説明

防水型コードレスオービタルサンダー

【課題】小型で携帯性に優れ、簡便な電源ユニットの交換性を確保することにより長時間の作業が可能で、信頼性が高く、且つ水溶液などの水分を用いる作業現場でも機器本体が使用可能な防水型のコードレスオービタルサンダーを提供することを目的とする。
【解決手段】略防水構造とされた機器本体1内に配置され且つ電源ユニット26から電源供給される直流モータ7を有する偏芯回転機構と、偏芯回転機構の駆動によって偏芯回転運動をするベース部12と、ベース部12に取り付けられる研磨部5と、機器本体1内に設けられて電源ユニット26を収納するポケット部16と、機器本体1の外壁の一部を構成すると共に電源ユニット26をポケット部16から挿抜可能となるようにポケット部16の開放端を開閉する蓋体3と、直流モータ7と電源ユニット26とを機器本体1内で隔絶する隔壁37と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローリングなどの床材に塗布された老朽化したワックスを強アルカリの水溶液などの薬剤を用いて剥離したり、風呂場、自動車のウィンドウガラス、鏡などの水垢を剥離材などの溶液を用いて効率よく研磨除去する防水型コードレスオービタルサンダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
木材や鋼材などの表面を研磨して仕上げを行う、直流モータをAC電源を用いて駆動するオービタルサンダーが知られている。(特許文献1)(特許文献2)(特許文献3)
【0003】
また直流モータをDC電源で駆動するオービタルサンダーも知られている。(特許文献4)
【0004】
また、電池を収容するためのポケット部を備えた携帯型装置における電池のための防水構造に関しても知られている。(特許文献5)
このように、本発明に関連する公知技術文献として、下記特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5がある。
【特許文献1】特開平8−309653号公報
【特許文献2】特開2001−162508号公報
【特許文献3】特開2003−109652号公報
【特許文献4】特表2004−517747号公報
【特許文献5】特開2004−56164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4のオービタルサンダーはいずれも木材や鉄鋼などの研磨を乾式環境下で使用するものであり、フローリング材のワックス剥離など強アルカリ性の水溶液を事前に塗布して化学的に半溶解させた状態の水溶液とゲル状ワックスが混在する剥離作業や、また温泉の浴場の鏡などに付着した無機結晶物を溶剤と研磨材、さらには浴場など水を同時に使用する作業現場では機器本体内部に水溶液などの水分の浸入やアルカリ水溶液の揮発ガス成分の侵入するためにまったく適さない機器であった。
【0006】
さらに、特許文献1、特許文献2、特許文献3のオービタルサンダーはAC電源を使用しているために電源供給のACコードが作業者の作業性を阻害するばかりではなく、ACコードを腐食させたり、ACコードを伝わって電極部に水溶液が付着し、ショートまたは電極の腐食などをおこすため、前記のフローリングのワックスの剥離作業などには適さないもので有った。
【0007】
また、特許文献4のオービタルサンダーはDC電源を用いた例では有るが、オービタル運動をする研磨部の反力を機器本体が受けるために、2次電池を機器本体内部に設置し、さらに電極を半田などで固定しており、2次電池が寿命に至った時には簡単には交換ができず、モータなどの他の部品がまだ十分に使用できるにも係らず、2次電池の寿命が機器本体の寿命を決定してしまい、ユーザーにとっては寿命の短い機器となっている。
【0008】
特許文献5の防水型電池収納ケースでは、電池の収納部を防水することは可能であるが、機器本体に高い周波数の振動が加わった場合には、機器本体内部の電池自体を機器本体に堅牢に保持する機構が無く、電池が収納ケース内で微振動を起こし、電池の電極と弾性部を有する電池端子間で微摺動磨耗を生じ、非常に高い絶縁物を発生し、接触不良を起こす可能性が高い構成となっている。
【0009】
また、特許文献5のように完全に電池収納部と外部が機密性を有する構成をした場合は、電池収納部の内部の空気の逃げ道が無く、蓋体を閉めようとすると、電池収納部を断熱圧縮することになり、内部気圧が上昇し加圧状態となり蓋体を簡便に装着する障害となる。また蓋体を離脱するときにはその逆で、蓋体の電池収納部からの取外し過程で、その内部容積増加に伴い気圧が減圧状態となり蓋体の簡便な開動作の抵抗力が発生する。
