説明

間接活線把持工具

【課題】 把持部にて種々の断面サイズを有する被把持物を把持できる間接活線把持工具を提供する。
【解決手段】 本発明は、把持部の可動把持片および固定把持片において、これらの少なくとも湾曲内面に弾性部材を配し、前記可動把持片を前記固定把持片に接近させて被把持物を把持する場合に、前記各把持片の互いに対向する湾曲内面と当該被把持物との間に当該弾性部材が介在し、これによって当該被把持物が支持固定されるようにした間接活線把持工具に関する。前記弾性部材は、さらに前記各把持片の把持面をそれぞれ被覆する被覆部を備えることができる。前記弾性部材は、前記各被覆部と、その間を連結する連結体部とで形成でき、また前記各把持片を互いに接近させた場合に、これらの湾曲内面によって形成される開口空間を充填、密閉するように形成してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の断面サイズの被把持物を把持できる間接活線把持工具に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、高圧架空電線の保守作業などにおいて使用される間接活線把持工具の一例としての絶縁ヤットコ(以下、単にヤットコという。)の構成例を示している。このヤットコ30は、固定把持片34、可動把持片36および枢軸38を有する把持部33を先端に備え、基端側を操作端32とする絶縁操作棒31と、操作端32に設けられている操作レバー40と、当該操作レバー40と把持部33の可動把持片36とを連結する連結棒39とから主に構成されている。この構成により、作業者は絶縁操作棒31の操作端32を持ち、操作レバー40を操作することで(図6中、A方向)、連結棒39が操作レバー側に移動して(図6中、B方向)その先端の可動把持片36を固定把持片34に向かって接近し(図6中、C方向)、これにより双方の把持片の把持面34a、36aの間で被把持物を把持できるようになっている。しかし、実際の作業では、このヤットコを用いて作業者が約2m程度離れた位置にある例えば電線などの被把持物を把持面34a、36aの間で把持するのは非常に困難であり、熟練が要求されるという問題がある。
【0003】
また、このヤットコ30は、例えば柱上変圧器の1次ブッシングにおける端子金具蓋を締め付けるのに用いられることがある。図7は、一般的な柱上変圧器の1次ブッシングを説明するための図であり、(a)は柱上変圧器におけるその位置を示す側面図、(b)はその拡大断面側面図(ブッシング軸線を示す1点鎖線よりも図面に向かって上側が断面図である)、(c)は当該ブッシングの正面図をそれぞれ示している。この図に示すように、1次ブッシング43(44)は、内部に端子金具などの金具類を有する硬質磁器製の本体50と、本体50の先端側の切欠きより高圧引下線45(46)を挿入してこれを締め付け固定するための硬質磁器製の端子金具蓋51とを備える。柱上変圧器の新設、取り替えなどの場合には、この端子金具蓋51を回転させて締め込み、高圧引下線45(46)をブッシング内の端子金具に接続する必要がある。また、間接活線作業におけるPDクランプ取り付け作業において、この1次プッシングと高圧引下線の取付状況を確認中に締め付けに緩みが確認された端子金具蓋51についてもこれを締め付ける必要が生じる。
【0004】
このような端子金具蓋51の締め付け作業にヤットコを用いる場合、図8に示すように、端子金具蓋51の側方からこれをヤットコの把持面34a、36aの間で把持し(同図(a)参照)、若しくは固定把持片34と可動把持片36とで形成される開口空間Oで端子金具蓋51を把持するか、又は図9に示すように端子金具蓋51の正面前方からこれをヤットコで把持することになる。しかし、ヤットコ把持部33の固定把持片34及び可動把持片36はともにアルミニウム合金製であり、端子金具蓋51は硬質磁器製であるため、端子金具蓋51を把持する際に、これを破損させる可能性がある。端子金具蓋51が破損した場合、絶縁性の低下により種々の弊害が生じることになるので、端子金具蓋51や1次ブッシング全体43(44)の交換が必至となる。
【0005】
このように、ヤットコは大小種々のサイズの被把持物を把持するのに用いられているが、いくつか問題がある。そして、ヤットコを用いてサイズの大きい被把持物を把持しなければならないのは、そのような被把持物を把持するのに適した工具がこれまで存在していないことによっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−50053号公報
