説明

防氷コーティングを用いた物品の保護方法およびコーティングされた物品

【課題】 本発明は、既存の疎氷性コーティングよりも耐腐食性の良い疎氷性コーティングを提供する。
【解決手段】 本発明によれば、防氷コーティングを用いて物品を保護する方法は、物品の少なくとも1つの表面に塗布され、防氷組成は、少なくとも1つの添加剤を含まないポリシロキサンを含み、約19〜50kPaの氷剪断応力を示す防氷コーティングを形成するように防氷コーティング組成を硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティングに関する。より詳しくは、本発明は、種々のコンポーネントで使用される耐腐食性防氷コーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の構造物およびガスタービンエンジンの構造物への氷の堆積が、航空宇宙業界において長年に亘る問題となっている。物理的な氷の存在は、翼、ファンブレード、入口ガイドベーン、ファン出口ガイドベーンなどのエアフォイルの空力性能に悪影響を与える可能性がある。さらに、氷の堆積による重量増加によって、コンポーネントに予期しない負荷がかかる場合があり、極端な場合では、このようなコンポーネントの性能を超えてしまうこともある。また、堆積した氷が剥離することがあり、航空機またはエンジンに対して損傷を与える可能性がある。
【0003】
防氷システムは、エンジン入口付近のコンポーネントなどの航空機の種々のコンポーネントに氷の堆積を防ぐために開発されてきた。多数ある従来のシステムは、氷の堆積を防ぐために、熱を必要とする箇所にポンプで送られる、エンジンコア内からの高温の空気を利用する。このようなシステムは、多数の欠点がある。システムが複雑であり、エンジンに相当の重量が加わり、複雑な熱管理システムを必要とし、コア空気流を損失することによるエンジン効率の低下を招き、多くの場合、利用する防氷温度が高いため、高額の材料を必要とするか、あるいはコンポーネントに使用することができる材料を限定する。従って、氷の堆積問題に関して部分的にでも解決することができれば(防氷システムが、単純化、軽量化されるか、もしくは熱に関するコア空気流の利用を少なくする場合)、経済的な利益を得ることができる。
【0004】
疎氷性(icephobic)コーティング、つまり氷が十分に付着しないコーティングによって、従来の防氷システムの必要性が減るか、あるいはなくなる。しかしながら、多くの既存の疎氷性コーティングは、固体あるいは液体の充填材を含む熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に基づいている。これらの疎氷性コーティングの組成に起因して、固体または液体の充填材がコーティングされた材料表面につく。材料表面の流体の境界面もしくは結合の弱い層によって、300kPa未満の氷付着強度となる。しかしながら、保護されてない熱硬化性材料または熱可塑性材料は、耐腐食性が低く、固体または液体の充填材を加えることによって、さらに耐腐食性が低下する。氷の堆積を最も防ぐ必要のあるエンジンおよび航空機のコンポーネントは、苛酷な腐食環境に配置されるので、このことは好ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、従来の疎氷性コーティングよりも耐腐食性の良い疎氷性コーティングが必要とされている。
【0006】
さらに、固体充填材や液体充填材を含まない疎氷性コーティングが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、防氷コーティングを用いて物品を保護する方法は、添加剤を含有しない少なくとも1つのポリシロキサンを広く含む防氷組成を物品の少なくとも1つの表面に塗布し、約19〜50kPaの氷剪断強度(ice shear strenght)を示す防氷コーティングを形成するように防氷コーティング組成を硬化することを広く含む。
【0008】
本発明の他の側面によれば、コーティングされた物品は、少なくとも1つの表面を有する物品を備え、上記少なくとも1つの表面に配置される防氷コーティングは、約19〜50kPaの氷剪断強度を示すとともに、防氷コーティングは、添加剤を含まない少なくとも1つのポリシロキサンを広く含む防氷組成を含む。
【0009】
本発明のさらに他の側面によれば、コーティングされたブレードは、内周側の翼幅領域を有するブレードと、約19〜50kPaの氷剪断強度を示す、少なくとも内周側の翼幅領域に配置される防氷コーティングと、を広く含むとともに、防氷コーティングが、添加剤を含まない少なくとも1つのポリシロキサンを広く含む防氷組成を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、耐腐食性を改善した疎氷性コーティングに関する。「疎氷性(icephobic)コーティング」および「防氷コーティング」は、ここで、または全体を通じ用いられているように、氷が付着しないコーティング、もしくは下地の母材の氷付着強度に対してコーティングの氷付着強度が大幅に低下するコーティングである。「添加剤」は、例示的な防氷コーティング組成および最終的な防氷コーティングに加えられる固体もしくは液体の充填材を意味する。
