説明

防水型電気機器

【課題】二次電池で発生したガスを排出させるための通気路を通過した水が駆動機構に影響を与えないようにする。
【解決手段】二次電池18及びこの二次電池18により作動する駆動機構としての往復駆動手段12が収容された防水型ケース30を有し、この防水型ケース30が、前記往復駆動手段12が収容される密閉空間37Aを有する機構ケース37と、前記二次電池18が収容される内部空間36Aを有し且つ多孔質材42を介して大気開放する通気路41が設けられた電池ケース36とを備えると共に、前記機構ケース37の密閉空間37Aと前記電池ケース36の内部空間を独立させたことで、前記往復駆動手段12が作動して前記密閉空間37Aの内圧が変動しても、この密閉空間37Aに気液問わず水を侵入させないようにすることができる一方、前記二次電池18から発生したガスを外部に放出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水型電気機器に関するものであり、特に、二次電池を内蔵し且つこの二次電池の電力によって機械的に作動する駆動機構を有する防水型電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の防水型電気機器として、駆動部と、この駆動部によって動作する施療部とを有し、前記駆動部に、前記施療部の基板の周縁を前記駆動部に対する位置関係が固定された状態で着脱自在に保持する枠体を設けると共に、前記基板の中心に接続して該基板の面と交差する方向にこの基板を撓ませる往復駆動手段(本発明の駆動機構に相当する)及び二次電池が設けられ、前記施療部が、可撓性を有する材質から成る前記基板と、この基板に突出して設けられた複数の突起とで構成されるマッサージ装置が知られている。そして、このマッサージ装置では、使用者は、駆動部を把握し、突起の先端部を頭皮に押し当てて手で保持し、前記往復駆動手段によって前記施療部の基板を撓ませることで、この基板の撓みに伴って、この基板に設けられた複数の前記突起を繰り返し倒したり起こしたりさせることで相互に開閉させ、これらの相互に開閉する突起によって、揉んだり擦ったり叩いたりするように、頭皮を複雑にマッサージすることができる。これは、図9及び図10に示すように、駆動部101により駆動される施療部102における基板103が下に撓んだ湾曲凸状態と上に撓んだ湾曲凹状態との間で変形を繰り返す際、中心側から周辺側に配置された複数種類の突起104,105が、前記基板103の撓みに伴って動くことで、頭皮Sに押し当てられた前記突起104,105によって頭皮Sを指先で行うようにマッサージすることができるというものであり、基板103の外周は枠体106に取り付けられており、また基板103とその上方にある伸縮可能な覆い体107との間に、例えば洗髪用シャンプーの収容体108を設け、この収容体108は、弾性体である連続気泡型の発泡ポリウレタンや発泡ゴム等から成る合成スポンジ或いは海綿(即ち天然スポンジ)等によって形成されており、図9に示すように、基板103が下に撓んだ湾曲凸状態のときに、収容体108はほぼ非圧縮状態或いはやや圧縮状態となり、一方、図10に示すように基板103が上に撓んだ湾曲凹状態のときに、収容体108は圧縮状態となり、洗髪用シャンプーを突起105に設けた連通部109より外部に噴出させるようになっているものである(例えば特許文献1)。
【0003】
また、このような電動式ブラシ装置において、駆動部の枠体に対して基板の縁を摺動自在に設けたものも知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−228922号公報
