説明

防炎加工されたポリマー組成物

本発明は、α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーの総重量との関係において40〜90重量%の酢酸ビニル含有量を有する1つ以上のα−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーからと;成分Aとしての式(I)のホスフィン酸塩[式中、R、Rは、直鎖または分岐C−C−アルキル、好ましくはC−C−アルキルであり;Mは、カルシウム、アルミニウムまたは亜鉛イオンであり;mは、2または3である]と;成分Bとしての金属水酸化物、好ましくは水酸化アルミニウム(ATH)と;を含む相乗的防炎性組合せとから、得ることのできる防炎加工されたポリマー組成物に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーの総重量に基づいて40〜90重量%の酢酸ビニル含有量を有する1つ以上のα−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーからなる防炎加工されたポリマー組成物、その使用およびプラスチックおよびゴムの処理のための防炎性組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
防炎加工されたポリマー組成物は、例えば、ケーブルの利用分野(ケーブルシースおよびケーブル絶縁材)および床仕上げ材に使用される。このようなポリマー組成物は、法定規格に適合する充分な防炎性を提供しなければならず、その上に卓越した加工特性を有していなければならない。
【0003】
無機防炎剤、ハロゲン化防炎剤、有機リン防炎剤または窒素系防炎剤でポリマー系を処理できるということは、長く公知であった。
【0004】
ポリマー中で難燃性充填剤として使用されている金属水酸化物、特に水酸化アルミニウム(ATH)および水酸化マグネシウム(MDH)が、鉱物性防炎剤として言及されるかもしれない。金属水酸化物は単独で、または互いに組合せた形で、そして任意にはさらなる防炎性添加剤と組合せた形で使用される。
【0005】
防炎性効果は、実質的に、結晶の吸熱分解、水蒸気の形での水の放出と同時の攻撃対象プラスチック近傍の可燃性ガス濃度の希釈、そして多少の差こそあれ固体酸化物残渣の形成、に基づいている。酸化物残渣自体は大きな内部表面積を有し、したがって煤分子または煤の前駆物質(多環芳香族炭化水素、PAH)を吸着することができる。いわゆる灰分層には、燃えているポリマーを機械的に安定化して、例えばポリマーの火炎粒子の滴下を削減または完全に回避する機能がある。さらに、燃えているポリマーの表面を覆った灰分層は、下に存在するポリマー層のための一種の「防護壁」として作用し、その結果、急速な延焼を回避することができる。
【0006】
α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマー中の金属水酸化物の使用は、特に有用であることが証明されている。
【0007】
しかしながら、プラスチックに充分な防炎性を確保するために大量の金属水酸化物をプラスチック混合物に添加することは、不利である。プラスチックの物理的特性(機械的および電気的特性)は、これにより不利な影響を受ける。
【0008】
その上、ホスフィン酸の塩(ホスフィネート)が、ポリマー系のための有効な難燃剤であることが証明されている。ホスフィン酸カルシウムおよびアルミニウムは、ポリエステルまたはポリアミドにおいて特に有効であるものとして記述されてきており、例えばアルカリ金属塩に比べてポリマー質量の材料特性に及ぼす不利な影響が少ない。
【0009】
多くのポリマー中でホスフィネート単独の場合よりもさらに有効に防炎剤として作用する、一部の窒素含有化合物とホスフィネートとの相乗的組合せも見出されている。メラミンおよびメラミン化合物、例えば、シアヌール塩メラミンおよびリン酸メラミンなどが有効な相乗作用物質であるものとして公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、金属水酸化物の充填度が低減され、そのため防炎効果が少なくとも同じにとどまるかまたは改善されるものの、ポリマーの機械的特性は改善され、特に硬度が低減されるポリマー組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため、本発明は、α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーの総重量に基づいて40〜90重量%の酢酸ビニル含有量を有する1つ以上のα−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーと;
− 成分Aとしての、式(I)
【化1】

のホスフィン酸塩、
