説明

防塵カバーの取付構造

【課題】 機器本体に対するカバー部材の取扱いが容易で、カバー部材が位置ずれせずに、機器本体を良好に覆うことができる防塵カバーの取付構造を提供する。
【解決手段】 楽器本体1を覆うカバー部材13に設けられて、楽器本体1の複数の係止部15にそれぞれ係脱可能に係止される複数の係合部14が、カバー部材13の内面に両端を取り付けた紐状部材14aを備えており、係止部15が、楽器本体1に設けられた取付孔部16と、この取付孔部16内に設けられて紐状部材14aを係脱可能に係止するフック部17とを備えている。従って、カバー部材13で覆われた楽器本体1を演奏する際に、カバー部材13の一部をめくり上げて楽器本体1の一部を露出させて演奏することができるので、演奏前にカバー部材13を楽器本体1から取り外したり、また演奏後にカバー部材13を楽器本体1に掛け直したりする必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鍵盤楽器やシンセサイザーなどの電子機器に用いられる防塵カバーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鍵盤楽器においては、特許文献1に記載されているように、楽器本体を防塵カバーによって開閉可能に覆うことにより、楽器本体に埃などの塵埃が侵入しないように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−308070号公報
【0004】
この種の防塵カバーは、楽器本体における上面、前面、および背面にこれらを覆って配置されるカバー部材と、このカバー部材の前後に位置する両端部を弾力的に引っ張って連結する伸縮ベルトとを備えている。
【0005】
この場合、カバー部材には、滑り止め部材が楽器本体の前面と背面とに対応して設けられており、このカバー部材の四隅には、例えば雌型の面状ファスナがそれぞれ設けられている。また、伸縮ベルトの両端部には、カバー部材の雌型の面状ファスナに係脱可能に係合する雄型の面状ファスナがそれぞれ設けられている。
【0006】
このような防塵カバーを楽器本体に取り付ける場合には、まず、カバー部材を楽器本体の上面、前面、および背面に対応させて配置する。そして、楽器本体の背面側に対応するカバー部材の端部に設けられた雌型の面状ファスナと伸縮ベルトの一端部に設けられた雄型の面状ファスナとを係脱可能に係合させる。
【0007】
この状態で、伸縮ベルトを楽器本体の前側に引き寄せながら、伸縮ベルトの他端部に設けられた雄型の面状ファスナと、楽器本体の前面に対応するカバー部材の端部に設けられた雌型の面状ファスナと、を係脱可能に係合させる。これにより、カバー部材が楽器本体を覆った状態で楽器本体に取り付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような防塵カバーでは、カバー部材を楽器本体に取り付ける際に、カバー部材を楽器本体に被せ、この状態でカバー部材の四隅に設けられた雌型の面状ファスナと伸縮ベルトの雄型の面状ファスナとをそれぞれ係合させなければならないため、カバー部材の取付作業が面倒で煩雑であるという問題がある。
【0009】
また、鍵盤楽器を使用するためにカバー部材を楽器本体から取り外す際には、伸縮ベルトの雄型の面状ファスナとカバー部材の雌型の面状ファスナとの係合を解除しなければ、カバー部材を楽器本体から取り外して楽器本体を開放することができないため、取り外し作業も面倒であるという問題がある。
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、機器本体に対するカバー部材の取扱いが容易で、且つカバー部材が位置ずれることなく、機器本体を良好に覆うことができる防塵カバーの取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、複数の係止部を有する機器本体と、この機器本体を覆うカバー部材と、このカバー部材に設けられ、且つ前記機器本体の前記複数の係止部にそれぞれ係脱可能に係止される複数の係合部とを備えた防塵カバーの取付構造において、前記係合部は、前記カバー部材の内面に両端が取り付けられた紐状部材を備えており、前記係止部は、前記機器本体に設けられた取付孔部と、この取付孔部内に設けられて前記紐状部材を係脱可能に係止するフック部とを備えていることを特徴とする防塵カバーの取付構造である。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、カバー部材で覆われた機器本体を使用する際に、カバー部材の一部をめくり上げて機器本体の必要な箇所を露出させて使用することができるので、使用する前にカバー部材を機器本体から取り外したり、また使用後に再びカバー部材を機器本体に掛け直したりする必要がない。
【0013】
また、カバー部材で機器本体を覆われた際に、機器本体の係止部におけるフック部が機器本体の外部に突出しないため、フック部によって怪我をする恐れがない。このため、機器本体に対するカバー部材の取扱いが容易にでき、且つカバー部材が位置ずれることがなく、このカバー部材によって機器本体を安全に且つ良好に覆うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態1を示した斜視図である。
【図2】図1に示された鍵盤楽器において、防塵カバーを取り外して鍵盤部を鍵盤蓋で覆った状態を示した斜視図である。
【図3】図2に示された鍵盤楽器において、鍵盤蓋を楽器本体内に収納して鍵盤部を露出させた状態を示した斜視図である。
【図4】図1に示された鍵盤楽器において、楽器本体を覆うための防塵カバーを示した斜視図である。
