説明

関節人形

【課題】 膝関節を屈曲したときに膝蓋靭帯に相当する部位に隙間ができず、人体に近い自然な印象を与えることのできる関節人形の提供。
【解決手段】 胴体に各関節を介して頭部と上肢と下肢とを設けて構成される関節人形であって、前記下肢は、左右足部品(24、23)と、左右脚部品(22、21)と、前記左右脚部品と左右大腿部品(102、101)とを接続する膝関節とから組み付けられ、前記膝関節は、前記左右脚部品と前記左右大腿部品とが略直線的になる直立状態と、略直角に曲げられる屈曲状態の範囲で回動可能に軸支する軸支部と、前記屈曲状態にされたときに、前記左右大腿部品に形成される凹部(20k、18k、17k、19k)を内側から覆うために前記軸支部の前方を支点として回動可能に設けられる膝形状部品(30)とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節人形に係り、例えば子供用玩具として好適な人体により近い人形に関するものである。
【背景技術】
【0002】
胴体に各関節を介して頭部と上肢と下肢とを設けて構成される関節人形が古来から製作されており、クロッキーなどのデッサンにおいて任意のポーズで使用されるモデル人形や、女児用玩具や、マネキン用など多くの用途のものが実用化されている。
【0003】
これらの関節人形は、極力人体の動きを模倣するように構成されている。具体的には、胴体に対して首関節を介して頭部を可動可能に取り付け、胴体に対して肩関節を介して上肢を取り付け、さらに胴体に対して股関節を介して下肢を取り付けることで、簡単な動きができるようにしている。
【0004】
さらに、上記のモデル人形によれば人体の自由な動きを再現可能にするために、上肢を左右手部品と左右腕部品と二の腕部品と左右肩部品とを接続する肘関節とから構成し、胴体に対して肩関節を介して取り付ける一方で、下肢を左右足部品と左右脚部品と左右大腿部品と膝関節とから構成し、胴体に対して股関節を介して取り付け、さらに胴体を腹部品と胸部品の二つの部品から構成し互いが可動可能に取り付けられている。
【0005】
また、膝関節は左右脚部品と左右大腿部品とが略直線的になる直立状態と、略直角に曲げられる屈曲状態の範囲で回動自在に軸支するものであるが、特に屈曲状態にセットされたときに人体の膝蓋靭帯に相当する部分に隙間ができてしまい不自然な状態になる。
【0006】
そこで、膝関節の軸支部分を中心に形成された半円弧状の膝部を脚部品に一体的に設けておき、直立状態ではこの半円弧状の膝部が大腿部品の内部に隠れ、屈曲状態にされたときに外部に現れるようにして隙間を無くすように構成された玩具用の人形が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】実公昭39−1759。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1の提案になる人形によれば、膝関節の部分に隙間ができなくなるが、円弧面となることから依然として不自然な印象を与える。同様に肘関節の部分にも隙間ができてしまい不自然となる問題があった。
【0008】
したがって、本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであり、膝関節を屈曲したときに膝蓋靭帯に相当する部位に隙間ができず、人体に近い自然な印象を与えることのできる関節人形の提供を目的としている。
【0009】
また、肘関節を屈曲したときに肘蓋靭帯に相当する部位に隙間ができず、人体に近い自然な印象を与えることのできる関節人形の提供を目的としている。
【0010】