[式中、R、Rは、直鎖または分岐C−C−アルキル、好ましくはC−C−アルキルを表わし;
Mは、カルシウム、アルミニウムまたは亜鉛イオンを表わし;
mは、2または3を表わす]と;
成分Bとしての金属水酸化物、好ましくは水酸化アルミニウム(ATH)と;
を含む相乗的防炎性組合せと、
からなる、冒頭で言及されているタイプの防炎加工されたポリマー組成物を提案している。
【0012】
ここで、成分Aは、ホスフィネートとも呼ばれる。
【0013】
意外にも、金属水酸化物とホスフィネートを付加することにより、機械的特性および材料の可撓性を改善するのと同時に、防炎性も著しく改善されるということが見出された。
【0014】
防炎性を査定するためにはさまざまなパラメータが使用される。
【0015】
防炎性、特に発火性を査定するための指標となる1つの値は、ISO4589に準じた限界酸素指数(LOI)である。これは、垂直に配向された供試体の燃焼を丁度支援することのできる酸素混合物中の酸素の最小濃度を表わす。酸素濃度がそれより低いと、火炎は消える。したがって、高いLOI値は、高い防炎性または低い発火性を意味する。
【0016】
例えば以下のものなどの防炎に関するさらなる特性を、コーン熱量計を用いて決定することができる:
− KW/m(PHRR)単位の「ピーク発熱速度」(PHRR):これは、試料の燃焼中にコーン熱量計内で測定された単位面積あたりの最大出力である。PHRRが低くなればなるほど、試料の防炎性は良くなる。
− 「発火時間」(TTI);これはコーン熱量計内で熱放射に起因して試料が燃え始める時間である。TTI値が高くなければなるほど、試料の防炎性は良くなる。
【0017】
プラスチックの可燃性を査定し分類するためのさらなる方法は、UL94仕様である。UL94分類は、厚み3.2mmの試料を用いて実施される。UL94−V規格によると、これらの分類は、分類不能(NC)、V2(比較的良好)、V1(さらに良好)、V0(最高分類)である。
【0018】
好ましくは、成分Aは、ホスフィン酸アルミニウムである。
【0019】
相乗的防炎性組合せの総量は、好ましくは110〜280phr、特に好ましくは80〜190phrである。
【0020】
本発明に係るポリマー組成物は、100〜190phrの成分Bと10〜90phrの成分A、好ましくは130〜160phrの成分Bと20〜40phrの成分Aを有する。
【0021】
好ましくは、本発明に係るポリマー組成物は、160phrのATHと30phrのホスフィン酸アルミニウムを有する。
【0022】
ここで、「phr」は、ゴム百分率を意味する。
【0023】
使用されるα−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーは、α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーの総量に基づいて40重量%以上の高い酢酸ビニル含有量によって他と区別される。好ましくは、α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーの酢酸ビニル含有量は、α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーの総量に基づいて50重量%〜80重量%である。
【0024】
使用されるα−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーは、α−オレフィンおよび酢酸ビニル系のモノマー単位に加えて、例えばビニルエステルおよび/または、(メト)アクリレート系の1つ以上のさらなるコモノマー単位(例えばターポリマー)を有していてよい。さらなるコモノマー単位(α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマー中にさらなるコモノマー単位が存在する場合)は、α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーの総重量に基づいて10重量%までの割合で存在し、α−オレフィンに基づくモノマー単位の割合は相応して減少する。したがって、酢酸ビニル、α−オレフィンおよびさらなるコモノマーの総量を100重量%として、例えば40重量%〜90重量%の酢酸ビニル、10重量%〜60重量%のα−オレフィンおよび0〜10重量%の少なくとも1つのさらなるコモノマーで構成されたα−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーを使用することができる。
【0025】
使用されるα−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーにおいて、公知のα−オレフィンは全て、α−オレフィンとして利用可能である。α−オレフィンは好ましくは、エテン、プロペン、ブテン、特にn−ブテンおよびイソブテン、ペンテン、ヘキセン、特に1−ヘキセン、ヘプテンおよびオクテン、特に1−オクテンから選択される。
