防振機能を備えた回転切削工具
【課題】
工具の刃先において回転軸方向に生じる工具の振動を効果的に減衰し、切削加工中に工具振動を生じずに高い能率で切削加工することができる回転切削工具を提供する。
【解決手段】
円盤状の本体11に切れ刃13を取り付けた回転切削工具において、前記円盤状の本体11の端面側に円環状の溝を形成し、当該溝に、粘弾性体21を介してリング状の錘31を設け、工具本体の回転軸方向に前記錘31が前記本体11と相対的に移動可能に構成する。
工具の刃先において回転軸方向に生じる工具の振動を効果的に減衰し、切削加工中に工具振動を生じずに高い能率で切削加工することができる回転切削工具を提供する。
【解決手段】
円盤状の本体11に切れ刃13を取り付けた回転切削工具において、前記円盤状の本体11の端面側に円環状の溝を形成し、当該溝に、粘弾性体21を介してリング状の錘31を設け、工具本体の回転軸方向に前記錘31が前記本体11と相対的に移動可能に構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転する切削工具を走査することで被削材を切削加工する場合、その加工精度の低下や切削工具の破損などの不具合を生じる工具の振動を抑制する技術に関する。また、切削工具を用いて良好な表面粗さ、寸法精度で加工するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
回転する切削工具を用いた切削加工において、被削材や工具の動剛性が低い場合、あるいは切削工具と被削材の間に作用する切削力が大きい場合に、切削工具と被削材の間に相対的な振動が生じる。そして発生した振動により加工面にうねりが生じ、また、その表面粗さが増大し、所望の加工精度を得ることが出来なくなる。さらにまた、上記した振動が大きくなると切削工具自身の切れ刃が欠損する、あるいはその摩耗が増大するなどの不具合が生じ、最終的には切削工具自身が寿命にいたることになる。
【0003】
深い溝や穴などを切削加工する際は、直径や幅などに比較して突出しの長い長尺工具が用いられる。長尺工具では、長手方向に垂直方向の剛性が低く、加工中は工具先端では長手方向垂直面内で振動変位しやすい。このような長尺切削工具で加工を行うと、加工中の工具先端の振動によって表面粗さや工具寿命の悪化を生じてしまう。このような場合における対応策としては、従来は切込み量を小さくするなど、加工条件を低下させて工具に作用する切削力が小さくなるようにして、振動を抑制する方法しかなかった。しかしこの方法では加工条件を低下させるため、切削加工に要する時間が増大し、生産性を悪化させてしまうという問題がある。
【0004】
このような場合における対応策として、弾性体などを介して錘を工具本体に対して相対運動可能な状態で取付け、ダイナミックダンパを構成することで工具本体の振動を抑制する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、旋削加工用のバイトの外部に錘を取付けてバイト本体の振動を減衰させ、切込み量を減少させずに高い加工能率で切削する方法が提案されている。また特許文献2には、工具を回転させて被削材を切削する場合において、長尺工具に設けた中空部に錘を取付ける事で本体の振動を減衰させ、切込み量を減少させずに高い加工能率で切削する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−79533号公報
【特許文献2】特願2008−100332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1では、旋削用バイト本体のたわみ振動を抑制するために、バイト本体の外側に錘を配置してダイナミックダンパを構成し、バイト本体の振動を減衰する構造が提案されている。この方式では、錘はバイト本体に対してばね、減衰器を介して接続されており、バイトがその長手方向に対して垂直面内で変位すると、錘はバイト本体に反力を加えることで振動を抑制することが可能になっている。この方式ではバイト本体の外側に錘を配置しているので、バイト本体よりも大きな錘を取付けることができ、ダイナミックダンパの減衰性能を高めることができるという利点がある。しかし、たとえば穴や溝などの狭い部分の加工を行う場合、錘に関しては被削材との干渉を生じない程度の大きさとする必要がある。
【0007】
また、上記した特許文献2では、長尺回転工具のたわみ振動を抑制するために、工具の内部に設けた中空部に錘を配置してダイナミックダンパを構成し、長尺回転工具本体の振動を減衰する構造が提案されている。この方式においては、錘は長尺工具本体に対して、ばね、減衰器を介して接続されている。長尺回転工具は、回転軸に対して垂直な面内、すなわち工具回転面内で振動しやすい。長尺工具本体が振動変位すると、内蔵された錘が長尺工具本体に対して反力を加えることで振動を抑制することが可能になっている。長尺工具は穴やポケットなど、狭い部分の加工に用いられるが、本方式では錘は工具本体に内蔵されており、加工時に被削材との干渉は生じない。しかし、工具内部に錘を内蔵する必要があるので、錘の大きさには制約が生じる。
【0008】
これらの、錘を内蔵してダイナミックダンパを構成し、切削加工中の工具本体の振動を抑制する方法としては、従来は主として長尺工具のたわみ振動を減衰させる構造が用いられてきている。
【0009】