【図5】図1に示された鍵盤楽器において、楽器本体の天板の端面に設けられた係止部にカバー部材の係合部を係止させた状態を示した要部の拡大斜視図である。
【図6】図5に示された係止部を分解して示した要部の拡大斜視図である。
【図7】図6に示された係止部のフック部を示した拡大斜視図である。
【図8】図6に示された係止部が位置する天板のA−A矢視における要部の拡大断面図である。
【図9】図1に示された鍵盤楽器において、防塵カバーの一部をめくり上げて鍵盤部を露出させた状態を示した斜視図である。
【図10】図1に示された鍵盤楽器の実施形態1における係止部の変形例を示した要部の拡大斜視図である。
【図11】図10に示された変形例の係止部にカバー部材の紐状部材を係合させて、カバー部材が楽器本体の前側にずれるのを防いでいる状態を示した要部の拡大斜視図である。
【図12】図11に示された変形例において、楽器本体を覆ったカバー部材の一部をめくり上げた際に、カバー部材が楽器本体の後側にずれるのを防いでいる状態を示した要部の拡大斜視図である。
【図13】この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態2を示した斜視図である。
【図14】図13に示された鍵盤楽器におけるA部を示した拡大斜視図である。
【図15】図14に示された鍵盤蓋のB−B矢視における要部の拡大断面図である。
【図16】図13に示された鍵盤楽器において、カバー部材の前部をめくり上げて、楽器本体内の鍵盤部を露出させた状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
以下、図1〜図9を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態1について説明する。
この鍵盤楽器は、図1に示すように、楽器本体1と、この楽器本体1を覆う防塵カバー2とを備えている。
【0016】
楽器本体1は、図1〜図3に示すように、脚部を兼ねる一対の側板3と、この一対の側板3間に設けられた底板である棚板4と、この棚板4の前端部に設けられた前板5と、棚板4の後端部に設けられて前板5よりも高さの高い後板(図示せず)と、この後板と一対の側板3との各上部に設けられた天板6と、棚板4の左右両側に設けられた一対の袖板7とを備えている。
【0017】
この場合、一対の袖板7は、図2および図3に示すように、その前端部が前板5と同じ高さに形成され、後端部が後板と同じ高さ、つまり側板3の後端部の高さと同じ高さに形成され、これにより袖板7の上辺部が前側から後側に向けて次第に高くなるように傾斜して形成されている。また、この一対の袖板7の上部と天板6の前端部との間には、上前板8が設けられている。この上前板8は、天板6の下面から袖板7の上端部に向けて傾斜し、その下部が袖板7の上部に沿って平坦状に形成されている。
【0018】
これにより、楽器本体1は、図2および図3に示すように、上前板8と前板5との間が上方に開放されたほぼ箱形状に形成されている。この楽器本体1の内部には、図3に示すように、複数の鍵10aが並列に配列された鍵盤部10が上方に開放された状態で設けられている。また、この楽器本体1には、図2に示すように、鍵盤部10を開閉可能に覆う鍵盤蓋11がスライド可能に設けられている。さらに、この楽器本体1の上前板8の下部上には、譜面立て12が起立した状態で設けられている。
【0019】
一方、防塵カバー2は、図1および図4に示すように、楽器本体1を上方から覆い隠すカバー部材13と、このカバー部材13に取り付けられて楽器本体1に対して係脱可能に係止される複数の係合部14とを備えている。カバー部材13は、耐静電気性および防水性を有する布やシートであり、図1および図4に示すように、楽器本体1の上面を覆う上面部13aと、前板5を覆う前面部13bと、後板(図示せず)を覆う後面部13cと、一対の側板3の上部側を覆う一対の側面部13dとを備えている。
【0020】
この場合、上面部13aは、図1に示すように、楽器本体1の天板6および鍵盤蓋11を覆うように形成されており、この上面部13aには、譜面立て12を覆う袋状の譜面カバー部13eが設けられている。これにより、カバー部材13は、楽器本体1の上方から被せることにより、楽器本体1を覆うように構成されている。
【0021】
また、複数の係合部14は、図1および図4に示すように、楽器本体1の天板6の両端部に位置する箇所におけるカバー部材13の内面にそれぞれ設けられている。この係合部14は、図5に示すように、紐状部材14aの両端がカバー部材13の内面に取り付けられた構成になっている。この場合、紐状部材14aの一端部である上端部は、天板6の端部に位置するカバー部材13の上面部13aに縫合されており、紐状部材14aの他端部である下端部は、側板3の上部に位置するカバー部材13の側面部13dに縫合されている。
【0022】
この係合部14は、図1および図5に示すように、その紐状部材14aが楽器本体1の天板6の両端部に設けられた係止部15に係脱可能に係止されるように構成されている。この係止部15は、図5〜図8に示すように、天板6の両端面に設けられた取付孔部16と、この取付孔部16内に設けられたフック部17とを備えている。取付孔部16は、図6および図8に示すように、天板6の両側に位置する端面から楽器本体1内に向けて連続するように形成されている。
【0023】
すなわち、この取付孔部16は、図8に示すように、天板6の外端面から側板3の内面よりも内側に位置する箇所までの部分に形成された断面が長方形状をなす角孔16aと、この角孔16aの内端部から楽器本体1内に位置する天板6の下面に開放されて形成された開口孔16bとを有し、これらが連続して形成されている。これにより、この取付孔部16は、楽器本体1内の音を楽器本体1の外部に放音する放音孔としての機能を有するように構成されている。
