説明

防波堤及び防波堤群

【課題】津波のエネルギーを効果的に低減させることが目的である。
【解決手段】津波Tが来ると、浮部材150が上昇し、岸側に流されて移動する。これに伴い連結線材140が伸張し、且つ岸側に移動し、全体が岸側に向かって湾曲する(伸び上がる)。また、津波Tの位置エネルギーが連結線材140のばね応力とが釣り合った状態となる。これによって、水平状態のプレート110及び浮部材150が傾く。また、津波Tの圧力でプレート110がアール状に湾曲しブラインド状且つ袋状に膨らむように変形する。そして、傾いたプレート110の下面(板面)110Aと浮部材150の下面(板面)150Aとによって、岸側への津波Tの進入が抑制されると共に、津波Tの流速が低減する。したがって、津波Tのエネルギーが効果的に抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防波堤及び防波堤群に関する。
【背景技術】
【0002】
外海との間で仕切る防波堤としては、コンクリート製の函体を用い、該函体内に砂を詰め上面に蓋をして上部工及びパラペットを配置したケーソン式防波堤、ブロック塊を積み外海側の面に消波ブロックを積み上げたブロック式防波堤、及びセルラーブロックを積み上げ内部に砂を詰めて上面に蓋をして上部工を配置した防波堤等が使用されてきた。
【0003】
特許文献1には、堤中に貫通孔を有するブロックが少なくとも一層積み上げられて構成された海水交換型防波堤が開示されている(特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献2には、海底に造成した基礎マウンド上に、各側壁部に横長及び縦長の開口部を設けると共に上面に全面開放の開口部を設けたブロック本体を備えた中空消波型被覆ブロックを、波浪方向と該波浪方向に対して直交する方向とに夫々複数列敷設し、且つ海面上まで複数積み上げて構成した防波堤が開示されている(特許文献2を参照)。
【0005】
ここで、2011年3月11日に発生した東日本大震災では、世界一と言われた既設の防波堤が、大津波によって破壊された。よって、防波堤による津波の防備について、様々な議論がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−165727号公報
【特許文献2】特開2011−58178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、津波のエネルギーを効果的に低減させることが望まれている。
本発明は、上記事実を考慮し、津波のエネルギーを効果的に低減させることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、海底に設けられた基礎と、海面に浮く浮部材と、海中に上下方向に間隔をあけて略水平に配置された複数のプレートと、前記基礎に支持され、前記各プレートを連結して上端部に前記浮部材を固定する連結部材と、前記連結部材を伸縮可能とし、且つ前記連結部材に引張力を付与する引張力付与手段と、を備える。
【0009】
請求項1の発明では、津波が来ると、浮き部材が上昇し岸側に流されて移動する。これに伴い連結部材が伸張し、且つ岸側に湾曲する。これによって、水平状態のプレートが傾き、板面で津波の進入が抑制されると共に、津波の流速が低減する。したがって、津波のエネルギーが効果的に低減する。
【0010】
請求項2の発明は、前記引張力付与手段は、前記連結部材の一部又は全部を構成する軸方向に弾性変形する弾性部材である。
【0011】
請求項2の発明では前記連結部材の一部又は全部を構成する軸方向に弾性変形する弾性部材であるので、例えば、別途引張機構を有する場合よりも構造が単純である。
【0012】
請求項3の発明は、前記連結部材は、沖側と岸側とに少なくとも二つ並んで配置され、前記プレートの沖側と岸側とが前記連結部材にそれぞれ連結されている。
【0013】
請求項3の発明では、一本の連結部材で連結する構成よりも、プレートの傾きが大きくなり、この結果、板面での津波の進入が更に抑制される。
【0014】
請求項4の発明は、前記プレートは、波によって楊力が生じるウイングプレートとされ、前記ウイングプレートに発生する揚力で発電する発電手段を備える。
【0015】
請求項4の発明では、波によって楊力が生じウイングプレートが上下動し、発電手段によって発電する。よって、ウイングプレートは、津波に対する防波機能と発電機能との両方の機能を有する。
【0016】
請求項5の発明は、前記浮部材の上面には、太陽光発電パネルが設けられている。
【0017】