【特許文献2】特開2006−187544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、前記駆動機構や二次電池はケースにそれぞれ収容される。なお、上述したように、前記マッサージ装置は、頭皮の洗浄やマッサージ等に使用されるので、浴室や洗面所のように、湯気が多い環境で使用されたり、水に濡れる虞のある環境で使用されたりする。このため、水滴或いは湯気が前記ケース内に入り込んで前記駆動機構や二次電池等に悪影響を与えないようにするため、防水型のケースに前記駆動機構や二次電池が収納されていた。なお、二次電池としてニッケル水素二次電池等を用いる場合、ガスが発生する虞があるので、このガスが前記ケース内に充満しないようにするため、通気路を介して前記ケース内を外部と連通させる必要がある。そして、前記通気路を介して水滴や湯気が前記ケース内に流入しないように、前記通気路に多孔質材が設けられる。
【0006】
しかしながら、前記多孔質材は、液体状の水を遮断することができるものの、気体状の水を通過させてしまう。このため、長期間使用することで、気体状の水が前記多孔質材を通過して前記ケース内に侵入し、この中で結露して液体状の水が蓄積されてしまい、前記駆動機構に悪影響を与えてしまう虞があった。これは特に、前記駆動機構が機械的に動作することで、前記ケース内空間の容積が変動して、気体が前記通気路から出入りするマッサージ装置において顕著である。
【0007】
本発明は以上の問題点を解決し、二次電池で発生したガスを排出させるための通気路を通過した水が駆動機構に影響を与えないようにすることができる防水型電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、防水型ケースと、この防水型ケースに収容される二次電池と、前記防水型ケースに収容されると共に前記二次電池により作動する駆動機構とを有する防水型電気機器において、前記防水型ケースが、前記駆動機構が収容される密閉空間を有する機構ケースと、この機構ケースの密閉空間とは独立した内部空間を有し且つ前記二次電池が収容される電池ケースとを備えると共に、前記電池ケースに、多孔質材を介して大気開放する通気路が設けられることを特徴とする防水型電気機器である。
【0009】
また、請求項2の発明は、前記防水型ケースの外側に外装ケースが設けられたことを特徴とする請求項1記載の防水型電気機器である。
【0010】
更に、請求項3の発明は、前記機構ケースと前記電池ケースとを一体的に構成したことを特徴とする請求項1又は2の何れか一項記載の防水型電気機器である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、前記駆動機構が前記機構ケースの密封空間に収容されることで、この密封空間内に水が侵入しないので、前記駆動機構が水により悪影響を受けることがなく、また、二次電池が前記機構ケースの密閉空間とは独立した内部空間を有する電池ケースに収容されることで、通気路の多孔質材によって液体状の水を遮断し、しかも、通気路を介して二次電池より発生したガスを排気することができる。
【0012】
また、前記防水型ケースの外側に外装ケースが設けられたことで、前記駆動機構の構造や形状に依らず、前記防水型電気機器を操作或いは把握し易い形状にする等、形状、デザインの自由度を向上させることができる。
【0013】
更に、前記機構ケースと前記電池ケースとを一体的に構成したことで、前記ケースの強度を高く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1を示す上方からの全体斜視図である。
【図2】同、下方からの全体斜視図である。
【図3】同、断面図である。
【図4】同、枠体周りの分解斜視図である。
【図5】同、ブラシ部周りの分解斜視図である。
【図6】同、電池ケースの要部の拡大断面図である。
【図7】同、電池ケース周りの分解斜視図である。
【図8】同、電池ケースの下側の斜視図である。
【図9】従来例を示す湾曲凸状態のブラシ部周りの断面図である。
【図10】従来例を示す湾曲凹状態のブラシ部周りの断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0016】
図1〜図8は実施例1を示している。なお、本例においては、図3の静止した姿勢を基準として上下を規定する。1は本発明の防水型電気機器としての電動式ブラシ装置である。この電動式ブラシ装置1は、装置本体2と、この装置本体2の下部側に着脱自在に保持されるブラシ部3とを有して構成されている。