くわえて、膝部分の外側の湾曲面と脚部品の膝部分に近い前方の湾曲面とから形成される湾曲面が、直立状態から屈曲状態に移行されるとき、および屈曲状態から直立状態に移行されるときに、人体に近い自然な印象を与えることのできる関節人形の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、胴体に関節を介して上肢と下肢とを取り付けた関節人形であって、前記下肢は、左右脚部品と、前記左右脚部品と左右大腿部品とを接続する膝関節とから組み付けられ、前記膝関節は、前記左右脚部品(22、21)と前記左右大腿部品(102、101)とが略直線的になる直立状態と、略直角に曲げられる屈曲状態になる角度の範囲で回動自在に軸支する軸支部(19a、21b)と、前記屈曲状態にされたときに、前記左右大腿部品の膝蓋靭帯に相当する凹部(20k、18k、17k、19k)を内側から覆うために前記軸支部の前方を支点(30a)として回動自在に設けられる膝形状部品(30)とから構成することを特徴としている。
【0012】
また、前記左右大腿部品は、左右方向に2分割されるとともに下端において前記軸支部の一方と、前記凹部の半分とを夫々形成した左右内股部品と、左右足側面部品とから形成され、前記左右脚部品は、前記軸支部の一方で夫々軸支される他方の一対の軸支部と、前記形状部品の前記回動支点となるように前記凹部に向けて延設される凸部(21k、22k)とから形成され、前記膝形状部品は、前記凸部を挟むように設けられ、かつ前記凹部を内部から覆うように移動可能に設けられることを特徴とする。
【0013】
また、前記左右大腿部品である前記左右内股部品と、前記左右足側面部品とを回動自在に軸支する左右足軸部品を回転自在かつ開脚自在に保持する可動部品を、前記胴体を形成する胴部品と背尻部品との間に内蔵したことを特徴とする。
【0014】
また、前記上肢は、左右手部品と、左右腕部品と、前記二の腕部品と左右肩部品とを接続する肘関節とから構成され、前記肘関節は、前記左右腕部品と前記左右二の腕部品とが略直線的になる直立状態と、略直角に曲げられる屈曲状態の範囲で回動自在に軸支する軸支部と、前記屈曲状態にされたときに、前記左右二の腕部品に形成される凹部を内側から覆うために前記軸支部の後方を支点として回動自在に設けられる肘形状部品とから構成されることを特徴とする。
【0015】
また、前記可動部品は、前記上肢を設けた胸部品を左右方向に回動自在に軸支することを特徴とする。
【0016】
また、前記胸部品は、前記上肢を肩関節を介して設けるとともに、首部品を介して左右方向に回動自在に設けられる頭部とを設けたことを特徴とする。
【0017】
そして、胴体に関節を介して上肢と下肢とを取り付けた関節人形であって、前記下肢は、左右脚部品と、前記左右脚部品と左右大腿部品とを接続する膝関節とから形成され、前記膝関節は、前記左右脚部品と前記左右大腿部品とが略直線的になる直立状態になる角度と、略直角に曲げられる屈曲状態になる角度との範囲で回動可能に軸支する軸支部と、前記屈曲状態にされたときに、前記左右大腿部品の膝蓋靭帯に相当する部位となる凹部を内側から覆うために前記軸支部の前方を支点として回動可能に設けられる膝形状部品とを備え、前記膝形状部品の外側湾曲面と前記左右脚部品の前方湾曲面とから形成される湾曲面の曲率半径を、前記直立状態から前記屈曲状態に移行されるに伴い小さくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、膝関節を屈曲したときに膝蓋靭帯に相当する部位に隙間ができず、人体に近い自然な印象を与えることのできる関節人形を提供することができる。
【0019】
また、肘関節を屈曲したときに肘蓋靭帯に相当する部位に隙間ができず、人体に近い自然な印象を与えることのできる関節人形を提供できる。
【0020】
そして、膝部分の外側の湾曲面と脚部品の膝部分に近い前方の湾曲面とから形成される湾曲面が、直立状態から屈曲状態に移行されるとき、および屈曲状態から直立状態に移行されるときに、人体に近い自然な印象を与えることのできる関節人形を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の好適な一実施形態について添付の各図面を参照して述べる。
【0022】
ここで、本発明は様々な修正と変更が可能であり、その内の特定の事例が図面に図示されており、以下に詳細に記述されることになるが、これらに限定されず請求の範囲に規定された範囲で種々の構成が可能であることは言うまでもなく、後述する成人女性像以外にも老若男女、人種、体格を問わず全ての関節人形に適用可能である。