請求項5の発明では、海面の浮く浮部材の上面に設けられた太陽光発電パネルで効率的に太陽光発電が行われる。
【0018】
請求項6の発明は、前記浮部材と前記プレートとが、平面視において、沖側に向かって凸状に湾曲した形状とされ、複数の前記連結部材は、湾曲した形状に沿って並んで配置され、前記基礎と固定されている。
【0019】
請求項6の発明では、沖に向かって凸状に湾曲した形状とすることで、津波が防波堤の湾曲の凹部空間に回り込み津波の流速が低減する。また、津波の波力に対する浮部材及びプレートの曲げ抵抗が、直線形状と比較し、大きくなり、この結果、板面での津波の進入が更に抑制される。したがって、津波のエネルギーが更に効果的に抑制される。
【0020】
請求項7の発明は、請求項6に記載の防波堤が、岸に沿って間隔をあけて複数配置されている。
【0021】
請求項7の発明では、防波堤間の隙間から進入した津波が、湾曲の凹部空間に回り込み津波の流速が低減する。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、津波のエネルギーを効果的に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る防波堤で構成された防波堤群を上空から見た平面図である。
【図2】(A)は本発明の一実施形態に係る防波堤を示し、図1の2A−2A断面に沿った断面図であり、(B)はプレートに発生する揚力Dを説明するための説明図である。
【図3】津波が来た際の図2に対応する防波堤の断面図である。
【図4】津波が回折現象によって防波堤の凹部空間に回り込む様子を説明するための説明図である。
【図5】(A)は津波が来た際の変形例の防波堤を模式的に示す説明図であり、(B)は津波が来た際の本実施形態の防波堤を模式的に示す説明図であり、(C)は平常時における本実施形態の防波堤を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<一実施形態>
図1〜図5を用いて、本発明の一実施形態に係る防波堤、及び防波堤群について説明する。
なお、図1のKが海岸線であり、各図における矢印X方向側が岸側(海岸線K側)であり、矢印Xと反対方向側が沖側とする。また、図2、図3、図5は、断面図であるが、図が煩雑になるので、断面を示す斜線は省略している。
【0025】
図1に示すように、防波堤群100は、沖に配置された複数の防波堤102によって構成されている。各防波堤102は、海岸線Kに沿って間隔をあけて複数配置されている。更に、海岸線Kに沿って2列配置され、それぞれ互い違いに千鳥状に配置されている。つまり、岸から見ると岸側(一列目)の防波堤102間の隙間に沖側(二列目)の防波堤102が配置されている。なお、本実施形態では、岸側(一列目)の防波堤102は、海岸線Kから約1.0kmの沖に配置されている。
【0026】
図2(A)に示すように、防波堤102は、基礎50と、複数のプレート110と、浮部材150と、連結線材140と、を含んで構成されている。基礎50は海底10に設けられている。なお、本実施形態では、基礎50が設けられた海底10の水深は、約10.0mとされている。そして、この基礎50上の海中に、上下方向に間隔をあけて複数のプレート110が配置されている。また、各プレート110は略水平に配置されている。
【0027】
各プレート110は、下端部140Aが基礎50に固定され、軸方向に弾性変形するばね性を有する連結線材140によって、連結されている。連結線材140の上端部140Bには海面に浮く浮部材150が固定されている。また、連結線材140は、沖側と岸側とに二つ並んで配置され、各プレート110及び浮部材150の沖側と岸側とが、連結線材140でそれぞれ連結されている。
【0028】
なお、図1に示すように、浮部材150及び各プレート110は、平面視において、沖側に向かって凸状に湾曲した形状とされている(弓形状、馬蹄形状)。また、各プレート110及び浮部材150の幅は約5.0mとされ、長さが約300mとされている。各プレート110は、海中で浮力が発生するような素材及び構造とされている。なお、連結線材140は、平面視において、湾曲に沿って複数並んで配置されている。
【0029】
また、図2(B)に示すように、各プレート110は、波によって楊力が生じるウイングプレートとされている。具体的には、プレート110の下面110Aは略水平面とされ、上面110Bが上側に膨らんだ凸形状とされ、岸側の厚みが厚く、沖側に向かって徐々に薄くなる流線形状となっている。よって、プレート110は、岸側から沖側に向かう方向の波(引波)Vの場合に、鉛直方向上側に揚力Dが発生するように構成されている。