【0017】
そして、前記ブラシ部3は、基板4と、この基板4の下面である表面4Sと交差する方向である下方側に突出して一体に設けられた複数の突起5とで構成されている。なお、前記基板4は、前記装置本体2に取り付けられていない自然状態において、前記突起5が突出した表面4S側が凸となるように形成されている。また、前記基板4は、平面視で楕円状であって、可撓性及び弾性を有するエラストマーによって形成されている。また、複数の前記突起5も前記基板4と一体的に設けられている。そして、前記基板4の縁4Aは、前記装置本体2と一体的に形成された底面部2B側に設けられた枠体6の縁に固定されている。なお、ここで言う「固定」とは、多少の動きを許容して接続される状態を含むものであり、本実施例では、前記基板4の縁4Aを前記枠体6に嵌合させることで、両者を全周に亘って着脱自在に接続している。また、図中4Hは、前記基板4と一体に設けられた摘みである。
【0018】
前記枠体6は、前記ブラシ部3を構成するエラストマーほど変形し易くはないものの、弾性変形可能な合成樹脂製であり、平面視で前記基板4とほぼ一致するような楕円環状に形成されている。そして、前記中心軸線X上に、平面視における前記枠体6の中心が配置されている。また、前記枠体6は、前記装置本体2の底面部2Bから隙間を隔ててやや下方に設けられている。更に、前記枠体6は、前記装置本体2に対して支持手段7を介して揺動自在に設けられている。
【0019】
そして、前記枠体6の形状は、この枠体6の長径方向においては、中心軸線Xの通る中心部側となる内側部6Aよりも、反中心部側となる外側部6Bが装置本体2から離間するように、ほぼ円弧状に形成されている。一方、前記枠体6は、短径方向においては平坦に形成されている。また、前記枠体6の外側部6Bの外縁6Cには、下向きの小突部が形成されている。そして、前記ブラシ部3の基板4の折り返された前記縁4Aが、前記枠体6の外縁6Cに嵌合している。なお、前記枠体6の内側に形成された窓孔6Dは、中心軸線Xを中心とした平面視円形であって、この窓孔6Dと外装ケース2Aの底面部2Bとの間には、エラストマー等の可撓性及び弾性を有する材質から成る後述するパッキン23が設けられている。
【0020】
前記支持手段7は、軸8と、軸受部8Aとで構成されている。そして、前記軸8は、前記装置本体2の底面部2Bを構成する底板9の左右にそれぞれ設けられている。一方、前記軸8を受ける前記軸受部8Aは、前記枠体6の左右にそれぞれ設けられている。そして、前記吊下部材6Fの上部に設けられた前記軸受部8Aは、前記軸8によって回動自在に接続され、これにより、前記枠体6は前記軸8を回動中心として揺動できるようになっている。なお、図中8Bは、前記軸受部8Aの外側を覆う蓋板を示している。
【0021】
前記装置本体2は、防水型ケース30と、このケース30の外側を覆う前記外装ケース2Aとを有して構成されている。前記外装ケース2Aは、底面側が開口すると共に片手で把握可能な大きさを有する。そして、前記外装ケース2Aの底面側の開口は、前記装置本体2の底面部2Bにより閉塞されている。この底面部2Bは、前記底板9と覆い体11とを有する。そして、前記底板9は、平面視において前記枠6と外形がほぼ等しい楕円状に形成されており、前記ケース2Aの底縁にその外周が固定されていると共に、前記底板9の中央部には上下方向に貫通する円形の窓孔10が形成されており、この窓孔10を覆って伸縮可能な前記覆い体11が設けられている。この覆い体11は、例えばゴム或いは合成ゴムやエラストマー等の可撓性を有する材質から成る蛇腹状の膜によって、前記窓孔10を水密に封ずるように設けられているもので、その外縁を前記ケース30のケース本体31と前記底板9とで挟持することで、前記底板9に対し気密に接続されている。
【0022】