【0010】
さらに、特許文献5にはDC電源の載置ポケット部に勘合する2重の蓋体に対して蓋体の機器本体へのロック機構とは別に通気膜を用いた構造でポケット部内の気圧変動を回避しているが、この構成では部品点数が増えてしまう構成となっている。
【0011】
以上の現状に鑑み、本発明は、小型で携帯性に優れ、簡便な電源ユニットの交換性を確保することにより長時間の作業が可能で、信頼性が高く、且つ水溶液などの水分を用いる作業現場でも機器本体が使用可能な防水型のコードレスオービタルサンダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、請求項1に関わる発明は、略防水構造とされた機器本体内に配置され且つ電源ユニットから電源供給される直流モータを有する偏芯回転機構と、該偏芯回転機構の駆動によって偏芯回転運動をするベース部と、該ベース部に取り付けられる研磨部と、を備えた防水型コードレスオービタルサンダーにおいて、前記機器本体内に設けられて前記電源ユニットを収納するポケット部と、前記機器本体の外壁の一部を構成すると共に前記電源ユニットを前記ポケット部から挿抜可能となるように前記ポケット部の開放端を開閉する蓋体と、前記直流モータと前記電源ユニットとを前記機器本体内で隔絶する隔壁と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記電源ユニットは、複数の柱状の電池と、該複数の電池を保持する電池ケースと、により構成され、前記複数の電池は前記電池ケースから、個別に取り外しが可能であることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、前記直流モータの出力軸と、電池の電極方向とが略平行に配置されたことを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明は、前記電池ケース又は前記ポケット部は、前記複数の電池が前記ポケット部の開放端側に向けて開くように傾斜配置すると共に、前記複数の電池を電極方向に移動可能且つ径方向に付勢する付勢部材と、前記複数の電池の隣接間に位置する前記ポケット部の壁面から突出すると共に前記電池に対して前記付勢部材を前記電池ケースの押圧方向に付圧する一つ以上の凸部と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に係る発明は、前記蓋体と前記電源ユニットとの各対向面に互いに係合可能となるように配置された雌雄の異なる凸部又は凹部と備えていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に係る発明は、前記蓋体を回転可能又はスライド可能に支持する支持部と、前記蓋体による前記ポケット部の開放端の閉成状態を維持するロック部と、前記蓋体に形成されて前記ポケット部と前記機器本体の外部を連通する通気孔と、前記ロック部の動作に連動したロック状態では前記通気孔を塞ぎ且つアンロック状態で前記通気孔を開放する通気制御部材と、を有することを特徴とする。
【0018】
請求項7に係る発明は、前記研磨部の外周に形成されて前記ベース部の周端面と係合することで前記研磨部の回転を阻止する周壁を備えていることを特徴とする。
【0019】
請求項8に係る発明は、前記研磨部は、前記ベース部の上面と係合する係止部と、前記ベース部の上面と弾発係合する弾性爪部と、を備えていることを特徴とする。
【0020】
請求項9に係る発明は、前記ベース部と前記研磨部との合計重心が前記偏芯回転機構の偏芯軸上に配置されていることを特徴とする。
【0021】
請求項10に係る発明は、前記研磨部は、前記ベース部の底面積よりも広い面積の研磨面を備えていることを特徴とする。
【0022】
請求項11に係る発明は、前記研磨面は、矩形若しくは前記機器本体の前方に向かって先細りの多角形状を呈すると共に、その長手方向の中心線が前記機器本体の前後操作方向に対して傾斜していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に係る発明によれば、以下の作用効果が得られる。まず、回転する直流モータの出力軸に対して連なり動力伝達軸に連動した偏芯回転機構の出力軸に取り付けられ、機器本体の外部にある研磨部全体が偏芯回転いわゆるオービタル運動をすることが可能である。
【0024】