しかし一方で、切削加工中に工具と被削材の間に相対的な振動を生じやすい場合として、回転切削工具において、工具長さに対して工具直径が大きい場合がある。このような場合、切削工具の取付け部を中心にした振り子運動や、工具本体の弾性変形によって切削工具の刃先部分では回転軸方向に振動変位が大きくなる。このため、回転軸と垂直面内で工具と錘が相対運動する従来の方式では、効果的に刃先での振動を抑制することができないという課題がある。
【0010】
そこで本発明は、これらの課題を解決し、工具の刃先において回転軸方向に生じる工具の振動を効果的に減衰し、切削加工中に工具振動を生じずに高い能率で切削加工することができる回転切削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明では回転切削工具の端面側に錘を配置し、錘が工具本体に対して回転軸方向に相対運動可能な状態で取り付けられていることで、刃先での工具回転軸方向の振動を減衰させることを特徴としている。
【0012】
この発明の一つの態様では、円盤状の本体に切れ刃を取り付けた回転切削工具において、前記円盤状の本体の端面側に円環状の溝を形成し、当該溝に、粘弾性体を介してリング状の錘を設け、工具本体の回転軸方向に前記錘が前記本体と相対的に移動可能に構成する。
【発明の効果】
【0013】
上記したように、回転切削工具の端面側に、錘が工具本体に対して回転軸方向に相対運動可能な状態で取り付けられていることで、加工中に生じる刃先と被削材の相対振動を減衰させ、加工面の表面粗さや寸法精度の悪化、工具の欠損などを生じることなく、良好な状態で切削加工することが可能になった。また、切込み量など加工条件を大きくしても、工具と被削材の相対振動を生じずに加工でき、高い効率で切削加工することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例の防振機構を備えた回転切削工具の構造を説明した図である。
【図2】本発明が適用される回転切削加工の一例を説明した図である。
【図3】切削工具を取付けたアーバが長い場合に、切削加工時に生じる工具振動の方向を説明した図である。
【図4】工具突出し長さに比べて工具直径が大きい場合に生じる工具振動の方向を説明した図である。
【図5】切削工具と座標系の関係を説明した図である。
【図6】従来の切削工具において、x方向に加振した場合の、x,y,zそれぞれの方向の変位の応答を示した図である。
【図7】従来の切削工具において、z方向に加振した場合の、x,y,zそれぞれの方向の変位の応答を示した図である。
【図8】工具直径方向に切削力が作用した場合に生じる、切削工具の本体の振動変位を説明した図である。
【図9】回転軸方向に切削力が作用した場合に、たわみ変形による切削工具の本体の振動を説明した図である。
【図10】本発明の実施例の防振機構を内蔵した回転切削工具の概要を説明した図である。
【図11】本発明の実施例の防振機構を備えた切削工具の断面図である。
【図12】本発明の振動系のモデルを説明する図である。
【図13】工具本体と錘の振動状態を解析した図である。
【図14】工具本体と錘の振動状態を解析した図である。
【図15】工具本体と錘の振動状態を解析した図である。
【図16】本発明の防振機構を内蔵した回転切削工具の周波数応答を説明した図である。
【図17】本発明の他の実施例の回転切削工具の構造を説明した図である。
【図18】本発明の他の実施例の回転切削工具の構造を説明した図である。
【図19】本発明の他の実施例の防振機構を備えた回転切削工具の構造を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
大形の部品を製造するために、回転する切削工具を被削材に切込みながら相対的に移動させることで、被削材を除去して、設計形状、寸法に加工することが行われる。例えば、図2に示したように、切削工具1は、回転しながら工作機械のx軸(テーブル移動軸)51、y軸(水平移動軸)52、z軸(上下移動軸)53の駆動によって移動し、テーブル上に取付けられた被削材3を加工する。この際に、図3に示したように、工具1の直径Dに対して、アーバ(取付け部)2の長さLが長い状態では、加工中に被削材3から受ける切削力によってアーバ2にたわみが生じ、図中に示した矢印の方向、すなわち回転工具1の回転面内での振動が生じやすい。加工中に回転面内で工具1の振動が生じると、加工表面の粗さの劣化、寸法精度の劣化、および切れ刃の損傷が生じることになり、良好な状態での切削ができない。一方で、図4に示したように、アーバを用いずに工具の突出し長さLが短い状態で切削加工する場合においても、工具11の直径Dが大きい場合には、切削加工中に被削材3から受ける切削力によって、図中の矢印の方向、すなわち工具回転軸方向の振動が生じやすい。
【0017】
図5はこのような直径の大きい工具の形態を説明した図である。切削工具の本体11には、複数の切れ刃、すなわちインサート13が取付けられている。図5において、この回転切削工具11の回転軸方向をz軸とし、xおよびy軸で決定する平面内で工具は回転する。工具本体11は例えば直径が250mmで、厚さが50mmの円盤状になっている。この図5において、インサート13に、図中に示したx軸方向にインパルス波形の切削力を加えたときの、計測する位置15におけるx、y、およびz軸方向のコンプライアンス(振動変位と加振力の比)の周波数応答を図6に示している。ここで、計測する位置15において、x軸方向は半径方向を、y軸方向は接線方向を示す。図6の結果より、x軸方向に切削力を加えているものの、x軸方向よりもz軸方向のコンプライアンスの方が大きくなっている。