【0024】
また、フック部17は、図5〜図7に示すように、取付孔部16の外端部に取り付けられる枠状部17aと、この枠状部17aに設けられて係合部14の紐状部材14aを係脱可能に係止する紐規制部17bと備えている。枠状部17aは、天板6の両端面に設けられた係合部14の取付孔部16の外形とほぼ同じ大きさの長方形状に形成され、取付孔部16の内周部に設けられた座ぐり部16c内に配置され、この状態でビス18によって座ぐり部16c内に取り付けられている。
【0025】
紐規制部17bは、図7に示すように、枠状部17aの内周部における前部(図7では右側部)から後部(図7では左側部)に向けて突出して設けられている。すなわち、この紐規制部17bは、枠状部17aの前部における中間部から枠状部17aの前後方向におけるほぼ中間部に亘って設けられている。これにより、紐規制部17bは、図1に示すようにカバー部材13が楽器本体1を覆った際に、図5に示すように、紐状部材14aを係止することにより、カバー部材13が楽器本体1の前側(図5では右側)に位置ずれして滑り落ちないように構成されている。
【0026】
次に、このような防塵カバー2の作用について説明する。
まず、この防塵カバー2を楽器本体1に取り付ける場合には、図1に示すように、防塵カバー2のカバー部材13を楽器本体1にその上方から被せると共に、図5に示すように、カバー部材13の係合部14を楽器本体1の係止部15に係合させる。
【0027】
すなわち、カバー部材13を楽器本体1に被せる際には、図1に示すように、カバー部材13の上面部13aを楽器本体1の天板6上および鍵盤蓋11上に配置し、前面部13bを前板5の前面に配置し、後面部13cを後板の後面に配置し、一対の側面部13dを一対の側板3の上部における外側面に配置する。このとき、上面部13aに設けられた袋状の譜面カバー部13eを譜面立て12に被せる。これにより、カバー部材13は、楽器本体1の上部側にこれを覆った状態で配置される。
【0028】
また、このときには、図5に示すように、カバー部材13に設けられた係合部14の紐状部材14aを、楽器本体1の天板6の両端面に設けられた係止部15のフック部17に引っ掛けて係止させる。すなわち、係合部14の紐状部材14aを係止部15のフック部17に係止させる際には、紐状部材14aの中間部をフック部17の枠状部17a内に挿入させ、この挿入した紐状部材14aの中間部を前側(図5では右側)に移動させる。
【0029】
すると、図5に示すように、紐状部材14aの中間部が紐規制部17bの奥側、つまり取付孔部16の内部側に配置されると共に、紐状部材14aの上下の両端部が枠状部17aの上下の各辺部における外側(図5では表面側)に配置される。これにより、カバー部材13に設けられた係合部14の紐状部材14aが楽器本体1の天板6に設けられた係止部15のフック部17に引っ掛けられる。
【0030】
この状態では、カバー部材13が楽器本体1に対して位置ずれすることなく、楽器本体1にこれを覆った状態で取り付けられる。また、このときには、楽器本体1の天板6の両端面に設けられた係止部15のフック部17が取付孔部16内の座ぐり部16c内に取り付けられており、このフック部17にカバー部材13の紐状部材14aが係止されている。これにより、紐状部材14aおよびフック部17が楽器本体1の外面からほとんど突出することがない。このため、係止部15のフック部17および係合部14の紐状部材14aによって使用者が怪我をする恐れがない。
【0031】
また、この防塵カバー2を楽器本体1から取り外す場合には、カバー部材13のスカート部分である前面部13b、後面部13c、両側の側面部13dを楽器本体1の上側にめくり上げ、この状態でカバー部材13の紐状部材14aを楽器本体1のフック部17から取り外す。このときには、図5に示すように、紐状部材14aをフック部17の紐規制部17bに沿って後方(図5では左側)に移動させるだけで、簡単に紐状部材14aをフック部17の紐規制部17bから取り外すことができる。これにより、防塵カバー2を楽器本体1から容易に取り外すことができる。
【0032】
このように、カバー部材13を楽器本体1から取り外した状態では、鍵盤蓋11が露出するので、この露出した鍵盤蓋11を楽器本体1の後方に向けてスライドさせて天板6の下側に収納する。これにより、鍵盤部10が露出し、この露出した鍵盤部10の各鍵10aを押鍵操作して演奏することができる。このときには、楽器本体1の天板6の両端部に設けられた係止部15の取付孔部16が楽器本体1内に連続しているので、この取付孔部16が放音孔として機能し、楽器本体1内の音を楽器本体1の外部に放音させることができる。
【0033】
ところで、防塵カバー2を楽器本体1から完全に取り外すことなく、楽器本体1の鍵盤部10を露出させて演奏する場合には、図9に示すように、カバー部材13の前面部13bおよび鍵盤蓋11に対応する箇所の上面部13aをめくり上げると共に、カバー部材13の譜面カバー部13eを譜面立て12からめくり上げる。そして、このめくり上げたカバー部材13の上面部13a、前面部13b、および譜面カバー部13eを譜面立て12の後部側に配置する。
【0034】
すると、図9に示すように、楽器本体1の鍵盤部10に対応する鍵盤蓋11、前板5、および一対の袖板7の前側に位置する部分が露出する。この状態で、露出した鍵盤蓋11を楽器本体1の後方に向けてスライドさせて天板6の下側に収納すると、鍵盤部10が露出する。このため、防塵カバー2を楽器本体1から完全に取り外さなくても、露出した鍵盤部10の各鍵10aを押鍵操作して演奏することができる。
【0035】
