説明

防水用パッキング及びそれを用いた嵌合組立機器

【課題】電子機器や通信機器などの機器に防水機能を持たせるためのパッキングにおいてその表面硬度は軟らかく全体の形状を保持しながら、捩じれや弛みなどが起き難いパッキングを提供する。
【解決手段】嵌合組立機器の組立部材間に介在して、該機器の防水性を付与するための非透水性の柔軟部材1と芯材2とから構成された防水用パッキングであって、機器の嵌合組立部材の嵌合線に対して垂直な断面において前記組立部材の嵌合面に当接する少なくとも三つの当接点A、B、Cの各点を有し、芯材2は前記三つの当接点をそれぞれ結ぶ三本の線分のうち少なくとも一本の線分を横切らない位置に配置されてなり、前記芯材2が横切らない一本の線分を構成する二つの当接点が、前記嵌合組立てられる組立部材のそれぞれに一つずつ当接するように組立部材間に介在して前記柔軟部材1を圧縮させて嵌合組立てられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やモバイルパソコン、体温計、電動髭剃り器、車の通信キーなど電子機器、通信機器に防水機能を持たせるための防水用パッキング及びそれを用いた嵌合組立機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話やモバイルパソコン、体温計、電動髭剃り器、車の通信キーなど、電子機器や通信機器などは、プラスチック等の外装用の筺体(ハウジング)に収納され、その筺体としては意匠性も考慮して様々な形態のものがある。一般的には上蓋板(又は底蓋板)と容器、あるいは上部容器と下部容器とにより構成されていて、その中に機器の電子回路部や機械部が収納されている。その技術として、例えば特許文献1がある。
【0003】
上記筺体の一例としては、例えば、図6(a)の側面図、及び(b)の上面図に示すように、収納部10aを有する上部容器10と、収納部20aを有する下部容器20とから構成されていて、上部容器10の開口端部10b(下端)の各辺には、嵌合凸部10cを備え、収納部20aを有する下部容器20の開口端部20b(上端)の上辺には嵌合凹溝部20cを備えている。
【0004】
上部及び下部容器10、20からなる上記筺体には、その各収納部10a、20a内にそれぞれ電子機器や通信機器を構成する部材(回路や機械)を内蔵した後、図6(c)に示すように、上部容器10と下部容器20のそれぞれ開口端部10b、20bを対向させて、その嵌合凸部10cを嵌合凹溝部20c内に嵌合して重ね合わせて電子機器や通信機器が組み立てられる。
【0005】
このような機器に対して防水機能を付与するためには、図7の上記筺体のX−X方向(図6(a)参照)断面図に示すように、上部容器10と下部容器20との間には、下部容器20の嵌合凹溝部20c内に装填可能な、防水用のクッション性のあるパッキングDを介在させて、該パッキングDを嵌合凹溝部20c内に装填した後に、容器10、20の嵌合凸部10cと、嵌合凹溝部20cとを嵌合し、パッキングDを圧縮させて組み立てられる。図8(a)は防水用のパッキングDのX−X方向断面図、(b)は、その平面図である。
【0006】
上記筺体の重ね合わせ部である一方の開口端部20bに形成された嵌合凹溝部20c上に、例えばゴム材質のパッキングDを、整合して重ね合わせた後、上記嵌合凹溝部20cに沿って他方の嵌合凸部10cの先端にてパッキングDを凹溝部内の方向に押さえながら装填し、凸部と凹溝部とを嵌合して組み立てる。
【0007】
上記パッキングは、該パッキングが装填される凹溝部の嵌合線に対して垂直な方向の断面が、丸形や凹形状などがあるが、いずれも携帯電話などのような複雑な機器の組み立て態様や複雑な外形の部品のパーティングにあった形状になる。このような筺体が合わさるパーティング形状は複雑であり、用途によっては機器全体の厚味を薄くする必要があるため、パッキングの断面も小さく、上下方向、表裏など、パッキングの装填における方向性を区別するのが難しい。例えば、パッキングの一部がねじれたり表裏がズレたりしても、それを見つけるのが難しい。特に断面が丸形状のパッキングの場合は、水深40cm程度の水圧でも、ハウジング内に水が浸入し易く、嵌合凸部10cと嵌合凹溝部20cとの凹凸嵌合や嵌合解除の都度、そのハウジングの防水性能が変動し易い問題があった。
【0008】