【0011】
固体または液体の充填剤を含む熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂に基づいている先行技術の防氷コーティングとは違い、本発明の例示的な防氷コーティングは、添加剤を含まない耐腐食性弾性材料に基づいている。この例示的な防氷コーティングは、通常、約19〜50kPaの氷剪断強度を示し、平均的な氷剪断強度は、約37kPaであり、約−65〜400°F(−54〜204°C)、さらに500°F(260°C)までの耐腐食性/保護を提供し、さらに熱的な安定性を改善する。
【0012】
例示的な防氷コーティング組成は、少なくとも1つの高分子量のシリコーンをベースとした添加剤を含まない弾性材料、特に、添加剤を含まない少なくとも1つのポリシロキサンを含む。ポリシロキサンは、約−150〜400°F(−100〜204°C)の環境において使用可能な弾性材料である。ポリシロキサンは、さらに約500°F(260°C)まで熱的に安定である。好ましいポリシロキサンは、限定する趣旨ではないが、プラチナ硬化(platinum cured)ビニル末端ポリジメチルシロキサン、過酸化物硬化(peroxide cured)ビニル末端ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、4−ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン、およびポリジフェニルシロキサン、などの高分子量のポリシロキサンでも良い。本発明の防氷コーティング組成は、カリフォルニア州、サンタバーバラにあるNusil Technology LLC社から「Nusil(登録商標)R‐2180」として商業的に入手可能である。Nusil(登録商標)R‐2180は、発明者によって判明される前は、有利な防氷特性および疎氷特性を示すことは知られてなく、かつ防氷コーティング組成として使用されたことはなかった。
【0013】
本発明の防氷コーティングを用いた、物品を保護するための例示的な方法は、プライマコーティングを形成するように、物品の少なくとも1つの表面にプライマを塗布することを含む(図1のステップ10)。プライマの組成は、当業者に周知なように、シランカップリング剤、チタン酸塩カップリング剤、あるいはこれらの両方、もしくは少なくともいずれか一方を含む組み合わせ、などを含む。カップリング剤は、当業者に周知なように、選択的に、プラチナ、パラジウム、ロジウム、およびこれらの少なくとも1つを含む組み合わせ、などの触媒を含むことができる。プライマコーティングは、幾つかある当業者に周知な方法の1つを用いて塗布することができる。例えば、プライマコーティングは、噴霧(例えば、溶媒アシスト法(solvent asseisted)、静電塗装法、など)、ブラッシング、浸漬、およびこれらの方法の少なくとも1つを含む組み合わせ、などによって塗布される。最終的なプライマ組成のコーティングは、約0.0001〜0.0005インチの厚みを有していてもよい。
【0014】
プライマコーティングを塗布した後、上記添加剤を含まない少なくとも1つのポリシロキサン、例えば、Nusil(登録商標)R‐2180を含む防氷組成が、プライマコーティングに対して塗布される(図1のステップ12)。塗布した後、防氷組成は、プライマコーティングの上に防氷コーティングを形成するように硬化される(図1のステップ14)。防氷コーティングは、当業者に周知な従来のいずれかの手段を用いて硬化される。例えば、防氷コーティングは、架橋シリコーンベースのエラストマーが形成されるように、約140〜350°F(60〜177°C)の温度で約30〜135分間、炉内で硬化することができる。最終的な防氷コーティングは、約5〜20mil(0.005〜0.020インチ)の厚みを有する。
【0015】
最終的な防氷コーティングは、使用目的に応じた曲げおよび振動、ならびに風、雨および異物の衝突など、高速の物体の度重なる衝突に耐えるものとなる。さらに、防氷コーティングは、洗浄液、防氷液、塩水噴霧、ジェット燃料、タービンエンジン用潤滑油、などの他の潜在的な有害成分に対する耐性を有する。さらに、最終的な防氷コーティングは、遠心力負荷がかかる下でも、強固な結合強度を示す。
【0016】