そして、前記装置本体2の内部に設けられた前記ケース30には、前記基板4の中心部Oを上下方向に往復動させる駆動機構としての往復駆動手段12が設けられている。この往復駆動手段12は、モータ13と、このモータ13のモータ軸(図示せず)に減速歯車機構14を介して接続されるクランク15と、このクランク15の偏心軸15Aと結合したヨーク16と、このヨーク16と一体に形成されたロッド16Aを備えている。このように、本実施例では、所謂スコッチ・ヨーク機構を採用したが、クランク機構を採用してもよい。
【0023】
なお、前記覆い体11のほぼ中央には、接続中継部材17が一体的に取り付けられている。この接続中継部材17は、その上面側と前記ロッド16Aの下端とで前記覆い体11を挟持して水密に固定すると共に、その下面側にフック17Aが設けられており、このフック17Aに、前記基板4中央の上面に設けられたフック受け部4Bが着脱自在に接続されている。従って、前記接続中継部材17は、前記モータ13の回転運動が前記クランク15とヨーク16とで往復運動に変換されることで、上下方向に往復運動するようになっている。これにより、前記フック受け部4Bが設けられた位置が、前記基板4における最大振幅部となり、その振幅は、前記クランク15の中心軸から前記偏心軸15Aまでの偏心距離Fの2倍(2F)となる。また、前記フック受け部4B及び接続中継部材17は、中心軸線X上に配置される。
【0024】
また、前記装置本体2のケース30の内部には、前記モータ13に電力を供給するための二次電池18が収容されている。なお、この二次電池18としては、例えばニッケル水素二次電池が用いられる。更に、前記装置本体2の外装ケース2Aの上面側表面には、中心軸線Xより一方へ偏って、貫通孔2Cが形成されており、この貫通孔2Cから前記モータ13を操作するためのスイッチボタン19が露出している。なお、以後、中心軸線Xよりスイッチボタン19側を前方、スイッチボタン19と反対側を後方、これら前後方向に対して直交する方向を左右方向という。
【0025】
次に、前記ケース30について説明する。前記ケース30は、使用者が把握する外装ケース2Aの内側に、該外装ケース2Aに沿うように配置されるシャシー等と称されるものである。前記ケース30は、前記底板9と、この底板9上に設けられると共に外側が前記外装ケース2Aに沿うように設けられるケース本体31と、このケース本体31の上方を覆うように設けられる外蓋体32と、この外蓋体32の前方にインサート成形されると共に透光性を有し前記貫通孔2Cから露出する表示カバー33と、内蓋体34と、シール材35によって構成されている。前記ケース本体31は、隔壁31Aによって電池収容部31Bと機構収容部31Cに区画されており、前記電池収納部31Bと機構収納部31Cは一体である。そして、前記電池収容部31Bと、シール材35と、内蓋体34によって、電池ケース36が構成されると共に、前記底板9と、覆い体11と、機構収容部31Cと、シール材35と、内蓋体34と、外蓋体32と、表示カバー33とで、機構ケース37が構成される。即ち、前記電池ケース36と機構ケース37は、共通の部材により一体的且つ不可分に構成されている。なお、前記ケース本体31の開口縁に前記シール材35を乗せ、前記電池収容部31Aを覆うように前記内蓋体34を乗せた状態で、前記外蓋体32を前記ケース本体31に取り付けることで、前記内蓋体34は前記シール材35を介して前記電池収容部31Aに押し付けられる。即ち、前記内蓋体34は、前記ケース本体31と外蓋体32によって挟持される。このようにして、前記電池ケース36が画定される。一方、前記ケース30のうち、前記電池ケース36以外の部分が前記機構ケース37として画定される。このような構造にすることで、前記電池ケース36と機構ケース37を容易に画定することができる。
【0026】
そして、前記電池ケース36内の空間36Aに、前記二次電池18が収容される。また、前記内蓋体34には、前記二次電池18を回路基板20に接続するためのリード線38を引き出すための貫通孔34Aが形成されており、この貫通孔34Aには前記リード線38と共にシール材39が充填されている。また、前記電池収容部31Bと内蓋体34は、前記シール材35によってシールされている。