【0023】
先ず、図1は本発明の一実施形態である関節人形1を起立状態にした正面図である。また、図2は関節人形1の背面図である。
【0024】
図1、2から分かるように、この関節人形1の外観上の特徴としては、理想的なプロポーションを有する成人女性像であって、頭部品2は左右の耳と美女系の顔を形成しており、カツラの使用を前提としていることから頭髪は設けられていないが、無論頭髪を設けても良い。
【0025】
また、「身長」および材質は用途別に適宜設定され、たとえば女児用玩具としては身長が約30cmであり、材質は肌色に着色されたビニール樹脂製またはABS樹脂製であり、可動される各関節部分は耐磨耗性に優れるポリカーボネイト、ポリアセタール樹脂を用いて各構成部品を射出成型することができる。さらにまた、等身大のマネキン用途として製作する場合には関節部を除いてマネキンと同様の材料を使用することができる。さらには、表面を発泡ウレタン樹脂シートで覆うことでより人体に近いテクスチャーにすることもできる。くわえて、各部品を組立体図とともに同梱したいわゆる組立体キットとして提供することもできる。
【0026】
さて、先ず図1に図示のように、この関節人形1の胴体は、破線図示の可動部品25が内蔵されている胴部品5と、この可動部品25に対して左右に可動となるように接続される胸部品4とから構成されている。この胴部品5の内部の可動部品25の機能については後述する。この胸部品4は、首部品3を介して上記の頭部品2が可動になるように固定されている。
【0027】
また、胸部品4は左右の上肢を可動できるように固定している。これらの上肢は、左右手部品14、13と、左右腕部品12、11と、左右二の腕部品10、9と左右肩部品8、9とから構成されている。これらの上肢の関節は回動自在に軸支する軸受と肩関節のように半球運動可能に軸支する球関節軸受により接続されている。
【0028】
一方、左右の下肢は、左右足部品24、23と、左右脚部品22、21と、左右脚部品と左右大腿部品102、101とを接続する膝関節とから組み付けられている。この膝関節には図中の破線図示の膝形状部品30、30が夫々内蔵されており、図示のように左右脚部品22、21と左右大腿部品102、101とが略直線的になる直立状態では外部に表れないように構成されており、この膝関節が略直角に曲げられる屈曲状態になるとこれらの膝形状部品30、30が外部に表れるようにして、人体の膝蓋靭帯に相当する部位に隙間ができないように構成されている。
【0029】
左大腿部品102は、図示のように左右方向に2分割されるとともに下端において膝蓋靭帯に相当する半分の凹部18kを形成した左内股部品18と、半分の凹部20kを形成した左足側面部品20から構成されており、上記の膝形状部品30を内蔵できるようにしている。同様に、右大腿部品101は、下端に膝蓋靭帯に相当する半分の凹部17kを形成した右内股部品17と、半分の凹部19kを形成した右足側面部品19から構成されており、上記の膝形状部品30を内蔵している。
【0030】
以上のように組み立てられる左右大腿部品101、102は可動部品25により開脚できるとともに回転自在になるように設けられた左右足軸部品16、15により回動自在に設けられている。一方、左右脚部品22、21の先端には不図示の軸受により左右足部品24、23が回動自在に設けられている。
【0031】
次に、図2において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、上肢の左右二の腕部品10、9において破線図示の肘形状部品130、130が内蔵されており、屈曲状態になるとこれらの肘形状部品130、130が外部に表れるようにして、人体の肘蓋靭帯に相当する部位に隙間ができないように構成されている。また、上記の胴部品5の裏面に相当する部位には臀部を図示のように一体的に形成した背尻部品6が、上記の可動部品25を前後方向から挟むようにして不動状態にするように固定されている。図示のようにこの背尻部品は人体の形状により近くなるように形成されており、上記の左右足軸部品16、15が極力外部に表れないようにしている。