【0018】
図7は、図5においてインサート13に図中のz方向のインパルス波形の切削力を加えたときの、計測する位置15におけるx,y,z軸方向のコンプライアンスの周波数応答を示したものである。この結果より、z軸方向に切削力を加えたことにより、z軸方向に最も大きな変位を生じていることがわかる。
【0019】
図8に示したように、工具突出し長さと比較して工具直径が大きい場合、工具11の外径に工具直径方向に力Fが作用することにより、図中のA点を中心に工具全体が振り子運動すると仮定する。このときに工具の突出し長さと半径が同じであれば、図中に示したように工具中心における工具半径方向すなわちx方向の変位δxと、工具軸方向の変位δzは等しくなる。工具の突出し長さよりも工具半径の方が大きい場合には、δzの方が大きくなるため、切削加工によって工具の半径方向、すなわちx方向に切削力が作用しても、切れ刃先端においては工具の回転軸方向、すなわちz方向に振動変位が大きくなってしまう。一方で図9に示したように、工具の最外径部分に回転軸方向すなわちz方向の切削力が作用した場合、本発明で対象としている形状の切削工具では直径が250mm、厚さが50mmと薄いので、上記の振動変位に加えて工具の本体11がたわみ変形することによって切れ刃はz方向に振動してしまう。このように突出し長さと比較して、直径の大きな工具によって被削材を切削加工すると、切れ刃部分においては回転軸の方向に振動が生じやすくなる。
【0020】
そこで本発明では、図10に示したように切削工具の本体11の端面側に溝が設けられており、その内部に錘31が配置されている構造とすることで、本体11の回転軸方向の振動を減衰することを可能にしている。錘31は本体11に対して内蔵されているので、加工中に錘31が被削材と干渉することなく切削可能になっている。
【0021】
図11は、図10の断面図を示している。この図に示したように、切削工具の本体11には切れ刃(インサート)13が取り付けられている。工具本体11の端面側には円環状の溝が設けられている。この溝の内部には、リング状の錘31が配置さており、ボルト22、および粘弾性体のリング21を介して工具本体11に取付けられている。工具本体11は直径250mm、厚さ50mmの円盤状であり、端面側の溝は直径190mm、深さ30mmとなっている。錘31は直径180mm、厚さ25mmの円盤状である。錘の質量を大きくすることで、高い減衰性能を得ることが可能であるために、材質は鉄系材料の約2倍の比重を持つタングステン焼結体(比重15)を用いている。また、粘弾性体は直径22mm、厚さ5mmのリング状であり、ヤング率1000kgf/mm2、減衰比0.3の防振ゴムを用いている。
【0022】
図1に示したように錘31には同心円上に4か所の穴およびざぐりが設けられており、ざぐりの内部にリング状の粘弾性体21を挿入し、ボルト22によって錘は本体11に取付けられる。この際に、錘31のざぐりの直径と、粘弾性体のリング21の外径は等しくなっており、また粘弾性体のリング21の内径とボルト22の直径は等しくなっているので、錘31は工具本体11と同じ回転軸となるように配置される。このことによって、錘の中心位置のずれによるアンバランスを生じることなく錘を工具本体11の内部に設置することができ、工具回転時の振動を小さくすることができる構造となっている。また、同心円上に設けた4か所をボルト22で固定する際に、粘弾性体21を変形させて締め込むことで、工具本体11、粘弾性体21、錘31、ボルト22には適切な与圧が作用し、変形した状態となっている。すなわち、錘31が工具の回転軸方向の一方に移動すると、一方の粘弾性体リングは錘に圧迫されて圧縮し、反対側の粘弾性体リングは圧迫が開放されて伸長することになるが、双方の粘弾性体リングともにボルト22によって予め圧縮された状態であるために、錘の移動によって錘31、粘弾性体21、工具本体11の接触が分離することはない。
図12は、工具本体11、錘31および粘弾性体からなる振動系のモデルを示す。以上の構造となっていることにより、工具本体11と錘31の振動のモードは図12に示したようになっている。工具本体11は図中のx−z平面内で点Aを中心に振り子運動するモードで振動する。錘31は、工具本体11に対して両側でばね25、減衰器27を介して接続されている。一方のばね25および減衰器27が伸長すると、もう一方のばね25と減衰器27は圧縮する振動モードとなることで、錘31が本体11と逆の位相で振動する。この作用によって工具本体11の振り子運動の振動モードを減衰させることができるようになっている。
【0023】
図13、図14、および図15は、有限要素法によって工具本体11と錘31の振動状態を解析した図である。1300Hzの周波数において、図13に示したように工具本体11の上端がz+方向に移動したときに、錘31の上端はz−方向に移動して、工具本体の運動に対して反対の力を及ぼしている。図14は振動の中間状態を示しており、図15は図13と反対方向に工具本体11と錘31が移動した状態を示している。これらの図に示してあるように、本体11が振動するときに、錘31は工具本体11とは逆の位相で振動し、本体の変位に対して反対方向の力を及ぼすことによって振動を減衰することができるのである。