【0027】
そして、前記機構ケース37の密閉空間37Aに、前記往復駆動手段12及び回路基板20が収容される。即ち、前記密閉空間37Aには、前記往復駆動手段12を構成するモータ13、減速歯車機構14、クランク15及び前記ヨーク16のロッド16Aが収容されている。また、前記ケース本体31と外蓋体32は、前記シール材35によってシールされている。更に、前記機構収容部31Cには、前記二次電池18の充電用接続端子40が露出している。
【0028】
また、電池収容部31Bには、一次側41Aが前記空間36Aに連通し、中間に膜状の多孔質材42が設けられ、二次側41Bが大気開放した通気路41が形成されている。なお、前記多孔質材42は、気体を通過させることが可能であり、一方、液体を通過させることが不可能である。従って、水は、例え霧状(即ち細かい水滴)であったとしても、前記多孔質材42を通過することができない。そして、前記電池収容部31Bの底面部には、下方へ凹状となる凹部31Dが形成されており、この凹部31Dに多孔質材42が収容される。なお、前記多孔質材42は、貫通孔43A,44Aが形成された取付体43,44に、これらの貫通孔43A,44Aを塞ぐように、それぞれ貼り付けられている。そして、これらの取付体43,44は、前記凹部31Dに収容された状態で、蓋板45とケース本体31の間に挟持される。また、前記蓋板45は、ビス46によって前記電池収容部31Bの底面部側に固定されている。そして、前記通気路41の一次側41Aとなる貫通孔45Aが、前記蓋板45に形成されていると共に、前記通気路41の二次側41Bとなる貫通孔31Eが、前記電池収容部31Bの凹部31Dに形成されている。従って、前記通気路41は、その一次側41Aから前記貫通孔45A、貫通孔43A、多孔質材42,42、貫通孔44A、貫通孔31Eを介して二次側41Bに至るようになっている。そして、前記二次側41Bから排気されたガスは、前記外装ケース2Aの内部から、隙間(図示せず)を介して大気中に放出される。
【0029】
更に、前記内蓋体34の上部には、前記回路基板20が取り付けられている。そして、前記回路基板20における前記スイッチボタン19の下方に、このスイッチボタン19に応動するスイッチ21が実装されている。なお、前記回路基板20の前部には、発光素子22が実装されており、この発光素子22の光が、前記表示カバー33を介して視認可能となっている。
【0030】
このように、前記往復駆動手段12や二次電池18、回路基板20等が収容された前記ケース30の外側を覆うように、前記外装ケース2Aが設けられているので、前記往復駆動手段12や二次電池18の構造や形状、大きさに依らず、前記電動式ブラシ装置1を操作或いは把握し易い形状にすることができる。また、前記電池ケース36と機構ケース37とを一体的に構成したことで、前記ケース30の強度を高く保つことができる。更に、一体的に構成された前記ケース30の周囲を覆うように前記外装ケース2Aを取り付けることで、前記電動式ブラシ装置1が構成されるので、前記電池ケース36と機構ケース37とを個別に前記外装ケース2A内に装着する必要がなく、前記電動式ブラシ装置1を容易に製造することができる。
【0031】
次に、前記パッキン23について説明する。このパッキン23は、例えばゴム或いは合成ゴムやエラストマー等の可撓性を有する材質から成り、前記中心軸線Xを中心とした平面視が円形となるリング状である。そして、前記パッキン23の上部23Aは、前記底板9の窓孔10の縁となる内周面9Aに線接触状に圧接して、両者を気密に接続して後述する拡縮空間29を画定している。そして、後述するように、前記基板4が下に撓んだ湾曲凸状態と上に撓んだ湾曲凹状態との間で変形を繰り返す時や、前記軸8を中心として前記枠体6が揺動した時において、前記パッキン23の上部23Aが前記内周面9Aより逸脱しないようになっている。一方、前記パッキン23の下部23Bは、インサート成形によって、前記枠体6の内側部6Aと一体的に形成されている。