また、防水性能を要求される機器の嵌合組立の際に、比較的強くない力で凹凸嵌合しても確実に水の流入を防止できるように、パッキングのゴム硬度(ショア)を30〜60°程度に軟らかくする必要があるが、その場合に、パッキングが軟らかいため全体形状が保持し難く、容易に捩じれたり弛みが発生し易い。そのため、正しいパッキングの方向や位置がズレて、機器を構成する容器(ハウジング)に隙間が生じ、水浸入や水漏れ、防水性の低下や損失が生じ易い。また、正しい状態でパッキングが装着されているかどうかの正確な確認検査ができない等の問題が生じ易い。また、パッキングを容器の細かくて軟らかい凹溝部に装填する作業の作業性が悪く、装填作業の自動化が困難であった。
【0009】
以下に本願の先行技術文献を記載する。
【特許文献1】特開平6−201048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題を解消することを課題として、電子機器や通信機器などの機器に防水機能を持たせるためのパッキングにおいて、その表面硬度は軟らかく、全体の形状を保持しながら、捩じれや弛みなどが起き難いパッキングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に係る発明は、嵌合組立機器の組立部材間に介在して、該機器の防水性を付与するための非透水性の柔軟部材と芯材とから構成された防水用パッキングであって、機器の嵌合組立部材の嵌合線に対して垂直な断面において前記組立部材の嵌合面に当接する少なくとも三つの当接点を有し、前記芯材は、前記三つの当接点をそれぞれ結ぶ三本の線分のうち、少なくとも一本の線分を横切らない位置に配置されてなり、前記芯材が横切らない一本の線分を構成する二つの当接点が、前記嵌合組立てられる組立部材のそれぞれに一つずつ当接するように組立部材間に介在して、前記柔軟部材を圧縮させて嵌合組立てられることを特徴とする防水用パッキングである。
【0012】
本発明の請求項2に係る発明は、上記請求項1に係る防水用パッキングにおいて、前記芯材が、前記三つの当接点をそれぞれ結ぶ三本の線分のうち、少なくとも一本の線分を横切る位置に配置されていることを特徴とする防水用パッキングである。
【0013】
本発明の請求項3に係る発明は、上記請求項1又は請求項2に係る防水用パッキングにおいて、前記嵌合組立部材の嵌合面に当接する当接点はそれぞれ突起状を呈し、その突起状先端は丸味を有していることを特徴とする防水用パッキングである。
【0014】
本発明の請求項4に係る発明は、上記請求項1乃至3のいずれか1項記載の防水用パッキングを組立部材間に介在させて、柔軟部材を圧縮させて嵌合組立てられていることを特徴とする嵌合組立機器である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の防水用パッキングの構造は、柔軟部材と、該柔軟部材より硬度の高い芯材とから構成され、機器の嵌合組立部材の嵌合線に対して、垂直な断面の形状が、少なくとも、三つの当接点(A点、B点、C点)を有する、例えば略三角形状であって、全体形状はブロック状、線状、環状のパッキングであり、芯材は、パッキング本体の三つの当接点を結ぶ線分、A−B間、B−C間、C−A間のうちいずれか一本の線分を横切らないように構成されているために、嵌合組立の際の嵌合凸部と嵌合凹溝部との凹凸嵌合において、前記パッキングのA、B、Cの三つの当接点のうち、芯材が横切らない線分を構成する当接点の一点を、嵌合凸部の先端面に、他の一点を、三面からなる嵌合凹溝部内のいずれかの内
壁面に、それぞれ当接、接触させて、機器の外装容器(ハウジング)の組立部材間に介在させて、嵌合組み立てすることができる。
【0016】
また、本発明の防水用パッキングの構造は、柔軟部材と柔軟部材より硬度の高い芯材とから構成された複合体によるパッキングであるため、柔軟部材が単体では硬度(ショア)が30〜60°程度に軟らかくても、芯材には、それ以上の硬度を設定することにより、パッキング全体としては適度な剛性を有しているので、パッキングの部分的な捩じれなどが生じ難く、また、パッキングの容器への装着操作のための取り扱いが容易であり、さらには装着時における表裏・上下の見誤り、ズレなどが生じ難いという効果がある。
【0017】
また、本発明の防水用パッキングの構造は、防水性能を要求される機器を構成する外装容器の嵌合凹溝部など、パッキングが装填されるハウジング面と接触するパッキングの表面は軟らかく、ハウジング面とパッキング面との接触界面の確実な密着性が得易くなり、防水性能を要求される機器の嵌合組立の際には、比較的強くない力で凹凸嵌合しても、本発明のパッキングにより確実に水の流入を防止でき、十分な防水効果が得られるものである。
【0018】