このときには、カバー部材13に設けられた係合部14の紐状部材14aが、楽器本体1の天板6の両端面に設けられた係止部15のフック部17にそれぞれ係止されていると共に、めくり上げた部分のカバー部材13が譜面立て12の後部側に位置して係止されている。このため、演奏中にカバー部材13が楽器本体1の後部側に位置ずれして滑り落ちることがないばかりか、カバー部材13が楽器本体1の前部側に位置ずれして滑り落ちることがない。これにより、鍵盤部10の各鍵10aを押鍵操作して良好に演奏することができる。
【0036】
このように、この防塵カバー2の取付構造によれば、楽器本体1を覆うカバー部材13に設けられて、楽器本体1の複数の係止部15にそれぞれ係脱可能に係止される複数の係合部14が、紐状部材14aの両端をカバー部材13に取り付けた構成であり、係止部15が、楽器本体1に設けられた取付孔部16と、この取付孔部16内に設けられて紐状部材14aを係脱可能に係止するフック部17とを備えているので、楽器本体1に対するカバー部材13の取扱いが容易にでき、且つカバー部材13が楽器本体1に対して位置ずれすることなく、このカバー部材13によって楽器本体1を安全に且つ良好に覆うことができる。
【0037】
すなわち、この防塵カバー2の取付構造では、カバー部材13を楽器本体1に取り付けた状態で、カバー部材13の前部側である一部をめくり上げることにより、楽器本体1の鍵盤部10である一部を露出させることができるので、カバー部材13を楽器本体1から完全に取り外さなくても、演奏に必要な最小限の部分のみを露出させることができ、これにより鍵盤部10を露出させて良好に演奏することができる。
【0038】
このため、この防塵カバー2の取付構造では、演奏する前にカバー部材13を楽器本体1から取り外したり、また演奏後に再びカバー部材13を楽器本体1に掛け直したりする必要がないので、カバー部材13に手間が掛からず、楽器本体1に対するカバー部材13の取扱いが簡単で容易である。しかも、カバー部材13を楽器本体1から取り外す必要がないため、カバー部材13の置き場所に困ることがなく、カバー部材13の保管場所を心配する必要がない。
【0039】
この場合、カバー部材13の係合部14である紐状部材14aが楽器本体1の係止部15におけるフック部17に係止されているので、カバー部材13の一部である前部側をめくり上げて、楽器本体1の鍵盤部10である一部を露出させた状態で、鍵盤部10を露出させて演奏しても、その演奏中にカバー部材13が位置ずれして楽器本体1から滑り落ちないように、カバー部材13を楽器本体1に対して取り付けておくことができる。
【0040】
また、この防塵カバー2の取付構造では、カバー部材13を楽器本体1に取り付ける際に、カバー部材13を楽器本体1に被せると共に、カバー部材13の係合部14である紐状部材14aを楽器本体1の係止部15におけるフック部17に係止させるだけで、簡単に取り付けることができる。このため、カバー部材13の前部側である一部をめくり上げて演奏している場合でも、また演奏していない場合でも、カバー部材13が楽器本体1から滑り落ちないようにすることができる。
【0041】
また、カバー部材13を楽器本体1から取り外す際には、カバー部材13を楽器本体1から取り外すと共に、カバー部材13の紐状部材14aを楽器本体1のフック部17から取り外すだけで、簡単にカバー部材13を楽器本体1から取り外すことができる。このように、楽器本体1に対するカバー部材13の着脱作業性が良いので、カバー部材13を楽器本体1に取り付けた際に、カバー部材13が楽器本体1に対して位置ずれせずに、楽器本体1を安全に且つ良好に覆うことができると共に、カバー部材13を簡単に取り外すことができる。
【0042】
この場合、カバー部材13の係合部14は、紐状部材14aの両端がカバー部材13に縫合により取り付けた構成であるから、その構造が簡単で、容易に製作することができ、また楽器本体1の係止部15は、楽器本体1に設けられた取付孔部16と、この取付孔部16に設けられたフック部17とを備え、このフック部17が紐状部材14aを係脱可能に係止する構成であるから、このフック部17によって係合部14の紐状部材14aを簡単に且つ容易に係止することができる。
【0043】
また、フック部17は、取付孔部16の外端部に取り付けられる枠状部17aと、この枠状部17aに設けられて係合部14の紐状部材14aを係脱可能に係止する紐規制部17bと備え、枠状部17aが取付孔部16の内周部に設けられた座ぐり部16c内に配置された状態で取り付けられているので、フック部17が楽器本体1の外部に突出することがなく、このフック部17によって使用者が怪我をする恐れなく、安全性の高いものを提供することができる。
【0044】
また、このフック部17の紐規制部17bは、枠状部17aの内周部における前部の中間部から枠状部17aの前後方向におけるほぼ中間部に亘って設けられていることにより、紐状部材14aを簡単に且つ容易に係脱可能に係止することができるほか、カバー部材13が楽器本体1を覆った状態で紐状部材14aが係止した際に、カバー部材13が楽器本体1の前側に位置ずれして滑り落ちるのを確実に防ぐことができる。
【0045】
さらに、フック部17の取付孔部16は、楽器本体1における天板6の端面から側板3の内面よりも内側に位置する箇所までの部分に形成された断面が長方形状をなす角孔16aと、この角孔16aの内端部から楽器本体1内に位置する天板6の下面に開放されて形成された開口孔16bとを有し、これらが連続して形成されているので、この取付孔部16が放音孔として機能し、楽器本体1内の音を楽器本体1の外部に良好に放音させることができる。
【0046】