【0032】
続いて図3の関節人形1の立体分解図を参照して、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、胸部品4には破線図示の軸部4bが形成されており、この軸部4bに対して回転可能に首部品3が圧入される。この首部品3は頭部品2に内蔵される破線図示の筒体2aに圧入されて図1、2に図示のように組み立てられる。筒体2aは前後方向に回動軸支されていることから、頭部品2は前後方向の矢印D1に回動でき、さらに左右方向の矢印D2方向に回動できる。このようにして人体と略同じ動きができるように構成されている。
【0033】
一方、上肢である、左右手部品14、13は、左右腕部品12、11の先端において不図示の軸受で軸支されており矢印D8、D5方向に二次元的に可動自在に設けられており、左右腕部品12、11と左右二の腕部品10、9と間を接続する肘関節は不図示の軸受により軸支されており矢印D7、D4方向に二次元的に可動自在に設けられており、左右二の腕部品10、9と左右肩部品8、7との間は固定されるかまたは相互に回転自在に設けられており、左右肩部品8、7は破線図示の球関節軸受により胸部品4において矢印D6、D3方向に三次元的に可動自在に設けられている。
【0034】
可動部品25は、図示のように上方に延設されることで上記の胸部品4の孔部4aに圧入される軸部25aと、下方において矢印D12、D11方向に開閉できる左右軸部25c、25bとを備えている。この可動部品25は、上記のように胴部品5と背尻部品6との間で不動状態に固定されるので、固定用孔部が図示のように穿設されている。
【0035】
上記のように矢印D12、D11方向に開閉できる左右軸部25c、25bには孔部が穿設されており、この孔部に対して上記の左右足軸部品16、15から一体形成された軸部16a、15aが圧入されることで可動部品25に対して組み付けられることで、矢印D13方向に左右大腿部が回動でき、さらに左右に開脚(矢印D11、D12)できるように構成されている。また、胸部品4は矢印D10方向に可動できるようにしている。
【0036】
図示のように左右方向に2分割されるとともに下端において膝蓋靭帯に相当する半分の凹部を形成した右内股部品17と、半分の凹部を形成した右足側面部品19は、上記の右足軸部品15と、右脚部品21と、膝形状部品30を内蔵するようにして組み付けられて圧入または接着されて左足のように完成される。
【0037】
以上のように組み立てることで下肢は矢印D14方向に大腿部が回動自在に設けられ、矢印D15方向に左右脚部品21、22が回動自在に設けられ、矢印D16方向に足部品24、23が回動自在に設けられることになる。
【0038】
また、以上説明したように人体と略同様の関節を設け、圧入による摩擦力により移動後の状態を維持できるようにすることで関節人形1を、例えばマネキンとして使用するときに、ごく自然なポーズ状態に簡単にセットすることができる。
【0039】
次に図4(a)は、伸ばした状態にした膝関節部分の内部構成を示した外観斜視図、図4(b)はやや曲げた状態にした膝関節部分の内部構成を示した外観斜視図である。また、図6は着座したマネキンとして用いた関節人形1の外観図である。
【0040】
先ず、図4(a)、(b)において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、左右脚部品21、22は図示のように軸支部21b(右脚部品のみ図示)が平坦部分の両側面の略中心において一体形成されている。また、左右足側面部品19、20と、左右内股部品17、18にはこれらの軸支部に潜入することで回動可能に軸支するための有底穴部19a(右足側面部材19のみ破線で図示)が形成されている。また、左右足側面部品19、20と、左右内股部品17、18には互いに嵌合することで位置決めと固定を行うための凹凸部19c、17aが図3で示したように少なくとも上下方向に2箇所形成されている。
【0041】