【0024】
図16は、直径250mmの回転切削工具について、以上に説明した防振機構を内蔵したことによる、工具回転軸方向、すなわちz軸方向のコンプライアンスを示したものである。従来の切削工具では固有振動数1300Hzにおいて、コンプライアンスは約6×10−8m/Nであったが、防振機構を内蔵したことで、コンプライアンス最大値は2×10−8m/Nと、1/3に小さくすることができている。これにより動剛性を約3倍に向上することができており、切削加工時の切込みを3倍に向上することが可能になったのである。
【0025】
以上に説明した実施例においては、錘31はタングステン焼結体を直径180mmのリング状に加工したものを用いている。一方で、さらに工具本体の直径が大きい場合には、防振性能を確保するために錘も直径の大きなものを用いる必要が生じる。しかし、大径の焼結体を製作するには、成形金型や、焼結の炉にも大きな寸法のものを用いる必要が生じる。このため、工具本体の直径を大きくすると、錘の製作に関わるコストが増大してしまう課題がある。これを解決するために、本発明では、図17に示したように、錘を分割して製作し、組立て時に一体化することも可能である。本実施例では、中心角90°となるように4分割した錘33をタングステン焼結体で製作し、錘取付け板34に取付けて図18に示したように一体化している。一体化に当っては、それぞれの接続面を接着しているが、ボルトでの取付け、ロウ付けなどでも構わない。この構造を採用することにより、大きな寸法の錘であっても安価に製造することが可能となるのである。
【0026】
また、本発明の他の実施形態では図19に示したように粘弾性体のプレート23を切削工具本体11と錘31の間に挿入して用いている。この方法においても、錘31は工具本体11に対して相対的に振動することが可能であり、本体の振動を吸収できる構造となっている。この実施形態では粘弾性体のプレート全周が錘と接しているので、振動特性の異方性が少なく、工具回転時の振動抑制効果の安定性が高い。
【0027】
また、先の実施形態では、4か所のボルトで錘を固定しているが、これに限られるものではなく、例えば、工具の回転軸に設けた1つの固定具で、粘弾性体を介して固定するようにしてもよい。
【0028】
また、複数のボルトで錘を固定する場合には、複数のボルトを同心円上において等間隔に設けるのが、振動特性からみて、好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、長さに対して比較的直径の大きい回転切削工具を用いて、工具の端面側で切削加工を行う際に、工具本体の端面に設けた中空部に、工具回転軸方向に工具本体と相対運動可能な状態で錘を内蔵することで、工具切れ刃において工具回転軸方向の振動を減衰させ、振動を抑制し、効率良く、かつ安定して切削加工する工具を提供することができ、その結果として製品のコスト低減や加工精度の向上、および製造に関わる消費エネルギの低減に寄与することが可能であって、工業産業利用上に貢献するものである。
【符号の説明】
【0030】
1 切削工具
2 アーバ
3 被削材
11 切削工具本体
12 切削工具の取付け部
13 インサート
15 周波数応答を計測する位置
21 粘弾性体Oリング
22 ボルト
23 粘弾性体プレート
25 ばね
27 減衰器
31 錘
33 分割した錘
34 錘取付け板
51 工作機械のx軸
52 工作機械のy軸
53 工作機械のz軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転する切削工具を走査することで被削材を切削加工する場合、その加工精度の低下や切削工具の破損などの不具合を生じる工具の振動を抑制する技術に関する。また、切削工具を用いて良好な表面粗さ、寸法精度で加工するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
回転する切削工具を用いた切削加工において、被削材や工具の動剛性が低い場合、あるいは切削工具と被削材の間に作用する切削力が大きい場合に、切削工具と被削材の間に相対的な振動が生じる。そして発生した振動により加工面にうねりが生じ、また、その表面粗さが増大し、所望の加工精度を得ることが出来なくなる。さらにまた、上記した振動が大きくなると切削工具自身の切れ刃が欠損する、あるいはその摩耗が増大するなどの不具合が生じ、最終的には切削工具自身が寿命にいたることになる。
【0003】
深い溝や穴などを切削加工する際は、直径や幅などに比較して突出しの長い長尺工具が用いられる。長尺工具では、長手方向に垂直方向の剛性が低く、加工中は工具先端では長手方向垂直面内で振動変位しやすい。このような長尺切削工具で加工を行うと、加工中の工具先端の振動によって表面粗さや工具寿命の悪化を生じてしまう。このような場合における対応策としては、従来は切込み量を小さくするなど、加工条件を低下させて工具に作用する切削力が小さくなるようにして、振動を抑制する方法しかなかった。しかしこの方法では加工条件を低下させるため、切削加工に要する時間が増大し、生産性を悪化させてしまうという問題がある。
【0004】