なお、上述した実施形態1では、フック部17が取付孔部16の外端部に取り付けられる枠状部17aと、この枠状部17aに設けられて係合部14の紐状部材14aを係脱可能に係止する紐規制部17bと備えた構成である場合について述べたが、これに限らず、例えば図10〜図12に示す変形例のように、フック部20を形成した構成であっても良い。すなわち、このフック部20は、図10に示すように、枠状部21と、紐規制部22とを備えている。
【0047】
この場合、紐規制部22は、図11および図12に示すように、カバー部材13が楽器本体1を覆った際に紐状部材14aを係止してカバー部材13が楽器本体1の前側(図11では右側)に向けて位置ずれするのを防ぐ第1紐規制部22aと、楽器本体1を覆った状態のカバー部材13の一部をめくり上げて、楽器本体1の一部である前部側の鍵盤部10を露出させた際に紐状部材14aを係止してカバー部材13が楽器本体1の後側に向けて位置ずれするのを防ぐ第2紐規制部22bとを備えている。
【0048】
この場合、第1紐規制部22aは、実施形態1の紐規制部17bに相当するものであり、図10に示すように、枠状部21の内周部における前部(図10では右側部)の中間部から枠状部21の前後方向におけるほぼ中間部に亘って設けられている。これにより、第1紐規制部22aは、カバー部材13が楽器本体1を覆った際に、図11に示すように、紐状部材14aを係止して、カバー部材13が楽器本体1の前側(図11では右側)に向けて位置ずれして、楽器本体1の前側に滑り落ちないように構成されている。
【0049】
また、第2紐規制部22bは、図10に示すように、第1紐規制部22aの後端部(図10では左端部)に上側に向けて突出して設けられた突起部である。この第2紐規制部22bは、カバー部材13が楽器本体1を覆った状態で、図12に示すように、カバー部材13が楽器本体1の後側(図12では左側)にずれた際に、紐状部材14aを係止して、カバー部材13が楽器本体1の後側に向けて位置ずれして、楽器本体1の後方に滑り落ちるのを防ぐように構成されている。
【0050】
このようなフック部20によれば、実施形態1と同様、第1紐規制部22aが枠状部21の内周部における前部の中間部から枠状部21の前後方向におけるほぼ中間部に亘って設けられていることにより、図11に示すように、紐状部材14aを簡単に且つ容易に係止することができるほか、カバー部材13が楽器本体1を覆った状態で第1紐規制部22aが紐状部材14aを係止した際に、カバー部材13が楽器本体1の前側に位置ずれして滑り落ちるのを確実に防ぐことができる。
【0051】
また、このフック部20は、図12に示すように、第2紐規制部22bが第1紐規制部22aの後端部(図12では左端部)に上側に向けて突出して設けられていることにより、カバー部材13が楽器本体1を覆った状態で、図9に示したように、カバー部材13をめくり上げて楽器本体1の鍵盤蓋11を露出させた際に、カバー部材13が楽器本体1の後側(図12では左側)にずれても、紐状部材14aを第2紐規制部22bによって係止することができ、これによりカバー部材13が楽器本体1の後方に滑り落ちるのを確実に防ぐことができる。
【0052】
(実施形態2)
次に、図13〜図16を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図9に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器は、図13および図14に示すように、鍵盤蓋11に対応する箇所のカバー部材13にも係合部25を設けると共に、鍵盤蓋11に係止部26を設けた構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0053】
この場合、楽器本体1の天板6の両端部に位置する箇所におけるカバー部材13の内面には、実施形態1と同様、係合部14がそれぞれ設けられている。この係合部14は、図5に示したように、紐状部材14aの両端をカバー部材13の内面に取り付けた構成になっている。
【0054】
また、楽器本体1の天板6の両端部には、実施形態1と同様、係合部14を係脱可能に係止する係止部15がそれぞれ設けられている。この係止部15は、図6〜図8に示したように、天板6の両端面に設けられた取付孔部16と、この取付孔部16内に設けられたフック部17とを備えている。
【0055】
一方、楽器本体1の鍵盤蓋11の前端に位置する箇所におけるカバー部材13の内面には、図13および図14に示すように、係合部25がそれぞれ設けられている。この係合部25は、実施形態1と同様、紐状部材25aの両端をカバー部材13の内面に取り付けた構成になっている。
【0056】
この場合、紐状部材25aは、図13および図14に示すように、鍵盤部10における鍵10aの配列方向である左右方向に位置する両端部が、鍵盤蓋11の前端に位置する上面の両側に対応する箇所のカバー部材13の上面部13aにおける内面にそれぞれ縫合されている。
【0057】
また、楽器本体1の鍵盤蓋11の前端に位置する上面には、図13および図14に示すように、係合部25の紐状部材25aを係脱可能に係止する係止部26がそれぞれ設けられている。この係止部26は、図14および図15に示したように、鍵盤蓋11の前端における上面の両側にそれぞれ設けられた取付孔部27と、この取付孔部27内にそれぞれ設けられたフック部28とを備えている。取付孔部27は、図15に示すように、鍵盤蓋11の両側に位置する箇所において、その上面から下面に貫通して形成されている。
【0058】
フック部28は、実施形態1と同様、取付孔部27の外端部に取り付けられる枠状部28aと、この枠状部28aに設けられて係合部25の紐状部材25aを係脱可能に係止する紐規制部28bとを備えている。枠状部28aは、図14および図15に示すように、鍵盤蓋11の前端における上面の両側に設けられた係止部26の取付孔部27の外形とほぼ同じ大きさの長方形状に形成され、取付孔部27の内周部に設けられた座ぐり部27a内に配置され、この状態でビス18によって座ぐり部27a内に取り付けられている。