【0026】
α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマー中のα−オレフィンとして、前記α−オレフィンの高級同族体を使用することも可能である。α−オレフィンはさらに置換基、特にC−C−アルキルラジカルを担持していてよい。しかしながら、α−オレフィンは、さらなる置換基を一切担持していないことが好ましい。さらに、α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマー中で2つ以上の異なるα−オレフィンの混合物を使用することも可能である。しかしながら、異なるα−オレフィンの混合物は使用しない方が好ましい。好ましいα−オレフィンはエテンおよびプロペンであり、α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマー中のα−オレフィンとしてエテンを使用することが特に好ましい。
【0027】
したがって、好んで使用されるα−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーはエチレン/酢酸ビニルコポリマーである。
【0028】
特に好ましいエチレン/酢酸ビニルコポリマーは、50重量%〜80重量%の酢酸ビニル含有量を有する。
【0029】
通常は、好んで使用される高い酢酸ビニル含有量を有するエチレン/酢酸ビニルコポリマーはEVMコポリマーと呼称され、この呼称中「M」はEVMのメチレン主鎖の飽和バックボーンを表わす。
【0030】
使用されるα−オレフィン/酢酸ビニルコポリマー、好ましくはエチレン/酢酸ビニルコポリマーは一般に、ISO1133に準じて190℃、21.1Nの負荷で測定された場合に、1〜40、好ましくは1〜35というMFI値(g/10分)を有する。
【0031】
DIN53 523 ML1+4に準じた100℃でのムーニー粘度は、一般に3〜80、好ましくは20〜65ムーニー単位である。
【0032】
GPCを用いて決定される数平均分子量(Mw)は、一般に5000g/モル〜800,000kg/モル、好ましくは100,000g/モル〜400,000g/モルである。
【0033】
例えばLanxess Deutschland GmbHからLevapren(登録商標)またはLevamelt(登録商標)の商標名で市販されているエチレン/酢酸ビニルコポリマーは、本発明に係る防炎加工されたポリマー組成物において特に好適に使用される。
【0034】
本発明に係る防炎加工されたポリマー組成物は、好ましくは、少なくとも30%のLOIと90ショアAの最大硬度を有する。
【0035】
本発明に係る防炎加工されたポリマー組成物は、プラスチックおよびゴム、熱可塑性エラストマまたは熱可塑性加硫物の中で使用可能である。
【0036】
さらなる発明は、ケーブル、可塑性成形材料、弾性成形材料、床仕上げ材(特に公共輸送機関または建物内)、被覆導電体および接着剤の生産のための本発明に係る防炎加工されたポリマー組成物の使用である。
【0037】
したがって、本発明に係る防炎加工されたポリマー組成物を配合物の形で使用することも想定可能である。例えば、以下のポリマーがここでは適している:HNBR、EPDM、EVA、HDPE、LDPE、ポリアミドおよび/またはコポリエステル。
【0038】
例えば、染み出しにより取込まれた油が遅くとも火災発生時点でシースの機能を損ない、その上煙霧密度を増大させることから、一部の区域のためのケーブルシースは、耐油性のものでなければならない。その上、ケーブルはマイナス40℃より低い温度でさえ可撓性を保ち続けなければならず、壁厚が小さい場合でも高い信頼性で作動するよう優れた電気的絶縁特性を示さなければならない。
【0039】
配合物の中に無水マレイン酸グラフト化EVM/EVAを使用することも同様に想定可能である。グラフト化EVM/EVAの酢酸ビニル含有量は、α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーの総重量に基づいて18〜90重量%、好ましくは32〜80重量%、そして非常に好ましくは40〜70重量%である。MAHgEVM/EVAの含有量は、好ましくは5〜50phr、より好ましくは10〜40phr、そして特に好ましくは10〜20phrである。
【0040】
さらなる発明は、α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーの総重量に基づいて40〜90重量%の酢酸ビニル含有量を有する1つ以上のα−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーを含む防炎加工されたポリマー組成物の調製のための防炎性組合せにおいて、成分Aとしてホスフィン酸アルミニウムを、成分Bとして金属水酸化物、好ましくは水酸化アルミニウム(ATH)を含むことを特徴とする防炎性組合せでもある。