また、機器本体は防水構造を有するため、その機器本体の内部に水分が浸入することが無く、機器本体の内部に取り付けられた直流モータ、制御回路を有する基板、および電源ユニットが防水構造で水分から防御されることによりコードレスで水場での作業への使用が可能となる。
【0025】
さらに、電源ユニットが機器本体内部のポケット部に載置されることにより、機器本体に落下などで衝撃加重が付加された場合も、電源ユニットに直接衝撃加重が加わることがなく、電源ユニットと制御回路を短絡する電源端子などへの異常な負荷が加わることを防ぐことができる。
【0026】
また、電源ユニットが消耗した場合には、機器本体の一部を構成する蓋体を開閉することにより、ポケット部から電源ユニットを抜き取り、予備の電源ユニットに簡便に交換することが可能である。
【0027】
さらに、筐体の内部で直流モータと電源ユニットとを隔壁により独立することにより、直流モータが発生する熱を遮断して電源ユニットの周囲温度の上昇を低減して、電源ユニットの温度による劣化を防ぐことが可能である。
【0028】
請求項2に係る発明によれば、電源ユニットが複数の柱状の電池により構成されており、電池を保持する電池ケースに着脱自在に載置することによりモジュール化され、機器本体のポケット部に対してモジュール化された電源ユニットとして挿抜載置が可能で、且つ各々個別に電池をモジュール化された電源ユニットに対して交換が可能である。ここで述べる電池は汎用の電池であり、1次電池、2次電池どちらを用いてもかまわない。
【0029】
請求項3に係る発明によれば、直流モータの出力軸と電池の電極を略平行に載置されることにより、電池は直流モータの回転出力軸に連動して偏芯回転する研磨部のオービタル運動により、回転角速度の二乗に比例する半力を径方向に受けることになる。
【0030】
モジュール化された電池はモジュール内で個々に電池の両端電極を弾性部を有する接点端子を介して電気的に直列配列され、接点端子は汎用電池の電極間寸法の個体差を吸収しながら一定の付勢力で電極に付圧接触されている。
【0031】
直流モータの出力軸と電池の電極とを略平行に載置することにより、2次電池が受ける半力を接点端子で保持するのではなく、電源ユニットを構成する電池ケースで受けることになり、オービタル運動をする研磨部により励起された振動荷重が接点端子の接触部に影響を与えることがなく、安定した接点接触を構成すことが可能である。
【0032】
請求項4係る発明によれば、複数の電池の個々に径方向の寸法の個体差があったとしても、帯体を電極方向に沿って移動させることにより、電池ケースに対してしっかりと固定することが可能となるうえ、帯体によって径方向の寸法は絶えず一義的に決定することができるため、電池ケースに対して径方向に対して固定することにより電極に接触する接点端子の電極に対する付圧力を下げることができ、電池ケースの接点端子の保持部を簡素化することが可能である。
【0033】
また、複数の電池を固定した状態で、電源ユニットをポケット部に装着すると、ポケット部の底面と略直立する壁面の、前記隣接する2つの電池の中間に対抗する位置に設けられた一つ以上の凸部により帯体を複数の電池の径方向に変形付勢することが可能となる。
【0034】
請求項5に係る発明によれば、蓋体と電源ユニットとの各対向面に互いに係合可能となるように配置された雌雄の異なる凸部又は凹部を設けることにより、電源ユニットのポケット部内での安定した保持載置が可能となる。
【0035】
請求項6に係る発明によれば、蓋体に設けられた通気孔を機器本体に対する蓋体のロック・非ロック操作に連動して開閉することにより、機密性を有する電源ユニットのポケット部に対して通気孔を通じ、ポケット部内部の気圧変動を防ぐことができ、簡便に蓋体の開閉が可能となる。
【0036】
請求項7に係る発明によれば、研磨部の外周に形成されてベース部の周端面と係合することで研磨部の回転を阻止する周壁を備えていることにより、研磨部を被研磨面に接触させて機器本体の全体を変位操作している際に、研磨部とベース部との相対位置がズレることを防止することができる。
【0037】
請求項8に係る発明によれば、研磨部は、ベース部の上面と係合する係止部と、ベース部の上面と弾発係合する弾性爪部と、を備えていることにより、ベース部に対する研磨部の着脱操作性を向上することができると共に、研磨部を被研磨面に接触させて機器本体の全体を変位操作している際の研磨部とベース部との相対位置のズレや脱落を防止することができる。
【0038】
請求項9に係る発明によれば、ベース部と研磨部との合計重心が偏芯回転機構の偏芯軸上に配置されていることにより、機器本体を操作する際の操作性を向上することができると共に、より安定した操作性を確保することができる。