【0059】
紐規制部28bは、図14に示すように、枠状部28aの内周部における前部(図14では右側部)から後部(図14では左側部)に向けて突出して設けられている。すなわち、この紐規制部28bは、枠状部28aの前部における中間部から枠状部28aの前後方向におけるほぼ中間部に亘って設けられている。これにより、紐規制部28bは、図13に示すようにカバー部材13が楽器本体1を覆った際に、図14に示すように、紐状部材25aを係止して、カバー部材13が楽器本体1に対して位置ずれしないように構成されている。
【0060】
次に、このような実施形態2の防塵カバー2の作用について説明する。
まず、この防塵カバー2を楽器本体1に取り付ける場合には、図13に示すように、防塵カバー2のカバー部材13を楽器本体1にその上方から被せると共に、図5および図14に示すように、カバー部材13の係合部14、25を楽器本体1の係止部15、26にそれぞれ係合させる。
【0061】
すなわち、カバー部材13を楽器本体1に被せる際には、図13に示すように、カバー部材13の上面部13aを楽器本体1の天板6上および鍵盤蓋11上に配置し、前面部13bを前板5の前面に配置し、後面部13cを後板6の後面に配置し、一対の側面部13dを一対の側板3の上部における外側面に配置する。このとき、上面部13aに設けられた袋状の譜面カバー部13eも譜面立て12に被せる。これにより、カバー部材13は、楽器本体1の上部側にこれを覆って配置される。
【0062】
また、このときには、実施形態1と同様、カバー部材13の後部側に設けられた係合部14の紐状部材14aを、楽器本体1の天板6の両端面に設けられた係止部15のフック部17に引っ掛けて係止させると共に、図14に示すように、カバー部材13の前部側に設けられた係合部25の紐状部材25aを、楽器本体1の鍵盤蓋11の前端における上面の両側に設けられた係止部26のフック部28に引っ掛けて係止させる。
【0063】
すなわち、カバー部材13の後部側に設けられた係合部14の紐状部材14aを係止部15のフック部17に係止させる際には、実施形態1と同様、紐状部材14aの中間部をフック部17の枠状部17a内に挿入させ、この挿入した紐状部材14aの中間部を前側(図5では右側)に移動させる。
【0064】
すると、実施形態1と同様、紐状部材14aの中間部が紐規制部17bの奥側、つまり取付孔部16側に配置されると共に、紐状部材14aの上下の両端部が枠状部17aの上下の各辺部における外側(図5では表面側)に配置される。これにより、カバー部材13に設けられた係合部14の紐状部材14aが楽器本体1の天板6に設けられた係止部15のフック部17に引っ掛けられる。
【0065】
また、カバー部材13の前部側に設けられた係合部25の紐状部材25aを係止部26のフック部28に係止させる際には、図14に示すように、紐状部材25aの中間部をフック部28の枠状部28a内に挿入させ、この挿入した紐状部材25aの中間部を前側(図14では右斜め前側)に移動させる。
【0066】
すると、図14に示すように、紐状部材25aの中間部が紐規制部28bの下側、つまり取付孔部27の内部側に配置されると共に、紐状部材25aの上下の両端部が枠状部28aの上下の各辺部における外側(図14では上面側)に配置される。これにより、カバー部材13に設けられた係合部25の紐状部材25aが、楽器本体1の鍵盤蓋11に設けられた係止部26のフック部28に引っ掛けられる。
【0067】
この状態では、カバー部材13が楽器本体1に対して位置ずれすることなく、楽器本体1にこれを覆って取り付けられる。また、このときには、カバー部材13の後部側に位置する紐状部材14aおよび天板6の両側面に設けられたフック部17が楽器本体1の外面からほとんど突出することがない。
【0068】
同様に、カバー部材13の前部側に位置する紐状部材25aおよび鍵盤蓋11の前端における上面に設けられたフック部28も、鍵盤蓋11の上面からほとんど突出することがない。このため、各係止部15、26の各フック部17、28および各係合部14、25の各紐状部材14a、25aによって使用者が怪我をする恐れがない。
【0069】
また、この防塵カバー2を楽器本体1から取り外す場合には、カバー部材13の前面部13bを鍵盤蓋11上にめくり上げ、この状態でカバー部材13の前側に位置する係合部25の紐状部材25aを鍵盤蓋11のフック部28から取り外す。このときには、図14に示すように、紐状部材25aをフック部28の紐規制部28bに沿って鍵盤蓋11の後方(図14では左側)に移動させるだけで、簡単に紐状部材25aをフック部28の紐規制部28bから取り外すことができる。
【0070】
この後、カバー部材13を楽器本体1の上方にめくり上げ、この状態でカバー部材13の後部側に位置する紐状部材14aを楽器本体1の天板6に設けられたフック部17から取り外す。このときには、実施形態1と同様、紐状部材14aをフック部17の紐規制部17bに沿って後方(図5では左側)に移動させるだけで、簡単に紐状部材14aをフック部17の紐規制部17bから取り外すことができる。これにより、防塵カバー2を楽器本体1から簡単に且つ容易に取り外すことができる。
【0071】
このように、カバー部材13を楽器本体1から取り外した状態では、実施形態1と同様、鍵盤蓋11を楽器本体1の後方に向けてスライドさせて天板6の下側に収納することにより、鍵盤部10を露出させ、この露出した鍵盤部10の各鍵10aを押鍵操作して演奏することができる。このときにも、楽器本体1の天板6の両端部に設けられた係止部15の取付孔部16が楽器本体1内に連続しているので、この取付孔部16が放音孔として機能し、楽器本体1内の音を楽器本体1の外部に放音させることができる。