また、本発明の防水用パッキングの構造は、例えば、断面が略三角形状であって三つの当接点(A点、B点、C点)を含む全体形状がブロック状、線状、あるいは環状のパッキングであり、芯材は、パッキング本体の三つの当接点を結ぶ線分、A−B間、B−C間、C−A間のうちいずれか一本の線分を横切らないように構成されているので、防水性能が要求される機器に使用する外装容器の嵌合組立の際の嵌合凸部とパッキングが装填される嵌合凹溝部との凹凸嵌合においては、前記パッキングのA、B、Cの三つの当接点のうち芯材が横切らない線分を構成する柔軟部材からなる一点を嵌合凸部の先端面に、柔軟部材からなる他の一点(又は他の二点)を、三面からなる嵌合凹溝部内の一つの内壁面(又は二つの内壁面)に、それぞれ当接、接触させて、容器の組立部材間に介在させて、嵌合凸部と嵌合凹溝部とを嵌合し、パッキングを圧縮して嵌合組み立てすることができ、防水性能を要求される機器の嵌合組立の際には、比較的強くない力で凹凸嵌合しても、本発明のパッキングにより確実に水の流入を防止でき、十分な防水効果が得られるものである。
【0019】
また、本発明の請求項2に係る防水用パッキングは、芯材が、三つの当接点A、B、Cをそれぞれ結ぶ三本の線分のうち、一本又は二本の線分を横切る構造であり、比較的硬度の高い芯材の部分を表面に露出させることができるので、その部分を掴んで作業することができ、容器への装着作業などが行いやすいという効果がある。また、芯材を表面に露出させることにより、芯材の周囲全体に柔軟部材を設ける構造に比べ、2色成形やインサートインジェクション成形といった方法により、精度の高い成形が実施し易いという利点もある。
【0020】
このように、本発明によれば、電子機器や通信機器などの機器に確実な防水機能を持たせることができ、その表面硬度は軟らかく、全体の形状を保持しながら、捩じれや弛みなどが起き難い、パッキングを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の防水用パッキングは、嵌合組立ハウジングの嵌合組立部材間に介在して該ハウジング内の防水性を付与する非透水性の柔軟部材と芯材とから構成された、例えば、ブロック状、線状、あるいは、環状の防水用パッキングである。
【0022】
本発明の防水用パッキングの構造の実施の形態を、図面に基づいて以下に詳細に説明すれば、図1(a)〜(c)は、機器の外装容器(ハウジング)の嵌合組立部材(例えば上部容器10と下部容器20)の間に介在させる防水用パッキングの基本的な構造を説明す
る嵌合線に対して垂直な方向(図6(a)X−X方向)の各種の概略断面図であり、1は柔軟部材、2は芯材である。図2(a)〜(h)は、上記基本的構造を踏まえて作製される、本発明の防水用パッキングの構造の各種の実際構造、及び形状を説明する断面図である。
【0023】
本発明の防水用パッキングの構造は、図1(a)〜(c)、及び図2(a)〜(h)に示すように、柔軟部材1と、芯材2とにより構成され、機器の嵌合組立部材の嵌合線に対して垂直なパッキング断面形状が、当接点A、B、Cの各点を結ぶ略三角形の頂点に外装容器の凹凸嵌合部との接触点を有する形状となっている。なお本発明において、凹凸嵌合部を有する機器の外装容器(ハウジング)としては、図6、図7に示すような上部容器10と下部容器20の両方に、機器の回路部や機械部、取付部品等を収納できる収納部10a、20aを有するものの他に、上部容器10と下部容器20のうちいずれか一方は、回路部や機械部、取付部品等を収納する収納部の無い凹凸嵌合部を有する容器、あるいは板状の蓋体等の態様の凹凸嵌合部を有する容器であってもよい。
【0024】
本発明の防水用パッキングの構造は、図1(a)に示すように、当接点A、B、Cの各点を結ぶ略二等辺三角形の柔軟部材1に対して、芯材2が、A点とC点との間に存在してもよいし、図1(b)に示すように、柔軟部材1に対して、芯材2が、C点を含む領域と、その近傍に存在してもよいし、図1(c)に示すように、柔軟部材1に対して、芯材2が、B点とC点との間の柔軟部材1領域内又は外に存在してもよい。
【0025】
また、本発明の防水用パッキングの構造は、図1、図2に示すように、前記芯材2は、三つの当接点A、B、Cをそれぞれ結ぶ三つの線分、A−B間、B−C間、C−A間のうちいずれか一つの線分、若しくはその線分の一端部、又は、A−B間、B−C間、C−A間のうちいずれか二つの線分若しくはその線分の一端部を、包含、若しくは横切るように構成することができる。
【0026】
そして、嵌合組立時には、少なくとも前記A点、B点、C点と、前記嵌合組立部材の凹凸嵌合面とは、互いに当接するように嵌合組立部材間に介在させて、該嵌合組立部材を嵌合し、前記パッキングの柔軟部材を圧縮させて嵌合して組立てられる。
【0027】