【0041】
α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーの総量に基づいて50〜80重量%の酢酸ビニル含有量が好まれる。
【0042】
この組合せは、同時に低い硬度にも関連して、前記α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーのために特に適したものである卓越した防炎効果を有する。
【0043】
さらに、本発明に係る防炎加工されたポリマー組成物は、EN ISO5659−2に準じた比較的低い火災時有毒煙霧濃度を有する。特に、それは例えば、α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーがハロゲンを含まないために、HClガスを全く有していない。
【0044】
それを用いて生産されるケーブル、ケーブルシース、可塑性成形材料、弾性成形材料、床仕上げ材および被覆導電体は、−40℃未満の温度でさえ可撓性を保つ。
【0045】
本発明に係る防炎性組合せは、好ましくは、100〜190phrの成分Bと10〜90phrのホスフィン酸アルミニウム、特に好ましくは130〜160phrの成分Bと20〜40phrのホスフィン酸アルミニウムを有する。
【0046】
好ましくは、本発明に係る防炎性組合せは、160phrのATHと30phrのホスフィン酸アルミニウムを含む。
【0047】
本発明に係る防炎性組合せは、プラスチックおよびゴム、熱可塑性エラストマまたは熱可塑性加硫物の処理に適している。
【0048】
それは好ましくは、例えばLanxess Deutschland GmbH製のLevapren(登録商標)またはLevamelt(登録商標)の商標名で市販されているエチレン/酢酸ビニルコポリマー中で、あるいはHNBR、EPDM、EVA、HDPE、LDPE、ポリアミド類および/またはコポリエステル類との配合物中で使用される。
【0049】
本発明に係る防炎性組合せはハロゲンを含まず、低い粘度および極性充填剤との優れた相溶性のため、大量の無機防炎剤、例えば水酸化アルミニウムを取込むことができる。本発明に係る防炎性組合せが燃えた場合、低密度の煙霧しか形成されない。例えばハロゲン含有化合物の燃焼時に形成するHClガスが、純粋エチレン/酢酸ビニルコポリマーによって発することは、その化学的組成のため全くあり得ない。これらの利点は、特に鉄道輸送または建物において示される。そこでは、人々は、外部からの救助が無くとも火災の影響を受けている区域を離れることができなければならず、これには確実に、避難経路が長時間可視状態にあり続けることも含まれる。
【0050】
好ましくは、上述の用途にとって、相乗的防炎性組合せの総量は110〜280phr、特に好ましくは80〜190phrである。
【0051】
本発明について以下で実施例を用いてさらに詳しく説明する:
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ATHを伴うおよび伴わないα−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーのLOI値のグラフである。
【図2】表1に関連する硬度とLOIのグラフである。
【図3】表2に関連する破断点伸びとLOIのグラフである。
【0053】
図1は、ATHを使用した場合、特にα−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーの酢酸ビニル含有量(VA)が40重量%を超えた直後のLOI値の増加を示す。0重量%から40重量%までのVAの増加の場合、LOIは約15%だけ増加する(LOI:30%⇒LOI:35%)。40重量%から80重量%までのVAの増加の場合、LOIは約40%だけ増加する(LOI:35%⇒LOI:50%)。
【0054】
【表1】

【0055】
N0: 防炎無しのLevapren
N1: ATH(Nabaltec製のAPYRAL 120E)を伴うLevapren
N2、N3、N4、N5: ATH(Nabaltec製のAPYRAL 120E)およびホスフィネート(Clariant製のEXOLIT OP 1230)またはホスフィン酸アルミニウム(Clariant製のEXOLIT AP423)を伴うLevapren
Perkadox 14−40 B−PD: 架橋剤
Phenofit TAC/S: 助剤
【0056】