【0032】
更に、前記基板4には、前記枠体6と、この枠体6の上方に接続された前記パッキン23と、このパッキン23が当接した前記底板9と、前記底板9に対し気密に接続された前記覆い体11と、前記枠体6の下方に接続された前記基板4とで囲まれる拡縮空間29とその外部を連通する小貫通孔状の第一連通部24及び第二連通部25が設けられる。そして、前記拡縮空間29には、前記各連通部24,25に連通すると共に前記基板4の撓みに応動する液状洗剤としてのシャンプーの収容体26が設けられる。また、前記中心軸線Xを中心として、複数の小突起27が前記基板4の表面4Sに環状に並べて設けられていると共に、これらの小突起27同士を接続するように、環状壁28が設けられている。なお、前記小突起27と環状壁28によって、前記基板4が中央部と外周部に区画される。そして、前記第二連通部25は、前記小突起27と環状壁28によって囲まれた区域に形成されている。一方、前記第一連通部24は、前記小突起27と環状壁28の外側の区域に形成されている。
【0033】
前記収容体26は、前記基板4の撓みに応動して、圧縮及び復元を繰り返すことで、前記シャンプーを前記各連通部21,22から吸引したり吐出したりさせるようになっている。なお、前記収容体26は、実施例では弾性体である連続気泡型の発泡ポリウレタンや発泡ゴム等から成る合成スポンジ或いは海綿(即ち天然スポンジ)等によって形成されている。また、前記収容体26の中心部には、前記中心軸線Xに沿って貫通孔26Aが形成されている。そして、この貫通孔26Aを通して、前記フック受け部4Bと前記フック17Aが接続できるように構成されている。
【0034】
次に、上記構成について、その作用を説明する。まず使用者は、前記装置本体2を裏返し、前記枠体6に前記収容体26を乗せた後、前記フック17Aを、前記収容体26の貫通孔26Aを通して前記ブラシ部3の基板4のフック受け部4Bに接続し、更に、前記ブラシ部3の基板4の縁4Aを前記枠体6の外縁6Cに係合させる。このようにして、前記電動式ブラシ装置1が使用可能な状態となる。
【0035】
そして、頭皮Sを洗浄したりマッサージしたりする場合、使用者は、予め前記収容体26に適量の水を含ませておく。なお、水は前記電動式ブラシ装置1を水に浸けることで、前記各連通部24,25を介して前記収容体26に吸収される。そして、前記電動式ブラシ装置1を図3の状態から裏返して前記基板4の表面4Sを上向きとし、前記小突起27と環状壁28に囲まれた区域に適量のシャンプーを注ぐ。この際、前記シャンプーは、過剰に注がない限り、前記小突起27と環状壁28の外側の区域に流れ出すことはない。なお、少量のシャンプーは、前記第二連通部25から前記収容体26側に染み込む。
【0036】
次に、前記スイッチボタン19を操作すると、前記二次電池18から電力が給電されることで、前記モータ13が作動してモータ軸(図示せず)が回転する。このモータ軸の回転に伴い、このモータ軸に前記減速歯車機構14を介して接続された前記クランク15が回転し、このクランク15及びこのクランク15の偏心軸15Aと結合した前記ヨーク16によって、前記モータ軸の回転運動が往復運動に変換され、前記ヨーク16と一体に形成されたロッド16Aの下端に取り付けられた前記接続中継部材17が上下に往復動する。そして、前記基板4は、前記接続中継部材17に設けられた前記フック17Aに接続された前記フック受け部4B、即ち、前記基板4の中央が最大振幅箇所となるように、従来技術と同様に下に撓んだ湾曲凸状態と上に撓んだ湾曲凹状態との間で変形を繰り返し、その前記最大振幅個所における振幅は、前記クランク15の中心軸から偏心軸15Aまでの偏心距離Fの2倍(2F)となる。
【0037】