【0072】
ところで、防塵カバー2を楽器本体1から完全に取り外すことなく、楽器本体1の鍵盤部10を露出させて演奏する場合には、図16に示すように、カバー部材13の前面部13bを鍵盤蓋11上にめくり上げ、この状態で鍵盤蓋11をスライドさせて天板6の下側に収納する。このときには、カバー部材3の前部側に設けられた係合部25の紐状部材25aが、鍵盤蓋11の係止部26のフック部28に係止されていることにより、カバー部材13の前部側が鍵盤蓋11のスライド動作と共に移動する。
【0073】
これにより、鍵盤蓋11をスライドさせて楽器本体1の天板6の下側に移動させて収納するだけで、図16に示すように、カバー部材13を自動的にめくり上げながら鍵盤部10の後部側に移動させ、楽器本体1内に設けられた鍵盤部10を露出させることができる。このため、防塵カバー2を楽器本体1から完全に取り外さなくても、露出した鍵盤部10の各鍵10aを押鍵操作して良好に演奏することができる。
【0074】
このときには、カバー部材13の後部側に設けられた係合部14の紐状部材14aが、楽器本体1の天板6に設けられた係止部15のフック部17に係止されていると共に、カバー部材13の前部側に設けられた係合部25の紐状部材25aが、鍵盤蓋11の上面に設けられた係止部26のフック部28に係止されているので、演奏中にカバー部材13が位置ずれすることがない。
【0075】
すなわち、カバー部材13の後部側に位置する紐状部材14aが楽器本体1の天板6に設けられたフック部17に係止されているので、カバー部材13が楽器本体1の後方に位置ずれして滑り落ちることがなく、またカバー部材13の前部側に位置する紐状部材25aが鍵盤蓋11の上面に設けられたフック部28に係止されているので、カバー部材13が楽器本体1の前方に位置ずれして滑り落ちることがない。このため、演奏中にカバー部材13が位置ずれすることがないので、鍵盤部10の各鍵10aを押鍵操作して良好に演奏することができる。
【0076】
また、演奏をしない場合には、鍵盤蓋11を楽器本体1内から引き出し、この引き出された鍵盤蓋11で鍵盤部10を覆うと、鍵盤蓋11の引き出し動作に連動してカバー部材13の一部が引き出されて鍵盤蓋11および楽器本体1の前板5を覆う。このため、カバー部材13の取り扱いが容易で、鍵盤蓋11に対するカバー部材13の掛け忘れがなく、確実に且つ良好にカバー部材13を鍵盤蓋11上に掛けることができる。
【0077】
なお、鍵盤蓋11を楽器本体1の天板6の下側に収納し、この状態で鍵盤部10を露出させて演奏する際に、譜面立て12に譜面を立て掛けて演奏する場合には、鍵盤蓋11と共にめくり上げられたカバー部材13の譜面カバー部13eを譜面立て12から更にめくり上げる。そして、このめくり上げたカバー部材13の上面部13a、前面部13b、および譜面カバー部13eを譜面立て12の後部側に配置する。
【0078】
このときには、カバー部材13の前部側に設けられた係合部25の紐状部材25aが、鍵盤蓋11の上面に設けられた係止部26のフック部28に係止されていても、カバー部材13の譜面カバー部13eを譜面立て12からめくり上げることができる。また、このめくり上げた部分のカバー部材13を譜面立て12の後部側に位置して係止させることができる。これにより、より一層、演奏中にカバー部材13が位置ずれするのを防ぐことができるので、鍵盤部10の各鍵10aを押鍵操作して良好に演奏することができる。
【0079】
このように、この防塵カバー2の取付構造によれば、実施形態1と同様の作用効果があるほか、楽器本体1と鍵盤蓋11とにそれぞれ係止部15、26が設けられていると共に、楽器本体1の係止部15と鍵盤蓋11の係止部26とに対応する箇所におけるカバー部材13にそれぞれ係合部14、25が設けられていることにより、防塵カバー2を楽器本体1から完全に取り外さなくても、鍵盤部10を露出させることができ、この露出した鍵盤部10の各鍵10aを押鍵操作して良好に演奏することができる。
【0080】
すなわち、この防塵カバー2の取付構造では、カバー部材13の前部側に設けられた係合部25の紐状部材25aが鍵盤蓋11の前端における上面の両側に設けられた係止部26のフック部28に係止されているので、鍵盤蓋11をスライドさせて楽器本体1の天板6の下側に移動させて収納するだけで、カバー部材13を鍵盤蓋11と共に自動的にめくり上げて、楽器本体1内に設けられた鍵盤部7を露出させることができる。
【0081】
このため、カバー部材13を鍵盤蓋11のスライド動作に連動させてめくり上げることができるので、カバー部材13の取り扱いが簡単で容易であるほか、防塵カバー2を楽器本体1から完全に取り外さなくても、鍵盤蓋11をスライドさせて楽器本体1に収納するだけで、鍵盤部10を露出させ、この露出した鍵盤部10の各鍵10aを押鍵操作して良好に演奏することができる。
【0082】
この場合、楽器本体1をカバー部材13で覆った際に、カバー部材13の後部側に設けられた係合部14の紐状部材14aを、楽器本体1の天板6の両端面に設けられた係止部15のフック部17に引っ掛けて係止させると共に、カバー部材13の前部側に設けられた係合部25の紐状部材25aを、楽器本体1の鍵盤蓋11の前端における上面の両側に設けられた係止部26のフック部28に引っ掛けて係止させることにより、カバー部材13の一部をめくり上げて、楽器本体1の一部である鍵盤部10を露出させた状態でも、カバー部材13が楽器本体1に対して位置ずれするのを確実に且つ良好に防ぐことができる。
【0083】