ATHを使用した場合のLOIの急上昇(19%から51%)およびEXOLIT OP1230を使用した場合のさらなる急上昇(51%から59%)は、明白である。意外にも、防炎性および機械的特性に関しては、EXOLIT OP1230のみが有利であった。特に混合物N4を指摘すべきである。160phrのATHと30phrのEXOLIT OP 1230の組合せの場合、LOIならびに破断点伸びと引張り強度の両方で優れた値が達成され得る。80ショアAという同時に最低の硬度は、調合における独特の利点を表わしている。
【0057】
【表2】

【0058】
表2は、さまざまなATHと組合せたEXOLIT OP 1230の意外な効果を明白に示しており、ここで防炎用成分(ATHまたはATHとEXOLIT OP 1230の組合せ)の充填剤濃度は130phrである。
【0059】
OP1230を使用した場合にLOI値が有意に高いことは明らかである。さらに、各々の場合においてTTIは30秒超だけ長くなっている。PHRRは匹敵するものにとどまるかまたは減少し、これは同様にプラスの効果である。同じく特に有利であるのは、ATH単独の場合に比べて、OP1230混合物について実質的に高い破断点伸びの値である。硬度および引張り強度が匹敵する場合、これは、対応する利用分野における可撓性の増加を導く。Apyral 40CDを用いた調合物を除いて、UL定格で最高の定格VOはつねに達成されている。
【0060】
図3は、ATHおよびOP1230を用いた場合のLOIおよび破断点伸びの意外な急上昇を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーの総重量に基づいて40〜90重量%の酢酸ビニル含有量を有する1つ以上のα−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーからと;
− 成分Aとしての、式(I)
【化1】

のホスフィン酸塩
[式中、R、Rは、直鎖または分岐C−C−アルキル、好ましくはC−C−アルキルを表わし;
Mは、カルシウム、アルミニウムまたは亜鉛イオンを表わし;
mは、2または3を表わす]と;
成分Bとしての金属水酸化物、好ましくは水酸化アルミニウム(ATH)と;
を含む相乗的防炎性組合せとから、
得ることのできる防炎加工されたポリマー組成物。
【請求項2】
成分Aが、ホスフィン酸アルミニウムである、請求項1に記載の防炎加工されたポリマー組成物。
【請求項3】
相乗的防炎性組合せの総量が110phr〜280phr、好ましくは80〜190phrであることを特徴とする、請求項1に記載の防炎加工されたポリマー組成物。
【請求項4】
100〜190phrの成分Bと10〜90phrの成分A、好ましくは130〜160phrの成分Bと20〜40phrの成分Aを有することを特徴とする請求項3に記載の防炎加工されたポリマー組成物。
【請求項5】
160phrのATHおよび30phrのホスフィン酸アルミニウムを有することを特徴とする請求項4に記載の防炎加工されたポリマー組成物。
【請求項6】
少なくとも35%のLOIと同時に90ショアA以下の硬度を有することを特徴とする請求項1に記載の防炎加工されたポリマー組成物。
【請求項7】
ケーブル、可塑性成形材料、弾性成形材料、被覆導電体、接着剤、床仕上げ材の生産における請求項1〜6のいずれか一項に記載の防炎加工されたポリマー組成物の使用。
【請求項8】
α−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーの総重量に基づいて50〜80重量%の酢酸ビニル含有量を有する1つ以上のα−オレフィン/酢酸ビニルコポリマーを含む防炎加工されたポリマー組成物の調製のための防炎性組合せであって、成分Aとしてホスフィン酸アルミニウムを、成分Bとして金属水酸化物、好ましくは水酸化アルミニウム(ATH)を含むことを特徴とする防炎性組合せ。
【請求項9】
100〜190phrの成分Bと10〜90phrの成分A、好ましくは130〜160phrの成分Bと20〜40phrの成分Aを有することを特徴とする請求項8に記載の防炎性組合せ。
【請求項10】
160phrのATHと30phrのホスフィン酸アルミニウムを有することを特徴とする請求項9に記載の防炎性組合せ。
【請求項11】
プラスチックおよびゴム、熱可塑性エラストマまたは熱可塑性加硫物の処理のための、請求項8〜10のいずれか一項に記載の防炎性組合せの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−515119(P2013−515119A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545281(P2012−545281)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070290
【国際公開番号】WO2011/076760
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】