さらに左右足側面部品19、20と、左右内股部品17、18には膝形状部品30の先端が入り込む形状の円弧切り欠き部19d、17dが形成されており、図示のように起立状態にセットされたときに先端が入るようにしている。さらに突起部19bが、膝形状部品30に向けて突出形成されており、図4(a)の状態から(b)の状態に脚部品が曲げられたときに下方(奥側)に落下することを防ぐためのストッパーとして機能するようにしている。
【0042】
また、膝形状部品30の外側湾曲面となる表面30cと左右脚部品21、22の前方湾曲面21c(左脚部品21のみ図示)とから形成される湾曲面K1は、図4(a)に図示の直立状態ではその曲率半径R1(破線図示)が大きくなっており、略直線に近くなっている。そして、図4(b)に示すように矢印方向に曲げられて屈曲状態に移行されるに伴い、湾曲面K2がきわめて自然な感じで変化して、曲率半径R2(破線図示)が次第に小さくなるように構成されている。
【0043】
このために、例えば関節人形1にズボンをはかせた後に屈曲状態にした場合において、特にごく自然な膝部分の突出状態を得ることができる。
【0044】
次に、図6をさらに参照して、この膝形状部品30には破線図示の回動支点となる穴部30a、30aが左右に形成されており、左右脚部品21、22の各凸部21k、22kの左右面から一体形成される軸支部に対して左右から挟むようにして嵌合することで回動可能に設けられている。これらの各凸部21k、22kの左右面から直交するようにしてストッパー面21a(図4(a)を参照)が夫々形成されており、膝形状部品30のストッパー面30kがこれらのストッパー面21aに対して当接することで回動に伴い図4(b)に図示の状態でそれ以上の回動が防止されるように構成されている。また、この膝形状部品30は、図1で述べたように膝蓋靭帯に相当する大腿部の凹部を内部から覆う滑らかな曲面から形成された表面30cが形成されており、図示のように一部が外部に出ることとなる。
【0045】
そして、図5(a)のさらに曲げた状態にした膝関節部分の内部構成を示した外観斜視図と、図5(b)の最後まで曲げた状態にした膝関節部分の内部構成を示した外観斜視図において、図5(a)に図示の状態にセットされたときに、左右大腿部品に形成される凹部を内側から膝形状部品30の表面30cが略3分の1を残して表側に表れる。
【0046】
そして、図5(b)に図示のように直角以上に曲げられると軸支部の前方近くを支点として回動可能に設けられる膝形状部品30の表面30cが外部に出ることで、湾曲面K3が突出する状態になり、図6に図示のように自然な脚線美を再現できるようになる。
【0047】
このため、マネキンとして使用する際に、女性用のデザイン鬘を被せ、二点鎖線で示されるようにミニスカートの衣類Aと靴と装身具を身に付けてショーウインドウなどに展示できるようになる。
【0048】
このとき上記のように頭と上肢、下肢に加えて胸と胴とを自在にセットできるので、あらゆるポーズを任意に再現できることとなる。また、上記の膝関節と略同様に構成される肘関節部分についても膝関節部分と同様に美しい状態を再現することが可能となる。
【0049】
以上のように、膝関節を屈曲したときに膝蓋靭帯に相当する部位に隙間ができず、人体に近い自然な印象を与えることのできる関節人形は、例えば高級玩具として最適となるが、特にモデル人形とすることでデッサンをより写実的に描くことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態である関節人形1を起立状態にした正面図である。
【図2】関節人形1の背面図である。
【図3】関節人形1の立体分解図である。
【図4】(a)は伸ばした状態にした膝関節部分の内部構成を示した外観斜視図、(b)はやや曲げた状態にした膝関節部分の内部構成を示した外観斜視図である。
【図5】(a)はさらに曲げた状態にした膝関節部分の内部構成を示した外観斜視図、(b)は最後まで曲げた状態にした膝関節部分の内部構成を示した外観斜視図である。
【図6】着座したマネキンとして用いた関節人形1の外観図である。
【符号の説明】
【0051】
1 関節人形
2 頭部品
3 首部品
4 胸部品
5 胴部品
6 背尻部品
7 右肩部品