当業者に周知なように、多数の産業に亘る各種物品を、本発明の例示的な防氷コーティングを用いて保護することができる。一般的に、有害成分や氷から装置を保護する必要があるいずれの産業においても、上述の本発明の防氷コーティングを用いて利益を享受することができる。例えば、種々の物品は、タービンエンジンコンポーネント、航空機のコンポーネント、船舶のコンポーネント、電力線および通信回線、などを含む。図2では、タービンエンジンに用いられる例示のファンブレード20が示されている。ファンブレード20は、本発明の例示の防氷コーティングでコーティングできる。例示の防氷コーティング22は、例えば、当業者であれば理解されるように、内周側流路から翼幅方向の最小限の位置までブレードに沿って塗布しても良い。通常、ファンブレードにおいては、少なくともこの領域に堆積される氷が最も重く、本発明の防氷コーティングを用いた利益を享受する。
【0017】
実験結果
氷付着試験
商業的に入手可能な6つの製品を、氷付着値(ice adhesion value)を測定するために試験した。チタニウムおよびBMI/カーボン繊維複合体基材の双方において、最低温度の必要条件である250°F(121°C)を満たす6つの製品全ては、ある程度の耐腐食性を有し、低い値の氷付着値を示す。これらの6つの製品は、「Microphase Phasebreak B2」、「Microphase ESL」、「21st Century 51PC951」、「S&A of Fernandia RIP‐4004」、「Kiss Cote(登録商標)MegaGuard(登録商標)LiquiCote」、および「Nusil(登録商標)R‐2180」である。
【0018】
氷の付着は、ゼロ度コーン(zero degree cone,「ZDC」)試験を用いて測定した。このZDC試験では、同心かつシリンダ状の2つの表面の間の環状の隙間に氷を成長させ、この筒状の氷および外側のシリンダから、内側のシリンダつまりパイル(杭)を押し出すのに必要な力を測定する。杭の底部に設けられたOリングは、蒸留し、イオンを除去し、脱気した水が凍結中に漏れ出ないように保持する。サンプルは、約−10°Cの温度で完全に凍結するまで約8時間を要し、試験前に、内部応力を解放するのにさらに約40時間要した。次に、サンプルを、内側の杭を押す速度を維持する材料試験機を用いて試験した。氷着試験の結果は、図3の表に示す。Nusil(登録商標)R‐2180組成は、防氷コーティングにおける基準として一般的に考えられているテフロン(登録商標)ならびに他の周知の防氷コーティング製品と比較して、氷付着性の大幅な改善が示された。
【0019】
サンドエロージョン(砂腐食)
上記の商業的に入手可能な6つの製品を、サンドエロージョンに耐える能力を評価する試験をした。各製品は、複合材ベースの母材およびチタニウムベースの母材の上にコーティング材として塗布した。試験は、室温で行った。各々のコーティングされた複合母材に、粒子速度が600フィート/秒、入射角20°で、MIL E5007破砕石英腐食法(crushed quartz erodent)による噴霧を行った。サンドエロージョン試験の結果は、図4の表に示す。複合材ベースの母材およびチタニウムベースの母材の双方にコーティングされたNusil(登録商標)コーティングは、他の商業的に入手可能な疎氷性コーティングと比較して、サンドエロージョンに耐えるための大幅に改善された能力を示した。
【0020】
Nusil(登録商標)R‐2180の環境曝露後の氷着性
防氷コーティング組成としてのNusil R‐2180の特性をさらに調べるために、追加の氷着試験を行った。氷着試験は、環境曝露後、Nusil R‐2180でコーティングされたピンを用いて行った。これらのコーティングされたピンは、260°F、1000時間で熱的に老化させ、5日間、湿度を相対湿度95%とし、それから、260°Fで3時間乾燥させるというサイクルを10回繰り返し、30日間、塩水噴霧に晒し、磨耗の模擬試験をするために、サンドペーパで荒削りした。これらの結果は、図5の表に示す。この表から示唆されるように、氷付着値は、環境曝露後、具体的には、37kPaに比べて171kPaと、若干増加したが、氷付着値は、基準となるテフロンの氷付着値、238kPaよりも依然として低かった。
【0021】
Nusil(登録商標)R‐2180の環境曝露およびエロージョン(腐食)試験
さらなるエロージョン試験を、防氷コーティング組成としてNusil R‐2180の特性を調べるために行った。Nusil R−2180を、チタニウムベースの複合母材およびBMIカーボンベースの複合母材にコーティング材として塗布した。Nusil R‐2180でコーティングされた母材を、サンドエロージョン試験および氷着試験の前に流体の汚染物質(コンタミナント)に晒した。2種類の環境曝露を行った。7日間の浸漬(soak)試験を行った。コーティングしたパネルを、ジェット燃料(JP‐8)、タービンエンジン用潤滑油、防氷剤(プロピレングリコール)および塩水のコンタミナントの各々に沈めた。一方、これらのコーティングされたパネルを、短時間の浸漬(dip)試験に供した。各パネルを、30分間、各コンタミナントに浸漬してから、取り出して、1時間、250°Fで乾燥させるサイクルを5回行った。各々のコンタミナントに浸漬したコーティングパネルに、粒子の速度が600フィート/秒、入射角20°で、MIL E5007破砕石英腐食法による噴霧を行った。