【特許文献2】特開2008−42987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、把持部にて種々の断面サイズを有する被把持物を把持できる間接活線把持工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は、本発明によれば、先端に把持面をそれぞれ備える可動把持片および固定把持片と、これら各把持片に固定され、当該各把持片で形成される開口空間内に配される弾性部材とを備え、前記可動把持片を前記固定把持片に接近させて被把持物を把持する場合に、前記各把持片の互いに対向する湾曲内面と当該被把持物との間に当該弾性部材が介在し、これによって当該被把持物を把持するようにした把持部を備えてなることを特徴とする間接活線把持工具によって達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の間接活線把持工具は、これにより被把持物を把持する際に、間接活線把持工具の把持部における可動把持片および固定把持片の互いに対向する内面と当該被把持物との間に弾性部材を介在させるように、これを前記各把持片で形成される開口空間に配することとしたので、異なる断面サイズの被把持物を破損させることなく確実に把持することができ、被把持物を把持する際の作業性の向上も図られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の間接活線把持工具の実施形態の一例を示す図である。
【図2】図1に示す間接活線把持工具の実施形態の変形例を示す図である。
【図3】本発明の間接活線把持工具の実施形態のさらに別の例を示す図である。
【図4】図3に示す間接活線把持工具の実施形態の変形例を示す図である。
【図5】本発明の間接活線把持工具の使用状態を示す図である。
【図6】本発明における先端工具の被覆嵌合部の幾つかの具体例を示す図である。
【図7】従来の間接活線把持工具の一例を示す図である。
【図8】一般的な柱上変圧器の1次ブッシングを説明するための図である。
【図9】従来の間接活線把持工具を用いた図8に示す柱上変圧器1次ブッシングの端子金具蓋の把持状態の例を示す図である。
【図10】従来の間接活線把持工具を用いた図8に示す柱上変圧器1次ブッシングの端子金具蓋の把持状態の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の間接活線把持工具は、前記のように、把持部の固定把持片と可動把持片とで形成される開口空間に弾性部材を配置し、被把持物を把持した際にこれら各把持片と被把持物との間に当該弾性部材を介在させることを特徴としている。弾性部材は、把持部で被把持物を把持した際に、当該被把持物を前記把持部の開口空間において少なくとも簡単に動かない程度に支持できればよく、その形態や固定方法については制限されない。例えば、弾性部材は2つの把持片のそれぞれに対応させて2つに分離して形成し、またはこのように分離させることなく前記開口空間内を周回するように一体に形成できる。
【0012】
前者の場合、2つの弾性部材を同形、同サイズに形成し、それぞれを前記各把持片の湾曲内面に固定できる。また、これら2つの弾性部材の一端にはそれぞれ前記各把持片の先端部分における把持面を被覆する被覆部を形成してもよい。この被覆部もまた前記各把持片の先端部分に適宜の方法により固定できる。また、後者の場合、前記各把持片の先端部分における把持面をそれぞれ被覆する被覆部と、開口空間内を周回するようにこれらの間を連結する帯状の連結体部とで形成できる。この場合、前記各把持片を互いに接近させた場合に、弾性部材がこれらの湾曲内面によって形成される開口空間を閉塞するように形成されていてもよい。この場合の弾性部材は、その被覆部を前記各把持片の先端部分に嵌合させるように形成し(以下では、このように嵌合可能に形成された部分を特に「被覆嵌合部」という。)、これによって固定してもよく、この方法と前記の固定方法との組み合わせにより固定してもよい。
【0013】
以下、添付の図1〜図5を参照して、本発明の間接活線把持工具の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明においては、把持部に設ける弾性部材に特徴があることから、説明を簡略化するために、当該把持部及びその近傍のみを図示している。また、これら各図に示すヤットコ自体は、図6に示したものと本質的に変わるところはない。すなわち、図1〜図5に示すヤットコの把持部は、前記のように、ともに先端に把持面34a、36aを、またその基端側に湾曲内面35、37をそれぞれ備える固定把持片3及び可動把持片36と、これら各把持片を枢支する枢軸38とからなり、可動把持片36は連結棒39の運動により固定把持片に対して接離自在とされている。
【0014】