【0030】
図2(A)に示すように、本実施形態では、連結線材140は、一部又全部が人工筋肉(EPAM:electroactive polymer artificial muscle)で構成されている。人工筋肉(EPRM)は、ゴム状の薄い高分子膜(エラトマー)を伸び縮み可能な電極で挟んだ構造で、電極間に電位差を与えると、静電力によって両方の電極が引き合い、高分子膜が厚さ方向に収縮して面方向に伸張する。また、逆に、面方向に伸縮させることで発電する。
【0031】
本実施形態では、波等によって各プレート110が及び浮部材150が上下運動し、これによって人工筋肉で構成された連結線材140が伸縮することで発電するように構成されている。つまり、波力発電装置として機能する。
【0032】
また、浮部材150の海上に露出した上面には、太陽光発電パネル152が設けられている。よって、太陽光発電パネル152によっても発電するように構成されている。
【0033】
そして、これらで発電した電気を、海底ケーブル182を介して送り、岸に設けた蓄電装置180に蓄電されるように構成されている。
【0034】
<作用及び効果>
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0035】
図2に示すように、平常時は、海面Sは安定している。但し、通常の波による上下及び干満(潮の満ち干き)等により海面Sは上下する。そして、図2の平常の状態では、波等によって各プレート110が及び浮部材150が上下運動することで波力発電すると共に、浮部材150の太陽光発電パネル152が太陽光発電し、蓄電装置180に蓄電される。
【0036】
図3に示すように、津波Tが来ると、浮部材150が上昇し、岸側に流されて移動する。これに伴い連結線材140が伸張し、且つ岸側に移動し、全体が岸側に向かって湾曲する(伸び上がる)。また、津波Tの位置エネルギーが連結線材140のばね応力と釣り合った状態となる。なお、本実施形態では、連結線材140の伸張に伴い、各プレート110間の距離も大きくなる。
【0037】
この連結線材140の伸び上がりによって、水平状態のプレート110及び浮部材150が傾く。そして、傾いたプレート110の下面(板面)110Aと浮部材150の下面(板面)150Aとによって、津波Tの岸側への進入が抑制されると共に、進入した津波Tの流速が低減する。したがって、津波Tのエネルギーが効果的に抑制される。
【0038】
別の言い方をすると、津波Tの一部はプレート110及び浮部材150で沖側に反射し流れの方向が変わり、津波Tの一部はプレート110及び浮部材150の間を通過する。なお、本実施形態では、津波Tの50%以上を沖側に反射するように構成されている。
【0039】
なお、津波Tの一部は、プレート110及び浮部材150の間を通過するが、通過する際に津波Tの流速が低減する。具体的には、プレート110間の隙間に流れが集中することで流速が速くなり摩擦抵抗が大きくなり、波の一部が消失することで津波Tの流速が低減する。また、レート110及び浮部材150を沖に向かって凸状に湾曲した形状とすることで、プレート110間を通過した津波Tの一部は、回り込んで層を成すことで流れ同士がぶつかって相殺され、津波Tの流速が低減する。
【0040】
また、プレート110及び浮部材150を沖に向かって凸状に湾曲した形状とすることで(図1参照)、津波Tの波力に対するプレート110及び浮部材150の曲げ抵抗が、直線形状の場合と比較し、大きくなり、この結果、下面110A,150Aでの津波Tの進入が更に抑制される。
【0041】
また、沖側と岸側とに連結線材140が二つ並んで配置され固定されているので、一本の連結線材140で連結する構成よりも、プレート110の傾きが大きくなり、この結果、下面110Aでの津波Tの進入が更に抑制される。
【0042】
なお、津波Tの運動・流速エネルギーが、津波Tが浮部材150の高さになり、位置エネルギーに一部変換されることによっても、津波Tのエネルギーが低減する。
【0043】
また、図4に示すように、プレート110及び浮部材150を沖に向かって凸状に湾曲した形状とすることで、防波堤102間から進入した津波Tが、波の回折現象によって、防波堤102の湾曲の凹空間104に回り込み、波同士がぶつかり津波Tの流速が低減する。また、津波Tの進行方向が変化するので、海岸線Kにまっすぐに到達する津波Tが低減する。
【0044】
前述したように、図2の平常の状態では、波力発電及び太陽光発電する。よって、防波堤102は、津波Tのエネルギーを吸収する機能と発電機能との二つの機能を有する。