このような場合における対応策として、弾性体などを介して錘を工具本体に対して相対運動可能な状態で取付け、ダイナミックダンパを構成することで工具本体の振動を抑制する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、旋削加工用のバイトの外部に錘を取付けてバイト本体の振動を減衰させ、切込み量を減少させずに高い加工能率で切削する方法が提案されている。また特許文献2には、工具を回転させて被削材を切削する場合において、長尺工具に設けた中空部に錘を取付ける事で本体の振動を減衰させ、切込み量を減少させずに高い加工能率で切削する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−79533号公報
【特許文献2】特願2008−100332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1では、旋削用バイト本体のたわみ振動を抑制するために、バイト本体の外側に錘を配置してダイナミックダンパを構成し、バイト本体の振動を減衰する構造が提案されている。この方式では、錘はバイト本体に対してばね、減衰器を介して接続されており、バイトがその長手方向に対して垂直面内で変位すると、錘はバイト本体に反力を加えることで振動を抑制することが可能になっている。この方式ではバイト本体の外側に錘を配置しているので、バイト本体よりも大きな錘を取付けることができ、ダイナミックダンパの減衰性能を高めることができるという利点がある。しかし、たとえば穴や溝などの狭い部分の加工を行う場合、錘に関しては被削材との干渉を生じない程度の大きさとする必要がある。
【0007】
また、上記した特許文献2では、長尺回転工具のたわみ振動を抑制するために、工具の内部に設けた中空部に錘を配置してダイナミックダンパを構成し、長尺回転工具本体の振動を減衰する構造が提案されている。この方式においては、錘は長尺工具本体に対して、ばね、減衰器を介して接続されている。長尺回転工具は、回転軸に対して垂直な面内、すなわち工具回転面内で振動しやすい。長尺工具本体が振動変位すると、内蔵された錘が長尺工具本体に対して反力を加えることで振動を抑制することが可能になっている。長尺工具は穴やポケットなど、狭い部分の加工に用いられるが、本方式では錘は工具本体に内蔵されており、加工時に被削材との干渉は生じない。しかし、工具内部に錘を内蔵する必要があるので、錘の大きさには制約が生じる。
【0008】
これらの、錘を内蔵してダイナミックダンパを構成し、切削加工中の工具本体の振動を抑制する方法としては、従来は主として長尺工具のたわみ振動を減衰させる構造が用いられてきている。
【0009】
しかし一方で、切削加工中に工具と被削材の間に相対的な振動を生じやすい場合として、回転切削工具において、工具長さに対して工具直径が大きい場合がある。このような場合、切削工具の取付け部を中心にした振り子運動や、工具本体の弾性変形によって切削工具の刃先部分では回転軸方向に振動変位が大きくなる。このため、回転軸と垂直面内で工具と錘が相対運動する従来の方式では、効果的に刃先での振動を抑制することができないという課題がある。
【0010】
そこで本発明は、これらの課題を解決し、工具の刃先において回転軸方向に生じる工具の振動を効果的に減衰し、切削加工中に工具振動を生じずに高い能率で切削加工することができる回転切削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明では回転切削工具の端面側に錘を配置し、錘が工具本体に対して回転軸方向に相対運動可能な状態で取り付けられていることで、刃先での工具回転軸方向の振動を減衰させることを特徴としている。
【0012】
この発明の一つの態様では、円盤状の本体に切れ刃を取り付けた回転切削工具において、前記円盤状の本体の端面側に円環状の溝を形成し、当該溝に、粘弾性体を介してリング状の錘を設け、工具本体の回転軸方向に前記錘が前記本体と相対的に移動可能に構成する。
【発明の効果】
【0013】
上記したように、回転切削工具の端面側に、錘が工具本体に対して回転軸方向に相対運動可能な状態で取り付けられていることで、加工中に生じる刃先と被削材の相対振動を減衰させ、加工面の表面粗さや寸法精度の悪化、工具の欠損などを生じることなく、良好な状態で切削加工することが可能になった。また、切込み量など加工条件を大きくしても、工具と被削材の相対振動を生じずに加工でき、高い効率で切削加工することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例の防振機構を備えた回転切削工具の構造を説明した図である。
【図2】本発明が適用される回転切削加工の一例を説明した図である。
【図3】切削工具を取付けたアーバが長い場合に、切削加工時に生じる工具振動の方向を説明した図である。
【図4】工具突出し長さに比べて工具直径が大きい場合に生じる工具振動の方向を説明した図である。
【図5】切削工具と座標系の関係を説明した図である。
【図6】従来の切削工具において、x方向に加振した場合の、x,y,zそれぞれの方向の変位の応答を示した図である。
【図7】従来の切削工具において、z方向に加振した場合の、x,y,zそれぞれの方向の変位の応答を示した図である。
【図8】工具直径方向に切削力が作用した場合に生じる、切削工具の本体の振動変位を説明した図である。
【図9】回転軸方向に切削力が作用した場合に、たわみ変形による切削工具の本体の振動を説明した図である。
【図10】本発明の実施例の防振機構を内蔵した回転切削工具の概要を説明した図である。