図1は、2個の同形、同サイズの弾性部材を配置する本発明の間接活線把持工具の実施形態の一例を示している。この図に示す弾性部材5、6は、正面視略半円柱状を呈し、その湾曲した周面が固定把持片34および可動把持片36の湾曲内面35、37にそれぞれ密着するように構成されている。また、弾性部材5、6の厚さは特に限定されず、例えば各把持片34、36の厚さと略同等かあるいはそれらよりも常識的な範囲内で大きく設定できる。これらの弾性部材5,6の互いに対向する表面5a、6aはそれぞれ前記各把持片34,36の把持面34a、36aに略平行に、またこれらの把持面34a、36aよりもそれぞれ突出している。前記表面5a、6aはそれぞれ適度に粗面仕上げを施しておいてもよい。なお、本明細書においては、前記の用語「略半円柱状」は半楕円柱状を含む意味で用いている。
【0015】
本実施形態における弾性部材5,6としては、ゴム、合成樹脂などの弾性を示すものであれば特に制限なく使用できる。弾性部材5,6はさらに電気不導体で形成されていることが好ましい。これらの弾性部材5,6は、2つの把持片34、36の湾曲内面35、37にそれぞれ接着などの公知の方法により固定されている。
【0016】
図1に示す例では、枢軸38の軸心周りに可動把持片36を固定把持片34に向けて接近させていくと、まず弾性部材5、6の互いに対向する面5a、6aが当接し、さらに接近させることで、この弾性部材5,6が互いに圧縮されてこれらの対向する面5a、6aはさらに密着した状態となり把持面34a、36aが接触するようになる。このような構成により、電線などの断面サイズの比較的小さい被把持物を把持面34a、36aを把持面で把持するだけでなく、湾曲内面の間の開口空間Oにおいても弾性部材5,6によって把持することができるようになる。
【0017】
図2は、図1に示す実施形態の変形例を示している。この図の例における弾性部材7,8は、図1に示した例と同様にそれぞれ同形、同サイズであり、弾性部材正面視略半円柱状の部分と、各把持片34、36の先端部分の把持面34a、36aをそれぞれ被覆可能な被覆部を有し、当該先端部分に嵌合可能に形成されている被覆嵌合部7c、8cとを備えている。この把持面34a、36aをそれぞれ被覆する被覆部分の厚さは、1〜10mm、好ましくは3〜7mmの範囲内で適宜設定できる。被覆嵌合部7c、8cを把持片34、36の先端部分にはめ込むことで、弾性部材7、8は各把持片34、36に固定されるが、この変形例の場合、弾性部材7,8の裏面7b、8bをそれぞれ把持片34、36の湾曲内面35,37に密着固定するようにしてもよい。弾性部材7、8の互いに対向する表面7a、8aは、図2に示すように、それぞれ略面一となるように形成されており、さらに粗面仕上げが施されていてもよい。
【0018】
図2に示す変形例では、枢軸38の軸心周りに可動把持片36を固定把持片34に向けて接近させていくと、弾性部材7、8の互いに対向する表面7a、8aが当接し、さらに接近させることで、この弾性部材7、8が互いに圧縮され表面7a,8aが密着状態となる。弾性部材図5(a)は、この変形例で2本の電線W、Wを把持した状態を示している。この図に示すように弾性部材の表面7a,8aが密着状態となることで、把持面34a、36aの間および湾曲内面の間の開口空間Oのどの位置においても弾性部材7、8が介在した状態で電線W,Wを把持できる。
【0019】
図3は、本発明の間接活線把持工具における把持部の実施形態の別の例を示している。この図に示す弾性部材9は、各把持片34、36の先端部分にそれぞれ嵌合し、これらの把持面34a、36aをそれぞれ被覆可能に形成された被覆嵌合部16、17と、これらの間を連結し、双方の基端側から開口空間O内を略U字を描くように形成、延設されている帯状の連結体部15とからなる。被覆嵌合部16、17による把持面34a、36aの被覆厚さは、図2の実施形態の場合と同様、1〜10mm、好ましくは3〜7mmの範囲内で適宜設定できる。図3に示す弾性部材9の場合、被覆嵌合部16、17を2つの把持片34、36の先端部分に嵌め込むことで着脱自在に固定できるようになっている。このような構成の弾性部材9は、特に図7に示したような柱上変圧器の1次ブッシングの端子金具蓋51といったサイズの大きい被把持物の把持や把持状態での作業に適している。
【0020】
図3に示す実施形態の把持部3を用いて図7に示したような1次ブッシングの端子金具蓋51を把持している状態を図5(b)に示している。この図に示すように、被把持物としての端子金具蓋51と2つの把持片3、36の湾曲内面35、37との間の開口空間Oには弾性部材9の連結体部15が介在し、結果として磁器製の端子金具蓋51を破損させることなく、確実にその締め付けを行うことができる。また、図示してはいないが、この把持部3を用いて端子金具蓋51をその軸線方向外側から把持する場合にも、2つの把持面34a、36aにはそれぞれ弾性部材9の被覆嵌合部16、17がこれを被覆しているので、同様に端子金具蓋51を破損させることなく、確実にその締め付けを行うことができる。