また、図2に示すように前記嵌合組立部材の嵌合面に当接する各A点、B点、C点は、それぞれ突起状を呈して、その突起状の先端部は丸味を有していてもよい。
【0028】
図3、図4は、本発明の構造を有する防水用パッキングDを、ハウジングの上部容器10と下部容器20からなる嵌合組立部材の間に介在させて嵌合組立して、防水性能を有する機器を作製した状態を示す。上部容器10と下部容器20のそれぞれ収納部10a、20a内には、機器の部品である回路、計器、通信機、機械等が収納された後に、嵌合組立される。
【0029】
図3に示すように本発明の構造を有する防水用パッキングは、機器の嵌合組立部材(上部容器10と下部容器20)を、嵌合凸部10cと嵌合凹溝部20cとを嵌合して組立する際に、前記パッキングDの当接点A、B、Cの三点のうちの一点(例えばパッキングのA点)を嵌合凸部10cの先端面に当接し、接触させ、他の二点(パッキングのB点、C点)を断面が三面からなる嵌合凹溝部20c内の内壁面に当接、接触させて、該凹溝部20c内に装填して位置決めし、前記嵌合凸部10cの先端面にてパッキングのA点を凹溝部20c内の方向に押し付けながら、図4に示すように、該パッキングDを該凹溝部20c内に装填し、嵌合組み立てする。これにより、本発明のパッキングの構造を有するパッキングを用いた上部容器10と下部容器20とにより構成される機器のハウジングが完成する。
【0030】
このようにして本発明品のパッキングを用いて嵌合し、組み立てられた機器用のハウジングは、1mの水深でも、ハウジング内への水の浸入や、水漏れの発生が無く、良好な結果が得られた。
【0031】
次に、本発明の構造を有する防水用パッキングの成形方法を、図5(a)〜(d)に基づいて説明する。
【0032】
まず、図5(a)に示すように、第1工程にて、芯材成形用金型E1 (Pは金型開閉パーティングライン)内に、ゲートGから加熱溶融状態の耐熱性の硬質熱可塑性樹脂を射出し充填して冷却し、芯材2を成形する。続いて、パーティングラインPにて金型E1 を開放して芯材2を金型E内から取り出す。この時、成形された芯材2の全体を、芯材成形用金型E1 内から取り出し易いように、ゲートGは、複数ゲートを設けたサイドゲート又はジャンプゲートにする。また、ゲートGから芯材成形用金型E1 までの樹脂ランナー2aには、平らな面を中央に作っておくことにより、ロボットアームの吸引手段により、樹脂ランナー2aの平らな面を吸着して、芯材2を金型Eから取り出したり、所定の位置にある他の金型E内に正確に移送し、挿入し易いようにすることが好適である。
【0033】
次に、第2工程では、第1工程にて成形した芯材2を化学処理して、柔軟部材1との密着性を高めた後、図5(b)に示すように、芯材2の装填金型部と柔軟部材1の成形用金型部とを備えた複合成形用金型E2 (Pは金型開閉パーティングライン)を開放し、その芯材2の装填金型部内に、第1工程にて成形した芯材2を(必要に応じてロボットアームの吸引手段により移送して)装填する。その後、複合成形用金型E2 を閉鎖して、複合成形用金型E2 内に、ゲートGから加熱溶融状態の柔軟部材を射出し充填して冷却し、芯材2に密着した柔軟部材1を成形する。続いて、パーティングラインPにて金型E2 を開放して、密着成形状態の柔軟部材1と芯材2とを金型E2 内から取り出す。
【0034】
次に第3工程では、図5(c)に示すように、柔軟部材1のランナー1aを、柔軟部材1本体からカッター等にて切除し、さらに芯材2のランナー2aを切除ラインFにて切除することにより、図5(d)に示すように、本発明の防水用パッキングDが得られる。
【0035】
本発明において、柔軟部材1の成形に使用される材料としては、ゴム材などエラスティック素材が使用でき、芯材2の成形に使用される材料としては、耐熱性の硬質熱可塑性樹脂が使用されるが、芯材2が耐熱性を要求されるのは、柔軟部材1に使用するゴム材の加硫処理における加熱に耐える必要性があるためである。
【0036】
柔軟部材1の成形に使用される素材の具体例としては、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ニトリル・ブタジエンゴムなどの加硫ゴム類、シリコーンゴム、あるいはポリエステル系エラストマーなど熱可塑性エラストマーが挙げられる。また、芯材2の成形に使用される耐熱性の硬質熱可塑性樹脂としては、6−ナイロン、6,6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、6−6,6−共重合ナイロンなどのポリアマイド、ポリカーボネート、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルサルフォンなどが挙げられる。