【図11】本発明の実施例の防振機構を備えた切削工具の断面図である。
【図12】本発明の振動系のモデルを説明する図である。
【図13】工具本体と錘の振動状態を解析した図である。
【図14】工具本体と錘の振動状態を解析した図である。
【図15】工具本体と錘の振動状態を解析した図である。
【図16】本発明の防振機構を内蔵した回転切削工具の周波数応答を説明した図である。
【図17】本発明の他の実施例の回転切削工具の構造を説明した図である。
【図18】本発明の他の実施例の回転切削工具の構造を説明した図である。
【図19】本発明の他の実施例の防振機構を備えた回転切削工具の構造を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
大形の部品を製造するために、回転する切削工具を被削材に切込みながら相対的に移動させることで、被削材を除去して、設計形状、寸法に加工することが行われる。例えば、図2に示したように、切削工具1は、回転しながら工作機械のx軸(テーブル移動軸)51、y軸(水平移動軸)52、z軸(上下移動軸)53の駆動によって移動し、テーブル上に取付けられた被削材3を加工する。この際に、図3に示したように、工具1の直径Dに対して、アーバ(取付け部)2の長さLが長い状態では、加工中に被削材3から受ける切削力によってアーバ2にたわみが生じ、図中に示した矢印の方向、すなわち回転工具1の回転面内での振動が生じやすい。加工中に回転面内で工具1の振動が生じると、加工表面の粗さの劣化、寸法精度の劣化、および切れ刃の損傷が生じることになり、良好な状態での切削ができない。一方で、図4に示したように、アーバを用いずに工具の突出し長さLが短い状態で切削加工する場合においても、工具11の直径Dが大きい場合には、切削加工中に被削材3から受ける切削力によって、図中の矢印の方向、すなわち工具回転軸方向の振動が生じやすい。
【0017】
図5はこのような直径の大きい工具の形態を説明した図である。切削工具の本体11には、複数の切れ刃、すなわちインサート13が取付けられている。図5において、この回転切削工具11の回転軸方向をz軸とし、xおよびy軸で決定する平面内で工具は回転する。工具本体11は例えば直径が250mmで、厚さが50mmの円盤状になっている。この図5において、インサート13に、図中に示したx軸方向にインパルス波形の切削力を加えたときの、計測する位置15におけるx、y、およびz軸方向のコンプライアンス(振動変位と加振力の比)の周波数応答を図6に示している。ここで、計測する位置15において、x軸方向は半径方向を、y軸方向は接線方向を示す。図6の結果より、x軸方向に切削力を加えているものの、x軸方向よりもz軸方向のコンプライアンスの方が大きくなっている。
【0018】
図7は、図5においてインサート13に図中のz方向のインパルス波形の切削力を加えたときの、計測する位置15におけるx,y,z軸方向のコンプライアンスの周波数応答を示したものである。この結果より、z軸方向に切削力を加えたことにより、z軸方向に最も大きな変位を生じていることがわかる。
【0019】
図8に示したように、工具突出し長さと比較して工具直径が大きい場合、工具11の外径に工具直径方向に力Fが作用することにより、図中のA点を中心に工具全体が振り子運動すると仮定する。このときに工具の突出し長さと半径が同じであれば、図中に示したように工具中心における工具半径方向すなわちx方向の変位δxと、工具軸方向の変位δzは等しくなる。工具の突出し長さよりも工具半径の方が大きい場合には、δzの方が大きくなるため、切削加工によって工具の半径方向、すなわちx方向に切削力が作用しても、切れ刃先端においては工具の回転軸方向、すなわちz方向に振動変位が大きくなってしまう。一方で図9に示したように、工具の最外径部分に回転軸方向すなわちz方向の切削力が作用した場合、本発明で対象としている形状の切削工具では直径が250mm、厚さが50mmと薄いので、上記の振動変位に加えて工具の本体11がたわみ変形することによって切れ刃はz方向に振動してしまう。このように突出し長さと比較して、直径の大きな工具によって被削材を切削加工すると、切れ刃部分においては回転軸の方向に振動が生じやすくなる。
【0020】
そこで本発明では、図10に示したように切削工具の本体11の端面側に溝が設けられており、その内部に錘31が配置されている構造とすることで、本体11の回転軸方向の振動を減衰することを可能にしている。錘31は本体11に対して内蔵されているので、加工中に錘31が被削材と干渉することなく切削可能になっている。
【0021】
図11は、図10の断面図を示している。この図に示したように、切削工具の本体11には切れ刃(インサート)13が取り付けられている。工具本体11の端面側には円環状の溝が設けられている。この溝の内部には、リング状の錘31が配置さており、ボルト22、および粘弾性体のリング21を介して工具本体11に取付けられている。工具本体11は直径250mm、厚さ50mmの円盤状であり、端面側の溝は直径190mm、深さ30mmとなっている。錘31は直径180mm、厚さ25mmの円盤状である。錘の質量を大きくすることで、高い減衰性能を得ることが可能であるために、材質は鉄系材料の約2倍の比重を持つタングステン焼結体(比重15)を用いている。また、粘弾性体は直径22mm、厚さ5mmのリング状であり、ヤング率1000kgf/mm2、減衰比0.3の防振ゴムを用いている。