このように、前記基板4が下に撓んだ湾曲凸状態と上に撓んだ湾曲凹状態との間で変形を繰り返すことで、前記拡縮空間29が圧縮、復元を繰り返すことになり、この結果、前記拡縮空間29内の前記収容体26は、前記基板4の撓みに応動して、圧縮と復元を繰り返す。そして、前記収容体26が圧縮状態から復元する際に、前記拡縮空間29が減圧状態となることで、前記環状小突起27と環状壁28の内側区域に注がれた前記シャンプーが前記第二連通部25から吸引されて前記拡縮空間29内に流入し、前記収容体26に収容される。逆に、前記収容体26が圧縮される際に、この収容体26に収容された前記シャンプーは、前記第二連通部25より噴出されることとなる。なお、前記シャンプーは、前記第二連通部25を通して押し出される際に空気と混じり合うことで泡立つ。そして、このように前記収容体26の変形が繰り返されることで、前記シャンプーが徐々に前記収容体26の中央から外周側に広がってゆき、これによって、前記第一連通部24からも、泡立てられた前記シャンプーが押し出されることになる。このように、湾曲凸状態と湾曲凹状態との間で繰り返される前記基板4の変形に応動して前記収容体26が圧縮、復元を繰り返すことで、前記小突起27及び環状壁28の内側区域に注がれた前記シャンプーは、泡立てられて、前記ブラシ部3全体から外部に供給される。
【0038】
このように、前記シャンプーが泡立てられた状態で、使用者は、前記装置本体2を把握し、前記突起5の先端部を前記頭皮Sに押し当てて手で保持する。これにより、主として前記突起5は、前記中心軸線Xを中心としてその内側方向に傾斜したり、或いはその後起立したりすることを繰り返すことで、前記頭皮Sを擦って洗浄したり、刺激を与えてマッサージしたりすることができる。
【0039】
なお、洗浄又はマッサージを行う際に、頭皮Sに前記ブラシ部3を正対させることにより複数の前記突起5を頭皮Sに均等に当接させる必要があるが、使用者はこの状態を正確に視認できないので、前記装置本体2を把握した状態では、前記ブラシ部3は頭皮Sに対して大まかに対向する状態となる。しかしながら、前記ブラシ部3が頭皮Sに正対していない(前記中心軸線Xが頭皮Sに対して傾斜している)状態にあっては、矢印Tに示すように、前記ブラシ部3が前記装置本体2に対して前記軸8を中心に揺動することで、前記ブラシ部3が自動的に頭皮Sに正対した状態で当接できるようになるので、複数の前記突起5によって、頭皮Sを均一に洗浄したりマッサージしたりすることができる。そして、前記ブラシ部3が前記軸8を中心に揺動する際に、前記パッキン23の上部23Aは、前記底板9の内周面9Aに圧接することで、シャンプーが前記パッキン23の外側に漏れ出すようなことがない。
【0040】
なお、前記往復駆動手段12が作動することで、前記覆い体11は、繰り返し外側に押し出されたり内側に引き込まれたりする。このため、前記機構ケース37の密閉空間37Aは、圧縮と膨張を繰り返し、内圧が変動する。しかしながら、前記密閉空間37Aは、他の空間と連通していない。このため、前記電動式ブラシ装置1を使用する環境の雰囲気に水(気液問わず)が存在したとしても、この水は、前記密閉空間37Aが減圧状態となった際に前記密閉空間37A内に吸引されることがない。従って、前記機構ケース37内の往復駆動手段12や回路基板20等が、水によって悪影響を受けることが阻止される。
【0041】
一方、前記二次電池18が収容された前記電池ケース36の内部空間36Aは、前記通気路41によって外部空間と連通している。しかしながら、雰囲気中の液体状の水は、前記通気路41内に前記多孔質材42が設けられているので、前記通気路41を通過できず、前記電池ケース36内に侵入することができない。従って、前記電池ケース36内の二次電池18が、液体状の水によって悪影響を受けることが阻止される。なお、前述したように、前記電池ケース36と機構ケース37とが独立しているので、前記密閉空間37Aの内圧の変動は、前記内部空間36Aの内圧に影響を与えない。従って、前記往復駆動手段12の作動に伴って、前記通気路41を空気が出入りすることはない。即ち、前記通気路41は、前記二次電池18が正常であれば、空気が殆ど流通しない。このため、前記多孔質材42を通過可能な気体状の水も、前記電池ケース36の内部空間36Aに殆ど流入しない。そして、前述した通り、前記電池ケース36と機構ケース37とが独立しているので、仮に、前記内部空間36Aに気体状の水が流入したとしても、この気体状の水は前記密閉空間37Aに流入しない。このため、前記密閉空間37A内で気体状の水が結露して、前記往復駆動手段12や回路基板20等に悪影響を与えるということはない。