【0021】
図4は、図3に示した弾性部材9の変形例を示している。この図に示す弾性部材10では、連結体部が各把持片34、36の湾曲内面35,37にそれぞれ対向する肉厚の部分18、20と、枢軸38の近傍における肉薄の部分19とを備えた構成とされている。肉薄の部分19を設けることで、可動36の運動に追随して柔軟に弾性部材10が折れ曲がるようになる。それ以外の構成については、図3に示した実施形態と本質的には変わるところはない。このような構成によっても、前記の端子金具蓋51と略同等の断面サイズの被把持物を確実に把持でき、当該把持物が破損する可能性を有していても破損させることなく把持できる。
【0022】
なお、図2〜図4に示した例における弾性部材では、被覆嵌合部を弾性部材のみで形成するが、これに限定されず、図5に示すような構成とすることもできる。図5は、図3に示した弾性部材9を例にとり、対をなす被覆嵌合部と、これらを両端に備えた弾性部材とからなる先端工具の2つの構成例を示したものである。いずれの構成例も対をなす被覆嵌合部は、互いに鏡像関係にある。なお、図5(b)においては、図5(a)に示す弾性部材9の連結体部15と本質的に変わりはないので、当該連結体部15をの図示を省略している。また、図5(a)および図5(b)はいずれも1対の治具を図示するが、以下では、基本的に対のうちの一方の被覆嵌合部について説明し、もう一方については各部の符号は括弧内に示すのみとし、特に説明を省略する。
【0023】
図5(a)に示す被覆嵌合部60(61)は、部材621(651)と、その両端(図面に向かってそれぞれ左右方向の両端)から略垂直に立設され、一方の把持片の先端部分をその厚さ方向から挟むように対向する2つの部材622、623(652、653)とを備えた略コの字状の本体部62(65)と、帯状の弾性部材9とから構成されている。この本体部62(65)には、前記部材622、623(652、653)だけでなく、各把持片34、36の先端部分を側方からもそれぞれ挟み込むような不図示の部材を設けることもできる。部材622(652)の中央領域には、ネジ穴625(655)が設けられ、このネジ穴625(655)を部材622(652)の外側へ延長するようにネジ螺合部624(654)が設けられている。このネジ螺合部624(654)には、ネジ626(656)が螺合されている。また、帯状の弾性部材9は、その長さ方向両端16a(17a)が部材623(653)の外側に固着されている。弾性部材9の部材623(653)への固着方法は特に制限されず、従来公知の各種方法を採用できる。ネジ螺合部624(654)には、それぞれ適宜の長さのボルト626、656がねじ込まれ、当該ボルト626(656)の先端が部材622(652)の内側に突出するようになっている。
【0024】
この例に示す弾性部材9は、把持部3の2つの把持片34、36の先端部分にそれぞれ被覆嵌合部60、61をはめ込み、ネジ626、656をそれぞれねじ込むことで、各把持片34、36の先端部分にそれぞれ固定できる。また、ネジ626、656を逆に緩めることで、被覆嵌合部60、61を各把持片34、36から容易に取り外すことができる。このような構成の被覆嵌合部の対を所定の位置に設けた弾性部材は、ヤットコなどの間接活線把持工具の先端工具58として好適に使用できる。
【0025】
次に、図5(b)に示す被覆嵌合部68(69)も図5(a)に示した例と同様に部材701(771)と、これらの両端から略垂直に立設され、2つの把持片を挟むように対向する2つの部材702、703(772,773)とを備える略コの字状の本体部70(77)と、帯状の弾性部材9とを備えている。この本体部70(77)には、前記部材702、703(772,773)だけでなく、各把持片34、36の先端部分を側方からもそれぞれ挟み込むような不図示の部材を設けることもできる。部材702(772)の中央領域にはその厚さ方向に貫通する貫通穴705(775)が穿設され、係合ピン押込機構部724(774)がその軸線を貫通穴705(775)の中心に一致させて部材702(772)の外側に延設されている。この係合ピン押込機構部724(774)は、付勢手段としてのバネ75(82)によって付勢され、先端73a(80a)が部材702(772)の内側の空間に突出するように係合ピン73(80)がその軸線に沿って押し出されるように構成されている。この係合ピン73(80)の運動方向を一定にするために、部材704の内壁に当該運動方向に平行に設けられた凹溝内に案内突片74(81)の先端が入り込み、その中を移動するようになっている。また、ピン73(80)の先端73a(80a)とは反対側の端部にはツマミ76(83)が設けられており、作業者がこれをバネ75(82)の付勢力に抗して治具70(77)の外側に向けて引き出すことで、係合ピン73(80)の先端73a(80a)を部材702(772)内に没入させることができるようになっている。
