、図5に示す窓部17、又は図6に示す窓部18に置換してもよい。
【0041】
図4に示す窓部16の凹凸は、開閉体幅方向へ連続して開閉体面から突出する凸部16aを、窓部16の片面又は両面に、開閉体開閉方向に間隔を置いて複数設けてなる。
この窓部16によれば、開閉体幅方向へ連続する凸部16aを複数有するため、特に、全閉時において、開閉体10が内外の圧力差によって横断面略弓状に撓むようなことを、開閉体幅方向へ連続する凸部16aによって抑制することができ、ひいては開閉体10による全閉時の閉鎖性を向上することができる。
【0042】
図5に示す窓部17の凹凸は、開閉体開閉方向へ連続して開閉体面から突出する凸部17aを、窓部17の片面又は両面に、開閉体幅方向に間隔を置いて複数設けてなる。
この窓部17によれば、凸部17aが開閉体開閉方向へ連続して形成されているため、開閉体10を比較的高速で閉鎖した場合でも、窓部17部分に皺や撓みを生じ難く、スムーズな閉鎖動作が可能である。
【0043】
図6に示す窓部18の凹凸は、開閉体面から突出する略円板状の凸部18aを、窓部18の片面又は両面に、開閉体幅方向及び開閉体開閉方向に間隔を置いて複数設けてなる。
この窓部18によれば、開閉体10を巻取体31に巻き取って全開した際に、窓部18の凹凸面と、開閉体10における前記凹凸面に重なり合う面との間に、開閉体幅方向及び開閉体開閉方向へ連通する多数の空隙が形成されるため、その巻き重なり部分が密着して剥がれ難くなるようなことを効果的に防ぐことができ、ひいては、開閉体10を閉鎖動作を特にスムーズに行うことができる。
【0044】
なお、上記実施例によれば、単数の窓部13を開閉体10の幅方向の略全長にわたるように形成したが、他例としては、単数もしくは複数の窓部13を開閉体10の幅方向において部分的に形成するようにすることも可能である。
【0045】
また、上記実施例によれば、窓部13を開閉体10の開閉方向へ単数設けるようにしたが、他例としては、窓部13を開閉体10の開閉方向へ複数設けるようにしてもよく、この場合、複数の窓部の開閉体開閉方向の合計長さ、巻取体31の外周長さよりも短くするのが好ましい。
さらに、他例としては、窓部13を開閉体10の開閉方向へ複数設け、開閉方向へ隣り合う二つの窓部13のうち、少なくともその一方の窓部における片面又は両面に、凹凸を設けるようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施例によれば、捨巻き部11の外周側の面を、その逆側の面よりも凹凸の多い面にした一例として、捨巻き部11の外周側の面に複数の凸部13aを形成したが、他例としては、捨巻き部11の外周側の面をその内周側の面よりも表面粗さを大きい面に形成するようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施例によれば、開閉体10の略全面を可撓性シート材により形成したが、他例としては、開閉体10の一部分を可撓性シート材により形成し、他の部分をスラットや、パイプ、パネル、ネット状物、又はこれらを組み合わせた物等によって形成することも可能である。
【0048】
また、上記実施例によれば、開閉体10の幅方向の端部に抜止部材15を設け、特に遮煙性能が良好で気密性等の高い防災用シャッター装置を構成したが、他例としては、遮煙性や耐火性までは要求されずに単に開口部を閉鎖する構成であってもよく、例えば、抜止部材45を備えていないかあるいは備えていても抜止性能が上記実施例よりも劣る構成や、ある程度の空気等の流通を許容して開口部を閉鎖するようにした構成等とすることも可能であり、利用目的は任意である。
【0049】
また、上記開閉装置には、必要に応じて、開閉体の閉鎖方向側に進入する障害物を感知する障害物感知装置を設け、該障害物感知装置の感知装置に応じて、開閉体の閉鎖動作を停止したり、反転させたり等することも可能である。
【符号の説明】
【0050】
10:開閉体 11,11’:捨巻き部
12:本体シート部 13,16,17,18:窓部
13a,13b,16a,17a,18a:凸部
20:ガイドレール 31:巻取体
A:開閉装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにスライドして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取体とを備え、前記開閉体の一部分に、透明又は透光性の可撓性シート材料からなる窓部を形成した開閉装置において、
前記窓部の開閉体開閉方向の長さを、前記巻取体の外周長さよりも短くしたことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記窓部の少なくとも一方の面に凹凸を設けたことを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記開閉体の開放方向側の部分に、前記開閉体の全閉状態で前記巻取体の外周面に接触するように、可撓性シート材料からなる捨巻き部を設け、
前記捨巻き部は、少なくとも前記巻取体の外周面に接触する面が、前記開閉体における前記捨巻き部より閉鎖方向側の部分よりも、前記巻取体の外周面に対する密着性が高くなるように形成さていることを特徴とする請求項2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記捨巻き部は、少なくとも前記巻取体の外周面に接触する面が、前記開閉体における前記捨巻き部より閉鎖方向側の部分よりも凹凸の少ない平坦面状に形成されていることを特徴とする請求項3記載の開閉装置。
【請求項5】
前記捨巻き部は、前記巻取体に巻かれた際に外周側となる面が、その逆側の面よりも凹凸の多い面に形成されていることを特徴とする請求項3又は4記載の開閉装置。
【請求項6】
前記捨巻き部の開閉体開閉方向の長さを、前記巻取体外周の1/4周以上1周未満の範囲内としたことを特徴とする請求項3乃至5何れか1項記載の開閉装置。
【請求項7】
前記捨巻き部は、前記開閉体の開閉方向の略全長にわたる本体シート部における開放方向側の部分であって、且つ前記巻取体に巻かれた際に内周側となる面に、前記本体シート部よりも巻取体外周面に対する密着性の高いシート材を積層してなることを特徴とする請求項3乃至6何れか1項記載の開閉装置。
【請求項8】
前記窓部の凹凸は、開閉体面において一方向へ連続する凸部と、同開閉体面において前記凸部に交差する方向へ連続する凸部とを、それぞれ間隔を置いて複数配設してなる略網目模様状に形成されていることを特徴とする請求項2乃至7何れか1項記載の開閉装置。
【請求項9】
前記窓部の凹凸は、開閉体幅方向へ連続して開閉体面から突出する凸部を、開閉体開閉方向に間隔を置いて複数設けてなることを特徴とする請求項2乃至7何れか1項記載の開閉装置。
【請求項10】
前記窓部の凹凸は、開閉体開閉方向へ連続して開閉体面から突出する凸部を、開閉体幅方向に間隔を置いて複数設けてなることを特徴とする請求項2乃至7何れか1項記載の開閉装置。
【請求項11】
前記窓部の凹凸は、開閉体面から突出する凸部を、開閉体幅方向及び開閉体開閉方向に間隔を置いて複数設けてなることを特徴とする請求項2乃至7何れか1項記載の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−47429(P2013−47429A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186566(P2011−186566)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)