8 左肩部品
9 右二の腕部品
10 左二の腕部品
11 右腕部品
12 左腕部品
13 右手部品
14 左手部品
15 右足軸部品
16 左足軸部品
17 右内股部品
18 左内股部品
19 右足側面部品
20 左足側面部品
21 右脚部品
22 左脚部品
23 右足部品
24 左足部品
25 可動部品
30 膝形状部品
130 肘形状部品
A 衣装
K1、K2 湾曲面
R1、R2 曲率半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体に関節を介して上肢と下肢とを取り付けた関節人形であって、
前記下肢は、左右脚部品と、前記左右脚部品と左右大腿部品とを接続する膝関節とから形成され、
前記膝関節は、前記左右脚部品と前記左右大腿部品とが略直線的になる直立状態になる角度と、略直角に曲げられる屈曲状態になる角度との範囲で回動可能に軸支する軸支部と、
前記屈曲状態にされたときに、前記左右大腿部品の膝蓋靭帯に相当する部位となる凹部を内側から覆うために前記軸支部の前方を支点として回動可能に設けられる膝形状部品と、を備えることを特徴とする関節人形。
【請求項2】
前記左右大腿部品は、
各々左右方向に2分割されるとともに下端において前記軸支部の一方と前記凹部の半分とを夫々形成した左右内股部品と、左右足側面部品とから形成され、
前記左右脚部品は、前記軸支部の一方で夫々軸支される他方の一対の軸支部と、前記膝形状部品を回動可能とする前記支点となるように前記凹部に向けて延設される凸部とから形成され、前記膝形状部品は、前記凸部を挟むように設けられ、かつ前記凹部を内部から覆うように移動可能に設けられることを特徴とする請求項1に記載の関節人形。
【請求項3】
前記左右大腿部品である前記左右内股部品と、前記左右足側面部品とを回動可能に軸支する左右足軸部品を回転可能かつ開脚可能に保持する可動部品を、前記胴体を形成する胴部品と背尻部品との間に内蔵したことを特徴とする請求項2に記載の関節人形。
【請求項4】
前記可動部品は、前記上肢を設けた胸部品を左右方向に回動可能に軸支することを特徴とする請求項3に記載の関節人形。
【請求項5】
胴体に関節を介して上肢と下肢とを取り付けた関節人形であって、
前記上肢は、左右手部品と、左右腕部品と、左右二の腕部品と左右肩部品とを接続する肘関節とを備え、
前記肘関節は、
前記左右腕部品と前記左右二の腕部品とが略直線的になる直立状態と、略直角に曲げられる屈曲状態との範囲で回動可能に軸支する軸支部と、
前記屈曲状態にされたときに、前記左右二の腕部品に形成される凹部を内側から覆うために前記軸支部の後方を支点として回動可能に設けられる肘形状部品と、
を備えることを特徴とする関節人形。
【請求項6】
前記胸部品は、前記上肢を肩関節を介して設けるとともに、首関節部品を介して左右方向に回動可能に頭部を設けたことを特徴とする請求項5に記載の関節人形。
【請求項7】
胴体に関節を介して上肢と下肢とを取り付けた関節人形であって、
前記下肢は、左右脚部品と、前記左右脚部品と左右大腿部品とを接続する膝関節とから形成され、
前記膝関節は、前記左右脚部品と前記左右大腿部品とが略直線的になる直立状態になる角度と、略直角に曲げられる屈曲状態になる角度との範囲で回動可能に軸支する軸支部と、
前記屈曲状態にされたときに、前記左右大腿部品の膝蓋靭帯に相当する部位となる凹部を内側から覆うために前記軸支部の前方を支点として回動可能に設けられる膝形状部品と、を備え、
前記膝形状部品の外側湾曲面と前記左右脚部品の前方湾曲面とから形成される湾曲面の曲率半径を、前記直立状態から前記屈曲状態に移行されるに伴い小さくすることを特徴とする関節人形。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−136660(P2006−136660A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331039(P2004−331039)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】