なお、上述した実施形態2では、フック部17、28が取付孔部16、27の外端部に取り付けられる枠状部17a、28aと、この枠状部17a、28aに設けられて係合部14、25の紐状部材14a、25aを係脱可能に係止する紐規制部17b、28bと備えた構成である場合について述べたが、これに限らず、例えば図10〜図12に示した変形例のフック部20のように、第1、第2の各紐規制部22a、22bを備えた構成しても良い。
【0084】
すなわち、この変形例におけるフック部20の第1紐規制部22aは、カバー部材13が楽器本体1を覆った際に紐状部材14a、25aを係止してカバー部材13が楽器本体1の前側(図10では右側)に向けて位置ずれするのを防ぐように構成されていれば良い。また、第2紐規制部22bは、楽器本体1を覆った状態のカバー部材13を開いて楽器本体1の一部である前部側を露出させた際に紐状部材14a、25aを係止してカバー部材13が楽器本体1の後側に向けて位置ずれするのを防ぐように構成されていれば良い。
【0085】
また、上述した実施形態1、2およびその各変形例では、鍵盤楽器に適用した場合について述べたが、必ずしも鍵盤楽器である必要はなく、例えばシンセサイザーなどの電子楽器や音響機器など、埃を嫌う各種の電子機器に広く適用することができる。
【0086】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0087】
(付記)
請求項1に記載の発明は、複数の係止部を有する機器本体と、この機器本体を覆うカバー部材と、このカバー部材に設けられ、且つ前記機器本体の前記複数の係止部にそれぞれ係脱可能に係止される複数の係合部とを備えた防塵カバーの取付構造において、
前記係合部は、前記カバー部材の内面に両端が取り付けられた紐状部材を備えており、前記係止部は、前記機器本体に設けられた取付孔部と、この取付孔部内に設けられて前記紐状部材を係脱可能に係止するフック部とを備えていることを特徴とする防塵カバーの取付構造である。
【0088】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の防塵カバーの取付構造において、前記フック部は、前記カバー部材が前記機器本体を覆った際に前記紐状部材を係止して前記カバー部材が前記機器本体の前側に向けて位置ずれするのを防ぐ第1紐規制部と、前記機器本体を覆った状態の前記カバー部材の一部をめくり上げて前記機器本体の一部を露出させた際に前記紐状部材を係止して前記カバー部材が前記機器本体の後側に向けて位置ずれするのを防ぐ第2紐規制部とを備えていることを特徴とする防塵カバーの取付構造である。
【0089】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の防塵カバーの取付構造において、前記機器本体は、鍵盤部と、この鍵盤部を開閉可能に覆う鍵盤蓋とを有する鍵盤楽器の楽器本体であり、前記係止部は、前記楽器本体と前記鍵盤蓋とに設けられており、前記係合部は、前記楽器本体の前記係止部と前記鍵盤蓋の前記係止部とに対応する箇所における前記カバー部材の内面にそれぞれ設けられていることを特徴とする防塵カバーの取付構造である。
【符号の説明】
【0090】
1 楽器本体
2 防塵カバー
10 鍵盤部
11 鍵盤蓋
13 カバー部材
14、25 係合部
14a、25a 紐状部材
15、26 係止部
16、27 取付孔部
17、20、28 フック部
17a、21、28a 枠状部
17b、22、28b 紐規制部
22a 第1紐規制部
22b 第2紐規制部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の係止部を有する機器本体と、この機器本体を覆うカバー部材と、このカバー部材に設けられ、且つ前記機器本体の前記複数の係止部にそれぞれ係脱可能に係止される複数の係合部とを備えた防塵カバーの取付構造において、
前記係合部は、前記カバー部材の内面に両端が取り付けられた紐状部材を備えており、
前記係止部は、前記機器本体に設けられた取付孔部と、この取付孔部内に設けられて前記紐状部材を係脱可能に係止するフック部とを備えていることを特徴とする防塵カバーの取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の防塵カバーの取付構造において、前記フック部は、前記カバー部材が前記機器本体を覆った際に前記紐状部材を係止して前記カバー部材が前記機器本体の前側に向けて位置ずれするのを防ぐ第1紐規制部と、前記機器本体を覆った状態の前記カバー部材の一部をめくり上げて前記機器本体の一部を露出させた際に前記紐状部材を係止して前記カバー部材が前記機器本体の後側に向けて位置ずれするのを防ぐ第2紐規制部とを備えていることを特徴とする防塵カバーの取付構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の防塵カバーの取付構造において、前記機器本体は、鍵盤部と、この鍵盤部を開閉可能に覆う鍵盤蓋とを有する鍵盤楽器の楽器本体であり、前記係止部は、前記楽器本体と前記鍵盤蓋とに設けられており、前記係合部は、前記楽器本体の前記係止部と前記鍵盤蓋の前記係止部とに対応する箇所における前記カバー部材の内面にそれぞれ設けられていることを特徴とする防塵カバーの取付構造。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−11653(P2013−11653A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142756(P2011−142756)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】