【0037】
例えば、柔軟部材1のゴム材として、低温型シリコーンゴムを使用する場合には、芯材2として、120℃、数分間の加熱に耐える、ポリカーボネート、ポリアマイド等を使用し、高温型シリコーンゴムを使用する場合には、芯材2として、それ以上の加熱に耐えるポリアマイドやポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルサルフォン等を使用する。
【0038】
芯材2に使用する素材としては、この他、芯材2の断面積と、ゲートから芯材成形用金
型E1 までの距離などから、溶融樹脂の流動性を判断して選択される。なお、本発明における芯材2の素材として金属素材があるが、電波の受信への影響の他に、金型を傷め易い、凹溝部にフィットし難い、一度変形してしまうと容易に元に戻り難いなど、取り扱いが難しく、このような支障を解消できる場合は使用することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の防水用パッキングの各種の基本的構造を説明する概要側断面図。
【図2】(a)〜(h)は、本発明の防水用パッキングの各種の実際の構造と形状を説明する側断面図。
【図3】本発明の構造を備えた防水用パッキングを用いた凹凸嵌合により組み立てられる防水性能を有する機器の部分的組立図。
【図4】本発明の構造を備えた防水用パッキングを用いて凹凸嵌合により組み立てられた防水性能を有する機器の部分的側断面図。
【図5】本発明の構造を備えた防水用パッキングの成形方法を説明する成形工程図。
【図6】(a)は一般的な機器のハウジングの上部容器と下部容器の凹凸嵌合組み立てを説明する側面図、(b)はその上部容器と下部容器の平面図、(c)はその凹凸嵌合組み立てられた状態を示す側面図。
【図7】一般的な機器のハウジングの上部容器と下部容器の間に防水用のパッキングを介在させて凹凸嵌合組み立てを説明する側面図。
【図8】(a)は、一般的な防水用のパッキングを説明する側断面図、(b)はその平面図。
【符号の説明】
【0040】
10…上部容器
10a…収納部
10b…開口端部
10c…嵌合凸部
20…下部容器
20a…収納部
20b…開口端部
20c…嵌合凹溝部
D…防水用パッキング
E1 …芯材成形用金型
E2 …柔軟部材成形用金型(複合成形用金型)
F…カッティングライン
G…ゲート
P…パーティングライン
1…柔軟部材
1a…柔軟部材成形用充填材(ランナー)
2a…芯材成形用充填材(ランナー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合組立機器の組立部材間に介在して、該機器の防水性を付与するための非透水性の柔軟部材と芯材とから構成された防水用パッキングであって、機器の嵌合組立部材の嵌合線に対して垂直な断面において前記組立部材の嵌合面に当接する少なくとも三つの当接点を有し、前記芯材は、前記三つの当接点をそれぞれ結ぶ三本の線分のうち、少なくとも一本の線分を横切らない位置に配置されてなり、前記芯材が横切らない一本の線分を構成する二つの当接点が、前記嵌合組立てられる組立部材のそれぞれに一つずつ当接するように組立部材間に介在して、前記柔軟部材を圧縮させて嵌合組立てられることを特徴とする防水用パッキング。
【請求項2】
前記芯材が、前記三つの当接点をそれぞれ結ぶ三本の線分のうち、少なくとも一本の線分を横切る位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の防水用パッキング。
【請求項3】
前記嵌合組立部材の嵌合面に当接する当接点はそれぞれ突起状を呈し、その突起状先端は丸味を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の防水用パッキング。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の防水用パッキングを組立部材間に介在させて、柔軟部材を圧縮させて嵌合組立てられていることを特徴とする嵌合組立機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−138987(P2010−138987A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315403(P2008−315403)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】