【0022】
これらのサンドエロージョン試験の結果は、図6の表に示した。コンタミナントに浸漬されたコーティングされたパネルを、腐食率(erosion rate)が3.93cm3/kgの、コンタミナントに浸漬せず、かつコーティングしていないBMIカーボン複合パネル、ならびに、腐食率が0.347cm3/kgの、コンタミナントに浸漬せず、かつコーティングしていないチタニウムパネルと、比較した。250°F(121°C)に晒される点に関する結果を除いて、コンタミナントに浸漬したコーティングパネルは、コンタミナントに浸漬してない(比較用の)BMIカーボン複合パネルおよびチタニウムパネルの両方の腐食率とそれぞれ比べて、若干の改善から著しく改善された腐食率を示した。本発明の防氷コーティングは、標準的な作動環境において、約150〜200°F(66〜93°C)の温度に晒されるのが通常である。250°F(121°C)で観察された腐食率、0.499cm3/kgは、防氷コーティングの特性の限界を延長した結果である。
【0023】
ポリウレタンベースのエラストマーを含む先行技術の防氷コーティングは、高温における熱的安定性が悪く、約−65〜250°F(−54〜121°C)の環境での使用に限定される。さらに、フルオロカーボンベースのエラストマーを含む先行技術の防氷コーティングは、ガラスの転移温度が低いので、低温で十分に機能しない。本発明の例示的な防氷コーティングは、高温において熱的安定性を有し、低温においても十分に機能する両方の特性を示す。さらに、本発明の例示的な防氷コーティングは、所望の防氷コーティング特性を付与するためのいずれの添加剤も必要としない。上述したように、固体および液体の添加剤の双方は、先行技術のように、物品に対するコーティングの結合強度を改善するが、添加剤は、先行技術のエロージョン耐性および防氷コーティングの利用可能な耐用年数を損なう。本発明の例示的な防氷コーティングは、より長期に亘る使用可能な耐用年数を示すとともに、所望の防氷コーティング特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の例示的な防氷コーティングを用いて物品を保護する例示的な方法を示すフローチャート。
【図2】例示的なファンブレード、および内周側流路から翼幅方向の最小限の位置まで適用される例示的な防氷コーティングの位置を示す図。
【図3】本発明のNusil(登録商標)R‐2180を含むいくつかの防氷組成の氷付着特性の比較を示すグラフ。
【図4】本発明のNusil(登録商標)R‐2180を含むいくつかの防氷組成の耐腐食性特性の比較を示すグラフ。
【図5】環境曝露後のNusil(登録商標)R‐2180の氷付着特性を示すグラフ。
【図6】環境曝露後のNusil(登録商標)R‐2180の耐腐食性を示すグラフ。
【符号の説明】
【0025】
20…ファンブレード
22…防氷コーティング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の少なくとも1つの面に、添加剤を含まない少なくとも一つのポリシロキサンを含む防氷組成を塗布するステップと、
約19〜50kPaの氷剪断強度を示す防氷コーティングを形成するように、上記防氷組成を硬化するステップと、
を含むことを特徴とする防氷コーティングを用いた物品の保護方法。
【請求項2】
上記防氷組成を塗布する前に、上記少なくとも1つの面にプライマコーティングを塗布するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の防氷コーティングを用いた物品の保護方法。
【請求項3】
上記プライマコーティングを塗布するステップが、噴霧、ブラッシング、浸漬、ボンディングからなる群から選択された方法を含むことを特徴とする請求項2に記載の防氷コーティングを用いた物品の保護方法。
【請求項4】
上記プライマコーティングを塗布するステップが、プライマ組成および触媒を含む上記プライマコーティングを塗布することを特徴とする請求項2に記載の防氷コーティングを用いた物品の保護方法。
【請求項5】
上記触媒が、プラチナ、パラジウムおよびロジウムのいずれか1つを含むことを特徴とする請求項4に記載の防氷コーティングを用いた物品の保護方法。
【請求項6】
上記防氷組成を塗布するステップが、噴霧、ブラッシング、浸漬、ボンディングからなる群から選択された方法を含むことを特徴とする請求項1に記載の防氷コーティングを用いた物品の保護方法。
【請求項7】
上記防氷組成を硬化するステップが、約77〜300°F(25〜149°C)で、約30〜135分、上記防氷組成を熱処理することを含む請求項1に記載の防氷コーティングを用いた物品の保護方法。
【請求項8】
上記物品が、タービンエンジンコンポーネント、航空機のコンポーネント、船舶のコンポーネント、電力線、通信回線からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の防氷コーティングを用いた物品の保護方法。