【0022】
図1に示したように錘31には同心円上に4か所の穴およびざぐりが設けられており、ざぐりの内部にリング状の粘弾性体21を挿入し、ボルト22によって錘は本体11に取付けられる。この際に、錘31のざぐりの直径と、粘弾性体のリング21の外径は等しくなっており、また粘弾性体のリング21の内径とボルト22の直径は等しくなっているので、錘31は工具本体11と同じ回転軸となるように配置される。このことによって、錘の中心位置のずれによるアンバランスを生じることなく錘を工具本体11の内部に設置することができ、工具回転時の振動を小さくすることができる構造となっている。また、同心円上に設けた4か所をボルト22で固定する際に、粘弾性体21を変形させて締め込むことで、工具本体11、粘弾性体21、錘31、ボルト22には適切な与圧が作用し、変形した状態となっている。すなわち、錘31が工具の回転軸方向の一方に移動すると、一方の粘弾性体リングは錘に圧迫されて圧縮し、反対側の粘弾性体リングは圧迫が開放されて伸長することになるが、双方の粘弾性体リングともにボルト22によって予め圧縮された状態であるために、錘の移動によって錘31、粘弾性体21、工具本体11の接触が分離することはない。
図12は、工具本体11、錘31および粘弾性体からなる振動系のモデルを示す。以上の構造となっていることにより、工具本体11と錘31の振動のモードは図12に示したようになっている。工具本体11は図中のx−z平面内で点Aを中心に振り子運動するモードで振動する。錘31は、工具本体11に対して両側でばね25、減衰器27を介して接続されている。一方のばね25および減衰器27が伸長すると、もう一方のばね25と減衰器27は圧縮する振動モードとなることで、錘31が本体11と逆の位相で振動する。この作用によって工具本体11の振り子運動の振動モードを減衰させることができるようになっている。
【0023】
図13、図14、および図15は、有限要素法によって工具本体11と錘31の振動状態を解析した図である。1300Hzの周波数において、図13に示したように工具本体11の上端がz+方向に移動したときに、錘31の上端はz−方向に移動して、工具本体の運動に対して反対の力を及ぼしている。図14は振動の中間状態を示しており、図15は図13と反対方向に工具本体11と錘31が移動した状態を示している。これらの図に示してあるように、本体11が振動するときに、錘31は工具本体11とは逆の位相で振動し、本体の変位に対して反対方向の力を及ぼすことによって振動を減衰することができるのである。
【0024】
図16は、直径250mmの回転切削工具について、以上に説明した防振機構を内蔵したことによる、工具回転軸方向、すなわちz軸方向のコンプライアンスを示したものである。従来の切削工具では固有振動数1300Hzにおいて、コンプライアンスは約6×10−8m/Nであったが、防振機構を内蔵したことで、コンプライアンス最大値は2×10−8m/Nと、1/3に小さくすることができている。これにより動剛性を約3倍に向上することができており、切削加工時の切込みを3倍に向上することが可能になったのである。
【0025】
以上に説明した実施例においては、錘31はタングステン焼結体を直径180mmのリング状に加工したものを用いている。一方で、さらに工具本体の直径が大きい場合には、防振性能を確保するために錘も直径の大きなものを用いる必要が生じる。しかし、大径の焼結体を製作するには、成形金型や、焼結の炉にも大きな寸法のものを用いる必要が生じる。このため、工具本体の直径を大きくすると、錘の製作に関わるコストが増大してしまう課題がある。これを解決するために、本発明では、図17に示したように、錘を分割して製作し、組立て時に一体化することも可能である。本実施例では、中心角90°となるように4分割した錘33をタングステン焼結体で製作し、錘取付け板34に取付けて図18に示したように一体化している。一体化に当っては、それぞれの接続面を接着しているが、ボルトでの取付け、ロウ付けなどでも構わない。この構造を採用することにより、大きな寸法の錘であっても安価に製造することが可能となるのである。
【0026】
また、本発明の他の実施形態では図19に示したように粘弾性体のプレート23を切削工具本体11と錘31の間に挿入して用いている。この方法においても、錘31は工具本体11に対して相対的に振動することが可能であり、本体の振動を吸収できる構造となっている。この実施形態では粘弾性体のプレート全周が錘と接しているので、振動特性の異方性が少なく、工具回転時の振動抑制効果の安定性が高い。
【0027】
また、先の実施形態では、4か所のボルトで錘を固定しているが、これに限られるものではなく、例えば、工具の回転軸に設けた1つの固定具で、粘弾性体を介して固定するようにしてもよい。
【0028】
また、複数のボルトで錘を固定する場合には、複数のボルトを同心円上において等間隔に設けるのが、振動特性からみて、好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、長さに対して比較的直径の大きい回転切削工具を用いて、工具の端面側で切削加工を行う際に、工具本体の端面に設けた中空部に、工具回転軸方向に工具本体と相対運動可能な状態で錘を内蔵することで、工具切れ刃において工具回転軸方向の振動を減衰させ、振動を抑制し、効率良く、かつ安定して切削加工する工具を提供することができ、その結果として製品のコスト低減や加工精度の向上、および製造に関わる消費エネルギの低減に寄与することが可能であって、工業産業利用上に貢献するものである。