【0045】
ここで、図5(A)に示す比較例の鉄筋コンクリート構造の防波堤500について説明する。鉄筋コンクリート構造の防波堤500は、海岸線Kの近くに設けられている。そして、津波Tが来た場合は、防波堤500で津波Tの力と量とを耐えることで津波Tの被害を防ぐ。よって、防波堤500は、津波Tの巨大な曲げモーメントMとせん断応力の組み合わせで構造設計する必要があり、堅牢な構造物とする必要がある。
【0046】
なお、防波堤500の根元部分にかかるモーメントMは、津波Tによる波圧P1、岸側からの波圧P2、防波堤500の高さをHとすると、「M=(P1+P2)×H」で計算される。
【0047】
また、変形例の防波堤500は、海岸線Kの近くに形成されるので、景観が損なわれる。更に、防波堤500の高さは岸よりも高いので、岸から沖への視界が遮られることになり、景観への影響が大きい。
【0048】
これに対して本実施形態の防波堤102では、図5(B)に示すように、前述したように、津波Tが来ると、浮部材150が上昇し岸側に流されて移動し、これに伴い連結線材140が伸張し、且つ岸側に湾曲する。これによって、水平状態のプレート110と浮部材150が傾き、下面(板面)110A,150Aで岸側への津波の進入が抑制されると共に、津波Tの流速が低減する(図3と図4と参照)。よって、防波堤102は連結線材140の引張力(軸力)Rで構造設計されるので、比較例のように曲げモーメントMとせん断応力の組み合わせで構造設計する防波堤500と比較し、構造設計的に有利であり、経済的である。
【0049】
なお、モーメントMは0であり、引張力(軸力)Rは、「R=T=k・ΔL、R・cosθ=P1+P2、R・sinθ=F」で計算される。なお、Rは連結線材の引張(軸)力、Tは津波の水平直進力、kは連結線材のばね定数、ΔLは連結線材の伸張量(伸び上り量)、θは連結線材の水平面に対する傾き、Fは連結線材が固定された基礎の鉛直支持力(杭等の鉛直引抜力)である。
【0050】
また、図5(C)に示すように、本実施形態の防波堤102は、海岸線Kから離れた沖に設けられ、海面Sに浮いている浮部材150以外は見えない。よって、比較例のように海岸線Kの近くに高くそびえる防波堤500と比較し、景観への影響が少ない(図5(A)と図5(C)との比較参照)。
【0051】
別の観点から説明すると、比較例の防波堤500は、巨大な津波に耐えうるように構造設計すると、高さHが高く巨大な構造物となってしまい、景観への影響が更に大きくなる。つまり、防波堤の防波能力と景観とのトレードオフの関係にあると言える。
【0052】
これに対して、本実施形態の防波堤102は、巨大な津波Tに耐えうるようにプレート110や浮部材150及び連結線材140の引張力(軸力)Rを確保する構造設計をしても、景観へ影響与えない。つまり、防波堤の防波能力を高くしても、景観への影響与えない(トレードオフの関係にない)。
【0053】
また、本実施形態の防波堤102は、図2に示すように、魚20の人工漁礁として活用することが可能である。また、前述したように本実施形態では発電装置として活用される。つまり、本実施形態の防波堤102は、平常時には防波機能以外の機能を有する。
【0054】
なお、2011年3月11日に発生した東日本大震災において、比較例に代表される既設の鉄筋コンクリート製の防波堤500の多くは、津波で破壊された。よって、防波堤による津波の防備の方法について、様々な議論がなされている。本発明は、従来とは違った新しい防波堤のあり方を提案するものであり、考え方としては、比較例で代表される既設の防波堤のように津波の波の力・量を全て受け入れ、耐えるのではなく、津波の力を受け流し、弱めるといった考え方に発想を転換して、発明されたものである。
【0055】
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0056】
例えば、上記実施形態では、浮部材150及び各プレート110は、平面視において、沖側に向かって凸状に湾曲した形状とされていたが、これに限定されない。例えば、海岸線Kに沿った直線形状であってもよい。
【0057】
また、例えば、上記実施形態では、連結線材140を構成する人工筋肉の伸縮によって発電したが、これに限定されない。プレート110の振動や回転運動を電気エネルギーに変換して発電してもよい。或いは、波による上下振動で作った圧搾空気を送風してタービンを作動させて発電してもよい。或いは、コイルを磁場中で上下させるようにして発電してもよい。
【0058】