【0042】
前記二次電池18は、異常時にガスを発生させることがある。しかしながら、このガスは前記多孔質材42を通過可能である。従って、前記ガスは、前記通気路41の一次側41Aから二次側41Bへと排出された後、前記外装ケース2Aの隙間を通って大気中に放出される。
【0043】
以上のように、上記実施例は、二次電池18及びこの二次電池18により作動する駆動機構としての往復駆動手段12が収容された防水型ケース30を有し、この防水型ケース30が、前記往復駆動手段12が収容される密閉空間37Aを有する機構ケース37と、前記二次電池18が収容される内部空間36Aを有し且つ多孔質材42を介して大気開放する通気路41が設けられた電池ケース36とを備えると共に、前記機構ケース37の密閉空間37Aと前記電池ケース36の内部空間を独立させたことで、前記往復駆動手段12が作動して前記密閉空間37Aの内圧が変動しても、この密閉空間37Aに気液問わず水を侵入させないようにすることができる一方、前記二次電池18から発生したガスを外部に放出することができる。
【0044】
また、前記防水型ケース30の外側に外装ケース2Aを設けたので、外装ケース2Aを、往復駆動手段12等の構造や形状、大きさに依らず、操作或いは把握し易い形状にすることができる等、形状、デザインの自由度を向上させることができる。
【0045】
更に、前記機構ケース37と前記電池ケース36とを一体的に構成したことで、前記ケース30の強度を高く保つことができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る防水型電気機器は、以上の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施例では、防水型電気機器として、頭皮等の洗浄及びマッサージに使用可能な電動式ブラシ装置について述べたが、これ以外の機器に適用してもよい。また、上記実施例では、駆動機構として往復駆動手段を用いたが、これ以外の形式の駆動機構を用いた機器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 電動式ブラシ装置(防水型電気機器)
2A 外装ケース
12 往復駆動手段(駆動機構)
18 二次電池
30 防水型ケース
36 電池ケース
36A 内部空間
37 機構ケース
37A 密閉空間
41 通気路
42 多孔質材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水型ケースと、この防水型ケースに収容される二次電池と、前記防水型ケースに収容されると共に前記二次電池により作動する駆動機構とを有する防水型電気機器において、
前記防水型ケースが、前記駆動機構が収容される密閉空間を有する機構ケースと、この機構ケースの密閉空間とは独立した内部空間を有し且つ前記二次電池が収容される電池ケースとを備えると共に、前記電池ケースに、多孔質材を介して大気開放する通気路が設けられることを特徴とする防水型電気機器。
【請求項2】
前記防水型ケースの外側に外装ケースが設けられたことを特徴とする請求項1記載の防水型電気機器。
【請求項3】
前記機構ケースと前記電池ケースとを一体的に構成したことを特徴とする請求項1又は2の何れか一項記載の防水型電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−44366(P2011−44366A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192578(P2009−192578)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】