【0026】
図5(b)に示す弾性部材9の場合、被覆嵌合部70,77のツマミ76(83)を引き出した状態で把持部3の2つの把持片34、36の先端部分にそれぞれ被覆嵌合部70、77をはめ込んだ後、このツマミ76(83)を離すことで、係合ピン73(80)が各把持片34、36の先端部分にそれぞれ固定できる。そして、ツマミ76(83)を引き出すことで、被覆嵌合部70、77を各把持片34、36から容易に取り外すことができる。このような構成の被覆嵌合部の対を所定の位置に設けた弾性部材は、ヤットコなどの間接活線把持工具の先端工具59として好適に使用できる。
【0027】
以上幾つかの実施形態について説明したように、本発明の間接活線把持工具は、固定把持片と可動把持片との間に弾性部材を配し、被把持物を把持する際に当該被把持物とこれら2つの把持片の湾曲内面または把持面との間に当該弾性部材を介在させるようにしたので、種々の断面サイズの被把持物を確実に把持することができる。なお、本発明は、添付の各図面に示した実施形態に限定されない。また、本発明における弾性部材は、前記のとおり間接活線把持工具用の先端工具としても構成できるので、既存のヤットコなどの把持部に着脱自在に装着することができ、種々のサイズの被把持物を把持するための専用の把持工具を新たに作製するなどの必要がない。
【符号の説明】
【0028】
1〜4 把持部
5〜10 弾性部材
5a、6a、7a、8a 弾性部材内面
10a,11a 弾性部材内面
15 連結体部
16、17 被覆嵌合部
16a、17a 被覆嵌合部内面
18、20 弾性部材の肉厚部分
19 弾性部材の肉薄部分
34 固定把持片
34a、36a 把持面
35、37 湾曲内面
36 可動把持片
O 開口空間
W 電線
51 端子金具蓋
58、59 先端工具
60、61、68,69 被覆嵌合部
62,65、70、77 略コの字状の本体部
621〜623、651〜653 部材
624、654 ネジ螺合部
625,655 ネジ穴
626、656 ネジ
701〜703、771〜773 部材
704,774 係合ピン押込機構部
705、775 貫通穴
73、80 係合ピン
73a、80a 係合ピ.ン先端
74、81 案内突片
75、82 付勢手段(バネ)
76、83 ツマミ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持面をそれぞれ先端に備える可動把持片及び固定把持片と、これら各把持片に固定され、当該各把持片で形成される開口空間内に配される弾性部材とを備え、前記可動把持片を前記固定把持片に接近させて被把持物を把持する場合に、前記各把持片の互いに対向する湾曲内面と当該被把持物との間に当該弾性部材が介在し、これによって当該被把持物が支持固定されるようにした把持部を備えてなることを特徴とする間接活線把持工具。
【請求項2】
前記弾性部材は、さらに前記可動把持片及び前記固定把持片の把持面をそれぞれ被覆する被覆部を備えてなる請求項1に記載の間接活線把持工具。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記各被覆部と、これらの間を連結する帯状の連結体部とを備えてなる請求項1又は2に記載の間接活線把持工具。
【請求項4】
前記各被覆部は、前記可動把持片及び前記固定把持片の先端部分にそれぞれ着脱自在に嵌合可能な被覆嵌合部の一部を構成してなる請求項2または3に記載の間接活線把持工具
【請求項5】
前記弾性部材は、前記各把持面または前記各被覆部を接触させた場合に、前記各把持片の湾曲内面によって形成される開口空間を閉塞させる形態を有してなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の間接活線把持工具。
【請求項6】
可動把持片および固定把持片を備える間接活線把持工具に装着可能な先端工具であって、前記各把持片の先端に設けられた把持面をそれぞれ被覆しかつ前記各把持片の湾曲内面によって形成される開口空間内に配置される弾性部材と、当該弾性部材に固着され前記各把持片において把持面を含む先端部分に着脱自在に嵌合可能な被覆嵌合部とを備えてなることを特徴とする先端工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−60720(P2012−60720A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199421(P2010−199421)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】