また、既成の海洋発電、上記以外の波力発電、潮力発電、海流発電、海洋温度差発電等で発電してよい。より具体的には、波力発電としては、波の上下動をジャイロにより回転運動に変換するジャイロ方式がある。潮力発電としては、潮汐による海水の移動によってタービン等を回転させて発電する方式等がある。海流発電としては、海流による海水の流れによって水車や羽等を回転させて発電する方式等がある。海洋温度差発電としては、海洋表層の温水と海底付近の冷水の温度差を利用して発電を行う方法等がある。
【0059】
また、上述した複数の発電方法(方式)を複数組み合わせてもよい。
【0060】
また、例えば、上記実施形態では、防波堤102のプレート110及び浮部材150は、それぞれ一枚構成あったが、これに限定されない。複数枚のユニットを長手方向に繋げて構成されたプレート及び浮部材であってもよい。
【0061】
また、例えば、上記実施形態のプレート110の形状はウイング形状(図2(D)参照)であったがこれに限定されない。例えば、上下面共に平面上であってもよい。
【0062】
また、例えば、上記実施形態では、連結線材140は、人工筋肉によって伸縮し引張力を付与する構成であったがこれに限定されない。人工筋肉以外の軸方向に弾性変形(伸縮)する材料や構造であってもよい。人工筋肉と他の弾性変形する材料とを組み合わせてもよい。更に、「一部又全部が人工筋肉で構成されている連結線材140」と、「人工筋肉を含まないで構成されている弾性変形する連結線材140」と、の両方が設けられていてもよい。
【0063】
或いは、例えば、基礎50との固定部分に連結部材に引張力を付与しつつ連結部材を伸縮させる機構を設けてもよい。例えば、連結部材がリール等に巻き取られ、このリールが巻取方向に付勢手段によって付勢され連結部材に張力が付与されるような機構であってもよい(判りやすく例えると、家電製品の電気コードの収納機能のような機構)。また、このような連結部材の機構で発電してもよい。
【0064】
また、例えば、上記実施形態では、連結線材140は、沖側と岸側とに二つ並んで配置され、各プレート110の沖側と岸側とが連結線材140にそれぞれ連結されていたがこれに限定されない。連結部材が三本以上並んで配置されて連結されてもよいし、一本であってもよい。
【0065】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない
【符号の説明】
【0066】
10 海底
50 基礎
100 防波堤群
102 防波堤
110 プレート
110A 下面(板面)
140 連結線材(連結部材、引張力付与手段)
150 浮部材
150A 下面(板面)
152 太陽光発電パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底に設けられた基礎と、
海面に浮く浮部材と、
海中に上下方向に間隔をあけて略水平に配置された複数のプレートと、
前記基礎に支持され、前記各プレートを連結して上端部に前記浮部材を固定する連結部材と、
前記連結部材を伸縮可能とし、且つ前記連結部材に引張力を付与する引張力付与手段と、
を備える防波堤
【請求項2】
前記引張力付与手段は、前記連結部材の一部又は全部を構成する軸方向に弾性変形する弾性部材である、
請求項1に記載の防波堤。
【請求項3】
前記連結部材は、沖側と岸側とに少なくとも二つ並んで配置され、
前記プレートの沖側と岸側とが前記連結部材にそれぞれ連結されている請求項1又は請求項2に記載の防波堤。
【請求項4】
前記プレートは、波によって楊力が生じるウイングプレートとされ、
前記ウイングプレートに発生する揚力で発電する発電手段を備える、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の防波堤。
【請求項5】
前記浮部材の上面には、太陽光発電パネルが設けられている、
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の防波堤。
【請求項6】
前記浮部材と前記プレートとが、平面視において、沖側に向かって凸状に湾曲した形状とされ、
複数の前記連結部材は、湾曲した形状に沿って並んで配置され、前記基礎と固定されている、
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の防波堤。
【請求項7】
請求項6に記載の防波堤が、岸に沿って間隔をあけて複数配置されている防波堤群。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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