【符号の説明】
【0030】
1 切削工具
2 アーバ
3 被削材
11 切削工具本体
12 切削工具の取付け部
13 インサート
15 周波数応答を計測する位置
21 粘弾性体Oリング
22 ボルト
23 粘弾性体プレート
25 ばね
27 減衰器
31 錘
33 分割した錘
34 錘取付け板
51 工作機械のx軸
52 工作機械のy軸
53 工作機械のz軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状の本体に切れ刃を取り付けた回転切削工具において、
前記円盤状の本体の端面側に、粘弾性体を介してリング状の錘を設け、工具本体の回転軸方向に前記錘が前記本体と相対的に移動可能に構成した回転切削工具。
【請求項2】
請求項1記載の回転切削工具において、
前記円盤状の本体の端面側に円環状の溝を形成し、当該溝に、前記リング状の錘を配置したことを特徴とする回転切削工具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の回転切削工具において、
工具突き出し長さと比較して工具直径が大きいことを特徴とする回転切削工具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の回転切削工具において、
前記リング状の錘を、同心円上に設けた複数のボルトによって、前記本体に取り付けたことを特徴とする回転切削工具。
【請求項5】
請求項4に記載の回転切削工具において、
前記複数のボルトのそれぞれに、粘弾性体のリングを介在させたことを特徴とする回転切削工具。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の回転切削工具において、
前記粘弾性体を、リング状のプレートとしたことを特徴とする回転切削工具。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の回転切削工具において、さらに、
前記リング状の錘に穴とざぐりを設け、該ざぐりの内部にリング状の粘弾性体を設け、穴に貫通させたボルトで前記粘弾性体を締め込むことで、前記錘および前記粘弾性体を適切な与圧で固定するように構成したことを特徴とする回転切削工具。
【請求項8】
請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の回転切削工具において、
複数個に分割された部材を取付け板に接続することで一体のリング状の錘を形成することを特徴とする回転切削工具。
【請求項1】
円盤状の本体に切れ刃を取り付けた回転切削工具において、
前記円盤状の本体の端面側に、粘弾性体を介してリング状の錘を設け、工具本体の回転軸方向に前記錘が前記本体と相対的に移動可能に構成した回転切削工具。
【請求項2】
請求項1記載の回転切削工具において、
前記円盤状の本体の端面側に円環状の溝を形成し、当該溝に、前記リング状の錘を配置したことを特徴とする回転切削工具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の回転切削工具において、
工具突き出し長さと比較して工具直径が大きいことを特徴とする回転切削工具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の回転切削工具において、
前記リング状の錘を、同心円上に設けた複数のボルトによって、前記本体に取り付けたことを特徴とする回転切削工具。
【請求項5】
請求項4に記載の回転切削工具において、
前記複数のボルトのそれぞれに、粘弾性体のリングを介在させたことを特徴とする回転切削工具。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の回転切削工具において、
前記粘弾性体を、リング状のプレートとしたことを特徴とする回転切削工具。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の回転切削工具において、さらに、
前記リング状の錘に穴とざぐりを設け、該ざぐりの内部にリング状の粘弾性体を設け、穴に貫通させたボルトで前記粘弾性体を締め込むことで、前記錘および前記粘弾性体を適切な与圧で固定するように構成したことを特徴とする回転切削工具。
【請求項8】
請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の回転切削工具において、
複数個に分割された部材を取付け板に接続することで一体のリング状の錘を形成することを特徴とする回転切削工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−196729(P2012−196729A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61569(P2011−61569)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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