【請求項9】
少なくとも1つの面を有する物品であって、
上記少なくとも1つの面に配置された19〜50kPaの氷剪断強度を示す防氷コーティングを含むとともに、
上記防氷コーティングが、添加剤を含まない少なくとも1つのポリシロキサンを含む防氷組成を有する
ことを特徴とするコーティングされた物品。
【請求項10】
上記少なくとも1つのポリシロキサンが、プラチナ硬化ビニル末端ポリジエチルシロキサン、過酸化物硬化ビニル末端ポリジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサンおよび4−ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサンからなる群から選択されることを特徴とする請求項9に記載のコーティングされた物品。
【請求項11】
上記添加剤を含まない少なくとも1つのポリシロキサンが、少なくとも1つの固体の添加剤、少なくとも1つの液体の添加剤、もしくは、上記少なくとも1つの固体の添加剤および上記少なくとも1つの液体の添加剤の両方を含まないものであることを特徴とする請求項9に記載のコーティングされた物品。
【請求項12】
上記防氷コーティングが、約−65〜400°F(−54〜204°C)で耐腐食性を提供することを特徴とする請求項9に記載のコーティングされた物品。
【請求項13】
上記防氷コーティングが、約500°F(260°C)まで熱的に安定であることを特徴とする請求項9に記載のコーティングされた物品。
【請求項14】
プライマコーティングが、上記少なくとも1つの面の上で、かつ上記防氷コーティングの下に配置されることを特徴とする請求項9に記載のコーティングされた物品。
【請求項15】
上記プライマコーティングが、シランカップリング剤、チタン酸塩カップリング剤、もしくはこれらの両方を含むことを特徴とする請求項14に記載のコーティングされた物品。
【請求項16】
上記物品が、タービンエンジンコンポーネント、航空機のコンポーネント、船舶のコンポーネント、電力線および通信回線からなる群から選択されることを特徴とする請求項9に記載のコーティングされた物品。
【請求項17】
内周側の翼幅領域を有するブレードであって、
少なくとも上記内周側の翼幅領域に配置された約19〜50kPaの氷剪断強度を示す防氷コーティングを備えるとともに、
上記防氷コーティングが、添加剤を含まない少なくとも1つのポリシロキサンを含む防氷組成を有することを特徴とするコーティングされたブレード。
【請求項18】
上記添加剤を含まない少なくとも1つのポリシロキサンが、プラチナ硬化ビニル末端ポリジメチルシロキサン、過酸化物硬化ビニル末端ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンおよび4−ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサンからなる群から選択されたポリアルキルシロキサンを含むことを特徴とする請求項17に記載のコーティングされたブレード。
【請求項19】
上記添加剤を含まない少なくとも1つのポリシロキサンが、少なくとも1つの固体の添加剤、少なくとも1つの液体の添加剤、もしくは上記少なくとも1つの固体の添加剤および上記少なくとも1つの液体の添加剤の両方、を含まないことを特徴とする請求項17に記載のコーティングされたブレード。
【請求項20】
上記防氷コーティングが、約−65〜400°F(−54〜204°C)で耐腐食性を提供することを特徴とする請求項17に記載のコーティングされたブレード。
【請求項21】
上記防氷コーティングが、約500°F(260°C)まで熱的に安定であることを特徴とする請求項17に記載のコーティングされたブレード。
【請求項22】
少なくとも上記内周側の翼幅領域の上で、かつ上記防氷コーティングの下に、プライマコーティングをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載のコーティングされたブレード。
【請求項23】
上記プライマコーティングが、シランカップリング剤、チタン酸塩カップリング剤、もしくはこれらの両方を含むことを特徴とする請求項22に記載のコーティングされたブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−296511(P2007−296511A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43117(P2007−43117)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(590005449)ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション (581)
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
【Fターム(参考)】