【0039】
請求項10に係る発明によれば、ベース部に対する研磨部の安定性が確保されていることから、研磨部の研磨面の面積をベース部の底面積よりも広く確保し得て、研磨作業の効率化を実現することができる。
【0040】
請求項11に係る発明によれば、ベース部に対する研磨部の安定性が確保されていることから、研磨面を矩形若しくは機器本体の前方に向かって先細りの多角形状とすることができ、しかも、その長手方向の中心線を機器本体の前後操作方向に対して傾斜させることにより、研磨作業の容易化及び効率化を高く確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本防水型コードレスオービタルサンダーは、フローリングなどの床材に塗布された老朽化したワックスを強アルカリの水溶液などの薬剤を用いて剥離したり、風呂場、自動車のウィンドウガラス、鏡などの水垢を剥離材などの溶液を用いて効率よく研磨除去することを主目的にする、小型で携帯操作性に優れた防水型コードレスオービタルサンダーの一種である。以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0042】
図1は本実施に係る防水型コードレスオービタルサンダーの概要を示す実施例の機器本体(1)の斜視図で、図4は機器本体(1)の全断面図である。
図1および図2に示すように、本機器は機器本体(1)の内部に減速機構を有するDCモータ(7)とDCモータ(7)に電源を供給する電源ユニット(26)と電源ユニット(26)からの電源を制御してDCモータ(7)に電源供給する制御基板(15)を内臓している。
【0043】
機器本体(1)は複数の筐体および部品(指示省略)から構成されているが、防水パッキン(13a)(13b)(13c)(20)などを介して組みつけられ、機器本体(1)の外部の水などが安易に内部に入り込まないような構成となっている。
【0044】
DCモータ(7)の出力軸には減速機構部(8)が歯車(図示せず)などを係合させて連結し、所定のトルク、回転数をモータ出力軸(9)から出力する。モータ出力軸(9)にはモータ出力軸(9)の軸芯からわずかに離れた位置にオフセット配置されモータ出力軸(9)を中心として偏芯回転、いわゆるオービタル運動をするオービタル軸(11)を有するカムシャフト(10)が固定組み込みされている。尚、これらモータ出力軸(9)、オービタル軸(11)、カムシャフト(10)は、本発明に係わる偏芯回転機構を構成している。
【0045】
オービタル軸(11)には機器本体(1)の外部に位置するベース部(12)がベアリング(36)を介して、高速回転による軸受けの焼付きなどが生じないように構成されている。
【0046】
ベース部(12)には機器本体(1)とは対向しない面に研磨部(5)が取り付けられ、研磨部(5)には研磨部材(図示せず)をベースとは反対の面にマジックテープ(商標)などで取り着けられている。
【0047】
本構成で、ユーザーは機器本体(1)の取手(2)を握り、防水構造を有するスイッチ(14)を操作することで、研磨部(5)を高速でオービタル運動をさせ、被加工部材(図示せず)を加工処理ができる。
【0048】
機器本体(1)の内部は、電源ユニット(26)がDCモータ(7)、制御基板(15)などと隔壁(37)により完全に独立したポケット部(16)に載置され、作業時のDCモータ(7)の発熱からの断熱と、電源ユニット(26)の液漏れなどを制御基板(15)などに伝わらないように遮断さている。
【0049】
電源ユニット(26)は6本の電池(18)と電池ケース(19)と電池を固定するための帯体(17)と6本の電池(18)を電気的に直列配線する電池端子(図示せず)により短絡されており、電源ユニット(26)には制御基板(15)に半田などで短絡され、機器本体(1)のポケット部(16)の底面(30)に圧入などで固定されている電極(38)に対して対向し、電源ユニット(26)がポケット部(16)に挿入された状態で電源を供給できるように係合短絡している。
【0050】
機器本体(1)のポケット部(16)の開口部には蓋体(3)が防水パッキン(20)を介してポケット部(16)に水が入らないように組み込まれる。
【0051】
蓋体(3)の電源ユニット(26)との対向面には先端にテーパー部を有するボス(23)が設けられ、電池ケース(19)の蓋体(3)と対向する面に設けられた凹部(21)に対して組み込んだ状態で電池ケース(19)がポケット部(16)内で動かないように係止されている。
【0052】
図2は本実施に係る防水型コードレスオービタルサンダーの電源ユニット(26)の示す斜視図で、図3は電源ユニット(26)の分解図である。
また図5は電源ユニット(26)のポケット部(16)に挿入状態での部分断面図で、図6は電源ユニット(26)のポケット部(16)から取り外した状態の部分断面図であり、図7は電源ユニット(26)にポケット部(16)への載置状態での電池(18)の径方向の部分断面図である。図2、図3、図5、図6に示すように電池ケース(19)に対しては6本の電池(18)は電極(38)側から凹部(21)に向け広がるように組み込まれている。
【0053】
電池ケース(19)に電池(18)が組み込まれた状態で、電極(19)側から帯体(17)を勘挿し、電池ケース(19)の側壁に設けられた凸または凹部(36)と帯体(17)の内面に設けられた凹または凸部(図示せず)と噛合しながら凹部(21)方向に滑らせ電池(18)のがたつきが無くなったところで係止させる。
【0054】
帯体(17)を取り付けて、電池のがたつきが無くなった状態で電源ユニット(26)をポケット部(16)に挿入すると、ポケット部(16)の隔壁(37)に設けられたリブ状の凸部(24a〜24c)が帯体(17)の電池(18)間をさらに電池(18)を締め付ける方向に変形させる。
【0055】
この状態では、研磨部(5)のオービタル運動により生じる反力により電池(18)と電池端子(図示せず)間で相対的な変位を生ずることは無く、安定した接点構成が得られ、電極を半田付けなどで固定する必要が無く、電池(18)の交換性が確保できる。
【0056】
図8はポケット部(16)の蓋体(3)を機器本体(1)に勘挿した状態で、電池蓋ロックつまみ(4)を回転させ電源ユニット(26)の挿入部のロック機構のロック状態の斜視図で、図9はロック機構の開錠状態の斜視図、図10は蓋体(3)および電池蓋ロックつまみ(4)の分解構成図である。
【0057】
図8、図9、図10に示すように、電池蓋ロックつまみ(4)は蓋体(3)の機器本体(1)の外部方向に突出して設けられた軸(27)に対して勘合する軸受け(28)を有し、螺子(22)により回転自在に取り付けられている。尚、これら軸(27)、軸受け(28)、螺子(22)は、本発明の支持部を構成している。
【0058】
電池蓋ロックつまみ(4)は対向する位置に突出したロック部としてのふたつのロック爪(29a)(29b)を有している。
【0059】
機器本体(1)のポケット部(16)の開口部近傍には、電池蓋ロックつまみ(4)を時計方向に回転することによりロック爪(29a)(29b)が係合する位置に、固定部材(6a)(6b)が螺子(34a)(34b)が取り付けられている。
【0060】
蓋体(3)には、図8に示す蓋体(3)がロック状態では通気孔(31)がロック爪(29b)により完全に塞がれ、図9に示すアンロック状態では通気孔(31)が露出してポケット部(16)に通気が可能な位置に貫通した通気孔(31)が設けられている。
【0061】
ロック爪(29b)の蓋体(3)に対向した面側には防水パッキン(32)が蓋体(3)がロック時状態では、通気孔(31)が防水パッキン(32)の内径に位置するように、蓋体(3)と電池蓋ロックつまみ(4)に間に挟持されている。
【0062】
これにより、蓋体(3)がロック時状態では通気孔(3)は防水パッキン(32)により気密され防水が可能となり、アンロック状態ではポケット部(16)の通気が確保できる。
【0063】
この構成により、蓋体(3)の開閉時には防水構造によるポケット部(16)内部の気圧変化が無くなり、簡便に開閉が可能となる。
【0064】
図11乃至図14は本発明に係る防水型コードレスオービタルサンダーの第二の実施例を示し、図11は本発明に係る防水型コードレスオービタルサンダーの概要を示す第二の実施例における機器本体の斜視図、図12は本発明に係る防水型コードレスオービタルサンダーの概要を示す第二の実施例における機器本体の分解斜視図、図13は本発明に係る防水型コードレスオービタルサンダーの概要を示す第二の実施例における機器本体の全断面図、図14は本発明に係る防水型コードレスオービタルサンダーの概要を示す第二の実施例における機器本体の要部の断面図である。
【0065】
尚、この第二の実施例において、上記実施例と同一の構成に関する説明は省略する。
【0066】
図11乃至図14において、研磨部(5)は、その外周に形成されてベース部(12)の周端面(12a)と係合することで研磨部(5)の回転を阻止する周壁(5a)と、ベース部(12)の上面(12b)と係合する係止部(5b)と、ベース部(12)の上面(12b)と弾発係合する弾性爪部(5c)と、ベース部(12)の底面積よりも広い面積の研磨面(5d)と、を備えている。また、研磨面(5d)の形状は、矩形若しくは機器本体(1)の前方に向かって先細りの多角形状を呈すると共に、その長手方向の中心線が機器本体(1)の前後操作方向に対して傾斜している。この際、ベース部(12)と研磨部(5)との合計重心はオーダビル軸(11)の軸上に配置されているのが好ましい。
【0067】
このように、研磨部(5)の外周にベース部(12)の周端面(12a)と係合することで研磨部(5)の回転を阻止する周壁(5a)を形成することにより、研磨部(5)を被研磨面に接触させて機器本体(1)の全体を変位操作している際に、被研磨部との摩擦抵抗等に起因する研磨部(5)の平面方向荷重に対して、研磨部(5)とベース部(12)との相対位置がズレることが防止される。
【0068】
また、研磨部(5)にベース部(12)の上面(12b)と係合する係止部(5b)と、ベース部(12)の上面(12b)と弾発係合する弾性爪部(5c)と、を形成することにより、ベース部(12)に対する研磨部(5)の着脱操作性を向上することができると共に、研磨部(5)を被研磨面に接触させて機器本体(1)の全体を変位操作している際に、機器本体(1)からの操作荷重に起因する研磨部(5)の垂直方向荷重に対して、研磨部(5)がベース部(12)から脱落することを防止することができる。
【0069】
尚、ベース部(12)と研磨部(5)との合計重心をオーダビル軸(11)上に配置させることにより、機器本体(1)を操作する際の操作性を向上することができると共に、より安定した操作性を確保することができる。
【0070】
しかも、上述したように、ベース部(12)に対する研磨部(5)の水平方向並びに垂直方向の書く荷重に対する安定性が確保されていることから、研磨部(5)の研磨面(5d)の面積をベース部(12)の底面積よりも広く確保し得て、しかも、その研磨面(5d)の形状を矩形若しくは機器本体(1)の前方に向かって先細りの多角形状とすることができ、研磨面(5d)の長手方向の中心線を機器本体(1)の前後操作方向に対して傾斜させることにより、研磨作業の容易化及び効率化を高く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施に係る防水型コードレスオービタルサンダーの概要を示す第一の実施例の機器本体の斜視図である。
【図2】本実施に係る防水型コードレスオービタルサンダーの電源ユニットの実施例を示す斜視図である。
【図3】実施例の電源ユニットの分解図である。
【図4】機器本体の全断面図である。
【図5】電源ユニットの機器本体ポケット部への載置状態での第1の部分断面図である。
【図6】電源ユニットの機器本体ポケット部から取り外した状態の部分断面図である。
【図7】電源ユニットの実施例の機器本体ポケット部への載置状態での第2の部分断面図である。
【図8】実施例のDC機器本体の電源ユニット部の挿入部のロック機構のロック状態の斜視図である。
【図9】実施例のDC機器本体の電源ユニット部の挿入部のロック機構の開錠状態の斜視図である。
【図10】実施例のDC機器本体の電源ユニット部の挿入部のロック機構の分解図である。
【図11】本発明に係る防水型コードレスオービタルサンダーの概要を示す第二の実施例における機器本体の斜視図である。
【図12】本発明に係る防水型コードレスオービタルサンダーの概要を示す第二の実施例における機器本体の分解斜視図である。
【図13】本発明に係る防水型コードレスオービタルサンダーの概要を示す第二の実施例における機器本体の全断面図である。
【図14】本発明に係る防水型コードレスオービタルサンダーの概要を示す第二の実施例における機器本体の要部の断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 機器本体
3 電池蓋
4 電池蓋ロックつまみ
5 研磨部
7 DCモータ
9 モータ出力軸
10 カムシャフト
11 コントローラー
13a〜13c,20,32 防水パッキン
17 ベルト
18 電池
19 電池ケース
23 送信部
24a〜24c 凸部
26 電源ユニット
29a〜b ロック爪
31 通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略防水構造とされた機器本体内に配置され且つ電源ユニットから電源供給される直流モータを有する偏芯回転機構と、該偏芯回転機構の駆動によって偏芯回転運動をするベース部と、該ベース部に取り付けられる研磨部と、を備えた防水型コードレスオービタルサンダーにおいて、
前記機器本体内に設けられて前記電源ユニットを収納するポケット部と、前記機器本体の外壁の一部を構成すると共に前記電源ユニットを前記ポケット部から挿抜可能となるように前記ポケット部の開放端を開閉する蓋体と、前記直流モータと前記電源ユニットとを前記機器本体内で隔絶する隔壁と、を備えていることを特徴とする防水型コードレスオービタルサンダー。
【請求項2】
前記電源ユニットは、複数の柱状の電池と、該複数の電池を保持する電池ケースと、により構成され、前記複数の電池は前記電池ケースから、個別に取り外しが可能であることを特徴とする請求項1に記載の防水型コードレスオービタルサンダー。
【請求項3】
前記直流モータの出力軸と、電池の電極方向とが略平行に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の防水型コードレスオービタルサンダー。
【請求項4】
前記電池ケース又は前記ポケット部は、前記複数の電池が前記ポケット部の開放端側に向けて開くように傾斜配置すると共に、前記複数の電池を電極方向に移動可能且つ径方向に付勢する付勢部材と、前記複数の電池の隣接間に位置する前記ポケット部の壁面から突出すると共に前記電池に対して前記付勢部材を前記電池ケースの押圧方向に付圧する一つ以上の凸部と、を備えていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の防水型コードレスオービタルサンダー。
【請求項5】
前記蓋体と前記電源ユニットとの各対向面に互いに係合可能となるように配置された雌雄の異なる凸部又は凹部と備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の防水型コードレスオービタルサンダー。
【請求項6】
前記蓋体を回転可能又はスライド可能に支持する支持部と、前記蓋体による前記ポケット部の開放端の閉成状態を維持するロック部と、前記蓋体に形成されて前記ポケット部と前記機器本体の外部を連通する通気孔と、前記ロック部の動作に連動したロック状態では前記通気孔を塞ぎ且つアンロック状態で前記通気孔を開放する通気制御部材と、を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5何れかに記載の防水型コードレスオービタルサンダー。
【請求項7】
前記研磨部の外周に形成されて前記ベース部の周端面と係合することで前記研磨部の回転を阻止する周壁を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の防水型コードレスオービタルサンダー。
【請求項8】
前記研磨部は、前記ベース部の上面と係合する係止部と、前記ベース部の上面と弾発係合する弾性爪部と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の防水型コードレスオービタルサンダー。
【請求項9】
前記ベース部と前記研磨部との合計重心が前記偏芯回転機構の偏芯軸上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の防水型コードレスオービタルサンダー。
【請求項10】
前記研磨部は、前記ベース部の底面積よりも広い面積の研磨面を備えていることを特徴とする請求項7乃至請求項9の何れかに記載の防水型コードレスオービタルサンダー。
【請求項11】
前記研磨面は、矩形若しくは前記機器本体の前方に向かって先細りの多角形状を呈すると共に、その長手方向の中心線が前記機器本体の前後操作方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項10に記載の防水型コードレスオービタルサンダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−12589(P2010−12589A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179302(P2008−179302)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(507398349)株式会社リアルデザイン (7)
【出願人】(500564677)東スリーエス株式会社 (3)
【Fターム(参考)】